こんにちは!アルメニア滞在もすでに3ヶ月!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア観光と言えば、「一に修道院、二に修道院、三、四が無くて、五に修道院」。
小さな国土全体に点在する、歴史ある修道院を訪れるのが旅行のハイライトとなります。
アルメニアの宗教建築はどれも素晴らしいのひとこと。
ですが、修道院ばかり巡っているとどうしても飽きてしまいますよね…。
というわけで、今回は少し趣向を変え、アルメニアが誇る大自然を感じられるスポットを紹介します。
その名も「エンジェルズ・キャニオン(Angel’s canyon) 」▼
まるでSF映画さながらの雰囲気のこの場所は、日本語にするなら「天使の渓谷」。
高さ数メートルの崖の表面には、長い年月をかけて岩が浸食された跡が独特の模様のよう。
幅1mほどの岩と岩の間を歩いていると、まるでその先で天使が待ち受けていそうなミステリアスな雰囲気に圧倒されます。
エンジェルズ・キャニオンが位置するのは、エレバンから南に1時間ほどの場所。
日帰りで十分に観光でき、個人で公共交通手段を利用してのアクセスも簡単な点もおすすめする理由です。
エンジェルズ・キャニオン周辺にはハイキングコースが整備されており、アルメニア地方部のバラエティー豊かな風景が見られる点も◎
旅行者はおろか、地元の人にもほとんど知られていないエンジェルズ・キャニオンは、アルメニア観光の穴場中の穴場!
有名になってしまう前に、ぜひ訪れてほしい場所No.1です。
今回の記事では、エンジェルズ・キャニオンと周辺のハイキングコースを詳細に解説していきます。
エレバンから日帰りでアクセスできるハイキングの中でも、おそらくトップレベルの体験になるはず。
アクティブ派の人に強くおすすめしたいスポットです!
エンジェルズ・キャニオンのハイキングコース情報
青:コース上の見どころ・ポイント
赤線:ダシュタカル村~エンジェルズ・キャニオン区間
緑線:ループトレイル
エンジェルズ・キャニオンに関する情報は、ネット上にはほとんどありません。
地元の人にさえ、英語名の「エンジェルズ・キャニオン」ではまず100%通じません。
アルメニア語名の「フレシュタクネリ・ヅォル(Hreshtakneri dzor / Հրեշտակների ձոր)」でも、通じない可能性が高いです。
知名度がゼロとはいえ、この場所の風景はとても素晴らしいもの。
これから有名スポットの仲間入りを果たす可能性も大きいです。
ぜひとも「誰も知らない穴場スポット」であるうちに、異世界の絶景を体験してしまいましょう!
エンジェルズ・キャニオン ハイキングコース概要
エンジェルズ・キャニオンが位置するのは、エレバンの南にあるアララト地方のダシュタカル(Dashtakar / Դաշտաքար)という村の奥。
ハイキングの起点となるのも、このダシュタカル村です。
エンジェルズ・キャニオンを訪れるハイキングコースには2通りあり、時間や体力に合ったものを選ぶことができます。
【①ダシュタカル~エンジェルズ・キャニオン単純往復】
・所要時間:片道1時間 / 往復2時間
・距離:片道3.3km
・高低差:▲91m ▼91m
・難易度:★☆☆☆☆
【②ダシュタカル~エンジェルズ・キャニオン~ループトレイル~ダシュタカル】
・所要時間:合計4時間
・距離:合計10.9km
・高低差:▲369m ▼369m
・難易度:★★☆☆☆
①/②いずれの場合も、ダシュタカル村~エンジェルズ・キャニオンまでは全く同じ区間となります。
当日の天候や体力と相談して、「とりあえずエンジェルズ・キャニオンまで行ってからループトレイルに挑戦するか決める」というのもアリです。
持ち物・注意点
エンジェルズ・キャニオンをハイキングする際に最も注意するべきなのが、日陰の少なさ。
コース上の山々には草木はほとんど生えていないため、夏場は日差しを避けるのがかなり難しいです。
気温がそこまで高くならない春か秋に歩くのがベストでしょう。
また、コース上には商店や飲食店の類は一切なく(というか、民家すら一軒もない)、飲用可能な水場もありません。
