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ジョージアの異色グルメエリア!トゥシェティ地方の食文化&郷土料理16品

こんにちは!ジョージアで夏の終わりを満喫している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)

さてさて、いよいよこの記事を世に出す日がやってきました…

三週間に渡って旅したトゥシェティ地方の食文化や郷土料理をまるっとまとめた、山グルメ大特集をお見せする日が…!

トゥシェティ地方はジョージアのヒンカリの本場の一つ

トゥシェティ地方とは、ジョージア東部のコーカサス山脈エリアの中で最も東に位置する地域のこと。

標高1800m~2300mの高地に伝統的な趣を残す村が点在しており、ジョージアの山岳地域の中でも独特の景観や文化が強く感じられるエリアです。

そんなトゥシェティ地方の食文化は、一般的な「ジョージア料理」とは大きく異なるもの。
険しい山々で下界と隔絶されており、現在でもアクセスの難易度が高いこともあり、古くから受け継がれてきた山ならではの食文化が現在でも息づいているのです。

ジョージア料理の定番メニューはこちら!
ゲストハウスで家庭料理を味わうのも楽しみ
トゥシェティ地方のスプラ(宴会)

トゥシェティ地方を旅するなら、この地域ならではの郷土料理や名物グルメをできる限りたくさん堪能したいもの。

日本語でトゥシェティ料理にスポットライトを当てた記事などまったく存在しませんが、そんなときこそ当ブログの出番!…というわけです。

伝統的なヒンカリ作りのようす
ジョージア他地域とは異なる食文化を堪能したい

というわけで今回の記事は、日本人はおろかジョージア他地域の人ですらほとんど知らないトゥシェティ地方の食文化と郷土料理を解説するもの。

トゥシェティでしか食べられない山グルメの数々を、合計で16品紹介しています。

全制覇するのは時間的に&胃の容量的になかなか大変かもしれませんが、ジョージアの奥深く地域性豊かな食文化を知る手がかりとなれば嬉しいです!

ジョージア各地域の郷土料理や名物グルメまとめはこちら!

トゥシェティ地方の食文化の特徴

トゥシェティでは野菜は貴重品

トゥシェティ地方の食文化を語る上で欠かせない要素が、この場所の地理的な特性

コーカサスの深い山々に広がるトゥシェティ地方では標高が高いため、野菜や果物はほとんど育たず、肉や乳製品など家畜由来の食材がメインで使用されるのです。

それ以外にも、宗教的な理由だったり半ノマド生活を送る人々のライフスタイルだったり、トゥシェティの食文化を独特なものにしている要素はたくさん。

まずは、トゥシェティ地方の食文化がどういったものなのか知っていきましょう!

①小麦粉と乳製品を多用

トゥシェティ料理=小麦粉の暴力

トゥシェティ地方の人々が主食としているのは、小麦粉から作られる生地を使ったパン料理。

ジョージア他地域の主食ももちろんパンですが、トゥシェティ地方では小麦粉の使用率がさらに高め。
小麦粉生地を茹でたり焼いたりしたものをベースに、山で手に入る乳製品や肉類を組み合わせたものが多く食されます。

とにかくチーズと小麦粉を使う料理だらけ
トゥシェティ料理に欠かせない「ギー」

トゥシェティ地方で使用される乳製品は、牛乳に加えて羊の乳を使用したものも多数。
「マツォーニ」と呼ばれるヨーグルトや、「ギー」と呼ばれるバターの一種もポピュラーで、あらゆる料理に使用されます。

②羊肉を多用

こひつじなのの将来は…

トゥシェティ地方で食される肉の圧倒的第一位は、鶏でも牛でもなく羊肉

ヒンカリの中の具も羊挽き肉ですし、煮込みも炭火焼きも基本的には羊肉が使用されるのが鉄則です。

ヒンカリの挽き肉も基本は羊

ジョージアの中でもここまで羊肉文化が強いエリアはトゥシェティ以外には存在せず、古くからの羊飼い文化の影響を感じます。

それに加えて、トゥシェティ地方では宗教的な影響から豚肉が禁忌となっているのもポイント。
ジョージア他地域では豚肉が使用される料理は、すべて羊肉か牛肉で代用される点も興味深いです。

③シンプルな味付けの携帯食文化

持ち運びしやすく日持ちする料理が多い

トゥシェティ地方の人々は古くから、羊や牛などの家畜を放牧させながら拠点を移す生活を営んできました。

そのライフスタイルは現在でも残っており、夏はトゥシェティ地方で家畜を放牧させながら滞在し、冬は山を下りて麓の別宅に滞在するというのが、トゥシェティの人々の生活となっています。

