こんにちは!セルビアの田舎をのんびりと旅行中。世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
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セルビア南西部に位置するノヴィ・パザル(Novi Pazar)の町は、コソボとモンテネグロの国境にほど近い国境の町。
・ノヴィ(Novi)=「新しい」
・パザル(Pazar)=「市場(バザール)」
を意味する町の名前の通り、オスマン帝国の支配下にあった時代に作られ、古くから他地域との交易で栄えた町です。
オーストリア・ハンガリー帝国支配下にあったベオグラード以北に比べると、オスマン帝国の支配下にあったセルビア南部は、オリエンタルでエキゾチックな雰囲気が漂う町が多いのが特徴です。
ノヴィ・パザルも例外ではありません。
町に点在するモスク。響き渡るコーランを読む声。ベールに身を包んだ女性。平屋建ての家が連なる旧市街…。
首都・ベオグラードから到着すると、もはや別の国に来たような印象を受けるでしょう。
かなりオリエンタルな雰囲気が漂っていることに衝撃を受けるはずです。
その一方で、点在するセルビア正教の教会や、テラスでビールを嗜む人々の姿が、ここがヨーロッパであることを思い出させてくれます。
「東洋と西洋が出会う町」ノヴィ・パザルの見どころや、おすすめレストランとホテルを紹介します。
ノヴィ・パザル観光地図
青:観光スポット
黄色:バスターミナル
赤:おすすめレストラン
紫:おすすめホテル
ノヴィ・パザルの観光スポット
ノヴィ・パザルの町は、ほとんど観光業に力を入れていません。
セルビア全体に言えることなのですが、せっかく歴史ある場所や遺跡などの観光資源があるのに、それらをうまく活用することができていないのです。
ノヴィ・パザルの魅力は、観光スポットを巡るよりも、町全体に漂うイスラムの雰囲気とヨーロッパの雰囲気の不思議な融合を肌で感じられることにあると思います。
まずはメインストリートへ!
ノヴィ・パザルのシンボルとも言えるセビリ(Sebilj)が入口にあるメインストリート・11月28日通り(28 Novembar)。
セビリとは、オスマン帝国時代の水飲み場のことで、かつて支配下にあった地域の都市で見られます。
本場のトルコではもう使われていなかったり取り壊されてしまたものも多いのですが、セルビアを含むバルカン半島では現役のセビリが多く見られるのがポイント。
ボスニアの首都・サラエボのセビリが有名ですが、ノヴィ・パザルにもちゃんとあるんです。
みんな普通に水を飲んだり顔を洗ったりしています。
また、セビリ周辺は、オスマン帝国風の平屋建て・石屋根の建物が多く見られて異国情緒たっぷりです。
11月28日通りを進んでいくと、オスマントルコ風の街並みは息をひそめます。
「THE・セルビア」とでも言うべき、ヨーロッパ調でありながら無機質でもある町並みが広がります。
通りの両側にはレストランやカフェが並び、テラス席でのんびり過ごす人々を見ると、ここがヨーロッパであることを思い出します。
それにしても、平日の昼間だというのに、どこもかなり多くの人で賑わっています。
しかもほとんどが男性。
みんなどうやって生計を立てているのでしょうか。お祈りするだけでは生きていけないのでは。
オスマントルコ時代の遺跡をまわる
ノヴィ・パザルの中心街には、オスマントルコ時代に築かれた要塞があり、公園として利用されています。
しかしながら、保存状態は全くもって良くありません。
落書きされたまま放置された数百年前の城壁を見ると、なんだか悲しくなります。
もう少しどうにかならないものでしょうか。
中心部には、オスマントルコ時代のハマム(トルコ式浴場)が残されています。
(というより、「放置されて」います。)
普通、ハマムは男性専用の施設なのですが、ノヴィ・パザルのハマムは女性にも開放されていたそうで、イスラム文化圏においては大変珍しいもの。
そんな歴史的遺産も、全く手がかけられていないため、ただのゴミ捨て場と化しています。
内部には、営業しているのかどうかわからないようなカフェがありました。
