こんにちは!冬のエレバンにのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
さてさて。アルメニアの素晴らしさについては日々発信し続けている今日この頃ですが、言わせてください。
アルメニア、本当に良いです…!
2021年の初アルメニアを経て、今回は二回目のアルメニア。二回目だからといって見劣りすることも飽きることもなく、日々この魅力あふれる国の素晴らしさを感じています。
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初訪問ではなく二回目となると、初めてのときには見えなかったものや感じられなかったことに対してもアンテナが反応するというもの。
アルメニアに関しても、今回の滞在で一つ気が付いたことがあります。
それは、「アルメニア人って、なんだか色々と日本人に似ている…?」という発見。
最初こそ単なる偶然かと思っていたのですが、それはだんだんと確信に変わっていきました。
もう散々「アルメニア人は本当に全てにおいて几帳面」と言ってるけれど、みんな見てこれ。トマト一個一個の間に紙ナプキン折ったのを緩衝材代わりにして傷まないようにした状態で売られてるの。60数か国行ったけど、ここまで買う人のこと考えて物売ってるのはアルメニアと日本しか知らない。 pic.twitter.com/EotTj2EGYs
— 小山のぶよ🇵🇹『ジョージアローカル食堂探訪記』発売中 (@nobuyo5696) January 31, 2025
宿のアルメニア人女子が「アルメニア産の緑茶買ったゆ!!」と言うので「はん!こんな寒冷高地国の茶とか!」と思いつつ飲んでみたら!!まじもんの緑茶!!日本の味!!しかもアルメニア人、欧州民のように緑茶に砂糖入れたりせず渋いまま飲むとな!!そうここは静岡!!アララト山は富士山!!(幻覚) pic.twitter.com/KLO9o0o6I9
— 小山のぶよ🇵🇹『ジョージアローカル食堂探訪記』発売中 (@nobuyo5696) January 30, 2025
こんな感じで、びっくりする場面に遭遇するたびに色々と垂れ流して「アルメニア=日本説」を布教しているのぶよ。
冗談抜きで、アルメニアで日々生活していると「いやここ…もはや日本なのでは…?」と錯覚するような場面がかなり多くあるのです。
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というわけで今回の記事は、不思議にも日本人によく似ているアルメニア人の気質や習慣、文化にスポットライトを当てたもの。
すべてのぶよ自身の体験を通した主観でしかありませんが、「真面目で、几帳面で、職人気質で、気遣い上手」と称されることが多い私たち日本人との共通点が感じられ、びっくりするかもしれません。
日本から遠く離れたアルメニアという国に興味を持ってもらえれば嬉しいですし、日本ではほとんど知名度のないこの国に対して親しみを感じてもらえればなによりです!
- アルメニア人と日本人そっくり説①:スーパーの包装がもはや日本
- アルメニア人と日本人そっくり説②:衛生観念が高くてもはや潔癖
- アルメニア人と日本人そっくり説③:水を神聖視する風潮
- アルメニア人と日本人そっくり説④:細身の体形とファッションへのこだわり
- アルメニア人と日本人そっくり説⑤:愛想は良いけどプライベートゾーンは広め
- アルメニア人と日本人そっくり説⑥:理想先行型の完璧主義
- アルメニア人と日本人そっくり説⑦:マナー遵守で絶妙な距離感。だけど…
- アルメニア人と日本人そっくり説⑧:凝り性で手先が器用
- アルメニア人と日本人そっくり説⑨:お酒をあまり飲まず、料理はあっさり味好き
- アルメニア人と日本人そっくり説⑩:細やかな気遣いがお化け
- おわりに
アルメニア人と日本人そっくり説①:スーパーの包装がもはや日本
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アルメニアでとにかく驚いたことが、野菜や果物をとにかくびっしりと包装したがること。
人参を数個まとめてラップでぐるぐる巻きにしたり、キュウリを発泡スチロールのトレイにのせてラップした状態で売ったり…と、日本のスーパーの青果コーナも顔負けの過剰包装がされているのです。
