こんにちは!コソボをのんびり旅している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
先日、コソボにあるジャコヴァ(Gjakovë)に関してtwitterでつぶやいたところ、ものすごい反響をいただきました。
え、これ京都?
いえいえ、全然コソボです。
しかも10年前までセルビア正教会にロケット弾打ち込んだりしてた、コソボで最も反セルビアなジャコヴァ(Gjakovë)の風景。ヨーロッパでは超レアな木造建築が連なる町並みは、初めてなのに懐かしくなる不思議な感覚。
そうだ、コソボ行こう。#コソボ pic.twitter.com/0BRPw3NYbh
— 小山のぶよ@世界半周中、ケベック、ポルトガル (@taisuke5696) August 18, 2019
ご覧の通り、ジャコヴァは木造家屋が通りにずらりと並ぶ「小京都」のような町並みが特徴的です。
「日本の宿場町みたい。コソボ宿!」
「モスクの尖塔がなければ完全に日本」
「是非京都と姉妹都市を!」
なんて反応をいただきました。
(ありがとうございます!)
正直、日本では全く無名と言っていいジャコヴァの町。
(というか、コソボという国自体かなりマイナーですが)
木造建築がずらりと建ち並ぶ通りや、日陰でのんびりと休憩する地元の人々、伝統工芸品を作る職人さんの姿など、私たち日本人が忘れてしまったような「古き良き光景」がいたるところで見られるんです。
今回の記事では、そんな「コソボの小京都」ジャコヴァの風景を紹介します。
「どうやって行くの?」
という声も多かったので、コソボの他都市からのアクセスも詳細に解説していきます!
(この記事を読んで本当にコソボまで行く人がいるのかどうか、かなり疑問ですが)
コソボの小京都?初めてなのに懐かしくなるジャコヴァの町並み
日本の古い町並みそのものな風景が広がるジャコヴァ。
ジャコヴァ(Gjakovë)とはアルバニア語読みで、セルビア語ではジャコヴィツァ(Dakovica)と言いますが、絶対にセルビア語で読んではいけません。
というのも、ジャコヴァは先のコソボ紛争において、ユーゴスラビア(現在のセルビア)軍からの壮絶な攻撃に晒された町。
町の多くの建物は戦闘の過程で破壊されてしまいました。
ジャコヴァの人口の9割以上はアルバニア人なのですが、コソボ紛争中はユーゴスラビア軍によって人口の75%が町を追放され、多くの人の命が奪われたという壮絶な歴史を持ちます。
そのため、ジャコヴァの住民の反セルビア感情はコソボの中でも最も強いと言われ、セルビアと言う国を象徴するセルビア語に嫌悪感を抱く人がかなり多いんだそうです。
そんなジャコヴァは、他の町に住むアルバニア系コソボ人が誇りに思う町でもあるそう。
コソボ紛争中に、セルビア人に屈することなく戦った人々の勇気に対する賞賛が一番の理由ですが、コソボで最も古いバザール(市場)があるためでもあります。
ジャコヴァ観光地図
黄色:バスステーション
青:観光スポット
コソボで最も古い!ジャコヴァのバザール
北端をテチェ(Teqe)というイスラム教ベクタシ派のモスク、南端を美しいハドゥミ・モスク(Xhamia e Hadumit)に挟まれた通りが、ジャコヴァの人々の誇りであるバザール(市場)です。
かつては市場として栄えていたジャコヴァのバザールですが、コソボ紛争で壊滅的な被害を受けてしまいました。
現在では見事に再建されたバザール。
市場ではなく、オープンカフェやレストランが連なるレトロな雰囲気の通りとして機能していて、シーシャ(水タバコ)を吸うローカルの人々で賑わっています。
アジア人はかなり珍しく、10m歩くごとに「こっちへ来てみろ!これ食え!」と謎の食べ物のおすそ分けをいただくほど。
コソボの人々の人懐っこさは、ヨーロッパのそれとは一線を画していて、もはやアジアを感じさせるほどです。
バザール南端に位置するのが、美しい装飾が施されたハドゥミ・モスク。
そのミナレット(尖塔)は町のどこからでも見られ、ジャコヴァのシンボルのような存在です。
モスクの装飾は圧巻のひとこと。
イスラムの芸術の美しさと優雅さは、キリスト教文化圏がどう頑張っても真似できないものだと思います。
バザールを南に下り、ハドゥミ・モスクを過ぎたあたりから、ジャコヴァのレトロな木造の町並みが姿を現してきます。
日曜日に訪れたためか、人影はほとんどありません。
多くのお店も閉まっていますが、それが逆に京都感を強くしている印象を受けます。
もはや日本でしかない!レトロな通りをそぞろ歩き
バザールを抜けた通りに入った時ののぶよの第一印象は「なんか京都っぽい…!」でした。
(ジャコヴァに来たのはコソボ紛争の被害を受けた建物を見るのが目的で、こんな町並みがあるなんて夢にも思っていませんでした。)
それもそのはず。
通りに面した多くの家が木造で、昔懐かしい雰囲気を醸し出しているのです。
日本だったら確実に、伝統家屋保存地区として整備されていそうですが、ジャコヴァの古い町並みはあくまでも素顔のまま。
綺麗に整備されすぎて、古いんだか当たらしいんだか分からないような日本の伝統的な町並みとは一線を画しており、良い意味でレトロな味わいがあります。(悪く言えば、手つかず。)
