こんにちは!ジョージアで夏の終わりを満喫している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
全部で53の小さな村々が点在している、ジョージア最奥部に位置するトゥシェティ地方。
人里離れたこの地で伝統的な生活が息づいており、独自の信仰や建築スタイルにもその文化が見られます。
トゥシェティ地方観光・滞在の中心となるオマロ村から、日帰りハイキングで訪れることができるシェナコ村(Shenako / შენაქო)もその一つ。
人口数十人ほどの小さなこの村のシンボルが、コーカサス山脈を背景に佇む教会です。
シェナコの三位一体教会と呼ばれるもので、眺める角度によって色が変わって見える神秘的な一面を持っています。
教会以外にも、「トゥシェティ地方の伝統建築が最も多く残っている」と言われる、時が止まったような村の風景も魅力的。
観光地化は全く進んでいないものの、トゥシェティ地方らしいピュアな伝統建築群を堪能することができるのです。
今回の記事では、神秘的な教会と伝統建築が素晴らしいシェナコ村の観光情報を解説していくもの。
滞在拠点となるオマロ村からの日帰りハイキングコースについても詳細に解説しているので、実際に訪れる際の参考となるはずです!
シェナコのシンボル!聖三位一体教会
標高1930mの高地に位置するシェナコ村のシンボル的存在が、村を見下ろす小高い丘の上に建つ聖三位一体教会。
その古めかしい見かけとは裏腹に、建造されたのは19世紀と比較的最近のこと。
トゥシェティ地方には教会は二つしかないのですが、そのうちの一つがこちらです。
この教会が特徴的なのは、角度によって色が変化して見えるという点。
正面は黒っぽく、東側はやや黄色味がかかり、裏側は緑がかった色と変化しているのです。
(写真ではわかりにくいですが)
教会内部への入場は自由で、パステルブルーが美しい静かな空間が広がっています。
内部に関しては、比較的最近改装されたような印象を受けます。
教会の見学を終えたら、裏手にある聖域へと足をのばしてみましょう。
ジョージアの多くの地域ではジョージア正教が信仰されているのですが、山々によって下界と隔てられたトゥシェティ地方の信仰は独特。
キリスト教と、お隣のチェチェン共和国で信仰されているイスラム教、古くからの精霊信仰などが混ざり合った独自の宗教観が現在でも生き残っているのです。
どこの村でも見られる、こちらの平たい石を重ねた祠が、トゥシェティ地方の人々の信仰の中心となる場所。
シェナコ村の祠の上部には、牛や羊の角が飾られているのが特徴的で、これはジョージア北東部の山岳地帯に共通してみられるものです。
祠周辺にはどことなく神聖な雰囲気が漂っているのが感じられ、村の人々が聖地として崇めるのにもきっと納得できるはず。
祠付近から丘を登ると、教会とシェナコ村を一望できるビューポイントがあります。
(こちらも女性は立ち入ることはできません)
あいにくの曇り空だったのですが、それが逆にこの場所の神秘的な雰囲気を演出しているような気がしました。
トゥシェティ地方の伝統建築が残る村を散策
教会がある丘のふもとに広がるシェナコ村はとても小さく、数十軒の家が建ち並んでいるだけのもの。
端から端まで歩いても10分もかからないほどの規模ですが、建ち並ぶ伝統建築の美しさにはきっと心奪われるはずです。
トゥシェティ地方の伝統的な建築スタイルは、この地域でとれる平たい石を積み上げて壁を造ったものの二階部分に、装飾を施した木製のテラスを設けたもの。
改装されて新しい外見の家屋もいくつかありますが、ほとんどはかなりくたびれた状態。
悪く言えば「ボロボロ」なのですが、それこそ味があるというものではないでしょうか。
こうした木製のテラスを設ける建築スタイルは比較的新しいもので、19世紀頃に見られるようになったそう。
それまでは、高さ数十メートルの見張り塔に家族そろって居住して、山を越えてやって来る外敵の侵入に備えていたそうです。
「比較的新しい」とはいえ、どれも築150年以上の建物。
毎年トゥシェティ地方に訪れる長く厳しい冬は、容赦なく家屋を傷めてしまいます。
トゥシェティ地方観光の中心となるオマロやダルトロなど知名度がある村では、多くの家屋がリノベーションされていますが、シェナコの家屋は良くも悪くもオリジナルのままの状態。
もはや人が住める状態でないような家も多く見られ、人里離れたこの地で朽ちていくのを待つだけの状態となっていました。
オマロ~シェナコ間ハイキングコース詳細
シェナコ村へは一応未舗装道路が通ってはいるものの、定期的な乗り合いバスなどは発着していません。
そのため、旅行者にとってオマロ~シェナコ間のアクセス方法は以下の三つ。
・オマロで4WD車を運転手付きチャーター:80GEL(=¥2605)~/1台
