こんにちは!ジョージア滞在も1年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
当ブログの新企画・「トビリシローカルさんぽ」の第五回。
多くの見どころが点在しているトビリシ旧市街の三つのさんぽコースのうち二つ目です。
①ベトレミ地区~カラ地区
②シオニ地区 イマココ!
③メテヒ地区~ナリカラ要塞~アバノトゥバニ地区
前回は丘の斜面の坂エリアにあるベトレミ地区とカレ地区をまわりましたが、今回歩くのはシオニ地区(Sioni)。
坂はほとんどなく平坦なエリアで、トビリシ旧市街観光の中心的な地区です!
1600年の歴史を持つ、ジョージアの首都・トビリシ。
「トビリシローカルさんぽ」とは、この町に滞在して1年となったのぶよが市内10エリアを散策するもの。
歴史スポットやローカルな見どころ、おすすめのお店などを紹介していくユルめな企画です。
どの散策コースも所要時間は2時間~4時間ほど。
・時間が空いたときにサクっと散策
・複数のコースを組み合わせてガッツリ散策
など、トビリシに長期滞在する人向けの情報たっぷりです!
トビリシ旧市街(シオニ地区)さんぽコースの概要
・スタート :メイダン広場
・ゴール:地下鉄1号線リバティー・スクエア駅
・所要時間:1時間半~2時間
・おすすめの時間帯:午前中~夕方
トビリシ旧市街の東側一帯はシオニ地区と呼ばれ、その名の通り世界遺産のシオニ大聖堂を中心とした歴史あるエリア。
シオニ地区の南側は観光客向けの再開発がほぼ完了していて、「おしゃれなトビリシ旧市街」というイメージにぴったりな可愛らしい町並みが広がります。
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いっぽうで、シオニ地区の北側は南側とは正反対の雰囲気。
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100年前の民家がゴロゴロと残っており、再開発の手もここまでは迫ってきていないよう。
いわば「昔から変わらないトビリシの風景」が21世紀になっても色濃く残っているエリアです。
エリア全体を通して由緒正しい教会や聖堂が点在しているのもシオニ地区の特徴。
ユダヤ教のシナゴーグやアルメニア教会もあり、古くから多くの民族が交わってきたトビリシの歴史を感じることができるでしょう。
シオニ地区南側(メイダン広場周辺)
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いくつかのエリアに分かれるトビリシ旧市街ですが、その全ての中心となるのがメイダン広場(Meidan Sq.)【地図①】。
・ナリカラ要塞
・カレ地区
・アバノトゥバニ地区
・メテヒ地区
シオニ地区の散策はもちろん、旧市街の多くのエリアへ足をのばす拠点となる場所なので覚えておきましょう。
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メイダン広場からは、高台に位置するナリカラ要塞と鉛筆のような形の教会、トビリシらしい木造テラスを持つ建物を一度に眺めることができ、トビリシ旧市街を象徴する風景として有名です。
上の写真の中で、ナリカラ要塞の手前に見える鉛筆型の教会に足をのばしてみましょう。
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こちらは聖ギオルギ大聖堂【地図②】
ジョージア正教ではなく、アルメニア正教の聖地です。
ジョージア正教の教会や聖堂では、祭壇がある建物正面に屏風のような仕切りがあって奥は非公開となっているのですが、アルメニア教会の場合はそれがありません。
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アルメニア正教の教会は、垂れ幕のようなもので仕切られているだけ。
礼拝の時間になると幕が上がり、信者たちが祭壇を見ることができるのが最大の違いです。
同じ「聖ギオルギ」を祀る建築物であっても、国によって内部の造りが変わるのは面白いですね。
聖ギオルギ大聖堂の見学を終えたら、メイダン広場のすぐ北側に広がるナイトライフエリアへと向かいましょう【地図③】▼
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2本のストリートを軸にして、バーやレストランが建ち並ぶ小さなエリアです。
地元民向けというよりも、観光客や外国人がターゲットとなっているようで、昼間はいつもかなり閑散としています。
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▲ ナイトライフエリアで絶対に見逃したくないのが、セルゲイ・パラジャノフの像【地図④】
トビリシ出身のアルメニア人で、ソ連時代に活躍した映画監督らしいのですが、のぶよには「フライングおじさんの像」にしか見えません(笑)
もともと地元民は足を運ばないような場所だったこのナイトライフエリア。
コロナウイルスによる各種規制が明けたもののほとんどのお店が潰れてしまい、ゴーストタウンさながらの雰囲気となっていました。
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活気はほぼゼロで、決して歩いていて楽しいエリアではないのが残念ですが、もう一つ見逃したくないのがタマダ像【地図⑤】▼
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「タマダ」というのは、ジョージアの宴会において乾杯の音頭をとったりする「宴会部長・幹事」といった役割の人のこと。
ジョージアの宴会文化はかなり独特で、外国人からするととにかく不思議でいっぱい。
・何度も何度も乾杯を繰り返す
→「みんなに乾杯、友人に乾杯、先祖に乾杯…」が延々と続く
・「カンツィ」と呼ばれる、動物の角の形をした曲がったグラスで酒を飲む
→飲み残しをテーブルに置けない=一気飲みしなければならない)
・乾杯するのはワインかチャチャ(蒸留酒)のみ
→ビールで乾杯は相手を敵とみなしたとき
ジョージアの宴会文化はとても奥が深いので、また別の機会に記事にしたいと思います!
