こんにちは!アルバニアを1ヶ月旅行した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
「アルバニア料理」と聞いて、具体的なイメージが浮かぶ日本人はいったいどのくらいいるのでしょうか。
バルカン半島をのんびりと南下してきたのぶよ。
アルバニア料理に関する知識なんかあるわけもなく、「どうせモンテネグロと同じようなグリルした肉料理のオンパレードでしょ?あ~寿司食べたい。」と思っていました。
が、アルバニアに来てその予想は見事に裏切られました。
アルバニア料理、めっっっちゃ美味しい…!(そして格安)
バルカン諸国の料理は、かつて数百年もの間のオスマン帝国支配時代に伝わったトルコ料理にルーツがあるものがほとんどで、アルバニア料理もその例外ではありません。
しかし、南にはギリシャ、アドリア海を隔てた西にはイタリア、地中海の南にはアフリカ大陸という地理的な特性から、これらの国の食文化が絶妙に融合して独自に発展したのがアルバニア料理。
いわばバルカン半島諸国の料理の進化系といったところです。
トルコ料理よろしく、グリルした肉料理が基本ですが、その味付けは独特。
ギリシャ料理のようにオリーブオイルやフェタチーズが用いられた上品なもの
中東の料理のように各種スパイスを用いたエスニックなもの
が多いのが特徴です。
また、イタリアから伝わったパスタやピザも総じてレベルが高いのがアルバニア。
そして何よりも安いんです。
ピザ1枚(ホール)で300Lek(=¥300)とかですから。
また、他のバルカン半島の国の食べ物ではあまり見られないアルバニア料理の特徴が、羊肉や羊のチーズなどが多く用いられる点。
「羊肉はちょっと…」なんて方も大丈夫。
アルバニアの羊肉料理は、臭み消しにスパイスやヨーグルトを使って調理されたものがほとんどなので、羊肉初心者でも美味しくいただけるんです。
今回の記事では、1ヶ月の滞在中にアルバニア料理の虜になってしまったのぶよが、その素晴らしさを少しでも多くの人にお届けしようとするものです。
アルバニア料理の定番の数々から、アルバニア内でも一地方でしか食べられない郷土料理まで、余すところなくご紹介していきます。
記事の後半ではアルバニアでのレストラン利用時の注意点やアドバイス(チップ制度・食事マナーetc)を解説します。
いつの日か、日本でもアルバニア料理レストランができることを願いながら。
いっそ、自分でオープンしてみようかな(笑)
アルバニア料理をひとことで!
全体的に量が少なめなので、いろいろな料理を注文しても良し!
味付けはあっさりめ。オリーブオイルや塩コショウで自分で調節するスタイル
ギリシャ料理の影響が強い
アルバニア料理:スープ・前菜類
レモンスープ
アルバニア北部の山岳地帯の郷土料理であるレモンスープ(Supa od jaja i limona)は、その名の通りレモンを皮ごとすりおろして牛乳や卵黄と煮込んだスープ。
一体どんな味がするのか不思議に思っていたものの、食べてみるとほのかな酸味があるクリームスープのよう。
ポーランド料理のライ麦のスープ・ジューレックに近い、程良い酸味がやみつきになる味です。
アルバニアでしか味わえない、未体験の味であるレモンスープ。
是非体験してほしいものです。
ファルジェサ
アルバニア朝食の定番と言えば、チーズ、パプリカ、野菜などを煮込んだファルジェサ(Fërgesë)という料理。
チーズの塩加減がかなり強く、「朝からこんなものを?」とびっくりするような味です。
チフチ
アルバニア南部の世界遺産の町・ジロカストラの郷土料理がチフチ(Qifqi)です。
その可愛らしい名前とは裏腹に、大砲の弾のような丸い形をしたチフチの中身は、炊いた米と卵、数種類のスパイスやハーブを混ぜたもの。
それを丸めて油で揚げたらできあがり。
いわば、「アルバニア風おにぎりフライ」といったところでしょうか(笑)
ツァジキと呼ばれるヨーグルトソースをたっぷりかけていただくのがチフチの正しい食べ方。
これは確実にギリシャ料理の影響だと思います。
香辛料が効いており、エスニックな風味が強いチフチ。