イスラムの風景を感じながら街歩き
あまりにも観光に力を入れてなさすぎるノヴィ・パザルですが、町全体に漂うエキゾチックな雰囲気は大きな魅力です。
少し町中を散策するだけで、セルビアの他地域と異なる文化を肌で感じることができます。
中心街ほど近くのところにある市場は、もはやヨーロッパの雰囲気ではありません。
アジア人はかなり珍しいらしく、かなりの視線を浴びますが、みんな結構笑顔で手を振ったりしてくれました。
なんだかノヴィ・パザルには優しそうな人が多いような気がします。
セルビア語は、ラテン文字とキリル文字のどちらで表記してもいいという稀有な言語なのですが、ノヴィ・パザルでは、キリル文字を見かける機会が圧倒的に少ないです。
アルバニア系住民(ラテン文字使用)が多いのが理由なのかもしれません。
セルビアの他都市ではまず見かけないような路地。
町にはたくさんのモスクがあり、お祈りの時間になると大音量でコーランを読み上げる声が響き渡ります。
ノヴィ・パザルの人は自分たちの町を「リトル・イスタンブール」と称しているそう。
それはさすがに言いすぎです。イスタンブールに失礼だと思います(笑)
モスクしかないわけではなく、セルビア正教の教会もいくつかあります。
しかし、ノヴィ・パザルではセルビア正教徒は少数派。
民族・言語・宗教が複雑に入り混じったバルカン半島の国々の縮図を目にしたような気になります。
ノヴィ・パザルのおすすめレストラン
ノヴィ・パザルのレストランでは、セルビア他地域に比べてかなりトルコ色が強い料理を提供しているところが多いです。
味付けもかなりエスニックでスパイシーなものが多く、何の知識もない外国人でもその違いに驚くこと間違いありません。
酒飲み的に嬉しくないのが、多くのレストランや商店ではアルコールを置いていないこと。
これは完全にイスラム圏のそれですね。
アルコールの代わりに人々が飲むのが、トルコ文化の象徴であるヨーグルト。
セルビアではヨーグルトは食べ物ではありません。飲み物です。
いい大人たちが、ちびちびとヨーグルトを飲んでいるのがなんだか可愛らしかったです(笑)
さて、ノヴィ・パザルのおすすめレストランがこちら、Restoran Rekic。
宿泊したホテルのすぐそばにあった、地元の食堂感漂うこちらのレストランは、なんと24時間営業。
この小さな町で果たして需要があるのか謎ですが、需要があるからこそ成り立っているのでしょう。
肉料理が自慢のようで、ショーケースの中には新鮮な肉が並んでいます。
イスラム教徒が多いノヴィ・パザル。
豚肉は置いていないお店がほとんどで、Restoran Rekicでも同様です。
注文したのが、鶏むね肉のグリルであるベロ・メソ(Belo Meso)。
パンとサラダ込みで260DIN(=¥274)という激安価格です。
鶏肉の焼き加減と、胡椒が効いた味付けが絶妙で、付け合せの唐辛子入りヨーグルトソースをつけながらいただきます。
スパイシーでエスニックな風味に感動しました。
とっても美味しくて量もたっぷりなのでおすすめですよ。
気に入ったので、翌朝にも再訪しました。
ノヴィ・パザル名物のマンティーヤ(Mantija)とヨーグルトドリンクで朝食。
マンティーヤは、牛ひき肉が入った一口サイズのパイのようなもので、「餃子パイ」といったところ。
ベオグラードではまず見られない、ノヴィ・パザルのご当地グルメ的存在で、どこのお店でも置いてあるほどポピュラーな軽食です。
地元の人は皆、マンティーヤとヨーグルト、トルコ風コーヒーで朝食をとるもの。
ぜひ真似してみてはいかがでしょうか。
インフォメーション
Restoran Rekic
住所:Jošanički kej bb, Jošanički Kej, Novi Pazar
営業時間:24時間
ノヴィ・パザルのおすすめホテル
ノヴィ・パザルには、ホステルがありません。
一人旅には少々痛い出費となってしまいますが、ホテルの個室を利用することとなります。
Motel DM5
住所:Jošanički Kej, Novi Pazar
料金:€15(=¥1867)
部屋:ツインルーム(バス・トイレ付)
立地:7/10
