ウシュグリへのアクセス・行き方
スヴァネティ地方の最も奥に位置するウシュグリ村へのアクセスは、便利とは言い難いもの。
この地方の中心となるメスティア(Mestia)から道路が一本通っているだけで、アクセスの拠点はメスティア一択。
トビリシやクタイシ等、ジョージア国内の他都市から直接ウシュグリ入りしたい場合でも、必ずメスティアを経由することとなります。
メスティア~ウシュグリ間の移動手段は、予算や日程に合わせて4通り。
観光客向けにある程度インフラが整備されたエリアでありながら、決まったスケジュールの路線バスやマルシュルートカ(ミニバス)等の公共交通手段は存在しないのが一番のネックとなります。
メスティア~ウシュグリ間の唯一の道路は50kmほどの山道で、最後の10kmほどの区間は未舗装道路となるため、4WD車が必須。
運転に自信がない人は、レンタカー利用は控えた方が良いかもしれません。
メスティアからウシュグリへのミニバス(マルシュルートカ)&注意点
個人旅行者の間で最もポピュラー&安い移動手段が、メスティア発ウシュグリ行きのマルシュルートカ(ミニバス)を利用すること。
「マルシュルートカ」と言っても、ジョージアの人々の移動手段としての乗り合いのミニバスではありません。
観光客向けのスケジュールで、ほぼ100%観光客相手に運行している「観光マルシュルートカ」といったところです。
チケットはメスティア中心街のバスステーション(らしきもの)周辺に数軒あるチケットオフィスのみでの購入。
ウシュグリ側でメスティア行きの片道チケットを購入することは不可能なので要注意です。
チケット購入時に集合時間や集合場所などの案内があるので、それに従って乗車するだけです。
メスティア~ウシュグリ間のミニバス利用時の注意点
メスティア~ウシュグリ間のマルシュルートカ利用時に注意したいのが、以下の5点。
ややトリッキーなので、しっかりとシステムを理解しておきましょう。
注意点①:料金は乗客の人数によって変動する場合がある
メスティア~ウシュグリ間のマルシュルートカは公式な路線ではなく、あくまでも村の人がミニバン車両に観光客を集めて乗せ、お金を稼いでいるもの。
4人以上の乗客が集まらなければ出発しませんし、3人以下の人数で走る場合は一人当たりの料金が上がってきます。
夏場のハイシーズンであれば確実に4人以上の乗客は集まる(=上に示した料金で利用できる)でしょうが、それ以外の時期だと、次の項で紹介するタクシー利用とあまり変わらない料金となることもあり得ます。
注意点②:基本は日帰りでの往復
4人以上の乗客が集まった場合の往復50GELという料金は、日帰りでメスティア~ウシュグリ間を同日往復する場合のもの。
これがウシュグリに宿泊したい旅行者にとっては結構なネックとなります。
ウシュグリに移動→宿泊した翌日にマルシュルートカを利用する場合は、行きと帰りの片道チケット2枚を別々に購入しなければなりません。謎過ぎるぼったくりシステムです。
つまり同日往復でない場合は、往路片道40GEL+復路片道40GEL=合計80GEL(=¥4000)もかかってしまうというわけ。
とはいえ、他の交通手段はタクシーしかないので、足元を見られているとは理解しながらも支払うしかないのが現状です。(誰か、シャトルバスの会社とかオープンしてくれないだろうか…)
注意点③:メスティア発は午前中のみ
上で解説した通り、この区間のマルシュルートカはウシュグリを日帰りで観光する旅行者をターゲットにしたものなので、全ての便は午前中にメスティア発/午後にウシュグリ発というスケジュール。
夏場のハイシーズンであれば、スケジュールはだいたい以下の通り。曜日にかかわらず共通です。
・往路:メスティア発10:00→ウシュグリ着12:30
・復路:ウシュグリ発16:00→メスティア着18:30
ウシュグリでの滞在時間は3時間弱と短く、走り回るように観光してもすべてを見ることはできないでしょう。
また、ジョージア他都市からメスティアに到着後、そのままウシュグリに移動するのは無理。
最もメスティア到着時間が早い、ズグディディ朝発のマルシュルートカを利用してもメスティア到着はお昼すぎ。
ウシュグリ行きのバスはすでに出発してしまっているので、メスティアに1泊するか、タクシーを利用するしかありません。
注意点④:夏場は前日までのチケット購入を!