軽食といえどもかなりのボリュームがあるので、軽めのランチにもおすすめですよ。
アルバニアでもジロカストラでしか食べることのできない名物料理なので、観光の合間に是非挑戦してみましょう。
アルバニア料理:ファストフード
スフラキ (Sufllaqe)
お隣のギリシャ発祥のスフラキ(Sufllaqe)は、ピタと呼ばれる薄い円形のパンにヨーグルトソース、サラダ、フライドポテトを挟み、グリルした肉(鶏肉or豚肉)を入れたもの。
アルバニアではかなりポピュラーなファストフードで、どこのお店でも見かけます。
共産主義時代の政策によって無宗教の人が多いアルバニアですが、過去のオスマン帝国支配時代のイスラム文化の影響か、アルバニアのスフラキの中身はほぼ100%鶏肉なのが、お隣ギリシャとの大きな違いです。
ジロ
ジロ(Gjiro)もギリシャ由来のファストフードで、スフラキと並んでポピュラーな一品です。
スフラキと同様に、ヨーグルトソース、野菜、フライドポテトと肉をピタに挟んだもので、見た目はほとんど一緒。
スフラキとジロの違いは、
スフラキ:グリルマシンで焼き上げた大きめの肉(串に刺さったものである場合も)を用いる
ジロ:トルコ風ケバブのように巨大な肉の塊を薄く削ったものを用いる
という点。
ちなみに、本場トルコのケバブにはヨーグルトソースは用いられず、フライドポテトが入らないのが普通です。
アルバニア料理:主食
シーフードパスタ
アルバニアの海沿いの町やビーチ沿いで是非食べたいのが、新鮮なシーフードを用いたシーフードパスタ(Linguine al Frutti di Mare)。
海を挟んだイタリアの食文化も受けたアルバニア。
かつて多くの人々がイタリアへと移民し、自国にそのノウハウを持ち帰ったということもあり、パスタが美味しいことでひそかに有名な国なのです。
シーフードパスタは、イタリア語で”Linguine al Frutti di Mare”と記載されていることが多く、なんだかオシャレな感じがする一皿です。
具は店によるものの、イカ、タコ、エビ、ムール貝などが基本。
しかもかなり大量に入っているので、お得感があります。
ソースはトマトベースなことが多いのですが、シーフードの旨味がよく出ていて絶品。
パスタの茹で加減もかなり良い感じで、本場イタリアでも通用しそうなほどでした。
他の国では結構値が張って手が出しにくいシーフード料理も、アルバニアならリーズナブルにいただくことができるのでおすすめですよ。
クリタラツ
イタリアでは「リゾーニ」と呼ばれる、米粒を大きくしたような形のパスタがクリタラツ(Kritharaq)。
アルバニアではトマトソースやブイヨンと共に煮込まれて、主食として親しまれています。
ここにグリルしたチキンを添えたり、ステーキやチョフテ(Qofte)と呼ばれるミートボールを添えるのがアルバニア定番の食事メニューです。
ピラフ
アルバニアでは、パンやパスタだけでなくお米もよく食べられます。
日本のように白米を炊いたものではなく、ブイヨンとオリーブオイルで味付けをした水で炊くのがアルバニア流で、ピラフ(Pilaf)と呼ばれます。
煮込み料理と一緒に注文する人が多く、次に紹介するタスチェヴァプとの相性は最強なので是非お試しあれ。
アルバニア料理:煮込み料理
タスチェバプ
タスチェヴァプ(Tasqebap)と聞くと、他のバルカン諸国でポピュラーなチェヴァピ(棒状に固めた肉を焼いたケバブ)をイメージするかもしれませんが、全くの別物。
牛肉をブイヨンスープでじっくりと煮込んだアルバニア風ビーフシチューのことです。
アルバニアでは「グヤーシュ(ハンガリー風の牛肉とパプリカの煮込み)」と表現されることもあるものの、ハンガリーのグヤーシュのようにパプリカは使われておらず、こちらも全くの別物。
レモンの酸味と牛肉の旨味が染み出したスープはとろみがほとんどなく、さらっとしているのが特徴で、具は牛肉のみであることがほとんど。
じっくり煮込まれた牛肉は柔らかく、とにかく絶品です。
先に紹介したピラフ(Pilaf)と一緒に提供されるバージョンもあり、安くて美味しいタスチェヴァプは地元の人にも大人気。
