こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア第三の都市・ヴァナゾル(Vanadzor / Վանաձոր)。
ロリ地方の中心都市として栄える、人口10万人余りの地方都市を訪れる旅行者は、それほど多くはありません。(というか、ほぼいません。)
ヴァナゾルの町自体には目立った観光スポットは少なめで、「限られた日程で有名スポットをまわりたい!」という人にとってはあまり魅力的な観光地に映らないのが、旅行者にスキップされてしまう最大の理由。
しかし、ヴァナゾルにはヴァナゾルの良いところがあります!
それが、街全体を包み込むようなレトロな雰囲気。
ヴァナゾルには30年以上前のソ連時代の雰囲気が良い意味で色濃く残っており、日本人的な視点で見ると「昭和」の古き良き感じがするかも。(昭和を知らないのであくまでもイメージだけど)
アルメニアは30年ほど前までソ連の支配下にあった国。
国全体にソ連的な雰囲気が漂っていますが、もしかしたらヴァナゾルのソ連感はアルメニアで一番かもしれません。
ソ連時代のヴァナゾルは「キロヴァカン(Kirovakan)」と呼ばれており、コーカサス地域の工業の中心として栄えた町。
当時の町の繁栄はすごかったそうで、現在でも独立後につけられた「ヴァナゾル」ではなく「キロヴァカン」と呼ぶ人も多いです。
町の入口となる中心街西側一帯には当時のとてつもない規模の工場が残っており、はじめて訪れた旅行者はきっと驚くはず。
古い(ボロボロの)建物も多く、「時代に取り残された町」と感じる人もいるかもしれません。
ヴァナゾルにここまでソ連時代の雰囲気が残っている理由の一つが、1988年のスピタク大地震の被害が少なかったことです。
ギュムリなどアルメニア北部の町のほとんどが壊滅的な被害を受けた中で、どういうわけか震源に近いヴァナゾルは被害が軽かったそう。
そのため、大地震以前のソ連時代黄金期(?)からの建物が多く残されているというわけです。
今回の記事は、ヴァナゾルの観光情報を解説するもの。
レトロな雰囲気を感じながらの散策も、近郊に点在する豊富な見どころへ足をのばす拠点としても、ヴァナゾルは意外とポテンシャルが高い町。
アルメニア地方部旅行の際にはぜひ立ち寄ってみてほしいです!
ヴァナゾル市内の見どころ10選
はじめに言ってしまいますが、ヴァナゾルには「ここは必見!」といった見どころはありません。
昭和レトロ感(ソ連感)あふれる街の雰囲気を感じながら散策することが、最大のアクティビティーとなります。
ヴァナゾルはアルメニア北部の交通の要所という一面もあり、都市間移動の際に経由することが多い町。
中心街だけなら、バスを乗り換える数時間でもサクッと散策できてしまう規模なので、都市間移動のついでにちょっと観光していくのも効率的だと思います。
ここでは、ヴァナゾル中心街の見どころ10か所を紹介していきます!
