こんにちは!ジョージア西部のアジャラ地方にのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アジャラ地方といえば、「黒海のビーチ」のイメージがものすごく強いもの。
実際、このエリアを訪れる観光客のほとんどは、中心都市のバトゥミに滞在し、来る日も来る日も黒海のビーチを満喫することを楽しみとしています。
しかしながら、アジャラ地方の魅力は海だけにあらず。
内陸部には緑あふれる美しく手つかずの自然が残り、自然愛好家の間ではひそかに話題となっています。
今回紹介するのも、アジャラ地方内陸部のネイチャースポット。
ムティララ国立公園(Mtirala National Park / მტირალას ეროვნული პარკი)です。
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まるで日本の山間部を思わせるような、木々が鬱蒼と茂った緑一色の山々がムティララ国立公園。
その敷地は1万5千ヘクタールにも及ぶ広大なもので、東京ドームが11538個すっぽりと入るほどの広さです。
迫力のある滝や神秘的な湖、独特の植生に覆われたハイキングコースの美しさが有名で、バトゥミに住む家族連れがデイトリップに訪れる場所としてもポピュラーです。
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実際に訪れてみての感想は、「こんなに素晴らしい山の大自然が海からすぐ近くにあるなんて…」という驚きでした。
何を隠そう、ここムティララ国立公園は、2021年にUNESCOの自然遺産に登録された場所。
実際に訪れてこの場所の自然の豊かさに触れると「さすが世界遺産…!」と唸りたくなるはずです。
ハイキング目的のアウトドア派にはもちろんおすすめですが、渓流を渡るための手動ケーブルカーやアスレチックなど、家族みんなで楽しめる体験も盛りだくさん。
ムティララ国立公園観光の拠点となる村には名産の蜂蜜を生産している場所もあり、文化的な体験もできます。
今回の記事は、バトゥミから日帰りで訪れたいムティララ国立公園の観光情報を解説するもの。
ムティララ国立公園は、アジャラ地方の内陸部きっての極上自然スポット。
後世に残したい豊かな自然を、五感で味わいにいきましょう!
ムティララ国立公園観光の基本情報
ムティララ国立公園とは
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ムティララ国立公園は、アジャラ地方の内陸部に広がる広大な山岳地帯。
黒海から吹く湿った風の影響で、年間を通して降水量が多く湿度が高い、亜熱帯のような気候となっています。
この気候により独特の植生が育まれ、貴重な生態系が維持されており、2021年には「コルキスの熱帯雨林と湿原」として、ジョージア西部のいくつかの地域がコーカサス地域初のUNESCO世界自然遺産に登録されることに。
ムティララ国立公園全域もこのリストに含まれ、敷地内の貴重な自然が世界遺産として保護されていくこととなりました。
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エリア全体が世界遺産となったムティララ国立公園は、ジョージア国内でも人気のスポットとなりつつあるのが現状。
週末になると、バトゥミから日帰りで観光しにくる人々で大いに賑わい、旅行者向けのホテルや家族連れが楽しめるネイチャー・アクティビティーなどの整備も徐々に進みつつあります。
世界遺産登録をきっかけに、観光地として注目を浴びつつあるムティララ国立公園ですが、伝統的な村の風景や圧倒的な大自然は健在。
バトゥミからのアクセスも悪くなく、「誰でも手軽に大自然を楽しめる世界遺産」としての地位を確固たるものとしつつあります。
ムティララ国立公園観光マップ
青:見どころ
緑線:ハイキングコース
赤:分岐点
ムティララ国立公園ハイキング情報
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オレンジ:上級者向けトレイル(約16km)
ムティララ国立公園には、公式なハイキングコースが2種類存在します。
このうち、ほとんどの人が歩くのが3kmのハイキングコース。
3歳児くらいの子供を連れた家族も歩いていたほどなので、大人にとっては朝飯前の超初心者向けのコースです。
3kmハイキングコース詳細
・所要時間:2時間~2時間半
・距離:3km
・高低差:▲▼180m
より難易度の高い16kmのコースも整備されていますが、こちらは高低差が1000m以上ある上級者向けコース。
デイハイクは推奨されておらず、テントやトレッキングシューズなどの装備が必要で、おまけに熊が生息しているエリアを歩くことになるので、それなりの経験と準備が求められます。
というわけで、本記事で紹介するのは3kmの初心者向けコース。
簡単なハイキングコースですが、ムティララ国立公園のハイライト的な見どころがギュッと詰まっています。
ムティララ国立公園観光時のアドバイス
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準備・持ち物
ムティララ国立公園のハイキングコースは、子供でも歩けるほどに簡単なものではありますが、相手は大自然。
・サンダルはNG(スニーカーならOK)
・虫よけ必須(夏場は蚊がとても多い)
・飲料水は持参する(湧き水等は見当たらなかった)
など、アウトドアの基本的な準備は必須です。
ルールを守る
ムティララ国立公園は世界遺産ということもあり、厳しい条件によって自然が保護されている点もお忘れなく。
動植物を採取したり、火を使ったりする行為は禁止されています。(タバコもNG)
インターネットはない!