そんな独特のライフスタイルが生んだのが、携帯食文化

チーズや干し肉などの日持ちしやすく持ち運びしやすい料理が重宝され、現在でもその名残が見られます。

伝統的なパン作りのようす

また、トゥシェティ地方では地理的&歴史的にスパイス文化が流入してこなかった点もポイント。
「ジョージア料理=スパイス」というイメージが強いですが、ここトゥシェティ地方ではスパイスはほぼ使われません

日持ちしやすく、スパイスを使わないシンプルな味付けというのが、トゥシェティ料理における大原則。
そのため、全体的に塩気がやや強めなのも特徴だと言えます。

トゥシェティ地方の郷土料理①:トゥシュリ・ヒンカリ

他地域のヒンカリとは一選を画したもの

トゥシェティ地方に来たなら絶対食べたいのが、トゥシュリ・ヒンカリ(Tushuri khinkali / თუშური ხინკალი)

ヒンカリとはご存知、ジョージアの小籠包のような水餃子のような料理。
全国どこででも食べられますが、トゥシェティ地方をはじめとする東部の山岳地域が本場だとされています。

ぺちゃっと潰れた形が特徴的
肉汁がものすごい

「トゥシュリ=トゥシェティ風の」という意味ですが、トゥシェティ地方のヒンカリは独特。

一般的にはヒンカリの具は牛と豚の合挽き肉が使用されますが、トゥシェティ地方では羊と牛の合挽きか、羊挽き肉100%のヒンカリが食されます。

コーカサスの山を眺めながら食べる絶品ヒンカリ
人が集まる際の定番料理でもある

その味は、トビリシの店で食べるヒンカリとは大きく異なるもの。

羊肉ならではの風味とジューシーな味わいで、やや厚めの生地のもっちりとした食感もたまりません。

具の味付けは塩とみじん切りにした玉ねぎ、場合によっては「ジラ」というキャラウェイの一種がほんの少し入ることもありますが、ハーブ類はいっさい入りません。

残ったヒンカリは油で揚げ焼きにして食べる

ジョージア他エリアでは、羊肉を用いたヒンカリはなかなか食べる機会がないもの。
作りたての美味しさは格別なので、トゥシェティ地方滞在中に一度は食してみたいものです。

トゥシェティ地方のゲストハウスに宿泊する際に、運が良ければ作りたてのヒンカリを提供してくれるはず。
もしくは、オマロなど大きな村のゲストハウス兼カフェのメニューに必ずあるので、ぜひとも挑戦を!

ヒンカリの秘密あれこれを徹底解説しています!

トゥシェティ地方の郷土料理②:ヤギ肉のハルチョー

かなり珍しい一品

トゥシェティ地方以外ではまず巡り会えない珍しい料理が、山羊肉のハルチョー(Tkhis kharcho / თხის ხარჩო)。

「ハルチョー」とはジョージア全国で定番の牛肉と各種野菜を煮込んだスープ料理のこと。
トゥシェティ地方でも牛肉のハルチョーはポピュラーですが、山羊肉を使うバージョンも存在します。

臭みはゼロで美味しい

また、一般的にはハルチョーにはスパイスを多く使用して味付けしますが、トゥシェティ地方のハルチョーにはスパイスは使用されず、トマトや玉ねぎなどの野菜の旨味メインとなっています。

山羊肉とはいえ、ちゃんと調理されたものは臭みやクセはほぼなし。
肉は少し硬めの食感ながら、スープの旨味と相まってとても美味しいです。

トゥシェティ地方の郷土料理③:コトリ

バターの香りにそそられる

トゥシェティ地方には「これぞトゥシェティ!」といった定番料理がいくつかありますが、その一つがコトリ(Kotori / კოტორი)。

「トゥシェティ風ハチャプリ」といったところで、小麦粉生地にチーズを挟んで焼いたものです。

円形の生地はイメレティ地方のイメルリ・ハチャプリのよう。
しかしコトリは外側の小麦粉生地がかなり薄めで、フライパンやペチ(薪ストーブ)の上で焼かれるため全体的にかりっとした食感で、もっちりふんわりしたイメルリ・ハチャプリとは食感が大きく異なります。

塩気はやや強め
じゃがいもが入るバージョンも

また、コトリは焼き上げた後にギー(バターを作るときにできる上澄みを集めたもの)がたっぷりと塗られるのも独特。

ギーのおかげで一般的なハチャプリよりも芳醇さが際立っており、特に焼きたてはかなり美味しいです。

コトリはゲストハウスの食事でも定番

トゥシェティ地方のゲストハウスで食事をつけると、かなりの高確率で出てくるコトリ。

とにかく焼きたてのコトリは昇天級の美味しさなので、ぜひとも食してほしいです!

