ジョージア旅行前に!安全のための10の注意点
記事前半では、ジョージアの都市別の治安状況や、コロナ禍の先のジョージア旅行について解説してきました。
コロナウイルスの流行というイレギュラーな状況が続いてはいるものの、基本的に安全な旅行・滞在ができる国であることがお分かりいただけたと思います。
しかしながらジョージアは、日本の常識が通じないこともある外国であることを忘れてはいけません。
ここからは、実際の経験から、安全なジョージア旅行のための注意点やアドバイスを10個解説していきます。
ジョージア旅行の注意点①:喧嘩には近づかない
治安に関してはあまり用心しすぎる必要がないジョージアですが、市場など多くの人が集まる場所ではローカル同士の喧嘩が多発します。
・常連客を奪われた
・金銭トラブル
・単に気に食わなかった
など喧嘩の原因は様々ですが、良い歳をした大人が両手をバタバタさせながら怒鳴り合っている場面にしばしば遭遇します。(もはや喧嘩が多すぎて風物詩レベル)
口喧嘩だけならまだしも殴り合いになることもよくあるよう…
旅行者が喧嘩をふっかけられることはまずないでしょうが、大声を出して罵倒しあっている人達に遭遇したら、巻き込まれないためにも近づかない方が良いでしょう。
ジョージア旅行の注意点②:周辺国の情勢に注意しておく
現在でこそ国内の治安状況は安定しており、政治的混乱も比較的少なめなジョージアですが、ここは古くから多くの大国が争いを繰り広げてきた「文明の十字路」・コーカサス地方。
21世紀になった現在でも、ジョージアは地政学的にかなりの不安定要素を抱えている国です。
北にロシア、西にトルコ、南にイランというこの地域の大国に挟まれており、周辺国の政治・軍事状況は無関係ではありません。
(特にトルコとロシアはいつも睨み合っている感があるので、最新情報を得るようにしましょう。)
また、ジョージアとともにコーカサス3国を構成するアルメニアとアゼルバイジャンは、ソ連からの独立以来の犬猿の仲の国。
2020年秋にナゴルノ・カラバフ共和国の帰属権を巡って、この二国間で大規模な紛争が起こったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
・アルメニア:ロシアが後ろ盾
・アゼルバイジャン:トルコが後ろ盾
と、周辺の大国の思惑も複雑に絡み合うので、万が一隣国のどれかが有事の際には、ジョージアにも確実に影響があります。
ジョージアの国内の情報のみならず、周辺国の政治・軍事的な動きを注視しておかないと、万が一の際に自分が困ることになってしまいかねません。
ジョージア旅行の注意点③:最も注意すべきは…車
治安状況やら周辺国の動向やら、ジョージア旅行の際には色々と注意しなければならない点はあります。
しかしながら、最も注意が必要なのは車。
ジョージアの交通マナーの悪さは尋常ではなく、速度超過・信号無視・逆走なんて日常茶飯事です。
青信号だと思って横断歩道を渡っていると、信号無視の車が走り抜けていった場面も数回経験しましたし、ウインカーも出さずに猛スピードで角を曲がってきた車にぶつかりそうになったこともあります。
また、歩行者優先という概念はほぼゼロで、ドライバーが歩行者に道を譲ることはほぼありません。
歩行者も歩行者で、横断歩道以外の場所で無理やり渡ったりとやりたい放題。
トビリシなど大都市では、そのカオスっぷりに驚くことでしょう。
こんな交通マナーの国なので、事故もかなり多いよう。
ボンネットが大破していたり、明らかに追突されて側面がへこんだ車もかなり多く見かけます。(修理代をケチってそのまま乗っているようです)
タクシーに乗車する際も、あり得ないくらいのスピードを出して他の車を無理やり追い抜こうとするドライバーもかなり多く、寿命が縮む体験ができるかもしれません(笑)
とにかく、ジョージアでは車に要注意。
歩行者としても、車の乗客としても、です。
ジョージア旅行の注意点④:料金は事前確認が必須
一部欧米圏の先進国を除き、海外旅行の基本中の基本ではあるのですが、ジョージアでは料金の事前確認をお忘れなく。
某ピラミッドの国のような明らかなぼったくりこそ珍しいですが、近年の観光・移住ブームによって外国人が増えた結果、一大観光地とされる場所では悪徳タクシードライバーやぼったくり宿なども増えてきています。
面白いのが、トビリシやバトゥミなどの都市部よりも、のんびりしていそうな地方部の方が観光客へのぼったくりが多い点。
特に、「ジョージア観光最大のハイライト」として多くの旅行者が訪れるスヴァネティ地方やカズベキでは、金に目が眩んでしまった地元の人も残念ながら増えてきている印象を持ちました。