ウシュグリ行きのマルシュルートカの座席数は16席ほどしかなく、夏場は多くの旅行者が利用するため、当日の朝チケットを購入しようとしても満席で断られる場合があります。
メスティアのバスステーション(らしきもの)のチケット売り場は、毎日20:00頃までは開いているので、スケジュールが確定次第チケットを購入しておくことを強くおすすめします。
注意点⑤:妖怪お釣りごまかしばばあに要注意
メスティアのチケットオフィスに四六時中暇そうに座っているおばあさんは、ここの係員。
メスティア~ウシュグリのマルシュルートカ便を管理しているドンのような存在のようで、2020年/2022年のいずれも同じ人でした。
なんとある程度の英語を解し、チケットを発行してくれるのですが、絶対に大きな額の紙幣で支払わないようにしましょう。
というのもこの人、かなりの確立でお釣りをごまかしてくる有名人であるため。
5GEL~10GEL少ない額のお釣りを渡してきて、旅行者が指摘すると「間違えちゃった…てへぺろ」ととぼけたり、「いや!私はちゃんと渡した!」と謎主張をしてきたり…海千山千のぼったくり妖怪なのです。
無駄なストレスを避けるためにも、このオフィスでのチケット購入時はちょうどの額を渡すのがスマート。
大きな額しかない場合はその場でお釣りを確認→ごまかされていた場合は即妖怪退治に挑みましょう。
メスティア→ウシュグリのその他の移動方法
タクシー
複数人での旅行や、自分の都合に合わせて移動したい場合は、メスティアからタクシーを利用するのも一つの手。
タクシーと言っても、村の人が自分の4WD車を運転しているだけのもの。
メスティア中心街のバスステーション(らしきもの)付近には、客待ちのおじさんたちが暇そうにしているので何の苦労もなく見つけられるでしょう。
料金の相場は、1台あたり往復で200GEL~300GEL(=¥10000~¥15000)
片道の場合は150GEL~200GEL(=¥7500~¥10000)ほどと、往復より少し安い程度です。
かなり割高にはなりますが、ジョージア他都市からメスティア到着後、直接ウシュグリへ移動したい場合でもOKなのは大きなメリットです。
現地ツアー
メスティアの中心街には、ウシュグリ村とそのさらに奥に位置するシュハラ氷河を訪れる日帰り/1泊2日の現地ツアーを販売しているオフィスも多くあります。
どこも内容は似たり寄ったりで、ウシュグリまでの往復4WD車 + シュハラ氷河までの乗馬体験がセットになったものです。(1泊2日の場合は、ゲストハウスと食事も込み)
いわば、
・地元の人が運転している4WD車
・その知り合いが飼っている馬のレンタル
・その家族が経営しているゲストハウス滞在
の3つを、村人ネットワークを駆使して組み合わせただけのもので、「ツアー」と呼べるような質のものではありません。(=英語ガイドなどは全く期待できない)
のぶよ的には日帰りでウシュグリを訪れることほどもったいないことはないと感じますが、日程に限りがある場合や、「歩きたくないけどシュハラ氷河は見たい!」という人には選択肢の一つかもしれません。
(現地ツアーに参加するとしても、絶対に1泊2日のツアーをおすすめします)
4daysトレッキング
最後に紹介するウシュグリへのアクセス方法は、徒歩。
メスティア~ウシュグリ間には70kmほどのトレッキングコースがあり、3日~4日間かけて歩いて移動することが可能です。
歩くのが大嫌いな私たち日本人からすると「4日も歩くの?絶対ムリ…」と思ってしまいがちですが、実はこのコースはジョージア国内で最もポピュラーな複数日トレッキングコース。
夏場のハイシーズンには、かなり多くのトレッキング客で大賑わいとなります。
間近に望む氷河とコーカサスの山々、観光地化の波にのまれていないピュアな村々…
コース上の見どころは数えきれませんが、一番のメリットはテントや登山道具等が一切必要ない点。
全長70kmほどのコースのちょうど良い場所に村が点在していて、どこもゲストハウスがあって宿泊&食事を気にする必要がないため、初心者でも普通に挑戦できてしまうレベルです。
のぶよはウシュグリまでの行きを4日間かけて歩いたのですが、とにかく素晴らしかったです。
(というか、このトレッキングを目的にスヴァネティ地方に来た)
万人向けのオプションではないかもしれませんが、想像よりもかなり簡単なコースで、健脚な人なら誰でも問題なくゴールできるでしょう。
数日かけてようやく視界に入ったウシュグリ村の遠景には、4WDで簡単に移動する際には感じられない感動や達成感が感じられるはずです!
