こんにちは!トルコを東に移動中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
トルコ北西部に位置するガリポリ半島は、エーゲ海に突き出した独特な地形が特徴的な場所。
ヨーロッパとアジアを隔てる場所としては、イスタンブールのボスポラス海峡が有名ですが、ガリポリ半島が面するダーダネルス海峡もその一つ。
トロイの木馬伝説で有名なトロイ遺跡やチャナッカレの町があるアジア側の陸地がすぐ目の前に見えるガリポリ半島ですが、こちら側はれっきとしたヨーロッパ。
船でたったの15分でアジアとヨーロッパを行き来できるのです。
そんな地理的な特徴から、ガリポリ半島は古くから軍事的に重要な場所とされてきました。
オスマン帝国が連合国と戦った第一次世界大戦では、イギリス軍やフランス軍との戦いの舞台となり、大きな被害を受けることとなります。
ガリポリ半島には、第一次世界大戦の記憶を現在に伝えるミュージアムや記念碑が点在しています。
しかし、各スポットを結ぶ公共交通手段があまり発達していないため、個人ではかなりまわりにくいのが難点。
広大なエリアに点在する観光スポットをまわるには、車を借りるか現地ツアーに参加するかしか方法がないのが現状です。
しかし、諦めるのはまだ早い!
ガリポリ半島の一部の町へは、対岸のチャナッカレから船で簡単にアクセスでき、見どころの一部を見学することが可能なんです。
その一つが、キリトバヒル(Kilitbahir)という小さな村。
チャナッカレからたったの15分でアクセスできるこの場所には、オスマン帝国時代の栄光が残る巨大な城と、第一次世界大戦の記憶を伝えるスポットが点在していました。
キリトバヒルの見どころ
キリトバヒルはとにかく小さな村で、今回紹介する見どころへは全て徒歩でのアクセスが可能です。
食事する場所も数えるほどしかなく、商店の類も限られているので、必要なものはチャナッカレ側から持参するのをおすすめします。
キリトバヒル観光地図
緑:フェリー港
黄色:バス停
青:見どころ
キリトバヒル城
チャナッカレの町からキリトバヒルがあるガリポリ半島を眺めたとき、必ず目に入る巨大な城がキリトバヒル城(Kilibathir Kale)。
その頑丈そうで無骨な外観は、かなりの存在感を放っています。
オスマン帝国がイスタンブールを支配下に置いた後の1461年に、当時のスルタン・メフメト2世により建造されたもので、ダーダネルス海峡を挟んだ対岸のシメンリク城と対になる場所に建てられました。
↑対岸のチャナッカレの町にあるシメンリク城
その理由はただ一つで、海上交通の重要拠点であるこの地の防衛を完璧なものにすること。
北に位置する黒海と南の地中海を行き来する船は、必ず二つの城塞に挟まれたダーダネルス海峡通過することとなるため、怪しい船には全てこの場所で対処できたのです。
始めは城内部のクローバー型の部分のみだったキリトバヒル城ですが、後のスルタン・スレイマン1世の時代には拡張整備され、二重の城壁を持つ鉄壁の要塞が出来上がりました。
↑独特な形のキリトバヒル城
オスマン帝国における城は、ヨーロッパにおける城とはその概念が少々異なっていたこともポイント。
ヨーロッパで「城」というと、軍事的拠点や王族が生活する特別な場所といった感覚のものが多いのですが、オスマン帝国の城はただの軍事的要所としての役割のみならず、一般市民の生活の場としての機能も備えていました。
↑城塞内にあるモスクの跡
城内にはモスクや市場など生活に必要な場所が整備され、城の周辺も含めて、多くの人が城を生活の中心としてきたのです。
日本の城下町の定義に少し似たものを感じますね。
キリトバヒル城の展示は、オスマン帝国時代の文化、特にキリトバヒル城周辺での人々の生活や文化に焦点が当たったものとなっており、当時の文化に興味がある人にとってはかなり面白いと思います。
キリトバヒル城で絶対に見逃してはならないのが、その頑丈そうな城を取り囲む城塞からの絶景を眺めること。
巨大な城全体が眺められるのはもちろんのこと。
すぐ目の前にはダーダネルス海峡と、チャナッカレの町があるアジア大陸が広がります。
どうしてこの場所にこんな頑丈な城が建てられたのか、その理由がすぐに理解できることでしょう。
インフォメーション
キリトバヒル城
営業時間:
料金:15TL(=¥273)
ナマズガー要塞
キリトバヒル城の南側、ダーダネルス海峡の目の前にあるのが、ナマズガー要塞(Namazgah Tabyası)です。
まるで古墳のように見える建造物がいくつも並んでいる光景は、何だかとてもミステリアス。
18世紀にハンガリー系フランス人のトット男爵によって築かれたナマズガー要塞は、その名の通り海上防衛を担う要塞として建設されました。
古墳のように見えるものは、兵士が銃を構えた状態で海上の敵を攻撃するためのシェルターのようなもの。