軽食はもちろん、最低でも一人1.5ℓの飲料水は必ず持参するようにしましょう。
ハイキングコース自体は、アップダウンは少なめ&マーキングもされているため、初心者でも簡単に歩けるレベル。(ループトレイルも含めて初心者レベルです)
①エンジェルズ・キャニオンまでの単純往復であればスニーカーでも問題なく歩けます。
その先の②ループトレイルは水が枯れた川底を歩くコースであるため、足場の悪い区間もいくつかありました。
当記事内で紹介しているループトレイルまで全ての区間に挑戦する場合は、トレッキングシューズを装備していくのが良いと思います。
アルメニアのハイキングに必須のアプリ
今回紹介しているコースだけでなく、アルメニア全土のハイキングコースを徹底的にカバーしている“Hike Armenia”というアプリ(無料)は、アルメニアでハイキングをする人にはもはや必需品。
デザインも秀逸ながら、実用性も抜群なのが素晴らしいところです。
・リアルタイムでハイキングルート(&現在位置)が見られる
・高低差や所要時間など詳細な情報を掲載
・オフラインでも位置情報を取得可能(事前のダウンロードが必要)
・すでに歩いた人からのコメントを参考にできる
アルメニアでハイキングをするなら、ぜひともダウンロードしてフル活用しましょう!
エンジェルズ・キャニオンのハイキングコース上の見どころ
今回紹介するハイキングコース上の最大の見どころは、なんと言ってもエンジェルズ・キャニオン。
タクシーでちゃっちゃとアクセスして、異世界感ただよう渓谷を見学するのも良いですが、自分の足で歩いた人だけが感じられる自然の風景も魅力的です。
ここからはエンジェルズ・キャニオンをハイキングする人向けに、コース上の見どころを解説していきます!
ダシュタカル~温泉間コース詳細
・所要時間:片道40分
・距離:片道2.4km
・高低差:▲51m
ダシュタカル村(地図①)から最初の見どころである温泉(地図②)までは、車の通行も可能な未舗装道路を歩いて行くだけ。
高低差はほとんどなく、一本道なので迷う心配もゼロです。
ダシュタカル村に入ってすぐの場所には、上の写真の分岐点があるので、ここを左に曲がってハイキング開始です。
ダシュタカル村を出発してはじめの2kmほどは、単調な風景の砂利道が続きます。
その後、周囲の風景がだんだんゴツゴツとした岩山に変わってきて、渓谷っぽさが出てきます ▼
ゴツゴツした岩に挟まれた道を歩くこと1km弱で、最初の見どころである温泉に到着です!
温泉
ハイキングコースで最初の見どころが、名もなき温泉(地図②)。
未舗装道路沿いを流れる川には鉱泉が湧き出しているようで、人工的に川の流れをせき止めたプールのようになっています。
お湯の温度はかなりぬるめで、体感では30℃もないくらい。
温泉と言うよりも鉱泉のような感じで、口に含んでみるとミネラル分たっぷりの独特の苦みが感じられます。
この日は9月末でしたが、天気が良く気温も高めだったため問題なく入浴可能でした。
温泉の周りには、切り立った岩山が立ちはだかるダイナミックな風景が。
異世界感たっぷりの雰囲気の中での入浴…とても思い出深いものとなりました。
エンジェルズ・キャニオン ハイライト!
今回のハイキングコースのハイライトとなるのがエンジェルズ・キャニオン(地図⑤)。
高さ数メートルの崖に両側を挟まれた通路のような空間が30メートルほど続きます。
規模こそそこまで大きくはないものの、この場所に漂う異世界感は本物。
実際に見て「うわぁ…」と思わず声が漏れたほどです。
エンジェルズ・キャニオンの崖は、まるで板チョコを思わせるような独特な模様が特徴的。
人の手が加えられたように思えるほどに精密な模様ですが、これらはすべて自然の力によるものです。
かつてこの場所には渓流が流れており、水の浸食作用によって長い時間をかけて川底が削られた跡がこの模様の正体。
その後川の水は枯れてしまい、現在のエンジェルズ・キャニオンの姿となったのです。
写真で見るだけでも自然の偉大さに感動しますが、動画で見た方がエンジェルズ・キャニオンの圧倒的な異世界感が伝わるはず ▼
↑エンジェルズ・キャニオン、iPhone5動画でさえ迫力すごいから見て!