閑散としたナイトライフエリアを抜けて、シオニ地区のメインストリートであるコテ・アフハジ通り(Kote Afkhazi St.)に入ると、レンガ造りの建物が左手に見えます。
こちらは、ユダヤ教の礼拝所であるシナゴーグ【地図⑥】▼
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世界で2番目にキリスト教を受容したジョージアでは、聖地・エルサレムにルーツを持つユダヤ教徒との結びつきが強く、トビリシ旧市街はユダヤ教徒が発展を手伝ったエリアでもあります。
現在でも多くのユダヤ教徒の子孫が旧市街を中心に生活していると言われていて、彼らの文化に触れることができるのがシナゴーグ。
裏手には「ユダヤ教徒博物館」もあるので、気になる人は足をのばしてみるのも良いでしょう。
シナゴーグの北50mほどの場所には、二つの教会が並ぶように建つジュワリ・ママ教会が。【地図⑦】▼
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伝説によると、ムツヘタからトビリシに遷都したヴァフタング1世が、1500年前にこの場所に小さな教会を建設したことが起源とされているそう。
その後、ティムール朝やペルシアによる侵攻によって何度も破壊され、現在の建物は16世紀のもの。
ジョージア正教の教会で、現役の祈りの場として機能しています。
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教会内部のフレスコ画は近年リノベーションされたようで、かなり新しい印象でした。
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ジュワリ・ママ教会を抜け東に少し歩いたところにあるのが、今回のさんぽのハイライトとなる見どころの一つ、シオニ大聖堂【地図⑧】▼
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オリジナルの聖堂は7世紀(1400年前)の建造ですが、その後アラブ人の侵入によって破壊されてしまいます。
その後、中世グルジア王国黄金期を担ったダヴィット4世によって、1112年に再建された建物が現在の聖堂のベースとなっています。
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聖堂内部は荘厳で神聖な雰囲気。
多くの人々がお祈りに訪れていたのが印象的でした。
実はシオニ大聖堂には、1700年前にジョージアに初めてキリスト教を伝えたとされる聖ニノの十字架のオリジナルが保存されていると言われています。(もちろん一般には非公開)
聖ニノは、ジョージアのキリスト教文化の根幹を成す人物。
そのゆかりの物があるということで、ジョージア正教の中でもかなり格式が高い聖堂の一つだと言えるでしょう。
シオニ地区北側
シオニ地区南側の見どころを見学しながら散策したら、今回のさんぽコースの後半戦。
シオニ地区の北側へと足をのばしていきましょう。
シオニ地区北側エリアのメインストリートの一つが、エレクレ2世通り【地図⑨】▼
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近年リノベーションされた通りには、「古き良きトビリシ」っぽい家々が建ち並ぶ華やかな雰囲気。
建物の1階部分には観光客向けのレストランやバーが連なっている「トビリシ旧市街で一番のレストラン街」でした。
どうして過去形なのかと言うと、2020年~2021年のコロナ禍による観光客激減や各種制限によって、一軒残らず潰れてしまったため。
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かつてのウザい客引きやテラスで水タバコをふかす外国人たちの姿は立ち消え、人影もまばらなゴーストタウンのようになってしまいました。
今後、観光業の復活と共に新しい店がオープンしていくのでしょうが、かつてのエレクレ2世通りの活気が戻るまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
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エレクレ2世通りをさらに北に進むと、ヨアネ・シャヴテリ通り(Ioane Shavteli St.)に名前が変わり、レンガ塀に囲まれた良い感じの雰囲気になってきます。
ヨアネ・シャヴテリ通りの北側で絶対に立ち寄りたいのが、アンチスハティ教会【地図⑩】▼
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エキゾチックな形の壁を抜けた先にある小さな教会はとても絵になりますが、その歴史も素晴らしいもの。
トビリシ遷都を行ったヴァフタング1世の後継者であるダチャ・ウジャルメリ(Dacha Udzharmeli)という人物によって、4世紀に建設されたものがオリジナル。
その後17世紀には、ジョージア南部のアンチ教会にあった巨大なイコン画がこの場所に移されたことで知られています。
「アンチ教会のイコン画」(ジョージア語で「アンチスハティ」)という名前を冠しているのは、こんな理由があるのですね。
アンチスハティ教会内にはいくつかの宗教画が残っていますが、中でも注目すべきはこちら ▼
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こちらはトビリシ旧市街とメテヒ地区をつなぐメテヒ橋での出来事が描かれたもの。
