こんにちは!ボスニア・ヘルツェゴビナに2週間滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
日本人の間では旅行先としてはかなりマイナーなボスニア・ヘルツェゴビナ。
25年前までは「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれた地域で、泥沼の内戦を経験したこともあって、そのイメージが未だに強いという人もいるかもしれません。
現在のボスニア・ヘルツェゴビナは、安全に旅行できる国です。
東洋と西洋が入り交じったエキゾチックな町並みや、バルカン半島の素朴な雰囲気漂う村、山深い国土を流れる清流でのアクティビティーなどが徐々に注目を浴びつつあります。
クロアチアのスプリットやドブロブニク発の日帰りツアーに参加して、ボスニア南西部の観光名所を周遊するという旅行スタイルはだんだんポピュラーになっていますが、言わせてください。
そんなの、ボスニアじゃありません。
クロアチアの延長線です。
というわけで今回の記事では、「ボスニア・ヘルツェゴビナの観光でできる10のこと」と題して、日本人の間でまだ知られていないこの国の魅力を紹介していきます。
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること1:サラエボでオスマン帝国とオーストリア帝国を同時に感じる
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること2:モスタル旧市街で有名な橋を眺める
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること3:ブラガイでイスラムの聖地を肌で感じる
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること4:ポチテリでオスマン帝国にタイムスリップ
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること5:トラヴニクでバルカン半島で一番美味しいチェヴァピを食べる
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること6:ボスニア料理を堪能
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること7:世界最大のピラミッドに登れる
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること8:世界唯一の滝の上の町に行ける
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること9:世界遺産の橋から清流を眺める
- ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること10:ボスニア内戦を理解する
- おわりに
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること1:サラエボでオスマン帝国とオーストリア帝国を同時に感じる
これまでヨーロッパほぼ全部の国を訪問してきたのぶよ。
(リヒテンシュタインだけ行ったことがありません。)
色々な町をこの目で見てきましたが、「ここなら住める!」と心から感じたのがボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボでした。
首都だけあって、活気にあふれたメインストリートには、オーストリア=ハンガリー帝国風の重厚な建築が並ぶヨーロッパらしい雰囲気。
緑あふれる公園では毎日の生活をのんびりと楽しむボスニアの人々の姿が見られ、平和そのものな雰囲気です。
サラエボがすごいのは、同じメインストリートを歩いていると、それまで重厚な石造りの建物が並んでいたのが、不意に平屋建ての木造建築に変化すること。
このメインストリート東側に位置するのが、オスマン帝国支配時代の町並みがそのまま残った、バシュチュルシャ地区。
本国トルコですらもう残っていないようなセビリ(水飲み場)や銀細工工房などがあり、モスクではお祈りをする地元の人達の姿が見られます。
その雰囲気は、ヨーロッパというよりも「古き良きオスマン帝国の町」そのもの。
観光地化されてはいるものの、名物のボスニア風コーヒーを伝統的なデコレーションのテラス席で楽しむ地元の人の姿も多く見られます。
東洋と西洋が入り混じった町の雰囲気も魅力的なサラエボですが、町のすぐそばに自然が広がっているのもポイント。
360°を山に囲まれた盆地に位置するため、中心街を少し離れるだけで、心休まる自然の中に身を置くことができるのです。
山から流れてくるサラエボの水はとても美味しいことで有名。
サラエボ産のビール、サライェフスコ(Sarajevsko)を飲みながら川沿いでのんびりしていると、きっと「来てよかった」と心から思うはずです。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること2:モスタル旧市街で有名な橋を眺める
観光客の間では、「ボスニア・ヘルツェゴビナ=モスタル」というイメージが強いのは事実。
ボスニア南西部に位置する世界遺産の旧市街を持つモスタルは、ネレトヴァ川沿いに広がる小さいながらも美しい石作りの町が観光客に大人気の場所です。
