こんにちは!ジョージア東部カヘティ地方にのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアという国を語る上で切っても切れないのが、世界最古の歴史を誇るワイン文化。
実際にジョージアを旅すればすぐに分かるのですが、この国の人たちにとってワインとは、血であり水でもある必要不可欠なものです。

名物のワイナリーをいくつか周るワイナリーツアーは「ジョージア旅行のマスト体験」とされており、トビリシから日帰りでいくつかのワイナリー見学をする旅行者も多いはず。
ワイナリー見学自体は年間を通していつでも可能ですが、ジョージアには一年のうちで数週間だけしか体験できない幻のワインアクティビティーが存在します。
それが、毎年秋に行われるルトヴェリ(Rtveli/რთველი)です。

ルトヴェリをひとことで表すなら、「ぶどうの収穫とワイン作り」のこと。
世界に誇るジョージアワインの要となるぶどうを一つ一つ手作業で収穫し、丁寧に果汁を搾って発酵させるプロセスの総称が「ルトヴェリ」となります。
遥か昔から現在に至るまで受け継がれてきたルトヴェリは、ジョージアの歴史や伝統が詰まった瞬間の連続。
ジョージア人のアイデンティティーを構成するワインができるまでを生で追うのは、私たち旅行者にとっても大変貴重な体験となります。


昨今では日本でのジョージアワインの知名度が少しずつ上がってきていることもあり、ワイナリー見学に訪れる日本人旅行者は徐々に増えています。
しかし、そのワイン文化の根幹を成すルトヴェリに参加したという旅行者の声はそれほど多くありません。
その最大の理由は、天候やエリアなどによって毎年時期が変動するルトヴェリならではの不確定要素の大きさ。
個人で参加するための情報もほとんどなく、「〇月〇日に行われる」といったスケジュールもないため、短い日程でのジョージア旅行に組み込むのはやや難しいという点は否めません。
しかし…!こういうときこそ、当ブログの本領発揮。
すでに3回ルトヴェリに参加したことがある「ルトヴェリ教祖」であるのぶよが、自分の体験をベースにしながら、個人でルトヴェリに参加するためのアレコレをどどんと解説していこうではありませんか!

というわけで今回の記事は、ジョージアに秋に訪問するなら絶対に見逃せないルトヴェリ体験に関する情報を解説するもの。
最大のネックであるぶどう収穫の時期やエリアの予想から、ルトヴェリ当日の流れ、どうやって参加すれば良いのかなど、ジョージアのワイン文化をどっぷりと味わいたい人向けの内容となっています。
こんな感じで、ジョージアのぶどう収穫に参加してみたい人にはもちろん、収穫~ワインができるまでのプロセスを知りたい人にもきっと役に立つはず。
一年のうち限られた時期だけ体験できるジョージアのワイン文化の真髄を、余すところなく満喫しましょう!
ジョージアのルトヴェリとは?基本情報

そもそも、日本人にとって「ジョージアでのぶどう収穫&ワイン作り体験」と言われてもあまりピンと来ないもの。
ぶどうの時期である秋に行われることくらいはイメージが湧くでしょうが、それ以外の詳細に関する情報は少なく、いつ、どこで、どのようにして体験できるのかは謎に包まれているのが現状かもしれません。
まずは、ジョージアのルトヴェリに参加する際に理解しておきたい基本的な知識をざっくりと解説していきます。
ルトヴェリとワイナリー見学の違い

ジョージアにやって来る日本人旅行者の多くが勘違いしているのですが、ルトヴェリとワイナリー見学は完全なる別物の体験です。
ルトヴェリは、「ぶどうを収穫して果汁を搾ってワインを作る」というイベント。
対するワイナリー見学は、「すでに完成したワインの試飲やワイン作りの施設を見学する」ためのイベントです。
そのため、ワイナリー見学は一年中いつでも可能。
一方のルトヴェリは、ジョージア各地でぶどうの収穫がされる秋の時期にしか体験できません。

そんなわけで、「秋の収穫期にワイナリー見学ツアーに参加すれば、ついでにルトヴェリの体験もできるかも?」という可能性はゼロ。
ワイナリー見学ツアーはあくまでもワイナリーの施設見学&試飲ができるだけのもので、ルトヴェリ体験をしたい場合はルトヴェリ体験専用のツアーに参加する(or個人でワイナリーに飛び込みする)必要があります。
ルトヴェリの時期とエリア

