こんにちは!ジョージア滞在もまもなく2年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアが誇る首都・トビリシ。
この町が1600年前に首都として定められたのには、ある理由があります。
それは、太古の昔からこの地にこんこんと湧き出ていた温泉の存在。
硫黄の匂いがぷーんと香り、湯気を立てて地中から湧き出す温泉は、大地の恵みそのもの。
「万病に効く」と信じられ、1600年の歴史の中で歴代の国王たちにも愛されてきました。
現在のトビリシにも温泉はちゃんと湧き続けており、共同浴場もちらほら。
もともと各家庭に電気やガスが引かれていなかったトビリシでは、温泉浴場が地元の人々が体を清める場所&社交場としての機能を備えていました。
そんな温泉は、もちろん旅行者にも大人気。
「コーカサスの古都での温泉体験」は、トビリシ観光の定番のアクティビティーの一つとして定着しています。
インフラが整備されてきたこと&多くの旅行者は個室で温泉を楽しむプライベート浴場を好むことから、昔ながらの公衆浴場はかなり減ってきているのが現状。
とはいえ、まだまだ現役の公衆浴場も残っており、地元の人が多く集まるローカルな雰囲気が魅力的です。
今回の記事は、トビリシに現役で残る3ヶ所の温泉公衆浴場の訪問レポート。
泉質や浴場の雰囲気が大きく異なり、三者三様の魅力があります。
トビリシ旅行や滞在を考えている人には、一度は挑戦してみることをおすすめします!
当記事内で紹介している3ヶ所の浴場は、いずれもローカル感ただよう公衆浴場です。
個室でゆっくりしたい人や予算が潤沢な人、清潔さに敏感な人は、プライベート浴場専門の施設に訪問するのが良いかも。
・オルベリアニ・バス (Google Map)
・グロ・ターマルスパ (Google Map)
・キエフ温泉 (Google Map)
トビリシの温泉浴場①:No.5
トビリシに来て初めての温泉体験となったのが、「温泉街」として知られるアバノトゥバニ地区の入口に建つNo.5という公衆浴場。
トビリシ最安値で温泉体験ができると有名で、旅行者の間でも言わずと知れた存在です。
・湯温:39℃くらい
・硫黄臭:強め
・清潔さ:★★☆☆☆
・ローカル感:★★★★☆
・内装/雰囲気:★★☆☆☆
知名度は抜群のNo.5浴場は、外国人旅行者の利用も多め。
とはいえ、大半の利用者は地元の人たちばかりなので、観光地化されたような感じはありません。
施設内に一歩足を踏み入れると、温泉特有のあの匂いが充満していることに気が付きます。
不愛想な受付で料金を支払い(英語は全く通じず)、謎の紙の切れ端を受け取って、階段を下った先にあるロッカールームへ。
謎の紙は、ロッカー室で待機している鍵の番人のおじさんに渡す仕組みで、整理券のような役割だったようです。
トビリシの公衆浴場の伝統よろしく、周囲はみんな全裸。
利用者の年齢層はやや高めで、かなり混み合っています。
浴場は驚くほどに小さく、中心に温泉が引かれたシャワー、奥に10人入るのがやっとな大きさの温泉浴槽、6畳ほどの小さなサウナがあるだけ。
装飾などもいっさい施されておらず、窓もないため、やや圧迫感があるように思いました。
そんな小さな空間に30人近い人(しかも皆ガタイが良くて毛むくじゃらで、なんだか居心地が悪かった)がギュウギュウ詰めになっているので、正直リラックスできる雰囲気ではありません(笑)
外国人だからと言って特別ジロジロ見られる等はありませんでしたが、こじんまりとしたサウナではやはり話しかけられて質問攻めに。
例のごとく英語はいっさい通じないのでコミュニケーションにはかなり苦労しますが、そこは裸の付き合い。なんとなく話が通じ合っているような気がするのは温泉が持つパワーなのかもしれません。
お湯はTHE・適温といった感じで、黄色みがかかり少々濁った感じ(垢ではないよな…?)。
硫黄臭も強めで、「ああ今温泉に入ってるんだ…!」と実感します。
のぶよ的には清潔さも問題なく、むしろ想像していた以上に綺麗。(覚悟して訪れたからかも)
温泉の成分のせいで浴槽や床がぬめぬめしているのは仕方ないとして、結構ちゃんと掃除されている印象でした。
初・コーカサスの温泉体験は、かなり満足のいくものでした。
泉質も湯ざわりも香りも、日本の温泉を思い出すような感じ。
温泉の蒸気に満ちた小さな浴場は、狭苦しいながらも昔ながらの庶民的な雰囲気で◎
リラックスしに行くというよりも、トビリシの温泉を体験できる一種のアクティビティーと捉えての訪問がおすすめの施設です。
湯上がり後の散策:アバノトゥバニ地区
No.5浴場の温泉を満喫した後は、温泉街・アバノトゥバニ地区をぶらぶらと散策するのもおすすめ。
ペルシア風のレンガ造りの浴場が川沿いに建ち並ぶ風景はとても美しく、風情が感じられます。
アバノトゥバニ地区の奥には400mほどの遊歩道が整備されており、首都のど真ん中とは思えない美しい渓谷の風景が広がります。
渓谷の最奥部にはレグヴタヘヴィ滝(Leghvtakhevi /ლეღვთახევის ჩანჩქერი)が流れ落ちており、こちらも人気のスポット。
温泉で火照った体をクールダウンさせるにはもってこいの散策です!