など、のぶよが耳にした話や実体験だけでもこんな感じなので、実際はもっとひどいと思います。
また、各都市にある市場では基本的に外国人はぼったくられるものと考えておきましょう。
・1kg分の野菜を購入したのに、実際はちょっと軽い
・地元プライスの5倍ほどをふっかけられる
とはいえ、市場でのぼったくりは微々たるもの。(日本円にして数十円とか)
のぶよ的にはあまり目くじらを立てても…という感じではありますが、相場に比べて高すぎると感じた場合は料金交渉をしてみる/「じゃあいらない!」とはっきり断るのもアリだと思います。
ジョージア旅行の注意点⑤:旅するならロシア語かジョージア語は必須
はっきりと言ってしまいますが、ジョージアは英語がかなり通じにくい国です。
トビリシの観光客エリアで外国人相手に働く若い世代の人を除けば、英語で意思疎通できる人は10人中1人いるかどうかというレベル。
地方部に行くとさらにハードで、数字ですら英語で通じないのが普通です。
英語が通じないだけではなく、文字すら異なるのもジョージアを旅する上で厄介なところ。
独自のジョージア文字が使われており、マルシュルートカ(乗り合いミニバス)の行き先や商店での値札などはジョージア文字表記オンリーであることがほとんどです。
最近ではGoogleレンズ等を用いて解読する技術も発達してきてはいるものの、ジョージア文字はフォントで形が大きく変わるため、スマホが認識してくれない場合も少なくありません。
さらに、ジョージア語~日本語間の機械翻訳はとにかく精度が低いのも難点。
翻訳アプリを通しても言いたいことが伝わらなかったり、間違って伝わってしまうこともザラにあります。
文字が読めるだけでも旅の難易度はかなり下がりますし、簡単なジョージア語の表現くらいは覚えておくのが便利です。
また、30年前まではソ連の支配下にあったジョージアでは、ロシア語が問題なく通じます。
(ロシア語で話して嫌な顔をされた経験は、個人的にはない)
その通用度は凄まじく、30代~40代以上の世代ならほぼ100%ロシア語が話せると断言できるほど。
公園で昼間から飲んだくれてるおっさん達でもロシア語とジョージア語のバイリンガルなんて、なかなかすごいですよね。
とにかく、「ジョージアでは英語は通じない」と考えておくのが良いでしょう。
・数字と挨拶くらいはジョージア語で言えるようにする
・ロシア語の基本会話を勉強しておく
といった対策をしておくのが良いと思います。
ロシア語は旧ソ連構成国ならどこでも使え、お隣のアルメニアやアゼルバイジャン、中央アジア、東欧など、ジョージア以外の国に旅する際にも役立ちますよ!
ジョージア旅行の注意点⑥:マルシュルートカ利用時は覚悟の上で
ジョージアを訪れた外国人の間で話題になることが多い、「マルシュルートカには気をつけろ!」。
これはぼったくりなどに気をつけろという意味ではなく、文字通り「命に気をつけろ」という意味です(笑)
③の「最も注意すべきは…車」の項で解説しましたが、ジョージアはとにかく交通マナーがカオスで運転が荒いです。
中でも「運転の荒さ部門最優秀賞」なのが、マルシュルートカ(乗り合いバス)のドライバー。
彼らは時給で働いているわけではなく、「○○から○○まで車を走らせていくら」という出来高制のような感じで給料を得ています。
そのため、できるだけ早く目的地に到着してしまった方が労働時間が少なくなるわけです。
なので、マルシュルートカはあり得ないくらいの猛スピードで走ります。
法定速度など完全に無視。無理な追い越しなどヒヤヒヤさせられる場面が多いです。
のぶよ自身は事故に遭ったことはありませんが、対向車線のマルシュルートカが横転&大破し、負傷した乗客が救急処置を受けている、結構な規模の事故を目撃したことも。
事故に遭わなくとも、車に酔いやすい人にとっては、縦に横にガッタガタ揺れながら走る乗車率100%のミニバスなんて地獄でしょう。
運転が粗いドライバーに当たるかどうかは運ですし、いくら気をつけていても仕方がないもの。
しかし運転の荒さが余りにもひどいようなら、スピードを緩めるように運転手に言うのが良いでしょう。(運転手の機嫌は最悪になるでしょうが、事故に遭うよりはましです)
移動時のリスクを最小限にしたいのであれば、マルシュルートカの利用を控えるのも一つの手。
・大型バス
・鉄道
・タクシーチャーター
大型バスと鉄道は一見便利そうですが、トビリシ~クタイシ~バトゥミなどの大都市間しかカバーしていないのがネック。
地方部の村やコーカサスの山岳エリアへのアクセスには、路線自体がなく使用できません。