17世紀にペルシア(現在のイラン)によって陥落してしまったトビリシ。
住民の多くはイスラム教への改宗を強制され、それを拒んだ人はメテヒ橋で処刑され、下を流れるクラ川に投げ落とされたと言われています。
アンチスハティ教会の見学を終えたら、すぐ北側に位置するガブリアジェの時計塔【地図⑪】へと向かいましょう▼
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クネクネと曲がったおもちゃのような時計台。
カラフルなタイルで装飾がされていてとても可愛く、人気の撮影スポットとなっています。
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実はこちらの時計台は、すぐ隣にあるレゾ・ガブリアジェ人形劇場のもの。
ソ連時代に人気となった人形劇が毎日数種類開催されており、観光客でも鑑賞することができます。
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人形劇のチケット代はやや高額ですが、古き良きジョージアの文化を感じたい人にはおすすめです。
時計台のさらに北側には、ユニークな銅像が点在している一角があり、こちらも人気の撮影スポット。
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いくつか点在する銅像の中でも観光客に人気なのが、ベリカオバ【地図⑫】とガスライトおじさんの像【地図⑬】 ▼
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これら以外にも銅像が点在しているので、探してみるのも面白いかもしれません。
銅像エリアから西に進むと、かつてトビリシ旧市街を取り囲んでいた城壁が残っています【地図⑭】▼
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もともとは古代イベリア王国の時代(2000年前)にローマ風の城壁があったのですが、現在見られるもののほとんどは後の時代にリノベーションされたもの。
上の写真の青い家を始め、トビリシらしい木造テラスを持つパステルカラーの家々が城壁上に建っており、人気の写真撮影スポットとなっています。
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▲ 城壁にぽっかりと空いたこちらのトンネルをくぐっていきましょう。
階段を登った先にあるのが、今回のさんぽコース最後の見どころであるガチ旧市街です。【地図⑮】
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これまで歩いてきたシオニ地区も「旧市街」ではあるものの、ほとんどの建物はリノベーションされたもので、どちらかというと「観光客にお見せする用の旧市街の町並み」といった感じでした。
いっぽうで、シオニ地区北側一帯に広がるエリアは、百年以上前の民家がそのままに残されているガチの旧市街エリアです。
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もはや人が住めないレベルの廃墟にしか見えない建物ですが、ちゃんと人が住んでいます。
建物自体が歪んでしまったものや、階段が抜け落ちてしまったもの、窓ガラスがないものなど、良く言えばレトロで味がある建物がたくさん。
(悪く言えばお化け屋敷笑)
これまで歩いてきた旧市街とは反対に、観光客向けではないローカル感が漂っているのも良い点。
これがトビリシ中心街ど真ん中にあるのって…すごすぎます。
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実は「ガチ旧市街」は二か所あり、今回散策しているのは北側。
旧市街南側のベトレミ地区付近にもこのような町並みが残ってはいるものの(ガチ旧市街(南))、あちらでは再開発工事が進みつつあります。
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いっぽうで、今回歩いているガチ旧市街(北側)ではまだ工事は始まっておらず、トビリシの原風景がそのままに残っているのも(のぶよ的には)魅力的です。
観光客向けの可愛らしい旧市街の町並みも良いですが、まるでタイムスリップしたかのような風景が広がる古い町並みで「ピュアなトビリシ旧市街」を味わうのもおすすめ。
ご覧の通り、安全上明らかに問題アリな建物が多く、いつ市の再開発計画が出るかも分からない状況なので、今のうちにぜひ目に焼き付けておいてはいかがでしょうか。
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ガチ旧市街の「古き良き」町並みを十分に堪能したら、今回のさんぽのゴールとなる地下鉄リバティー・スクエア駅はもうすぐそこ。
ガチ旧市街とリバティー・スクエアは距離にして100mも離れていないのに、これほどまでに雰囲気が変わることに驚くはずです。
おわりに
古くから多くの民族や宗教が入り混じってきたトビリシ。
その長い歴史を感じられるシオニ地区を散策しました。
今回のコースは平坦で、1時間半~2時間ほど見ておけば十分に歩けてしまうレベル。
時間と体力が許すなら、他の旧市街散策コースと組み合わせるのもおすすめですよ!
①ベトレミ地区~カラ地区
②シオニ地区 イマココ!
③メテヒ地区~ナリカラ要塞~アバノトゥバニ地区
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