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二重生活、偽装結婚…。イスラム教徒のゲイ生活が衝撃すぎた。

こんにちは!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。

今から半年ほど前、バルカン半島のコソボに10日間滞在しました。

首都のプリシュティナのホステルに滞在していたのですが、そのホステルがバーを併設しており、地元の若いコソボ人がやってきて旅行者と交流するような場所となっていました。

当ブログのコソボ編で何度も触れたように、コソボの人々は老若男女問わずとってもフレンドリーで温かい人ばかり。

そんなわけで、コソボ人グループ数人と旅行者グループ数人で飲んでいたのですが、その時にいたゲイのコソボ人が話してくれた「イスラム圏でゲイであること」というトピックがとても興味深い(というか驚き)だったので、今回記事にすることにしました。

イスラム教国・コソボってそもそもどんな国?

↑お祈りの時間には中に入り切れないほどの人が集まるコソボのモスク

ご存じの通り、イスラム教文化圏においては様々な社会的・宗教的タブーが存在します。

国によって戒律の強さは異なるものの、

アルコールNG
女性は公共の場で髪を隠す
かなりの男性社会
同性愛はタブー

などのイメージがあるのではないでしょうか。

イスラムの戒律が厳しい国(例:イラン、サウジアラビアetc)では、アルコールは一切売られていませんし、同性愛は死刑に値する場合もあるほどです。

一方のコソボでのイスラムの戒律は、

アルコールOK(普通に売られている)
 女性は髪を隠している人/いない人が半々
かなりの男社会(町では男しか見かけない)
同性愛はタブー(公的には認められている)

と言った感じ。

つまり、コソボではイスラムの戒律はそこまで厳しいわけではないと言えるでしょう。

コソボがイスラム圏の理由

もともとはアルバニアの一部だったコソボの人口の92%はアルバニア人

1912年のアルバニア独立の際に、西欧諸国によってセルビアに割譲されたことに端を発するセルビア人とアルバニア人の民族対立から90年代後半のコソボ紛争が起こるわけですが、ここでは割愛します。

同じ民族であるアルバニア本国では、独立後の共産主義時代に一切の信仰が禁じられたため、現在では無宗教の人の割合が多くなっています。

一方、共産主義時代以前にアルバニアから分離させられたコソボでは、オスマン帝国支配時代からのイスラム教が強く残ったのです。

コソボの歴史に深い関係があるアルバニアの歴史はこちらの記事で。

今回のテーマである同性愛に限って言うと、コソボでは法律で同性カップルの権利が認められており、犯罪ではもちろんありません。
むしろ同性愛者に対する差別をした人を罰する法律もあるほどですから。

同性婚の制度こそないものの、公的には同性愛者の権利が認められているというイスラム教文化圏においてはだいぶ開放的な国だと言えるでしょう。

しかしながら、法律と一般の人々の意識の間には大きな差があるというもの。
コソボでは、同性愛はタブーであると認識している人がほとんどだそうです。

イスラム教国・コソボのゲイライフが驚きだった

さて、ここからが本題。
のぶよがホステルで出会ったコソボ人(20代後半)から聞いた、「イスラム文化圏・コソボにおけるゲイの生活」についてです。

もちろん個人差があるでしょうし、コソボの人々全体がそうしているとは言いません。
しかしながら、のぶよを含め一緒にいた旅行者グループ的には「え?なんで!?」と驚きを隠せないものでした。

若者世代はだんだんオープンに。しかし家では絶対に秘密

先述の通り、イスラムの戒律が緩めのコソボ。
若者世代を中心に多様な性のあり方や、新しい価値観・ライフスタイルが認められつつあります。

のぶよ達と飲んだコソボ人も、数人の友達にはカミングアウトしているそう。
「自分らしくありのままでいたい」という言葉が印象的でした。

しかしながら、自分の親や兄弟には絶対に秘密にしているとのこと。

コソボの人口の大部分を占めるアルバニア人には、独特の結婚観や伝統があるそうで、いくら時代が変わってきていても自分の家族に同性愛者がいるということは絶対的なタブーだそう。