ヴァナゾル観光マップ
黄色:バスステーション/鉄道駅
赤:おすすめレストラン
紫:ホステル
①聖母教会
ヴァナゾル観光のハイライト的存在が、中心街北側にある聖母教会(Holy Mother of God Church / Սուրբ Աստվածածին)【マップ①】
1828年の建造と、数百年前の教会がゴロゴロと点在しているアルメニアにおいては歴史が浅め。
とはいえ、オレンジと黒のトゥファ(石)が組み合わされた外観は独特で、訪れる人を圧倒します。
聖母教会の内部は、シンプルな造りながらも厳かな雰囲気が感じられるもの。
黒を基調とした柱と、白を基調とした天井部分のコントラストが絵になります ▼
聖母教会の敷地内には、小高い丘の上にひらけた墓地があり、古いハチュカル(石の十字架)や墓石が多く残されています ▼
聖母教会の周りには大きな建物がないため、見晴らしは抜群。
この時は11月半ばで、雪をかぶったヴァナゾルの周囲の山々がとても美しく、間もなく訪れる冬の匂いを感じる風景が広がっていました。
②ヴァナゾル温泉水
聖母教会からタンジュット川(Tandzut)沿いにのびる小道を800mほど南に歩いたところには、何やら水が湧き出ている広場のようなものがあります。
この水はただの水ではなく、「テトゥフ・ジュル(Tetuh Djour)」と呼ばれる鉱泉【マップ②】
微炭酸でミネラル成分を多く含んでいて、「万病に効く水」として地元の人に愛されています。
(アルメニアにはこうした「万病に効く」系の水がやたらと湧いているので、その真偽は不明ですが…)
ソ連時代には一大工業都市であったヴァナゾルですが、実は温泉リゾート地としての一面もあったそう。
ソ連崩壊とともに多くのリゾートホテルが廃業となり、現在ではその名残はあまり感じられませんが、中心街南部にはサナトリウムや大型ホテルの跡がいくつか残っています。
③聖グリゴール・ナレカツィ教会
ヴァナゾル最大規模の聖グリゴール・ナレカツィ教会(Surb Grigor Narekatsi Church)は、アルメニア独立後の1990年代の建造。【マップ③】
灰色の石で統一された外壁が美しい聖堂は、1700年前にアルメニアでキリスト教を布教した啓蒙者グレゴリウスの名を冠しています。
歴史が長くないため、外観も内部の造りや装飾は洗練されていて小綺麗な感じ。
ヴァナゾル市民の現役の信仰の場として機能しており、多くの人が出入りしている姿が印象的でした。
④メフラブの家
聖グレゴール・ナカレツィ教会のすぐ南側に建ち並ぶのが、メフラブの家(Mehrab’s House)【マップ④】
メフラブ(Mehrab Mirzakhanyan)とは、20世紀にヴァナゾル周辺で活躍した石細工職人のこと。
アルメニアのキリスト教文化の象徴であるハチュカル(石の十字架)や、プルプラク(噴水)などを多くデザインしたことで知られ、その緻密で秀逸な作品の数々から「伝説の石細工職人」と称されているのだとか。
▲ その伝説の職人が住んでいた家が、このオレンジ色の石造りの民家。
現在は彼の孫にあたる人が住んでおり、数本の柱やレリーフに彩られた立派な装飾はすべてメフラブの作品だそうです。
伝説の石細工職人がこの世を去ってからすでに数十年が経ちますが、彼が遺した自宅は芸術そのもの。
旅行者のみならず地元の人にも愛され続けており、まるで彼の魂がいまだにこの場所に宿っているかのようなパワーを感じました。
⑤ハイク広場
ヴァナゾル中心街の最西端にあたるハイク広場(Hayk Square / Հայքի Հրապարակ)は、大きな噴水と市庁舎の建物をメインとした広場【マップ⑤】
四方を山に囲まれたヴァナゾルという町を象徴するような「レトロな建物×山々」の風景が見られ、四季折々の美しさを味わうことができます。
ハイク広場には観光スポット的な見どころはありませんが、中心街~鉄道駅/バスステーションを移動する際に必ず通る場所。ヴァナゾル滞在中に何度も足を運ぶことになります。
後述するステパナヴァン行きシェアタクシーの発着ポイントも、ハイク広場北側の駐車場からとなります。
⑥生神女誕生教会
ヴァナゾル鉄道駅のすぐ南側に広がる、公園と呼んで良いのか分からないほどに整備されてない空き地。
人々に忘れ去られたかのようなこの場所にぽつりと佇むのが、生神女誕生教会(Church of the Nativity of the Blessed Virgin Mary)です。【マップ⑥】
アルメニアがロシア帝国支配の支配下にあった1893年の建造で、ロシア正教会として利用されていました。
独特のドーム型屋根と灰色の外観が見せる統一感も素敵。
ただ、周囲の公園(空き地?)は本当に場末的な雰囲気がすごくて人影もなく、少しホラーじみた風景に感じられました。
⑦童話の家
のぶよが宿泊したホステルの目の前にあったのが、「童話の家」(勝手に名付けた)【マップ⑦】
この家のいったい何が「童話」なのか…
もちろんメルヘンチックな石造りの外観が、です!