ジョージア地方部をマルシュルートカ以外の交通手段で移動するなら、残る方法は個人のタクシーをチャーターするのみ。
タクシーチャーターの料金は、マルシュルートカ利用時の10倍以上と高額ですが、背に腹は代えられないこともあると思います。
ジョージア旅行の注意点⑦:(女性の場合)セクハラに注意
あまり「男性だから○○」「女性なら○○」といった表現を使いたくはないのですが、あえて言います。
あなたが女性の場合は、町などで声をかけてくる現地人男性には気をつけるに越したことはありません。
トビリシではセクハラや恫喝などの被害にあった女性の話はよく耳にしますし、地方部においてもそれは同じ。
というのも、厳格なキリスト教社会であるジョージアでは、男女問わず性にオープンであることは良しとされないもの。
しかしながらこれが都合よく解釈され、「外国人の女性なら性にオープン=気軽に手を出しても良い」という偏ったイメージが定着している場合があるためです。(特に地方部)
また、トビリシなどの都市部ではタイ式マッサージのお店が結構あり、中にはいかがわしいサービスをしている場所もあるそう。
これも一種の人種差別でしかないのですが、アジア人女性を見ると「タイ・マッサージ=簡単に行為に及べる」という失礼極まりないイメージを持つ現地人もいます。
とにかく、「ジョージアの人はみんな良い人だから!ホスピタリティーの国っ!」と信じ切って、声をかけてくる男性にホイホイついていくなんて危険極まりない行為。
実際に、日本人女性旅行者がトビリシでタクシーに乗車中やバーに滞在している際に危うく性被害に遭いかけたという話もちらほら耳にします。
もちろん、根っからの優しさや外国人に対する純粋な興味で声をかけてくる人が大半ではあります。
しかし人を見る目が養われている自信がないのなら、まずは疑ってかかるのが自分自身のためではないでしょうか。
ジョージア旅行の注意点⑧:ATM利用時は銀行内部のものを
ジョージアに限らず、ヨーロッパ(特に中欧・東欧)を旅する際には当たり前のことなのですが、ATMから現地通貨を引き出す(キャッシング)場合は、できる限り銀行内に設置されたものを利用しましょう。
カード情報を盗んで不正利用するスキミング被害に遭わないようにするためです。
現在のところ、ジョージアまではスキミング技術が到達していないと言われはするものの、近年の観光ブームによって状況が変わってきている可能性だってあります。
キャッシング時やクレジットカード利用時も、万が一に備えて明細やレシートを保管しておくのがベストだと思います。
ジョージア旅行の注意点⑨:政治・領土問題の話題は避けた方が良い
②の「周辺国の情勢に注意しておく」の項で、ジョージアの地政学的な不安定さについて解説しましたが、不安定なのは周辺国だけではありません。
ジョージアには、2か所の未承認国家、1か所の自治共和国、1か所の領土係争地が存在しており、国内情勢も完全に安定しているとは言えないのです ▼
アブハジア / 南オセチア の二つの地域は、ジョージア政府の実効支配が及んでいない「未承認国家」と表される地域で、日本国外務省からも危険情報が発令されています。
アブハジア:ロシアの後ろ盾によって勝手にジョージアからの独立を宣言した地域。
かつてはジョージア国内でビザを取得すれば外国人でも渡航できたのですが、2024年1月現在はコロナウイルスの影響で外国人は渡航不可となっています。
南オセチア:2008年に起こった紛争の結果、「ロシアによる不法占拠」がされている地域。
何人たりともジョージア側から渡航することは一切できません。
アジャラ自治共和国:バトゥミを中心としたトルコ国境に近い地域で、イスラム教徒の人口が多い。
こちらは現在何の問題もなく渡航できます(特別なビザ等も必要なし)が、かつては独立運動や中央政府との対立があった地域。
この先、独立運動が再燃する可能性は限りなく低いですが、「他地域とは異なる行政システムの”自治共和国”」という点は覚えておきましょう。
ダヴィット・ガレジ:世界遺産に指定された岩窟修道院がある観光名所。
アゼルバイジャンとの国境の真上にある地理的条件から、領土論争の的に。
小規模な戦闘などに発展する可能性は高くはないものの、ゼロでもありません。
また、ダヴィット・ガレジ修道院のどのエリアまでアクセスできるかは、状況が日々変化している(2024年現在はハイライトとなる修道院の上まではアクセス不可だったそう)ため、観光する際は現地で最新の情報を入手するようにしましょう。
上に挙げた領土問題や歴史的諍いの舞台となった地域の他にも、多くの民族が居住するジョージアならではの注意点も。
