こんにちは!ジョージア南部のサムツヘ=ジャワヘティ地方をのんびり旅行中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
サムツヘ=ジャワヘティ地方全体でも最大の観光地である、ヴァルジア洞窟住居群。
断崖絶壁の山の斜面を利用して手作業で掘られた洞窟がアリの巣のように連なり、美しいフレスコ画が残る教会や中世の薬局跡などが残る、見ごたえ抜群の一流観光地です。
ヴァルジア洞窟住居は、ジョージア観光のハイライトの一つとされるスポット。
多くの観光客が訪れるのですが、その99%は洞窟住居を上に下にと歩きまわって絶景を堪能してこの場所を去っていきます。
…実はそのすぐそばで温泉が湧いていることなど知らずに。
渓谷地帯にぽつりと建つ場末の掘っ立て小屋。
その中でこんこんと湧くこちらの温泉、ひとことで言うならものすごい名湯です。
ジョージアではとても珍しいぬめぬめ系の湯ざわりは、まさに美肌の湯そのもの。
この国で色々な温泉を訪れてきましたが、現時点でNo.1の泉質の温泉だと思います。
名前などは特に存在しないこの温泉をのぶよは「ヴァルジア掘っ立て小屋温泉」と呼び、推していくことにしました。
とうわけで今回の記事は、ヴァルジア掘っ立て小屋温泉の訪問に必要な情報を徹底解説するもの。
旅行者泣かせなのが、この温泉独自の利用方法。
ジョージア地方部らしい適当さと面倒さに満ち溢れたシステムの攻略法も解説しています。
どうかこれを読んで、ヴァルジア洞窟住居だけをサクッと見てこの地を去ってしまう旅行者が一人でも減りますように…!
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉の入浴レポート
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉があるのは、ヴァルジア洞窟住居から1.kmほど離れた渓谷地帯。
周囲にはとにかく何もなく、知らなければこの掘っ立て小屋の中で極上のお湯が湧いているとは想像もつかないでしょう。
掘っ立て小屋の入口付近には、ぐおおぉぉぉぉとものすごい勢いで源泉が噴き出している間欠泉ポンプのようなものがあります。
なんでも湯量があまりに多すぎて浴槽内に入りきらないため、余った温泉をこうして噴出しているそう。
露天風呂でも作れば良いのに…
掘っ立て小屋の中に広がっていたのは、想像通りの場末感漂う空間と、浴槽いっぱいに溜まった青みがかった色の温泉でした。
源泉は42℃~43℃ほどでやや熱め。
初めは感じなかったものの、お湯を手で汲んでみるとほのかな硫黄の香りが感じられます。
掘っ立て小屋温泉はグループごとの貸切利用が基本となるので、全裸での利用がOKである点も日本人的には嬉しいところ。
服を脱ぎ、いざ温泉へドボン!します。
温泉に体が浸かった瞬間にまず驚いたのが、かなりぬめっとした湯ざわり。
肌にまとわりついてくるような質感で、お湯に浸かった部分の肌はしっとりとなるのを感じます。
間違いありません。この掘っ立て小屋温泉のお湯は「美肌の湯」です。
ジョージアにはいくつかの温泉地がありますが、このぬめぬめ系の湯ざわりを持つ温泉はとても珍しいもの。
のぶよはこの国の温泉を色々と訪れましたが、この掘っ立て小屋温泉以外のぬめぬめ系のお湯は、同じ「ジョージア温泉街道」に位置するグルケリ温泉だけです。
20分ほどお湯に浸かった後に休憩していると、踵の角質がぼろぼろと落ちていったのにはびっくり。
入浴後の肌はもっちり&しっとりした質感になり、ぷるんぷるんの赤ちゃん肌になれます。
浴槽の温泉の温度がなかなか熱めのため、長時間続けて浸かるのは難しいのですが、好きな時に外に出て涼めるのも◎ (もちろん何かしら着用して)
掘っ立て小屋のすぐ裏手には川が流れているのでクールダウンにはぴったりですし(泳ぐのは危険)、掘っ立て小屋入口からは遠目にヴァルジア洞窟住居を望むことができます。▼
とにかく大満足の体験となった、掘っ立て小屋温泉。
正直、こんな場末感漂う辺鄙な場所でこんなに素晴らしい泉質の温泉に出会えるとは想像さえしていませんでした。
入浴→クールダウンを数回繰り返して、40分~1時間ほどのんびりと楽しむのがおすすめです!