まるで「ヘンゼルとグレーテル」やら「赤ずきんちゃん」やらに出てきそうな雰囲気ではありませんか。
この建物は、かつてはレストランとして営業していたよう。
建物の外には「ビール」「ホロヴァツ(アルメニア風BBQ)」「キャバブ(棒状ケバブ)」など、酒呑み歓喜なメニューの看板が残されています。
こんなメルヘンで乙女チックな外観に反して、地元のおじさんたちが夜な夜な集まる酒場のような店だったのでは…?とメニュー的に推測。
2020年~2021年にかけて、コロナウイルスとナゴルノ=カラバフ戦争敗戦のダブルパンチを食らったアルメニア。
全国的に疲弊が激しいのですが、特に経済的に余裕がない地方部では、廃業してそのまま放置された状態のかつてのレストランや商業施設がとても多く見られ、この童話の家もきっとそうなのでしょう。
外観だけ見てもかなりこだわって造られたのがわかる童話の家。
このまま朽ちていくのを待つだけなのはもったいないので、誰か買い取って猫カフェとか開いたら良いのでは…?
⑧ヴァナゾル市場
レトロな雰囲気漂うヴァナゾルを象徴するスポットが、中心街にあるヴァナゾル市場【マップ⑧】
旬の新鮮な野菜や果物はもちろん、乳製品や肉類、衣料品に日用品など、ヴァナゾル市民の生活に必要なものはすべて揃う場所です。
「アルメニアの市場」とひとことで言っても、市場の雰囲気や売られているものは町ごとに変わってくるもの。
地元の人々の毎日の食の根底にある場所なので、地域色が強い点も市場散策の魅力かもしれません。
ヴァナゾルの場合は、町の北に広がるデベド渓谷で採れるハーブやフルーツとその加工品がとても多く、売られている食材のバリエーションがすごく豊富だと思いました。
アルメニア第三の都市で、古くからこの地域の交通の要所だったヴァナゾルの市場は、町の規模を考えるとかなり大きなもの。
屋外に所狭しと露店が並ぶストリートも面白いですが、巨大な屋内市場も必見です ▼
屋内市場の建物の敷地外にある駐車場には、ヴァナゾル周辺の各村から食材を売りに来た人達がたくさん。
活気ある雰囲気で面白いですが、アルメニアの他の町に比べると声をかけられる機会がやや少なめ。
散策しやすくて良いのですが、ちょっと寂しく感じました。
ヴァナゾルの中で最も「古き良き雰囲気」が残されている市場。
新鮮な食材やこの地域独自の食品を購入するのも良いですし、ただぶらぶらと散策するだけでも満足できます。
⑨ヴァシリー・タイロフの邸宅
ヴァナゾル中心街南部に建つヴァシリー・タイロフの邸宅にも立ち寄ってみましょう【マップ⑨】
ヴァシリー・タイロフ(Vasily Tairov)とは、19世紀のロシア帝国時代に活躍したビジネスマンのこと。
大富豪だったことで知られ、その富を象徴する邸宅としてこの建物と立派な庭園を建設させました。
現在は個人の所有物ではなく、アルメニア教会におけるグガルグ教区の総本山として機能しており、聖職者らしきローブをまとった人が出入りしています。
旧邸宅の敷地から東側~南側には広大な緑地が広がっており、ソ連時代に建設された巨大なサナトリウムがいくつか残っているので、興味のある人は散策するのも良いでしょう。
⑩アルテック子供キャンプ
ヴァナゾル中心街から南へ2kmほど。
小高い丘の中腹には、ソ連時代に造成されたアルテック子供キャンプ(Artek Children’s Camp / Արտեկ մանկական ճամբար)があります。【マップ⑩】
中心街からは、ゆるやかな上り坂を南に30分ほど。
この一帯はかつてソ連時代の末期に温泉保養地として開発される途中だったエリアで、完成を待つことなく廃墟と化した建物がいくつも残っています。