トビリシの温泉浴場②:Lisi Abano
温泉街として知られるアバノトゥバニ地区ではなく、トビリシの他のエリアにも温泉施設はあります。
トビリシ中心街の北西部に位置するリシ湖の畔にあるLisi Abanoは、伝統的なトビリシの温泉のスタイルとは少々異なった雰囲気の浴場。
プライベート浴場と公衆浴場のどちらもあり、好みのスタイルで利用できるのがメリットです。
・湯温:40℃くらい
・硫黄臭:弱め
・清潔さ:★★★★☆
・ローカル感:★★★☆☆
・内装/雰囲気:★★★☆☆
モダンなデザインの建物に一歩入ると、どことなく北欧チックな内装にびっくり。
トビリシの温泉施設とは思えないような、洗練された雰囲気です。
受付部分には数台のソファーが置かれ、温泉利用客が自由に休んでいける空間となっています。
トビリシの一般的な公衆浴場では、こうした空間が設置されていることはまずなく、浴場とロッカールームしかないのが普通。そのため、一目見て感動を覚えました。
休憩エリアにはバーカウンターが併設されており、チャイ(紅茶)やコーヒー、アルコール類を提供しているのも特徴的。湯上がりの一杯だってできます!
日本のスーパー銭湯に近い空間の使い方に感動しながら、受付で料金を支払います。
すると、手渡されたのが南京錠 ▼
トビリシではロッカールームに鍵の番人のおじさんがいて、利用客のロッカーの開け閉めを一括で担っているのが普通。
そのため、利用客はロッカーの鍵を自分で管理することはありません。
いっぽうのLisi Abanoでは、日本の公衆浴場に近いものがあり、自分で鍵を管理するタイプ。
ただの南京錠ではあるものの、利用者的には安心なシステムだと思います。
浴場部分にアクセスしてみると、意外にも広くてびっくり。
巨大な浴槽がある部屋を中心に、広々としたサウナと水風呂エリア、シャワールームと3部屋に分かれています。
浴槽は小さなモザイクタイルがびっしりと敷き詰められた美しいデザインで、こちらにもこだわりが見られます。清掃も行き届いており、公衆浴場とは思えないほどに綺麗。
お湯は無色透明で、硫黄臭はほのかに香る程度。さらりとした湯ざわりです。
「温泉らしさ」という点では少々劣るものの、お湯がけっこう熱めなのは、日本人的には嬉しいポイントかもしれません。
湯舟はかなり広々としていて、10m四方はありそう。(「トドみたいなおじさんが潜水したり泳いだりしていたくらいの広さ」と言えば伝わりやすいでしょうか…)
浴場に窓はありませんが、人が少なかったこともあってとても開放的に感じました。
のぶよ的にLisi Abanoで気にいったのがサウナ。
本記事内で紹介している公衆浴場の中ではダントツの広さのサウナは、清潔感もバッチリ。
まるでフィンランドあたりに来たかのような雰囲気で、とても良かったです。
総合的にかなり満足度が高かったLisi Abano。
ディープなローカル感こそ薄めですが、癒されに行く目的ならおすすめです。
トビリシ中心街からはやや距離があるものの、路線バスを利用すれば問題なし。
若い人が一人で訪れても気兼ねなく利用できる雰囲気ですし、清潔さに厳しい人が多い日本人には向いているかもしれません。
湯上がり後の散策:リシ湖
Lisi Abanoで存分にリラックスした後は、目と鼻の先にあるリシ湖へとぜひ足をのばしましょう。
春から秋にかけての週末にはトビリシから多くの家族連れが訪れるリシ湖。
夏季はレストランや屋台などがオープンし、とても楽しい雰囲気となります。
リシ湖の周囲には一周5kmほどの散策コースが整備されており、湯上がりにのんびりと歩くのもおすすめ。
トビリシ中心街を出てすぐの場所にあるとは思えない自然風景…温泉体験と合わせて最高の休日の過ごし方となるはずです!