ウシュグリからメスティアへの個人での戻り方
日帰りでなく、ウシュグリに宿泊してメスティアへ戻る際に問題となるのが、帰りの移動手段の確保。
日帰りの場合は、交通手段にかかわらず行きと同じものを利用すれば良いだけなのですが、宿泊すると「あれ?どうやってメスティアに戻れば良いの…?」と気が付くはず。
先述の通り、決まったスケジュールで運行されるマルシュルートカなどは走っていないため、ウシュグリ宿泊を挟んでの帰りの移動は若干ハードルが高めになります。
ウシュグリ→メスティアの戻り方①:観光マルシュルートカを利用する
最もポピュラーな方法が、メスティア~ウシュグリを日帰りで往復する観光客向けマルシュルートカを復路分だけ利用すること。
メスティア→ウシュグリ方面の観光マルシュルートカの項で解説した通り、メスティア出発前にウシュグリ発の復路分のチケットを日付指定で購入しておくのが絶対条件です。
(復路のチケットがない状態で、ウシュグリで復路分だけ支払って乗車しようとしても確実に拒否されます)
片道だけの利用だと40GELと割高にはなってしまうものの、これが最も安いウシュグリ→メスティア方面への移動方法となります。
メスティアからやって来たマルシュルートカは12:30頃にウシュグリに到着し、チャジャシ地区とチュヴィビアニ地区の境に位置する橋のたもとのバス停付近で観光客を下ろします。【マップ 黄色】
そこから運転手のランチ休憩を挟んで、再びメスティア方面へと出発するのは16:00頃。
メスティアでのチケット購入時に、ウシュグリ発の正確な時間を確認しておくのをお忘れなく。
ウシュグリ→メスティアの戻り方②:4WDを手配する
午前中にメスティアへ戻りたい場合や観光マルシュルートカのチケットを持っていない場合は、ウシュグリの村人が運転する4WDを手配するという手もあります。
ウシュグリはかなりの村社会。
宿泊先のゲストハウスの人は、必ず車を所有している人とつながりがありますし、自身で運転してくれることもあるでしょう。
料金相場は1台で150GEL~200GEL(=¥7500~¥10000)ほど。
宿泊先の人との関係や交渉能力、季節によっては、120GEL(=¥6000)くらいまで下がることも期待できます。
ウシュグリ観光のプランニングのコツ(必要日数/季節)
ウシュグリ観光前には、綿密なプランニングをしておくことを強くおすすめします。
季節によって大きく異なる表情を見せる場所なので、訪問する時期はとても大切。
それ以外にも、何日間をウシュグリの観光に費やすのがベストなのか、あらかじめ理解しておくのが絶対です。
この項では、実際にウシュグリに行こうと思っている人のプランニングに役立つ情報を解説していきます。
ウシュグリ観光は日帰り?宿泊?