ハチャプリの秘密あれこれを徹底解説しています!

トゥシェティ地方の郷土料理④:グダ

どこのゲストハウスの食事にも登場する

トゥシェティ地方ならではのチーズがグダ(Guda / გუდა)。

羊の乳を発酵させて作られるチーズで、かなり塩辛いのが特徴です。

トゥシェティ地方でチーズと言えばグダのこと。
前菜として単体でもパンのお供としても食べられますし、他の小麦粉料理にトッピングされることも多く、トゥシェティ滞在中に一度は食べる機会があるはずです。

母羊の乳の匂いを感じてる?こひつじなの

羊のチーズとはいえ、羊臭さやクセは完全にゼロなのでご安心を。
古くから受け継がれてきた伝統製法で作られる山の味を堪能しましょう。

トゥシェティ地方の郷土料理⑤:ゴルディラ

第一印象は「なにこれ…」

トゥシェティ地方の人々のライフスタイルを象徴する一品が、ゴルディラ(Gordila / გორდილა)。

小麦粉に重曹を混ぜて成形した生地をお湯で茹でただけの料理で、初めて見るとその何とも言えないビジュアルにびっくりするはずです。

むっちり&ふんわりした独特の食感
グダチーズと食べるのがトゥシェティ流

ゴルディラの外側はぬめっとした質感で、中は蒸しパンのようなむっちりした質感。
ゴルディラ自体には生地を作る際に入る塩以外の味はほぼついておらず、グダチーズと合わせて食べたり、ギー(バター)やマツォーニ(ヨーグルト)をかけて食べたりするのが定番です。

かつては羊飼いが山へ行く際に携帯するお弁当の定番だったゴルディラ。
現在は、トゥシェティ地方の小さな村で細々と食べられているややマイナーな家庭料理というポジションです。

トゥシェティ地方の郷土料理⑥:チョバン・カヴルマ

見た目は謎肉

羊文化のトゥシェティ料理のシンボルと言えるのが、チョバン・カヴルマ(Choban kavurma / ჩობან კავურმა)。

チョバン=羊飼い」「カヴルマ=肉の煮込み」を意味し、「羊飼い流カヴルマ」といったところ。
脂がたっぷりとのった羊を陶器の器で長時間蒸し焼きのようにして調理され、羊自体の脂で肉を煮込むという独特な調理法が特徴的です。

羊の内蔵を使うバージョンも

羊の脂の甘味と肉自体の美味しさが見事に調和しており、特に子羊を使ったチョバン・カヴルマは最高のひとこと。
日常的に食される料理ではなく、祭日やお祝い事の際に食卓を彩るメイン料理という性格が強いです。

トゥシェティ地方の郷土料理⑦:アルディ

トゥシェティが誇る伝統ビール

標高が高いトゥシェティ地方ならではのアルコール飲料が、アルディ(Aludi / ალუდი)。

山岳地域では標高の高さのせいで、平地のような発酵プロセスは不可能。
ワイン王国ジョージアにあるのにワインを作ることができないトゥシェティの人々は、ワインの代わりとして、麦芽に砂糖を入れて発酵させたビールのような飲料を古くから生産してきました。

“Tushetian Beer”=アルディのこと
すっきり飲めて美味しい

アルディのアルコール度数は2%ほどとかなり低め。
微炭酸で甘い口当たりは、ビールというよりもソフトドリンクとスパークリングワインの中間のような味わいです。

すっきりした後味なので、夏の暑い日にはぴったり。
ジュース的な感覚で飲めてしまいます。

アルディを作る様子

元々のアルディには宗教的な役割もあり、毎年初夏の精霊信仰の祭りの際に各村の男たちによって大量に醸造され、村人全員に均等に分け合うのが伝統でした。

現在ではトゥシェティ地方の各村の飲食店やゲストハウスで飲める場合も多く、旅行者でも比較的簡単に伝統の味が楽しめます。

トゥシェティ地方の郷土料理⑧:コンダリス・チャイ

トゥシェティで「お茶」=これ

トゥシェティ地方では、山で採れるハーブや高山植物を乾燥させたものを煮出したお茶文化が根付いています。

中でも代表的なのが、コンダリス・チャイ(Kondaris chai / კონდარის ჩაი)。
「コンダリ」というサマーセイボリーの一種を煮出したもので、トゥシェティ地方でお茶を頼むとかなりの高確率でこれが出てきます。