トビリシの温泉浴場③:Queen’s Bath
トビリシの公衆浴場ラスト1軒が、アバノトゥバニ地区の中心からややはずれた場所にあるQueen’s Bath。
少々わかりにくい場所にあるためか、訪れる旅行者は少なめ。
利用客はほぼ100%が地元民という、底無しのローカル感が最大の魅力です。
・湯温:37℃くらい
・硫黄臭:やや強め
・清潔さ:★★★☆☆
・ローカル感:★★★★★
・内装/雰囲気:★★★★☆
看板すらでていない建物は今にも崩れ落ちそうで、まるでお化け屋敷そのもの。
良いぞ…この場末感こそがトビリシの真髄…!
暇そうに煙草を吸っていたおばちゃんたち(たぶん清掃の人)に促され、お化け屋敷の入口を入るとびっくり。
色とりどりのタイルアートで通路が飾られていたのですから ▼
「内装をこんなに綺麗にできるんだから、外観をもっとどうにかすれば人が来るのでは…?」と思わずにはいられないこのギャップ…トビリシの人々の美学に関しての謎が深まります。
料金を払うと、なぜかベッドシーツを手渡されます(無料)。
「パラツィンツェ!(ロシア語で「タオル」)」とのことですが、どう考えてもただのシーツなのですが…
色々と深まる謎を噛みしめながらロッカールームに入ると、鍵の番人のおじさんが暇そうに煙草を吸っているお決まりの光景が。
Queen’s Bathにおいても、ロッカーキーは利用客が管理するシステムではなく、おじさんが一括管理しているようです。
驚いたのが、ロッカールームの天井部分にも美しいモザイクタイルが施されていたこと。
エキゾチックな雰囲気を演出していて、すごく好みでした。
浴場部分に足を踏み入れると、その広さと雰囲気にびっくり。
湯舟は10人ほどが入れるくらいの小さなものですが、それ以外の空間がなぜかやたらと広いのです。
ドーム型の屋根には天窓が設置されており、温泉の湯気が充満する浴場に太陽光が差し込む光景はとても幻想的。
屋根を支える柱も年季が入ったもので、至る所にカラフルなモザイクタイルも健在です。
総合的に、「ペルシアの宮殿」を思い浮かべるようなエキゾチックな雰囲気でした。(だからこそ外観をちゃんとすれば良いのに…)
肝心の温泉は、硫黄臭がしっかりと感じられるぬめっと系の湯ざわり。
お湯の温度はやや低めに感じましたが、個人的にはこれくらいの温度がのぼせないのでちょうど良いかも。
面白いのが、湯舟のすぐ横にマッサージ/垢すりコーナーがあり、施術の様子が丸見えだったこと。
トドみたいな全裸のおじさんが全身に泡をまとい、これまたトドみたいな半裸のおじさんにゴシゴシされているのですから…誰得?といった光景が繰り広げられています(笑)
浴場の奥にはデッキチェアが数脚ある休憩エリアと、6畳ほどの小さなサウナが。
ここにもトドみたいなおじさんが数人おり、熱された石の部分にペットボトルから謎の液体を撒いてハーブ臭たっぷりな蒸気を発生させ、満面の笑顔でタオルをブンブン振り回して自家製ロウリュウをしていました(笑)
トドによる自家製ロウリュウのあまりの灼熱さに耐え兼ねて水風呂に飛び込むと、それは冷水ではなく、温泉水を冷ましたもの。絶妙なぬるさでしたが、これはこれで好きかも。
平日の午後2時過ぎの訪問でしたが、利用客は10人いるかいないかといった程度。
浴場はかなり広々としていて天井も高いため、開放的な雰囲気の中でリラックスできました。
「ディープなローカル感を味わいながらリラックスもできる」という意味では、トビリシの公衆浴場の良いとこどりの施設かも。のぶよ的にはけっこうお気に入りです!