アルテック子供キャンプは、ソ連時代の少年~青年の子供たちが学びとレクリエーションを兼ねたサマーキャンプのために訪れるための場所でした。(日本で言うと、ボーイスカウトとか子供会みたいな)
アルメニアにはこうした子供キャンプがいくつもあったのですが、ソ連崩壊とともにすべて放置されることとなり、どこも廃墟と化してしまいました。
アルテック子供キャンプで最も有名な(?)建物は、上の写真のタイルアートが残る宿泊棟。
それ以外にも数棟の建物が残っていますが、どれも保存状態は劣悪。
いつ崩れ落ちてもおかしくないような状態だったので、内部に入るのはやめておくのが良いと思います。
ソ連崩壊から30年。
たったそれだけの期間人の手が入らないだけで、ここまで一つの建物が荒れ果ててしまうことに驚きますし、わずかに残された面影や残骸を通して当時ここがどんな場所だったのかイメージするのも(のぶよは)面白いです。
ヴァナゾル中心街からのアクセスは徒歩のみ/往復1時間とやや距離があるので、市内観光と組み合わせるのはやや難しいかも。(そして興味がない人はわざわざ行く価値薄め)
ソ連時代の建築に興味がある人や、ヴァナゾルで宿泊する人は足をのばしてみてはいかがでしょうか。
ヴァナゾル拠点に日帰り!近郊の見どころ
市内の見どころこそ限られているヴァナゾルですが、さすがはこの地域の交通の要所。
町の周辺には多くの見どころが点在しており、どこもそれぞれバラエティーに富んだ魅力があります。
ここでは、ヴァナゾル拠点に訪れることができる近郊の見どころを5か所紹介していきます。
いずれもヴァナゾルから個人での日帰りが可能なので、ヴァナゾルに数日間滞在する人はぜひチェックしておきましょう!
ロリ要塞
ヴァナゾルがあるロリ地方で最大の見どころの一つとなるのが、ロリ要塞(Lori berd / Լոռի Բերդ)。
およそ900年前、ロリ地方が独立国だった時代に首都とされた要塞都市の跡地です。
当時の浴場跡や教会跡、800年前に建設された石橋などが残されており、断崖絶壁の渓谷美も必見!
かつて繁栄を極めた都市も、今や一面の野原…
「栄枯盛衰」を具現化したような雰囲気に、どっぷりと浸ることができる場所です。
聖ニコライ教会
ロリ要塞から深い谷間を挟んだ対岸に位置するアムラキッツ村には、180年前に建てられた聖ニコライ教会(Church of St. Nicholas Wonder-worker)があります。
アルメニアがロシア帝国支配下にあった1840年代の建造で、かつてはロシア正教の教会として利用されていたもの。
1988年のスピタク大地震で半壊してしまい、以後放置された状態となっています。
まるでお化け屋敷のような外観が話題を呼び、アルメニアでは結構な有名スポットなのだとか。
教会が位置するアムラキッツ村の住人は大半がロシア系。
民家の造り一つを見ても、アルメニアの他の地域と異なっていて興味深いです。
共産党員の洞窟
ヴァナゾルから1時間足らずでアクセスできるステパナヴァンの町はずれ。
ジョラゲット川の深い谷間を望む場所に、「共産党員の洞窟」と呼ばれる場所がひっそりとあります。
1910年代にロシア帝国支配下にあったアルメニアでは、政権転覆を狙ったソビエト共産党の活動家が革命の準備を着々と行っていました。
その活動家の一人が仲間を集めて潜伏し、革命の計画を立てていたのがこの天然の洞窟。
結果として、1922年にアルメニアはソ連の統治下に入ることとなり、革命家たちの思惑通りに。
その意味では、70年近く続いたアルメニアのソ連時代のはじまりは、この小さな洞窟だったと言えるのかもしれません。
フィオレトヴォ村
ヴァナゾルの東15kmほど。
ロリ地方らしく緑でいっぱいの田舎風景が広がるエリアにあるのが、フィオレトヴォ村(Fioletovo / Ֆիոլետովո)
