こんにちは!ジョージア滞在も1年半、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアの定番スポットはほとんど行きつくしたつもりでいたのですが、完全にノータッチだった場所があることに気が付きました。
1年前。ジョージア観光のハイライトの一つであるカズベキを訪れた際に通過したことはあったものの、ちゃんと観光できていなかったのです。
それが、アナヌリ要塞(Ananuri fortress / ანანური)。
ターコイズブルーの水面が美しいジンバリ湖の西岸に建つ、城壁に囲まれた教会。
かつてLonley Planet(世界的旅行ガイドブック)のコーカサス編の表紙を飾ったこともあり、ジョージアの中でも最も有名なスポットの一つです。
多くの旅行者にとってのアナヌリ要塞は、トビリシ~カズベキ間のジョージア軍用道路を移動しながらちょっと立ち寄るくらいの場所。
「現地ツアーやタクシー、観光マルシュルートカを利用するしかアクセス方法はない!(=個人では行けない)」
なんて言われますが、そんなの嘘です。
ローカルのマルシュルートカを利用して、簡単&格安でアクセスすることが可能ですし、ジョージア軍用道路沿いの他の見どころとセットでまわることも(もちろん全て個人で)できます。
今回の記事は、アナヌリ要塞の観光に必要な情報を解説したもの。
のぶよのように「できる限り自分の足で移動&観光したい!」という人向けに、マルシュルートカでのアクセス方法も詳細に解説しているので、ぜひ参考にしてください!
アナヌリ要塞の歴史
古くからの交易路上に位置していたアナヌリですが、要塞として機能しはじめたのは16世紀~17世紀頃と、比較的後の時代になってからのこと。
当時は「アラグヴィ」と呼ばれたアナヌリ周辺地域。
この地域で権力を持っていた貴族が居住する場所として、防衛拠点も兼ねて整備されたのがアナヌリ要塞の始まりです。
1786年には、北部山岳地帯を超えてジョージア領内に侵攻してきたダゲスタン人によって一度は陥落しますが、カヘティ王エレクレ2世(Erekle Ⅱ)によって再びジョージアの領土となります。
その独特のロケーションと風光明媚な風景、まるでゲームの世界のような敷地内の雰囲気が注目され、一躍人気の観光スポットとなったアナヌリ要塞。
トビリシから1時間もかからずにアクセスできることもあいまって、今ではジョージア観光のハイライトとして多くの人が訪れる場所となりました。
アナヌリ要塞の見どころ6選
アナヌリ要塞の見どころは、上の写真内の①~⑤の建造物と、数百メートル離れた場所にある⑥絶景ポイントの合計6つにを押さえておけばOK!
時間に余裕があるなら、要塞の下に位置するジンバリ湖畔でゆっくりするのも◎
日帰りで訪れるのが基本ですが、要塞近くのアナヌリ村にはいくつかゲストハウスもあるので、のんびり滞在していくのも良いでしょう。
①ムクリアリ
アナヌリ要塞の敷地で最も低い場所に位置するのが、17世紀初頭に作られたムクリアリ(Mkriali)と呼ばれる鐘楼。
実は、かつてのアナヌリ要塞は上院と下院の二つの建物が隣接した造りになっていたそうで、現在旅行者が見られるのはほとんど全てが上院のもの。
このムクリアリだけが、かつての下院部分にあった教会の名残なんだそうです。
8つのアーチに支えられた美しい様式の鐘楼からは、青く輝くジンバリ湖をすぐそばに望むことができます。
②聖母被昇天教会 ハイライト!
