こんにちは!ジョージア北東部の山岳地帯・カズベキにのんびり滞在中で、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアで最大の観光地の一つであるカズベキ。
首都のトビリシから3時間ほどでアクセスできるため、デイトリップ先としても週末をのんびりとすごす場所としても人気のエリアです。
当ブログでは有名どころから穴場まで、カズベキ周辺エリアの見どころを色々と紹介してきましたが、今回はカズベキの地元の人が「絶対に行くべき!」と強くおすすめするトルソ・バレー(Truso Valley)です。
比較的広くて平坦なトルソ・バレーの谷間は、カズベキの他の見どころに劣らない大自然の宝庫。
天然の鉱泉があちこちで湧き出しているため、神秘的な泉やミネラル成分が固まってできた石灰棚が点在しており、その風景を独特なものにしています。
ロシアによって実行支配されている南オセチアとの境界線に近いため、オセチア人住民が細々と暮らす小さな村や、国境防衛用の要塞跡などが点在しているのもポイント。
まるでおとぎ話の世界そのものな風景が広がり、自然も伝統文化も一度に楽しむことができるのです。
今回の記事は、カズベキエリアの穴場スポットと言えるトルソ・バレー観光を徹底解説したもの。
以上4つのテーマに分かれているので、実際に旅行を計画する際には参考になるはず。
時が止まったような美しい風景を見つけに行きましょう!
トルソ・バレーハイキングコース詳細
トルソ・バレー観光の基本的な手段は、谷沿いに点在する見どころの数々を徒歩でまわること。
ハイキングコースとは別に、車両通行可能な未舗装道路も走っているのですが、かなりの悪路なのでご注意を。
運転に慣れていない人は車でのアクセスは控えた方が良いと思います。
トルソ・バレーのハイキングコースのポイントが、トルソ・バレーまでのアクセス手段によってハイキングのスタート地点が異なってくる点。
・タクシーでアクセス:石灰棚群/クヴェモ・オクロカナ村スタート
・現地ツアー利用:石灰棚群スタート
・徒歩/ヒッチハイク/マルシュルートカでアクセス:コビスタート
となり、歩く距離がかなり変わってきます。
トルソ・バレーハイキングコース詳細情報
コビ(Kobi)スタート (マルシュルートカ / ヒッチハイク / 徒歩でアクセスする場合)
・距離:片道15km
・所要時間:片道4時間
・高低差:▲280m
クヴェモ・オクロカナ(Kvemo Okrokana)スタート(Mountain Freaks社のミニバス / タクシーでアクセスする場合)
・距離:片道10.0km
・所要時間:片道3時間15分
・高低差:▲220m
石灰棚群スタート (現地ツアー利用 / タクシーでアクセスする場合)
・距離:片道6.0km
・所要時間:片道1時間30分
・高低差:▲130m
旅行者の間で最もポピュラーなのが、クヴェモ・オクロカナ村~ザカゴリ要塞間の片道10kmの区間を往復でハイキングするもの。
歩く距離の合計は20kmほど、所要時間は6~7時間と長めのハイキングとなりますが、高低差はほとんどないため結構簡単に歩けてしまいます。
「合計で20kmも歩けない!」という人は、さらに谷の奥に入った石灰棚群までタクシーでアクセスすることも可能ですし、「移動費にお金をかけたくない!」と言う人は幹線道路沿いのコビから往復30kmの道を歩くことも可能です。
渓谷沿いの小さな村!クヴェモ・オクロカナ
多くの旅行者にとって、トルソ・バレーハイキングコースのスタート地点となるのが、幹線道路から5kmほど西に入ったところにあるクヴェモ・オクロカナ村(Kvemo Okrokana / ქვემო ოქროყანა)。
テレク川の清流に沿ってひらけた小さな村で、数十人の住人が生活している「生きた村」です。
トルソ・バレーへの入口となる村ではあるものの、観光客向けの施設(レストランや商店、ゲストハウス等)は一切ありません。
住民たちがひっそりと生活しているだけの、ジョージア地方部の典型的な村といった雰囲気です。
村には特にこれと言った見どころはないものの、緑あふれる風景の中に数軒の家が建つだけの素朴な風景は、これから始まるハイキングへの期待を高めてくれるはずです。
