こんにちは!再びルーマニアに入国。田舎の風景に毎日癒されている世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ルーマニア北東部に位置する南ブコビナ地方。
伝統的な生活や文化が色濃く残るこの地域には、世界遺産に登録されている五つの修道院があります。
どれも15世紀ごろに作られたもので、外側・内側の壁一面に施されたカラフルなフレスコ画が特徴の素朴な修道院は、他では見られない貴重なもの。
できれば五つ全てを訪れたいものですが、修道院同士を結ぶバスは存在せず、個人でまわるのはかなりハードルが高いです。
基本的にヒッチハイクが移動手段ですから。
拠点となるスチャヴァ(Suceava)からは修道院をめぐる一日ツアーもあるのですが、一人60ユーロ~とやはり料金は高め。
バックパッカーにはなかなか厳しいものがあります。
それでも、世界遺産の修道院を一目見てみたいという人のために、五つの修道院のうち、
・フモール修道院
・ボロネツ修道院
の、個人でも比較的アクセスしやすい二つを紹介します。
とはいってもやはりアクセスは不便。「お金はないけど体力とガッツだけはある!」という旅人向けの記事になっています。
そうでない人は、大人しくツアーに参加しましょう(笑)
グラ・フモールルイ地図
今回紹介する二つの修道院へのアクセスの拠点となるグラ・フモールルイ(Gura Humolurui)の町の地図がこちら。
赤:世界遺産の修道院
黄色:バスターミナル/鉄道駅
緑:フモール修道院行きミニバス停留所
青:ボロネツ修道院方面への分岐点
修道院めぐりの拠点、グラ・フモールルイへのアクセス
今回紹介する二つの修道院観光の拠点は、グラ・フモールルイ(Gura Humolurui)という謎に長い名前の小さな町です。
ここから南へ4km離れたボロネツ修道院へは徒歩で、北に6km離れたフモール修道院へはミニバスでのアクセスとなります。
スチャヴァからグラ・フモールルイへの行き方
南ブコビナ地方の最大の都市・スチャヴァからグラ・フモールルイへは、1時間に1本ほどの間隔でミニバスが運行されています。
運賃は10LEI(=¥263)。
出発は全てスチャヴァのバスターミナルなのですが、グラ・フモールルイでの停車場所はバスによって異なります。
・グラ・フモールルイ終点のバス:グラ・フモールルイのバスターミナル着
・グラ・フモールルイ経由のバス(Moldovenesk行きなど):グラ・フモールルイ中心街、ボロネツ修道院方面への分岐付近停車
(運転手に降りたいところを指定する)
おすすめは、後者のグラ・フモールルイを経由するミニバスに乗ること。
なぜなら、グラ・フモールルイのバスターミナルは、後述のフモール修道院へのミニバスが発着する中心街(Best Westerm Hostel横)から500m、ボロネツ修道院へ至る分岐地点からは1kmほど離れていて、何とも不便だからです。
特に、ボロネツ修道院へは分岐地点から片道4kmも歩かなければなりません。
体力を温存しておくためにも、少しでも修道院に近い分岐地点付近でバスを降りるのがいいでしょう。
グラ・フモールルイからボロネツ修道院へのアクセス
分岐地点でバスを降りたら、ひたすら南へ歩いていきます。
ほぼ一本道なので、迷うことはないでしょう。
片道40~50分の道のりは、ブコビナ地方らしい素朴な村を通るルート。
木造の伝統的な家々や、馬車で移動する人々など、昔から変わらないブコビナ地方の風景に出会えるはずです。
五つの修道院で最も美しい!ボロネツ修道院
宿泊した宿のオーナー曰く、「五つの修道院の中で一番美しい」というボロネツ修道院。
その言葉に偽りはなく、外壁のフレスコ画はとても良好な保存状態でした。
青を基調に、壁一面にびっしりと描かれたフレスコ画。
かなり緻密で、600年前のものだとは信じられません。
とはいっても、リノベーションされてはいるでしょうが。
聖書内の受胎告知やキリストの誕生などの場面ごとに描かれているフレスコ画。
言葉を失うほどに美しいです。
裏側のフレスコ画は、なんだか禍々しい悪魔のようなものが描かれていました。
五つの修道院の中では比較的保存状態が良いボロネツ修道院ですが、一部は風雨にさらされて剥がれてしまったものも。
保存していくのもなかなか大変なのでしょう。
