こんにちは!二回目のアルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア観光のメインイベントと言えば、小さな国土全域に点在する修道院や教会を訪れること。
伝説や長い歴史に彩られた個性豊かな修道院がいくつもあるのですが、中でも絶対に訪れたいのがホル・ヴィラップ修道院(Khor Virap / Խոր Վիրապ)です。

ホル・ヴィラップ修道院が位置するのは、トルコとの国境までたったの2kmほどの場所。
現在はトルコ領となっているアララト山を背景にぽつりとたたずむ修道院の風景は、「アルメニア観光のハイライトとなる絶景」として旅行者に人気のスポットとなっています。


「雄大なアララト山に対峙するように佇む修道院」という、なんともピトレスクで感動的な絶景ばかりが注目を集めるホル・ヴィラップ修道院ですが、実は世界初のキリスト教国・アルメニアの歴史においても計り知れない価値を持つ場所です。
アルメニアは、301年に「世界で初めてのキリスト教国」となった国。
そのキリスト教受容のきっかけとなる出来事が、まさにこの地で起こったのです。

というわけで今回の記事は、アルメニアを訪れる日本人も多く訪れるであろうホル・ヴィラップ修道院の観光に必要な情報を解説するもの。
訪問前に必ず理解しておきたい歴史や、修道院内部の見どころ、個人でのアクセス方法まで…「これさえ読んでおけば大丈夫!」といった内容となっています。
旅行者のみならず、アルメニアの現地の人からも敬われつづけている圧倒的な聖地。
ぜひとも、アララト山がくっきりと見える天気の良い日を狙って訪れましょう!
ホル・ヴィラップ修道院の歴史

ホル・ヴィラップの歴史はとても古く、なんと紀元前180年(2200年前)に遡ります。
アルメニアのキリスト教受容が301年なので、この場所のはじまりはそれよりも500年近く前のこと…というわけ。
当時のホル・ヴィラップ一帯は、古代アルメニア王国の首都であったアルタシャット(Artashat)という町の一部でした。
とはいえアルタシャットの中心部からは10kmほど離れているため、いわば「辺境の地」という扱い。
この人も寄り付かぬ荒野にぽっかりとある丘の上に、罪人を閉じ込めるための地下牢として竪穴が掘られたのがホル・ヴィラップのはじまりです。
ホル・ヴィラップは、アルメニア語で「地下の迷宮」を意味するそうです!
古代アルメニア王国では、ゾロアスター教(拝火教)やその他の精霊信仰が主流。
キリスト教は「異教」として弾圧の対象とされていました。
287年に古アルメニア王国の国王として王位についたトルダット3世も、それ以前の王にならって王国内のキリスト教徒を激しく弾圧します。
弾圧の対象となった人物の一人が、この地域でキリスト教の布教活動をしていた啓蒙者グレゴリウス。
トルダット3世に目をつけられたグレゴリウスは、ここホル・ヴィラップにあった地下牢に投獄されてしまいます。

脱出不可能な地下牢に閉じ込められたグレゴリウスの命を救ったのは、ホル・ヴィラップの近くに住んでいたキリスト教徒の女性でした。
彼女は13年もの間、毎日この場所に通っては、自宅で焼いたパンを地下牢へと投げ落としていたのです。

その頃、グレゴリウスを地下牢に投獄した国王トルダット3世は、ローマ帝国から古アルメニア王国へとやってきた修道女40名を殺害してエチミアジンの町に葬ったりと、キリスト教弾圧のためには手段を選ばずやりたい放題の限りをつくしていました。
そんな国王にとうとう祟りが起こったのか、トルダット3世は重い病に伏し、狂気に苛まれるようになります。
ある日、すでにキリスト教に改宗していた王妃が「グレゴリウスをホル・ヴィラップの地下牢から解放すれば国王の病が治る」という夢を見ます。
王妃はトルダット3世を説得し、夢の通りにグレゴリウスを解放すると、王の病はみるみるうちに良くなっていきました。
こうして、キリスト教の奇跡を我が身で体験したトルダット3世は、解放したグレゴリウスによる洗礼をズヴァルトノッツ聖堂にて受け、自身もキリスト教に改宗します。
ホル・ヴィラップ修道院発祥のアルメニア料理「ハリサ」