湯上がり後の散策:トビリシ植物園
Queen’s Bathで温泉を満喫した後の湯冷ましは、アバノトゥバニ地区の散策が定番。
もし時間があるなら、アバノトゥバニ地区の奥に広がるトビリシ植物園を散策するのもおすすめです。
やや起伏がある地形に広がるトビリシ植物園は、四季折々の自然の美しさはもちろん、絶景ポイントの宝庫としても有名。
敷地の一角にはミニ日本庭園まであり、温泉体験と合わせて日本に旅しているかのような気分になるかも!(ならんか)
知っておきたい!トビリシの温泉のシステム&注意点
①トビリシの温泉浴場の料金体系
プライベート浴場の価格帯
プライベート浴場の値段はピンキリですが、最も安いところでも1部屋30GEL(=¥1200)~。
一般的な価格帯は50GEL~100GEL(=¥2000~¥4000)の間で、料金によって浴場の広さや設備が異なります。
いずれも部屋ごとの料金なので、複数人で訪れる場合は割り勘できるので◎
また、カップルや家族で利用する場合は、男女関係なく一緒に利用可能なプライベート浴場一択になるでしょう。
公衆浴場の価格は男女で異なる
今回紹介している公衆浴場がある温泉施設では、男性と女性で料金が変わってくる点も独特。
女性用の浴場は男性用のものよりも狭く、サウナ等の設備がない場合が多いため、男性の料金より割安となっていることがほとんどです。
②タオル/石鹸等は有料
日本の温泉施設だと、タオルが無料でついて来たり、浴場にシャンプーなどが設置されていたりと至れり尽くせりなもの。
いっぽうのトビリシの温泉浴場には、そんなサービスはいっさいありません。
・バスタオル:2GEL~3GEL(=¥80~¥120)
・石鹸:1GEL(=¥40)
手ぶらで利用したいならレンタルするのもアリですが、節約したい場合は持参するのが良いでしょう。
③水着着用不可の場合が多い
個室のプライベート浴場では水着を着ようと全裸だろうと自由ですが、公衆浴場では水着の着用が不可とされていることが多いです。
日本人的には「それが普通では?」と感じるかもしれませんが、欧米圏からの旅行者は人々が全裸で温泉に入っている光景に驚くのだとか。(そして抵抗がある人も多い)
Lisi Abanoだけは例外で、浴場での水着着用はOK。
もし異国の地で一糸まとわぬ状態での温泉利用に気が引ける場合は、こちらを利用するのが良いかもしれません。
④マッサージ/キシ等は事前に申し込む
トビリシの公衆浴場では、マッサージやキシ(垢すり)のオプションを利用できる施設もあります。
これらを利用したい場合は、入館時に受付の人に事前に伝えて料金を払っておくシステム。
料金は施設によって異なりますが、いずれも10GEL~20GEL(=¥400~¥800)ほどが相場です。
注意したいのが、公衆浴場のマッサージ師は男性である場合が圧倒的に多い点。
向こうもプロなので、利用者が女性だからといって何かしてくる可能性は低いですが、半裸の毛むくじゃら中年男性に体を触られることに抵抗がある女性も多いと思います。
女性マッサージ師によるサービスを希望する場合は、プライベート浴場を利用して受付でその旨を伝えるのがベストです。
⑤貴重品は持って行かない
トビリシの公衆浴場のロッカー室は、日本の温泉施設のように自分専用のロッカーキーをもらって鍵を開け閉めするスタイルではありません。
鍵の番人のようなおじさんが常に待機していて、自分のロッカー番号を告げていちいち鍵を開け閉めしてもらうのです。
しかも、この鍵はロッカーごとに別々というわけではなく、すべてのロッカーを一つの鍵で開け閉めできるというマスターキーのようなもの。(鍵の意味とは…?)
つまり、自分以外の利用者が鍵の番人を騙せば、簡単にロッカーの鍵が開けられてしまうのです。
というわけで、財布などの貴重品は持って行かないのがベスト。
鍵の番人もプロなので目を光らせてはいるでしょうが、盗難等が絶対にないわけではありません。
⑥ロッカー係にはチップを
トビリシの公衆浴場の習慣で覚えておきたいのが、退館時に鍵の番人のおじさんに1GEL(=¥40)のチップを渡すこと。
「チップ」というか、そういうシステムであってほぼ義務のようなもの。
地元の人たちもみんな必ず渡していますし、郷に入りては郷に従うべきです。
マッサージやキシなどを受けた場合も、退館時にマッサージ師にチップを渡すのが一般的。(人によっては向こうから要求してくる場合もある)
マッサージ料金の1割~2割ほど(料金が10GELなら1GEL~2GEL)でOKです。
おわりに
トビリシ市内に残る3ヶ所の公衆浴場と、利用時のアドバイスを紹介しました。
どの施設も異なる魅力があるので、できれば全部ぐるっと湯めぐりするのも良いかもしれません。
プライベート浴場ものんびりできて良いのですが、昔ながらの公衆浴場に息づく人情やディープな雰囲気も、トビリシという町の魅力を構成する要素の一つ。
地元の人々に交じっての温泉体験は、きっと旅の良い思い出となるはずです!
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