こんにちは!3ヶ月のトルコ滞在も終盤、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アナトリア半島の真ん中に位置するシヴァス(Sivas)は、古くから交通の要所として栄えた町。
セルジューク朝による支配やモンゴル軍による侵略など、中央アジアからもたらされた文化が花開いた場所です。
その栄光の歴史は、中心街に点在するモスクやマドラサ(イスラム教の学院)に象徴されており、古くから学問の中心として重要な役割を果たしてきた町の歴史を感じることができます。
観光スポットはさほど多くなく、半日あれば十分楽しめるシヴァス観光。
今回の記事では、市内の見どころや名物グルメが食べられるおすすめレストラン、市内交通など、シヴァス観光に必要な情報を解説しています。
シヴァスの観光スポット
シヴァスの見どころの多くは、中心街西側に位置するヒュキュメット広場(Hükümet Meydanı)周辺に集中しています。
半径500m以内に全ての見どころがあるので、簡単にまわることができるのがポイントです。
シファイイェ・マドラサ
ヒュキュメット広場で最大の建造物が、シファイイェ・マドラサ(Şifaiye Medresesi,)。
1218年のセルジューク朝支配時代に医学学校として建造されたもので、かつてはアナトリア最大の病院としても利用されていました。
入口のファサードの精巧な装飾は、セルジューク朝ならではのもの。
一方の内部は意外とこぢんまりとした印象です。
シファイイェ・マドラサで見逃してはいけないのが、敷地内にあるイッゼッティン・ケイカヴス1世の霊廟(I. İzzettin Keykavus Türbesi)。
セルジューク朝時代のスルタンであった彼は、生前に自分の霊廟を作ることを命令しました。
茶色をベースに美しい青色の装飾が光る霊廟入口の壁の模様には、スルタン自らが書いた詩がアラビア語で記されています。
チフテ・ミナーレ・マドラサ
シファイイェ・マドラサと対になるように建つのが、チフテ・ミナーレ・マドラサ(Çifte Minareli Medrese)。
「双子の尖塔のマドラサ」の名の通り、正面ファサード上部に立派なミナレット(尖塔)が立っています。
1271年建造の神学校だったこの建物は、セルジューク朝から分岐したダニシュメンド朝によって建設されたもの。
ダニシュメンド朝とは、1092年にセルジューク朝のスルタンが死亡した後の後継者争いによって生まれた独立政権で、シヴァスを首都として権力を争った一派のことを指します。
キョセダーの戦いでセルジューク朝を打ち破ったダニシュメンド朝は、その勝利を記念して、あえてセルジューク朝のマドラサであったシファイイェ・マドラサの目の前に自分たちのマドラサを作ったのです。
↑ライバル感むきだしの二つの建物
現在では正面のファサードしか残っていないものの、その美しい装飾と屈強な造りには感嘆させられます。
ビュリュジイェ・マドラサ
ヒュキュメット広場に建つもう一つのマドラサが、ビュリュジイェ・マドラサ(Buruciye Madrasah)。
1271年にペルシア人のムザファー・ビュリュジェルディによって、実証的科学を教える学校として建設されたものです。
正面ファサードの装飾の美しさは他のマドラサにも劣っておらず、大変美しいもの。
歴史を感じさせる中庭にはカフェがあり、かつての栄光の時代に思いを馳せながら休憩することができます。
カレ・ジャーミィ
ヒュキュメット広場の三つのマドラサを見渡すように建つのが、カレ・ジャーミィ(Kale Cami)。
他の建造物より後のオスマン帝国時代に築かれたもので、入口に描かれたアラビア語の紋章と内部の神聖な雰囲気は必見です。
シヴァスのアタテュルク議会
セルジューク朝時代の壮大な建造物が建ち並ぶヒュキュメット広場に面して建つのが、シヴァスのアタテュルク議会(Sivas Atatürk ve Kongre Müzesi)と呼ばれる建物。
1919年、第一次世界大戦のオスマン帝国の敗戦を期に、トルコ西部へ侵攻したギリシャ軍に対して立ち上がったのが、ケマル・アタテュルク率いる国民軍でした。
彼は、ギリシャに侵攻された領土を取り返すための「祖国解放戦争(トルコ独立戦争)」を掲げ、見事ギリシャ軍を撃退することに成功するのです。
ここシヴァスのアタテュルク議会は、アタテュルクが戦争開始のための会議を行った重要な場所の一つです。
タシュ・ハン
かつての隊商宿だったタシュ・ハン(Taşhan)は、シヴァスの栄光の歴史を現在に伝える存在。
現在でも数軒のお店が営業しており、チャイ(紅茶)を飲めるカフェもあるので、歴史ある町の雰囲気を楽しみながら休憩するにはぴったりの場所です。
ウル・ジャーミィ
中心街南側に立つのが、アナトリアで最も古いモスクの一つであるウル・ジャーミィ(Ulu Cami)。
セルジューク朝時代の1197年の建造で、先述のオスマン帝国様式のカレ・ジャーミィとは全く異なった外観であることがわかります。
モスク内部は、薄暗い空間の中に自然光が差し込む幻想的な雰囲気。
熱心に祈りを捧げる人々の姿が見られます。
ギョク・マドラサ