一般的には(日本とアルメニア以外の多くの国では)、野菜や果物は裸の状態でどーんと積み上げられているのが普通。
自分で好きな量/個数を手に取って選び、その重さで料金が決まるスタイルです。
しかしながらアルメニアの場合は、同じような大きさ/重さになるように野菜や果物が包装された状態で陳列されており、直接手で触れることができなくなっています。
不特定多数の人がべたべたと触った野菜に抵抗がある日本人は多いもの。
アルメニアでも似たような感覚があるのかもしれません(というか、日本とアルメニア以外の国々はコロナ禍で何も学ばなかったのだろうか…)。
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▲ 上の写真を見れば分かるのですが、商品によって「何個単位で包装するか」が異なるのもアルメニアの細かさ。
多くの人が3~4本まとめて買っていくキュウリは数本合わせてぐるぐる巻きに、1個だけ買う人が圧倒的多数であるブロッコリーや青唐辛子は1個単位でラップで巻かれているのです。
この野菜や果物ラップでぐるぐる巻き」という光景が見られるのは、何も高級スーパーだけではありません。
上の写真は全て、エレバン市内では激安スーパーとされる店のもの。
人件費や手間がかかるのに、激安価格な野菜でもちゃんと包装されているあたり、アルメニア人のこだわりを感じます。
また、野菜や果物はもちろん、量り売りで購入するシステムの商品をお会計する際にも、アルメニアらしい細かさが。▼
↑もう一つアルメニアのスーパー関連の謎文化。野菜とか量り売りで買うとき重さ計って価格が書かれたレシートを印刷してレジに持ってくんだが、レジでピッてやるたびにレシートにボールペンで一個一個印つけるの。「会計済」の意味なのだろうが、まじでやることなすこと細かくて日本みしか感じない。 pic.twitter.com/HYWVA424XE
— 小山のぶよ🇵🇹『ジョージアローカル食堂探訪記』発売中 (@nobuyo5696) January 17, 2025
会計済みかどうかを一目で分かるようにするためなのか、いちいち手作業でバーコード部分に印をつけるのです。
効率の良さを考えると微妙な部分もあるのかもしれませんが、効率以上に正しさや間違いのなさを重視する日本的な感覚が感じられるような気もします。
アルメニア人と日本人そっくり説②:衛生観念が高くてもはや潔癖
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アルメニア人は、とにかく綺麗好き。
一日に何回も掃き掃除やモップ掃除をしたがる人も多いです(のぶよが宿泊している宿では1日4~5回は同じ場所の床を塗れモップで掃除してるほど)。
お隣トルコでも調理時には必ずゴム手袋を着用していたり…と比較的衛生観念の高さは感じましたが、アルメニアはそのさらに上を行く潔癖さ。
すでに紹介した野菜やフルーツの個包装文化も、衛生観念の高さと無関係ではないように思います。
日本人も「衛生観念が高い」と称されますが、アルメニア人もかなりのもの。
得に、匂いや汚れに対する敏感さは日本人以上なのではないかと感じる場面も多々あるほどです。
↑アルメニア人、まじで匂いに敏感な人とても多い気がする。ワイの経験では、スパイスやニンニクの強い香りを嫌がる人率も高い。確かにアルメニア料理ってニンニクもスパイスもあまり使わないし、お隣ジョージア(スパイスとニンニクどえーっ)から来るとその辺の匂いに無頓着になってるので気い遣う。
— 小山のぶよ🇵🇹『ジョージアローカル食堂探訪記』発売中 (@nobuyo5696) December 3, 2024
アルメニア人がどうしてここまで匂いに敏感なのかは、コーカサスの七不思議。
お隣ジョージア(匂いに対して超寛容/何にでもニンニクどーん)からアルメニアにやって来ると、人々の香りに対する意識のあまりの違いに驚くこと間違いなしです。
アルメニア人の匂いへの敏感さは食文化にも表れており、ニンニクやスパイスを極力使用せずに調理したものがアルメニア料理の基本。ここの人たちってドラキュラなのだろうか…
アルメニア人と日本人そっくり説③:水を神聖視する風潮
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古来より日本人は、火や水など自然がもたらす要素に神聖なものを見出し、大切にしてきました。
