こんにちは!ジョージア滞在も丸3年!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
トビリシに滞在すること1か月。慣れ親しんだこの町のあまりの居心地の良さによって移動するのが面倒になり、どうにも腰が重い日々を過ごしているのですが、季節は秋真っ只中。
せっかく天候も良いこの季節なので、大都市を抜けて日帰りで簡単に行けるスポットを探していました。
そんなのぶよの目に留まったのが、サバドゥリの森(Sabaduri Forest / საბადურის ტყე)。
トビリシ北部の広大な面積を占めるトビリシ国立公園の一部で、地元では「紅葉の名所」として名高いエリアです。
サバドゥリの森は、トビリシからすぐそばとは思えないほどに大自然が広がる山岳地帯。
標高は1200m~1400mほどで、トビリシ(標高400mほど)とは完全なる別世界の風景が広がります。
そんなサバドゥリの森に囲まれた唯一の村がツフヴァリチャミア(Tskhvarichamia / ცხვარიჭამია)。
ソ連時代には避暑地として賑わった地ですが、現在では人口の流出によって半ばゴーストタウンのようになっています。
ツフヴァリチャミア村には「ベアーズ・サンクチュアリ」(熊の聖地)と呼ばれる施設があり、コーカサスの山々で生まれた熊やオオカミなどの動物を見ることができる点もポイント。
ソ連時代からそのままの雰囲気を残す建造物やアートの数々も見逃せません。
サバドゥリの森とツフヴァリチャミア村周辺は、トビリシから個人で公共交通手段を利用して簡単にアクセスできます。
しかしながら旅行者の間での知名度は低めで、ほとんど人が訪れないのが現状。
ならば、当ブログで推していこうではありませんか…!
というわけで今回の記事は、サバドゥリの森とツフヴァリチャミア村周辺の日帰り旅行を特集したもの。
エリア内の見どころはもちろん、個人でのアクセス方法もしっかりと解説しています。
秋の紅葉で有名なエリアですが、新緑の春や涼しい気候の夏場に訪れるのも◎
冬場は一面の銀世界となり、ロマンティックな風景が見られることでも知られています。
トビリシの大都会感に疲れた人は、これ以上なく癒されること間違いなし。
理想的な休日を過ごしにいきましょう!
サバドゥリの森&ツフヴァリチャミア観光マップ
トビリシ近郊髄一の大自然!サバドゥリの森
今回のトビリシ発日帰り旅のメインとなるのが、サバドゥリの森(Sabaduri Forest / საბადურის ტყე)。【マップ 青①】
トビリシの北東部一帯に広がる広大な山地の一部を指し、全域が国立公園に指定されています。
サバドゥリの森の美しさはまさに本物。
人間の手が及ばない大自然の素晴らしさを五感で感じることができます。
サバドゥリの森は年間を通して観光することが可能ですが、特に美しいとされるのが秋の紅葉の時期。
地面はオレンジの落ち葉に覆われ、色が変わった木の葉のパッチワークのような風景には思わず息を呑みます。
年によって多少前後するものの、サバドゥリの森が紅葉のピークとなるのは10月半ば。
のぶよが訪れた10月最終週はすでにピークは過ぎていましたが、まだまだ色づいた木の葉は健在でした。
紅葉の名所として知られるサバドゥリの森ですが、日本のように観光客で大混雑することはまずありません。
広大な森は完全なる静寂に包まれており、どこか神秘的な風景が漂っていました。
サバドゥリの森から、エリア内で唯一人が居住するツフヴァリチャミア村までは、幹線道路を3kmほど下っていくだけの道のり。
この幹線道路自体もとても美しく、人工の道路と自然が見事に調和した風景が見られます。
ツフヴァリチャミア村への道のりの途中には、サバドゥリの森全体と周囲の山々を一望できるポイントもあります。
ツフヴァリチャミア村までゆっくり歩いても45分~1時間ほどの道のりは、開放感と絵画のような風景が目白押し。
ちょっとしたハイキング気分で、大自然を全身で感じながら歩くことができます。
国立公園を一望する森カフェ!Cafe Nebula
サバドゥリの森から幹線道路沿いを歩いていくと、ツフヴァリチャミアの村はずれの高台にぽつりと建つカフェに到着します。
こちらがCafe Nebula。【マップ 青②】