次の項でも口を酸っぱくして言っているのですが、ウシュグリには絶対に宿泊すべきです。
この村の魅力は、日帰りで数時間歩いただけでは到底味わいきれないもの。
昔からずっと変わらない山の人々の暮らしがちゃんと現在でも息づいており、それに浸れることがこの村の最大の魅力だと思います。
特に、メスティアからの日帰りツアー客が一気に押し寄せる午後の数時間のウシュグリは、完全なる観光地と化します。
日帰りで訪れる場合は、その観光地としてのウシュグリの姿しか見ることができません。
観光客の波が去った後の夕方から翌朝にかけての時間こそが、この村の真の姿。
せっかくこんな山奥まできて、このピュアな魅力を味わわずに帰るのは本当にもったいないと思います。
とはいえ。ウシュグリに滞在すること2回&合計で10日は居座っていたのぶよがこれほど口を酸っぱくして言おうが、日帰りで訪れようとする人はいるのでしょう。
断言します。「うわあ…宿泊すれば良かった…」と後悔します。
ウシュグリ観光の必要日数
ウシュグリ観光に必要な日数は、最低でも1泊2日(2日間)で、さらに奥のシュハラ氷河まで足をのばす場合は、もう1日追加するのが理想的。
2日間あってようやくウシュグリの4つの地区を隅々までまわることができ、点在する見どころをくまなく見学することができるでしょう。
標高が高い場所にあるウシュグリの天気は不安定なことも多く、曇りや雨だと素晴らしい絶景の魅力が半減してしまうかもしれません。
特に、ウシュグリの背後にそびえるシュハラ山の山頂部分は雲がかかる確率がかなり高め。(特に昼過ぎ)
「雪に覆われた山と美しい村」というウシュグリを象徴する風景が絶対に見たい場合は、予備日を含めて3日~4日間滞在するのが良いでしょう。
ウシュグリ観光のベストシーズン
ウシュグリ観光自体は、年間を通じて可能です。
しかしながら、ここは標高2200m以上のコーカサス山脈エリア。
ジョージア他地域とは気候が大きく異なりますし、山の天気はどうしても不安定であることが多いです。
一般的に、ウシュグリのベストシーズンは5月~10月とされます。
それ以外の冬の時期は数メートルの雪に覆われ、一般的な観光にはどう考えても不向きです。
(とはいえ、除雪が頻繁に行われるのでアクセス自体は可能だそう。)
5月から10月の間でのぶよ的に特におすすめなのが、6月と9月後半~10月前半。
7月から9月前半にかけての時期も素晴らしいのですが、ヨーロッパのバケーションシーズンにあたるため、小さな村は観光客で溢れかえってしまうのがマイナス。
コーカサス最奥部の秘境感を味わいたいなら、あえて時期をずらすのが鉄則です!
ウシュグリ観光のおすすめ季節①:6月
ウシュグリ観光における文句なしのベストシーズンの一つが、6月。
初夏にあたる時期で、まだ雪の残るシュハラ山を背景に、一面の緑に包まれた村の風景が見られます。
6月は天候も比較的安定しており、観光シーズンにはまだ少し早いので観光客の数も少なめ。
静かな雰囲気の中で美しい風景を堪能できる確率は、他のどの月よりも高いでしょう。
ウシュグリ観光のおすすめ季節②:9月後半~10月前半
ウシュグリ周辺において、一年で最も天候が安定した時期にあたるのが9月。
雨が降る可能性は高くなく、夏の暑さはすでに過ぎ去っているため、トレッキング目的の人には強くおすすめしたい月です。
9月後半に入ると、やや天候が不安定となる日も増えますが、それでも晴れる確率は高め。
日を追うごとに、村の周辺の山々が緑色から黄色っぽく変化していくのもこの時期です。
10月に入ると、ウシュグリは一気に秋の風景へと様変わりします。
9月に比べると天候はやや不安定になるものの、「朝起きたら周囲の山がすべて真っ黄色になっていた…!」なんて魔法のような体験ができるかもしれません。(めっちゃくちゃ感動します)
のぶよは秋の時期のウシュグリに合計で2回訪れたのですが、たった1、2週間の違いで周囲の山々の色が大きく変わることに驚きました。
(9月3週目:まだ夏の名残の緑が多い / 10月1週目:完全に紅葉のピーク)
紅葉の時期は年によって微妙に変化するでしょうが、10月1週目はまさにピークそのもの。
秋色に包まれた石造りの村々の風景は、一生忘れられない思い出となるはずです!