現在でもお盆の送り火で火を用いたり、「冷たい水に温かい水を入れてはいけない」(=温水が冷めて冷たくなるという自然の摂理に反することをするのは良くない)といった言い伝えが根付いていたりと、私たち日本人の日々の生活のあらゆるところに、自然への畏怖の念のようなものは残っています。
いっぽうのアルメニアは、ご存じの通り世界最古のキリスト教国。
およそ1700年前に当時の国王・トルダット3世が世界で初めてキリスト教を国教と定めたことが、その理由となっています。
1700年前から現在に至るまで、アルメニアの人々の間に強く根付いているキリスト教文化。
しかし実はキリスト教伝来以前のアルメニアでは精霊信仰が根付いており、火の神や大地の神、太陽の神など、自然現象に神聖なものを見出していました。
中でもアルメニアの人々に大切にされつづけているのが、水の女神・アストギク(Astghik / Աստղիկ)。
豊穣と愛と水を司るとされ、キリスト教国となった現在においてもその存在を感じる場面もあります。
その例が、エレバンの町のどこにでもある「プルプラク」と呼ばれる水飲み場です。▼
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実はエレバン、地下水を豊富に有し、その味の良さで有名な町。
エレバンにはこの名水が噴き出す水飲み場「プルプラク」が、中心街/郊外を問わず至るところに設置されており、いつでも好きな時にキリッと冷えた美味しい水を飲むことができるのです。
エレバンっ子はプルプラクを見かけると素通りはできないようで、すうっと引き寄せられていっては喉を潤します。そう、まるで水の女神に呼ばれているかのように…
また、「ヴァルダヴァル」と呼ばれる水かけ祭りの存在も、アルメニア人の水に対する特別な感覚を象徴しています。▼
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ヴァルダヴァルは、その名の通り誰彼構わずにとにかく水をかけまくり、全員で全身びしょびしょになるというカオスでエクストリームな祭り。
年によって日付は変わるもののだいたい7月上旬に当たることが多く、夏本番の到来を告げるイベントでもあります。
現在ではキリスト教の祝祭日とされているヴァルダヴァルですが、元々は水の女神・アストギクを讃えるための祭祀として、キリスト教伝来以前のおよそ2000年前に始まったと考えられているもの。
周辺のキリスト教国やイスラム教国にはヴァルダヴァルのような祭りは存在せず、アルメニア独自であるという点も、アルメニア人の水に対する特別な意識を感じさせます。
アルメニア人と日本人そっくり説④:細身の体形とファッションへのこだわり
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海外で、ある人が日本人であるかどうかを見極める重要なポイントとなるのが、その人のファッション。
顔や体形だけではなかなか判断できなくても、着こなし方や服の合わせ方、色使いなどに「あ、この人日本人だ…!」と直感する(そしてその直感が正しい)場面は、のぶよ自身も経験があります。
日本人には、総じてファッションセンスがある人が多いもの。
ブランドのロゴがでかでかとプリントされたTシャツ=下品で、それとない上品さを出すことが日本らしいファッションのように感じます。
アルメニア、特に首都のエレバンに居ると、道行く人々の服装のセンスの良さにはっとさせられることがかなりあるもの。
特に寒さが厳しくなる冬の数か月間のエレバンは、まるでモードの町さながらの装いに身を包んだ人たちが瀟洒な雰囲気のストリートを闊歩する風景が見られます。
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「ファッション=女性」と思うかもしれませんが、エレバンでお洒落な着こなしをするのは若い女性だけではありません。
ベージュのコートに黄色いスカーフを差し色にした真っ赤な口紅の年配マダムや、細身のジーンズ×黒の皮ジャケットに身を包み、サングラスで決めた年配ムッシュなど、とにかく老若男女問わずファッションに気を使っている人が目立つのがエレバンなのです。