初心者殺し?ヴァルジア掘っ立て小屋温泉の利用方法
とにかく素晴らしい泉質の掘っ立て小屋温泉。
声を大にして全人類におすすめしたいのですが、一つ大きな問題があります。
それは、掘っ立て小屋温泉の利用法が私たち日本人の温泉利用法の常識からかけ離れていること。
日本人的には「温泉に直接出向いて、係の人にお金を払って入浴するだけでは?」と思うことでしょう。
ジョージアの一般的な温泉施設においてもそれは同様で、基本的に係の人が常駐している場合がほとんどです。
しかしながら、掘っ立て小屋温泉の場合は話が別。
基本的に小屋には誰も人はおらず、入口の扉には鍵がかけられているためです。
扉には2種類の電話番号が殴り書きされているだけ。
そう、「温泉に入るなら鍵を開けにいくから電話しろ」ということです。▼
2つの番号が書かれているものの、上の番号が正解。
電話すると男性が対応してくれ(ロシア語かジョージア語のみ)、「5分で行く」と言って電話を切られます。
それから待つこと20分(あれれぇ~?)。車に乗ったおじいさんが颯爽と現れ、温泉の鍵を開けてくれます。
(この際に入浴料10GEL=¥500を現金で渡す)
つまり、「ロシア語かジョージア語で電話して鍵を開けに来てもらう→いつ来るか分からないおじいさんを待つ」という言語能力と謎の待ち時間が必要となるわけです。
もう一つのパターンとしては、おじいさんがすでに掘っ立て小屋付近にいる場合もあります。
でも、「やったあ!電話して来るのを待つ手間が省けた!」と思うのはまだ早い。
おじいさんが掘っ立て小屋の前にいるのは、すでに入浴している客が出て来るのを待っているか、電話予約した客が到着するのを待っているかのいずれか。
掘っ立て小屋温泉には浴場は一つしかなく、完全にグループごとの貸切となります。
つまり、「おじいさんが温泉付近にいる=他の利用客の入浴が終わるのを待たなければいけない」というわけ。
最大で1時間以上も、この何もない場所で順番待ちをすることになるかもしれません。
この適当すぎるシステムが、掘っ立て小屋温泉利用にかかる時間の予想とプランニングを難しくしており、掘っ立て小屋温泉とヴァルジア洞窟住居のセットでの日帰り観光を難しくしている最大の理由です。
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉へのアクセス・行き方
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉へのアクセス拠点となるのは、アハルツィヘの町一択。
アハルツィヘ~ヴァルジア間の移動方法は以下の2通りです。▼
①アハルツィヘからタクシーチャーター
ヴァルジアへの最も簡単なアクセス方法は、アハルツィヘからタクシーをチャーターしてしまうこと。
アハルツィヘのバスステーション周辺には客待ちのタクシーが常に待機しているので、上手に交渉するようにしましょう。
料金の相場は、以下の通りです。 ▼
・アハルツィヘ~ヴァルジア単純往復 + 観光時の待機時間2時間~3時間の半日チャーター:150GEL~200GEL(=¥7500~¥10000)
・アハルツィヘ~ヴァルジア往復 + 観光時の待機時間2時間~3時間 + その他の見どころにも立ち寄る一日チャーター:100GEL(=¥5000)
ヴァルジアには待機中のタクシーが多くたむろしていますが、これらはすべてチャーター客が観光を終えて戻って来るのを待っているもの。
ヴァルジア→アハルツィヘの片道のみでのタクシーを探すのは難しいと思うので、アハルツィヘから往復チャーターするのが基本です。
②アハルツィヘ〜ヴァルジア間マルシュルートカ
アハルツィヘ~ヴァルジア間にはマルシュルートカ(乗り合いミニバス)が走っており、個人で格安で移動したい旅行者の強い味方。
アハルツィヘでの発着地は市内中心部のバスステーションから。
バスステーション敷地内のチケットオフィスで、ヴァルジア行きの便のチケットを購入するシステムです。
この区間の時刻表は以下の通り。▼
・アハルツィヘ→ヴァルジア方面:10:30 / 12:20 / 16:00 /17:30
・ヴァルジア→アハルツィヘ方面:8:45 / 13:00 / 15:00
※最新のスケジュールはアハルツィヘのバスステーションで確認を!
日帰りの場合は、アハルツィヘ発10:30 / ヴァルジア発15:00の選択肢しかないでしょう。
(掘っ立て小屋温泉 + ヴァルジア洞窟住居の個人日帰り観光が可能かどうかは次の項で解説しています)
この路線は観光客で混み合うこともしばしばあるので(特に夏場のハイシーズン)、早めにバスステーションに到着しておいてチケット購入&座席確保することを強くおすすめします。
ヴァルジア洞窟住居前~掘っ立て小屋温泉間の徒歩ルート
ヴァルジア洞窟住居入口(もしくはその50mほど手前の橋付近)でマルシュルートカを下車したら、掘っ立て小屋温泉までは徒歩で移動することとなります。
片道1.1km / 15分~20分ほどの道のりでアップダウンもゆるめの舗装道路を歩いていくだけ。
周辺の谷間の風景はとても美しく、これから訪れる温泉への期待を高めてくれます!