クヴェモ・オクロカナ村からハイキングコースの入口へと分岐する石灰棚群までは、未舗装道路を4kmほど歩いていきます。
前半は緩やかな上り坂で、後半は緩やかな下り坂となります。
・距離:4.2km
・所要時間:1時間40分
・高低差:▲100m
コース自体は車両も通行可能な砂利道を歩くだけという面白みのないものですが、狭い谷間を流れる渓流の風景は圧巻。
トルソ・バレーに入ってハイキングコースを歩き始めると、視界が一気に広がって全く異なる風景へと変化する点も興味深いです。
ハイキングコースのスタート地点!石灰棚群
ここまでは車両が通れる未舗装道路を歩いてきましたが、それがハイキングコースへと分岐する地点となるのが、こちらの石灰棚群付近。
トルソ・バレーのあちこちで湧き出している鉱泉のミネラル分が、長い年月をかけて固まって形成されたもので、白やオレンジ、赤など様々な色が見られます。
初めて見たときは「すごい!」と感じるものの、実はさらに歩いたところにより見ごたえがある巨大な石灰棚があり、のぶよ的にはそちらの方が感動ものだと思います。
タクシーでアクセスする場合(要事前交渉)や現地ツアーに参加する場合は、この地点からのハイキングスタートとなることが多いです。
石灰棚群付近では、クヴェモ・オクロカナ村から続いた未舗装道路とハイキングコースが分岐する地点があります。
どちらの道を行っても、ゴール地点のザカゴリ要塞へと至るのですが、のぶよ的にはハイキングコースを歩くことを強くおすすめします。
というのも未舗装道路をそのまま進んでしまうと、トルソ・バレーのハイライトの一つであるアバノ湖を見逃してしまうためです。
・距離:600m
・所要時間:10分
・高低差:▲▼20m
分岐点でアバノ湖方面のハイキングコースを進むと、すぐに鉄製の橋に到着するので渡りましょう。
橋を渡った先には、キャンプ場兼カフェのような施設があり、ひと休みしていくことも可能です。
(2020年8月はコロナウイルスの影響か営業していなかったので、あまり期待して行くのもおすすめできません。)
キャンプ場のすぐ裏手には、手作り感満載の階段があるので、そこを上っていきます。
階段を登った先にはハイキングコースがあるので、トルソ・バレーのダイナミックで開放的な風景を眺めながら西へと進んでいきましょう。
次のポイントであるアバノ湖までは10分弱で到着します。
湖底から炭酸が湧き出す神秘的な風景!アバノ湖
トルソ・バレー観光のハイライトの一つが、アバノ湖。
山々の緑を背景に輝く神秘的なブルーの湖水がとても美しいですが、実はただの湖ではありません。
アバノ湖の湖底からは炭酸を含んだ鉱水が湧き出していて、さながら何かの生物が湖の底に潜んでいるかのよう。
ミネラル成分たっぷりの湖水はどこまでも透き通った青色ですが、空気に触れて酸化すると赤褐色に変化するという特性があるようです。
水の温度はかなり冷たく、その味はお決まりの鉄っぽさ。
飲用可能だそうですが、すすんで飲みたくなるような味ではありません。
底が見えない真っ青な湖はまるで異世界への入口のよう。
周囲には人っ子ひとりおらず、ブクブクと炭酸水が湧き出す音だけが響き渡っていて、ちょっと怖いです。
アバノ湖の神秘的な風景を満喫したら、次のポイントとなるケトリシ村まで歩いていきましょう。
アバノ湖~ケトリシ間は、川沿いの平坦な道を歩いていくだけの簡単なコース。
途中にはいくつかの見どころがあるので、体力が許すなら立ち寄ってみることをおすすめします。
・距離:2.5km
・所要時間:45分
・高低差:▲▼57m
途中には大石灰棚を川の対岸に望む地点がありますが、大石灰棚は対岸(車両が通る未舗装道路側)からの方が美しく見えるので、帰り道に観光することをおすすめします。
(ハイキングコースと大石灰岩の間には川があり、橋が架かっていないため渡れません)
アバノ湖から30分ほど歩くと、ケトリシ村の対岸の小高い丘の上に建つ見張り塔へと到着します。
見張り塔付近からは、ケトリシ村の絶景を望むことができます。
ここから丘を下るとケトリシ村のはずれに到着し、車両が通れる未舗装道路に合流します。
大石灰棚
アバノ湖に続いて現実離れした光景が見られるのが、大石灰棚。
鉱泉に含まれるミネラル成分が作り出した風景は圧巻で、山々の緑とのコントラストが印象的です。
こちらも冷たい鉱泉で、その味はアバノ湖よりもさらに鉄っぽさを増した感じ。