フィオレトヴォの村人は、200年ほど前にこの地に移住してきたロシア系の人々。
彼らは「マロカン(牛乳を飲む人)」と呼ばれ、独自の信仰や生活をつらぬいています。
村人の外見もアルメニア人と全く異なり、自給自足が中心のライフスタイルが21世紀になっても守られているフィオレトヴォ。
カラフルで可愛らしい民家が草木で彩られた風景は、まるでこの世の楽園のように見えました。
デベド渓谷
ヴァナゾルから北方向に広がるデベド渓谷(Debed Canyon / Դեբեդ)は、ロリ地方観光における文句なしのハイライト。
というか、アルメニア全体を見てもBEST3に入るくらいに素晴らしい場所です。
デベド川が形成する深い谷間の風景は、アルメニアの他の地域ではいっさい見られない独特なもの。
中世の修道院や小さな村が点在しており、ハイキングコースも数知れず…
とにかく見どころにあふれたエリアです。
ヴァナゾルからの日帰りだと1か所か2か所を訪れるのが限界となるので、のぶよ的にはデベド渓谷内の町(アラヴェルディなど)をベースにするのがおすすめです。
デベド渓谷の観光情報の記事は、現在執筆中です!
ヴァナゾルのおすすめレストラン3選
ヴァナゾルに来てまず最初に感じたのが、町の規模に対してやたらと飲食店が多いことでした。
そもそも旅行者が少ない町なので、観光客向けのレストランはありません。
どこも地元の人が気軽に立ち寄るようなお店ばかりで、一人でも入りやすく値段もリーズナブルなのが◎
ここでは、のぶよが1週間ヴァナゾルに滞在して見つけた3つのおすすめレストラン(というか食堂)を紹介します。
どれも中心街に位置しているので、観光のあいまにぶらっと立ち寄れます!
食堂(Hayeni cafe)
ヴァナゾルのおすすめレストラン1軒目が、鉄道駅~ハイク広場のちょうど間にある小さな食堂。
店名(Hayeni cafeと読む)もメニューもすべてアルメニア文字オンリーという、なかなかにハードルの高いローカル感のお店ですが、これこそのぶよが求めてやまないものです。
とはいえ、フードメニューの部分には写真が掲載されているものもあるので、文字が読めなくても注文はできます ▼
メニューは結構幅広く、定番のホロヴァツ(BBQ)やキャバブ(棒状ひき肉グリル)から、サラダにスープにピザまで…
せっかくなので、どこででも食べられる料理よりも、家庭的なアルメニア料理に挑戦してみるのがおすすめです。
料金もかなりリーズナブルで、料理の味もなかなかのもの。
お店の人はアルメニア語かロシア語しか通じませんが、かなり気さくに対応してくれ、お店の雰囲気も良かったです(というわけで合計3回も行った)。
ピロシキ専門店
手軽に食事を済ませたい人におすすめなのが、ヴァナゾル中心街のメインストリートにあるこちらの小さな食堂。
シャウルマ(ドネルケバブ)とピロシキ(ロシア由来の具入りパン)をメインに、ピザなどの軽食を提供しています。
このお店でぜひ食べたいのがピロシキ。
具材によりますが、1個150AMD(=¥35)~300AMD(=¥69)とものすごくお手頃価格です。
一般的なピロシキの具は、つぶしたジャガイモや牛ひき肉が普通ですが、ここヴァナゾルでは事情が異なります。
ヴァナゾルのピロシキの具は豚肉か鶏肉である場合が多く、それもひき肉ではなくゴロンとした肉が入っているのです ▼
ヴァナゾル市内の数軒でピロシキを食べましたが、どこもそんな感じ。
(というか、ヴァナゾルにだけピロシキ専門店が多くあるのも、そもそも不思議)
アルメニアの他の町のピロシキでは、こうしたお肉ごろんタイプは味わったことがないので、もしかするとご当地名物なのかも?
