こんにちは!ジョージア山間部のラチャ=レチュフミ地方にのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ここ数年、ジョージア人の間でSNSを通してひそかに話題になっているスポットをご存じでしょうか。
「天空のプール」や「秘密のプール」なんて呼ばれるその場所。
言葉で説明するよりも写真で見た方が早いので、さっそくお見せします。どどん ▼
一面の緑の山々を見渡す場所に、神秘的なブルーの水をたたえた小さなプール。
「大自然の絶景を背景に美しい写真が撮れる!」と、話題になっています。
この「天空のプール」があるのが、ジョージア西部の山岳地域・レチュフミ地方のライラシ(Lailashi / ლაილაში)という小さな村。
ほとんどの観光客は、名物のプールで自撮りに励み、ものの数十分でこの村を後にしてしまいます。
正直、ほんっっっとうにもったいないです、それ。
ライラシ村には「天空のプール」のみならず、独自の歴史によって育まれた伝統建築や宗教建築がたくさん。
「こんな田舎の村にこんなに見るところがあるなんて…」と驚くこと間違いなしです。
観光地化が進むジョージアという国において、ライラシ村があるレチュフミ地方はまだまだ知られざる存在。
訪れる旅行者はほとんどおらず、「ピュアな山村」らしい魅力がたくさん残っている点も見逃せません。
のぶよは色々とあって(後述)ライラシ村に4泊も滞在したのですが、とにかく毎日が充実していました。
ライラシが本当に大好きになったので、これを読んでいる物好きな幸運な人に向け、この場所の魅力をたっぷりと語ることにします。
というわけで、今回の記事はライラシ村の観光情報を徹底解説したもの。
「ライラシを推したい10の理由」と題して、この村で見るべき&体験すべきことを紹介していきます。
ジョージアの地方部を色々と訪れてきましたが、「こんなに素晴らしい場所が知られていないなんて…」とこれほどまでに感じた場所は他になし。
ジョージアという国の奥深い魅力をがっつり堪能したい人に向けて、有り余る熱量で語っていきます!
ジョージア旅行の穴場に!ライラシを推したい10の理由
ライラシ観光マップ
黄色:バス停
赤:商店
紫:ゲストハウス
①「ライラシの天空プール」が映えすぎるから
近年、ジョージアの若者の間では一躍知名度が上がったライラシ村。
その最大の理由が「ライラシの天空プール」と呼ばれるスポットでした。【マップ 青①】
その名の通り、下界を一望するロケーションが最大の特徴。
レチュフミ地方の緑あふれる山々の風景と、遥か下方で神秘的な色の湖面をのぞかせるラジャナ湖の遠景に浮かび上がるかのような人工のプール。
空の青色を溶け込ませたように真っ青なプールの水は、プールサイドにたたずむ人間の姿をうまく反射するため、「とにかく映える写真が撮れる!」と、SNSで大きな話題となりました。
ライラシの天空プールの水は、山からの湧き水を直接引いたものなので、びっくりするくらいに冷たいです。
プール内は長らく掃除されていないようで枯葉が底に溜まっており、とても泳げる状態ではありませんでした。
絶景を眺めて写真を撮るためだけのスポットとなっているのは少々残念ですが、時間帯と天気さえ注意しておけば、驚くほどに美しい写真が撮れます。
ライラシの天空プールからの絶景は西向きなので、午後は完全なる逆光となります。
また、朝早すぎても太陽の光が届かないため、写真を撮るには微妙。曇りや雨の日は論外です。
写真撮影のベストタイミングは(季節によって多少変わるかもですが)、晴れた日の午前11時~午後1時の間。
周囲の風景とプールに太陽光がうまく当たり、神秘的な一枚が撮れるはず!
