こんにちは!2025年のジョージア旅もまもなくフィナーレ、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア第三の都市・クタイシを中心としたイメレティ地方。
優雅な雰囲気漂う古都の風情と、緑あふれる山々の風景が美しいエリアです。
市内観光自体はすぐに済んでしまう規模のクタイシですが、近郊には「定番」とされる見どころが目白押し。
世界遺産のゲラティ修道院や、小コーカサスの山々を望むディハシュホ温泉という露天風呂など、ぜひとも訪問したい見どころの宝庫です。
そんなクタイシ近郊において「超定番」とされるエリアの一つが、今回紹介する奥イメレティ地域。
クタイシから見て北西に位置する山間部エリアで、オカツェ渓谷とキンチュハの滝の二大スポットを有します。

▲オカツェ渓谷(Okatse Canyon / ოკაცეს კანიონი)は、オカツェ川が形成する深い谷間を散策できる自然スポット。
まるで宙に浮いているかのような空中遊歩道が名物となっており、大自然もスリルも同時に楽しむことができます。
また、オカツェ渓谷から7kmほど北にあるのは、二大スポット二つ目のキンチュハの滝(Kinchkha waterfall / კინჩხას ჩანჩქერი)。
三段に流れ落ちる美しい滝の高さ合計は110mもあり、ダイナミックな自然風景に息を呑みます。▼

二大スポットが比較的近い場所に位置している奥イメレティ地域は、クタイシからのデイトリップ先としても大人気。
遊歩道などのインフラがある程度整備された状態なので、誰でも気軽に訪れて自然が楽しめる点が人気の理由であるようです。
実は、クタイシからの定番日帰りトリップ先として人気なのはオカツェ渓谷とキンチュハの滝だけではありません。
このエリアには「五大定番自然スポット」と呼ばれる見どころが点在しており、数日間かけてこれらの見どころを制覇するのがクタイシ滞在中の定番アクティビティーとなっているのです。
・オカツェ渓谷
・キンチュハの滝
・サタプリア自然保護区
・プロメテウス洞窟
・マルトヴィリ渓谷
このように、「絶対行くべき!」と誰しもが語るど定番スポットを二つも有し、なおかつアクセスもそれほど不便ではない奥イメレティ地域。
インターネット上やSNS上には「でぃす いず りある じょーじあん びゅーてぃー!(変な後ろ姿の自撮り写真/どうせぶす)」などのキラキラ写真とともに称賛の言葉が溢れかえっています。
みなさん、気になりませんか…?
自称ジョージア津々浦々こまごま探検家ののぶよが、この国に来てからのおよそ6年間、この超超超定番とされるエリアをいっさい訪問することなくスルーしていた理由が…

のぶよがオカツェ渓谷やキンチュハの滝を含むクタイシ近郊五大自然スポットをスルーしていた理由はただひとつ。
どれも入場料がかかるためです。
このコーカサスの大自然に育まれたジョージアという国で、自然の造形物を見るためにお金を払わせるなんて資本主義キラキラ山国アクションにはNO!NO!!NO!!!
そんな感じの強めな思想の持ち主なので、実際に行くことなく、この場所を推す浅っさい観光客ともども毛嫌いしていました(まああと単に入場料もったいないってのもある)。
しかし!そんなのぶよにもとうとう、キラキラ有料自然スポットを訪問するときがやって来ました…!
なんというか、ジョージアはもうあらゆる場所を訪問しつくした感があるので、ここらで未踏の場所にもとりあえず行っておくかあ…くらいなテンションです(なお、後ろ姿自撮りはしてない)。

というわけで今回の記事は、奥イメレティ地域の観光に必要な情報をまるっと完全解説するもの。
二大スポット観光のアレコレはもちろん、宿情報やアクセス情報、訪問する人向けのアドバイスまでを網羅しています。
実際に訪問してみて正直どんな印象だったのか…高額な入場料に見合う価値はあるのか…観光地観光地した雰囲気なのか…
そのあたりも含めて、率直な感想をバシバシッとお伝えしていきます。
…いや、もう曖昧にするのはやめて、はじめにバシッと言っておきましょう。
奥イメレティを訪問してみて、入場料うんぬんではない点においてちょっとがっかりする場面がとっっっても多かったです(なのでかなり辛口な内容)。
奥イメレティ観光マップ
赤:レストラン
紫:ゲストハウス
黄色:マルシュルートカ停留所
茶色:商店
灰色:ビジターセンター/チケット売り場
奥イメレティ二大スポット①:オカツェ渓谷

奥イメレティ地域における観光ハイライトの一つであり、クタイシ近郊エリア全体でも「定番」とされる見どころが、オカツェ渓谷(Okatse Canyon / ოკაცეს კანიონი)。【マップ 青①】
オカツェ川が形成する深い渓谷地帯で、空中に浮いたような吊り下げ式遊歩道が名物となっています。
オカツェ渓谷の散策コースは「空中遊歩道」という特性上、リスクや制約がいくつかある点に留意。
また、チケットの購入場所が微妙に不便な所にあったり、微妙に離れた渓谷入口までの移動ニーズを利用したぼったくり4WDなどもあるので、色々と注意が必要なスポットです。
オカツェ渓谷の基本情報(料金/注意点/身長制限/チケット購入方法)

すでに冒頭でも触れた通り、オカツェ渓谷は有料のスポット。
入場料は大人20GEL(=¥1000)とジョージア的にはかなり高額で、観光客の足元を見ている感じがぷんぷん漂います。
「渓谷を数十分歩くために20ラリ…?」とドン引きしてしまう人もいるかもしれませんが(のぶよもそうだった)、払う価値があるかどうかはひとまず置いておくとして、名物とされる空中遊歩道に関する注意点がいくつかあります。