とても飲めたものではありませんでした。
大石灰棚はハイキングコースの対岸にあるため、一度ケトリシ村で橋を渡って数百メートル戻らなければなりません。
のぶよ的には、復路でこちら側を歩いて見学していくのがスムーズだと思います。
オセチア人の廃村!ケトリシ村
続いてのポイントが、かつてオセチア人たちが居住していたケトリシ村(Ketrisi / კეტრისი)。
現在では村の大部分は放置され、多くの建物が廃墟と化していますが、夏の間だけこの村に戻ってきて生活する住人もいるそうです。
ケトリシ村の対岸の小高い丘の上には、かつて村の防衛に利用されていた見張り塔とその壁が残っています。
敷地のほとんどは廃墟と化しているものの、中心に建つ塔だけは比較的良い保存状態で残されています。
コーカサスの山々をバックに凛と立つ塔は、とても絵になる風景。
ハイキングコースから若干それて丘を登る必要がありますが、それに見合う絶景に感動することでしょう。
ケトリシ村からアバノ村までは、車両も通る未舗装道路を歩いていくだけ。
少々の高低差はあるものの、簡単に歩けるコースです。
・距離:1.3km
・所要時間:20分
・高低差:▲▼20m
体力があるなら、コース右手の丘の中腹にたたずむ修道院へと立ち寄ってみるのもおすすめ。
現在でも修道僧が暮らす現役の祈りの場として機能しており、人里離れたこの場所で伝統的な生活が行われている様子を眺めることができます。
おとぎ話の世界へようこそ!アバノ村
多くの見どころが点在しているトルソ・バレーですが、のぶよ的に最も心を打たれたのがアバノ村(Abano / აბანო)の風景でした。
数軒の民家が点在しているだけの小さな村は、まるで童話の中に迷い込んでしまったかのような雰囲気。
アバノ村のシンボルが、見張り塔を持つ修道院。
現役で使用されているもので、住民たちの信仰の中心となっています。
アバノ村の住人は皆オセチア人の子孫で、ジョージア人とは異なる言語や伝統文化を持っている人々。
修道院の敷地内にある教会の建築様式一つとっても、ジョージアで一般的なものとは大きく異なるのがすぐに分かります。
トルソ・バレーを取り囲む緑の山々をバックにたたずむ修道院は、絵葉書の風景そのもの。
午前中だったこともあってか、数人の村人が仕事をしている姿を見かけただけで、他に観光客の姿はゼロ。
静寂だけが支配する村は、まるで現世から隔絶されてしまったかのような雰囲気でした。
アバノ村からハイキングのゴール地点となるザカゴリ要塞までは、平坦な道を歩いていくだけ。
丘の上にそびえるかつての要塞の跡がだんだんと目前に迫ってくると、ここまで歩いてきた苦労が報われるような思いに包まれるはずです。
・距離:1.6km
・所要時間:20分
・高低差:▲80m
丘の上から南オセチアを望む!ザカゴリ要塞
今回のトルソ・バレーハイキングコースのゴール地点となるのが、丘の上にたたずむザカゴリ要塞(Zakagori / ზაკაგორი)。
遠くから眺めた風景ももちろん魅力的ですが、要塞からはトルソ・バレーのパノラマを望むことができます。
要塞までの上り坂は、平坦な道が続くトルソ・バレーのハイキングコースの中でも最も急な坂。
最後にもうひと頑張り、登っていきましょう。
要塞からの風景は、息を呑むほどの絶景。
東側には、これまで歩いてきたトルソ・バレーの雄大な風景が広がります。
ザカゴリ要塞の西側には、南オセチア方面の山々が広がります。
ここから南オセチアとの境界線までは10kmもないほど。
南オセチアは現在ロシアが実効支配している地域ということもあり、ジョージア側から南オセチアに入ることは不可能で、簡単に訪れることはできません。
かつては住民たちが自由に行き来していたにも関わらず、勝手に境界線が引かれてしまい、まるで別の国のようになってしまったのです。
かつてはこの地域の防衛の役割を果たしていたザカゴリ要塞は、その存在が忘れ去られたかのように朽ちていくがまま。
再び多くの人々がこの地域を行き来できるようになり、脚光を浴びる日を静かに待っているような気がしました。
トルソ・バレーへのアクセス
カズベキエリアの中でも、まだ多くの人に知られていないトルソ・バレー。
観光開発はほとんどされておらず、各スポットへ向かう公共交通手段は存在しません。