内部は写真撮影厳禁ですが、外側に比べてかなり良好な保存状態のフレスコ画を見ることができます。
他に観光客の姿はなく、カラフルに描かれた神々に見つめられながら、ただ静寂が支配するだけの空間。
キリスト教徒ではなくても、この場所の神聖さを肌で感じられます。
ここに本当に神がいるような、そんな感覚にとらわれました。
正直、往復8km歩くのはなかなかしんどいものがあります。
それでも見ていく価値がある場所だと思います。
インフォメーション
ボロネツ修道院
住所:Strada Voroneț 166, Voroneț 725301
営業時間:全日 8:30~20:00
料金:5LEI(=¥132) ※写真撮影別途10LEI(=¥264)
コメント:修道院なので、現在でもここで祈りを捧げながら暮らしている人たちがいます。半袖・半ズボンなど肌を露出した服装は避け、教会内部の撮影禁止などルールを守りましょう。
また、フレスコ画に触れることも禁止されています。
グラ・フモールルイからフモール修道院へのアクセス
グラ・フモールルイの中心街にある、Best Westernホテル横から、1時間に1本ほどミニバスが運行しています。
所要時間15分ほどで2.5LEI(=¥65)。
フモール修道院前のバス停は終点ではないので、運転手に「修道院に行く」と伝えておきましょう。
降りる場所を教えてくれるはずです。
帰りのバスが何時まであるのかは定かではないものの、のぶよは修道院見学後、16時半ごろにバスでグラ・フモールルイの町まで戻りました。
ひっそりと佇む、小さなフモール修道院
ボロネツ修道院に比べると小さめで、保存状態も良いとは言えないフモール修道院。
1483年建造で、フレスコ画が施されたのは1535年のことでした。
風雨にさらされてきた外壁のフレスコ画の多くは色あせてしまっていますが、屋根で守られた上部の壁には色鮮やかなフレスコ画を見ることができます。
フモール修道院も、教会内部の写真撮影は禁止。
先ほど紹介したボロネツ修道院より小さい分、天井や柱に描かれたフレスコ画をより近くで見ることができます。
フモール修道院の敷地内には、1631年に造られた防御用の塔があります。
この塔へは登ることができるのですが、内部の階段がものすごく急です。
のぶよ的に、「世界で最も危険な階段」のBEST3には入ってきそうなくらい。
塔の最上部からは、フモール修道院を上から眺めることができます。
また、修道院近くの村と、その後ろに構える山々の風景も必見。
フモール修道院にも修道女たちが暮らしており、この日は敷地内に花の球根を植える作業をしていました。
ずっと昔から続くキリスト教の伝統を間近で見られ、とても印象深かったです。
ボロネツ修道院に比べると、小規模で保存状態もあまり良くはないフモール修道院。
しかしながら、のぶよ的にはフモール修道院の方が、中世に建てられた修道院のありのままの姿を見られたような感じがしました。
いくら色鮮やかで緻密なフレスコ画を書いても、時の流れには逆らえないもの。
500年前のままの色あせたフレスコ画を間近で見て、当時に思いを馳せるのも素敵じゃないですか。
インフォメーション
フモール修道院
住所:Mănăstirea Humorului 727355
料金:5LEI(=¥132)
※写真撮影別途10LEI(=¥264)
個人で公共交通機関を利用しての周遊はかなりハードルが高く、数日間を要する五つの修道院。
現地ツアーに参加すれば、専用車で訪問できるので、丸一日ですべての修道院へアクセス可能。
ルーマニア人のホスピタリティーに触れる
「修道院も見学したことだし、さっさとスチャヴァの宿に帰ってビールでも飲むか」
なんて考えていたのぶよ。
しかし、そう一筋縄ではいかないのがルーマニアという国。
ルーマニア人のホスピタリティー(おもてなし文化)や人懐っこさはかなり有名で、その対象は自分の知り合いだけにとどまらず、見ず知らずの外国人にまで向けられます。
なんだか心が温まる、二つの修道院の見学帰りにのぶよが体験した二つのエピソードを紹介します。
なぜかバスの運転手の自宅に招かれる
フモール修道院からグラ・フモールルイへ戻るバスの運転手は、行きと同じおじいちゃんでした。
アジア人が珍しいからなのか、乗客がのぶよ一人だったからなのか、フモール修道院の近くにあるおじいちゃんの自宅になぜか案内されました(笑)
え、バス運転しないでいいの?