遊歩道は渓谷の西側の断崖絶壁に設置されたもので、そのうちおよそ1000mほどの区間がハイライト。
一方通行となっており、チケットチェックポイント→空中遊歩道部分→ビューポイント→谷の上に敷かれた小道→チケットチェックポイントと時計回りにぐるりと一周するルートで、歩く距離の合計はおよそ2000m/所要45分~1時間ほどです。
遊歩道上では階段を上り下りする場面が多くあり、底板は半透明で下が見えるようになっているため、足腰が弱い人や高所恐怖症の人には向きません。

また、遊歩道の手すりはかなり高い位置に設置されていて、手すりと底板の間には何もない(=すり抜けたらまっ逆さま)ため、身長120cm以下の人は入場自体が不可とされているので、子連れなどの場合は注意を。
こうしたなかなかの危なっかしいスポットであるため、雨天や強風時には遊歩道は閉鎖(=オカツェ渓谷自体入場不可)となるので要注意です。

オカツェ渓谷のチケット購入は、遊歩道入口から2km離れたビジターセンターで行うのが基本。
オンラインでチケットの事前購入をしておくことも可能ですが、正直そんなに混雑する場所でもないので事前購入する意味はありません。
ビジターセンターでチケット購入→渓谷までの2kmを徒歩orタクシーで移動→チケットチェックポイントでチケットを提示→入場という流れです。
渓谷の入口にあるチケットチェックポイントではチケットの購入は不可で、単に監視小屋として機能しているだけという謎すぎるシステムである点に注意。
オンライン予約などには対応してキラキラ観光地ぶっているくせに、渓谷入口ではチケットを売らないという非合理的さはまさにジョージアですねえ…(白目)
ビジターセンター~オカツェ渓谷間の移動

すでに触れた通り、オカツェ渓谷を訪問する際はまずビジターセンターに行ってチケットを購入し、渓谷入口まで移動する必要があります。【マップ 灰色】
ビジターセンター~オカツェ渓谷間はおよそ2.3kmほどの距離。
距離的には大したことありませんが、高低差が130mほどある(オカツェ渓谷の方が低い)点に注意しましょう。
ビジターセンター~オカツェ渓谷間のアクセス方法は、4WDタクシーか徒歩のいずれか。
なぜ「4WDタクシー」に限定されるのかと言うと、渓谷まで残り1kmといった地点で普通車両通行禁止になっているためです。▼

つまり、普通車でオカツェ渓谷入口までアクセスしようとしてもこのポイントより先は4WDでしか行けないということ。
「道はちゃんと舗装されているのに何故?」と思うでしょうが、それはもちろん普通車で来た観光客をわざわざ4WDタクシーに乗り換えさせてぼったくるためです。
ビジターセンター~オカツェ渓谷入口間の4WDタクシー料金の相場は決まっており、往復で1人15GEL(=¥750)。
夏場は上記の4WD乗り換えぼったくりポイントに見張りの地元民がいて強制的に乗り換えさせられるそうですが、オフシーズンは誰もおらず普通車でもスルーできる状態でした(この国は調子こいてぼったくり商売しやがるくせにこういうところはまじで詰めが甘い)。

そんなわけで、ぼったくり4WDを避けたいみなさんは、ビジターセンター~オカツェ渓谷間は徒歩で移動しましょう。
ビジターセンター前の4WDドライバーは「渓谷までは7kmもある!」や「かなりの山道で片道1時間半はかかる!」などと言ってきますが、全て大嘘なので無視。
片道2.3km/行きは40分ほど&帰りは50分ほどです。


ビジターセンターからの道のり前半は、ちょっとした林の中を歩く平坦な道のり。後半は渓谷へと下る急な坂道となります。
行きは楽に歩けますが、帰りの上り坂は体力的にかなりきついので、それなりの覚悟はしておきましょう(ぼったくりと戦うためには上り坂なんてなんのこれしき!くらいの気概がないと、ジョージアでは生きていけない)。

もはや掘っ立て小屋でしかないチケットチェックポイント【マップ 灰色】のやる気ゼロの係員にチケットを渡し、いざオカツェ渓谷へ…!
…とその前に、つい1週間前にこの掘っ立て小屋で生まれたばかりだという子犬の団体を愛でるのもお忘れなく。▼


この子犬たちのあまりの愛くるしさといったら…
高額すぎる入場料へのモヤモヤや、ぼったくりタクシーへの憤慨、観光マネーに胡座をかいて生きる人々への落胆などに、「なんだよ!オカツェ渓谷とかよ!ざけんな!」とぷんすかぷんぷんぷん状態だったのぶよの心がみるみるうちに浄化されていきます。

というわけで心の栄養をチャージして、いざオカツェ渓谷へ。
長い階段を下った先には、名物の空中遊歩道が待っています!
オカツェ渓谷見学レポート

チケットチェックポイントから長~い階段を下った先で姿を現すのが、オカツェ渓谷名物の空中遊歩道。
その名の通り、深い渓谷を形成する崖から吊り下げられるような形で敷かれた鉄製の遊歩道で、かなり圧巻です。
この底板スケスケ&微妙に低い手すり&手すりの下スカスカ状態な遊歩道がおよそ1kmに渡って続くわけで、高所恐怖症の人はまず無理。
このときの訪問客はのぶよ一人だけだったのですが、一歩進むごとに遊歩道自体が微妙に揺れ動いて恐怖だったので、夏の観光シーズンで多くの人が歩くとかなり揺れるんじゃないかと思います。