ウシュグリ宿泊情報&おすすめゲストハウス
アクセスが、基本的に日帰り観光客をメインに考えられているウシュグリ。
日帰りする方が楽&安く済むのですが、のぶよ的には絶っっっっ対にウシュグリに宿泊するべきだと思います。(何回もしつこくてごめん。でも本当に日帰りは意味なし。)
さらに奥のシュハラ氷河も含め、ウシュグリとセットで日帰りでまわる鬼のようなツアーもありますが、それではただ山の空気を吸いに来ただけ。
こんなコーカサス山脈の最奥部に身を置ける体験なんて、人生でおそらく一回きり。
ぜひとも時間に余裕を持って、この場所の魅力を存分に堪能してほしいです。
この項は、「ウシュグリに宿泊する」という前提のトピック。
ウシュグリに宿泊する際のアドバイスやおすすめゲストハウス情報を解説していきます。
「それでも日帰りでOK!」という人は、この項の情報は必要ありません。読み飛ばして最終項へどうぞ。
ウシュグリ宿泊時の注意点&アドバイス
ウシュグリには近代的な設備を誇る高級ホテルなどの宿泊施設は存在せず、一般の民家を旅行者向けに改装したゲストハウスでの宿泊となります。
宿泊先を決める際のポイントや、滞在時のアドバイスなどをまとめてみました。
ウシュグリ宿泊Tips①:宿泊エリア選びはぬかりなく!
東西に細長い地形に4つの集落が点在するウシュグリ。
最も離れているムルクメリ地区~ジビアニ地区間は2kmほどの距離があり、歩くと30分ほどかかるので、行ったり来たりするのは結構大変です。
ウシュグリでの宿泊先を決めるポイントは、自分が何を重視して滞在したいか。
好みや旅のスタイルによって、どのエリアに宿泊するのがベストか変わってくるのです。
・静けさ重視:ムルクメリ地区
・雰囲気・利便性重視:チャジャシ地区
・利便性・価格重視:チュヴィビアニ地区
・宿からの眺め重視:ジビアニ地区
4つの地区で最も観光地化が進んでいないムルクメリ地区は、ウシュグリ本来の素朴な雰囲気を感じながら滞在したい人におすすめ。
特に、夏場のハイシーズンには他の3地区は観光客であふれかえってしまい、かなり観光地っぽい雰囲気となってしまうのが残念。
その点、ムルクメリ地区では比較的静寂が保たれています。
デメリットは、他の地区から1km~2kmほど離れているため、観光の際に歩く距離が増えることでしょうか。
ウシュグリ村全体において、日用品や食料品などを売っている商店は2軒だけ。
中央に位置するチャジャシ地区とチュヴィビアニ地区の各地区に1軒ずつあります。
メスティアからのマルシュルートカが発着するバス停があるのもこの二つの地区の境目。
村全体の中央に位置している地区であるため、ウシュグリ内のどこにでもアクセスしやすいのは大きなメリットです。
チャジャシ地区には、名物の見張り塔が併設された伝統家屋をゲストハウスにしている宿もあるので、ここでしかできない宿泊体験をしたい人にはおすすめ。
また、ウシュグリで最もゲストハウスの数が多いチュヴィビアニ地区は料金が他の地区に比べてリーズナブルなのも魅力的です。
ウシュグリのシンボルであるラマリア教会の美しい風景が眺められることで有名なのが、ジビアニ地区にあるGuesthouse Miranda。
実際に行くとわかりますが、立ち入り禁止の柵などがかなり多いため、ラマリア教会を眺められる場所は意外に少ないのです。
宿から常に絶景を眺めていたい人は、一考の価値があるかもしれません。
(のぶよは直接宿を見学に行きましたが、宿の人が微妙に感じ悪かったので泊まりませんでした。)
ウシュグリ宿泊Tips②:ぼったくり宿に注意
近年、観光地として急激に有名になったスヴァネティ地方。
ウシュグリだけでなくどこもそうなのですが、外国人観光客を狙ったぼったくりの類がジョージア国内で最も多いです。
ゲストハウスにもそれは当てはまり、料金に見合わないような設備の部屋・質素な食事・嫌な感じのオーナーなど「ぼったくり宿」として晒したいような宿もあるにはあります(体験談)。
一方で、昔ながらの山岳部らしいホスピタリティーにどっぷりと浸ることができる宿もまだまだ健在。
インターネット上の写真やコメントだけでは、どうしてもオーナーの人柄や食事の内容までは見えてこないものですが、せっかくなら気持ち良く滞在できる宿を選ぶ方が良いですよね。
完全なる個人的な主観なのですが、スヴァネティ地方において宿泊予約サイトに掲載しているようなゲストハウスはかなり当たり外れが激しいと思います。