アルメニアの国民的料理の一つとされるのが、鶏と麦にバターを加えたお粥のような「ハリサ」(Harissa / Հարիսա)。
イースターの定番料理であり、食堂やレストランでも提供する店が多いです。
この「ハリサ」の起源は、啓蒙者グレゴリウスが13年間もの間幽閉されていた時代のホル・ヴィラップにあるとされています。
啓蒙者グレゴリウスが地下牢から解放された際、彼の解放を祝おうと集まった貧しい民衆に羊肉とバターを煮込んで振舞おうとしました。
しかしながら、あまりに多くの人が集まったため羊肉の量が足りず、かさましとして麦を大量に入れることに。
水分を吸った麦が鍋の底にこびりついてしまったのを見た啓蒙者グレゴリウスは「ハレック・ザー(Hareq zsa / հարեք զսա)=それを混ぜろ!」と古アルメニア語で命じました。
それ以来、肉とバターを入れて麦を炊いたこの料理は「ハリサ」と呼ばれるように。
現在では羊肉ではなくより手に入りやすく安価な鶏肉が使用されることが多いですが、1700年以上前に偶然生まれた料理は現在でもアルメニアの人々に愛され続けています。
そして301年、トルダット3世によってキリスト教が古アルメニア王国の国教として認められました。
こうしてアルメニアは、歴史上世界で初めてのキリスト教国となったのです。

キリスト教受容後のアルメニア周辺地域では、初期キリスト教文化が花開き、多くの教会が建設されました。
しかしその後は、数百年に渡って異民族による侵攻と破壊が繰り返される歴史が続きます。
この激動の時代においても、ホル・ヴィラップの聖地としての存在感は色あせることなく、つねに人々の信仰の対象であり続けました。

現在ホル・ヴイラップ修道院の地上部分に残る建造物は、1662年に建造されたアストヴァツァツィン聖堂と642年建造の聖ゲヴォルグ礼拝堂、それらを取り囲む城壁だけとなっています。
現存している中では最古の建造物である聖ゲヴォルグ礼拝堂の地下には、啓蒙者グレゴリウスが13年もの間閉じ込められていた地下牢が現存しており、旅行者でも中に入って見学することが可能です。
「アルメニアに数ある聖地の中でも最も神聖な場所のひとつ」とされるホル・ヴィラップの地下牢。
現在でも巡礼に訪れて熱心に祈りを捧げる人が後を絶ちません。
ホル・ヴィラップ修道院の見どころ

ホル・ヴィラップ修道院の敷地はそれほど大きくなく、1時間半もあれば十分に見学が可能です。
「アルメニアのキリスト教はじまりの地」たる神聖な雰囲気が最大の魅力ですが、アララト山と修道院を同時に眺めることができる絶景ポイントがいくつかある点も見逃せません!
現在はトルコ領となっているアララト山は、聖書の「ノアの方舟伝説」の舞台だと言われており、キリスト教徒のアルメニア人にとっては精神的な支え。
アララト山とその周辺がトルコ領となってから100年ほどが経った現在でも、アルメニアという国を象徴する存在となっています。
聖アストヴァツァツィン聖堂

ホル・ヴィラップ修道院の敷地中央に堂々と建つのが、聖アストヴァツァツィン聖堂(S. Astvatsatsin church)。
元々は別の建物があったのですが、オリジナルの教会は中世に破壊されてしまい、現在の建物は1662年に完成したものです。
・十二角柱のドームを中心とした赤茶色の外壁の聖堂部分
・黒っぽい石で造られた拝廊部分
の2つの建造物が融合した造りとなっています。


聖堂の西側の入口部分に設置された拝廊部分の、圧巻の彫刻も見逃せません。▼

こうして異なるモチーフの彫刻を石に直接施し、何重にもなるようにして入口を囲むのは、アルメニアの教会建築における定番の様式。
ひとつとして同じ彫刻はなく、教会によってモチーフが大きく異なっているので、見比べるのもアルメニア旅の楽しみだと思います。