「これは確かに身長低い子供は危ないし、滑りやすいから雨や風の日は無理だわ…」と、ジョージアにしては厳しめな制限に妙に納得しながら、空中浮遊感を楽しみます。
このときは11月の後半で、紅葉はもうほぼ終わっている状態。
しかしながら、茶色一色の寂しげな感じではなく、紅葉の名残と緑の木々が絶妙な色合いで、のぶよは結構好きでした。


オカツェ渓谷の自然美自体は、正直どこにでもあるようなもの。
切り立った崖に囲まれたダイナミックな風景は素晴らしいですが、お隣アルメニアのカサフ渓谷やデベド渓谷の断崖絶壁の渓谷風景は、オカツェ渓谷など比較にならないほどに圧巻。
なによりアルメニアではこうした自然スポットは全て無料で、ジョージアのように「取れるところから取ったれ!」といった下卑た観光開発はされません(ああアルメニア、あんた良いよお…!)。

しかしながら、オカツェ渓谷はやはり空中遊歩道がポイント高め。
自然の美しさを楽しむ場所というよりも、自然の中で遊歩道を歩くスリルを楽しむ場所といったような、複合的な楽しみ方ができると思います。
空中遊歩道を最も南まで歩くと、渓谷に突き出したような形のビューポイントが。
遥か下方で口を開ける谷底と、渓谷を形成する断崖絶壁、木々が生い茂る自然風景を一度に堪能することができます。▼


ビューポイントからの絶景を満喫したら、長~い階段を上ってチケットブース方面へと伸びる遊歩道を歩いていくだけ。
写真を撮りながらゆっくり歩いても、合計1時間もかからないほどでした。
そんなわけで、個人的には予想していたよりも楽しめたオカツェ渓谷。
紅葉のピークの時期ならさらに感動的な風景が見られるでしょうし、夏場の深い緑の渓谷風景もまた良さそうです。
遊歩道が整備されているので山道を歩く場面はなく、上り下りはあるにせよ多くの人が自然を手軽に楽しみやすい点も◎
様々な理由でがちのトレッキングやハイキングができない人もいるでしょうし、そうした人たちにとってはこれも一つの自然との触れ合い方となるでしょう。

端的に言うなら、東京生まれ東京育ちの人が休日に高尾山あたりに行って、髪型崩れやメイク崩れを気にしながら整備された山道を歩き、「大自然を満喫!(変な後ろ姿の自撮りぱしゃっ)」と大冒険みを醸し出しつつSNSに載せるためのスポット。
そのジョージア版がオカツェ渓谷です。
それで満足する人ならオカツェ渓谷は楽しいでしょうし、「山ってのはなあ!汗水垂らし草を掻き分けテント張りながら歩くもんでえ!」というガチ勢にはかなり物足りないかも。
まあ、十人十色千差万別ってことですねえ(ここで急なリベラルみ)。
奥イメレティ二大スポット②:キンチュハの滝

奥イメレティ地域のもう一つの定番スポットが、キンチュハの滝(Kinchkha waterfall / კინჩხას ჩანჩქერი)。
「オカツェの滝」とも呼ばれますが、いずれも同じものを指します。【マップ 青②】
キンチュハの滝は、ほぼ垂直に聳える断崖絶壁を優雅に流れ落ちる姿が印象的。
滝までは遊歩道が整備されており、オカツェ渓谷同様に山道を歩くことなく自然の雄大さが感じられることで人気です。
キンチュハの滝の基本情報

キンチュハの滝も、オカツェ渓谷と同様に入場料がかかります。
チケット料金は大人20GEL(=¥1000)とこちらもかなり高額。
共通チケット等は存在しないため、オカツェ渓谷のチケットとは別に、キンチュハの滝のチケットを購入しなければなりません。
キンチュハの滝に20GEL支払う価値があるかどうかに関してはいったん置いておくとして、落差合計110mに及ぶ滝の姿自体はとても迫力があるもの。
せっかくここまで来たので、奥イメレティの二大スポットを制覇したい人は多いのではないかと思います。


キンチュハの滝のチケットオフィスは、滝への遊歩道の入口にあるため便利。
こちらもオンライン予約が可能ではありますが、混雑することはまずないので、当日現地でチケット購入すればOKです。

キンチュハの滝の遊歩道は、片道300mほどの短いもの。
これを往復するだけなので、観光に必要な時間は30分ほどみておけば十分です。
オカツェ渓谷の遊歩道のようなスリルはありませんし、アップダウンもほとんどないため、誰でも余裕で歩ける点も◎
キンチュハの滝は雨天でも入場可能で、身長制限などもありません。
キンチュハの滝見学レポート

チケットオフィスでチケット購入&入場を済ませたら、滝へと続く遊歩道を歩いていきます。
遊歩道は木製の部分と鉄製の部分が混在しており、小さな渓谷沿いに敷かれたもの。
歩き始めてすぐにキンチュハの滝の遠景が見え、神々しい姿に感動するはずです。


▲キンチュハの滝はいちおう二つの滝で構成されており、チケットオフィス付近からは小さい方の滝を望めます。
こちらは入場ゲートの手前にあるため無料で見学できますが、水量や迫力は大きい方の滝には全く及びません。

渓谷の涼しげな風景の中をゆっくりと歩いて、およそ10分。
断崖絶壁を一筋の水流が流れ落ちるキンチュハの滝を、最も近くから眺められるポイントに到達します。


このときは11月ということで、滝の水量はやや少なめ。
初夏だともう少し水の量が多いそうで、より迫力のある流れが見られると思いますが、この繊細な感じの流れもまた風情があります。
キンチュハの滝は三段構成となっており、遊歩道から見て上を流れ落ちる二段の滝と、遊歩道から見て下へと流れ落ちる一段の滝があります。
遊歩道下へと流れ落ちる滝に関しては、遊歩道の最も南にあるビューポイントで真上から眺めることができます。▼