摘みたてのフレッシュなコンダリを煮出したものは格別の風味

コンダリ自体はジョージアの他地域でも料理に使うハーブとして使用されますが、お茶として煮出すのはトゥシェティならでは。

また、トゥシェティ地方のコンダリは「ムティス・コンダリ(=山コンダリ)」と呼ばれるもので、普通のコンダリとは種類が異なるそうです。

絶妙なほろ苦さとハーブらしい芳醇な風味は、少し日本の緑茶にも似た味わい。
コンダリは健康効果もものすごいそうで、山の豊かな恵みが体感できます。

トゥシェティ地方の郷土料理⑨:山菜料理

ジョンジョリと豆を和えたサラダ

ほとんどの野菜が育たないトゥシェティ地方における貴重なビタミン源となるのが、山で採れる山菜類です。

代表的なのはジョンジョリ(Jonjoli / ჯონჯოლი)という木の芽や、ドド(Dodo / ჯონჯოლი)という野草、ムティス・キトナ(Mtis kitna / მთის კიტნა)という山ミントあたり。

興味深い点が、ジョージアの他の山岳地域では山菜類をお酢につけてマリネすることで長期保存を可能にしますが、トゥシェティ地方では新鮮な山菜類をマリネせずにそのまま茹でて調理すること。

現在のトゥシェティ地方の人々は冬場は山で過ごさずに麓の別宅で過ごすため、他の山岳地域のように冬場の保存食やビタミン源を考えなくても良いことが大きな理由であると考えられます。

左がジョンジョリ/右がドド

トゥシェティ地方のゲストハウスで食事をつけると、まあまあな確率で登場する山菜類。

ここで紹介した以外にも多種多様な種類があり、山の食文化の奥深さが感じられます。

トゥシェティ地方の郷土料理⑩:モスムラ

トゥシェティ風焼きうどん?

トゥシェティ地方の小麦粉文化の結晶がモスムラ(Mosmula / მოსმულა)。

小麦粉を平たく短い麺状に成形してお湯で茹で、あらかじめギー(バターの上澄み)で揚げ焼きにしておいた玉ねぎとニンニクの中に入れて軽く炒めたもので、いわば「トゥシェティ風焼きうどん」といった料理です。

マツォーニをたっぷりとかける
玉ねぎとニンニクの香ばしさが美味しい

モスムラは、香味野菜の香ばしい風味ともっちりした生地の食感が絶妙に絡み合う一品。
マツォーニ(ヨーグルト)をかけて食べるのが定番ですが、家庭によっては熱々のモスムラに生卵を落としてグダチーズをまぶしたカルボナーラ風で食べることもあるのだそうです(めっちゃくちゃ美味しそうで垂涎)。

トゥシェティ地方では、ヒンカリを作る際に余った生地でモスムラを作るのが一般的。
食材が限られた山奥での生活の知恵が舌で感じられます。

トゥシェティ地方の郷土料理⑪:トゥシェティ風トルマ

ジョージアの家庭料理の代表格である「トルマ」は、葡萄の葉やキャベツで牛挽き肉と米を巻いて煮込んだ料理のこと。

トゥシェティ地方では、羊の挽き肉を用いたトゥシェティ風トルマ(Tushuri tolma / თუშური ტოლმა)が食されます。

羊肉ならではの風味が最大の特徴であるのはもちろん、煮込む際にスパイスが入らないためあっさりした味わいであるのもポイント。
トゥシェティの料理で多用されるコンダリとともに煮込まれることも多く、独特の風味が加わっています。

トゥシェティ地方の郷土料理⑫:トゥシェティ風グプタ

羊の風味がぶわ~ん

ミートボールをメインの具材としたスープ料理が、トゥシェティ風グプタ(Tushuri gupta / თუშური გუპტა)。

グプタ自体はジョージア全国の家庭で食されますが、ここはトゥシェティ地方。
一般的には牛豚合挽き肉で作られるミートボールも、トゥシェティでは羊挽き肉が使用されます。

トゥシェティ風トルマやハルチョーと同様に、こちらもスパイスは入らずあっさりした味わいで、コンダリとともに煮込まれた独特の風味が特徴的。
ヒンカリ作りで余った挽き肉を使ってミートボールを作る家庭も多いです。