聖アストヴァツァツィン聖堂の内部は意外と広くなく、黒っぽい内壁に囲まれた厳かな雰囲気。▼

祭壇部分とホールの間には仕切りがなく、垂れ幕で隔てられているだけ。
こちらもアルメニア教会で典型的な内装の特徴の一つです。
聖ゲヴォルグ礼拝堂

修道院の敷地の端に建つ聖ゲヴォルグ礼拝堂(St. Gevorg Chapel)は、642年の建造。
現在のホル・ヴィラップ修道院の敷地内に残る建造物の中では最古の歴史を誇ります。
一軒すると無機質でシンプルな外観に見えますが、この直方体の空間×三角形の屋根という組み合わせは初期キリスト教建築様式の定番。
礼拝堂の入口部分の周りにはこれまた精巧な装飾が施されています。▼

聖ゲヴォルグ礼拝堂内部はかなり狭く、シンプルな祭壇があるだけのように見えます。▼

しかし、祭壇横と礼拝堂西側には地下へと下りる階段が二か所あり、そのうちの一つが地下チャペルのような地下牢に、もう一つが観光ハイライトとなる啓蒙者グレゴリウスの地下牢へと続いているのです。
ホル・ヴィラップ修道院の地下牢

聖ゲヴォルグ礼拝堂の地下には、大小2つの地下牢が現存しています。
「地下牢」と聞くと鉄格子がある牢屋をイメージしますが、この場所の地下牢は「小部屋」といった感じ。
2つの地下牢にはそれぞれ別の入口がありますが、祭壇横のハシゴを下った方の部屋が1700年前に啓蒙者グレゴリウスが13年間閉じ込められていた場所です。


このハシゴがとにかく恐ろしいのです。
人ひとり通るのがやっとのスペースしかなく(太ってる人は無理)、完全なる垂直の鉄製のハシゴ。
地下牢の空間は地上から十メートルほど下にあるため、思ったよりも長くハシゴを下っていかなければなりません。

いちおう手すりはあるものの、足を滑らせたら奈落の底へとまっ逆さま。
サンダルで挑戦するのはかなり危険だと思うので、スニーカーは必須です。また、体力や筋力、足腰に自信がない人はやめておきましょう(下りたはいいけど上れない…なんてことになる)。


恐怖のハシゴをどうにか下りると、そこには四畳半ほどの狭く暗いスペースが。
ここが、かつて啓蒙者グレゴリウスが閉じ込められていた地下牢です。



地下牢内部はかなり湿度が高く、地上とは空気の質が完全に異なっていました。
石に彫刻を施した十字架がいくつか置かれていて、どれもが信仰の対象となっているようです。


のぶよが地下牢へと下りた時は、たまたま観光客の姿はなし。(かなりラッキーらしい)
しばらく後にアルメニア人の女の子3人がハシゴを下って来て、聖歌を歌った後で熱心にお祈りしていました。
1700年前に聖人が暮らした、暗く閉ざされた地下牢に響き渡る美しい歌声。
まるで別世界に迷い込んでしまったかのような感覚になり、鳥肌が立ちました。
修道院上のビューポイント

修道院敷地内の観光を終えたら、周辺の絶景ポイントに足をのばすのをお忘れなく。
修道院の敷地から50mほど北西にある丘の上にある、ホル・ヴィラップを上から眺められるビューポイントです。


城壁に囲まれた修道院と、どこまでも広がるアルメニアの荒涼とした大地…まるでゲームの世界を眺めているようです。
修道院の反対側(西側)を見ると、トルコとの国境は目と鼻の先。
雲がかかっていない日なら、アララト山の雄大な姿も間近で見られますし、トルコ側の村まで肉眼でくっきりと見えます。▼

修道院の敷地内は多くの観光客でにぎわいますが、この絶景ポイントまで登る人はそれほど多くないよう。
広大な大地と、アララト山を背景にたたずむ修道院を取り囲むのは、静寂のみ。
聖書内に登場する「ノアの方舟」は、まさにこの荒野を越えてアララト山に到達したわけで、時を超えた浪漫のようなものが感じられるかもしれません。

ビューポイントまでの上り坂はそれほどきついものではありませんが、岩が剥き出しで滑りやすい箇所があるので注意。
聖書の絶景を五感で感じられるので、ぜひとも足をのばしてみましょう!
ホル・ヴィラップ修道院&アララト山を一望する3つのビューポイント