…とまあキンチュハの滝で見られる風景はこんな感じ。
轟轟と流れ落ちる滝の涼しげな風景を堪能したら、ふたたび同じ遊歩道を戻っていけばOKです。
奥イメレティ地域その他の見どころ
奥イメレティ地域には、すでに紹介した二大スポット以外にも小さな滝がいくつか点在しています。
日帰り観光客はほとんどここまではやって来ないため、どれも穴場感が漂っているのがポイント。
二大スポットとは異なり、遊歩道などが整備されているわけではないですが、本来の自然の美しさを堪能したい人にはおすすめです!
ロミナの滝

個人的に奥イメレティに来たなら絶対に訪れてほしいのが、ロミナの滝(Lomina waterfall / ლომინას ჩანჩქერი)。
キンチュハの滝のさらに2.5kmほど奥の山中でひっそりと流れ落ちる滝は、知る人ぞ知る秘境といった雰囲気です。【マップ 青③】


ロミナの滝は全長10mもないほどで、規模だけを考えるとキンチュハの滝には及びません。
しかし、水の透明度やブルーともグリーンともつかない神秘的な色合い、自然本来の美しさが楽しめるという点においては、キンチュハの滝以上に素敵だと思います。
また、ロミナの滝への入場は完全に無料。
そうそう、自然スポットってのはこうでなくつちゃ…!

ロミナの滝へのアクセスは、キンチュハの滝入口から田舎道を片道2.5km/40分ほど歩くだけ。
最後の300mほどだけちょっとした山道を歩く区間があるものの、傾斜はほとんどないため誰でも簡単に歩けます。
ロミナの滝観光に必要な時間は、滝までの徒歩往復&観光時間を合計して、キンチュハの滝観光時間+1時間半~2時間ほどみておけばOK。
キンチュハの滝よりもロミナの滝の方が、作られたものでない自然の美しさが五感で感じられて、のぶよは断然楽しめました。
メツケリの滝

奥イメレティで時間に余裕があるなら訪れたいのが、メツケリの滝(Metskeri waterfall / მეწყერის ჩანჩქერი)。【マップ 青④】
メツケリの滝は、オカツェ渓谷があるゴルディ村と、キンチュハの滝があるキンチュハ村のちょうど中間地点にある穴場スポット。
のぶよが宿泊したゲストハウスから徒歩15分ほどでアクセスできます。


メツケリの滝までの道のりはちょっとした山道ですが、オレンジのポールが道標となっているので迷う心配はなし。
山間部らしいのんびりとした風景を眺めながら歩くこと15分ほどで、さらさらと岩肌を流れる美しい滝に到着です。

メツケリの滝の水量は多くはないものの、岩肌に生えた苔を透明な水がつたうように流れる姿はとても優雅。
もちろん無料で見学でき、夏場なら滝壺で泳ぐことも可能です。
ゴルディ集落の風景

奥イメレティ地域で中心的な集落として機能しているのがゴルディ(Gordi / გორდი)。【マップ 青⑤】
クヴェモ(下)・ゴルディとゼモ(上)・ゴルディの二つのエリアに分かれますが、旅行者が訪れる機会があるよはゼモ・ゴルディに限られます。


ゴルディ集落にはオカツェ渓谷やビジターセンターがあり、この地域の観光の中心といった感じ。
ぼったくり4WDなどが横行しており、観光地化の悪影響がぷんぷん漂ってはいるのですが、それでも集落の風景はとても美しいです。
奥イメレティ地域ならではの山村風景も多く残っており、一面のとうもろこし畑や高床式の木造倉庫、伝統的な木造建築が点在する風景は、まるで昔話の世界が具現化されたかのようです。

この時は11月末で、ゴルディ集落はとにかく柿だらけ。
まだ収穫されずに実っている鮮やかなオレンジの柿が、色褪せつつある周囲の山々を背景に輝いているのが、とてつもなく絵画のような風景でした。


ゴルディ集落はとても小さく、ぐるりと一周しても30分ほど。
すぐそばのビジターセンターやオカツェ渓谷の観光地観光地した感じとは全く異なる、奧イメレティ本来の美しい風景を満喫しましょう。
奥イメレティのおすすめレストラン

奥イメレティ地域で飲食店があるのは、ゴルディ集落のみ。
一大観光地の割には店の数はかなり少なめで、食事できる場所は限られています。
のぶよが訪問した11月にはゴルディ集落の数軒の飲食店はほぼ閉まっており、こちらのLa Montanaという店だけが営業していました(どうして店名がスペイン語なのか気になる)。【マップ 赤】
La Montanaがあるのは、オカツェ渓谷ビジターセンターのすぐ向かい。
いわば「一等地」にあるわけで、ロケーション的に観光客にぼったくり価格で適当な料理を出す店に思えるかもしれません。
しかし実際は、価格帯は「ちょっと高いかな」くらいの良心的プライス。
店の人の対応も悪くなく、このぼったくり山村における一筋の良心のような店です(大袈裟)。


メニューの種類は、豊富というわけでもなく少なすぎるわけでもなく…といった感じ。
豚肉のムツヴァディ(BBQ)を頼んでみたのですが、味もまあまあ良かったです(ちょっと肉が硬かったけど)。▼

