こんにちは!ジョージア滞在も5か月目、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
見どころがギュッと詰まった、ジョージアの首都・トビリシ。
レトロな旧市街やニュー・トビリシと呼ばれるお洒落なスポットから、旧ソ連感漂う市場まで。
どんな趣向の人でも満足できる魅力がある町です。
中でも独特の存在感を放っているのが、旧市街エリア南側に位置するアバノトゥバニ地区(Abanotubani / აბანოთუბანი)。
可愛らしい建物を背景に、円形のドームと煙突がずらりと並ぶ光景が圧巻のこの地区の最大の魅力が、温泉が湧いていることです。
今回の記事では、「トビリシの温泉街」としてポピュラーなアバノトゥバニ地区の歴史や見どころはもちろん、温泉施設の利用方法も解説していきます。
トビリシの温泉の歴史と伝説
そもそも町の名前自体が、ジョージア語の「トビリ(თბილი)」=「温かい」に由来するトビリシ。
古くから温泉があることで発展してきたのですが、その歴史は5世紀(1600年前)に遡ります。
ジョージアでは有名な伝説の舞台となっているアバノトゥバニ地区の温泉。
ジョージア人が愛してやまない古代カルトリ王国の王・ヴァフタング1世(Vakhtang Gorgasali)が主人公です。
トビリシの温泉にまつわる伝説
当時カルトリ王国(現在のジョージア東部)国王であったヴァフタング1世が、この地域で狩猟をしていたところ、一匹の鹿を仕留めました。
傷を負った鹿は湧いていた温泉の中に落ちたのですが、なんとその傷が奇跡的に治癒していったのです。
奇跡的な温泉の効能を目の当たりにしたヴァフタング1世は、この地こそ王国の都にふさわしいと考え、かつての首都・ムツヘタから、トビリシに首都を移すことを決意しました。
実際のところは、5世紀後半にヴァフタング1世がペルシア(現在のイラン)を打ち破ってこの地に都を置いたのであろうと言われてはいるものの、「トビリシの温泉は万病に効く」と現地の人に信じられています。
トビリシの現地の人は、週1で温泉通いする人も多く、中には毎日の日課としている人もいるほど。
それほどに、地元の人の間で温泉はポピュラーな文化となっています。
現在のアバノトゥバニ地区には数軒の温泉施設が点在しており、どこも源泉そのままのお湯を楽しむことができます。
地区内には硫黄の香りが至る所に漂っていて、まるで日本の温泉街さながら。
温泉街につきものの清流も流れており、遊歩道も整備されているので、湯上がりの散策までできてしまいます。
いざ、アバノトゥバニ地区の温泉へ!ローカル浴場の利用方法
いくつか温泉施設があるアバノトゥバニ地区ですが、最も安くて旅行者にもポピュラーなのが、こちらの”No 5 Sulphur Bathhouse“。
観光客向けなのかと思いきやそこまででもなく、地元の人が多く利用している感じでした。
(何と言っても安いので)
建物はソ連時代の1926年に造られたもののようで、入口脇には鎌とハンマー(ソ連のシンボル)が描かれた記念碑がありました。
ここからは写真を撮るのは気が引ける感じだったので、言葉で利用方法を説明していきます。
1.温泉タイプを決めて料金を先払い
まずは入口を入ってすぐのところにある窓口で、入場料を先払いします。
料金は温泉タイプによって2種類。
・男女別の共同浴場:5GEL(=¥175)/1名
・プライベート浴場:50GEL~100GEL(=¥1752~¥3504)/1部屋・1時間
どちらを選ぶかは好みや予算、訪れる人数によって変わるでしょうが、のぶよはもちろん共同浴場です。
だって安いんだもん(笑)
トビリシの温泉の共同浴場は、日本の温泉と同様に全裸(水着着用禁止)というシステムなので、知らない人の前で裸になることに抵抗がある人や、カップルで訪れる人などはプライベート浴場もアリだと思います。