さてさて。ここまでホル・ヴィラップ修道院の歴史や見どころについて細かく解説してきましたが、やはり多くの旅行者にとって「ホル・ヴィラップ修道院=アララト山を背景にした遠景」でしょう。
多くのサイトや観光ポスターに掲載されるほどに「アルメニアの顔」として有名なホル・ヴィラップ修道院。
よく写真に使用されている絶景ポイントは、修道院の敷地の外にいくつか点在しています。
以下で紹介する3つの絶景ポイントは、どれものぶよ自身が発見したもの。
アララト山がきれいに見えない日でも修道院自体の孤高感漂う風景が見られますが、やっぱりアララト山がどーんと見える天気・時期を狙って訪れるのが鉄則です!
絶景ポイント①:アララト山と修道院が並ぶ光景

まずは、定番of定番のポイントから。
修道院の敷地を出て、連なるお土産ストリートを抜けた先の野原からの眺めです。


何の標識もなく、ほとんどの旅行者が気づかずに通り過ぎてしまうのですが、この野原こそがホル・ヴィラップ観光の総仕上げだと思います。

天気が良く空気が澄んだ日なら、聖なる修道院を抱くようにそびえ立つアララト山のダイナミックな絶景が見られて感動間違いなし。
修道院の駐車場からも徒歩1分ほどの場所にあるので、時間に限りがある場合でもさっと訪れることができます。
絶景ポイント②:アララト山の山頂と聖アストヴァツァツィン聖堂の屋根が垂直に見えるポイント

修道院前の駐車場からのびる道路を200mほど東に行った場所の野原辺りは、ホル・ヴィラップ修道院周辺で唯一、アララト山と修道院の建物が垂直に見えるポイント。
修道院最大の建造物である聖アストヴァツァツィン聖堂の屋根がアララト山の山頂に向かってのびるミステリアスな風景が見られます。
聖堂の屋根×アララト山どーんという写真を撮りたい場合は、望遠レンズ装備のカメラ必須。
スマホのズームだと限界があるのが残念です。
絶景ポイント③:アララト山と修道院の遠景

絶景ポイント②からさらに道路を東に進むこと200mほど。
道路沿いにぽつりと建つ掘っ立て小屋で営業する謎の食堂兼お土産屋の裏手に広がる野原は、アララト山の全景と修道院の建物がちょうど良い具合に見られるポイントです。

スマホで写真を撮るにはちょっと遠いのですが、肉眼ではものすごいスケールの風景が見られるのでおすすめ。
修道院観光で時間がある場合や、徒歩でメインの道路まで戻ってマルシュルートカを利用する場合は、ぜひ立ち寄ってみてください!
ホル・ヴィラップ観光のアドバイス
ホル・ヴィラップ観光におすすめの季節

ホル・ヴィラップ観光自体は、1年365日いつでも可能です。
しかしながら、観光ハイライトの一つである修道院&アララト山の絶景を見たいなら夏場(6月~9月)は避けるのがベター。
エレバン周辺地域の夏場の気温上昇はものすごい&雨が少なく埃っぽい空気となるため、夏場は空気が澄んだ日が非常に少ないためです。
例え雲一つない青空の日で「おっしゃあ!ホル・ヴィラップ修道院行くぞ!」と気合を入れようとも、空気が澄んでいないとアララト山はきれいに見られません。
夏場のアララト山こんにちは率はとにかく低く、「…こ…こんちは…(蚊の鳴くような声で)」くらいのぼんやり具合である場合がほとんどなのです。
一年で最も空気が澄んでいる&アララト山が見られる可能性が高いのは冬から春にかけて。
特に、3月がアララト山の観測率が一年で最も高いと言われています。
ホル・ヴィラップ観光におすすめの時間帯

ホル・ヴィラップを訪れるなら、問答無用で朝一番に行きましょう。
空気が澄んでいる朝の時間帯なら、アララト山がくっきりと見られる可能性が上がるのはもちろんのこと。
大人気観光地であるホル・ヴィラップは、朝11時を過ぎると大量の観光客であふれかえってしまうためです。
観光客が多いくらいならまだ良いのですが、問題となるのは観光ハイライトとなる地下牢。
地下牢へのアクセス方法は、人ひとり通るのがやっとなほどに狭いハシゴのみ。
これを下って聖域にアクセスしようとする人々が列を作り、ものすごい待ち時間になってしまうためです。