アナヌリ要塞の中で最大規模の建造物が、聖母被昇天教会(Assumption church)
黄色がかった石を積み重ねた重厚な様式が特徴的。
17世紀の建造にしては珍しく、中世グルジア王国(11世紀~13世紀)時代の建築様式に忠実に造られたものです。
入口左側の壁には、びっしりとジョージア文字が刻まれています。
バルジム・ムディヴァンベグ(Bardzim Mdivanbeg)という人物によってこの教会が建造されたことが書かれているのだとか ▼
教会内部は旅行者にも開放されているので、ぜひ入場してみましょう。
教会内部は、白を基調にした壁に囲まれた空間が広がります。
圧倒的な外観と比較すると、どこか質素に感じられるかもしれません。
というのも、聖母被昇天教会の内部のフレスコ画は18世紀の火災によってダメージを受けてしまったため。
現在見られるのは、火災の被害を奇跡的に免れたフレスコ画なのです。
教会の正面にあるのが、アッシリアの十三士が描かれた祭壇 ▼
とても質素な雰囲気の教会内部において、この祭壇だけがとても豪華で存在感があります。
火災の後に設置されたものだと思いますが、金色が基調の豪華な祭壇と質素な白い壁のコントラストが不思議と調和しているように感じました。
現在のジョージア東部地域は、世界で最も早い時期にキリスト教を受容した国の一つ、イベリア王国の領土でした。
この地でキリスト教の信仰をより強いものとするため、7世紀頃にメソポタミア(現在のイラク・シリア一帯)から派遣された13人の教父がアッシリア十三士と呼ばれる聖人たちです。
現在のジョージア国内には、彼らの名を冠して祀っている13の修道院が点在しており、現在でも修道僧たちが祈りを捧げながら生活をしています。
あくまでも伝説の域を出ない話ですが、
・カヘティ地方のアラヴェルディ修道院
・ムツヘタ近郊のシオ・ムグヴィメ修道院
・トビリシ近郊のマルトコピ修道院
なども、アッシリア十三士を祀った修道院の一つです。
③ヘヴスル塔
アナヌリ要塞の中でも異色の雰囲気を放つのが、②聖母被昇天教会の西側の壁に接してそびえ立つヘヴスル塔(Khevsur tower)。
「ヘヴスル」とは、アナヌリの北東に広がる山岳地域・ヘヴスレティ地方(Khevsureti)を指し、現地では異民族の侵入から村を守るための見張り塔としての役割を果たしていました。
ヘヴスル塔は、アナヌリ要塞の中でも最も早い時期に建設されたもの(14世紀)。
内部は四層構造になっており、外敵の侵入の際に近隣の村人たちが隠れ住むためのスペースとなっていたそうです。
④スパスキー教会
アナヌリ要塞の敷地の西側にあるドーム型天井が印象的な建造物が、17世紀初頭に建造されたスパスキー教会(Spassky church)。
様々な彫刻が施された②聖母被昇天教会とは対照的に、装飾が一切ないシンプルな外観です。
スパスキー教会への旅行者の入場はできず、外からしか見られなかったのが残念…。
⑤シェウポヴァリ塔 おすすめ!
アナヌリ要塞の最も西側に位置するシェウポヴァリ塔(Sheupovari tower)は、要塞の敷地内で最も高い地点に位置しています。
城壁と一体化した見張り塔で、現在でも内部に入って頂上に上ることができます。
シェウポヴァリ塔の一番上では、信じられないほどの絶景が待ち受けていました。
上から眺める二つの教会とヘヴスル塔。その向こうにはどこまでも青く澄んだジンバリ湖が広がります。
アナヌリで有名なのは次の項で紹介する絶景ポイントからの風景ですが、のぶよ的にはこのシェウポヴァリ塔からの眺めも負けていないと思いました。
⑥アナヌリ要塞絶景ポイント ハイライト!
アナヌリ要塞内の見学をひと通り終えたなら、観光の総仕上げといきましょう!
要塞から100m~150mほど南側に離れた橋の上が絶景ポイントとなっています。
橋からの眺めを遮るものは何一つないので、どこからでも素晴らしい風景が望めます。
ジョージア人の教会を作る立地へのこだわりには執念のようなものを感じるのですが、アナヌリにおいてもそれは同じ。
数百年前から変わらぬ絶景を心に刻み込みましょう。
個人でも行ける!アナヌリ教会のアクセス情報
アナヌリ教会は、トビリシから車で1時間もかからない絶好の立地にあり、ほとんどの旅行者はトビリシを起点としてアクセスするでしょう。
トビリシ~アナヌリ間の主なアクセス方法は以下の4通り。
旅のスタイルや時間の都合に合わせて選ぶのがポイントです!