オープンは最近のことで、「森に囲まれながら国立公園を一望できるカフェ」として口コミで話題になっているのだそうです。
Cafe Nebulaの店内は、モダンで落ち着いた雰囲気。
コーヒーや紅茶などの飲み物はもちろん、ケーキや軽食類も販売されています。
こういった立地のお店はぼったくり価格であることもしばしばありますが、Cafe Nebulaはアメリカン4.5GEL(=¥225)など良心的な値段。
トビリシ中心街で同じものを頼むと5GELほどはするので、ロケーションを考えるとかなり安いと思います。
暖かい日であれば、店のすぐ外にあるテラス席がおすすめ。
すぐ目の前にはサバドゥリの森の木々が迫り、美味しい空気とともに嗜むコーヒーは極上です。
カフェの建物の屋上にも飲食スペースがあり、こちらからはサバドゥリの森全体とツフヴァリチャミア村を一望することができます。
大都会トビリシから目と鼻の先とは信じられないほどの開放的な自然風景を、存分に楽しみましょう。
絶景とコーヒーで休憩したら、次の目的地であるツフヴァリチャミア村はすぐそば。
Cafe Nebulaから幹線道路を下ること5分ほどで、村の中心街に到着します。
退廃的な異空間!ツフヴァリチャミア村
サバドゥリの森エリアにある唯一の村が、ツフヴァリチャミア(Tskhvarichamia / ცხვარიჭამია)です。【マップ 青③】
ツフヴァリチャミアは標高1180m地点に位置し、周囲を深い森に囲まれている小さな村。
空気が良いことと暑すぎない気候が注目され、ソ連時代後期には山岳保養地として大開発するプロジェクトも進められていたそうです。
しかしながらソ連崩壊とともにプロジェクトは立ち消え、現在では多くのヴィラ(別荘)が建設途中のまま放置された状態となっています。
かつては数百人ほどの人口があったそうですが、現在のツフヴァリチャミア村の人口は数十人ほど。
トビリシからすぐそばという立地が災いして、大規模な人口流出に歯止めが効かなくなってしまったそうです。
かつて住民がいた民家の多くは空き家となっており、晩秋の風景も相まってとても物寂しい雰囲気が漂っていました。
ツフヴァリチャミア村自体には観光スポットはありませんが、秋の紅葉に包まれた空き家の風景は独特な情緒を放っています。
サバドゥリの森に比べると300mほど標高が低いためか、ツフヴァリチャミア村付近では10月後半でも比較的紅葉が残っていました。
物憂げで退廃的な空気に包まれたツフヴァリチャミア村のはずれまで歩けば、今回の日帰り旅のハイライトの一つとなるベアーズ・サンクチュアリに到着します。
コーカサスの動物たちに癒される!ベアーズ・サンクチュアリ
ツフヴァリチャミア村を訪れる人のほぼ全てが立ち寄る場所が、ベアーズ・サンクチュアリ(Bears’ sanctuary)。【マップ 青④】
日本語にすると「熊の聖地」となりますが、その名の通り、コーカサスの山々に生息するコーカサス・ベアが数十頭飼育されている施設です。
熊だけでなく、馬や犬、さらにはコーカサスオオカミもこの場所で暮らしており、動物たちを間近で眺めたり餌を与えることができます。
この施設のすごいところは、柵のすぐそばまで近づいて動物たちを観察できる点。
日本の動物園ではありえないレベルの安全管理ですが、まあジョージアなので…
餌をねだる馬たちや、敷地を走り回るコーカサスオオカミを観察したあとは、いよいよ熊ゾーン。
子熊から体長2m越えの恐ろしいいでたちの熊まで、数十頭が暮らしています。
実はこのベアーズ・サンクチュアリは、観光用のクマ牧場や動物園の類ではありません。
ここで暮らす動物たちは皆、もともとは野生でコーカサスの山々で生活していたものばかり。
まだ幼いうちに母親を亡くし、自分で狩りをする方法を学ばぬままに育ってしまった動物たちが保護されているのです。
動物たちが母親を亡くしてこの施設にやって来ることになった理由は様々ありますが、最も多い原因は違法なハンティング。
かつてのジョージアでは、熊やオオカミを違法に狩ったり捕えたりする密漁が横行しており、捕えた熊をレストランやサーカスの見世物として売りさばいたり、毛皮を密輸したりという行為が頻繁になされていました。