また、ホル・ヴィラップはアルメニア人の巡礼者や小学校の遠足の子供たちも多く訪れる場所。
そのため土日や祝日はさらなる混雑になり、もはや地下牢にアクセスできない…なんてこともあるそうです。
また、ホル・ヴィラップ修道院とアララト山の絶景は西向きに開けているため、午後には完全なる逆行となってしまいます。
季節にもよりますが、午後2時以降は綺麗な写真をとるのは難しいと考えておくのが◎
というわけで、ホル・ヴィラップを訪れるなら選択肢はただひとつ。
とにかく平日の朝一番に行きましょう。
ホル・ヴィラップ観光時の服装

アルメニアの宗教施設はあまりドレスコードに厳しくない場所が多い印象で、ホル・ヴィラップも服装の規定はかなり緩め。
半ズボンで敷地内を見学している男性や、髪を隠していない女性…
外国人/アルメニア人問わずかなりたくさん見かけました。
とはいえ、こうした宗教施設では、表示されていようがなかろうが服装の規定を守るのがマナー。
(日本でわざわざ「靴を脱いでください」と書かれていなくても暗黙の了解で脱ぐのと同じようなもの)
・男性:長ズボン/肩が隠れるシャツ/踵がある靴
・女性:男性の規定 + 髪を隠す布
「みんな守っていないから良いや」ではなく、他文化へに対する最低限のリスペクトとして守るのがスマートだと思います。
ホル・ヴィラップ観光の持ち物
ホル・ヴィラップ修道院周辺には、ちゃんとした商店はありません。(というか、民家すら1軒もない)
修道院入り口にはお土産の露店や飲み物を売る屋台がいくつか並び、ここ数年でオープンしたらしき掘っ立て小屋レストランのような飲食施設は見かけましたが、どこも料金は高めなのは言わずもがな。
また、修道院の駐車場に簡易トイレ(有料)はありましたが、水分補給できる水道はありません。
というわけで、飲料水や軽食は必ずエレバンから持参するようにしましょう。
また、ホル・ヴィラップ修道院の敷地と周辺には日陰はかなり少なめ。
夏場は日差しがとても強くかなりの暑さになるので、帽子や日焼け止め、サングラスなどの暑さ対策も必要でしょう。
ホル・ヴィラップは安全?

ホル・ヴィラップが位置するのは、トルコの国境からたったの2kmほどの場所。
さらに10kmほど先にはアゼルバイジャン領のナヒチュヴァンとの国境もあります。
トルコ/アゼルバイジャンともにアルメニアとは犬猿の仲で、2025年現在でも両国との国境は閉鎖されたまま。
その上、アゼルバイジャンとは散発的に戦闘が起こることもしばしばあります。
とはいえ、ホル・ヴィラップの観光自体には危険はありません。
もちろん、有事の際には想定外のことが起こる可能性もゼロではありませんが、まあトルコとの国境なのでそうした可能性はかなり低め。
2025年現在は、問題なく観光することが可能です。
ホル・ヴィラップ修道院のアクセス・行き方
ホル・ヴィラップ修道院があるのは、首都のエレバンから南に40kmほどの場所。
ほとんどの旅行者にとっては、エレバンからのデイトリップとして訪れるのが定番です。
エレバン~ホル・ヴィラップ間のアクセス方法は以下の3通り。
予算やスケジュールに合わせて、都合の良いものを選びましょう。
①タクシーチャーター
最も簡単&効率的な移動手段が、エレバンでタクシーをチャーターしてしまうこと。
エレバン~ホル・ヴィラップ間の単純往復 + 観光時の待機時間1~2時間ほどで、1台8000~10000AMD(=¥3000~¥4000)ほどが料金相場です。
のぶよ的には、せっかくタクシーをチャーターするなら近郊の見どころもセットでまわるのが効率的だと思います。
・ワインで有名なアレニ(Areni)
・RPGの世界そのままのノラヴァンク修道院(Noravank)
・隠れた自然スポットエンジェルズ・キャニオン
などは、ホル・ヴィラップから1時間もかからずにアクセス可能なので、セットで訪れるにはぴったりです。(もちろんチャーター料金相場は上がってくるので、あとは交渉次第)
②現地ツアー
1日で効率的にホル・ヴィラップと周辺の見どころをまわりたいなら、現地ツアーに参加してしまうのもおすすめ。
アルメニアは小さな国土に見どころがギュッと詰まっているものの、公共交通機関がやや不便なのがネック。
移動を考えなくて良い&リーズナブルな現地ツアーは、一人旅の人にとっても便利です。
③マルシュルートカ