すでに触れた通り、ジョージアのルトヴェリは秋のぶどう収穫期のみに体験できる季節限定のイベント。
ジョージアは地域によって気候が大きく異なるため、エリアによってぶどう収穫の時期は大きく変化し、早い地域で9月半ば/遅い地域で11月前半と開きがあります。
旅行者にとって最大のハードルとなるのが、「〇月〇日からルトヴェリ」と日付が決まっているわけではなく、その年の気候やぶどうの生育状態によってルトヴェリの時期が大きく変わる点。
こればかりはその年になってみないと分からないのですが、いちおうエリアごとにルトヴェリが行われる時期の目安のようなものはあります。▼

このように、ジョージアのルトヴェリは東から始まり西で終わるのが普通。
最も収穫時期が早い東部のカヘティ地方では9月、温暖湿潤な西部グリア地方などでは11月がシーズンとなります。
マップ内に記載した各地域のルトヴェリ期間の目安(例:カヘティ地方9月3週~10月1週)は、その間ずっとルトヴェリが行われるという意味ではなく、「この期間のうちのどこか数日間でルトヴェリが行われる」というものなのでお間違えないよう。
同じ地域内でもぶどうの品種や各農家の判断によって、ルトヴェリの日付は変化します。
ルトヴェリ時期の予想

このようにある程度の目安はあるものの、なかなか確定した日程を紹介しにくいルトヴェリ。
しかしルトヴェリが行われる正確な日付に関してはいくつかの手がかりがあり、ある程度見当を付けることはできます。
・絶対に晴れた日に行われる(雨の日には延期)
・数日間雨が降った後に晴れ予報が数日続くとき(ぶどうの糖度が最高になるため)
・週末(人手を集めやすいため)
つまり、先の項で紹介した各エリアのルトヴェリ期間のうち、晴れ予報が数日間続く週末が狙い目ということです。
ルトヴェリが何日間に渡って行われるかはぶどう畑の規模や当日の天候にもよりますが、ほとんどの場合は丸一日か二日間。
ぶどう畑の規模が大きく収穫に時間がかかる場合でも、三日ほどですべてのぶどうを収穫します。
ルトヴェリ参加の報酬

ジョージアの伝統的なルトヴェリは、近所の住民同士の助け合いによって成り立ってきたもの。
ぶどうの収穫は機械ではできず、人の手で一つ一つ摘む必要があり、さらに短い期間で大量に収穫する必要があるため、人手が必要不可欠なのです。
大規模商業ワイナリーでは、その年のルトヴェリの日付が決まると近隣の村から住民を集めて大規模な収穫を行い、一日の終わりに報酬として現金を渡す場合も。
小規模ワイナリーや家族経営のぶどう園ではお金は絡まず、「今日はうちの畑で収穫を手伝ってもらったから、明日は○○さん家の畑の収穫を手伝いに行く」といった感じの相互補助で回っています。
私たち外国人旅行者がルトヴェリに参加する場合、多くは後者のような小規模ワイナリーのお手伝い。
そのため金銭の授受が発生することはあまりなく、あくまでも「お手伝い」と考えておくのが良いでしょう。
報酬はもらえないにせよ、お礼として食事に招待されたり、ワインを大量にもらえたり、ゲストハウスの場合は無料で泊めてもらえたりする場合も。
こればかりはそのワイナリー/ゲストハウスの人の人柄によりけりなので「絶対に食事を出してもらえる」とは言えないので、あまり期待しすぎるのもどうかなと思います。
ルトヴェリ参加時の注意点
ルトヴェリに参加する際には、特別な持ち物などは必要ありません。
はさみやバケツなど収穫に必要な道具は全て現地で用意されていますが、軍手などが必要な場合は持参するようにしましょう。
また、ルトヴェリは想像以上の力仕事であり、ツアーで数時間体験するだけでもかなり疲れるもの。
ぶどうの果汁で洋服はどろどろになるので、汚れても良い服や着替えを持参するのがベストです。
ぶどう収穫からワインができるまで!ルトヴェリの流れ