以前、のぶよが宿泊している宿のフランス人が「エレバンの人の服装はかなりパリに似ている」と言っていたのも印象的。
のぶよ的にはエレバンの町並みもちょっとパリっぽさがあるような気もするのですが、彼曰く「町並みは全然パリではない」とのことでした(笑)
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また、アルメニア人と日本人に共通しているのは、細身で身長がそこまで高くない人が多い点。
年齢や性別を問わず、アルメニアにはでっぷりと太った人がかなり少なく、身長はそれほど高くないのにスラっとしたスタイルの人がとても多いのです。
人種や風貌こそ大きく異なるアルメニア人と日本人ですが、スタイルが似ているというのはなかなかに不思議なこと。
個人的には、後の項で紹介する食生活も大きな理由なのではないかと考えています。
アルメニア人と日本人そっくり説⑤:愛想は良いけどプライベートゾーンは広め
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日本には「おもてなし」というフレーズがあるように、旅館やレストランなどの飲食店はもちろん、商店などでも笑顔で対応してもらえるのが普通のこと。
もちろん例外だってあるのでしょうが、世界的に見れば、日本のサービスの質や愛想の良さ、客に対する働く人の感じの良さは群を抜いていると思います。
では、ここアルメニアの飲食店や商店がどうかと言うと…正直みなさんが想像している以上にサービスの質は高いです。
そこら辺のローカル商店でも笑顔で対応してくれますし、言葉が通じない外国人だからといって邪険に扱われることもほぼなし。
飲食店でも親切で気持ちの良い対応をしてくれますし、とにかく柔らかな態度の人がとても多いです。
特に、お隣のジョージアに慣れていたのぶよにとっては、アルメニアの人々の柔らかな感じや笑顔をよく見せる感じは衝撃的でした。
ジョージアでは「初対面の知らない相手に笑顔を見せる=タブー」という認識がとても強いので、初対面から笑顔で柔らかな態度で接してくれる人は結構レア(もしくは、初対面から笑顔=ぼったくろうとしているか)。
ジョージアの塩対応に慣れ切っていたのぶよには、アルメニアはまさに癒しの国そのものなのです。
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しかしながら、良い面だけではありません。
日本に「本音と建前」という文化があるように、アルメニアにも似たような感覚があるのです。
アルメニアの「本音と建前文化」のようなものをうまく表現するのが難しいのですが、「気に入らないことがあっても表立って直接指摘したりするのではなく、その場では我慢して後で内輪で愚痴を言う」といった感じ。…どうです?ちょっと日本っぽくないですか?(笑)
お隣のジョージアは、良くも悪くも直接的に物事を言う文化(だからこそあれだけみんな毎日街中で腕をばたばたさせながら大声で口喧嘩しまくっているわけで…)。
気に入らないことははっきり言う人が多いですし、それで喧嘩になったり対立したとしても後には引きずらないといった、一種の爽快感はあるコミュニケーション手段が好まれます。
いっぽうのアルメニアは、笑顔&柔らかな物腰で対応してくれるけれど、本心ではどう思っているかわからない…といった感じ。
いわば「エクストリーム京都」のような難しさがあり(とはいえ嫌味を言うことはあまりせず、ひたすら我慢する感じ)、このあたりも「思っていることをはっきりと相手に言わない」というコミュニケーション手段を好む日本人と似ているかもしれません。
アルメニア人と日本人そっくり説⑥:理想先行型の完璧主義
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日本人は「まず頭で考え、理想的で完璧な計画を作り、実行に移す」といったプロセスを好む完璧主義な民族。
なので、「とりあえず見切り発車でもやってみる」といった文化圏の国に比べると、どうしても実現までに時間や手間を要してしまうため、イノベーションが起きにくいもの。その社会文化こそがここ数十年の日本経済の停滞につながっている、という意見も無視できません(書いてて悲しくなってきた…)。
