こんにちは!ルーマニアの首都、ブカレストに滞在中ののぶよです。
「ルーマニア」、「ブカレスト」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
チャウシェスク独裁政権による恐怖政治、共産主義、治安の悪さ…
正直なところ、ルーマニア、特に首都のブカレストに対しては、どうしてもネガティブで陰鬱としたイメージが先行してしまうのが現状なのではないでしょうか。
しかし、実際に訪れて見ると、そんな悪いイメージは完全に払拭されます。
EUの一員として着実に発展をしているルーマニア。
その政治・経済の中心であるブカレストは、「ヨーロッパの隠れたパーティーデスティネーション」としての人気をひそかに獲得しつつあるんです。(本当にひそかにではありますが)
パリ、ローマ、バルセロナなど、観光地化されたヨーロッパの大都市とはかけ離れたブカレスト。
「東欧の小パリ」と称されるバロック調の美しい旧市街と、共産主義時代の無機質で巨大な建物が隣り合って存在する街並み。その間を縫うようにひっそりと建つルーマニア正教会の古い教会の数々と荒れ果てた廃屋の数々…。
ブカレストほど、「コントラスト」という言葉が相応しい街は、他にないと思います。
今回の記事では、ブカレストには2回目の滞在となるのぶよが、エリア別にブカレストの見どころ・観光スポットを紹介します。
記事の最後に、上手な周り方や必要な日数などのお役立ち情報も載せているのでお見逃しなく!
ブカレスト観光マップ
青色:旧市街の見どころ
緑色:国民の館~ウリニイ広場の見どころ
赤色:革命広場周辺の見どころ
黄色:凱旋門周辺のみどころ
ブカレスト旧市街の見どころ
ブカレストの旧市街はとても小さく、徒歩でゆっくり周っても3時間ほど。
しかし「東欧の小パリ」と称されるほど美しい街並みに建ち並ぶ豪華な建物、小さなカフェやレストラン、ルーマニア正教の小さな教会など、いろいろな発見があります。
夜にはブカレストのナイトライフを象徴するような、ネオン煌めく賑やかなエリアへと変貌を遂げる旧市街をゆっくりと散策しましょう。
1. 聖アントニー教会 (Biserica Sfântul Anton)
ブカレストで最古のルーマニア正教の教会である聖アントニー教会。
15世紀に建造され、幾度も起こった火災を乗り越えて再建され、現在に至ります。
レンガ造りの外壁の美しさは言うまでもなく、内部も圧巻。
真っ黒な内壁に四方を囲まれた中で黄金に輝く祭壇が印象的です。
ルーマニア人は信仰深い人が多いようで、老若男女問わず多くの人々がお祈りに訪れていました。
おそらく内部は写真撮影OKだと思いますが、あまりにお祈りに来る人が多く撮影できませんでした。
インフォメーション
聖アントニー教会 (Biserica Sfântul Anton)
住所:Strada Franceză 33, București 030105
料金:無料
所要時間:15分
2.マヌクの宿屋 (Hanu’ lui Manuc)
ブカレスト市内にいくつかある昔の宿屋。
その中でもオリジナルの状態で保存されているのがこちらのマヌクの宿屋です。
アルメニア人のマヌクという商人が開いた宿屋で、木造の柱と美しいポーチが印象的です。
現在、宿屋内部はレストランとして利用されています。
メニューを見ましたが、ランチのコースが25レイ(=¥650)ほどとそこまで高くありません。
かつての宿屋の賑わいを感じながら、中庭のテラス席でランチなんて素敵です。
インフォメーション
マヌクの宿屋 (Hanu’ lui Manuc)
住所:Strada Franceză 62-64, București 030106
料金:無料
所要時間:5分
3.スタヴロポレオス教会 (Biserica Stavropoleos)
ブカレスト旧市街にぽつんと建つスタヴォポレオス教会は、絶対に外せないスポットです。
ファサードに描かれた色褪せたフレスコ画が歴史を感じさせます。
こぢんまりとした素朴な教会の内部に入ると、誰もが目を見張るはず。
壁一面、天井にまで描かれたフレスコ画は圧巻で、いい感じに色褪せています。
西欧の教会のような華やかな装飾とは無縁の、ルーマニア正教会らしさが感じられます。
インフォメーション
スタヴロポレオス教会 (Biserica Stavropoleos)
住所:Strada Stavropoleos 4, București 030167
料金:無料
所要時間:15分
4.CEC宮殿
旧市街の至る所から見えるドーム状の屋根が印象的なこちらの美しい建物は、実は銀行の建物。
バロック調の建築様式が、旧市街の他の建物と調和している風景は、まさに「東欧の小パリ」の名に相応しいでしょう。