②「多民族村」の文化の豊かさが素晴らしいから
ライラシは、実はレチュフミ地方の中でも独特の成り立ちや歴史を持つ村。
およそ80年前の第二次世界大戦より前は、ジョージア人に加えてアルメニア人やギリシャ人、ユダヤ人の合計四民族が、肩を寄せ合って仲良く暮らしていたのです。
その多民族村の名残は現在でも感じられ、各民族の末裔にあたる人も現役で生活しています。
各民族にとっての聖地となる教会やシナゴーグも現存しており、人口百人ほどの寒村とは思えないほどの文化的豊かさが感じられます。
ライラシ・シナゴーグ
ライラシ村の中心部にある広場付近に建つシナゴーグは、この地で暮らすユダヤ人にとっての聖地。【マップ 青②】
内部は比較的最近リノベーションされたようで、真っ白に統一された壁や柱と木造の階段のコントラストがとても美しいです。
ライラシのシナゴーグは現役の祈りの場として機能しており、この村に少なからず残っているユダヤ系住民にとっての聖地となっています。
アルメニア教会跡
ライラシ中心部の空き地の一角にぽつりと残るのが、アルメニア教会の跡。【マップ 青③】
ライラシ村のアルメニア系住民は、かつてはジョージア系、ユダヤ系に次いで多くの人口があったそう。
しかし現在ではほぼ全員が、別の地域に移り住んでしまったそうです。
かつての祈りの場であるアルメニア教会は、半ば自然に還りつつある状態。
この村の歴史を物言わずに語っています。
聖ギオルギ教会
ライラシ村に住むジョージア人にとっての聖地が、聖ギオルギ教会。【マップ 青④】
12世紀頃(900年前)の建造だそうですが、現在の建物は後年に再建されたものだそうです。
こちらは現役の祈りの場として機能する場所。
キリスト教の祝祭が行われる場所として、ライラシの村人に親しまれています。
③ユダヤ人墓地で映画の風景に出会えるから
ライラシ村からグ村に至る道に入ってすぐ。
小高い丘の上にずらりと石が並ぶ、ミステリアスな光景が現れます。
こちらがユダヤ人墓地。【マップ 青⑤】
かつてライラシ村に多く住んでいたユダヤ系住民が眠る場所です。
レチュフミ地方の山々を望む丘の上に、ミステリーサークルを思い起こさせるような墓石の数々…
まるで映画の中に入り込んだかのような、非現実的な美しさを放つ風景に心を奪われます。
ユダヤ人墓地の墓石はどれもかなり古いもの。
その多くは風雨による損傷が激しいですが、一部の墓石にはヘブライ語が刻まれているのが確認できます。
ライラシ村の歴史における重要な一部分を担ってきたユダヤ系住民たちは、この現実離れした風景の中で静かに眠り続けています。
④独自の木造建築が美しいから
ライラシ村の民族構成や歴史は、ジョージアの中でも独特であることはすでに解説しました。
かつて四民族が生活していた村では、民家の建築スタイルにもやや独特な点が見られます。
最大の特徴は、木造建築の割合がかなりを占めていること。
ライラシは標高1000m以上の場所にあり、冬場はかなりの冷え込みとなるはずですが、石造りの家よりも木造がメインの民家が圧倒的に多いのです。
ライラシ村が位置するレチュフミ地方では、湿度がやや高いこともあり、もともと木造建築が好まれてきました。
しかしながら、耐久性や断熱性を考えると石造りの方がいろいろと利点が多いのは明白。
すぐお隣のスヴァネティ地方では総石造りの民家が主流ですし、東隣のラチャ地方でも石造りと木造をミックスした民家が主流です。
レチュフミ地方全体を見ても、伝統的な木造建築は減少の一途。
しかし、ここライラシ村ではいまだに総木造の民家も多く見られ、独自の魅力を放っています。
独自の民族構成や歴史と並び、建築様式にも独自性が見られるライラシ。
ここまで多くの木造家屋が残っている村は、現在のジョージアではなかなかお目にかかれません。
⑤「ジョージアで最も短い名前の村」に行けるから
ライラシ村から2kmほど北にあるのが「ジョージアで最も短い名前の村」の一つとされる地。
その名も、「グ」(ღუ)です。【マップ 青⑥】
この村の名前をカタカナで表記するのは難しいのですが、「グ」の音と、喉を鳴らしながら出す「フ」の音の中間のような感じ。
とにかくたったの一音節。超短い名前の村なのです。
地元の人もこの短すぎる村名を誇らしく(?)思っているようで、面白がって話しているいる感じが伝わってきました。
グ村自体はよくあるジョージア地方部の山村そのものですが、次の項で紹介する異世界の風景の廃教会は必見。
それよりなにより、「ジョージアで一番短い名前の村に行った!」と自慢できること間違いなし!(誰に?)