ルトヴェリがどんな感じなのかなんとなく分かったところで、次は実際に参加するとき。
ルトヴェリの参加方法にはいくつかのパターンがあり、どのくらいの時間収穫体験ができるか/食事は付くのか…など細かい点は異なってきますが、基本的な流れはどこも以下の通りです。
①ぶどう収穫

まずは何といってもぶどうの収穫から。
特に収穫の方法やコツを教えてもらえるわけではなく、バケツとはさみを渡されて広大なぶどう畑に放り出されるのが定番です(さすがジョージアといった大雑把さ)。


たわわに実ったぶどうの枝をちょんと切り、手のひらにずっしりとした重みを感じる瞬間はとても感動的。
しかし、最初の数分は新鮮な体験を楽しめますが、徐々にルーティーンに疲れてくるはずなので、そのあたりは覚悟しておきましょう。
ぶどう収穫体験がどれくらいの時間できるかは、畑の規模や参加手段によりけり。
ツアーの場合は20分~30分ほどちゃっちゃとうわべだけ体験するのが定番ですが、個人の場合は「疲れたからもうやめたい…」とは言えないような雰囲気があります(笑)

収穫した数百kgに及ぶ大量のぶどうは、まさに圧巻の光景。
多くの場合、ぶどう畑と「マラニ」と呼ばれるワイン作り用のスペースは離れた場所に位置しているので、車などに乗せてもらって移動します。
②ぶどうを搾る

ぶどう畑からマラニへと移動したら、さっそく収穫したてのぶどうを搾るステップ。
ワイン作りにはぶどうの鮮度がとても大切なので、どこのワイナリーでも時間を置くことなく収穫当日に果汁を搾るのが鉄則です。
ぶどうを搾る方法は、ワイナリーによって大きく分けて二通りあります。

▲一度に大量のぶどうを搾る大規模ワイナリーでは、専用の巨大圧搾器がある場合もあれば、伝統に則って巨大な浴槽のようなスペースにぶどうを入れて足で踏みつけて搾る場合も。
ルトヴェリツアー参加の場合はこの「足で踏んでぶどうを搾る伝統体験」をウリにしたものも多く、観光客にも人気となっています。
いっぽうで、小規模ワイナリーや各家庭にはモダンな巨大圧搾器や足踏みスペースがないため、ぶどう専用の小さな圧搾器を用いて果汁を搾ります。▼


各家庭の圧搾器は、ソ連時代からずっと使用されてきた年季の入ったもの。
収穫したぶどうの量にもよりますが、一度に大量に搾ることができないため、この作業は夜通し行われることも珍しくありません。


足で踏んで果汁を搾る場合と、圧搾器で搾る場合で、特にできあがるワインの味や質に変化は出ないそう。
ぶどうの種を粉砕することなく果汁を搾ることが最も大切なのだそうで、だからこそ人間の足や、種が砕かれないくらいの絶妙な隙間がある圧搾器が用いられるというわけです。

ぶどうの果汁を搾り終えたら、ひとまずルトヴェリ自体の体験はここまで。
日帰りツアーの場合はこのまま⑤スプラor食事のステップに移るのが定番ですが、個人の場合は果汁を熟成させるステップなどを見学することも可能です。
③熟成

続いては、搾った果汁を熟成させるステップ。
ジョージア伝統のワイン製法のワイナリーであれば「クヴェヴリ」と呼ばれる巨大な素焼きの壺に果汁を入れて地中で熟成させますが、クヴェヴリ設備がない多くの家庭ではプラスチックの樽にぶどう果汁を皮ごと投入して熟成させます。
熟成させる期間は、ぶどうの品種やワイナリーによりけり。
収穫して搾ったぶどうがワインの状態になるまで、早くても10日~2週間はかかります。
この熟成期間はただ放っておけば良いというものではなく、定期的にクヴェヴリ(やプラスチック容器)をかき混ぜて空気を行き渡らせる必要があるそう。
特に収穫から数日間は数時間に一回の頻度でかき混ぜなければならず、かなりの力仕事&手間となります。

この熟成期間にのみ味わえるのが、「マチャリ」と呼ばれる赤ちゃんワイン。
ぶどう果汁ではなくワインでもないという発酵途中の状態を指し、微炭酸微アルコールの独特の風味が特徴的です。