↑キリトバヒル城から眺めるナマズガー要塞
こんな要塞を建設したにも関わらず、実際の戦闘においてはあまり役に立つことはなかったナマズガー要塞。
1915年3月18日に起こったチャナッカレの戦いにおいては、16基設置されていた銃器のほとんどが整備不良で、2つしか使えなかったという話が残っています。
↑チャナッカレの戦い
ケマル・アタテュルクの指揮によって、チャナッカレの戦いとガリポリの戦いには勝利したオスマン帝国ですが、結果的に第一次世界大戦において連合国軍に敗北し、不平等条約を批准することとなるのです。
偉大なるセイートの記念碑
キリトバヒルの村はずれの海沿いにぽつんと佇むのが、偉大なるセイートの記念碑(Seyit Onbaşı Anıtı)と呼ばれる像。
セイートとは、1915年3月18日に連合国軍がダーダネルス海峡へ侵攻した際に、重さ200km以上の砲弾を抱えて戦闘の最前線まで運ぶことで、防衛の成功に大きな役割を果たした人物です。
トルコではかなり有名な人物で、民族の誇りとして多くの人に愛され続けています。
メシディイェ廟
偉大なるセイートの記念碑のすぐ近くの高台にずらりと並ぶのが、メシディイェ廟(Mecidiye Tabyası)と呼ばれる場所。
19世紀後半、オスマン帝国最後のスルタン・アブドゥルハミト2世統治時代に、先に紹介したナマズガー要塞同様に海上防衛の拠点として建設されたものです。
1915年3月18日のダーダネルス侵攻の際には、連合国側による攻撃対象となり、敷地のほとんどが爆撃されることとなります。
キリトバヒルへのアクセス
↑キリトバヒルのフェリー港
キリトバヒルへのアクセス拠点は、ダーダネルス海峡を挟んで目と鼻の先にあるチャナッカレが基本。
チャナッカレ港から30分に1本の頻度で、ヴァプール(vapur)と呼ばれるフェリーが走っているので、とても簡単にアクセス可能です。
↑チャナッカレ~キリトバヒル/エジェアバト間のフェリー時刻表
チャナッカレ~キリトバヒル間フェリー
所要時間:15分
料金:3TL(=¥54)
キリトバヒルからガリポリ半島の他の見どころへ
キリトバヒルは、ガリポリ半島の中央部に位置することもあり、半島内に点在する第一次世界大戦関連のスポットと一緒にまわるのが理想的。
公共交通機関が発展していないガリポリ半島では、一日で主な見どころを全て個人でまわることは不可能。
時間に限りがある場合は、チャナッカレやイスタンブール発の現地ツアーに参加するのが最も効率が良いでしょう。
個人ではまわりにくいガリポリ半島の見どころとトロイ遺跡を効率良くまわるなら、現地ツアーの参加が圧倒的におすすめ。
交通手段を考える必要がないので、とても便利ですし、ガリポリ半島に点在する観光スポットをまわる唯一の手段でもあります。
ガリポリ半島&トロイ遺跡エリアはイスタンブールからもさほど遠くないため、イスタンブールからの日帰りor宿泊ツアーも出ているのも魅力的です。
キリトバヒルの北5kmほどの所にあるエジェアバト(Eceabat)から、ガリポリ半島最南端に位置するセッデュルバヒル(Seddulbahir)村までは、本数は少ないもののミニバスが出ています。
この路線を走るミニバスはキリトバヒルを必ず経由するので、ガリポリ半島南部のモニュメントなどに足をのばす場合は個人でも行けないことはありません。
↑キリトバヒルの港すぐ前には、ガリポリ半島を走るミニバスが待機している
エジェアバト~セッデュルバヒル間のミニバスの時刻表は、チャナッカレの観光案内所で要確認です。
(のぶよが訪れた際は昼間の時間のみ、1時間おきに1日5往復ほどありました)
ネット規制の影響で、Booking.comでの予約ができないトルコ。代わりの宿泊予約サイトではAgodaがおすすめです。
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おわりに
全く知名度のないガリポリ半島の小さな町、キリトバヒルを紹介しました。
第一次世界大戦のスポットに興味がある人にとっては、必ず訪れたい場所の一つであることは言うまでもありません。
反対に、近代史に興味がない人にとっては「なんのこっちゃ」感しか漂っていないようなスポットですが、それでもキリトバヒル城だけは訪れる価値があります。
その無骨な外観は、軍事に力を入れていたオスマン帝国を象徴するような佇まい。
これまでヨーロッパで様々な城を見てきたのぶよですが、かなり満足感が高かった城の一つとなりました。
同じく第一次世界大戦の影響を多きく受けたチャナッカレの市内観光と組み合わせて楽しむのもおすすめなガリポリ半島。
トルコの近代史を感じたいなら、ぜひ訪問したい場所です。
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