奥イメレティを日帰りで訪れる場合は、昼食場所に困ってしまいがち。
La Montanaであれば観光に便利な立地&通年営業しているので、サッと入ってサッと食事していくことができるのが嬉しいです。
ムツヴァディに関しては絶品!というわけではありませんでしたが、ちゃんと調理されているのは確か。
価格も妥当なので、奥イメレティ地域での腹ごしらえにはぴったりのお店です。
奥イメレティの宿情報

奥イメレティの二大スポットを単に日帰りで見学するのではなく、このエリアの魅力をもっと深くのんびりと体感したいなら、宿泊するのがおすすめです。
オカツェ渓谷への入口に当たるゼモ・ゴルディ村を中心にゲストハウスが多く点在しているので、宿泊先に困ることはないはず。
どれも一般家庭の一部を旅行者向けに開放した家族経営の宿ばかりなので、ジョージア地方部ならではのホームステイ体験ができるのも大きなメリットです。
ここでは、のぶよが宿泊したエリア内最安値の宿を紹介します。
立地は観光向きではないものの、快適に田舎暮らし体験をしたい人にはぴったりです。
【Discover Kinchkha】

・部屋タイプ:ツインルーム一人利用 ※シャワー&トイレ付き
・料金:30GEL(=¥1500)
・食事オプション:朝食30GEL(=¥1500)/夕食30GEL(=¥1500)
・立地:4/10
オカツェ渓谷があるゼダ・ゴルディ村とキンチュハの滝があるキンチュハ村のちょうど中間地点の集落にあるゲストハウスです。
お世辞にも便利とは言えない立地ながらも、それぞれの見どころへ徒歩でアクセスする場合は拠点としてあり。
集落には商店などは一軒もないため、買い物などかなり不便を感じます。
・アクセス:8/10

メインの道路には看板が出ていますが、宿の建物自体には何も書かれていないので、ややわかりにくいかも。
基本的に宿の人がいるので、場所さえ分かればスムーズにチェックイン可能です。
・スタッフ:8/10

この建物に住む老夫婦が自宅の一部を宿泊客向けに開放しているスタイルの宿です。
おじさんとおばさんいずれも英語はほぼ通じませんが、温かく迎えてくれます。
おばさんはまあまあお喋り好きなので(たぶん暇)、ロシア語かジョージア語が分かる人ならがっつり絡むスタイルの滞在となるかもしれません。
・清潔さ:7/10

建物はソ連時代にダーチャ(別荘)として使用されていたものですが、完全にリノベーションされています。
部屋の雰囲気や備品などは結構おしゃれに統一されているのですが、掃除はやや甘い印象。
宿の人の私物がそこら中に置かれていて生活感が強く感じられる点は、好みが分かれるかもしれません。
・設備:6/10

設備面は「痒いところに手が届かない」といった感じ。
基本的な宿としての設備は問題なく揃っているのですが、部屋や共用エリアにゴミ箱がなかったり、お湯を沸かすやかんがなかったりと、あらゆる点で微妙な不便さがあります。
また、この宿だけでなくエリア全体で停電が多いそうで、電気が使えずシャワー用のお湯が沸かせないといった状況もありました。
・ベッド&部屋:9/10

部屋はまあまあ広々としており、大きな窓もあって開放的な雰囲気。
内装や小物もお洒落な感じで、部屋だけ見るとちょっとしたブティックホテルのようです。
ベッドは部屋によってだいぶ質が異なるそうで、スプリングがゴツゴツしたマットレスのものに当たるときついかも。
のぶよの場合は運良く快適なベッドで、ぐっすりと眠れました。
・Wi-Fi:6/10
Wi-Fiは宿全体で問題なく接続できますが、画像のアップロードなどにかなり時間がかかるのが難点。
おそらく古いルーターを使用しているためだと思います。
インターネット検索くらいなら全く問題ありませんが、PC作業などしたい人には向かないでしょう。
・雰囲気:8/10

宿の建物が広々としているので、快適に寛ぐことができます。
宿泊客用のテラスは日当たりが良くソファーも設置されているので、周囲の自然風景を眺めながらのんびりするにはぴったり。
一方で、室内の共用エリアは広々とはしているものの物が多く、ちょっとごちゃっとした感じなのがマイナスかもしれません。