おじいちゃん自作の剥製が堂々と飾られた伝統的な家では、おばあちゃんが居て、自家製のTuicaというルーマニア名物のプラムの蒸留酒をいただきました。
このTuica、ルーマニアでは客人をもてなす際に飲まれる食前酒だそうで、以前もブラショフのホステルにいたルーマニア人にごちそうになりました。
そもそもなんでルーマニア人はTuicaを常備してるんだろう(笑)
もはやおもてなしすること前提です。
Tuicaのアルコール度数はかなり強いですが、ほのかに香るプラムの風味が爽やか。
グッと飲み切るのぶよを見て、満足げなおじいちゃんとおばあちゃん。
「どうよ、ルーマニアの伝統もいいだろ?」といった感じ。
その後、普通にバスを運転してグラ・フモールルイの町まで運転してくれたおじいちゃん。
よくわからないけど、ごちそうさまでした!(たぶん剥製を自慢したかったんじゃないかとのぶよは思ってます。)
ルーマニア人のホスピタリティーは有名で、もてなし好き、困っている人を放っておけない、なんて人も多いのだとか。
日本で、バスの運転手が外国から来た旅行者を家に上げて、日本酒をごちそうするなんて話を耳にしたことが果たしてあるでしょうか。
なぜかバーで相席してくる
グラ・フモールルイの町に戻って、休憩がてら入ったバーでの話。
(すでにTuicaを飲んだにもかかわらず)
客はのぶよ一人だけ。
一人でビールを飲んでいると、地元の常連らしいおじさんがやってきました。
そして、他にも空席がたくさんあるのに、なぜかのぶよと同じテーブルに座ります(笑)
おじさんはルーマニア語しか話せないので、意思疎通がなかなか困難だったものの、ポルトガル語で話すと少し会話が成り立ちます。(ポルトガル語とルーマニア語は同じラテン語族のため)
とりとめのない会話でしたが、ルーマニア人にとっては普通のこと。
バーやカフェは社交場の一つなのでしょう。
そこにいるのが言葉の通じない外国人であっても、とにかく絡んでくる。
そんなラテン系のルーマニア人の人懐っこさを垣間見ました。
五つの修道院観光の拠点はどこにする?
多くの旅人が、「スチャヴァとグラ・フモールルイのどちらを拠点として、五つの修道院観光をするか」という問題に突き当たるでしょう。
結論から言うと、
五つの修道院全てへ行くなら、スチャヴァ
ボロネツ修道院・フモール修道院の二つだけ行くならグラ・フモールルイ
をおすすめします。
スチャヴァからは、五つの修道院をめぐるツアーが催行していますし、今回紹介した以外の、残り三つの修道院近くの村まで行くバスが発着します。(そこからはヒッチハイクになりますが)
ボロネツ修道院、フモール修道院の二つだけなら、どちらもグラ・フモールルイ近郊に位置しているので、スチャヴァからの移動時間と料金を考えると、スチャヴァに滞在するのはあまり得策ではありません。
しかし、ホステル等の安宿がなく、ホテルも相場が高めなグラ・フモールルイ。
宿泊費を節約したいなら、ホステルがあるスチャヴァに滞在するのもいいでしょう。
とはいっても、バスで行ったり来たりする交通費を考えると、結局同じような出費になりそうですが。
五つの修道院観光に便利なスチャヴァは、地方都市らしいのんびりとした雰囲気が魅力的。ブコビナ地方の名物料理が味わえるレストランにもぜひ挑戦を!
世界遺産の五つの修道院のうち二つが近郊にあるグラ・フモールルイ。ここを拠点として、タクシーで全部の修道院をまわるという荒技も可能。
おわりに
ルーマニアに来たら絶対に訪れておきたい、世界遺産の五つの修道院。
中世から今に続くルーマニアの人々の信仰心の深さと、神聖な雰囲気に満ちた修道院は、観光地化され過ぎた聖堂や教会では感じられないものです。
ルーマニアの田舎感漂う、南ブコビナ地方の人々のホスピタリティーや郷土料理も見逃せません。
ツアーで修道院だけを駆け足で見学するだけでは見えない、素朴で温かなルーマニアの魅力を、ゆっくりと感じながら滞在するのもいいのでは。
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