こんにちは!ジョージア滞在も1年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
当ブログの新企画・「トビリシローカルさんぽ」の第十二回。
トビリシの町を北から南に流れるクラ川沿いをず~っと歩いて行きます。
トビリシの真ん中を流れている川にもかかわらず、なぜか人影はまばらな川沿い。
車が多く行き交う幹線道路が走っていることが理由かもしれませんが、歩行者専用の遊歩道もあるので安心して散策できます。
普段とは異なる角度からトビリシの町を眺めることができ、開放感も抜群。
かなりおすすめのさんぽコースとなっています!
1600年の歴史を持つ、ジョージアの首都・トビリシ。
「トビリシローカルさんぽ」とは、この町に滞在して1年となったのぶよが市内10エリアを散策するもの。
歴史スポットやローカルな見どころ、おすすめのお店などを紹介していくユルめな企画です。
どの散策コースも所要時間は2時間~4時間ほど。
・時間が空いたときにサクっと散策
・複数のコースを組み合わせてガッツリ散策
など、トビリシに長期滞在する人向けの情報たっぷりです!
クラ川沿いさんぽコースの概要
トビリシの長い歴史を語る際に欠かせないクラ川は、コーカサスの山々を源流とする雄大な川。
「クラ川」とはロシア語名で、ジョージア語では「ムトゥクヴァリ川」とも呼ばれます。
トビリシの町はこの川に沿って発展し、かつては外敵からの防衛面でも大きな役割を担っていました。
近代になって川の両岸には幹線道路が整備されたため、朝から晩まで車がひっきりなしに行き交っているのですが、川沿いには歩行者専用の遊歩道が整備されていることは意外と知られていません。
今回のさんぽコースは、地下鉄1号線ステーション・スクエア駅から川沿いに出て、左岸(東側)の遊歩道をずっと南へと歩いていくシンプルなものです。
途中にはいくつもの橋が架かっており、いずれもトビリシの歴史を語る存在。
旧市街に位置するメテヒ橋まで歩いたら右岸(西側)へと渡り、ゴールである地下鉄1号線300アラグヴェリ駅まで向かいましょう。
タマル女王橋~メテヒ橋
今回のさんぽコースのスタート地点となるのが、地下鉄1号線ステーション・スクエア駅。
喧騒に満ちあふれた市場を抜けて西へと歩いて行くとクラ川に突き当たります。
ここに架かっているのが、タマル女王橋【地図①】▼
およそ800年前に中世グルジア王国の最盛期を担った、最初で最後の女性国王の名を冠した優雅なアーチ式の橋です。
中心街からややはずれた場所に位置しており、橋の上からの眺めはどこかガランとしている印象を持つかもしれません。
タマル女王橋の西側に建つ謎の形の建物は、キング・ダヴィット・レジデンスと呼ばれる住居兼商業施設。
建物の名前になっている「キング・ダヴィット」というのは、中世グルジア王国時代に活躍したダヴィット建設王のこと。
タマル女王やダヴィット建設王など、ジョージア人が誇りに思う歴史上の人物の名前を付けている点に、このエリアをより開発したいトビリシ市の意向が感じられますね。
タマル女王橋から少し南に歩いたところにあるのが、カズベキビールの工場【地図②】▼
ジョージアが誇る国産ビールである「カズベキ」は、同名の山の名前をとったもの。
キレがあるラガータイプの味わいは、日本人もきっと好きな味だと思います。
こちらのビール工場の2階部分はビアガーデンとなっており、注ぎたての生ビールを格安でいただくことができるのもポイント。
まださんぽは始まったばかりですが、ここでビール休憩していくのも良いかも!
カズベキビール工場からさらに南に歩くと、二番目の橋が見えてきます ▼
マルジャニシュヴィリ橋という名前ですが「ライオン・ブリッジ」【地図③】という呼び名の方がポピュラーかもしれません。
その名の通り、橋の上にはライオンの像が立っています。
この橋あたりから、トビリシ中心街エリアへと入ってきます。
対岸にあるのは人気の住宅街であるヴェラ地区や、中心街北端のルスタヴェリ駅などが。
こちら側にはヨーロッパ調の町並みが魅力的なマルジャニシュヴィリ地区があります。
ライオン・ブリッジを渡って中心街エリアへと足をのばす/マルジャニシヴィリ地区を散策しても良いのですが、今回のコースでは川沿いをずっと歩いて行きましょう。
しばらく歩くと、トビリシ最大規模のサメバ大聖堂とドライ・ブリッジが見えてきます【地図④】▼
4連アーチ型の優雅な佇まいのこの橋の正式名称は「サールブリュッケン橋」。
しかし「ドライ・ブリッジ」の呼び方が断然ポピュラーです。
というのも、この橋の上では「ドライブリッジ・マーケット」という骨とう品市場が毎日開かれているため。▼
ガラクタからアンティークな品々、ソ連時代のアイテムまで…
ありとあらゆる「レトロ」なものが集まっているマーケットは、観光客にも地元の人にも人気となっています。
ドライ・ブリッジを越えると、川沿いの町並みがガラリとお洒落になることに気が付くでしょう。
シドニーのオペラハウスのような外観の公共サービスホール(地元では「キノコビル」と呼ばれている層)をはじめ、ここ十数年の間に建設された微妙なセンスの建物が増えてきます。
その一方で、トビリシらしい昔ながらの民家もチラホラと残っています。▼
このあたりはアヴラバリ地区の入口にあたる部分。