・オマロで馬を借りる:30~50GEL(=¥976~1628)/1頭・1日当たり
・徒歩:無料
お金に余裕があって複数人での観光なら4WDチャーターも良いですし、乗馬経験があるなら馬を借りるのもリーズナブル。(乗馬経験なしの場合は、インストラクター(別料金)を雇わなければいけません)
お金も乗馬経験もないのぶよに残された手段は、オマロ~シェナコ間をハイキングでアクセスすることでした。
未舗装道路沿いを片道?kmほど歩くだけのコースで、所要時間も片道2時間ほどと手軽な部類。
トレッキングシューズなども特に必要ないので、半日ほどあれば往復&観光できてしまいます。
しかしながら、オマロ~シェナコ間にはアラザニ川が流れる深い谷があるのがネック。
一度山を下りて再び上ることとなる(帰りも同様)ため、距離の割に体力的には結構ハードかもしれません。
オマロ~シェナコ間ハイキングコース
・距離:片道6.1km
・所要時間:片道2時間半
・高低差:▲330m ▼260m
オマロ~アラザニ川間
オマロ村~谷底を流れるアラザニ川にかかる橋までは、未舗装道路をひたすら下っていくだけの簡単なコース。
長くても1時間ほど、早い人なら40分ほどあれば歩けてしまうかもしれません。
オマロ~ラザニ川間コース詳細
・距離:片道2.1km
・所要時間:片道1時間
・高低差:▼260m
アラザニ川にかかる唯一の橋が、今回のコースで最も低い地点。
ここからシェナコ村までは、上り坂が続きます。
アラザニ川~シェナコ村間
アラザニ川にかかる橋からシェナコ村までは、谷底から山の上へと登りが続くコースとなります。
木々が多く生えているため、真夏でも日陰が多くて快適に歩くことができるでしょう。
アラザニ川~シェナコ間コース詳細
・距離:片道3.2km
・所要時間:片道1時間半
・高低差:▲330m
坂を登り切ったところには、谷を越えた向こう側にあるオマロ村を一望する絶景ポイントがあるので、お見逃しなく。
絶景ポイントまできたなら、シェナコ村までは1kmほどの平坦な道を歩くだけ。
この区間で注意したいのが、羊や牛などの家畜を守る役割の牧羊犬。
ジョージア山岳部ではどこでも牧羊犬に注意が必要なのですが、シェナコ村近くでは牛の群れにも牧羊犬が二頭いて、かなりの剣幕で吠えてきてとても怖かったです。
一応、人間を噛まないようにしつけられているとのことですが、相手は動物。
家畜の群れを見かけたらまず牧羊犬が居ると考えて、近づかないに越したことはありません。
体力と時間が許せば、さらに先のディクロ村へ!
実は今回紹介したハイキングコースは、シェナコ村のさらに5kmほど北に位置するディクロ(Diklo)という村まで続いていて、時間と体力に余裕がある人には挑戦してみるのもおすすめ。
シェナコ~ディクロ間は片道4.7km/1時間半ほどのコースで、高低差も280mと決して難しいコースではありません。
往復+観光で3~4時間追加することができるなら、十分にオマロから日帰りで往復することも可能です。
ディクロ村は、ジョージア側で旅行者が自由に立ち入れる最後の村で、古い城塞やダゲスタン人が住む村を眺めることができるそうです。
のぶよは当初、シェナコを経由してディクロまで日帰りで歩く予定だったのですが、シェナコ村での天気が悪かったため今回は諦めることにしました。
おわりに
凛と佇む教会と伝統建築が残るシェナコ村の観光&ハイキング情報を解説しました。
トゥシェティ地方観光の拠点となるオマロ村から日帰りで訪れることが可能な場所なので、日程に余裕があればぜひ歩いてみることをおすすめします。
大自然に囲まれた素朴な村には、観光客の姿もほぼなし。
自分だけの時間を満喫しながら、この地域の伝統色濃い雰囲気を感じることができるでしょう。
コメント
こっそりブログ記事を楽しんでおります。
トゥシェティ周辺のトレッキングルートや女性が近寄る事が出来ない場所・・・などの情報、とても助かります。
現地でないと分からない風習などは、ともすれば禁を犯しがちなので・・・。
限られた日数での旅が多いのでゆっくり周る事が出来ないのですが、
いつか予定のない旅い出られるようになったら、歩きに行きたいです。
引き続き良い旅をなさってください!!
清水ソウコ様
コメントいただきありがとうございます(そして返信が遅れて申し訳ありません!)
トゥシェティ地方などは日本語の情報がほとんどないので、自分自身で見たものや訪れた場所を少しでもシェアできれば良いなと考えています。
同じジョージアという国とはいえ、異なる信仰やルールなどがあり、何も知らなければ禁を犯してしまうことになりかねませんよね。
この世界的なコロナ禍が終息したら、きっと予定も立てない気楽な旅ができるようになる非が戻ってくると信じています!