残念ながら内部に入ることはできませんが、ルーマニアの金融の中心地としてのブカレストの一面が垣間見られるスポットです。
インフォメーション
CEC宮殿 (Palatul CEC)
住所:Calea Victoriei 13, București 030022
料金:無料
所要時間:5分
5. パサジュ・マクカ (Macca – Vilacrosse Passage)
「パサジュ」というのは、屋根で覆われた通りのことで、ヨーロッパではかなり一般的な商店街のようなものです。
ブカレストのパサジュ・マクカは、正直「え、これだけ?」と思ってしまうほど小さな規模のものですが、おしゃれなレストランやバーが数件並んでいて高級感溢れるスポットとなっています。
とはいっても、高級そうなお店でも安く済んでしまうのがルーマニア。
道行く人を眺めながら、少し休憩するにはうってつけの場所です。
ちなみに、パサジュの屋根部分が黄色い部分と透明な部分が交っているのは、単に屋根が抜け落ちているためです(笑)
別にデザインでも何でもありません。
インフォメーション
パサジュ・マクカ (Macca – Vilacrosse Passage)
住所:Pasajul Macca, București 030167
料金:無料
所要時間:10分~
6.ハヌ・ク・テイ通り (Hanul cu Tei)
二人の商人が開いた宿屋を利用した、アートストリートがハヌ・ク・テイ通り。
黒く塗られた木製の扉と窓枠が印象的で、小さなアートギャラリーが軒を連ねています。
アート好きなら是非!
インフォメーション
ハヌ・ク・テイ通り (Hanul cu Tei)
住所:Strada Hanul cu Tei, București 030167
料金:無料
所要時間:10分~
7.世界一美しい書店 “Cărturești Carusel“
旧市街のメインストリート、リプスカニ通り (Strada Lipscani)に建つ書店、”Cărturești Carusel”は、「世界一美しい書店」としてその知名度を年々上げています。
白で統一された美しい内装と、暖色系の照明が照らす落ち着いた空間は一見の価値ありです。
インフォメーション
Cărturești Carusel
住所:Strada Lipscani 55, București 030033
営業時間:日~木 10:00~22:00 / 金・土 ~0:00
料金:無料
国民の館~ウリニィ広場周辺の見どころ
ブカレストのもう一つの顔である、共産主義時代を象徴するような街並みが広がるエリア。
世界で二番目に大きな建物である議事堂宮殿(国民の館)はまさにその象徴たる存在。
パリのシャンゼリゼ通りを真似て作られたウニリイ通りでは、いまだに漂う共産主義の名残を感じながら散策することができます。
1.議事堂宮殿 (国民の館)
悪名高いルーマニアの独裁者であったチャウシェスクが巨額の富をつぎ込んで建てた巨大な議事堂宮殿。
当時は「国民の館」と呼ばれていました。
なんとこの議事堂宮殿、アメリカ・ワシントンのペンタゴンに次いで、世界で二番目に大きな建物なんです。
実際に行ってみると、その巨大さに圧倒されます。とにかくでかい。
内部の床面積総計33万平方メートル。部屋数3107室。建設費用1500億円というとてつもないスケールです。
内部も豪華に装飾されていて、当時のチャウシェスクの権威を象徴しています。
しかし、この建物の建造費をねん出するためにルーマニアの国民の生活は圧迫されていきました。
それによる国民の不満がその後のチャウシェスク夫妻の処刑という結果を招くルーマニア革命のきっかけとなろうとは。当のチャウシェスクは夢にも思わなかったでしょう。
ルーマニア革命が起こったときには、この巨大な「国民の館」はまだ未完成な状態。
チャウシェスクの野望は道半ばで途絶えてしまったわけです。
共産主義時代のルーマニアを象徴するようなこの巨大な建物は、現在は「議事堂宮殿」と呼ばれ、ルーマニア国会の他、様々な国際会議などに使われています。
内部にはガイドツアーで入場できます。
人気があるので事前予約しておく方がいいかもしれません。
のぶよが訪れたときは、ちょうどEUの国際会議が開催されていて、一般観光客は中に入ることができませんでした。無念。
インフォメーション
議事堂宮殿(旧称:国民の館)
住所:Strada Izvor 2-4, București
料金:35レイ(=¥925)/1時間のスタンダードツアー (※写真撮影料別途)
所要時間: 1時間~1時間半
営業時間:10:00~16:00
2.ウリニイ通り (Bulevardul Urinii)
議事堂宮殿(国民の館)から地下鉄駅があるウリニイ広場までのびるウリニイ通りは、どこまでも続くまっすぐな道路と街路樹、立ち並ぶ共産主義感あふれる高層住宅が印象的な大通りです。