個人で旅行する場合はアクセス方法が限られてしまうのが現状ですが、行けないことはありません。
ここでは、カズベキ中心街からトルソ・バレーへのアクセス方法を解説していきます。
1.タクシーをチャーター
トルソ・バレーへの最もシンプルで快適なアクセス方法が、カズベキ中心街でタクシーをチャーターすること。
ハイキングのスタート地点となるクヴェモ・オクロカナか石灰棚群までの往復 + 待機時間3~6時間ほどで、一台80~100GEL(=¥2744~¥3430)ほどが相場です。
数人で利用して料金をシェアできるならかなりリーズナブルですが、カズベキのタクシードライバーの中には悪徳な人もいる(料金を跳ね上げて請求/待機するようにお願いしたのに勝手に帰ってしまっている)とかなり言われているので、利用時には注意が必要な場合も。
最も安全なのは、宿泊先の人にお願いしてタクシーを手配してもらうことだと思います。
カズベキはとても小さな町なので、悪徳ドライバーの噂は地元の人なら誰もが知っています。
のぶよも「こいつだけはやめておけ!」というドライバーの話をかなり耳にしたのですが、ここで書くと名誉棄損になったら嫌なので(笑)、知りたい人は直接お問い合わせしてください。
トルソ・バレーへのタクシー利用に関して絶対に気をつけたいのが、どのポイントまで乗せてくれるかを事前にしっかり確認して料金を交渉すること。
クヴェモ・オクロカナ村までは基本的に行ってくれるのですが、その先はかなりの悪路のため行きたがらないドライバーも多いそう。
クヴェモ・オクロカナからハイキングをスタートする場合は、往復20km/所要6~7時間と歩く距離が長くなってしまいます。
歩く距離をできるだけ短くしたい場合は、ハイキングコース入口の石灰棚群(往復12km/所要3~4時間)まで乗せて行ってもらうのが理想的ですが、ドライバーは必ず足元を見て料金をつり上げてくることでしょう。
乗車時に「トルソ・バレーまでいくら?」と曖昧に料金交渉をしてしまうと、十中八九クヴェモ・オクロカナで降ろされ、もっと先まで行くように頼むと「ここから先は別料金!」と言ってくるのが定番だそうです。
(まあ距離もありますしかなりの悪路なので、別料金を請求してくるのも分かりますが)
もちろんドライバーにもよりますが、後で嫌な思いをしないためにも「石灰棚群まで乗せてもらうなら別料金がかかる場合がほとんど」と覚えておきましょう。
2:ミニバス利用のツアー形式
ハイシーズンの夏場限定となるのですが、カズベキ中心街にオフィスを構えるMountain Freaksというポーランド人経営の会社が、ジュタ村へ向かうミニバスを1日2往復運行しています。
ミニバスの定員は7名で、完全予約制なのがポイント。
マルシュルートカのように、当日その場に行って乗れるものではなく、いわば「ちょっとした現地ツアー」のような感じです。(ガイド等はなく、あくまでも往復の交通手段のみの提供ですが)
ネット予約等にも対応していないため、現地オフィスに直接出向いての予約となります。
席が空いていれば当日の予約も可能ですが、ハイシーズンにはほぼ満席となってしまっているそうなので、前日までに予約しておくことを強くおすすめします。
反対に、3名以上の予約がない場合はミニバスの運行はされない点にもご注意を。
個人でカズベキ近郊エリアをまわりたい場合は、この会社以外に同じようなミニバスサービスを提供している会社はありません。
のぶよ的にはかなりおすすめの交通手段なのですが、デメリットを挙げるとすればミニバスは石灰棚群までは乗り入れない点。
クヴェモ・オクロカナ村で乗客を降ろすので、往復20km/6~7時間のロングハイキングという選択肢しかありません。
どうしても歩く距離を短くしたいなら、上で紹介したタクシーの利用か、次に紹介する現地ツアーの利用が良いと思います。
3.現地ツアーに参加
タクシーの料金交渉をしたり、前日までにカズベキ入りしてMountain Freaks社のミニバスを予約したりするのが難しい場合は、現地ツアーに参加してしまうのも一つの手です。
トルソ・バレーを観光するツアーには、トビリシ発とカズベキ中心街発の2種類があり、トビリシから日帰りでハイキングを目的にやってくる観光客も多いです。