また数人で訪れて仲間内だけでのんびり過ごしたい人にもプライベート浴場がおすすめ。
プライベート浴場の料金は1室あたりなので、皆で割ることができます。
注意したいのが、タオルは有料(2GEL=¥70)である点。
浴場にはタオルの持ち込みはできず、あくまでも湯上がり後に身体を拭くためのタオルとなります。
2.脱衣所&ロッカー利用方法
料金を支払ったら、レシートのような紙を受け取って脱衣所へ向かいましょう。
脱衣所には別の係員がいるので、その人にレシートを渡すと、好きなロッカーを使うように言われます。
先述の通り、浴場へは水着はおろかタオルも持ち込むことができないので、持ち物は全てロッカーの中に入れてしまいましょう。
このロッカーには鍵がついておらず、貴重品などの管理はどうなっているのか不思議に思っていると、先ほどレシートを渡した係員がやってきて、鍵を閉めてくれます。
この鍵は利用客に渡されることなく、係員が鍵束で一括管理しています。
お風呂から上がったときに、自分のロッカー番号を告げると再び鍵を開けてくれるシステムなのですが、セキュリティー的に少し不安です。
もし別の人が自分の使っているロッカーの番号を伝えたら鍵をあけられてしまう可能性がありますし、係員も完全にシロとは言えません。(まあ大丈夫だとは思いますが)
心配な人は、そもそも貴重品の類は持って行かないようにするのがいいかもしれません。
のぶよは係員のおっさんに全信頼をかけておきました(結果的に何もありませんでした)。
3.入浴
一糸まとわぬ姿となったら、いざ浴場へと参りましょう。
浴場へのドアを開けると、ムワッとした蒸気とともに硫黄特有のあの匂いが漂ってきます。
それとは別に、何というか…「人間の匂い」のようなものが漂っているような気がしないでもありません(笑)
プールの更衣室の匂いというか…ちょっと例えようがないのですが。
浴場は思っていたより広くなく、小さな湯舟と温泉が使われたシャワー、サウナの三つで構成されていました。
何より驚いたのが、その人口密度。
8人ほど入ったら満員になりそうな大きさの湯舟には、もじゃもじゃのジョージア人でぎっしり(笑)
サウナに関してはたった2畳ほどの狭い空間に10人ほどがぎゅうぎゅうで入っています。
しかもみんなゴリゴリしているので、もはや天然サウナ。見た目から暑苦しい状態です(笑)
この日は2月初めの最高気温1℃くらいのとても寒い日だったので、余計に混雑していたのかもしれませんが、お世辞にものんびり温泉を楽しめる雰囲気ではありませんでした。
ようやく場所を見つけて温泉に入ると、熱すぎずぬるすぎずな超適温。
体感温度で40℃くらいだと思います。
これで広々足をのばして五感で温泉を感じられれば文句なしなのですが、隣にいる毛むくじゃらのおじさんくらいしか感じられませんでした(笑)
思っていた「温泉」とは少し違ったものの、これはこれで大満足。
特に、泉質やお湯の温度はとても素晴らしく、空いている日ならより一層満喫できると思います。
4.温泉利用時のアドバイス
ここまで書いてきたことのまとめとなりますが、トビリシでの温泉施設利用時のアドバイスをいくつか。
・タオルは持参する
・貴重品は持って行かない方が良いかも
・衛生面が気になる/のんびりと温泉を満喫したい:プライベート浴室がおすすめ
・料金重視/ローカル感を味わいたい:共同浴場がおすすめ
今回訪れたNo.5 Sulphur Bathhouseは、かなりローカルな雰囲気(観光客はゼロでした)にもかかわらず、そこまで汚いと感じませんでした。
かといってピカピカではないので、衛生面が気になる人にはやっぱりプライベート浴室がおすすめです。
反対に、ローカル感を味わいたいタイプの人には共同浴場がおすすめ。
料金の安さはもちろん、サウナでも浴槽でも、とにかく話しかけられること必須なので、ローカルに交じってトビリシの伝統文化を感じることができます。