いっぽうのアルメニアがどうかと言うと、こちらも日本と同様にかなりの理想先行型な完璧主義文化。
国内に点在する修道院などの歴史的建造物を訪問すればよくわかるのですが、綿密な計算とプランニングがされた上で建設されているのが一目瞭然。
聖堂内に日光が差し込む角度まで計算された聖堂も珍しくないほどで、なんとも言えないこだわりを感じさせられます。
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アルメニア人の完璧主義さは、美術や芸術、建築などで発揮されますが、弊害もあります。
それが、理想的で完璧なものを追求しすぎるがあまり、途中のプロセスがおざなりになってしまいがちということ(この辺もちょっと日本っぽいかもしれない)。
その最たる例が、悪評高いエレバンの交通システムです。
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2025年1月から「時代遅れのシステムを廃止し、モダンなシステムを導入する」という市長の号令により、エレバンの地下鉄や路線バスにIC端末が導入され、かつて現金払いだけだった支払い方法に革命が起きました。
こう書くと「キャッシュレスで便利になるのでは?」と思うでしょうが、エレバンの場合何が問題かと言うと、現金支払いとIC端末支払いを併用しながらゆるやかに移行するのではなく、ある日突然現金払いが一切不可になるというエクストリームさ。
バスに乗るためにはあらかじめIC端末対応のチケットをどこかで購入しておかなければいけないという、テクノロジーのおかげで前進しているのか後退しているのか不明な状況になっています。
エレバン市内交通の(カオスな)現状
— 小山のぶよ🇵🇹『ジョージアローカル食堂探訪記』発売中 (@nobuyo5696) January 30, 2025
・支払いは①クレジットカードタッチ決済/②地下鉄駅等で購入できる紙のレシートのいずれか
・海外のカードは使えない
・交通ICカードは導入"予定"(つまり今はない)
・つまり外国人は「②紙のレシートを予め現金で買っとく」しかない
・現金不可にした意味どこ?
こういった詰めの甘さは、日本に比べると目立つアルメニア。
エレバンで一番の観光名所であるカスカードでさえ、あまりに完璧なものを作ろうと資金を投入しすぎたせいで完成前に資金が底をつき、建造から数十年経った現在でも一部未完成のまま放置されている状態ですからねえ…(遠い目)▼
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アルメニア人と日本人そっくり説⑦:マナー遵守で絶妙な距離感。だけど…
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世界的に「マナーが良い」と評価されることが多い日本人。
確かに、他の人の迷惑にならないように行動することが当たり前だったり、社会的なルールを守る人が多かったり…と、日本社会は一人一人の良心で回っている部分が大きいような気もします。
アルメニアではどうかと言うと、日本ほど厳しくマナーが守られているとは言えないものの、かなり社会的規範がしっかりしている国という印象。
周辺国と比較しても、「他人に迷惑をかけない」という意識が人々の間に当たり前のように根付いている感じがします。
例えば、交通マナー。
エレバンの町を歩いていると、信号のない横断歩道で車が停車して歩行者を渡らせてくれるのです。
「いやいや、そんな歩行者優先なんて当たり前のことでは…?」と思うでしょう。いいえ、それが当たり前ではないのです。
一度お隣ジョージアやトルコの町を歩いてみてください。横断歩道で歩行者に道を譲ってくれる車など、百台に一台あるかないか…といったレベルですから。
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アルメニア人のマナー遵守精神は、人間関係においても発揮されます。
日本に比べると人と概して人と人の距離感が近めのアルメニアですが、「ここから先は踏み込まない」といった暗黙の了解のようなものがコミュニケーションにおいて確実に存在しています。