現地ツアーの場合、多くは石灰棚群までミニバスで乗り入れてのハイキング開始となるので、往復12km/所要時間3~4時間のお手軽なハイキングとなるのは多きなメリット。
あまり歩くのが得意でない人にはおすすめです。
トルソ・バレーはまだまだメジャーとは言えない穴場感たっぷりな場所。
カズベキからの現地ツアーは結構ありますが、トビリシ発着のものは取り扱いが少なく見つけにくいかもしれません。
4.徒歩&ヒッチハイク
できるだけ出費を抑えてトルソ・バレーへと行きたい人におすすめなのが、徒歩/ヒッチハイクを組み合わせてのアクセス。
歩く距離はかなり長くなりますが、ほとんどお金を使うことなく観光できるのは大きなメリットでしょう。
カズベキ中心街~トルソ・バレーへの分岐点となるコビ村(Kobi / კობი)までは交通量の多いジョージア軍用道路沿いに17kmもの距離があるため、この区間を歩くのは現実的ではありません。
しかしながら、交通量が多い=乗せてくれる車に出会う確率も多いということ。
思っているより簡単に、カズベキ~コビ間を移動する車に乗せてもらうことができます。
裏技としては、1時間に1本走っているカズベキ~トビリシ間を走るマルシュルートカ(ミニバス)に乗せてもらってコビ村で途中下車するというものもあります。
この区間を走るマルシュルートカは全てコビ村を通過するので、空席さえあれば乗せてもらえる可能性が高いはず。
しかしながら、カズベキを拠点とするマルシュルートカの運転手たちは、地元のタクシードライバーと繋がっている場合がほとんどなので、「コビまで乗せてって!」と大っぴらに頼むとまず渋られます。
英語しか話せない=観光客とみなされ、「タクシーで行け!」と言われてしまうことが多いそう。
ポイントは、ロシア語かジョージア語でひっそりとお願いしてみること。
言葉が通じるだけで、あら不思議。
暇そうなタクシーの運転手たちに見えないように「乗りな」と言ってくれる可能性がかなり大きいです。
運転手によって無料で乗せてくれる人もいれば、5GEL(=¥170)くらいを要求してくる人もいますが、わざわざ乗せてくれるのですから少々お金を渡すのは当然だと思います。
コビ~カズベキの帰りのマルシュルートカ
トルソ・バレーを観光し終えてコビからカズベキに戻る際は、ヒッチハイクかトビリシ~カズベキ間のマルシュルートカに途中乗車することになります。
1時間に1本走っているマルシュルートカですが、のぶよ的にはあまり当てにし過ぎない方が良いと思います。
というのも、トビリシ~カズベキのマルシュルートカは混雑していることが多く、空席がない場合も多いため。(特に夏場のハイシーズン)
途中乗車してくる地元の人達は、運転手の携帯に電話をかけて自分が住む村に停車してもらっていたのですが、ただの旅行者にそんなことはできるわけもありません。
また、空席があってもコビで停車してくれるかどうかは運転手次第。
先述の通りタクシーの運転手との関係もあるので、「観光客はお金を払ってタクシーを使え!」という考えの人も多いそうです。
のぶよ的にはコビのバス停付近でヒッチハイクをしてカズベキまで戻るのが最もシンプルだと思います。(必ず誰かしら停まってくれます)
ヒッチハイク/マルシュルートカでコビまでやってきたら、あとはトルソ・バレーの奥へと歩いていくだけ。
クヴェモ・オクロカナ村までは平坦な未舗装道路を1時間ほど歩いていくだけです。
・距離:4.5km
・所要時間:1時間
・高低差:▲86m
この区間はいくつか工場が点在しているだけで、お世辞にも歩いていて楽しい道ではありません。
交通量はかなり少ないですが、可能であればヒッチハイクなどで移動してスキップしてしまうのが、体力的にも時間的にもおすすめです。
トルソ・バレー観光時の注意点・アドバイス
あまり日本語での情報がないトルソ・バレー。
ハイキングコース自体は距離こそ長いものの難易度は低めで、健脚なら誰でも歩けるレベルのものです。
観光地として開発が進んでいるわけではないトルソ・バレーを訪れる際には準備が必要なのはもちろん、その独特の地理的特性にも注意が必要です。
ここではトルソ・バレー観光の際に気をつけることやアドバイスを解説していきます。
食料・飲料水は持参する
トルソ・バレーには、ハイキングコースのスタート地点にあたるキャンプ場( 石灰棚群から橋を渡った )以外に食事や買い物をできる場所は一切ありません。