マチャリは常に同じ味というわけではなく、発酵の度合いによって味わいが大きく変化するもの。
搾りたて~数日間のものはぶどうの甘さがふんだんに感じられ、発酵から1週間ほど経ったものは酸味や渋みが前面に出た大人の味わいとなります。
マチャリは市販されることはまずなく、ルトヴェリの時期にワインが作られる家庭やワイナリーに長期間滞在した人のみが味わえる「幻の赤ちゃんワイン」。
自分が収穫したぶどうが日を追うごとに少しずつ味を変化させていく過程を舌で味わえるのは、これ以上なく貴重な体験となるでしょう。
④チャチャ&チュルチュヘラ作り

ジョージアでは、ワイン作りに平行して副産物となる飲み物や食べ物も生産されます。
その代表格がチャチャ。
ワインが完成した後に、本来は廃棄物となるぶどうの皮や種などを利用して蒸留されるアルコールのことです。
ワイン用の果汁を搾る際はぶどうの種を粉砕しないようにしますが、チャチャ作りではこの種こそがポイント。
ワイン用の圧搾器とは別の機材を用いて、ぶどうの皮と種を極限まで搾り、二回に分けて蒸留ステップを経ることでチャチャが完成します。


チャチャのアルコール度数は、40℃~60℃とかなり強め。
味やクオリティーは本当にばらばらですが、美味しいチャチャはぶどうらしい味わいがほのかに感じられ、とても芳醇で風味豊かです(しかし不味いチャチャはとことん不味い)。
ジョージア、特に地方部では外国人を見かけると自家製チャチャを飲ませたがるおじさんたちがうようよ蔓延っているので、旅行者でも飲ませてもらう機会が多いでしょう。

また、ルトヴェリの際に生産されるのは飲み物だけではありません。
ジョージアの国民的スイーツ「チュルチュヘラ」も平行して作られることが多く、ルトヴェリツアーでもチュルチュヘラ作り体験がセットになったものもあります。

チュルチュヘラは、ぶどう(や、その他フルーツの果汁)に小麦粉を混ぜて煮込んだ液体に、たこ糸にナッツ類を通したものを浸して天日干しにしたもの。
ジョージア全国どこの市場でも売られる定番のスイーツで、旅行していると何度も見かけることになるでしょう。
チュルチュヘラの天日干しステップは一回のみではなく、乾いたらまた果汁につけて天日干しして…が数回繰り返されるもの。
完成には数日間を要し、意外にも手間暇かがかかっています。

チュルチュヘラはジョージアのどこでも市販されており、安く購入することができますが、できたての新鮮なものは感動の美味しさ。
果汁が完全に乾ききっていない「むにっ」とした質感と、フレッシュなぶどうの風味が革命的です。
また、家庭によっては、チュルチュヘラ以外にもぶどう果汁を用いるスイーツが作られる場合も。
代表的なのが、タタラとペラムシです。▼


タタラは、主にジョージア東部のカヘティ地方で作られるスイーツ。
ぶどうの果汁に小麦粉を混ぜて固めるまではチュルチュヘラと同じですが、それをお湯で茹でてから冷やすというのが特徴的です。
ペラムシは、ジョージア西部のラチャ地方やレチュフミ地方の定番。
タタラに比べて小麦粉の量が少なく、茹でるのではなく蒸して作られる点が異なります。
東のタタラも、西のペラムシも、まるで羊羮を思わせるねっとりした食感と、ぶどう本来の甘味が口内でぶわあんと広がる絶品。
完全なる家庭料理という位置付けでレストランではまず食べられないのですが、ルトヴェリの時期に各地のゲストハウスで食事を注文すると出してくれることも多いです。
⑤スプラor食事

ルトヴェリで存分に働いた後は、お楽しみの腹ごしらえタイム。
ジョージアではルトヴェリに参加してくれた人たちにはお礼として食事を振る舞うのが伝統であり、現在でもその文化は強く残っています。
ツアー参加の場合はワイナリー敷地内での食事がセットになっていることがほとんど。
個人でルトヴェリに参加した場合は、食事を無料で出してもらえるかはそのワイナリー/宿の人によります。

こうした豪華な食事を囲む宴会はジョージアでは「スプラ」と呼ばれ、とても大切にされている文化。
大皿にどーんと盛られた料理の数々と飲みきれないほどの大量のワインで、ルトヴェリの疲れが労われます。