個人で公共交通機関を使って旅したい人におすすめなのが、マルシュルートカ(公共ミニバス)を利用してのアクセス。
本数は限られているものの、エレバンからの日帰りは十分可能です。
マルシュルートカ利用時に注意したいのが、ホル・ヴィラップ終点の便は存在しない点。

ホル・ヴィラップのさらに南にあるノヤケルト(Noyakert / Նոյակերտ)行きの467番か483番のいずれかのマルシュルートカを途中下車/乗車してのアクセスとなります。
エレバン→ホル・ヴィラップへの行き方(往路)
【①中央駅前バスステーション(南バスステーション)へ】

ホル・ヴィラップ行きの467番/483番マルシュルートカが発着するのは、エレバン中心街南部に位置する中央駅前バスステーション(「南バスステーション(South Bus Station)」とも呼ばれる)。
中央駅前バスステーションは、エレバン地下鉄のサスンツィ・ダヴィット駅(Sasuntsi David / Սասունցի Դավիթ)と直結しているので、市内の他エリアからのアクセスも便利です。
中央駅前バスステーションに到着したら、467番か483番のいずれかのマルシュルートカを探しましょう。


出発する時間によって467番か483番のどちらのマルシュルートカか変わりますが、2025年現在の時刻表は以下の通り ▼
便 | エレバン発 | ホル・ヴィラップ入口着 |
467 | 9:00 | 9:50 |
483 | 11:00 | 11:50 |
467 | 14:00 | 14:50 |
483 | 15:30 | 16:20 |
467 | 18:00 | 18:50 |
平日・土日にかかわらず同じスケジュールで、乗客が多くても少なくても時間通りに出発するので安心です。
【②ホル・ヴィラップ入口で下車】

エレバンを出発して50分ほどで、マルシュルートカはホル・ヴィラップ修道院へと道路が分岐するポイントを通ります。
事前に運転手に「ホル・ヴィラップに行きたい!」と言っておけば、間違いなくこの場所で降ろしてくれるはず。
ここから修道院までの1.5kmほどは公共交通機関がないため、徒歩でのアクセスとなります。
【③徒歩でホル・ヴィラップへ】

②の分岐ポイントでマルシュルートカを下車したら、修道院へと続く一本道をひたすら歩くのみ。
1.5km/20分ほどの平坦な道のりです。


アルメニアの地方部は、ヒッチハイクがものすごく簡単。
ただ歩いているだけでも、向こうから停まって乗せてくれる人も多いです(実際にのぶよも帰りは乗せてもらった)。
ホル・ヴィラップ修道院以外は何もない一本道なので、どこか知らない場所に連れ去られるリスクは低め。
旅のスタイルや状況にもよりますが、アルメニアの人々の好意に甘えてみるのも良いと思います。
ホル・ヴィラップ→エレバンへの戻り方(復路)

ホル・ヴィラップ修道院観光を終えてエレバンに戻る際もシンプル。
修道院から1.5km歩いて分岐点へ→ノヤケルト発エレバン行きのマルシュルートカ467番/483番が通るのを待つ…と、つまりは往路と同じ行程を反対にたどるだけです。
2025年現在のホル・ヴィラップ分岐点→エレバン方面の時刻表がこちら ▼
便 | ノヤケルト発 | ホル・ヴィラップ入口発 | エレバン着 |
467 | 7:00 | 7:15 | 8:05 |
467 | 10:00 | 10:15 | 11:05 |
483 | 13:00 | 13:15 | 14:05 |
467 | 15:00 | 15:15 | 16:05 |
483 | 17:00 | 17:15 | 18:05 |
いずれのマルシュルートカ便もノヤケルトを出発して10分~15分後にホル・ヴィラップ分岐ポイントを通過するので、時間に余裕を見て待機するようにしましょう。
おわりに

アルメニアを訪れたなら絶対に見逃せない、ホル・ヴィラップ修道院の観光に必要な情報を完全解説しました。
アルメニアにわざわざ来て、個人で移動&観光してやろう!
という気概のある日本人がいったいどれほどいるのか未知数ですが(笑)、どこかの誰かの役に立ったなら嬉しいです。
アルメニアにはまだまだ知られざる見どころがいっぱい。
日本人にとってはマイナーな国ではありますが、少しでもこの国の魅力を紹介していけたらと思います!
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