トゥシェティ地方の郷土料理⑬:カギ

トゥシェティの羊文化と携帯食文化が感じられるのが、カギ(Kaghi / კაღი)。

羊肉を小さくカットして一度塩漬けにしてから天日干しにしたもので、お酒のつまみとしてもスープの具材としても使用される万能食材です。

かつては冬場の貴重なタンパク源としてポピュラーだったカギですが、人々が山で冬を越さなくなった現在ではかなりマイナーな存在に。
今では時間と労力をかけてわざわざカギを作る家庭は少なく、幻の名物グルメのようになりつつあります。

トゥシェティ地方の郷土料理⑭:鶏肉のチャカプリ

ハーブの風味が癖になる

人々が夏の数ヶ月だけを山で過ごすトゥシェティならではの料理と言えるのが、鶏肉のチャカプリ(Chicken chakapuli / ქათმის ჩაქაფული)。

チャカプリとは、ジョージア東部の山岳地域の郷土料理である羊肉と梅とタラゴンのシチューのこと。
もちろんここトゥシェティ地方でも名物の羊肉を使ったチャカプリが食べられます。

こちらは羊肉を使った普通のチャカプリ

しかし、9月に入り人々が山を下りる計画を立てはじめると、徐々に夏の間のためにストックしてあった食料が底を尽きはじめます。

残り少ない山での生活のために貴重な羊を潰すのではなく、身近な鶏肉を使ってチャカプリを作る家庭が多く、夏の終わりのトゥシェティ地方の家庭ではよく出てくる料理なのだとか。

ジョージアでは一般的に「チャカプリの肉=羊か牛」が絶対であり、鶏肉が使われることはまずありえません。
鶏肉のチャカプリは、トゥシェティならではのライフスタイルが生み出した発展系郷土料理と言えるでしょう。

トゥシェティ地方の郷土料理⑯:カルティ

ペチ(薪ストーブ)で温めると最高

のぶよ的に、トゥシェティ地方で食したあらゆる料理の中で最も新鮮な感動を覚えたのがカルティ(Kalti / კალტი)。

羊の乳から作られるカッテージチーズを野球ボール大に丸めて固め、長期間熟成させたものです。

その味と食感は、まるでスパイシーなパルメザンチーズのよう。
熟成効果でチーズの塩気が独自のスパイシーな風味になっており、芳醇な風味が際立っています。

カルティの味は熟成具合によって大きく異なってくるようで、美味しいものは衝撃的な美味しさ。
ペチ(薪ストーブ)で炙って食べたり、他の小麦粉料理と合わせて食べたりするのが定番ですが、個人的にどんな料理にも合う万能食材だと思います。

トゥシェティ地方の郷土料理⑰:ハヴィツィ

でろりんとろりんなカロリーお化け

ラストに紹介するのが、「これを食べずにトゥシェティは語れない!」というレベルの、トゥシェティ料理の王様のような存在の一品。

ハヴィツィ(Khavitsi / ხავიცი)という料理で、どこの家庭でも作られる超定番です。

ハヴィツィをひとことで表すなら「トゥシェティ風チーズフォンデュ」。
大量のギー(バターの上澄み)をフライパンで熱し、羊のカッテージチーズをどーんと投入して混ぜ合わせるだけの豪快な調理法で、もちろんパンをディップして食べます。

すぐに冷めて固まってしまうので、食べる際はスピード勝負!

ハヴィツィは調理したフライパンごとどーんと提供されるのが一般的なのですが、その理由が熱々でないと冷えてチーズが固まってしまうため。
チーズのとろっとろ&でろっでろ感こそがハヴィツィの全てなので、5分もすればチーズが固体となってしまうため、できる限り作りたて熱々の状態のものが提供されるのです。

他のトゥシェティ料理同様にかなり重たい料理ではありますが、チーズの濃厚な風味とギーの芳醇な風味は格別。
山歩きのカロリー補給源としても有能で、厳しい気候のトゥシェティで暮らす人々に愛されてきたのも納得です。

おわりに

トゥシェティ地方の知られざる食文化から、現地で挑戦したい山グルメの数々までを紹介しました。

正直、日本人的にはちょっとシンプルすぎる味付けのものも多く、小麦粉&チーズの連続はややしんどいものがあるかもしれません(のぶよは大丈夫なタイプなので問題なかったけど)。

しかしながら、これもコーカサスの山深い地で人々が受け継いできた伝統の一つ。
「トゥシェティに入りてはトゥシェティに従え」とよく言われることですし(?)、ジョージア随一の山グルメエリアを舌で楽しみながら滞在したいものです。

トゥシェティ地方の旅行情報まとめはこちら!

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