のぶよはそれに気づいて、途中から予約なしの飛び込み(部屋やオーナー家族の感じを見て決める)スタイルに変えたところ、一度も失敗することはありませんでした。
スヴァネティ地方で「ここだけはやめておけ!」という宿も実体験で知っているのですが、ここで書くのもアレなので(笑)、気になる人はお問い合わせください。
また、ウシュグリ村のおすすめゲストハウスに関しては後述しています。
ウシュグリ宿泊Tips③:食事は基本的にゲストハウスで
ウシュグリ村滞在時の食事(朝食・夕食)は、基本的にゲストハウスで提供してもらうことになります。
・朝食:15GEL~25GEL(=¥750~¥1250)
・夕食:25GEL~30GELL(=¥1250~¥1500)
村にはレストランもいくつかあるので、昼食はそちらでとることもできますし、宿によってはランチボックスを用意してくれる場合もあります。(別料金)
ぼったくり宿ではないまともなゲストハウスであれば、メイン(スープ系が多い) + 3~4皿ほどの小皿料理を提供してくれるのが一般的。
中には全部で10皿近い料理が出てくるホスピタリティーの塊のような宿もあるほど(笑)
総合的に量は多めなので、夕食だけお願いして朝食に残りを食べることも可能です。
(普通は無料で対応してくれます)
ウシュグリ観光Tips④:食料品・日用品はメスティアで購入しておく
先述の通り、ウシュグリ村全体に商店の類はたったの2軒しかありません。
その2軒の商店も、スーパーマーケットのようなものではなく、場末感漂う個人の商店といった感じ。
もちろん品ぞろえが良いわけもなく、値段も高めです。(ただ、ビールは意外と良心的な価格で売られていたので助かりました)
スナックや食材、タバコなどウシュグリ滞在中に必要なものは全て、メスティア中心部のスーパーマーケットで購入していくのがおすすめです。
ウシュグリ観光Tips⑤:現金は必須
ウシュグリ村には、銀行はおろかATMすら一台もありません。
また、各ゲストハウスやレストランでカード支払いを受け付けているところはゼロ。
つまり、完全なる現金社会なのです。
ウシュグリに宿泊する場合、現金が足りなければ身動きがとれなくなってしまう点は要注意。
アクセス拠点となるメスティアには銀行の支店やATMが数台あるので、必ず十分な額を準備しておきましょう。
ウシュグリのおすすめゲストハウス
Caucasus Guesthouse
・部屋タイプ:トリプルルーム1人利用
・料金:45GEL(=¥2250)
※夕食・朝食込み
・立地:9/10
チュヴィビアニ地区の入口付近に位置するゲストハウスで、バス停&商店まで徒歩3分、村で一番の絶景ポイントであるタマル王女の塔まで徒歩10分という便利な立地です。
・アクセス:9/10
常にオーナー家族がいて、入口の門にも鍵がかかっていないため、簡単にチェックイン可能です。
入口の門がかなり重たく、いちいち開ける時にひと苦労だったのが若干マイナス。
・スタッフ:10/10
家族経営のゲストハウスで、息子がまあ英語を話せます。
オーナー夫妻はジョージア語/ロシア語のみですが、つねに笑顔のお二人。
言葉は通じなくとも温かい人柄が伝わってきます。
宿泊客はのぶよ一人だけだったのに、数時間キッチンにこもって色々な料理を作ってくれました。
・清潔さ:6/10
予想外の客だったこともあってか、清掃は若干甘めに感じました。
バスルームは広々してはいるものの、水回りの多少の汚れなどが気になる人は気になるかもしれません。
部屋は質素ながら、暖房を使うことができたのはポイント高めです。
・設備:8/10
いわば一般家庭の2階部分をゲスト向けに改装しただけの普通の家なのですが、宿泊客専用のリビングなどがあり、ソファーなども置かれていてかなりリラックスできる雰囲気。
本来ならば、多くの旅行者で賑わうはずです。
広い庭があり、村の風景を眺めながらのんびりできるのも良かったです。
・wi-fi:10/10
感動したのが、Wi-Fiがあったこと。
スヴァネティ地方ではインターネットがない宿も多く、宿泊予約サイトにも対応していないこの宿でネットに繋げるとは想像もしていませんでした。
Wi-Fiの速度も問題なく、部屋でも庭でも普通に接続できました。
・雰囲気:9/10
他に宿泊客がいなかったので何とも言えませんが、宿泊客同士がコミュニケーションをとるスペースもあるので、かなり良い感じのゲストハウスだと思います。