このアルメニア人らしいコミュニケーションの方法も言葉で表すのが難しいのですが、「向こうから気軽に話しかけてくるし、こちらが話しかけると愛想良く対応してくれる。しかし相手が嫌がりそうな気配を感じたら一歩引く」といった感じ。要するに、めちゃくちゃ空気が読めるのです。
人懐っこくて愛想が良いとはいえ、グイグイとこちらのプライベートゾーンに土足で踏み込んでくるような人は稀。
日本人的にはなんとも居心地の良さを感じる絶妙な距離感の取り方をする人たち、それがアルメニア人なのです。
アルメニア人がなぜか守らないマナー
交通マナーやコミュニケーションのマナーなど、日本っぽさもあるアルメニアですが、一部例外もあります。
例えば、順番の守らなさ。
スーパーなどでレジ待ちをしていると、みんなものすごい勢いで抜かしていきます。しかもひとこと断るわけでもなく、無言で。
一回や二回だけではなく、もうスーパーを訪れると毎回誰かに順番を抜かされると言っても過言ではないほど。みんないったい何にそんなに急いでいるのでしょうか…
また、喫煙マナーに関しては、アルメニアは超後進国です。
屋内の公共の場所での喫煙こそ法律で禁止されており守られているものの、それ以外は大げさでなく「どこでも」喫煙可能。
地下鉄駅直結の地下通路の商店で煙草を吸っていたりするので(ここは屋内でも屋外でもないグレーゾーン)、煙草の煙が地下空間にこもってえらいことになっている光景も一般的。
受動喫煙といった概念も皆無に近く、歩きたばこやポイ捨ても珍しい風景ではありません。
タバコの煙が苦手な人にとっては、アルメニアはちょっと印象悪いかも…
アルメニア人と日本人そっくり説⑧:凝り性で手先が器用
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のぶよ的に、アルメニア人と日本人の気質において最も共通点を感じるのが、物事へのこだわりの大きさと細かさ。
ひとことで言うなら「凝り性」「職人気質」といった表現がしっくり来るかもしれません。
「アルメニア人は手先が器用な人が多い」とは旧ソ連圏ではよく言われること。
もちろん人によって多少の違いはあるものの、「そんなところまで細かくこだわる…?」と日本人ですら驚くほどのこだわりを表現する人が、アルメニア人には多いように思います。
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宗教建築に施された装飾の細かさや、有名芸術家の作品を見れば、アルメニア人の凝り性っぷりが肌で感じられるはず。
芸術作品以外でも、町を歩いていると出くわす石の彫刻や建造物の一切の乱れのなさ/角度や傾斜が緻密に計算されている細かさを目の当たりにすると、「アルメニア…やってくれるな…」とひれ伏したい気分になるかもしれません。
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日本人の物事へのこだわりや手先の器用さに関しては、今さらのぶよがここで例を挙げるまでもないもの。
すでに触れた完璧主義さにも通ずる部分がありますが、芸術や建築における感性に関しても、アルメニア人と日本人はどこか似た部分があるように思います。
アルメニア人と日本人そっくり説⑨:お酒をあまり飲まず、料理はあっさり味好き
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「アルメニア人は老若男女問わずほっそりとした体つきの人がとても多い」とすでに解説しましたが、遺伝子的な話は置いておくとして、アルメニア人スリム説の大きな要因となっているに違いないのが食文化や食生活。
お隣の酒飲み天国・ジョージアからアルメニアにやって来たのぶよが一番びっくりしたことの一つが、アルメニア人はアルコールをあまり摂らないということでした。
「ワイン発祥の地」とされるお隣ジョージアでは、それこそ朝も昼も夜も関係なく誰かがどこかで飲んだくれているのが普通(やばすぎ)。
公共の場所での飲酒にもかなり寛容で、酒飲みにはたまらない国です。
いっぽうのアルメニアでは、ガッツリと酒を飲むという文化自体がとても薄いのが特徴的。
アルコールの値段は総じてジョージアよりもかなり割高ですし、酒場のような飲み客に特化した場所も見つけるのに苦労するほどに少ないのです。
また、お酒を飲むかどうかは食生活にも直結するもの。