総合的に、田舎暮らしを体験しながらゆっくりするには良い宿だと思います。
・食事:7/10

食事は宿のおばちゃんが自家製の素材をメインに作ってくれるもので、どれもほっこりと温かな優しい味わい。
日によってメニューは変わりますが、こちらの好みにもある程度こたえてくれます。
食事料金は30GELですが、値段の割りには品数が少なかった印象(しかし各料理の量が多いので満腹にはなるけど)。
サラダ系や前菜系など、この値段ならもう2品くらいあればパーフェクトだと思いました。
・総合:7.0/10
可もなく不可もなく…といった感じで、なんとも評価の難しい宿です。
宿泊料金はエリアで最安レベルながら、食事は内容の割にちょっと高いかなといった感じ。
設備面の不便さもいくつか見られたので、ある程度ジョージア地方部のゲストハウスに宿泊した経験がある人(=不便でもそういうものだと思える人)向きかもしれません。
最大のネックとなるのは立地&周辺に商店がないことですが、裏を返せば都市部とは異なるジョージアの田舎ステイを100%満喫できるということ。
出費を最小限にしながらホームステイ体験がしたいという人には良いかもしれません。
オカツェ渓谷&キンチュハの滝へのアクセス
奥イメレティ地域へのアクセス拠点となるのは、クタイシかマルトヴィリのいずれかの町。
どちらの町からでも所要時間やアクセス難易度はあまり変わらないので、自分の計画に合った町からアクセスしましょう。
タクシー
最もシンプル&効率的なアクセス方法が、タクシーを利用すること。
クタイシ/マルトヴィリのいずれの町にも客待ちタクシーは多くあるので、簡単に利用できます。
タクシー料金の相場は以下の通り。▼
・クタイシ~奥イメレティ片道:80GEL(=¥4000)
・クタイシから一日チャーター:150GEL~200GEL(=¥7500~¥10000)
・マルトヴィリ~奥イメレティ片道:70GEL(=¥3500)
・マルトヴィリから一日チャーター:150GEL~200GEL(=¥7500~¥10000)
タクシーをチャーターすれば、二大スポットのオカツェ渓谷とキンチュハの滝を数時間で見学可能。
他にも、マルトヴィリ渓谷を観光したりプロメテウス洞窟に立ち寄ったり…とクタイシ近郊の見どころもセットで訪問でき、かなり効率的に周れると思います。
クタイシから現地ツアー
一人旅の場合は、タクシーよりも現地ツアーに参加する方が安く済むはず。
オカツェ渓谷やキンチュハの滝は「クタイシからのデイトリップの定番中の定番」といった場所なので、クタイシ発着の少人数グループツアーが多く催行されています。
中には上記二大スポットに加えて、マルトヴィリ渓谷やプロメテウス洞窟の訪問がセットになったツアーも。
ツアー料金もリーズナブルなので、一人旅の人にとっては強い味方となるでしょう。
クタイシ/マルトヴィリからマルシュルートカ
タクシーやツアーは絶対に使わない主義ののぶよタイプの旅行者は、マルシュルートカを利用して奥イメレティにアクセスすることも可能です。
しかしながら、クタイシやマルトヴィリ~奥イメレティの各村を直接結ぶ便は存在しない点がネック。
奥イメレティの玄関口となるホニという町で乗り換えすることになります。
ステップ①:クタイシ/マルトヴィリ~ホニ間移動

まずは、クタイシ/マルトヴィリのいずれかの町からホニ(Khoni / ხონი)まで移動します。
クタイシ~ホニ~マルトヴィリ間にはマルシュルートカ路線があり、30分~1時間に1本と頻発しているので移動は簡単。
クタイシかマルトヴィリのいずれかの町からマルシュルートカに乗車し、ホニ中心街のバスステーション付近で途中下車すればOKです。

クタイシ~ホニ~マルトヴィリ路線のクタイシ側の発着ポイントは、市内南部の中央バスステーション。
バスステーション建物裏側の近郊路線ゾーンの一角からの出発です。▼

クタイシ~ホニ~マルトヴィリ路線のマルトヴィリ側の発着ポイントは、市内中心部にあるバスステーション広場です。▼
ステップ②:ホニ~キンチュハ間移動

ホニ中心部にあるバスステーションに到着したら、奥イメレティ地域で最も奥に位置するキンチュハ行きのマルシュルートカに乗り換えます。▼
この区間のマルシュルートカは1日2往復しかないので、しっかりとプランニングしておくことが大切です。
のぶよの場合、朝10:00クタイシ発のマルシュルートカに乗り10:45くらいにホニに到着。
そこからホニ発11:00のキンチュハ行きマルシュルートカに乗り換え、正午あたりに現地に到着できました。

この路線は、オカツェ渓谷ビジターセンターがあるゼダ・ゴルディ村→おすすめ宿があるサチスクヴィロ村→キンチュハ村の小学校前が終点となり、時間が来たらホニ方面へと折り返すルート。
好きなところで乗り降り可能なので、目的地を通過する際に運転手に停車してもらいましょう。
オカツェ渓谷&キンチュハの滝観光のアドバイス
奥イメレティの見どころは全て自然メインとなっているため、訪問する時期や天気が大切。
観光地であるにもかかわらず観光インフラが整っているというわけでもないので、事前に知っておくべきことがいくつかあります。
ここでは、奥イメレティを実際に訪問する人向けに、注意点やアドバイスをいくつか挙げていきます。
「そもそも高額な入場料を払う価値があるかどうか」という点に関しても、バシッと白黒つけていきましょう(まあ結果はもう見えてるけど)。
観光におすすめの季節&天候&時間帯

奥イメレティの見どころは年間を通しての観光が可能。
冬場でも雪が積もることはあまりないため、オフシーズンでも観光できるのは嬉しいです。
しかしながら渓谷美がより綺麗に見られるのは、やはり春~夏にかけて。
5月頭~9月末にかけては一面の緑の風景が見られ、より印象深い景色が見られるでしょう。
紅葉目的なら秋もおすすめ。
奥イメレティの紅葉のピークは例年10月3週目~4週目だそうです。
のぶよが訪問したのは11月後半のこと。
紅葉はすでにほとんど終わっていたもののまだ緑が多く、物寂しい雰囲気ではなかったことが驚きでした。

また、奥イメレティを訪問する際は天気が良い日を狙うのが絶対。
曇りの日だと渓谷風景はかなり見劣りしてしまい、20ラリの入場料をどぶに捨てるようなものであるからです。
また、雨の日の訪問は絶対に避けるべき。
オカツェ渓谷は雨天時には閉鎖されてしまうため、雨の中わざわざ来たのに何もすることがない…という状況になってしまいます。
こうした自然系の見どころというのは、太陽光の当たり具合で印象が大きく変わる点も重要。
キンチュハの滝/ロミナの滝/メツケリの滝のいずれも東向きにひらけているため、午前中~午後2時頃の早い時間でないと影に入ってしまいます。
オカツェ渓谷に関しては南北に連なる渓谷であるため、南側から渓谷を眺める場合は一日の大半の時間で順光となります。
しかし、渓谷という地形的に早すぎる時間や遅すぎる時間だと太陽光が谷底まで当たらず影になってしまうので、正午~15時くらいの間がベストかもしれません。
観光に必要な時間