⑥廃教会で異世界に迷い込めるから
グ村を一望する小高い丘の頂上。ぽつりとたたずむ廃教会は、ぜひとも足をのばしてほしいスポット。【マップ 青⑦】
12世紀(800年前)の完成で、当時の典型的な建築様式は、ジョージア全国的に見られるもの。
…いつの間にか天井部分が抜け落ちてしまい、芸術的な崩れ方をしていることを除いて。
いったいどうして天井部分だけが崩れ、北側の壁に大きな穴が開いてしまったのかは謎に包まれたまま。
「ミステリアスな光景にするためにわざと崩したのでは…?」と勘繰ってしまうほどに、完璧な崩れ方をしています。
外観の異世界感もものすごいですが、本来そこにあるはずの天井の代わりに青空が広がる内部の光景も印象的。▼
廃教会の敷地内にも周辺にも、人の姿はいっさいなし。
村の人の話によると、これでもいちおう現役の祈りの場として機能しているそうです。
そこにあるのは、凛とした空気と圧倒的な異世界感だけ…
どこか聖地にふさわしい威厳のようなものが漂っているように思えてなりません。
⑦昔ながらの集落が見られるから
ライラシ村から東に3kmほど。舗装工事中の道路を延々と歩いた先にあるのがタボリという集落。【マップ 青⑧】
一見すると何の変哲もない山村ですが、村を一望する山の中腹に築かれた教会は特別な場所。
この辺り一帯で神聖な場所とされており、一般の人のアクセスは不可とされているのだそうです。
教会を訪問することはできませんでしたが、秋色に色づきつつある木々に囲まれたタボリ村の風景は息を呑むほどの美しさ。
ライラシ村から片道40分ほどでアクセスできるので、時間が許すならぜひ足をのばしてみましょう。
⑧村全体が絶景スポットだから
ライラシ村は、周辺の谷間を一望する山の頂上付近にひらけた村。
そのロケーションのおかげで、村の至る所から周辺の山々のパノラマを望むことができるのです。
伝統的な木造建築と、名産のワインの原料となるぶどうの畑、深い緑に包まれたレチュフミの山々…
絵葉書を見ているかのような美しい光景が、そこら中にごろごろ点在しています。
また、ライラシ村は雲海が見られる確率が高いことでも有名なのだそう。
村の遥か下方にはラジャヌラ川が形成する深い谷間が走っており、湿度が高い点もポイント。
地形的・気候的に雲が発生しやすく、その雲が同じ場所に留まりやすいのだそうです。
気象条件や運に恵まれれば、自然が織りなすショータイムに感動すること間違いなし!
村の人によると、夜と昼の寒暖差が激しく空気が澄んだ時期(=秋~冬)の午前中が狙い目なのだそうです。
⑨ジョージアのワイン文化に浸れるから
秋にレチュフミ地方を訪れる人だけの、とっておきの体験も見逃せません!