実はこのウリニイ通り、パリのシャンゼリゼ通りを手本として、チャウシェスクが整備させたものだそうです。
実際にシャンゼリゼ通りを歩いたことがある人ならきっと思うでしょう。「どこがやねん!」と(笑)
しかし、街路樹が植えられたプロムナードや、住宅に施された装飾など、よくよく観察してみると確かにパリをお手本にしたような感じがしないでもありません。
観光客はほとんどおらず、とても静かな「ルーマニアのシャンゼリゼ」。ゆっくり散歩しながらウリニイ広場へと向かいましょう。
3.ウリニイ広場 (Piata Urinii)
議事堂宮殿からウリニイ通りを抜けた先にある巨大なウリニイ広場。
ここからでも巨大な議事堂宮殿を望むことができます。
相変わらず共産主義感ただよう建物に囲まれたウリニイ広場は、ブカレストの交通と商業の中心地。
旧市街の目と鼻の先で、巨大ショッピングセンターも隣接&地下鉄駅もあるので、何かと利用機会が多いです。
革命広場周辺の見どころ
1989年に起こった、独裁者のチャウシェスク政権に対するルーマニア革命の舞台となったエリア。
激動の時代を今に伝えるモニュメントや建物があり、ルーマニアという国を語るのに外すことのできないエリアです。
旧市街エリアから徒歩で10分ほどで、エリアの中心となる革命広場へとアクセスできます。
旧市街のバロック調の街並みが、だんだんと共産主義の面影を色濃く残す街並みへと変化していく様子は、とても興味深いです。
1.革命記念碑 (Memorialul Renașterii)
共産主義時代のルーマニア時代に終わりを告げた、1989年のルーマニア革命。
チャウシェスクの独裁政権に対する市民の反抗および政府による弾圧は、激しい市街戦となり、多くの人が命を落とす結果となりました。
革命の犠牲者を追悼する目的で作られた革命記念碑が中央に立つ革命広場は、旧市街から徒歩で10分ほど。
ルーマニアの激動の歴史を感じられるスポットです。
革命記念碑をよく見てみると、赤い血のような色が付いているのがわかります。
これはデザインなのか、ただの落書きなのか。
真相は謎ですが、ルーマニア革命の壮絶さを強く象徴していることには変わりありません。
インフォメーション
革命記念碑 (Memorialul Renașterii)
住所:Piața Revoluției, București 030167
料金:無料
所要時間:10分
2.クレツレスク教会(Biserica Kretzulescu)
革命広場に面した、ルーマニア正教のこぢんまりとしたクレツレスク教会。
巨大な共産主義的な建物が建ち並ぶ中に、ポツンと建つその姿が印象的です。
インフォメーション
クレツレスク教会(Biserica Kretzulescu)
住所:Calea Victoriei 45, București 010062
料金:無料
所要時間:15分
3.ルーマニア建築協会本部
革命広場の端にあるこちらの建物は、古いレンガ造りの中にモダンなガラス張りのオフィスビルがあるというなんとも不思議な構造。
実はレンガ造りの古い部分は、ルーマニア革命以前は共産党の国家安全部隊の本部として使われていたものなんです。
革命終結後に、過去の記憶を後世に伝えながら現在の自由を象徴する建物としてリノベーションされました。
インフォメーション
ルーマニア建築家協会本部
住所:5 Dem.I.Dobrescu district 1, Bucharest 010026
料金:無料
所要時間:15分
4.コンサートホール (Athenaeum)
革命広場の北に位置するコンサートホールは、表の柱と屋根の上のドームが美しい大きな建物です。
ルーマニア革命の際に一度破壊されたものの、革命後に再建され、現在の姿となっています。
インフォメーション
コンサートホール (Athenaeum)
住所:Strada Benjamin Franklin 1-3, București 030167
料金:無料
所要時間:10分
5.ロマーナ広場周辺
地下鉄駅があるロマーナ広場周辺は、大通り沿いに「THE 共産主義」な建物が建ち並ぶ場所。
一方で、少し路地を入ると古い民家や若者に人気のカフェが点在するという、ブカレストの縮図のようなエリアです。
凱旋門周辺の見どころ
ブカレスト市内中心部から少し離れた凱旋門周辺は、水と緑あふれるエリア。
人々を圧倒させるような共産主義的な建物の影は息をひそめ、市民がのんびりと休日を過ごす憩いの場となっています。
中心街からのアクセスは地下鉄2号線を利用してAviatorilor駅下車か、空港~ブカレスト中心部のウリニイ広場を結ぶ路線バス783番が便利です。
1.凱旋門 (Arcul de Triumf)