お隣の超観光大国・クロアチアとの国境からもほど近いという地理的要因もあって、多くの旅行者が国境を越えて日帰りでやってきます。
そのため、昼間のモスタルは阿鼻叫喚の超絶観光地となってしまい、全くおすすめしません。
モスタル本来の魅力を味わいたいなら、最低でも一泊するべきです。
日帰り観光客が去った後の夕暮れの旧市街にぽつりぽつりと灯りだすオリエンタルなランプ
流れる川の音だけが辺りを支配する早朝の町
オスマン帝国時代の雰囲気をそのまま残す、誰もいない路地
きっと、日帰りで数時間観光するだけでは感じることができないモスタルの美しさを満喫することができるでしょう。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること3:ブラガイでイスラムの聖地を肌で感じる
モスタル近郊に位置するブラガイ(Bragaj)は、イスラム教の聖地である修道院がある場所。
古くから聖地として崇められてきたこの場所は、どこまでも澄んだ清流を中心としたこぢんまりとした町です。
青とも緑ともつかない、独特な色をした川は、モスタルの町を流れるネレトヴァ川の源流にあたるもの。
その水が湧きだしているのが、修道院の裏にある洞窟です。
モスタルから個人でのアクセスも簡単で、気軽にボスニアの地方部の美しさが感じられるのも大きな魅力です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること4:ポチテリでオスマン帝国にタイムスリップ
ポチテリを訪れた旅行者は、皆口を揃えてこう言います。
「まるでタイムスリップしたようだ」と。
モスタル近郊にあるポチテリは、ネレトヴァ川を望む山の斜面に開けた石造りの村。
数百年前のオスマン帝国時代に築かれた村の風景がそのまま残る場所として、少しずつ知名度を上げています。
観光地として徐々に多くの人が訪れるようになってきてはいるものの、現在でもこの村で昔ながらの生活をする人々が暮らしているのも見逃せません。
建物や路地、丘の上の廃城塞にいたるまで、村の全てが石造りのポチテリはどこを切り取っても雰囲気抜群。
イスラム教のお祈りの時間になると、モスクから流れ出すアザーンだけが村の静寂を破ります。
21世紀のものとは思えない風景が現実に目の前に広がっていることに、きっと感動を覚えるはずです。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること5:トラヴニクでバルカン半島で一番美味しいチェヴァピを食べる
ボスニア中部に位置するトラヴニク(Travnik)は、カラフルに彩られた可愛らしいモスクが点在している山あいの小さな町。
ボスニア地方部らしい、伝統的な造りの家々も多く点在しており、のんびりとした町のリズムも大きな魅力です。
カラフルなモスクやトラヴゾン城塞などの観光スポットもあるトラヴニクですが、忘れてはいけないのが「ボスニアで一番」と称賛されるチェヴァピ。
チェヴァピとは、バルカン半島の旧ユーゴスラビア諸国でポピュラーな料理で、ひき肉を棒状に固めてグリルしたもの。
レストランはもちろん、グリル料理を専門に扱うお店も多くあるほど、ボスニアの人々に愛される存在です。
ボスニアのどこでも食べることができるチェヴァピですが、トラヴニクのHariというお店のものはとにかく有名。
実際にのぶよも食べてみましたが、確かに感動の美味しさでした。
バルカン半島で一番美味しいチェヴァピだったことは言うまでもありません。
美味しいチェヴァピも、地方部らしい素朴な風景も楽しめるトラヴニク。
観光客にはあまり知られていない穴場の町です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること6:ボスニア料理を堪能
ボスニア料理と聞いて、何か具体的な食べ物がイメージできる人はかなりのマニアでしょう(笑)
上で書いたチェヴァピに代表される肉料理が主ですが、周辺の旧ユーゴスラビア諸国の料理とは一線を画しているのも特徴です。
セルビア料理やモンテネグロ料理など、とにかく肉を焼きまくるのがバルカン半島の食べ物の定番なのですが、ボスニア料理の場合は煮込み料理が多め。
オスマン帝国支配の影響が強かったこともあり、トルコ料理のようにあっさり目の味付けなのもポイントです。
また、イスラム教徒が多いボスニアでは、豚肉を使った料理はほとんど食べられず、基本的に牛肉や鶏肉を使ったものばかり。
牛肉のソーセージなど、他ではなかなか食べられないグルメも要チェックです。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること7:世界最大のピラミッドに登れる
ピラミッドと言えば、紀元前にエジプトで築かれたものが有名ですが、実は世界最大&最古のピラミッドはボスニア・ヘルツェゴビナにあるということをご存じでしょうか。
サラエボの北に位置するヴィソコ(Visoko)という町にそびえ立つ完璧な二等辺三角形をした山は、「ボスニアのピラミッド」として話題になっているのです。
実際に訪れてみると、「これは本当にピラミッド?」と疑問に思うかもしれません。
何しろ、見かけは普通の山ですから。
しかしながら、ボスニアのピラミッド伝説を信じてやまない研究者や弟子たちが現在でも発掘作業(?)を行っているのです。
ボスニアのピラミッドが本当に古代の人が築いた建造物なのかどうかは謎ですが、研究者たちが向いているのはもはや明後日の方向。