多くのマドラサが点在するシヴァスで最も美しいと言われるのが、ウル・ジャーミィの南400mほどの場所にあるギョク・マドラサ(Gök Medrese)。
1271年建造の神学校は、「空のマドラサ」という名前が表す通りのスカイブルーの正面ファサードが特徴的です。
残念ながら、2020年現在敷地内は大規模工事中で立ち入りはできないものの、その美しい外観だけでも見に行く価値がると思います。
シヴァスの名物グルメを味わえるおすすめレストラン
各地にご当地グルメがあるトルコ。
ここ、シヴァスも例外ではありません。
シヴァスの名物として挙げられるのが、シヴァス・キョフテ(Sivas Köftesi)。
キョフテとはトルコ全土でポピュラーなミートボールのことですが、ここシヴァスのキョフテは少々独特。
平べったい円形に丸められた牛ひき肉は、まるでミニハンバーグのようです。
グリルしたてで提供してくれるので、一口噛むと肉汁がジュワっと染み出してきて、それはもう絶品。
特性のチリソースをつけながら食べるのもシヴァス・キョフテの特徴なのですが、このソースが神がかった美味しさでした。
チリソースなのでピリ辛ではあるものの、トマトや玉ねぎ、ハーブを効かせた奥深い味わいで、キョフテとの相性はとにかく抜群です。
のぶよが利用したのが、シヴァス中心街にあるSivas Özen Kebapというレストラン。
開放的で明るい店内はとても清潔で、なんだかちょっと高そうな雰囲気もしますが、実際は超リーズナブルです。
シヴァス・キョフテとスープ、サラダとパンに食後のチャイ(紅茶)までついて23TL(=¥428)という驚異のコストパフォーマンスでした。
のぶよが訪れた日のスープは、これまたシヴァス名物のペスクタン・チョルバス(Peskütan Çorbası)というもの。
ペスクタンとは、シヴァス周辺地域で作られるヨーグルトと小麦粉を煮込んだもので、厳しい冬の保存食として重宝されています。
ヨーグルトの酸味は程よい程度で、シチューのようなコクがある絶品でした。
体が温まるのは言うまでもありません。
Sivas Özen Kebapではシヴァス・キョフテ以外にも定番の肉料理も揃っており、いずれもリーズナブル。観光途中に是非訪れてみてはいかがでしょうか。
インフォメーション
Sivas Özen Kebap
営業時間:全日9:00~21:00
予算:25TL~(=¥463)
シヴァスの市内交通&トルコ東部への鉄道
トルコの典型的な地方都市と言った雰囲気と大きさのシヴァスは。
市内交通は路線バスのみとなります。
他都市とを結ぶ長距離バスが発着するオトガル(バスターミナル)と鉄道駅は、それぞれ中心街から1.5kmほどの場所に位置しており、いずれも歩けない距離ではありません。
シヴァス観光地図
黄色:オトガル/鉄道駅
灰色:中心街~オトガル/鉄道駅間路線バス乗り場
赤:おすすめレストラン
青:見どころ
シヴァスのオトガル(バスターミナル)
オトガルから中心街までの路線バスは、オトガルの敷地内を出たところにあるバス停に停車します。
↑オトガル近くの中心街行きのバス停
複数の路線が走っているものの、いずれの路線もオトガルから中心街を経由してそれぞれの行き先へと向かうので、ここに停車するバスのどれに乗っても問題ありません。
鉄道駅から中心街への路線は決まっており、1-A,、1-B,、1-D,、2-A、2-Bのバスがそれにあたります。
中心街~オトガル/鉄道駅間路線バス
所要時間:15分
料金:3.25TL(=¥60)
ドウ・エキスプレス急行が停車するシヴァスの鉄道駅
シヴァスはアナトリア半島の東西を結ぶ鉄道網の拠点となる町。
首都のアンカラからトルコ東部へ向かうドウ・エキスプレス(Doğu Ekspresi)が停車することでも有名です。
ロマンあふれる鉄道の旅。
トルコ人にも大人気で常に予約でいっぱいの状態なので、乗車する場合は早めの予約が鉄則です。
また、シヴァスの南にあるディヴリー(Divriği)へのローカル鉄道が発着しているのもポイント。
ディヴリーには、世界遺産に登録されているセルジューク朝時代のモスクと病院跡があり、建物に付けられた四つの扉の装飾の美しさで有名です。
シヴァス~ディブリー間は、先述のドウ・エキスプレスが1日1本、ローカル線が一日2往復しています。
シヴァス~ディブリー間鉄道
所要時間:2時間半
料金:19TL(=¥353)~
シヴァスに宿泊するなら、断然中心街のホテルがおすすめ。観光スポットへは徒歩圏内で、多くのレストランが点在しているので、快適な滞在が送れます。
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おわりに
700年前に栄えた学問の町の雰囲気が残るシヴァス。
その見どころや名物グルメ、市内交通情報を解説しました。
シヴァス自体は大きな町ではなく、観光スポットも中心街に集中しているので、短時間でまわることが可能です。
シヴァス単体で観光するよりも、トカット(Tokat)やアマスヤ(Amasya)など近郊の町とセットで訪れたり、トルコ東部へのゲートウェイとして滞在するのがおすすめです。
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