のぶよは勝手に「ヴァナゾル風ピロシキ」と呼んでいます(笑)
ヴァナゾルに数あるピロシキ専門店の中でも、最も口に合ったのがこのお店。
味付けもちょうど良い塩加減で、スパイスのほど良いエスニックな風味が香るものでした。
Jazz Cafe
ヴァナゾルっ子で知らぬ者はまずいない有名店が、中心街のど真ん中にあるJazz Cafe。
ウイーンのお洒落カフェをイメージしたようなお店で、内装はエレガントでシック。
外観の昭和感さえ見なければ、気分は音楽の都の街角に…(それは言い過ぎか)
コーヒーや紅茶はもちろん、スイーツ類や軽食類もバッチリ揃ったメニューで、落ち着いた雰囲気の店内は休憩にぴったり。
フードメニューもかなり充実していた(&そこまで高くなかった)ので、食事にも良いと思います。
“Jazz”を冠する店名の通り、週末のディナータイムにはジャズライブも開催されるそう。
レトロな雰囲気のヴァナゾルにある、古き良き美しきものをコンセプトにしたカフェ。なかなか良かったですよ!
ヴァナゾルの宿情報
Arsego Hostel
・料金:3500AMD(=¥812)
・部屋タイプ:ツインルーム一人利用
・立地:10/10
ヴァナゾル中心街の西側にあるホステルで、バスステーションやメインストリートなど観光・滞在に必要な施設まで全て徒歩5分以内の好立地です。
・アクセス:8/10
オーナーは宿に常駐しているわけではなく、宿泊客が来た時にチェックインのためにやってくるシステムのよう。
のぶよが到着したときはオーナーがたまたま宿にいたので、問題なく手続きできましたが、そうでない場合は1階の美容院の人に鍵を開けてもらうそうで、少し面倒かも。
・スタッフ:7/10
オーナーは少し英語が話せるので、最低限の会話は問題なし。
特に温かくもてなしてくれるわけでもなく、淡々とした感じでした。
・清潔さ:7/10
部屋やキッチンは問題なかったのですが、シャワールームがやや微妙。
お湯はちゃんと出るのですが、シャワーヘッドが壊れていたり、誰のものかわからない石鹸がそのままにされていたりと、掃除が甘い感じはしました。
・設備:9/10
キッチンにはひと通りの調理器具が揃っているので、自炊派でも問題なし。
ヘアドライアーはありませんが、洗濯機を無料で利用することができるのは嬉しい点です。
個室・ドミトリーのいずれにもセントラルヒーティングがあるので、寒い季節の宿泊でも大丈夫。
共用スペースにはエアコンもあるので、夏場でも問題ないと思います。
・wi-fi:10/10
インターネットはかなりサクサク動いていました。
個室でも共用部分でも問題なく繋げたのは良かったです。
・雰囲気:2/10
残念だったのが、宿の雰囲気でした。
もともと旅行者が多くないヴァナゾルで11月という微妙な時期もあってか、他の旅行者の姿はなし。
代わりに、ヴァナゾルで働くアルメニア人数人が半分住んでいるような感じで、好き放題やっていたのがマイナスでした。(みんな良い人なんだけど、外に出ずにタバコを吸うなどマナー面が…)
旅行者が多い夏場ならまた雰囲気が違うのでしょうが、オフシーズンはやや場末感があることは覚悟しておきましょう。
・総合:7.6/10
宿の雰囲気以外は概して満足でした。
この値段で個室に泊まれたことが最大のポイントだったかもしれません。(おそらくオフシーズンでドミトリーに宿泊客がいなかったためでしょうが)
ヴァナゾル市内のどこにいくのにも便利な立地である点も◎
設備や建物はやや古めですが、あまり気にならない人であれば数日間の滞在におすすめです!