奥イメレティを訪れる旅行者の99%は、クタイシからの日帰りプラン。
タクシーをチャーターすれば日帰りでも余裕で観光できます。
こんな感じで、どのスポットまで訪問するかによって観光所要時間は変わってきます。
個人でマルシュルートカを利用して奥イメレティにアクセスした場合は、キンチュハの滝とオカツェ渓谷の二大スポットを日帰りで制覇するのは、両スポット間の移動にタクシーを利用しない限りスケジュール的に不可能。
多くの場合は、現地に宿泊することになるでしょう。
オカツェ渓谷~キンチュハの滝間の移動手段

奥イメレティ観光のプランニングのポイントは、オカツェ渓谷~キンチュハの滝間の移動手段をどうするか。
7kmほど離れた両スポットを結ぶ公共交通はなく、徒歩の場合は片道1時間半~2時間ほどかかることがネックとなります。
両スポット間には舗装道路が敷かれていて延々と歩けば良いだけなのですが、馬鹿にできないのがアップダウン。
特にキンチュハの滝に至るまでの1kmほどは信じられないほどの急坂が続くので、徒歩で移動する場合は覚悟しておきましょう。▼

体力や時間に余裕がない場合は、オカツェ渓谷~キンチュハの滝間のみをタクシーで移動することも可能。
ビジターセンター前で客待ちしているタクシーを利用してサクッと移動することになりますが、料金相場はかなり足元を見た価格です。
ビジターセンター~キンチュハの滝間はたった15分ほどの乗車なので10GELほどがジョージアの一般的な相場にもかかわらず、30GEL=¥1500などと言ってくるのでご注意を(しかしもはや殿様商売なので交渉しても下がらないことがほとんど)。
こんな感じで、エリア内の移動がなかなか面倒な奥イメレティ。
クタイシやマルトヴィリからタクシーを1日チャーターしてしまうのが、結局最も効率的&安く済むかもしれません。
観光のインフラ

奥イメレティ地域の観光インフラは整っているとは言えず、全体的にかなり不便さを感じます。
ゲストハウスこそ数軒点在していますが、先述の通り飲食店の数には限りがある点に注意。
商店に関しては、ゴルディ集落に数軒ありますが、それ以外の集落には一つもありません。
また、奥イメレティではガスや水道、電気などのインフラは整っていますが、とにかく停電が多い点に注意。
数分~数時間に渡る停電が一日のうちに数回発生するので、かなり不便です。
スマホのデータ通信に関しては利用する会社にもよるものの、ロミナの滝など山奥に入らない限りは接続可能。
しかしながら、集落内であっても電波が少し弱めな場所が多いのが難点です。
ぼったくりに注意

すでに何回も触れていますが、奥イメレティ地域では観光客をターゲットにしたぼったくり価格がまかり通っています。
そのほとんどは、ビジターセンター前にたむろする4WDタクシーの法外なぼったくり料金に関するもの。
どのドライバーもかなりふっかけた料金を言ってくるものの、事前に同意した金額以上を後から請求されるといったケースは稀なので、その点は安心です。
ゲストハウス宿泊時でも気を付けるべき場面はあり、何も言わずに紅茶やワインを出してくれたと思ったら、後からその分の料金を請求されるというケースも。
ジョージアの宿では基本的に、宿泊客に紅茶やコーヒー、ワインなどは無料で振る舞われるのが普通ですが、観光地化にやられてしまった奥イメレティ地域ではそんな常識は通用しません。
タクシーにせよ宿にせよ、とにかく料金は全て事前に確認することを徹底しましょう。
入場料20ラリ払う価値はある?
さてさて。オカツェ渓谷とキンチュハの滝から成る奥イメレティ二大スポットについてあれこれ書いてきましたが、一番気になるのは「20ラリの入場料に見合う価値があるの?」ではないでしょうか。
このあたりは完全にその人の好みですし、何に価値を見出だすかは人それぞれ。
しかし、のぶよ個人的な意見をお伝えします。

まずは、オカツェ渓谷。
一周1時間弱の遊歩道が敷かれた渓谷を見るために20ラリ払う価値があるのかどうか…
のぶよ的には、「さすがに20ラリは高すぎる」といったところ。
オカツェ渓谷自体はそこまで特別な景観のものではなく、自然目的で訪れるとがっかりしてしまうかもしれません。
しかしながら、オカツェ渓谷名物の空中遊歩道は一見の価値あり。
遊歩道を歩いて「渓谷の上に体が浮かび上がっているような感覚を味わうスポット」と考えれば、高額な入場料にもまあ納得がいくような気がしないでもないような…
この立地に遊歩道を敷くのも維持するのも大変でしょうし、訪問客側に入場料を支払わせるのも仕方がないのかもしれません(それでも10ラリ=¥500くらいが妥当だと思うけど)。