そうして捕えられて人間によって飼育された野生動物たちは、自身の力で自然界で生き抜く術を知らずに育ってしまったのです。
こうした可哀想な動物たちを保護し、野生に戻すことを目標としているシェルターのような施設が、このベアーズ・サンクチュアリ。
民間団体による運営で予算が限られているために多少の粗は目立つものの、できる限りの努力とともに動物たちの野生回帰をサポートしています。
「ジョージアの闇」と言える、野生動物の密漁。
この現状を多くの人に知ってもらうことを目的に、ベアーズ・サンクチュアリへの入場は無料となっています。
訪問者は動物の餌となるりんごやニンジンを5GEL(=¥250)で購入することができ、それがこの施設の運営費の足しになるとのこと。
野生に回帰させようとしている動物に人間が餌を与えることが果たして良いことなのかどうかは微妙ですが、ベアーズ・サンクチュアリの活動を支援するという意味では協力するべきなのだと思います。
ベアーズ・サンクチュアリは野良犬の保護にも力を入れており、敷地内の一角には行き場のない犬たちが生活する一角もあります。
この場所で暮らす犬たちの多くは、元々は飼い主がいたのに捨てられてしまったものが多いのだそう。
そのせいなのか、どこか哀しげな目をした犬ばかりに思いました。
ジョージアでは、動物保護という概念が注目され実践されるようになってから、まだそれほど長い時間が経っていません。
特に地方部では動物に対する扱いの悪さは顕著で、改善されるべき点はまだまだ多いのが現状でしょう。
動物たちとの触れ合いが楽しめるベアーズ・サンクチュアリですが、この国にある社会問題も考えさせられる場。
とはいえ、難しいことは考えずとも、ただ訪問して動物の餌を購入するだけでも施設の活動や理念のサポートとなるはずです。
ソ連モザイク村!ツィスカリ
山々に囲まれた盆地のような場所に位置しているツフヴァリチャミア村からトビリシ方面への幹線道路は、緩やかな上り坂となります。
ツフヴァリチャミア村から2kmほど南に位置するのが、ツィスカリ(Tsiskari / ცისკარი)という小さな集落。
「集落」というか、「かつての村」の方がふさわしいかもしれません。
というのも、現在のツィスカリ集落にはほとんど人が住んでおらず、ソ連時代に建設された集合住宅や町役場の建物が残るだけのゴースト・ビレッジのようになっているためです。
もはや完全に「終わった村」さながらの雰囲気であるツィスカリですが、裏を返せばソ連時代の風景がそのまま残っているということ。
かつての村の入口に設置されたバス停は、そのシンボルのようなものです。【マップ 青⑤】▼
ツィスカリ入口のバス停は、かつてトビリシとの定期バス路線で結ばれていたもの。
現在では定期バスは存在せず、トビリシ~ティアネティ間を走るマルシュルートカ(乗り合いミニバス)が停車するだけとなっています。
このバス停のすごいところはただ一つ。壁に描かれたモザイクです。
日光によって色褪せたモザイクアートは、どれもソ連感をひしひしと感じさせるもの。
若い学生の姿が描かれていることから、かつては多くのティーンエイジャーがこのバス停を利用していたことを想像させます。
モザイクアートが鮮やかな色を見せていた時代も今や昔。
誰にも利用されなくなったバス停は、ただ朽ちていくのを待つだけとなっています。
このバス停からトビリシ行きのマルシュルートカに途中乗車しても良いのですが、時間と体力が許すならさらに先まで歩くのもおすすめ。
ツィスカリ集落を過ぎると上り坂は終わり、トビリシまでずっと下り坂が続きます。
道が下り坂になってから15分ほどの場所にあるのが、ソ連モザイク街道。【マップ 青⑥】
幹線道路沿いにソ連時代のモザイクがずら~りと300mほど並ぶ謎スポットです。▼
モザイクアートのモチーフは様々ですが、多く見られるのは学生を描いたものと宇宙開発関連のもの。
かつてのソ連が、アメリカと肩を並べるほどの宇宙開発先進国であった時代を思わせます。
▲ こんな感じで、なかなかにモチーフが謎の作品が多いのもソ連モザイクの特徴。
ソ連アートは「理解しようとするのではなく、感じるもの」なのだそうです。(ウクライナに行ったときの現地ガイド談)
かつてはこの場所がツィスカリ集落の入口となっていたようで、ジョージア語とロシア語で「ツィスカリ」と集落名が刻まれたモザイクアートも。