そのキャンプ場も2020年現在閉鎖されている状態なので、食料の準備をして行くことが必須となります。
飲料水を補充できるところはクヴェモ・オクロカナ村に一か所のみありましたが、そのほかの村では見かけませんでした。
(飲用OKの鉱泉はどこにでもありますが、飲料水としては微妙です)
長い距離を歩くことになるので、最低でも一人2リットルの飲料水を持参することを強くおすすめします。
パスポートは必ず携帯する
カズベキ周辺エリアの観光ではどこもそうなのですが、ロシアとの国境にかなり近いという地理的条件のため、ジョージア側の警察がかなりの頻度でパトロールしています。
人によっては旅行者をみかけるとパスポートの提示を求めてくることもあるので、余計なトラブルを避けるためにもパスポートは絶対に持参しましょう。
トルソ・バレーの場合はさらに状況が複雑で、ロシアによる「占領地域」という認識の南オセチアとの境界線に近づくため、検問などが行われている可能性も大きいです。
2020年8月現在、ザカゴリ要塞までは特別な許可証なしで訪れることが可能ですが、そこから先へ行くためには許可証の発行が必要となり、無断で立ち入ることはできないのでご注意を。
カズベキの地元の人によると、「南オセチア側が年々ジョージアの領土側に進出してきている」とのことで、将来的にはザカゴリ要塞までのアクセスができなくなってしまう可能性もあります。
カズベキなどでの滞在先の人に、最新の情報を尋ねることをお忘れなく。
牧羊犬に要注意
トルソ・バレーで最も注意が必要&悪名高いのが、攻撃的な牧羊犬。
そこら中で牛や羊などの放牧がおこなわれているトルソ・バレーでは、そののんびりとした風景も魅力の一つなのですが、羊の群れを見かけた場合には近づかない方がよいでしょう。
人口密度が極端に少ないトルソ・バレーでは、羊を守るように教育された牧羊犬が利用されており、むやみに近づこうとする人間を敵とみなして攻撃するように教育されているそうです。
遠くから羊の群れを眺めている分には問題ないと思いますが、近づいて写真を撮ろうなんてしようものならものすごい勢いで走ってきて、吠えながら威嚇してくるでしょう。
残念なことに、牧羊犬に関する知識のない観光客が襲われるという事故もゼロではないそう。
相手は動物なのでどうしようもない部分はありますが、こちらから何か攻撃されるに値することをしない限りは、襲い掛かって来られることは少ないと思います。
(吠えられはするでしょうが)
宿泊はカズベキが便利
トルソ・バレー内には宿泊施設の類は一切ありません。
(先述の閉鎖されていたキャンプ場を別として)
ジョージア軍用道路からトルソ・バレー方面への道が分岐するコビの村に一軒のゲストハウスがありますが、トルソ・バレー自体からはやや距離があるため拠点とするには微妙かもしれません。
のぶよ的には、宿泊施設などの選択肢が豊富なカズベキ中心街に滞在しながら、Mountain Freaks社のミニバスを利用した日帰りデイトリップでトルソ・バレーを訪れるのが理想的だと思います。
ハイキングの距離は長いものの、6~7時間で十分往復できるレベルのコース。
わざわざ何もないコビの村に宿泊して観光するよりも、効率的だと思います。
カズベキ観光の拠点として最もポピュラーなのが、各種交通機関が到着するカズベキ(ステパンツミンダ)の町。 スーパー、ATM、現地ツアー会社など、観光に必要な施設は一通りそろっています。
夏場のハイシーズン(6月~9月)はかなり多くの観光客が訪れるため、良い条件の宿は満室になってしまいがち。できるだけ早めの予約がおすすめです!
おわりに
カズベキ周辺エリアの中でも秘境感がかなり強いトルソ・バレーの観光・ハイキング情報を徹底解説してきました。
日本人でここまでやってくる人はかなり少ないと思いますが、正直に言いますね。
絶対に行った方が良いです。
大自然が作り出した美しい風景の数々と、人間が作り出した美しい建造物の数々が絶妙のバランスで調和しているトルソ・バレーは、ジョージア国内全体を見てもトップレベルの魅力を持つ場所。
有名どころではない美しい風景の中を歩きたいアクティブ派の人に、ぜひおすすめしたいとっておきのスポットです。
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