アルバニアに行ったらとにかく食べていただきたい、超おすすめの一品です。
タフコーシ
ベラトやジロカストラなど牧畜が盛んなアルバニア内陸部を訪れるなら是非食べてほしいのが、羊肉のヨーグルト煮込みであるタフコーシ(Tavê kosi)。
塩・コショウと数種類のハーブで味付けされた羊肉を、レモンの酸味を効かせたヨーグルトの中で煮込んだ料理です。
「羊肉とヨーグルトとレモン?」と不思議に思うかもしれませんが、これが意外と合うのです。
羊肉独特の臭みはほとんどなく、とても柔らかく煮込まれていてとにかく絶品です。
ヨーグルトソースはかなり酸味が強く、日本ではなかなか味わえないような味にハマってしまう可能性大かも。
世界遺産・ベラトの新市街にあるÇuçiというレストランでは、ベラト名物のオリーブオイルを仕上げにかけて、上品な味わいをプラスした絶品タフコーシがいただけます。
チョフテ・メ・ラング
トルコ由来のチョフテは、ミートボールのこと。
煮たり焼いたりと色々な調理法で提供される、アルバニアの定番料理です。
アルバニアのチョフテは基本的に羊肉と牛肉のミックスであるのことが多く、臭み消しにミントなどのハーブを効かせたエスニックな風味が特徴的。
チョフテ・メ・ラング(Qofte me lëng)はミートボール煮込みのことで、パプリカペーストを入れたブイヨンで煮込んだミートボールは柔らかくて絶品です。
ヨーロッパというより中東を感じさせる味わいに病みつきになってしまうかも。
タフ・ヂェウ
牛モツをニンニク、青唐辛子、カッテージチーズと煮込んだものがタフヂェウ(Tavë dheu)。
モツといえどもちゃんと下処理をされているため、臭みは全くありません。
クリーミーなソースがパンとよく合います。
アルバニア料理:グリル料理
ナスの野菜詰め
アルバニア全土でポピュラーなナスの野菜詰め(Patëllxhan i mbushur)。
ナスの中身をくり抜いて、細かく切った玉ねぎやパプリカ、トマトなどの野菜を詰めてオーブンで焼いたものです。
野菜の旨味が存分に感じられるヘルシーな一品は、暑い夏場でもぺろりと食べられてしまうほどです。
パプリカの米詰め
ナスの野菜詰めに並ぶ、定番のアルバニア料理として挙げられるのが、パプリカの米詰め(Speca të mbushur)です。
トマト風味に味付けされたピラフを黄パプリカに詰めてオーブンで焼いたもので、程よい味付けのピラフと柔らかくグリルされたパプリカの相性が最高な一品。
アルバニアの家庭料理の代表的な存在だそうで、地域や各家庭によって作り方に違いがあるそうですよ。
ムサカ
ギリシャ料理として有名なムサカ(Mousaka)は、アルバニアでもポピュラーな一品。
マッシュポテトとナス、ひき肉などを層になるように重ねてオーブンで焼いたもので、誰もが好きな味です。
店によってはひき肉が入っていない、野菜だけを重ねて焼いたバージョンも存在します。
ツァジキ(ヨーグルトソース)をたっぷりつけていただくのがお約束。
ラクロル
アルバニア風ミートパイであるラクロル(Lakror)は、サクサクのパイ生地を器に敷き、じっくり煮込んだ玉ねぎのペーストと羊肉を入れてオーブンで焼いたもの。
羊肉が多く食べられるアルバニア内陸部の伝統的な料理です。
パイ生地はサクサクで、具の羊肉もとてもジューシーでした。
下処理の腕が良いのか、羊肉特有の臭みは全く感じず、玉ねぎの香ばしい風味が強かったです。
パスティーチェ
ムサカと似た外見のパスティーチェ(Pastice)は、パスタが入ったグラタンのような料理。
中が空洞になった太めのパスタを卵、チーズに絡めてオーブンで焼き上げたシンプルな料理です。
アルバニアでは珍しく、ヨーロッパ風の味を感じられる一品なので、エスニック風味に飽きた時におすすめです。
アルバニアでのレストラン利用時のアドバイス
「郷に入りては郷に従え」とはよく言ったもの。
アルバニアにはアルバニアの食文化があり、レストラン利用時には現地の食事のマナーを尊重しなければなりません。
ここからは、アルバニアでレストランを利用する際に知っておきたいことやアドバイスを解説していきます。
アルバニアでチップは必要?