温泉だけじゃない!アバノトゥバニ地区の観光スポット
トビリシ名物の温泉で癒されたなら、湯冷ましもかねて川沿いに広がる温泉街を散策してみるのがおすすめ。
アバノトゥバニ地区の町並みも旧市街に負けじと美しく、涼しげな川を中心とした美しい風景には感動するはずです。
温泉街の一番奥(徒歩10分ほど)には、首都の真ん中にあるとは思えないほどに清々しいレグヴタヘヴィ滝もあるので、ぜひそこまで足をのばしてみるのがおすすめですよ。
温泉街を散策
まずは川沿いに広がる温泉街を散策してみましょう。
かつては住民たちの生活用水として、炊事に、洗濯にと利用されていたこの名もなき川。
その周りにレンガ造りの温泉施設が建ち並んでいる独特の風景が見られます。
ひときわ目立つこちらのペルシア風の建物は”Orbeliani Baths /ორბელიანის აბანო”と呼ばれる温泉施設の一つ。
紹介したNo.5よりも料金はお高めで、プライベート浴場中心となっているそうです。
川沿いには気持ちの良い遊歩道が整備されていて、とても涼しげ。
遊歩道沿いにはドーム型天井が目印の温泉施設がまだまだ続いていて、「温泉街」という言葉がしっくり来ます。
展望台へ
川沿いの温泉街の散策を終えたなら、一本北にあるボタニクリ通り( ბოტანიკურის ქუჩა / Botanikuri)の緩やかな坂を登っていきましょう。
ナリカラ砦のふもとを登っていく小さな通りで、トビリシ植物園へと続いています。
途中の脇道の雰囲気もとても良い感じ。
レトロな家々が連なっており、トビリシに唯一残されたモスクがあるのもこのエリアです。
植物園の入口手前にあるのが、温泉街の奥に広がる渓谷を上から望む展望台。
角度的に滝は見えないのですが、トビリシの中心街にこんな深い谷があることに驚くことでしょう。
展望台からは渓谷へとらせん階段を下りて、レグヴタヘヴィ滝へと歩いていきましょう。
滝への遊歩道
展望台からは、らせん階段を下りてふたたび川沿いの遊歩道を進んでいきます。
結構いい感じに整備されている遊歩道ですが、観光客の姿はほとんど見られません。
温泉施設周辺には何組か見かけたのですが、ここまでは皆やって来ないのかもしれませんね。
首都のど真ん中にいるとは信じられないほど、断崖絶壁に囲まれた静かな渓流。
両脇の崖の上にはへばりつくように建つ家々もあり、「どうしてこんなところに?」と疑問に感じます。
400mほど先の遊歩道の終点にあるのがレグヴタヘヴィ滝(Leghvtakhevi /ლეღვთახევის ჩანჩქერი)です。
実際に見るとかなりの迫力&水量で、水しぶきが結構遠くまで飛んできます。
これがトビリシ中心街のすぐ近くの風景だとは、にわかには信じられません。
温泉に加えて、滝からのマイナスイオンをたっぷり浴びて、なんだか健康になった気分に。
ちょっとした気分転換の散歩にもおすすめな、トビリシのお気に入りスポットとなりました。
おわりに
ジョージアにいながら温泉三昧ができる、トビリシのアバノトゥバニ地区の見どころや温泉の利用法を紹介してきました。
純粋に温泉につかって癒されたい人にも、ディープなローカル感を味わいたい人にもおすすめです。
とてもリーズナブルなので、観光の途中の休憩にも利用価値が高いのもポイント。
1600年の伝統を持つジョージアの温泉文化を満喫してみてはいかがでしょうか。
トビリシの宿泊におすすめのエリアは、リバティー・スクエア周辺の中心街。
観光の中心となる旧市街やナリカラ要塞などは徒歩圏内で、ショッピングや食事にも抜群のロケーションです。
地下鉄赤線が通っているので、移動や近郊へ足をのばすときでもとても便利です。
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