こんな感じで、ぶどうの収穫から始まったルトヴェリ体験は終了。
スプラではとにかく大量に飲むことになるので、心しておきましょう(笑)
⑥ワイン完成(約2週間後)

収穫したぶどうの発酵が完了してワインとなるのは、およそ2週間後のこと。
ほとんどの旅行者は、2週間も同じ場所に滞在しながら自分が収穫したぶどうがワインになるまでを観察するなんてできないでしょうが、のぶよは暇なのでそれができました(笑)
この出来立てのワインはお世辞にも美味しいものではなく、一応「ワイン」という定義はクリアしているという状態。
ここからさらに時間をかけて熟成させることで、ジョージアが誇る絶品ワインへと変化していくのです。
とはいえ、自分が収穫したぶどうがちゃんとワインになるプロセスを体験できるのはとても貴重なこと。
子を見守る親のような気持ちで飲んだワインは、お高級銘柄ワインやヴィンテージワインとは比べ物にならない特別な味わいでした(そう、ワインとは舌でなく心で味わうもの…!)。
ルトヴェリの参加方法
ここまで読んだ人は、「ジョージアが誇るワイン文化をぜひぜひ体験してみたい…!」とうずうずしているのでは。
のぶよは数回ルトヴェリに参加したことがありますが、これ以上にジョージアのワイン文化を五感で感じられる機会もなかなかないですし、秋にジョージアを旅するならぜひ参加してみてほしいです。
というわけでここからは、どうやったらルトヴェリに参加できるのかという点について。
ルトヴェリの時期やエリアなど基本的なことは踏まえた上で、ルトヴェリ参加方法に絞って解説していきます。
①日帰りツアー参加

最も簡単&効率的なのは、ルトヴェリ体験をウリにする日帰りツアーに参加すること。
ツアーの拠点となるのはトビリシがメインで、訪問先はカヘティ地方の大規模~中規模ワイナリー所有のぶどう畑が多いです。
ツアーとは言っても、大型バスを貸し切るようなスタイルは稀。
基本はマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)をチャーターして移動するスタイルのもので、少人数グループツアーとなる場合が多いです。
現地ツアーでのルトヴェリ体験メリット&デメリット
日帰りツアーでのルトヴェリ参加は、とにかくメリットだらけ。
ルトヴェリ最大のネックである「いつどこで開催されるか分からない」という点を、全てツアー会社側に丸投げした状態で参加できるのがとても大きいです。
また、ぶどう収穫+チュルチュヘラ作りだったり、ぶどう収穫+ワイン試飲+ランチだったりと、ツアーの内容があらかじめ決まっているため、自分がしたい体験が確実にできるのもツアーの良さ。
個人だと、ぶどう収穫以外に何が体験できるかは訪問先によってばらばらで運の要素が強いので、余すところなく定番の体験がしたい人はツアー一択だと思います。
・ルトヴェリ会場までの移動手段を考えなくて良い
・ルトヴェリの日付などを自分で確認しなくて良い
・現地での追加料金などがないので安心
・伝統的なクヴェヴリ製法のワイナリーが見学できる
・一人旅でも気軽に参加できる
・したい体験が確実にできる
・高い
・どうしても観光客向けのうわべだけの体験になってしまう
・大規模商業ワイナリーにしか行けないことが多い
・食事の手抜き率高め
しかしながら、便利で効率的なツアーというのは値が張るもの。
本来地元の人たちはお金をもらって「参加してあげる」ルトヴェリですが、観光客は逆にお金を払って「参加させてもらう」という謎の資本主義が発揮されています(しかもルトヴェリツアーは一人$200~とかなり高額)。
また、ルトヴェリツアーは基本的にグループでどっと押し寄せて、短い時間でうわべだけを体験するタイプの「THE・観光」といった感じになりがち。
ワイナリー側も流れ作業のように対応しますし、ルトヴェリ後の食事も大量調理された質の微妙なものが出される場合もあります。
なんといっても、ツアーでのルトヴェリは「観光客がちょっと文化に触れるためのもの」といった感じ。
本来のルトヴェリが持つピュアさやアットホーム感は、ツアーでは味わえない可能性が大きいです。
おすすめ日帰りルトヴェリツアー会社
トビリシ拠点でルトヴェリツアーに参加する場合、最も定評なのはEat This! Tourという会社。
ジョージアのワインや食に関するグルメツアーやエコツーリズムを強みにしている会社で、年にもよりますが9月~11月の比較的長期間にわたってルトヴェリ体験ツアーを企画&開催しています。
ルトヴェリ体験ツアーの料金は、最安でランチ付き一人410GEL(=¥20500)~とかなり高額ではありますが、確実にぶどうの収穫ができ、行きと帰りの交通も込みなので、確実性と効率を重視する場合には良いでしょう。
Eat This! Tourの公式サイトではルトヴェリ体験以外にも、一般的なワイナリー見学ツアーやグルメツアーのオファーもたくさん。
ネット上で空席確認や予約ができる便利さも含めて、安心して利用できる会社だと思います。
②小規模ワイナリーを個人で訪問