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) September 30, 2021
人っ子ひとりいなくて、SF映画の主人公気分だった。
ぜひとものぶよと歩いてる気分でお楽しみください😇(ヒィヒィ言ってるけど) pic.twitter.com/SIrH1F4O8M
かつては川底だった狭い空間を歩いていると、気分はまるでインディージョーンズ!
完全に無名なスポットであるためか、自分以外に誰もいなかった点も◎
異世界にたった一人で迷い込んでしまった感じに、気分が盛り上がるのを感じました。
エンジェルズ・キャニオンから先にはループトレイルという周回型のハイキングコースがあり、さらに先へと足をのばすことも可能。
エンジェルズ・キャニオン観光だけが目的の人は、来た時と同じ道を戻っていけばOKです。
ループトレイルを飛ばす場合は、「エンジェルズ・キャニオンへのアクセス情報」の項へどうぞ ▼
ループトレイル
ダシュタカル村からエンジェルズ・キャニオンまでは片道1時間ほどの超簡単なハイキングでした。(地図赤線)
ここまで歩いて、まだ体力・時間に余裕がある人は、さらに先へと続くループトレイル(地図緑線)に挑戦するのがおすすめです。
その名の通り、エンジェルズ・キャニオンの200mほど手前の分岐点(地図④)からぐるりとまわって同じ場所に戻ってくるコース。
全長5.2km / 2時間ほど見ておけば余裕で歩けてしまうほどの、初心者レベルのハイキングです。
エンジェルズ・キャニオン最奥部にある、こちらの岩場を登った先からが本番 ▼
この岩登りが、おそらくループトレイル最初で最後の難関。
それ以降は、かつてこの場所を流れていた川の跡をずっと歩いて行くだけです。
かつては川底だった場所がハイキングコースとなっているため、大きな岩がゴロゴロと転がっている箇所も多くあったので、足元にはご注意を。
ループトレイルを歩く場合は、トレッキングシューズなどを着用していくのが良いかもしれません。(のぶよは普通にスニーカーで歩いたので、まあやってやれないことはないけど)
ループトレイル前半は、ひたすらにゆるやかな上り坂が続くだけ。
周囲には荒涼とした風景がずっと続き、トレッキング的な醍醐味はやや少ないかもしれません。
かつての川に沿って歩いていくこと、およそ1時間。
ループトレイルで最高地点となる場所にあるのが、展望台(地図⑥)です ▼
この場所にはベンチの一つもなく、「展望台」と呼んで良いのかは正直微妙なところ。
しかしながら、どこまでも広がる荒涼とした風景はとても開放的で、「ここまで歩いて良かった!」と感じるはず。
展望台付近には4WD車が通った轍があり、これに沿って下っていくのがループトレイル後半戦となります ▼
ループトレイル前半の川底に沿ったコースに比べると、後半の風景はとにかく圧巻。
ここが地球上だとは信じられないような、SF映画さながらの光景がずっと続いていくのです。
4WD車の轍をゆるやかに下っていくこと50分ほど。
ループトレイル分岐点(地図④)に到着する数百メートル手前の風景が、のぶよ的に最も印象的でした ▼
まるで月面世界のような大地を一望できるのはもちろんのこと。
天気が味方すれば、遠く西方にアララト山(現在はトルコ領)の雄大な風景が見られることも。
絶景を十分に堪能したら、ループトレイル分岐点(地図④)まで坂を下り、もと来た道を歩いてダシュタカル村(地図①)まで戻ってハイキング終了です!