ムティララ国立公園内には携帯の電波がとどかない点(通信会社によるかも?)と、Wi-Fiが設置されていない店が多い点にもご注意を。
マップや見どころに関するアレコレなど、当日必要な情報は事前に保存しておくのがおすすめです。
商店はない!
ハイキングの基点となるチャクヴィシュタヴィ村には、数軒のレストランがありますが、商店はありません。
軽食などが必要な場合は、すべてバトゥミから持参するのがおすすめです。
(レストランはバトゥミよりちょっと高いくらいの価格帯なので、こちらで食事するのもアリ!)
ムティララ国立公園ハイキングのレポート&見どころ
チャクヴィシュタヴィ村
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バトゥミからムティララ国立公園にやってきた旅行者の観光拠点となるのが、チャクヴィスタヴィ(Chakvistavi / ჩაქვისთავი)という村。【マップ 青①】
人口数十人ほどの小さな集落ですが、ここがハイキングコースの基点となる場所。
乗馬体験やバギーでのオフロードライドなど、各種アクティビティーに参加したい場合もこの村が拠点となります。
チャクヴィシュタヴィ村中心部の広場からすぐの場所にあるレストラン付近が、3kmハイキングのスタート地点。▼
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レストラン敷地内の階段を下りた先にあるのが、最初の見どころである手動ケーブルカーです。
手動ケーブルカー
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ムティララ国立公園ハイキングの最初の見どころが、渓流を越えるための手動ケーブルカー。【マップ 青②】
空中に浮かんでいるかのような籠にはロープが通されており、手動でロープを手繰り寄せて動かす仕組み…
そう、日本の山間部にもあるあの乗り物そのものなのです!
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要領こそ同じですが、ムティララのケーブルカーは滑車の原理を利用したハンドルを回して動かす仕組み。
往復利用分の2GEL(=¥100)を支払って、いざ乗車!