日本人旅行者を悩ませるチップ制度。
アルバニアのレストランでは、チップは全くもって必要ありません。
お会計時に書かれた金額を支払えばいいだけです。
他のバルカン諸国、特に観光客が多く訪れる町のレストランでは、もともとチップ文化がないにもかかわらず、外国人観光客に対してチップを残すことが期待されている場合もあるのですが、アルバニアに関してはそれすら当てはまりません。
というのも、観光業に力を入れ出してまだ間もないアルバニアでは、観光客の数自体が少なく、チップ文化自体になじみがないためです。
アルバニア人はとても働き者。
きびきびと動くウエイターやウエイトレスに出会うことも多いです。
物腰柔らかく応対してくれることも多いので、とても良いサービスだったと感じたら、お釣りの端数を切り上げて残すくらいはしてもいいかもしれません。
注文前にメニューと料金の確認を!
レストランだけの注意点ではありませんが、アルバニア社会の大きな問題である観光客に対するぼったくり文化は観光客を苛立たせます。
隣国のモンテネグロでも根強かったのですが、アルバニアの場合は向こうも悪気なしにぼったくってくるのでタチが悪いです。
一部のレストランでは、地元の人用のアルバニア語で書かれたメニューと、観光客用に英語で書かれたメニューの二種類が存在していることも。
お察しの通り、それぞれのメニューで値段は異なります。
とはいっても、数十円~数百円割り増しされている程度なので、あまり目くじらを立てすぎるほどのことではないかもしれません。
どうしてもぼったくりに遭いたくなければ、注文前に必ずメニューを見て、自分が頼む料理の値段を確認しておくようにしましょう。
呼ばないと誰も来てくれない
フランスやスペインなどの西ヨーロッパの国では、一度食事の席に就いたら、客側からウエイターを呼ぶのはマナー違反。
日本の「すみませええ~ん!」はかなりお行儀が悪いです。
というのも、これらの国ではウエイターはプロフェッショナルである存在。
客側からわざわざ呼びつけるということは、その人のサービスがなっていないということを他の客にも知らしめることとなってしまうからです。
一方のアルバニアで、席に就いてお行儀よく待っていたところで誰も来てくれません(笑)
メニューをもらう、注文する、お会計をしてもらう。
全てのステップにおいて、客側からウエイター側にタイミングを知らせる必要があるのです。
とは言っても、大声で呼ぶ人は誰もいません。
アイコンタクトで用があることを伝えるか、ウエイターが通りがかった時に手を挙げるのがスマートです。
バルカン半島ではレア?な屋内禁煙
バルカン諸国あるあるの一つが、どこでもタバコが吸い放題であること。
店内、店外関係なく、どこにでも灰皿が置かれているので、愛煙家には嬉しいことこの上ありません。
しかし、多くの場所で分煙がされていないため、嫌煙家にとってはなかなか辛いものがあります。
アルバニアでは、ほとんどのレストランは店内禁煙です。
屋外にテラス席が設けられている場合がほとんどで、たばこを吸う場合はそちらの席に座ることとなります。
「ラキ」をすすめられたら有難くいただく
アルバニア人のホスピタリティーを象徴するのが「ラキ文化」。
ラキ(Raki)とは、プラムなどの果実から作られる蒸留酒で、バルカン半島全域で広く飲まれます。
(国によっては「ラキア」「ラキヤ」とも呼ばれる)
アルバニア文化において、客人をまずラキでもてなすのは当たり前のこと。
日本でお客さんが来た時にまずはお茶を出すのと通じるものがあります。
レストラン(特にローカルな観光客が少ないもの)に行くと、アジア人の物珍しさからよく話しかけられ、だいたいの会話は「とりあえずラキ飲むか?」につながります(笑)
お酒が飲めるなら、是非首を縦に振って、アルバニア人のホスピタリティーを感じましょう。
アルコール度数がかなり強めのラキは、食欲を増進させる食前酒として飲まれます。
喉が焼けるような感覚になるでしょうが、その後は不思議とスッキリした気分になりますよ。
おわりに
自分で書いていて、全て自分が食したものであるにも関わらず、「こんなにいろいろあったんだ」とびっくりしたアルバニア料理の数々。
揚げ物、煮物、焼き物と、その調理方法も様々で、バラエティー豊かな味を楽しめるのが魅力です。
日本では壊滅的に知名度がないアルバニア料理ですが、のぶよ的にはかなりおすすめ。
エスニックなスパイスの風味が効いた優しい味は、きっとアルバニア旅行の素敵な思い出として舌に残るはずです。
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