ブカレストのシンボルともなっているのが凱旋門。
ルーマニア統一を記念して造られたもので、議事堂宮殿(国民の館)とともにブカレストのランドマークとなっています。
パリの凱旋門のように、地下通路で凱旋門下まで行くことはできず、かなりの交通量があるロータリー(横断歩道なし)を渡らないと真下までは行けません。
インフォメーション
凱旋門 (Arcul de Triumf)
住所:Piața Arcul de Triumf, București
料金:無料
所要時間:15分
2.ミハイ1世公園 (Parcul Regele Mihai I)
凱旋門すぐそばにある、水と緑あふれるミハイ1世公園はかなり広大。
天気が良い日は、ブカレストの地元の人たちがのんびりと時間を過ごしにやってきます。
水辺に沿って遊歩道が整備されていて、気軽に散歩できます。
冬に訪れたにもかかわらず、焼きトウモロコシや飲み物を売る露店がいくつか出ていました。
ブダペスト中心街の都会感に疲れたときに、おすすめしたい場所です。
ブカレストを拠点に他都市をまわるなら、現地ツアー利用も一つの手。交通手段が確保されているので安心して旅行できるのがメリット。
・カルパチア山脈の真珠シナイア&ドラキュラ城 日帰り観光ツアー<貸切チャーター/ブカレスト発>
・ドラキュラ城 日帰り観光ツアー<終日/日本語 or 英語/昼食/ブカレスト発>
ブカレスト観光の日数、上手な周り方
ブカレストで訪れるべき見どころ・観光スポットを、エリア別に紹介しました。
「あまり見どころがない」と言われてしまいがちなブカレストですが、激動の歴史を今に伝えるルーマニアを象徴するような町なのです。
最後に、ブカレスト観光に必要な日数や観光スポットのまわり方などを解説します。
ブカレスト観光に必要な日数
断言します。1泊2日で十分です!
さんざんブカレストの観光スポットについて書いてきたのですが、2日3日と居てもすることがありません(笑)
理想としては、
丸一日存分にブカレストを観光して一泊。
翌日の午前中に見逃したスポットを巡る→午後に別の町へと移動。
これで十分すぎるほどブカレストの街を満喫できるはずです。
徐々に有名になってきているブカレストのナイトライフを満喫するなら、もう少し滞在するのもアリかもしれません。
ブカレスト観光のモデルコース&上手なまわり方
丸一日めいっぱい使って、ブカレストを観光するというモデルコースがこちら。
- 午前
・議事堂宮殿(1)
・ウリニイ通り(2)
・ウリニイ広場(3) - 午後
・旧市街でランチ
・旧市街の見どころ巡り(1~6)
・革命広場周辺へ移動して観光(1~5)
- 夕方
・凱旋門周辺エリア(1,2)観光 - 夜
・旧市街へ戻りディナー、バー巡り
この周り方が一番効率が良いと思います。
ブカレスト観光のハイライトである議事堂宮殿(国民の館)は開館時間に合わせて朝10時に訪れましょう。
観光客も少なくスムーズに楽しめるはず。
ランチ・ディナーともににおすすめのエリアは旧市街。
英語が通じることも多く、基本的に一人でも問題なく食事ができます。
伝統的なルーマニア料理を安くいただけるのもポイント。
凱旋門周辺エリアは、日が長い夏場なら夕方でも問題なく観光できます。
日が短い冬場、もしくは疲れてしまった場合は、翌日に回すのが賢明です。
ブカレストで見逃せないのが、旧市街の夜の姿。
他のヨーロッパの旧市街とは大きく異なり、ブカレストの旧市街の夜は静寂とはほど遠いです。
夏も冬も関係なく、どこかで音楽がかかり、バーやレストランは観光客、地元の人で賑わいます。
さすがは、「新パ-ティー・デスティネーション」として知名度を上げてきている町。
せっかくなので、どこかのバーで一杯飲んで、ブカレストの夜を味わうのもおすすめです。
ブカレストの宿泊におすすめのエリア
ブカレストの宿泊先エリアは、旧市街の一択です。
市内のどこへ行くのにも便利で、ほとんどの観光スポットへ徒歩でアクセスできる好立地。
レストランやバーなども多く、観光客もまあまあいるので治安も比較的安定しています。
翌日の電車移動を考えると、ブカレスト北駅(Gara de Nord)付近が便利そうな気もしますが、北駅付近は治安が悪いことで有名なエリア。
またブカレスト北駅は、観光スポットから離れているため、いちいち移動するのに不便です。
ホテル代の相場も旧市街と大して差がないので、わざわざ北駅付近で宿泊する理由が見当たりません。
観光の中心である旧市街は、ブカレスト市内の中心部に位置しているためどこへ行くのにも便利。
地下鉄を利用すれば、距離が離れた見どころや鉄道駅までも一本でアクセス可能です。
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