「ワイン発祥の地」として名を馳せるジョージアならではの行事…そう、ワインの原料となるぶどうの収穫です。
ほとんど知られてはいないものの、ライラシ村があるレチュフミ地方は良質なぶどうの産地。
収穫からワイン造りまですべて手作業で行われ、希望すれば&タイミングが合えばお手伝いすることが可能なのです。(というか、どこも人手がほしいのでものすごく歓迎される)
このぶどうの収穫は、ジョージア語で「ルトヴェリ(Rtveli / რთველი)」と呼ばれ、9月下旬から10月上旬にかけての1週間ほどで行われます。
年によって&地域によってルトヴェリの時期は異なりますが、ここレチュフミ地方では毎年10月の1週目~3週目のどこか1週間がそれにあたります。
ジョージアのワイン産地として有名なのは、東部のカヘティ地方や、レチュフミ地方の東隣のラチャ地方。
これらの地域でもルトヴェリ体験はもちろん可能なのですが、近年では観光客向けのアトラクションのような立ち位置になっている場合も。
つまり、お金を払って数時間ぶどうを収穫するルトヴェリ体験を「させてもらう」というわけ。
農家からすれば、人手が確保できるうえにお金も入るというわけで、ウハウハなわけです。
いっぽうのレチュフミ地方ですが、そもそもこんなところまでやってくる観光客は皆無。
数時間ぶどうの収穫をお手伝いする代わりに、食事を提供してくれたり、場合によっては自宅に宿泊させてくれたりと、昔ながらのルトヴェリ文化を現在でも体験できる可能性が高いのです。
のぶよの場合は、歩いているところにたまたま声をかけられてぶどうの収穫→そのまま泊まらせてもらうという絵に描いたようなミラクルさでルトヴェリ体験ができたのですが、10月にレチュフミ地方をほっつき歩いていれば、十中八九声をかけてもらえると思います(適当)。
↑ぶどう畑からの帰り道が、なんか青春だった。西日に照らされた谷間がやけにきれいで、空がやたらと広く感じられて、なにより旅してる感すごかった。 pic.twitter.com/Fqk5vNtblB
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) October 17, 2022
ぶどうの収穫に携われるのはもちろん、その後のワイン造りのプロセスの見学&お手伝いができる点も見逃せません。
どこの家庭も昔ながらの手作業で自家製ワインを作っており、その手際の良さには圧倒させられます。
収穫したぶどうを搾り、発酵させるために樽の中に保存し、およそ1週間ほどでワインができあがるのだそう。
搾りたてのぶどうが放つ芳醇な香りに満ちた倉庫には、代々伝わってきた伝統が息づいているように感じられます。
収穫したぶどうはその日のうちに絞ってジュースに。樽に入れて二週間発酵させるとワインになるんだそう。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) October 17, 2022
なにより、民家にぶどう絞り器(おじさんの手作りらしい)あるのすごい。ジョージアの人、まじでなんでも作っちゃう。 pic.twitter.com/HSzLe1RNRU
果汁を搾りきった後に残るぶどうの皮や種、ヘタの部分さえも無駄にしないのがジョージア人。
これらの搾りカスを二回蒸留させ、「チャチャ」(Chacha / ჭაჭა)という蒸留酒を作ります。
ワインができあがるのは、収穫→樽詰めから1週間はかかるため、自分で収穫したぶどうを用いたワインを味わうのはなかなか難しいもの。
しかしながら、のぶよがお手伝いした家では自家製のワインをボトルに詰めて卸売りしているようで、存分に味わうことができました。▼
収穫時につまみ食いした時点で思っていたのですが、ここのぶどうは信じられないくらいに美味しいです。
「ツォリコウリ」という品種の白ぶどうで、上品で華やかな甘みが特徴的。
極上のぶどうを用いたワインが美味しくないわけはなく、いただいた自家製ワインも驚くほどに極上の味わいでした。(ワインの知識皆無なので語彙力が残念だけど、とにかく美味しかった!)