エンジェルズ・キャニオンへのアクセス情報
エンジェルズ・キャニオンが位置するのは、アララト地方の荒野の中。
エレバンからは50kmほどしか離れておらず、日帰りハイキングするにはぴったりです。
ハイキングのスタート/ゴール地点となるダシュタカル村までの、エレバンからのアクセス方法は以下の2通り。
「エンジェルズ・キャニオンだけをサッと見られればOK!」という人は①タクシーの利用も良いですが、自分の足で歩きたい人は②マルシュルートカの利用一択となります。
(せっかくここまで来たなら、ぜひともハイキングするべき!)
①タクシー
最も簡単&効率的な移動手段が、エレバンでタクシーをチャーターしてしまうこと。
エレバン~エンジェルズ・キャニオン入口間の単純往復 + 観光時の待機時間1時間ほどで、1台15000AMD(=¥3332)ほどが料金相場です。
のぶよ的には、せっかくタクシーをチャーターするなら近郊の見どころもセットでまわるのが効率的だと思います。
・アララト山を望む絶景修道院ホル・ヴィラップ(Khor virap)
・ワインで有名なアレニ(Ateni)
・RPGの世界そのままのノラヴァンク修道院(Noravank)
これらの見どころは、エンジェルズ・キャニオンから1時間もかからずにアクセス可能なので、セットで訪れるにはぴったりです。
(もちろん料金相場は上がってくるので、あとは交渉次第!)
②マルシュルートカ
エレバンから個人でエンジェルズ・キャニオンに日帰りする場合、マルシュルートカを利用するのが便利。
エンジェルズ・キャニオンのハイキングスタート地点となるダシュタカル村への直行便は存在しないため、その2km手前のヴェディ(Vedi / Վեդի)という地方都市へ行き、ヴェディ~ダシュタカル間は徒歩でアクセスすることとなります。
エレバン→ヴェディ間(往路)
ヴェディ行きの460番マルシュルートカが発着するのは、エレバン中心街南部に位置する中央駅前バスステーション。
中央駅前バスステーションは、エレバン地下鉄のサスンツィ・ダヴィット駅(Sasuntsi David / Սասունցի Դավիթ)と直結しているので便利です。
中央駅前バスステーションに到着したら、ヴェディ行きの460番のマルシュルートカを探しましょう。
時間帯にもよりますが、ヴェディ行きはだいたい1時間に1本の発着。
簡単に利用することができます。
ヴェディ~ダシュタカル村間徒歩
マルシュルートカがヴェディに入ったら、中心街では降りずに町の東端にあるバスステーション(地図黄色)まで乗るのがおすすめ。
バスステーションは終点で、この場所がダシュタカル村に最も近いためです。
ヴェディのバスステーションからダシュタカル村までは、平坦な幹線道路を2kmほど歩くだけ。
バスステーション前にはタクシーが数台暇そうに客待ちしていたので、ここからタクシーをチャーターしてしまうのもアリだと思います。
ヴェディ→エレバン間(復路)
エンジェルズ・キャニオンのハイキングを終え、ダシュタカル村からヴェディへと戻ったら、来た時と同じようにエレバン行きの460番バスに乗るだけ。
ヴェディのバスステーションには常に数台のバスが待機しているので、最も近い時間に出るバスをその辺にいる人に尋ね、乗り込めばOKです。
ヴェディ→エレバン方面の最終便は19時発のものだそう。
万が一逃してしまうと大変なので、もう少し早い時間帯のものを利用するのがおすすめです。
(のぶよは17:50発の便を利用しました)
エレバンでの到着地は、行きと同様の中央駅前バスステーションです。
おわりに
日本人旅行者はおろか、外国人旅行者や地元の人の間でもほとんど知られていないエンジェルズ・キャニオンと、周辺のハイキングコースを紹介しました。
実際に訪れて感じたのは「ここは将来、絶対にポピュラーになる!」ということ。
エンジェルズ・キャニオンの異世界感は本物ですし、周辺のハイキングコースは初心者レベルながらも雄大な風景が見られるためです。
エレバンから日帰りで簡単にアクセスできるのも◎
有名観光地の仲間入りを果たす前の「穴場スポット」であるうちに、ぜひとも訪れてみてはいかがでしょうか!
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