アルメニア人住民が多いことで知られていて、サメバ大聖堂を中心とした古き良き雰囲気のエリアです。
次に見えてくるのが、ニコロズ・バラタシュヴィリ橋【地図⑤】▼
ニコロズ・バラタシュヴィリとは、19世紀に活躍したトビリシ出身の詩人のこと。
「ムトゥクヴァリ川での思索」など、トビリシにまつわる詩を数多く残しているバラタシュヴィリ。
若干27歳でマラリヤによって命を落とすという短い人生で作品も多くはないものの、ジョージアではかなり有名な人物です。
ニコロズ・バラタシュヴィリ橋のたもとには地下道があり、壁一面にストリートアートが描かれているのにもご注目。
トビリシではストリートアート文化が広く受け入れられており、市内各所の地下通路がこのようにカラフルなアートで飾られているのですが、こちらの地下通路がおそらく最大の規模。
暗い雰囲気の地下通路を明るくポップに変えるアート作品の数々を鑑賞していくのもおすすめです。
ニコロズ・バラタシュヴィリ橋を越えると、リケ公園の敷地内に入ります。
時間が許すなら、リケ公園内を散策するのもおすすめ。
トビリシお得意の(?)微妙なセンスの建造物やアートが点在する広大な公園は、地元の人々に愛される場所です。
リケ公園を川沿いに歩いて行くと、必ず目に入るのがピース・ブリッジ【地図⑥】▼
言わずと知れたトビリシ中心街のシンボル的な存在で、透明な屋根に覆われた絶妙な曲線美が魅力的。
絶好のフォトスポットとして地元民にも観光客にも大人気な場所です。
ピースブリッジを過ぎたらリケ公園の敷地も終わり、岩山の上に建つメテヒ教会が正面に見えてきます。
これまでずっと歩いてきたクラ川の左岸の遊歩道は、メテヒ教会がある岩山に遮られる形で途切れます。
教会の目の前に架かるメテヒ橋を渡ると、右岸(旧市街側)に遊歩道が続いていきます。
メテヒ橋~ウエディング・パレス
メテヒ教会と旧市街を結ぶメテヒ橋【地図⑦】は、歴史的に多くの民族が行き交ってきたトビリシの防衛上で大きな役割を果たした場所。▼
かつては町の中心だった旧市街の目の前に架かる橋であることから、この橋を陥落させることができればトビリシを陥落させたも同然だったためです。
また、16世紀や18世紀のペルシア帝国による侵攻の際は、住人の多くがイスラム教に強制的に改宗させられました。
当時のメテヒ橋の上では、改宗を拒んだ住民を処刑し、下を流れるクラ川に投げ落とすという異端尋問さながらのことが行われていたそうです。
メテヒ橋の上に建つと、目の前のメテヒ教会/旧市街を見下ろすナリカラ要塞/その南の山の上に建つタボルの三位一体教会の3つの建造物に囲まれます。
いずれも、トビリシの町の歴史をずっと見守ってきた存在。
数多くの歴史が動いてきたトビリシという町のど真ん中に立っていることを実感するはず。
メテヒ橋を右岸(旧市街側)に渡ったら、南東方向に続く遊歩道を歩いて行きましょう。
対岸の断崖絶壁の上に並ぶ建物が圧巻です。▼
「よくもまあこんなところに…」と感心してしまうほどに、崖のギリギリの場所に建ち並ぶ家々。
旧市街から近いのになぜか観光客の数は少なめで、圧巻の風景を独り占めできます。
川沿いを歩いて行くと、突如現れる巨大なモニュメントがアラグヴィの300人の戦士記念碑【地図⑧】▼
アラグヴィの300人の戦士とは、トビリシ近郊のアラグヴィ川上流地域出身の若者たちのこと。
1795年のペルシア軍によるトビリシ侵攻の際に、彼らは最後の最後まで戦ったものの、結局トビリシは敵の手に落ちてしまいました。
彼らの活躍と勇気を讃えたモニュメントは、訪れる人こそ少ないものの、トビリシの歴史を現在に伝える存在です。
モニュメントから再び川沿いを下っていくと、なにやらものすごくソ連的な風景が目に入ります。
手前の水門が、オルタチャラ橋【地図⑨】。
このさんぽコース最後の橋で、水の量を調整する役割を備えています。
オルタチャラ橋を渡った先の高台にあるTHE・ソ連な建造物はウエディング・パレス【地図⑩】。
そう、結婚式場なのです。
建設はもちろんソ連統治時代で、なんと現在でも使用されているそう。
建物の入口は坂を登った高台側にあるのですが、関係者以外は立ち入ることができません。
唯一、ウエディング・パレスの全景を眺めることができる地点が、オルタチャラ橋を渡った付近となります。
ウエディング・パレスの裏側・坂を登ったところにあるのが、今回のさんぽコースのゴール地点である地下鉄1号線300アラグヴェリ駅。
先ほど記念碑になっていた300人のアラグヴィの戦士たちの名前が、ここにも付けられています。
地下鉄に乗って他のエリアへ行くもよし。
体力・時間に余裕があるなら、アヴラバリ地区~サムゴリのさんぽコースと組み合わせるのもおすすめです!
おわりに
意外に知られていない、クラ川沿いの散策コースを紹介しました。
のぶよは何も期待せずに歩いたのですが、かなり気持ちの良いさんぽが楽しめました。
定番とされるトビリシの見どころの多くも、川沿いの低い位置から眺めるとまた違った印象を持てるかも。
トビリシの多くのエリアを通ることになるので、他の散策コースと組み合わせて、自分だけの散策プランを作りやすいのもポイント。
天気が良い日を狙って、川からの風に吹かれながらのんびりと歩くのがおすすめです!
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