ルトヴェリの体験自体もジョージアならではのものですし、しかも観光地化されたものではないリアルなルトヴェリ体験ができるのはレチュフミ地方ならでは。
時期は限られますし、実際にお手伝いさせてもらえるか(&タダ飯タダ宿タダワインにありつけるか)は運次第でもありますが、チャンスがあるならぜひとも挑戦してみるのが◎
ジョージアという国の奥深い魅力に触れられますし、この国のワイン文化を自分の肌で感じることができます!
⑩田舎暮らしの豊かさと温かさを感じられるから
ライラシ村の魅力はすでに十分すぎるほどに伝わっているでしょうが、ジョージア地方部ならではの田舎暮らしにどっぷりと浸ることができる点は、もしかしたら最大のポイントかもしれません。
村には小さな商店が一軒あるだけで(しかも品ぞろえがものすごく限られている)、レストランなどの施設もなし。
一見すると不便なように思いますが、「不便な生活=豊かではない」ではありません。
ライラシ村には、絵に描いたような「ジョージア地方部の暮らし」がちゃんと残っており、人々は自分たちの身の回りにあるものを最大限利用しながら生活しているのです。
野菜や肉、乳製品などは自家製であることが基本ですし、スーパーやコンビニなどなくとも人間は不自由なく生活できることを思い出させてくれます。
都市部の物質社会とは異なる「豊かさ」がちゃんと存在していることに、きっと気がつけるはず。
ライラシ村の人々は、とても気さくで開放的な感じだったのも印象的。
外国人などほとんど訪れないど田舎ではあるものの、閉鎖的な雰囲気はまったく感じず、むしろガンガン話しかけてくるようなオープンな人が多かったように思います。
観光客にお見せする用の「ジョージア地方部」ではなく、この村にあるもののどれをとっても全てがピュア。
近年観光地化の大波が押し寄せているジョージアという国において、昔ながらの地方部の良さがここまで色濃く、純粋なままに残っている場所は、もう多くはありません。
ライラシ周辺の見どころ
ライラシ村の見どころだけでもかなりたくさんあるのですが、周辺には他にも魅力的なスポットがたくさん。
どれも観光客にはほとんど知られていない場所ばかりで、ひたすらに穴場感が感じられます。(まあ、レチュフミ地方全体が穴場感の塊のようなものだけど)
ここでは、ライラシ観光とセットで訪れたい周辺の見どころを紹介します!
ラジャナ湖
ライラシ村から見えるコバルトブルーの湖面をたたえた人工湖がラジャナ湖(Lajana reservoir / ლაჯანურის წყალსაცავი)。【マップ 青⑨】
天気によってその雰囲気は大きく変化し、四季折々の表情を見せてくれます。
ラジャナ湖の最南端には水力発電所があり、人工物と自然の不思議なコントラストが見られます。
ツァゲリ
レチュフミ地方最大の町がツァゲリ(Tsageri / ცაგერი)。
人口3500人ほどの小さな町ですが、コンビニやスーパー、銀行の支店など、旅行者に必要な施設がひと通り揃っています。
ツァゲリの町自体にはこれといった見どころはありませんが、町の北側の崖の上にたたずむムリ要塞はぜひ訪れたいもの。【マップ 青⑩】
レチュフミ地方を一望するパノラマが広がるのはもちろん、要塞に至るまでのスリルあふれる遊歩道も必見です。
ツァゲリは、さらに北に位置するクヴェモ・スヴァネティ地方への唯一のアクセス拠点となる町でもあります。
レチュフミ地方からコーカサス山岳エリアのスヴァネティ地方を目指す人は、数日滞在していくのもおすすめです!