①タクシーチャーター
最も簡単なのが、トビリシでタクシーをチャーターしてしまうこと。
季節や交渉によって料金相場は変わりますが、だいたい以下の通りです。
・トビリシ~アナヌリ単純往復:40GEL(=¥1402)~
・トビリシ~アナヌリ~パサナウリ往復:60GEL(=¥2103)~
・トビリシ~アナヌリ~グダウリ~カズベキ片道:100GEL(=¥3505)~
・トビリシ~アナヌリ~グダウリ~カズベキ日帰り往復:200GEL(=¥7010)~
アナヌリだけを観光してトビリシに戻るのは非効率的。
ジョージア軍用道路をさらに北へと進んだ場所にある見どころ(パサナウリ/グダウリ/カズベキ)とセットでまわる人がほとんどです。
②現地ツアー参加
二人以下でのタクシーチャーターは割高になってしまうもの。
思い切って現地ツアーに参加してしまうのも一つの手です。
トビリシ発カズベキ観光ツアーの場合、ほぼすべてがアナヌリ要塞に立ち寄ります。
タクシー利用よりも費用が抑えられる&交渉などの手間がないのもメリット。
「一人でいろいろ移動するのは自信ない…」という人にはおすすめです!
③カズベキ行きツーリスト・ミニバス
アナヌリの北に位置するカズベキはジョージアの一大観光エリア。
ノンストップのマルシュルートカ(公共ミニバス)直行便(10GEL=¥350)の他にも、「ツーリスト・ミニバス」と呼ばれる観光マルシュルートカも運行しています。
料金は片道20GEL(=¥700)で、アナヌリやグダウリなどジョージア軍用道路沿いの定番スポットに立ち寄りながらカズベキに移動することができます。
ツーリスト・ミニバスには決まった時刻表などは存在せず、ある程度人数が集まり次第の出発となる(=プランが立てにくい)のがデメリット。
また、旅行者が少なくなる冬場などは運行自体がされないこともあるので注意が必要です。
④マルシュルートカ
アナヌリを訪れる旅行者のほとんどは、上に挙げた①~③のいずれかの方法でアクセスします。
いっぽうで、「格安&フレキシブルに旅したい!」というのぶよのような人におすすめなのが、マルシュルートカを利用してアクセスすること。
(カズベキ行きの観光マルシュルートカではなく、地元民向けのごく普通のミニバスのことです。)
いくらネットで探しても「アナヌリには普通のマルシュルートカでは行けない」なんて情報ばかり出てきますが、行けます!(しかもかなり簡単に)
ここから先は、実際にこの区間をマルシュルートカで移動した体験をシェアしていきます!
トビリシ→アナヌリのマルシュルートカ
最初に知っておきたいのが、アナヌリ行き(=アナヌリが終点)のマルシュルートカは存在しないこと。
ではどうするのかと言うと、アナヌリの先にある町が終点のマルシュルートカを利用するのです。
・パサナウリ行き:13:00 / 18:00
・グダウリ行き:9:00 / 9:30 /11:00 / 17:00
・カズベキ行き:8:00~19:00の間1時間に1本
※時間は全て2021年6月現在のもの
上に挙げた便のいずれかに乗って、アナヌリで途中下車すれば良いだけ。超簡単です。
いずれの便も、トビリシでの出発地はディドゥベ・バスステーション(Didube)。
全てカズベキ行きの便が出発する駐車場の発着です ▼
乗車時に「アナヌリに行きたい!」と運転手に念押ししておけば、ちゃんと要塞前で降ろしてくれるはず。
マルシュルートカの本数も多いので、驚くほど簡単に移動できてしまいます。
アナヌリ→トビリシのマルシュルートカ
トビリシ→アナヌリの往路は超簡単でしたが、問題となるのは復路。
アナヌリ始発のトビリシ行きの便は存在しないので、要塞前の道路沿いでトビリシ行きの便が通るのを気長に待つしかありません。
あまりに何も無さ過ぎて不安になるかもしれませんが、大丈夫。
ちゃんと30分~1時間に1本はマルシュルートカが通りますから。
一つだけ頭に入れておくべきなのが、すでに満席の場合は途中乗車を断られることが多い(=停まってくれない)こと。
のぶよの経験上、1人や2人なら絶対に乗せてくれますが、3人や4人だと断られる場合もあると思います。
というか、3人や4人で移動&観光するならタクシーをチャーターしてしまった方が良いかと…。
アナヌリ観光プランニングのポイント
朝一番に訪れる!