オーナー家族の人柄も良く、のんびりとしたスヴァネティ地方らしい雰囲気を感じながらの滞在ができました。
・総合:8.7/10
かなり安いのに2食ついてくる点や、立地の良さ、居心地の良さなど、総合的に大満足の滞在ができました。
おばさんは料理名人で、毎日異なるメニューをいろいろ作って出してくれます。
予約サイトに掲載されていないのが残念ですが(「そういうのは面倒くさい」そう)、きっとウシュグリ滞在をより印象深くしてくれる場所となると思います。
【ウシュグリの宿をすべて見る!】
ウシュグリ滞在の感想:素晴らしいけど「ヨーロッパ最後の秘境!」ではない。
スヴァネティ地方観光のハイライトであり、ジョージア全体でも一、二を争うほどに人気のウシュグリ村の観光情報を徹底解説しました。
見どころや絶景ポイントはもちろん、アクセスや宿泊時のアドバイスなどかなり詳細に解説したつもりなので、きっと満足のいく滞在となるはずです!
のぶよはウシュグリに4泊したのですが、本当に行って、滞在して良かったと思います。
むしろ「あと3日くらいのんびりしても良かった」と思うくらいに気に入った場所となりました。
(4日間かけて歩いた後に到着したため、感動も増し増しだったのはもちろんです)
近年、旅行者や移住者の間で話題になりつつあるウシュグリ。
「ヨーロッパ最後の秘境!」なんて紹介されているのもよく目にするのですが、一つだけ言わせてください。
そもそものぶよ的にはジョージアはヨーロッパではなくアジアですし、ウシュグリ自体は本当に素晴らしい場所ですが、正直、秘境でもなんでもありません(笑)
・1年を通してアクセス可能
・個人でも簡単に行ける
・デイトリップも可能 (ってか、日帰りできる「秘境」とはいったい…?)
・電気、ガス、インターネット完備
・観光客の数が急激に増えて、色々変わってきている感 (人とか、人とか、人とか…)
など、知名度が上がるにつれてインフラ面もかなり便利になってきている&人々も観光客慣れしてきている(良くも悪くも)という印象を持ちました。
この場所が「山岳リゾート」として大規模開発の波に呑み込まれる日もそう遠くないのかもしれません。
この記事をここまで読んでいただいた方には、そうなってしまう前にぜひウシュグリを訪れてほしいです。
現実離れした風景が残る素晴らしい場所であると同時に、観光地化の波はもう押し寄せつつあるのが現状。
伝統と発展の間で揺れ動くジョージアという国を象徴しているような場所なのかもしれません。
コメント
遂にスヴァネティの最奥ウシュグリへ到達しましたね。昨年見た光景が懐かしいです。メスティア~ウシュグリのこの
区間だけの為にスズキの4WDを借りたのでした。(途中、生活物資を満載したトラックが坂を登れなくなり、退避できる場所まで後退してきたのでこれは正解でしたが)この道は数か所湧水の出ている場所を通り、汲んでいる人がいたので私も飲んでみたものの、冷たいだけで美味しくは感じませんでした。私も橋の横のマルシュルートカのたまり場に車を置いてタマリア教会まで歩いて行きました。というよりも車がいっぱいでこれ以上先へは進めなかったのです。韓国からの観光客のツアーがマルシュルートカ4台に分乗して来ていました。画像を見る限り観光客はいないようですね。メスティアから日帰りで行き、5時間滞在しましたが、一泊すれば良かったなぁ、と思っております。
メスティアからの帰途、ズグディディマデノ山岳区間で岩の角に当ててタイヤをパンクさせてしまいました。スペアに交換すべく、路肩でジャッキアップしているとズグディディに住んでいるというジョージア人の車が停まり一緒に手伝ってくれました。こちらから頼んだわけでもないのに心の温かさに触れました。(日本から持ってきたうちわをあげたらとても喜んでくれました。
昨年は20日で3か国+未承認国1か国(アゼルバイジャンはバクーに半日しか居なかった)駆け足で回りましたが次回はジョージア1か国+未承認国アブハジア(レンタカーそのまま乗り入れられるのかは不明。ロシア側から鉄道が走っている)だけでしっかりとみてきたいものです。
あっ!でもアゼルバイジャンの飛び地ナヒチェバンにも行きたいと思っているのですがね。(ここの列車は古い機関車を使っており、注目なのです。)
クヴェリワインは体験できましたか?良い旅を続けてください。
小杉弘一 HN機関車好き様
コメントいただきありがとうございます!