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ヴァナゾルのアクセス情報
ヴァナゾルは、ロリ地方の町や村をはじめ、アルメニア北部エリアの交通のハブとなる町。
ヴァナゾル~周辺都市間の主な交通網はこんな感じです ▼
ヴァナゾルを発着するマルシュルートカはすべて、中心街北側のバスステーションが基点となります。
(ステパナヴァン行きのシェアタクシーのみ、ハイク広場の発着)
ここでは、アルメニア他都市~ヴァナゾル間のアクセス情報を解説していきます。
【エレバン→ヴァナゾル】
エレバン発着のマルシュルートカでややこしいのが、行き先によってバスターミナルが異なる点。
ヴァナゾル行きのマルシュルートカ404番が発着するのは、エレバン中心街の西に位置するキリキア・バスステーション(Kilikia Bus statuon / 「セントラル・バスステーション」とも呼ばれる)です ▼
ヴァナゾル便など長距離の都市間マルシュルートカが発着するのは、バスステーションの建物の西側。
行き先によってプラットホームが分かれていて、2番のプラットホームがヴァナゾル行きです。 ▼
ヴァナゾル行きをはじめ、キリキアバスステーション発着の長距離マルシュルートカのチケットは、バスステーション内部のチケットオフィスで購入する必要があるので注意 ▼
チケットには座席番号が記載されているので、決まった席に座るようにしましょう。
(みんな結構ちゃんと番号を守っていた印象です)
【ヴァナゾル→エレバン】
ヴァナゾルからエレバンに向かう404番マルシュルートカは、ヴァナゾル・バスステーションの正面入口向かいの駐車場からの発着です。
(他の行き先のマルシュルートカはバスステーション東側の広場の発着)
ヴァナゾル→エレバン方面の場合、チケットは駐車場にいる係員から直接購入するスタイル。
バスステーション内部のチケットオフィスでの購入ではない点に注意しましょう。(いったいどういう分類なのか謎…)
【ギュムリ→ヴァナゾル】
ギュムリ→ヴァナゾル間のマルシュルートカは、ギュムリ市内南部のバスステーションからの出発 ▼
チケットはバスステーション内のチケットオフィスでの購入です。
【ヴァナゾル→ギュムリ】
ヴァナゾル→ギュムリ方面のマルシュルートカは、バスステーションの建物東側の広場からの出発。
チケットはバスステーションの建物内のチケットオフィスで事前に購入する必要があります。
【アラヴェルディ→ヴァナゾル】
デベド渓谷北部エリアの観光拠点・アラヴェルディ→ヴァナゾルのマルシュルートカは、アラヴェルディ中心街のバスステーション(的なただの広場)からの出発 ▼
アラヴェルディにはチケットオフィス等の設備はなく、紙のチケットもなし。
下車時に運転手に直接料金を支払うシステムです。
【ヴァナゾル→アラヴェルディ】
ヴァナゾル→アラヴェルディ方面のマルシュルートカは、バスステーションの建物東側の広場からの出発。
チケットはバスステーション内部のチケットオフィスで、出発前に購入しておく必要があります。
ステパナヴァン~ヴァナゾル間には、なんとマルシュルートカが存在しません。
かつては定期便があったそうですが、2021年現在は乗客が少ないために廃止になってしまったそう。
ヴァナゾル~ステパナヴァン間の公共交通機関として機能しているのが、座席予約制のシェアタクシー。
1時間に1台の割合で、ヴァナゾル~ステパナヴァンを往復しています。
前日までに電話で座席を予約しなければならない という前時代的なシステムで、ロシア語かアルメニア語しか通じないため、旅行者的にはかなりハードルが高いのが悩みどころ。
言葉ができない場合はどうしようもないので、普通のタクシーを利用するか(片道5000AMDが相場)、宿の人に電話予約してもらうように頼みましょう。
①希望の前日までに、シェアタクシーの予約センターに電話(093-81-55-44)
②希望の日時と人数、自分の電話番号を告げて、座席を予約