大人でも童心に還った気分で空中散歩が楽しめ、渓流の美しい眺めにも息を呑みます。
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手動ケーブルカーで対岸に渡ると、ハイキングコースの始まり。
一面の緑の美しさに感動しながら歩いていると、左手にはジップラインが見えてきます。 ▼
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ジップラインはチャクヴィシュタヴィ村からこの場所まで敷かれており、手動ケーブルカーの代わりに利用することも可能。
料金は一人20GEL(=¥1000)とのこと。
大自然の中でスリル体験をしたい人は、挑戦してみるのも良いでしょう。
ムティララ・ロープパーク
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ジップラインから200mほどハイキングコースを進んだ場所にあるのが、ムティララ・ロープパーク(Mtirala Rope Park)と呼ばれるスポット。【マップ 青③】
自然の樹木を最大限に生かして設置された空中アスレチックで、地元では大人気のアクティビティーとなっているそうです。
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空中アスレチックには難易度別に2種類のコースが用意されており、利用料はコースによって20GEL~30GEL(=¥1000~¥1500)とのこと。
安全用のヘルメットや命綱も用意されているので、安心して楽しむことができます。
もののけの橋
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ロープ・パークのすぐ先には、先ほど手動ケーブルカーで越えた渓流を成す支流が流れており、一本の木の橋が設置されています。
これが「もののけの橋」【マップ 青④】
もちろんのぶよが勝手に名付けたものですが、実際に見るとそのネーミングにも納得するはず。
もののけ姫の映画の世界観そのままの、緑いっぱいの神秘的な光景が広がっているのですから。▼
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もののけの橋はかなり年季が入っており、大人ひとり渡るだけでかなりのギシギシ感。
数メートルの長さしかありませんが、結構恐いです。
もののけの橋を渡り、ゆるやかな上り坂を20mほど歩いていきましょう。
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坂を登りきったところにあるのが、分岐点①。【マップ 赤①】
ここを右に進むとツァブルナリの滝へ、左に進むと湖へと続きます。
ここからは、ぐるりと周ってこの分岐点①へ再び戻って来るコースになっているので、どちらに進んでもOK。
のぶよは右に曲がってツァブルナリの滝を目指すことにしました。
ツァブルナリの滝
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分岐点①を右に曲がると、コース上で最大の難所である上り坂が延々と続く区間となります。
(難所とはいえ、ゆっくり歩けばまったく問題なし)
ムティララ国立公園が誇る一面の緑に囲まれながらの、素晴らしいハイキングコース。
とにかく緑の色が綺麗で、酸素が濃いことが感じられるはずです。
途中にはスタート地点のチャクヴィシュタヴィ村のパノラマが広がるポイントもあるので、お見逃しなく!
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▲上り坂の区間が終わり、平坦なコースをしばらく歩いた先にあるのが、分岐点②。【マップ 赤②】
ここを右に曲がると、上級者向けの16kmコースに入ります。
3kmコースの場合はそのまま直進していきましょう。
ツァブルナリの滝まであと100mほどの場所にあるのが、分岐点③。【マップ 赤③】▼
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ここを右に進めばツァブルナリの滝、左に進めば湖へと続くコースとなります。
分岐点③を右に進み、細い道を歩いた先にあるのが、ムティララ国立公園観光のハイライトの一つであるツァブルナリの滝(Tsablnari waterfall / წაბლნარის ჩანჩქერი)【マップ 青⑤】▼
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この地域にしかない種類の柘植の木が生い茂る断崖絶壁を、轟々と流れ落ちる美しい滝。
落差は16mほどで、水量もかなりのものです。
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ツァブルナリの滝の滝つぼは天然のプールのようになっており、泳ぐことも可能。
水はかなり冷たいですが、滝行のように楽しむ若者グループの姿もありました。
マイナスイオンたっぷりの滝で癒されたなら、分岐点③【マップ 赤③】までの道を戻り、湖方面へと歩いていきましょう。
湖
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分岐点③【マップ 赤③】から湖までは、ゆるやかな下り坂がずっと続いていきます。
相変わらずの深い緑とエキゾチックな植物が生い茂る風景の中を、20分ほど歩いて行きましょう。
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▲ 黄色い標識とともに現れるのが、分岐点④。【マップ 赤④】
ここから坂道を下って200mほど歩いた先にあるのが、湖です。【マップ 青⑥】
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湖には特別な名前はつけられていないそうですが、「湖」というよりも渓谷の両側の崖の幅が広くなったような感じ。
この水は、先ほど訪れたツァブルナリの滝から流れてきたものなので、水温はかなり低めです。
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まるで異世界への入口のようにぽっかりと口を開けた渓谷を目の前に、緑がかった神秘的な水の色を讃える湖は、スイミングスポットとして大人気。
水はかなり冷たいですが、ハイキング終盤のリフレッシュには最適です!
湖を堪能したら、最初の分岐点①【マップ 赤①】まで戻り、あとは来た道を戻るだけ。
フィナーレは再び手動ケーブルカーを利用し、チャクヴィシュタヴィ村に到着です!