そうなんです、とうとうウシュグリまで行って参りました!
今年は大袈裟ではなく「観光客ゼロ」状態だったので、ウシュグリ本来の大自然や静寂さを楽しむことができた半面、移動や宿の確保などに結構苦労することとなりました。
小さな村ですので日帰りでも十分に観光することは可能ではあるものの、やはり宿泊して良かったなと思います。こんなコーカサスの奥地でのんびりとすごす贅沢な機会も人生においてなかなかないと思いますので。
コーカサス3国を旅行なさったのですね。私自身ももともとのプランではアゼルバイジャンとアルメニアにも立ち寄るつもりだったのですが、このコロナ禍と紛争のために今回は諦めることとなりそうです。
アブハジアはジョージア側から出入域できていたようですが、この状況なので現在は往来することができなくなっています。ロシア側から立ち入れるのかどうかは微妙なところですね。
クヴェヴリワインは、ボトルとして販売されているものは飲んだことがありますが、ワイナリーで醸造されているところはまだ見たことがありません。
ジョージアを発つ前にやりたいことのうちの一つではあるのですが、果たして達成できるかどうか…
日本でも寒くなってくるにつれ、コロナの再拡大が始まっているという話を耳にしました。
どうぞお体にお気をつけて、状況が落ち着いた後のジョージア(や、その他海外諸国)への旅への期待を高めるための期間となさってくださいね!
はじめまして!
胸をドキドキさせながら読ませていただきました。
ちょっと質問なのですが、11月頭にウシュグリ村を観光するのは気候的に厳しいのでしょうか?
今月末からジョージアに旅行に行こうと思っておりまして、のぶよさんのご意見を参考にしたいです。
できればカズベキと合わせてなんとしても訪れたいところなんですよね;;
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
しんりゅう様
コメントをいただきありがとうございます!
11月頭のウシュグリについてですが、運次第というのが率直な意見です。
例年、初雪は10月の半ば~後半だそうで、それから一度雪が解けて11月の半ばから本格的に雪が積もる季節になると聞きます。
とはいえ、今年は寒の入りがやや早く、来週にでも初雪となるのではないかと言われています。なので、雪がどっと積もるのももしかすると例年より早まるのかもしれません。
雪が降った翌日は、積雪量によって道路が寸断されてしまい、移動が不可能となることが多いです。1日たてば再び道路は開通するのですが、メスティアに到着したもののウシュグリにアクセスできないorウシュグリに滞在していたのにメスティアに帰れないなど、天気予報によっては予想外の事態となることも想定に入れておくことをおすすめします。
すでに夜は気温ひと桁台でかなり寒いので、11月頭となるとかなりの極寒になるかと思います。防寒対策などしっかりなさっての訪問をおすすめします。
カズベキに関しては、ウシュグリに比べて道路状況が比較にならないほど良い&標高もウシュグリより600mほど低いので、個人的にはできる限り早い時期にウシュグリ観光を済ませるのが良いかなと思います。(すべては天気予報次第ではありますが…)
以上、天気に恵まれた素敵なご旅行になることを祈っております!
おおお。ご丁寧に返信いただきありがとうございます!!!
やはり天候のトラブルは想定して行動するようにしたほうがよさそうですね。
大いに参考にさせていただきますm(_ _)m
のぶよさんのこのサイトを今度のジョージア旅行のお供にさせていただきます笑
大変感謝です^^