ジョージア南部にはアルメニア人コミュニティーやアゼルバイジャン人コミュニティーが点在しており、両国の政治・軍事状況によっては情勢が不安定化することも考えられます。
2020年にアゼルバイジャンとアルメニア間で勃発したナゴルノ・カラバフ紛争時には、これらの地域でも本国に帰還して参戦しようとする義勇兵や、敵国への物流を妨害しようとする住民の姿が報じられ、かなり危うい状況となっていました。
このように、ジョージア国内を少し見回しただけでも、領土や政治に関する問題は山積み。
いち外国人である私たちがきちんと理解できるものでもなく、誰がどんなバックグラウンドを持っているかもわからないもの。
(アルメニア系ジョージア人/ロシア系ジョージア人など見た目では絶対にわからないほどに色々な人がいます)
政治や領土問題、周辺国の状況などのトピックについて、現地の人と安易に語ろうとするのは避けた方が良いと思います。
ジョージア旅行の注意点⑩:山岳エリア旅行時は、天候や野生動物への注意をする
ジョージア旅行の最大のハイライトと言えば、コーカサス山脈が織りなす絶景や、伝統的な村の生活が残る山岳部エリア。
最近では大型のリゾートホテルなどが徐々に整備されつつある地域もあり、流行の「ワーケーション」のようなスタイルでのんびりと滞在することも可能です。
しかしながら、コーカサスの大自然を100%満喫するなら、ハイキングやトレッキングなどのアクティビティーははずせません。
ジョージア山岳部の色々なエリアを自分の足で歩いてきたのぶよですが、意外にもトレッキングコースはしっかりと整備されていて、初心者でも問題なく歩けるコースが多かったことには驚きました。
装備がバッチリでなくても、手軽に大自然を味わえるのは大きな魅力ですが、天候と動物への注意は絶対に必要だと思います。
トレッキングをするなら、季節や天候は最重要。
天気が悪いとせっかくの絶景も見劣りしてしまいますし、足場が悪くなってリスクが増すこともあります。
また、春先などは雪が解けて川が増水することが多いので、橋が流されてしまって先に進めなくなってしまうことも。
大自然の中に身をおくのであれば、綿密なプランニングと余裕を持った日程がマストです!
ジョージア山岳部の気候や観光ベストシーズンに関しては別記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。 ▼
また、山岳部をトレッキングする場合は野生動物への注意もお忘れなく。
コーカサスの山には多くの野生動物が生息しており、中には熊、毒ヘビ、ハチなど人間にとって危険なものもいます。
のぶよ的に野生動物よりも嫌なのが、牧羊犬。
人口が少ないジョージア山岳地域では、羊やヤギ・牛などの家畜は放牧され、それらを守るための牧羊犬が番をしていることが多いです。
何が問題なのかと言うと、この牧羊犬がかなりの大型犬で狂暴なこと。
家畜の群れに近づくもの=敵とみなすため、トレッキングをしているとものすごい剣幕で吠えかかってくるのです。
ジョージアの山岳地域の牧羊犬は、コーカサス地域原産のオオカミのような巨大な犬であることも多く、初めて見た人は絶対に腰を抜かしてしまうレベル。
基本的にこちらが何かしない限りは攻撃してこないように教育されてはいますが、相手は動物。
予期せぬ行動を見せる場合も考えられます。
(毎年、牧羊犬に攻撃されるトレッキング客が数人でるそう)
これくらいしか対処法がなく、牧羊犬ばかりはどうしようもない面もあります。
(のぶよは各地で吠えられすぎてもはや慣れた)
不安な場合は地元出身の山岳ガイドをつけるのも一つの手。
そのエリアに詳しい地元の人と一緒にトレッキングをする方が、心理的にも体力的にも安心ですし、牧羊犬への対応も手慣れたものです。
おわりに
近年話題になっているジョージアの治安や、旅行時の注意点などを詳細に解説してきました。
全ての情報は、ジョージアに4年間滞在している経験や、のぶよ自身の肌感に基づいているので、これからジョージアへ渡航しようと考えている人のお役に立てたはず。
ジョージアは、決して初心者向けの国ではないものの、旅行に必要な最低限の注意さえ払っておけば安全と言える国。
気を付けるべきところは気を付けて、でも現地の人との触れ合いも忘れない…そんな絶妙なバランス感覚で旅するのが理想的です。
コメント
そろそr旅行したくなってきた頃に記事メッサ出してくれるの超助かりまする。。。
PpPpPp様
コメントをいただきありがとうございます!また、お返事が遅くなりまして申し訳ございません。
そろそろ、以前のように旅行がしやすい状況になってきた今日この頃、ぜひとも当ブログ内の記事をご参考いただければ何よりです!