「お酒をあまり飲まない=塩辛い食べ物やこってり油っこいものをあまり欲しない」ということなのか、アルメニア料理は総じてあっさりした味付けで、使用される油の量も少なめです
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お隣の酒飲み天国・ジョージアの料理と下戸大国(?)のアルメニアの料理を比べると、その差は歴然です。
とにかく油を多用し、塩気をきつめに味付けしたがるジョージア料理に対して、アルメニア料理は素材の味を活かすことこそが全てのあっさりした味わい。
好みにもよりますが、アルメニア料理は「毎日食べても飽きない、素材の味を活かした体に優しい料理」といった感じ。
出汁をとることで食材の旨味を活かしたり、油を極力使わずに煮込んだり茹でたりする調理法を好む日本の伝統的な食文化に通ずる部分があります。
アルメニア人と日本人そっくり説⑩:細やかな気遣いがお化け
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「絶妙な距離感の取り方」「マナーを遵守する精神」などと関連する部分もありますが、アルメニア人の気質において最大の特徴かもしれないのが、他人にとても気を遣うという点。
日本人も場の空気を読み、他人に気を遣わずにはいられない民族ではありますが、アルメニア人も負けてはいません。
アルメニア人の気遣いの表れ方はさまざまで、ちょっとした気の利いた行動だったり、客人を迎えるホスピタリティー精神だったり、困っている人を見かけたら話しかけたり…と多岐に渡るもの。
共通しているのは、「細かい所に気を配り、他人を思いやっているからこそ、心憎い気遣いが行動に現れる」という点かもしれません。
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アルメニアの気遣い文化は、お隣ジョージアのような「豪華な料理をたっぷり用意しておもてなししてるぞ!」といった分かりやすいホスピタリティーではなく、ヨーロッパ的な「大丈夫?何かあったらいつでも言ってね!」と直接的に相手をいたわる気遣いではありません。
・カップの取っ手を手前側に揃えて並べて、使う人が取りやすくする
・スーパーの棚に並ぶ商品を客が取りやすいようにいちいち前に並べ直す(品出し担当の人が常駐している)
・朝食バイキングで温かい状態で食べるものをわざわざレンジで温めなくてよいようにキャンドルで保温
・誰かが鍋でお湯を沸かしたまま忘れていたら、火を止めるのではなくとろ火にしておく
のぶよ自身が体験した例をざっと思い浮かべるとこんな感じ。なんとも細かいですし、かゆい所に手が届くような配慮が感じられないでしょうか。
総合的に、アルメニア人に根付く気遣いというのはちょっとした小さな配慮が生活のところどころに垣間見えるといった感じ。
このあたりもなんだか日本的な控えめさを感じさせます。
この絶妙に細かく、絶妙に主張が薄い小さな気遣いの積み重ねこそが、日本人にとってアルメニアという国の居心地が極上に良く感じられる理由なのかもしれません。
おわりに
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アルメニア人の気質や文化に関して、個人的に面白いなあと感じたものを特集しました。
いかがでしょう…考えれば考えるほどに、私たち日本人と似ているような気がしてきませんか?
気質というものにはもちろん個人差はありますし、アルメニア人全員が全員細かくて気配り上手で…というわけではもちろんありません(まあそれは日本人も同様)。
しかし全体的な傾向として、アルメニアという国は人々の几帳面さや他人への思いやりを軸にして回っている部分が強い気がしてなりません。
日本人にとっては、アルメニアなんて未知of未知の国。
地球上のどこにあるのかすら、ちゃんと知っている人は少ないかもしれません。
今回は「アルメニア人の気質」に焦点を当てましたが、見どころや歴史や食文化や…と、アルメニアにはまだまだ知られざる魅力がたくさん。
この記事や弊ブログ内のその他のアルメニア関連の記事が、この「コーカサスの癒しの国」について少しでも知ってもらえ、興味をもってもらえるきっかけとなれば、いちアルメニアファンとして何より嬉しいです!
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