ムティララ国立公園のアクセス・行き方
ムティララ国立公園へのアクセス拠点となる町は、バトゥミ一択。
バトゥミの人にとってはポピュラーなデイトリップ先ということもあり、特に週末には多くの人が訪れるムティララ国立公園ですが、個人でのアクセスはやや不便です。
①タクシー
最も簡単&効率的なアクセス方法が、バトゥミからタクシーをチャーターしてしまうこと。
・片道:50~60GEL(=¥2500~¥3000)
・往復:120~150GEL(=¥6000~¥7500)※待機時間2時間ほど込み
少しでも移動費を節約したい場合は、バトゥミの北20kmほどの場所にあるチャクヴィ(Chakvi / ჩაქვი)を拠点とすることも可能です。
バトゥミ~チャクヴィ間は、市内路線バスかミニバスで格安で移動できるので便利。▼
・バトゥミ市内路線バス6番:Argoケーブルカー前乗り場やトビリシ・スクエアから30分に1本 / 0.3GEL(=¥16)
・チャクヴィ行きミニバス:オールド・バスステーションから1時間に1本 / 1GEL(=¥50)
チャクヴィの中心街に到着したら、客待ちのタクシーが数台待機しているので、料金交渉をしてムティララ国立公園へのタクシーをチャーターすればOKです。
・片道:30~40GEL(=¥1500~¥2000)
・往復:60~80GEL(=¥3000~¥4000)※待機時間2時間ほど込み
②現地ツアー
ムティララ国立公園を効率的に観光したいなら、バトゥミ発の現地ツアーの利用もおすすめです。
同じ方向にあるバトゥミ・ボタニカルガーデンの観光とセットになっているものが一般的で、一日で複数の見どころを観光できるのが最大のメリット。
往復の移動手段を気にする必要がない点も嬉しいです!
③ミニバス
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バトゥミ~ムティララ国立公園間は、マルシュルートカと呼ばれるミニバスを利用して個人で移動することも可能です。
ムティララ国立公園観光の拠点となるチャクヴィスタヴィ(Chakvistavi / ჩაქვისთავი)までは、バトゥミのオールド・バスステーションから340番のミニバスが出ています。
…が。
なんとこのミニバス、週に2日(月曜と金曜)に1日2往復するだけという謎すぎるスケジュール。
個人でムティララ国立公園に移動&観光する場合は、このいずれかの曜日での訪問に限られてしまう点にご注意を。
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チャクヴィスタヴィ行きのミニバスは、バトゥミのオールド・バスステーションの建物南側、近郊路線用のエリアからの発着です。
2022年8月現在のスケジュールは以下の通り。(何度も言いますが、月曜と金曜のみの運行です。)
バトゥミ発 | チャクヴィスタヴィ発 |
9:40 | 10:40 |
15:40 | 17:00 |
バトゥミから日帰りでムティララ国立公園を観光する場合は、往路バトゥミ9:40発 / 復路チャクヴィスタヴィ17:00発の便を利用するしかありません。
ムティララ国立公園のハイキングコースは長くても3時間あれば歩けてしまうので、帰りの17:00発のバスまでかなり時間があります。
ムティララ国立公園は山奥でデータ通信も届かないため、正直、暇です。
レストランでのんびり食事したり、近くの川で遊んだり…と、スマホデトックスにはぴったりかも(笑)
バトゥミを出発して1時間15分ほどで、340番バスは終点のチャクヴィスタヴィ村中心部の広場に到着します。【マップ 黄色】
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▲ このポイントが終点となっており、ハイキングコースの入口もすぐそば。
バトゥミへの帰りのバスもこの場所で待っておけばOKです!
(行きも帰りも同じ運転手なので、一応最終のバスでバトゥミに戻ることを伝えておくのが安心かも)
おわりに
バトゥミ滞在中にぜひとも足をのばしてほしい、ムティララ国立公園の観光情報を解説しました。
大都市の喧騒を逃れ、大自然の中で一日のんびりと過ごすにはおすすめの場所です。
「バトゥミ=海」のイメージがガラリと変わること間違いなし!
アジャラ地方の多種多様な自然の魅力に、ぜひとも圧倒されてください!
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