ルトヴェリは、ツアーではなく個人で各ワイナリーを訪問して体験することも可能です。
その場合、大規模ワイナリーよりも家族経営の小規模ワイナリーの方が狙い目。
向こうも猫の手も借りたいほどの忙しさなので、大手を広げて参加を歓迎してくれます。
小規模ワイナリー個人訪問でのルトヴェリ体験メリット&デメリット
個人で各ワイナリーのルトヴェリに参加する最大のメリットは、基本的に参加費がかからないこと。
ワイナリーによっては15GEL~20GEL(=¥750~¥1000)ほどのルトヴェリ参加費を取る場合もありますが、ルトヴェリツアーの高額な費用に比べれば微々たるものです。
・本来のルトヴェリが味わえる
・じっくりとワイナリー見学が可能
・好みの雰囲気の小規模ワイナリーを訪問できる
・参加費は無料/もしくは少額の参加費のみ
・移動手段は自分でどうにかしなければならない
・ルトヴェリの日付の予想が難しい
・あらかじめコンタクトを取ったり等面倒
・言葉ができないときつい
・クヴェヴリ製法ではないワイナリーも多い
・一人旅だとやっぱりちょっと居心地が悪いかも
デメリットとしては、やはりルトヴェリ独自の事情である日付の予想の難しさが最大のネック。
事前にぶどうの様子を尋ねたり、いつ収穫がされるのか/参加させてもらえるか…などを自分で確認しなければいけない点もハードルが高いかもしれません。
個人でのルトヴェリ体験を受け入れているワイナリー
個人でワイナリーを訪問してルトヴェリに参加する場合、基本的にはどこのワイナリーでもOK。
しかし初心者にとっては、あまりローカルすぎるワイナリーよりも、ある程度旅行者を受け入れた経験があるようなワイナリーの方が安心です。
のぶよが知る限り、個人旅行者も簡単にルトヴェリに参加できるワイナリーは以下の通り。▼
・Temi Community(カヘティ地方グレミ村)
・Ibero Winery(カヘティ地方アスラ村)
・Numisi Winery(カヘティ地方ヴェリスツィヘ村)
・Shumi Winery(カヘティ地方ツィナンダリ村)
各エリアのルトヴェリ時期直前にこれらのワイナリーに直接コンタクトをとり、ルトヴェリの正確な日付や詳細をあらかじめ確認したのち、当日個人で訪問すればOK。
上で挙げたワイナリー以外にも、小規模ワイナリーは星の数ほどあるので、好みのエリア&雰囲気が良さそうなところを自分で探してみるのもありです。
③ワイナリー併設ゲストハウスに宿泊

ルトヴェリに参加する方法のもう一つは、ワイナリーを備えたゲストハウスに宿泊すること。
「ワイナリー併設の宿」と言うと、なんともモダンで広大なお洒落ブティックホテルのような宿(キラキラジョージアノマドみたいな人たちが団体で訪問して笑顔で #ジョージア最高 的な投稿をしているような、あれ)を想像してしまい虫酸が走りますが、実際はそうした宿は少数派。
ジョージア地方部では一般の民家の敷地内に小さなワイナリーを備えたゲストハウスタイプの宿が多く点在しており、宿泊しながらワイン文化を存分に感じることができるのです。
ゲストハウスでのルトヴェリ体験メリット&デメリット