モザイクには「パイオニアの村」なんてフレーズも描かれていますが、そんな大層な村だったのかどうかは謎のままです。
ソ連モザイク街道付近にはバス停は設置されていませんが、トビリシへ戻るマルシュルートカに手を上げて合図すれば途中乗車することも可能。
もしくは、ここから13km/3時間ほどの下り坂を歩けばトビリシ北部のグルダニ地区に到着でき、そこからはトビリシ市内交通を利用して中心街に戻ることも可能です。(のぶよは途中まで歩いてヒッチハイクした)
サバドゥリの森&ツフヴァリチャミアへのアクセス
サバドゥリの森やツフヴァリチャミア村へのアクセスは、個人でも問題なく可能。
エリア内の各見どころ間の移動は基本的に徒歩となるので、歩きたくない場合はトビリシからタクシーを半日~1日チャーターしてしまうのが便利です。
①トビリシからタクシーチャーター
最もシンプルなのが、トビリシからタクシーをチャーターして移動&観光を済ませること。
ツフヴァリチャミア側では流しのタクシーは存在しないため、トビリシから半日~1日チャーターするのが基本となります。
・トビリシから半日チャーター(4時間ほど):150GEL(=¥7500)~
・トビリシから1日チャーター(8時間ほど):250GEL(=¥12500)~
料金は交渉によって大きく変わってきますし、どのスポットに立ち寄ってもらうかによっても変動します。
②トビリシからマルシュルートカ
サバドゥリの森&ツフヴァリチャミアへ個人でアクセスする場合は、マルシュルートカの利用一択です。
発着拠点となるのは、トビリシ市内北部のディドゥベ・バスステーション(Didube Bus Station)。
ツフヴァリチャミアやサバドゥリの森が終点となる便は存在しないため、さらに先に位置するティアネティ(Tianeti / თიანეთი)行きの便を途中乗車/下車することになります。
ディドゥベ・バスステーションはとにかく広大で、行き先別にいくつかのゾーンに分かれているのが初心者泣かせ。
ティアネティ行きのマルシュルートカが発着するのは、バスステーション北東の線路沿いの駐車場付近からです。▼
チケットは、発着ポイントにあるチケットブースで事前購入するスタイル。
現金のみの支払いとなり、途中で下車する場合でもフルの運賃10GELを支払う必要があります。
トビリシ~ティアネティ間の便は1日4本走っていますが、日曜日はすべて運休となる点に要注意。
スケジュールは以下の通りです。▼
・トビリシ発:10:00 / 13:00 / 15:00 /16:00
・ティアネティ発:9:00 / 11:00 / 15:00 / 18:00
帰りのティアネティ→トビリシ方面のマルシュルートカに途中乗車する場合は、ティアネティ発のマルシュルートカが途中乗車ポイントに差し掛かる時間を逆算しておきましょう。(ティアネティ→ツフヴァリチャミアでだいたい1時間15分~1時間半ほど)
トビリシを出発したマルシュルートカは、山道をすいすいと登り、ツフヴァリチャミア村を経由してサバドゥリの森を通過します。
目的のポイントに近づいたら、運転手に停車してもらって途中下車すればOKです。
あとは本記事の通りに順番に観光していき、帰りはトビリシ行きのマルシュルートカに途中乗車すればOK。
スケジュールは頻繁に変更となり得るので、行きのマルシュルートカにて帰りのスケジュールを確認することをお忘れなく。
おわりに
トビリシからすぐそばにあるにもかかわらず、外国人旅行者にはまったく知られていないサバドゥリの森とツフヴァリチャミア周辺のデイトリップについて解説しました。
「定番のデイトリップ先はほとんど制覇した!」というトビリシ上級者にはとにかくおすすめ。
どうしても修道院などの観光が多くなってしまいがちなトビリシ周辺において、気軽に自然が感じられるサバドゥリの森は、トビリシ滞在時の気分転換にも良いと思います。
個人でも手軽に大自然を感じることができ、トビリシとは全く異なる空気に癒される休日。
アクセスの難易度も低めで、ノープランでも結構楽しめるので、トビリシ滞在日数に余裕がある人はぜひ訪れてみてください!
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