「古き良き町並み」を売りにしている場所の多くは観光地化されていて、お土産屋や観光客向けのレストランが並んでいることが多いのですが、ジャコヴァの場合は当てはまりません。
コンピューター屋や八百屋、帽子の修理屋など、ジャコヴァの人々が毎日やってくる商店街のような役割を果たしているのです。
観光地化された町では味わえない、「本来の古い町並みに息づく人々の生活」を存分に味わうことができる。
これはかなり大きな魅力と言えるのではないでしょうか。
相変わらず人影はまばらで、静寂が通りを支配しています。
なんだか古き良き日本にタイムスリップしてしまったような気分になります。
ここがヨーロッパだと信じられなくなるような木造建築が連なる通りで、まるで日本にいるような錯覚を覚えたと思ったら、目に入るのはモスクの尖塔やアルバニア語の看板。
モスクからはアザーン(イスラム教の礼拝時間を知らせる大音量の声)が響き渡り、ここがコソボであることを思い出させてくれます。
異国情緒を感じながらも、どこか懐かしさを覚える不思議な感覚の街歩きに大満足でした。
ポルトガルから世界半周を初めて6か月ほどになるのぶよですが、ここまで「日本」を感じた町並みは初めてでした。
しかも、こんなに素晴らしい町並みなのに、ガイドブックに載っていて多くの観光客が訪れるような場所ではないのがすごいところ。
おばあちゃん家の縁側で、スイカを食べながら線香花火をしたくなりました(笑)
味わいのある木造建築や漆喰の壁が連なる路地。
こんな規模の古き良き町並みが、観光地化されておらずほとんど知名度がないという点に、コソボという国が持つポテンシャルを感じずにはいられませんでした。
コソボ各都市~ジャコヴァの行き方。アクセス
のぶよの場合は、コソボ西部の第三の都市・ペーヤ(Peja)を拠点に、世界遺産のデチャニ修道院とジャコヴァを日帰りでまわりましたが、他の都市間を移動しながらジャコヴァに立ち寄って観光することも可能です。
ジャコヴァのバスステーションには荷物預かり所があるので、大きい荷物があっても問題なく観光することができます。
コソボ国内の都市間移動は、どこへ行くのでも最大で2時間。
都市間を移動しながら、デチャニ修道院とジャコヴァに立ち寄って観光するのも、効率が良くおすすめです。
ジャコヴァのバスステーションは、紛争後に再建された新市街に位置しており、観光の中心となるバザールまでは徒歩10分ほど。
新しい街並みが徐々に古い街並みに変わっていくのを、歩きながら実感することができます。
ジャコヴァ〜プリシュティナ間のバス移動
コソボの首都・プリシュティナとジャコヴァ間は、30分に1本ほどバスが運行しています。
本数が多いので、プリシュティナからの日帰りも問題なくできます。
所要時間:1時間半
料金:€4(=¥472)
ジャコヴァ〜プリズレン間のバス移動
コソボ南東部に位置する古都・プリズレン~ジャコヴァ間は、30分に1本程度バスが運行しています。
こちらもプリズレンを拠点に日帰りでの往復が可能です。
また、プリズレン~ペーヤを移動しながら、ジャコヴァとデチャニ修道院に立ち寄って観光するのもおすすめです。
所要時間:1時間
料金:€2(=¥236)
ジャコヴァ〜ペーヤ間のバス移動
コソボ第三の都市・ペーヤとジャコヴァ間は、15分に1本ほどバスが運行しています。
プリズレンへの移動がてら、ジャコヴァとデチャニ修道院へ立ち寄って観光することもできます。
所要時間:1時間
料金:€2.5(=¥295)
デチャニ~ジャコヴァ間のバス移動
世界遺産のデチャニ修道院があるデチャニ(Deqani)の町は、ペーヤとジャコヴァの中間に位置しており、この区間を結ぶバスは必ず停車します。
ジャコヴァからはデチャニ終点のバスはなく、ペーヤ行きのバスを途中下車してのアクセス。
デチャニの中心街から世界遺産のヴィソキ・デチャニ修道院までは、徒歩20分ほどです。
所要時間:30分
料金:€1.5(=¥177)
おわりに
まさに、「隠れた観光スポット」の名にふさわしいジャコヴァ。
観光地化はほとんどされておらず、観光案内所はおろか、観光客の姿を見かけることもほぼありません。
しかし、ジャコヴァの町の観光地としてのポテンシャルはかなり高めだと思います。
紛争の被害を免れた古い町並みは、ほとんど整備されていないものの、それが逆にいい味を出しています。
ジャコヴァの人々は、コソボの他の町と同様か、それ以上にフレンドリーで温かい人ばかり。
アジア人はかなり珍しいので、歩いているとやたらと声をかけられます。
カフェで座っていた若者グループに、なぜかラキ(蒸留酒)をごちそうになったり、モスクで休憩していたおじいちゃんに笑顔で手を振られたり。
懐かしくなる町並みの中に息づいていたのは、私たちが忘れかけている温かい人と人とのふれあいでした。
2~3時間ほどあれば十分に満喫できる規模のジャコヴァ。
世界遺産のデチャニ修道院も近くにあって、あわせて観光することも可能なので、効率よく観光スポットをまわることができるのもポイント高めです。
のぶよ的に、ジャコヴァはこの先絶対有名になり、多くの観光客が訪れる町になると思います。
素朴な魅力が感じられる今がチャンス!
ジャコヴァへ、そしてコソボへ旅行してみてはいかがでしょうか。
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