続いては二大スポットのもう一つであるキンチュハの滝。
こちらに関しては、20ラリ支払って見る価値は全くありません。
キンチュハの滝自体は素晴らしく、かなりの規模感に圧倒されますが、言ってしまえばそれだけ。
遊歩道から見られる渓谷風景は綺麗ではありますが、ジョージア全国どこにでもあるような普通の渓流です。
さぞ建設が大変だったであろうオカツェ渓谷の空中遊歩道に比べ、キンチュハの滝遊歩道は川沿いに敷かれただけの至って普通のもの。
維持にもそれほどの予算を要しないでしょうし、正直これに20ラリは観光地化に脳みそやられてるんじゃないかと憤慨してしまうレベルでした。
個人的には無料であるべきスポットだと思いますが、入場料を取るなら高くても5GEL=¥250が限度。
どう考えても無料で見学できるロミナの滝の方が素晴らしいので、これを読んでいるみなさんにはぜひとも、もう少し歩いて本物の自然美を堪能してほしいです!
クタイシ近郊スポット観光のプランニングのコツ
オカツェ渓谷とキンチュハの滝はクタイシから単純往復で訪問するのも良いですが、せっかくなら近郊の他の見どころにも足をのばしたいもの。
クタイシ近郊には「定番5大スポット」とされる有料の見どころが5ヶ所点在しており、いずれもクタイシから見て北西部のエリアに位置しています。
・オカツェ渓谷
・キンチュハの滝
・サタプリア自然保護区
・プロメテウス洞窟
・マルトヴィリ渓谷
個人的には「わざわざお金を払って入場するような見どころに行かなくても…」といった感覚が率直なものですが、定番系は制覇しないと気が済まない!という人だっているはず。
これら5大スポットのうち、今回紹介したオカツェ渓谷とキンチュハの滝と組み合わせて周りやすいのは、マルトヴィリ渓谷です。

マルトヴィリ渓谷への入場は有料で、こちらも個人的には支払う価値は薄め。
しかしながら、マルトヴィリには無料で楽しめる「裏マルトヴィリ渓谷」なるエリアがあり、むしろこの無料ゾーンのために訪れる価値があります。
マルトヴィリの町自体ものんびりした風情とソ連的な哀愁が素敵なので、奥イメレティ地域の観光とあわせてぜひ訪れてみましょう。
残る5大スポットのうち、サタプリア自然保護区とプロメテウス洞窟は、今回紹介している奥イメレティエリアの観光と組み合わせるよりも、クタイシから日帰りで単純往復する方が効率的です。
おわりに:奥イメレティで感じた観光地化の弊害
クタイシに来たなら絶対に行くべき!と言われる、奥イメレティ地域の見どころを紹介しました。
宿情報や詳細な行き方、プランニングのコツなど色々と書き連ねてきたので、実際にこのエリアを訪問しようと考えている人にはきっと役に立つはずです。
「オカツェ渓谷とキンチュハの滝かあ…定番スポットらしいし、やっぱり行っておきたい!」という人はもちろん行けば良いでしょう。
しかしのぶよ的には、正直「ジョージアを旅してきた中で最も気分が乗らなかったエリア」が、奥イメレティでした。
そもそものぶよは、自然スポットに入場料を設定するということ自体に反対なタイプ。
「人間の手で作られていないものに価格を設定して飯の種にする」という安易な考えの観光開発がとてつもなく嫌いです。
入場料うんぬんだけではなく、急激な観光地化が地元の人のライフスタイルや考え方を大きく変化させてしまっているのも、奥イメレティ地域で強く感じたこと。
かつての奥イメレティ地域は、地元の人だけが知っている渓谷と滝があるだけの、どちらかと言えば貧しい部類の山村でした。
そこに政府主導の観光開発の白羽の矢が立ち、急ピッチで遊歩道が整備され、観光PRが推進され、クタイシ国際空港のLCCハブ化が進み、ジョージアを訪問する旅行者の間で「まずは行くべき定番スポット」としての地位を得たわけです。
貧しい山村が今日のような一大観光エリアに変貌するまで、なんとたったの十年ほど。
あまりに急激に観光マネーがじゃんじゃん落ちるようになった奥イメレティでは、何もせずとも金に糸目をつけない旅行者がやって来て散財していくわけで、これが地元の人のメンタリティーを変えてしまったというわけです。
「どうせ二度とやって来ない観光客からぶんどれるだけぶんどってやろう」といった考えが見え見えの人も目立ち、ジョージア伝統のホスピタリティーなど、もはやここには存在しません。
観光地化によって人々が裕福になるのは良いことですし、誰もがより良い生活をしたいもの。
しかし奥イメレティの場合は、観光地として成功するためのステップを順番に踏むことなく&何の努力もすることなく一気に有名になってしまったため、ちょっと目に余る感じが色々とありました。
…と、のぶよ的には正直時間とお金をかけて行く価値はないと感じる奥イメレティですが、クタイシなどの地元のジョージア人は「オカツェ渓谷には行くべき!びゅーてぃふる!」などと絶賛しまくりあげる人も多いもの。
ジョージア人は全体的にこうした「作られたキラキラ自然スポット」を好む傾向がものすごく強く、ありのままの自然の美しさよりも、人間の手が加えられて「美しく演出された」場所を好む傾向があるのかなあとも感じます(まじでここの人のメンタリティーは中国人とそっくり)。
とまあこんな感じで怨み節を書き連ねてきましたが、「急激に訪れた観光地化の波に飲み込まれてしまった小さな山村がどうなるのか」をまじまじと体感できるという点では、奥イメレティは現在進行形の壮大な社会実験のよう。
自然自体の美しさは確かなものなので、怖いもの見たさ(?)で行ってみるのもアリです。
しかし、これだけは言わせてください。
ジョージアには、人の手など及ばぬ圧倒的な大自然や、金銭が絡まずとも温かく迎えてくれるホスピタリティー、旅行者が歩いているのを見かけると自分の車に乗せてあげずにはいられない人々など、スレていない良さがまだちゃんと存在しているもの。
残念ながら、奥イメレティ地域ではこうした良さはほぼ全て潰えてしまっていますが、ここだけを見て国全体を判断することだけは避けてほしいものです。




































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