20代中盤にもなると、「いつ結婚するの?」攻撃にさらされてウンザリしてしまうのだとか。

日本でも未だに根強く残っている文化かもしれませんが、「結婚するのが当たり前」という感覚はまだまだ強いのでしょう。

偽装結婚

そんな伝統的な家族の在り方が大切にされるコソボの同性愛者のほとんどは、好きでもない異性と結婚するそう。
いわば、周りの目や両親・親戚からのプレッシャーから逃れるための「偽装結婚」をするのが普通なのだそうです。

女性の社会進出があまり進んでいないコソボでは、男性が外で働き、女性は家を守るという価値観が深く根付いています。(日本もそうですよね)

のぶよからすると、「本当にそれでいいの?(相手に対しても失礼なのでは?)」と感じてしまったのですが、こればかりはその文化圏に属している人しか分からない葛藤があるのかもしれません。

携帯、SNS…全て複数持つ普通な二重生活

コソボ人の彼がした話で一番びっくりしたのが、「コソボのゲイはみんな二重生活をしている」ということ。

上で挙げた偽装結婚の話にも関連しますが、社会的な自分と本当の自分を使い分けているのです。

その最たる例が、スマートフォンは二台持ちで、SNSのアカウントも複数持っているということ。

一台は表向き用のスマートフォンで、FacebookやInstagramなど友人や家族たちと「社会的な自分」をつなぐためのもの。
もう一台は同性愛者としてのFacebookプロフィールやその他SNS、マッチングアプリなどを入れたもの。

つまり二つの別々の生活を完璧に送っているわけです。

「そこまでする必要あるの?他の人もそうしてるの?」
と尋ねてみたところ、「絶対みんなしてる」とのこと。

万が一スマートフォンを紛失した場合を考え、同性愛者としてのスマートフォンには写真や個人情報などは一切保存しないようにしているという徹底ぶりでした。

コソボ人の名言:「イスラムの男はほぼゲイ!」

コソボという国で生きる同性愛者の男性の生活について、色々と話をしてくれたコソボ人の彼。
中でもとても印象深かったセリフがあります。

それは、「正直、イスラムの男はほぼみんなゲイ!」というもの。
だいぶ誇張していると思うのですが、そういうことらしいです(笑)

かなりの男性社会であるイスラム圏。
実際に行ってみるとわかるのですが、基本的にコソボでは女性が表に出ません

確かに、コソボのカフェやバー、食堂などに集まるのは99%が男性。
レストランで働く人もほぼ全員が男性という、ものすごい男社会です。

「必然的に男同士でいる時間が増えるから、みんなゲイになる」という謎の理論を振りかざしていたコソボ人の彼ですが、確かにコソボの男性同士はとても距離が近いです。

若者もおじさん同士も、男同士腕を組んで歩くのが普通(同性愛者ではなく)の文化なので、初めて来たときはびっくりしました。

興味深いのが、この男同士で腕を組む文化は、コソボの周辺諸国では全く見られない点。

セルビア(セルビア正教)
マケドニア(マケドニア正教)
アルバニア(無宗教)

などの周辺諸国では一組も見かけることはありませんでした。
同一民族であるアルバニアですら皆無だったのも不思議です。

この後でトルコを旅して知ったのですが、トルコでもコソボと全く同じ腕組み文化が至る所で見られました。

コソボだけでなくイスラム圏共通なのかもしれませんし、オスマン帝国由来の文化なのかも。
詳しい方いましたら、解説をお願いします!

オスマン帝国の伝統息づくトルコは、カルチャーショックもたくさんあって面白いです。
コソボの多数派であるアルバニア人の七不思議を解説しています。

変化しつつある、コソボの性的マイノリティーを取り巻く環境

先述の通り、同性愛者であることは別に違法でもなんでもないコソボ。

首都のプリシュティナで、2016年に初めてゲイ・プライド(もちろんLGBTQ全てが対象)が開催され、300人ほどの参加者がレインボーフラッグを手に中心街を歩いたそうです。