ゲストハウスでルトヴェリに参加する場合の最大のメリットは、「観光客にお見せする用」ではない生のワイン作りに触れられること。
またゲストハウスという性質上、一度チェックインした後は自分で移動したりする必要はなく、午前中はのんびり過ごして午後はワイン造りを見学して…と、気の向くままにワイン文化にひたれるのも嬉しいです。
また、完全無料でぶどう収穫~ワイン作りまでを全て体験できるのは嬉しい点。
長期間滞在することで、自分が収穫したぶどうがワインになっていく様子を追うことができるのも、ゲストハウスならではの素敵な体験となるはずです。
・完全無料
・ルトヴェリ本来のアットホーム感が存分に感じられる
・ワインは基本的に飲み放題
・数日間滞在しながら発酵プロセスを追える
・自分のペースでワイン文化にひたれる
・宿までの移動手段は自分でどうにかしなければならない
・ルトヴェリの日付の予想が難しい
・宿の質や食事の質がばらばら
・クヴェヴリ製法ではない宿がほとんど
・したい体験が必ずできるわけではない
・宿の人と相性が合わないと楽しめない
デメリットは個人で小規模ワイナリーを訪問する場合と似ており、とにかく全て自分で予約&手配しなければならない面倒さ。
また、チュルチュヘラ作りやチャチャ作りなどを行う家庭とそうでない家庭があるため、こうしたオプション的な体験が確実にできるかどうかは微妙なところです。
加えて、ジョージアのゲストハウスというのは、設備よりも何よりもオーナー家族の人柄が全て。
オーナー家族が良い感じの宿ならルトヴェリを含めて素晴らしい体験となるでしょうが、そうではない場合はなんとも微妙な居心地の中で数日間過ごす修行となることもあり得ます。
この辺りは宿泊予約サイトのコメントなどを見ても分からない(欧米人が絶賛している宿でも実際にアジア人が一人で訪問したら微妙な対応だったり…はジョージアあるある)ので、運の要素が強い点は否めません。
ルトヴェリ体験ができるゲストハウス
「ルトヴェリ体験ができるゲストハウス=自宅の庭や近隣にぶどう畑を所有している」ということ。
宿泊予約サイトで「○○ Wine Guesthouse」などの名前で掲載されているところはまずワイナリーを持っていますし、各宿の写真でぶどう畑やワイナリーの様子が掲載されていればほぼ確実です。
のぶよ個人的な経験で、時期さえ合えばルトヴェリ体験ができる宿は以下の通り。
いずれも敷地内や近郊にぶどう畑を有しており、敷地内で自家製ワインを細々と作っている民家兼ゲストハウスのような宿です。▼
・Guesthouse Gzirishvili(カヘティ地方グレミ村)【クヴェヴリ有】
・Guesthouse Ekaterina(カヘティ地方テラヴィ)【クヴェヴリ有】
・Guesthouse Chelo(ラチャ地方)
・Lailashi Guesthouse(レチュフミ地方ライラシ村)
どの宿においてもオーナー家族の感じは悪くないのですが、特におすすめなのがテラヴィのGuesthouse Ekaterina。
家族がみんな抜群に優しくてとにかく居心地が良い上に、立派なクヴェヴリ部屋も備えており、朝から晩までワインづくしの滞在ができます(ただし食事はつかない)。
西部なら、クヴェヴリは有しておらずアクセスは不便なものの、ライラシ村のLailashi Guesthouseも素敵。
特に宿の旦那さんがとても気が良い人で、食事も素朴ながら美味しい郷土料理を出してくれるので、ジョージアのゲストハウス初心者にもおすすめです!
おわりに
ジョージアのワイン文化を五感で体感できるルトヴェリについてのアレコレを解説しました。
おそらく、実際にルトヴェリを個人で体験した人による日本語の記事というものは他に存在しないので、のぶよと同様のローカルなルトヴェリ体験がしてみたい人にはきっと役に立つはずです。
9月から11月の秋の時期にジョージアを訪れるなら、絶対にはずせないルトヴェリ体験。
この国が8000年もの長い間守り抜いてきた世界最古のワイン作り文化を味わうのは、普通の観光地めぐりとはまた違うジョージア旅行のハイライトとなること間違いありません!
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