バスターミナルから1kmほど、中心街である11月28日通りまで徒歩5分ほどという好立地。
ホテルの1階には、ミニマーケットがあって便利。24時間営業のレストランもすぐ隣にある。
アクセス:10/10
レセプションは24時間で、大きな看板も出ているので簡単にアクセスできます。
スタッフ:8/10
セルビア人の夫婦が経営しているホテルで、みんな笑顔が素敵ないい人。
英語はほとんど通じないものの、いろいろと世話を焼いてくれました。
清潔さ:9/10
部屋、バスルームともにほぼ完ぺきに清掃されています。
ロビーも清潔に保たれており、好印象でした。
設備:7/10
安ホテルなので仕方がないものの、部屋には窓がありません。
シャワー自体は完璧でしたが、シャンプーが一つ置いてあるだけと、アメニティー面では少し不満です。
無料の給水機(お湯も出る)が使え、コーヒーなどを作ることもできます。ホテルなのでキッチンはありません。
wi-fi:10/10
共用部分、部屋共に完璧でした。
雰囲気:8/10
ホステルではないので、雰囲気に関しては他と比べられないものの、静かに一泊を過ごすなら最適です。
総合:8.4/10
総合的に満足な安ホテルです。
ホステルがないノヴィ・パザルではおそらく最安値の部類に入ると思います。
のぶよは交渉して、18ユーロを15ユーロにまけてもらいました。
チェックアウト後も問題なく荷物を置かせてくれ、ロビーに滞在することができたのも嬉しかったです。
ノヴィ・パザルのまわり方、アクセス情報
ノヴィ・パザル観光に必要な日数
ノヴィ・パザルの町自体はとても小さく、観光スポットがたくさんあるわけでもありません。
3時間ほどあれば中心街とその周辺の観光スポットを全てまわることができるでしょう。
つまり、バスの乗り継ぎの待ち時間でも観光することが可能なのです。
(ノヴィ・パザルのバスターミナルには荷物預り所のようなものはありませんでしたが。)
しかし、ノヴィ・パザル郊外には、世界遺産に指定されているソポチャニ修道院やストゥデニツァ修道院などの見どころが点在しています。
それぞれの修道院の距離がかなり離れているのと、アクセスの不便さから、一日で二つの修道院をまわるのは不可能となります。
これらノヴィ・パザル近郊の見どころをどこまでまわるかで、滞在日数が変わってくるでしょう。
ノヴィ・パザルと他都市間の移動
ノヴィ・パザルは、セルビア南西部の山の中にある小さな町。
セルビア南部の道路状況は良いとは言えず、また山の中の狭い道路を通るため、セルビア他都市との移動は地図で見るよりも時間がかかってしまいます。
ベオグラード~ノヴィ・パザル間の移動
ベオグラードとノヴィ・パザルは、1日10本ほどの直行バスで結ばれていて比較的アクセスが便利です。
所要時間:5時間半~
料金:1100DIN~ (バス会社によって異なる)
ニシュ~ノヴィ・パザル間の移動
セルビア南部の中心都市・ニシュとノヴィ・パザルは地図上では近く見えるものの、深い山が間にあるため、かなりの遠回りを強いられての移動となります。
一日4本のバスが運行されていますが、そのうちの数本は国境を越えてコソボを経由します。
セルビア・コソボ間の国境越えは、政治的な理由から(セルビアがコソボの独立を認めていない)避けた方が良いと思います。
チケット購入時に、コソボを経由しないバスかどうか確認するのをお忘れなく。
所要時間:5時間半~
料金:1100DIN~ (バス会社によって異なる)
おわりに
セルビアではかなりマイナーな町と言えるノヴィ・パザル。
セルビア人ですら、行ったことがないという人が多いくらいです。
ほとんど観光地化されておらず、英語の通用度も格段に下がるので、なかなか訪れにくい場所であることは事実でしょう。
オスマントルコ文化が色濃く残る、エキゾチックな町の雰囲気が最大の魅力ではありますが、近郊に点在する世界遺産の修道院観光の起点としても便利なノヴィ・パザル。
イスラムの風が運ぶ東洋の香りを感じながら、のんびり滞在してみてはいかがでしょうか。
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