アハルツィヘ拠点で掘っ立て小屋温泉&ヴァルジア洞窟住居の日帰り観光は可能?
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉を訪問しようと考えている人の多くは、たった1km少々しか離れていないヴァルジア洞窟住居もセットで観光するプランを組もうとするのではないでしょうか。
アハルツィヘ等でタクシーを一日チャーターする場合は、掘っ立て小屋温泉 + ヴァルジア洞窟住居を日帰りで訪問するのは余裕。
それだけでなく、このエリアに点在する他の見どころのいくつかもセットで観光できるでしょう。
いっぽう、個人でアハルツィヘ~ヴァルジア間のマルシュルートカを利用して移動する場合、掘っ立て小屋温泉 + ヴァルジア洞窟住居の日帰り観光は可能なのでしょうか。
マルシュルートカのスケジュール的にはいけそうな気がしますが、結論から言うと無謀です。
マルシュルートカのスケジュール的には可能そう…?
すでに「ヴァルジア掘っ立て小屋温泉へのアクセス」の項で解説した通り、アハルツィヘ~ヴァルジカ間のマルシュルートカのスケジュールは以下の通りです。
・アハルツィヘ→ヴァルジア方面:10:30 / 12:20 / 16:00 /17:30
・ヴァルジア→アハルツィヘ方面:8:45 / 13:00 / 15:00
※所要時間:片道1時間半
アハルツィヘ始発10:30の便を利用し、ヴァルジア最終15:00の便を利用する場合、現地滞在時間は約3時間ほど。
すでにちょっと時間が足りなそうな香りがぷんぷんしますが、いちおう個人での日帰り掘っ立て小屋温泉 + ヴァルジア洞窟住居観光プランを立ててみました。▼
・10:30→アハルツィヘ発ヴァルジア行き始発便に乗車
・12:00頃→ヴァルジア到着
・12:00〜12:20→掘っ立て小屋温泉に徒歩移動
・12:20〜13:00→掘っ立て小屋温泉入浴
・13:00〜13:20→ヴァルジアに徒歩移動
・13:20〜15:00→ヴァルジア洞窟住居観光
・15:00→ヴァルジア発アハルツィヘ行き最終マルシュルートカ乗車
・16:30頃→アハルツィヘ帰着
日帰りの場合このプラン一択となり、一目瞭然ですがものすんごくタイトです。
・掘っ立て小屋温泉の入浴時間が最大で40分ほど(せっかくなら1時間ぐらいのんびりしたい)
・ヴァルジア観光時間が最大で1時間40分ほど(理想的には2時間はほしい)
と、ものすごく忙しいスケジュールとなってしまいます(特にヴァルジアは時間が足りず全部ちゃんと見られない可能性大)。
日帰り観光最大のネックは、掘っ立て小屋温泉の待ち時間
さらに。問題となるのが、「ヴァルジア掘っ立て小屋温泉の利用方法」の項ですでに説明した、初心者殺しのシステム。
・管理人のおじいさんが温泉前に居ない→電話して鍵を開けに来てもらわなければいけない(いつ到着するかは彼の気分による)
・管理人のおじいさんが温泉前に居る→予約客が来るのを待っているorすでに利用客がいて鍵を閉めるのを待っている=順番待ち時間ロスが生じる
というわけで、おじいさんが居る/いない いずれのパターンでも入浴時間以外に待ち時間が生じることとなります。
なので、この時点でもう旅程崩壊。
温泉入浴後はヴァルジア遺跡を観光する時間はなく、泣く泣く15:00ヴァルジア発の最終マルシュルートカでこの地を去ることになるでしょう。
待ち時間をなくす唯一の方法は、前日や当日の朝に電話して「〇〇時に行くから!」と予約しておくことぐらいとなりますが、それをジョージア語orロシア語で伝えられる旅行者の数は限られているでしょう。
また、ここはジョージア地方部で日本ではないので、「〇〇時に」と指定した時間はだいたいズレが生じるもの。最悪、予約したことさえ忘れられます。
というわけで、個人でマルシュルートカを利用して掘っ立て小屋温泉&ヴァルジア洞窟住居をセットで日帰り観光するのは無謀、というか無理です。
アハルツィヘからタクシーを一日チャーターしてしまうか、ヴァルジア周辺エリアに宿泊して帰りのマルシュルートカの時間を気にせずに観光するプランが断然おすすめです!