オルベリ
ツァゲリとライラシのちょうど中間地点に位置する小さな町が、オルベリ(Orbeli / ორბელი)。【マップ 青⑪】
これといった特徴もない田舎町ではありますが、居心地の良さを感じさせるのんびりした空気が流れています。
オルベリ周辺には、中世の城塞や絶景ポイントがいくつか点在しているので、見学していくのもおすすめ。
ライラシに比べるとかなりひらけており、レトロな雰囲気の中心街には商店やちょっとした酒場などが数軒営業しています。
サイルメの柱
レチュフミ地方のシンボルとされる大自然の奇景といえば、サイルメの柱(Sairme Pillars / საირმის სვეტები)。【マップ 青⑫】
一面の緑の大地からにょきにょきと生えたかのような奇岩がいくつか並び、圧巻の光景が見られます。
旅行者の間での知名度は高くなく、サイルメの柱を一望できるビューポイントに人影はいっさいなし。
周囲360°に広がる、果てしない静寂に包まれた大地の風景を独り占めすることができます!
ライラシへの行き方・アクセス情報
ライラシへのアクセス方法は、主に以下の2通りです。
タクシーを利用すれば、ライラシと周辺の見どころもセットでまわれるのが大きなメリット。
ミニバスはスケジュール的に不便ではありますが、格安で移動することができます。
①タクシー
ライラシへ簡単&快適にアクセスするなら、近郊の町でタクシーをチャーターしてしまうのが◎
周辺の主な町からライラシまでのタクシー料金相場は以下の通りです。
・クタイシ~ライラシ:200GEL~300GEL(=¥10000~¥15000)
・ツァゲリ~ライラシ:70GEL~80GEL(=¥3500~¥4000)
・アンブロラウリ~ライラシ:100GEL(=¥5000)
せっかくタクシーをチャーターするなら、レチュフミ地方の他の見どころや、お隣ラチャ地方の観光とセットでまわるのが効率的です!
ラチャ=レチュフミ地方のその他の観光情報記事は、現在執筆中です!
②ミニバス(マルシュルートカ)
レチュフミ地方は、ジョージアの中でも公共交通機関利用に最も難アリなエリアの一つ。
この地方の主なミニバス(マルシュルートカ)路線は、以下の通りです。
青:クタイシ~アルパナ~ライラシ路線
赤:クタイシ~アルパナ~アンブロラウリ~オニ路線
緑:レンテヒ~ツァゲリ~アンブロラウリ路線
この中で、ライラシへのアクセスに利用しやすいのは、以下の3路線のみです。▼
【クタイシ~ライラシ路線】
・運行頻度:1日1往復
・運賃:15GEL(=¥750)
・スケジュール(2022年10月現在)
▶往路:クタイシ発16:00→ライラシ着18:30
▶復路:ライラシ発7:00→クタイシ着9:30
【レンテヒ~ツァゲリ~アンブロラウリ路線】
・運行頻度:週2回のみ往復(月曜に1往復&金曜に1往復)
・運賃:レンテヒ~アンブロラウリ20GEL(=¥1000)
・スケジュール(2022年10月現在)
▶往路:レンテヒ発8:00→ツァゲリ発9:00頃→ライラシへの分岐点10:00頃通過→アンブロラウリ着11:00
▶復路:アンブロラウリ発15:00→ライラシへの分岐点通過16:00頃→ツァゲリ発17:30頃→レンテヒ着18:30
【クタイシ~アルパナ~アンブロラウリ~オニ路線】
・運行頻度:1日1往復 ※月曜は運休
・運賃:クタイシ~オニ15GEL(=¥750) / クタイシ~アルパナ分岐点10GEL(=¥500) / オニ~アルパナ分岐点7GEL(=¥350)
・スケジュール(2022年10月現在)
▶往路:クタイシ発10:00→アルパナ発12:00頃→アンブロラウリ発13:00頃→オニ着13:30
▶復路:オニ発15:00→アンブロラウリ発15:30→アルパナ発16:30頃→クタイシ着18:30
クタイシ~ライラシ間のアクセス
クタイシ~ライラシ間のミニバスは、クタイシの中央バスステーション(クタイシⅡ鉄道駅北側)の出発。毎日、16:00に出ています。