というのも、このピラミッド周辺にはヒーリング効果があるそうで、頂上からは宇宙に向けたビームが放出されているそうです。
かなりトンデモ(笑)
しかしながら、そっち方面の人には大人気で、ピラミッドパワーを信じる人々が世界中から集まってヨガや瞑想にいそしむという謎過ぎる光景が広がっています。
ヒーリング効果が本当にあるのかは別として、ピラミッド周辺には美しい山の自然が広がっているのは事実。
サラエボからも簡単にアクセス可能なので、気になる人はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
もちろん、ヨガマット持参で(笑)
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること8:世界唯一の滝の上の町に行ける
ボスニア・ヘルツェゴビナの穴場の観光地として胸を張っておすすめしたいのが、北部に位置するヤイツェ(Jajce)。
大きな滝の上の丘に築かれた中世の町は、一目見たら忘れられないインパクトを与えます。
ダイナミックな絶景が売りのヤイツェですが、オスマン帝国支配以前の中世ボスニア王国時代から続く歴史も見逃せません。
キリスト教国であったボスニア王国時代の聖堂や墓地などが残されており、イスラム教のイメージが強いボスニアという国への見方が大きく変わることでしょう。
クロアチアの国境からもほど近く、ザグレブやプリトヴィツェ湖群国立公園方面へとバスで抜けることも可能という、隠れた交通の要所である点もポイント。
知名度は全く高くありませんが、他の人が行かないような町で自分だけの絶景を探すのも旅の醍醐味の一つなのでは。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること9:世界遺産の橋から清流を眺める
ボスニア・ヘルツェゴビナ東部のセルビア人居住地域は、「セルプスカ共和国」としてその他の地域とは異なる行政システムが敷かれていて、まるで別の国のよう。
(とは言っても越境にパスポートは必要ありません)
セルプスカ共和国内に位置するヴィシェグラードは、世界遺産に指定されたオスマン帝国時代の橋がある山に囲まれた町です。
美しい流れの川に堂々と建つ石造りの橋は、歴史上幾度となく民族対立や戦乱の舞台となったボスニアという国を象徴するような存在。
破壊と再建を繰り返され、現在にその美しい姿を伝えているのです。
橋以外に目立った見どころはないヴィシェグラードですが、ボスニア~セルビア間を移動する際に必ず経由する町でもあります。
素朴で温厚なセルプスカ共和国の人々との触れ合いも楽しみの一つ。
移動の途中にのんびりと立ち寄ってみるのもおすすめな町です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ観光でできること10:ボスニア内戦を理解する
ボスニア・ヘルツェゴビナという国を語る際に、何度も繰り返された戦争の歴史に触れないわけにはいきません。
クロアチアから半日でモスタルの綺麗な所だけを見て、「ボスニア入国~!エキゾチック~!」なんて言っている観光客は、正直何もわかっていないでしょう。
古くから大国の思惑に翻弄されてきたボスニア。
歴史をたどれば、オーストリア=ハンガリー帝国やオスマン帝国の緩衝地点として、有名なサラエボ事件(オーストリア皇太子夫妻が暗殺され、第一次世界大戦の引き金を引いた)の舞台となり、近代ではユーゴスラビアからの独立時の泥沼の内戦を経験しました。
特に、終結から25年しか経っていないボスニア内戦の傷跡は、未だに国中の至る所に見られます。
銃跡がそのままに残されたサラエボの建物
クロアチア人狙撃兵がボスニア人狙撃の拠点とした、モスタルの「スナイパー・タワー」
セルビア人民軍による虐殺が行われたスレブレニツァ
ボスニアのどんな町に行こうとも、20代半ば以上の人はみんな戦争経験者なのです。
特に、セルビア人民軍によって4年間に渡って町が包囲され、物資不足や人的被害が大きかったサラエボでは、泥沼化したボスニア内戦の悲惨さを伝えるミュージアムが多くあります。
いずれも見学して楽しいものでは全くありませんが、つい四半世紀前に起こったおぞましい出来事を自分の目で見て学び、考えることができる貴重な場所でもあります。
現在でも民族対立の火種はくすぶり続けているボスニア。
いち旅行者である私たちも、目をそらさずにこの国の過去を知り、現在やこれからについて考えることが大切なのではないでしょうか。
おわりに
ヨーロッパにありながら、オスマン帝国支配時代の影響を色濃く残したボスニア・ヘルツェゴビナ。
異国情緒漂う町並みや美しい自然などが注目されつつあり、訪れる旅行者の数は年々増えてきています。
西ヨーロッパや中欧の国々に比べると、まだまだ格安で旅行できる国ということもあり、バックパッカーの間でも人気の旅先となっています。
観光客が増えてきていても、ボスニアの人々は素朴で温かい人ばかり。
あまり観光客慣れして擦れている感じもしません。
内戦終結から25年。
治安面でも問題なく旅行できる国になってきており、人々には笑顔が戻りつつあります。
「一度訪れたら、また戻りたくなる」
そんな不思議な居心地の良さを持つバルカン半島の小国の魅力を味わうなら、観光地として大々的な注目を浴びる前の今がチャンス。
穴場の旅行先を探している人に、心からおすすめしたい国の一つです。
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