こんにちは!ウクライナ南部のオデッサに滞在中の世界半周旅行者・のぶよです。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
正直なところ、そこまで多くの見どころがあるわけではない「黒海の真珠」・オデッサの町。
「階段、劇場、ビーチ。以上!」
といったところ。本当に。
ハイシーズン以外は、お目当ての「黒海ビーチでのんびり」ができないのがネックです。
オデッサで暇を持て余しているのぶよのような旅人は、一度町を出てみるのもいいかもしれません。
今回の記事では、オデッサから日帰りで訪れることが可能なアッケルマン要塞(Аккерманская крепость)に行ってきたのでご紹介します。
アッケルマン要塞とは
オデッサから南西に50kmほどの町、ビルホロド・ドニストロフシキー(Bilhorod-Dnistrovs’kyi)にあるアッケルマン要塞。
町の名前と同様に「ビルホロド・ドニストロフシキー要塞」とも呼ばれます。
13世紀から14世紀の間に造られたこちらの要塞は、古くから商業・交通の要所であった黒海沿岸という立地が災いし、様々な民族による攻撃・侵略を受けてきました。
15世紀前半にはモルダビア公国(現在のルーマニア・モルドバ)の領土となり、要塞内には町が築かれ、その町を守る34の塔が作られました。
最盛期には2万人がこの城塞を中心とした町に住んでいたというのだから驚きです。
14世紀後半には、当時かなりの力を持っていたオスマン帝国の領土となったこの地方。
その支配はロシアとオスマントルコが争った露土戦争が起こる18世紀まで続きます。
ロシア帝国の支配下となった後はソ連領となり、ソ連崩壊時にはウクライナの一地方として独立の道を歩みました。
簡単に沿革をたどるだけでも、様々な国家、民族の手から手へと渡ったアッケルマン要塞。
現在の要塞は廃墟と化しており、昔も今も変わらない黒海の穏やかな波打ち際にひっそりと佇んでいます。
オデッサからの日帰り旅!アッケルマン要塞に行ってみた
要塞の敷地のすぐ外側には、かつてここに存在していた町の遺跡がそのまま放置されています。
入口のチケットオフィスでチケットを購入(80UAH=¥330)し、いざ要塞内へ入場しましょう!
かつて町があった、広大な要塞内広場
要塞の内部は広大な広場のようになっていて、ちょっとしたレストランや子供用の遊具、古い小屋のようなものもあり、なんとものんびりとしています。
観光客の数はゼロ。こんなんでやっていけるのか心配です。
上の写真右側の塔のようなものは、かつてここにあった聖堂の跡だそう。
ここに確かに町が存在していたことを思い出させます。
アッケルマン要塞の一番の魅力は、黒海のすぐそばに建つそのロケーションでしょう。
ちょっと城壁の上にのぼるだけで、その名前とは裏腹に、澄んだ青色に染まる黒海を望むことができます。
かつての要塞の心臓部にある不思議スポット
のんびりした雰囲気の要塞内広場から塔をくぐり抜けると、そこにはもう一つの広場があり、中心にはどっしりとした建物が。
こちらが、アッケルマン要塞の守りの中心であった場所、いわば本陣のようなものです。
その重厚な佇まいからは、数々の侵略や争いを潜り抜けてきた強さを感じずにいられません。
要塞本陣の内部には立ち入ることができます。この廃墟感がたまりません。
本陣にあるこちらの通路を抜けると、そこには不思議な空間が広がっていました。
通路はかつての塔の内部へとつながっており、その天井は空洞となっています。青い空から光が差し込むさまはまさに「天国への塔」。
これと同じような不思議な場所にのぶよは訪れたことがあります。それはポルトガルのシントラにあるレガレイラ宮殿の庭園にある「地獄への井戸」です。
ポルトガルの地獄への井戸に比べると、なんちゃってスポット感が否めないのは事実。
しかし誰も人がいない空間で、かねてからここに存在していた塔に切り取られた空を眺めていると、アッケルマン要塞の歴史を肌で感じられるような気がしてきます。
インフォメーション
アッケルマン要塞 (Аккерманская крепость)
住所:Admirala Ushakova St, 2В, Bilhorod-Dnistrovs’kyi, Odes’ka oblast, 67701
入場料:80UAH (=¥330)
オデッサからアッケルマン要塞への行き方
アッケルマン要塞があるビルホロド・ドニストロフシキー(Bilhorod-Dnistrovs’kyi)の町へのアクセス拠点となる町は、オデッサです。
オデッサの鉄道駅近くにある長距離路線バスターミナルではなく、その近くの公園の一角から360番のバスを利用します。
所要時間1時間半、料金は片道55UAH(=¥225)で、運賃は運転手に直接支払います。
バスはのんびりとウクライナの田舎道を走っていきます。
おすすめの席は車内右側。途中で真っ青に輝く黒海を見ることができますよ!
こちらがビルホロド・ドニストロフシキーのバスターミナル兼鉄道駅。
帰りのバスも同じ場所から出発します。
バスターミナルから黒海沿いのアッケルマン要塞までは徒歩20分ほど。
田舎町らしいのんびりとした町の雰囲気を楽しみながら散策しましょう。
オデッサの宿泊なら、観光に便利な旧市街がおすすめ。飲食店やスーパーマーケットも充実しています。オデッサの鉄道駅/バスターミナル周辺は、夜は真っ暗で治安が少々不安なので避けるべき。
おわりに
黒海を望む絶好のスポットに建つアッケルマン要塞。
海沿いから要塞を眺めることができたらなお素晴らしいのでしょうが、要塞の周りの海辺へ出る道はフェンスで閉鎖されておりアクセスできなかったのが残念。
全く観光地化されておらず、ウクライナの他の場所同様に全く英語が通じないのでなかなか難易度が高いかもしれませんが、オデッサで時間があるなら気分転換に訪れてみるのもいいかもしれません。
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