この路線はクタイシ~ツァゲリを結ぶ幹線道路ではなく、リオニ川沿いの田舎道を通るルートをとります。▼
クタイシ~ライラシ便は、朝にライラシを出発して夕方にクタイシから戻って来るスケジュール。
村人が買い物や用事を済ませるための便なので、旅行者的には不便です。
ミニバスのスケジュール的に、クタイシからの日帰りは不可能。
少なくともライラシに1泊はすることになるでしょう。
ツァゲリ~ライラシ間のアクセス
レチュフミ地方の中心的な町・ツァゲリ(Tsageri)から公共交通手段でライラシにアクセスするのは、かなりハードルが高め。
ツァゲリとライラシを直接結ぶバスは存在せず、レンテヒ~ツァゲリ~アンブロラウリ路線を利用して、ライラシ村への分岐点【マップ 黄色②】で途中下車→徒歩となります。
分岐点~ライラシ間は5kmほどの舗装道路が敷かれていますが、高低差が400mほどあるため、徒歩だと1時間半ほどの時間がかかります。
注意したいのが、レンテヒ~ツァゲリ~アンブロラウリ路線は週に2便、月曜と金曜しか運行していない点。
個人的に、ツァゲリ~ライラシ間の移動では、ミニバスを利用するよりもヒッチハイクしてしまう方が早いと思います。
オニ/アンブロラウリ~ライラシ間のアクセス
レチュフミ地方のお隣のラチャ地方最大の町・アンブロラウリ(Ambrolauri)や、さらに奥に位置するオニ(Oni)からライラシへアクセスする場合に利用可能なのは、クタイシ~アルパナ~アンブロラウリ~オニ路線。
しかしながら、この便はライラシ村へは向かわない上に、ライラシ村への分岐点からさらに5kmほど南のアルパナ(Alpana)という村付近で別方面へと向かってしまうのです。【マップ 黄色⑤】
アルパナ村の分岐点~ライラシ村の分岐点~ライラシ村間は、およそ10kmほどの距離。
最後の5kmは上り坂であるため、徒歩で移動するとなると2時間半~3時間ほどの時間がかかります。
この区間の移動も、バスを頼りにするよりもヒッチハイクの方が早いかなと感じます。
ライラシの宿情報
ライラシ村には、ゲストハウスとして営業している宿は一軒しかありません。
その一軒も開店休業状態ではあるのですが、いちおう宿泊することは可能だそうです。
【Lailashi Guesthouse】
何を隠そう、のぶよが滞在していたのがこのゲストハウス。【マップ 紫】
本来は1人1泊25GEL~30GEL(=¥1250~¥1500)ほどの料金相場なのだそうです。
ほとんど旅行者が来ないためか、ゲストハウスとしての設備はややメンテナンス不足&清掃はやや甘かっただった印象。(Wi-fiはあります)
とはいえ、オーナー家族はとても温かな人柄でホスピタリティーの塊のような存在。
リアルなジョージア地方部の生活にひたりながらの滞在がしたい人には、心からおすすめです!(というか、この宿以外の選択肢はライラシにはない)
おわりに
心からおすすめしたいライラシ村の観光情報を紹介しました。
「行ってみたい…!」と思っていただけたならすごく嬉しいです!
近年、SNSの普及によって、天空のプールの知名度が軒並み上昇中のライラシ。
以前に比べて訪れる人は格段に増えたそうですが、ほとんどの人はプールで写真を撮って数十分後にはこの村を後にしてしまうのだそうです。
ここまで読んでいただいた方にはもう伝わっているでしょうが、ライラシの魅力は天空のプールだけではありません。
ジョージアの地方部を絵に描いたような人の温かさや素朴さ。昔ながらの飾らない村の雰囲気。独自の歴史や民族構成が感じられる文化的豊かさ…など、この村にはまだまだ知られていない魅力が多く眠っているのです。
観光地化されていないジョージア地方部の良さにどっぷりと浸りたい人は、絶対に行くべき!
アクセスこそ不便ではありますが、苦労して訪れる価値は大いにあると思います。
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