アナヌリ要塞を訪れるなら、とにかく朝一番に行きましょう。
ジョージアでも定番中の定番なスポットであり、トビリシからも簡単にアクセスできるため、午後になると小さな要塞内に観光客が溢れかえるためです。
11時を過ぎたあたりからトビリシ発カズベキ日帰りツアーのバスが続々とやってきて、写真撮影大会が始まっていました。(平日/コロナ禍で観光客が激減しているにもかかわらず)
アナヌリ要塞は朝9時から開場している(事前の情報では10時~だったが、2021年6月現在は9時~)ので、一番乗りを目指すくらいの気持ちで行きましょう。
朝の静寂に包まれた教会と湖の風景は、きっと一生の思い出となるはずです!
アナヌリ観光に必要な時間
当記事内で解説したアナヌリ要塞の6つの見どころを見学するのに必要な時間は1時間ほど。
急ぎ足で写真を撮るだけなら30分くらいでもOKですが、せっかくここまで来たなら歴史ある建物や絶景をゆっくりと楽しみたいものです。
タクシーチャーター/現地ツアー/ツーリスト・ミニバスでアナヌリ要塞に立ち寄る場合は、だいたい30分ほどの観光時間しか与えられないため、消化不良になってしまうかも。(しかも観光客でいっぱいの時間帯だろうし)
いっぽうで、個人でマルシュルートカを利用する場合、アナヌリ要塞で1時間~1時間半の観光時間をとっても余裕。
これもマルシュルートカでのアクセスをおすすめする理由の一つです。
服装の規定
アナヌリ要塞の敷地内では、教会に入場するのと同じ服装の規定を守る必要があります。
・男性:長ズボン/肩を隠した服/踵の出ていない靴/帽子は脱ぐ
・女性:男性の服の規定 + 髪をスカーフ等で隠す
女性のスカーフに関しては教会内で無料で貸し出しがありますが、やはり自分専用のものを持っていくのがおすすめです。
ジョージア軍用道路をマルシュルートカで観光&移動する場合
お待たせしました。
「トビリシからカズベキまで、ジョージア軍用道路沿いの見どころに立ち寄りながら個人で(マルシュルートカで)移動することができるのか」という質問についてです。
答えは「ちょっと忙しいけど可能」。
「トビリシ→アナヌリのマルシュルートカ」の項で解説したパサナウリ行き/グダウリ行き/カズベキ行きの3つのマルシュルートカ路線を駆使して、ポイントからポイントへと移動すれば良いのです。
トビリシを朝一(8:00発カズベキ行き)で出発すれば、アナヌリ→パサナウリ→グダウリと観光しながら移動して、カズベキに到着するのは夕方頃。
日帰りで往復は無茶(カズベキを全く観光できない)ので、最低でもカズベキに1泊して翌日トビリシへと戻ることとなるでしょう。
おわりに
ジョージアを旅行する人は必ず訪れる定番スポット・アナヌリ要塞の観光情報を解説しました。
アクセス方法はいくつか種類があり、好みや時間の都合に合わせて選べるのも◎
のぶよ的には、マルシュルートカでジョージア軍用道路をのんびり旅しながら立ち寄るのがおすすめです。
アナヌリ要塞とセットで観光したい見どころに関する記事も書いているので、そちらもあわせて参考にしてください!
コメント