ヴァルジア周辺の宿泊のおすすめはトモグヴィ村!:1泊2日観光モデルプラン
ヴァルジア周辺エリアの宿泊に断然おすすめなのが、ヴァルジア洞窟住居から7kmほど離れたトモグヴィ村(Tmogvi / თმოგვი)
割安のゲストハウスが点在していることと、穴場の見どころがいくか点在していることが理由です。
掘っ立て小屋温泉&ヴァルジア洞窟住居観光後にトモグヴィ村へ移動する場合は、もう最終マルシュルートカは出てしまっているので、6.5km / 2時間ほどの道のりを徒歩で移動する必要があります。
この道のりが、かなりの絶景ルート。
個人的には、ヴァルジア周辺エリアの隠れたハイライトとなる風景が見られるルートだと思います。
トモグヴィ村に宿泊する場合は、掘っ立て小屋温泉 + ヴァルジア洞窟遺跡だけでなく、このエリアの他の見どころに足をのばせるのも大きなメリット。
往復マルシュルートカ移動の場合での1泊2日のモデルプランを組んでみました。
【1日目】
・10:30→アハルツィヘ発ヴァルジア行き始発便に乗車
・12:00頃→ヴァルジア到着
・12:00〜12:20→掘っ立て小屋温泉に徒歩移動
・12:20〜14:00→掘っ立て小屋温泉入浴(※待ち時間を考えて時間は長めに計算)
・14:00〜14:20→ヴァルジアに徒歩移動
・14:20〜16:20→ヴァルジア洞窟住居観光
・16:20〜18:20→ヴァルジア→トモグヴィ城塞間徒歩移動
・20:00→トモグヴィ村の宿に到着
【2日目】
・9:30〜→11:00トモグヴィ城塞へトレッキング
・11:00→トモグヴィ城塞到着&観光
・12:00〜13:00→トモグヴィ城塞からトモグヴィ村へ戻る
・13:15→ヴァルジア13:00発のマルシュルートカに途中乗車
・13:30→ヘルトヴィシ村到着
・13:30〜14:30→ヘルトヴィシ城塞観光
・15:30:ヴァルジア発15:00アハルツィヘ行きのマルシュルートカに途中乗車
・16:00頃→アハルツィヘ帰着
こんな感じ。
1日目の掘っ立て温泉&ヴァルジア洞窟住居は時間に余裕を持って観光できますし、2日目はこのエリアの隠れた観光ハイライトであるトモグヴィ城塞と伝説息づく名城・ヘルトヴィシ城塞までガッツリ観光できてしまいます。
もし日程に余裕があるなら、2日目のヘルトヴィシ→アハルツィヘ間のマルシュルートカをアスピンザという町で途中下車&アスピンザに宿泊していくのもおすすめ。
アスピンザはこの地域では「グルメの聖地」と名高い村で、ジョージアでもここでしか生産されていないクヴェヴリ・ビールが飲める家や絶品巨大ヒンカリの食堂などのグルメスポットに恵まれているのです。
また、アスピンザにもソ連時代に整備された温泉施設があるので、この地域の温泉を制覇したい人はぜひともプランに組み込みたいもの。
アスピンザ→アハルツィヘ方面へ戻る際は直行のマルシュルートカが一日数便走っているので便利ですし、ヴァルジア→アハルツィヘ方面のマルシュルートカを途中乗車しての移動も可能です。
トモグヴィ村にある、ジョージア唯一の温泉付きゲストハウス
トモグヴィ村に宿泊するなら、温泉ゲストハウスに宿泊して温泉三昧の一日にするのもおすすめです。
敷地内に自家源泉を持つ宿は、おそらくジョージアでここだけ。
日本の温泉宿ほどのクオリティーは望めないものの、朝から晩まで極上のお湯に浸かることができるのは大きなメリットです。
実際にこのゲストハウスに宿泊したレポートや周辺の観光情報は別記事にまとめているので、そちらもあわせてチェックを!▼
おわりに
ヴァルジア掘っ立て小屋温泉のアレコレと、個人での移動やプランニングに必要な情報を詳細に解説しました。
初心者にはなかなかハードルが高めな利用法の場所ですが、まあ行けばなんとかなります(笑)
このエリアには他にも温泉が湧いている場所があったり、見どころも数多く点在しているので、時間に余裕を持ったプランニングがおすすめ。
「ジョージア温泉街道」最奥部に位置する名湯の魅力を、五感で感じてもらえたら嬉しいです!
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