厳戒態勢の中行われたプライドは、大きな混乱もなく無事に成功を収めました。

しかしながら、プライド終了後にインターネット上で誹謗中傷が相次いでしまいます。

当時の状況を振り返って、「自分も参加者を中傷しないといけない、魔女狩りみたいな雰囲気だった」と言っていたコソボ人の彼。

伝統的なイスラムの価値観を重んじる人が多数派のコソボですが、2008年にアメリカの援助を受けて独立を達成したこともあり、西洋的な価値観が急速に浸透しつつあります。

しかしながら、オープンマインドだと言われる西洋の国々でも、性的マイノリティーに対する差別意識を持つ人も少なからず存在するのは事実。
イスラム教の教えが深く根付いているコソボでは、差別意識があったりやタブー視するする人の割合がさらに多いことは想像に難くありません。

コソボの社会が本当の意味で「オープン」になるためには、まだまだ長い時間がかかるのかもしれませんね。

今回話を聞いたコソボ人の彼が言っていたことでとても印象的だったのが、

「コソボは少しずつ変わってはきてるけど、自分が生きている間には、ゲイであることを隠さずに生きられる日は多分やってこないと思う。

というものでした。

おわりに

↑これぞコソボ!という風景

イスラム圏の国ではタブーとされる同性愛者としての生活について、コソボの例を挙げながら考えてきました。

この話をしてくれたコソボ人の彼は、のぶよ達が外国人だからこそこのような話をしてくれたのでしょう。
なかなか現地の人からのリアルな意見や体験を話してもらえる機会はないので、とても貴重な経験となりました。

ところ変われば文化も変わるので、保守的な場所やリベラルな場所など、国や地域に応じて人々の気質や考え方が色々とあるのは当たり前のこと。

しかしながら、自分と異なる考えや性的指向を持つ人を認めない理由はどこにもありません。

日本もまだまだ性的マイノリティーに優しい国とは言えないという現状もありますし、私たち若い世代にも様々な差別や偏見が存在するのは事実。

あらゆる人にとって住みやすい社会になるように、一人ひとりがオープンな意識を持つことが大切なのではないでしょうか。

コソボ、超おすすめです。この小国の素晴らしい10の魅力を解説しています。

コソボの記事をもっと見る

コメント

  1. Mimi Rocky より:

    こんにちは。めいろまさんのツイッターから流れてきました。
    ブログを拝見してこの災難が終わったら旧ユーゴ諸国に旅してみたくなりました。ウズウズ。

    さて、トルコやコソボなどで男性同士が親密なのはオスマン帝国由来の文化なのかも、という疑問についてですが、まず私が思いついたのは塩野七生氏の「コンスタンチノープルの陥落」という著書です。コンスタンチノープルを陥してオスマン帝国の大発展の基礎を築いたムフメト2世は男色でしたし、親衛隊のイエニチェリ隊員は妻帯が禁止されていたので衆道は暗に認められていたとか…。ですから、旧オスマン帝国の影響が残る所では男同士がある意味仲良しというのは別に取り立てめくじら立てるもので無いのかもしれません…。これは私見ですが…。
    私の拙い説明では不十分なので、塩野氏の著書を読んで頂くか(アマゾンKindleで入手可能です)、ムフメト2世をチェックなさっては如何でしょうか…。

    では厳しい世界情勢ですが世界半周達成迄フォローさせて頂きます。Bonne chance!

    • 小山 のぶよ より:

      Mimi Rocky様

      コメントいただきありがとうございます!

      オスマン帝国由来(?)の独特な男性同士の関係、とても興味深いですね。アルバニア/コソボなどはトルコと同様に男性同士で手をつなぐ/腕を組むなどが見られた一方で、マケドニアやブルガリアなど現在キリスト教圏になっている地域では全く見られなかったのがすごく不思議に感じたことを思い出します。同じようにオスマン帝国支配下にあった国でもここまで違うのか!と。

      ご教授いただいた書籍、とても興味深いですね!Kindleを調べてみたのですが「お使いの地域には対応していません」とのことでした…日本帰国時の楽しみの一つにとっておきます。

      温かい励ましのお言葉、感謝です。
      なかなか思うように旅したりするのが難しい時期ではありますが、いつまでもこの状況が続くわけではないと信じていきたいと思います。

      小山のぶよ

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