③当日、時間通りに待ち合わせ場所で待機
④運転手から電話がかかってくるので、指定されたタクシーに乗車
という流れ。
当日の待ち合わせ時間になると、運転手から電話がかかってくるシステムであるため、アルメニアの電話番号必須&最低限のロシア語orアルメニア語が必須となります。
ヴァナゾルでのシェアタクシー発着地は、町の中心に位置するハイク広場(Hayk square / Հայքի Հրապարակ)の北西の一角 ▼
ステパナヴァンでは、好きな所で降ろしてもらうことが可能。
中心街まで行っても良いですし、6kmほど手前の聖ニコライ教会があるアムラキッツ村で途中下車するのもOKです。(のぶよはアムラキッツ村で途中下車しました)
日帰りでステパナヴァンを観光してヴァナゾルへ戻るプランの場合には、ステパナヴァン→ヴァナゾルの帰りのシェアタクシーも前日までに予約しておくことをお忘れなく。
予約&乗車方法は往路と同じですが、ステパナヴァン発のシェアタクシーは町をぐるりと回って乗客を集めていくシステムであるため、ステパナヴァン市内の好きなポイントからの乗車が可能なのがヴァナゾル発とやや異なる点。(でも予約時に乗車場所を指定しなければいけない)
ステパナヴァンの中心部にあるバスステーションからの乗車で予約しておくのがベストだと思います。
アルメニアの山岳リゾートとして人気のディリジャン。
ヴァナゾル~ディリジャン間を直接結ぶマルシュルートカは存在せず、さらに北東に位置するイジェヴァン(Ijevan)行きの便を途中乗車/下車することになる点に注意しましょう。
【ヴァナゾル→ディリジャン】
ヴァナゾル→ディリジャン方面は、ヴァナゾルのバスステーション発でイジェヴァン行きに乗り、ディリジャンで途中下車すれば良いだけなので簡単。
ヴァナゾル→ディリジャン→イジェヴァンのマルシュルートカは、バスステーションの建物東側の広場からの出発。
チケットはバスステーションの建物内のチケットオフィスで事前に購入する必要があります。
【ディリジャン→ヴァナゾル】
トリッキーなのはディリジャン→ヴァナゾル方面に移動する場合。
イジェヴァン発ヴァナゾル行きのマルシュルートカは、ディリジャンのバスステーションは経由せず、50mほど北のロータリー付近を通過するためです ▼
ディリジャンから途中乗車する場合、すでに満席だと停車してもらえない可能性が高いので、のぶよ的にはヴァナゾル→ディリジャンの方向で移動するのが良いと思います。
【マルシュルートカ】
お隣ジョージアの首都・トビリシ~ヴァナゾル間を直接結ぶマルシュルートカは存在せず、トビリシ~エレバン間のマルシュルートカを途中乗車/下車することになります。
トビリシ→ヴァナゾルの移動なら、ヴァナゾルを通る際に途中下車すれば良いだけなので簡単。(料金はエレバンまで行った場合と同じです)
いっぽう、ヴァナゾル→トビリシと移動する場合は、事前にエレバン→トビリシを走るマルシュルートカのドライバーにコンタクトをとって、ヴァナゾルでピックアップしてもらわなければならず、かなり難易度が高いです。
【鉄道】
「いちどエレバンに戻ることなく、どうしてもヴァナゾル→トビリシと直接移動したい!」という人は、エレバン~トビリシ間を結ぶ鉄道にヴァナゾルから途中乗車することも可能。
1日1本の鉄道が走っており(冬季は2日に1本に減便)、トビリシ行き/エレバン行きのいずれの方面の列車もヴァナゾルを経由するのは深夜。
トビリシ/エレバンに到着するのは、翌日早朝となります。
おわりに
日本人はおろか、外国人旅行者にも素通りされてしまいがちなヴァナゾルの観光情報を解説しました。
短い日程でのアルメニア旅行の場合は「絶対に行くべき!」という町ではありません。
しかし、ある程度の期間この国をまわる予定の旅行者であれば、数日間のんびりと滞在して周辺の見どころにも足をのばすのがおすすめです!
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