こんにちは!ジョージア滞在も2年半、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア西部のアジャラ地方といえば…やはり黒海!
温暖な気候と海沿いらしい開放的な雰囲気が多くの旅行者を魅了してやみません。
アジャラ地方と聞いて99%の人がまずイメージするのが、最大の都市であるバトゥミ。
のぶよもバトゥミには3回/合計9ヶ月に及ぶ期間滞在しているのですが(どんだけおるねん)、そのすぐ近くにある町にはずっと足をのばさないままでいました。
それが、今回紹介するコブレティ(Kobuleti / ქობულეთი)。
ジョージア人にとってコブレティといえば、夏のバケーションを過ごすためのビーチリゾート。
夏場の数ヶ月間はこの小さな町の人口がなんと10倍以上に膨れ上がることで知られ、住民の多くは夏にガッと稼いでそれ以外の季節をしのぐという、なんともジョージアらしい(?)ライフスタイルが根付いていることでも有名です。
そういうわけで、「どうせ浮かれたキラキラパーティービーチリゾートだろう…あ~やだやだ虫唾」という先入観と偏見たっぷりだったのぶよは、コブレティにいっさい足を踏み入れないままにスルーしていたわけです。
…が。
実際に重い腰を上げてコブレティへ行ってみると、びっくり。
コブレティ、想像とは全く異なる素朴なビーチタウンという感じでものすんっっっごく良かったのです。
シンボルである黒海ビーチと海沿いの遊歩道の開放的な雰囲気。
ジョージア地方部感120%のカオスでレトロなバザール。
世界遺産に指定されている広大な湿地帯。
バトゥミから40分とは思えないほどにのんびりした田舎感。
コブレティという町を構成するひとつひとつの要素のすべてが絶妙に調和し、この小さな町を特別なものにしているような気がしました。
のぶよの他にも「コブレティねえ…別に黒海沿いの町ならバトゥミでいいかな…」なんて思っている日本人は多いでしょう。というか、コブレティという町の存在を知っている日本人が限られているでしょう。
断言します。コブレティをスルーしたら子孫末裔まで後悔します。
というわけで、あまりに気に入り過ぎて2泊の予定が1週間も滞在していたコブレティ。
今回の記事は、この知られざるビーチタウンの楽しみ方を余すところなく解説するものです。
旧ソ連圏の旅行者にはある程度ポピュラーなコブレティですが、それ以外の地域出身の旅行者の数は本当に少ないのが現状。日本人などまずやって来ません。
しかし!一度足を踏み入れ腰を落ち着けてしまえばもう最後。
果てしないコブレティ沼から抜け出せなくなってしまうはず…!
コブレティ観光の基本情報
コブレティという町は、日本人にはほとんど知られていないのが現状。
そもそもどんな町なのか、何日間あれば良いのか…など、未知な部分が多いと思います。
この項ではまず、コブレティ観光のプランニングに役立つ基本情報を解説します!
コブレティの歴史をザックリと
コブレティの歴史はとても古く、およそ2000年前にジョージア西部を支配下に置いたコルキス王国の時代に遡ります。
コブレティをはじめ、ジョージア西部の黒海沿岸沿いには当時の要塞がいくつか残っており、悠久の時を感じたい歴史好きにはおすすめ。
15世紀に中世ジョージア王国が滅亡すると、コブレティを含むアジャラ地方はオスマン帝国(現在のトルコ)の支配下に。
200年以上続いたオスマン帝国支配下で住民のイスラム化が進み、アジャラ地方では現在でもイスラム教徒のジョージア人住民の割合が多いのはこのためです。
1878年、露土戦争でのオスマン帝国敗北によって、アジャラ地方はロシア帝国領に編入されることに。
コブレティの温暖な気候と空気の良さが注目され、サナトリウム(結核療養施設)や富裕層のヴィラ(別荘)が建設され、ロシア帝国最南部のビーチリゾートとしてコブレティの黄金時代が始まりました。
1921年にジョージアがソ連の支配下に入ると、それ以前の優雅なヴィラが建ち並ぶ町並みの多くは取り壊され、ソ連風の共同住宅が整備されます。
また、ソ連政府によって大型のリゾートホテルも整備され、それまでの「富裕層のリゾート」から「庶民のリゾート」としての性格が強まり、ソ連圏全体から多くのリゾート客が訪れるようになりました。
ソ連からジョージアが独立を果たした1991年以降は、ソ連時代のリゾートホテルは資金難により放置され、その多くが廃墟に。
取り壊された建物もありますが、依然として海沿いの一等地に不気味に佇んでいるかつてのリゾートホテルもいくつか残っています。
ロシア帝国からソ連時代のおよそ100年間に渡る黄金時代の雰囲気はもうあまり残っていないものの、今でもジョージア国内のリゾート客や旧ソ連圏のリゾート客(特に内陸国のアルメニア)にはポピュラーなサマータウンとして知られるコブレティ。
町の人口は1万人ほどですが、7月~8月にかけては10万人を上回るほどの人口に膨れ上がることで知られ、短い夏を楽しもうとする人々で大賑わいとなります。
コブレティ観光におすすめの季節
コブレティの気候は、20kmほど南に位置するバトゥミとほぼ同じ。
このあたりはジョージアの中でも最も温暖&湿潤であることで知られています。
黒海から吹きつける湿った風の影響で、1年を通して湿度が高いのもコブレティの気候の特徴。
夏は日本の夏を思わせるほどにジメジメと蒸し、冬は体感気温が低く大雪となることもあります。
コブレティの平均気温や降水量は以下の通りです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
平均最高気温(℃) | 10 | 10 | 13 | 17 | 20 | 24 | 26 | 26 | 24 | 21 | 16 | 13 |
平均最低気温(℃) | 3 | 3 | 5 | 7 | 11 | 15 | 18 | 18 | 15 | 12 | 8 | 5 |
降水量(mm) | 242 | 189 | 145 | 111 | 84 | 163 | 152 | 207 | 248 | 278 | 271 | 303 |
見ての通り、年間を通して降水量がものすごく多いのですが、太字で示した月(4月~9月)がコブレティのベストシーズンと言えます。
反対に、それ以外の季節(10月~3月)は避けた方が無難。
最大の魅力である黒海ビーチを楽しむには寒すぎますし、冬場の体感気温はかなり低く雨の日が続くため、街歩きにも向きません。
コブレティが一番のハイシーズンとなるのが、6月末~9月頭にかけての時期。
ビーチ目的ならこれ以上なく良い季節ではありますが、多くの人がこの時期にやって来るのがネック。
毎日がお祭り騒ぎとなる町はちょっと賑やかすぎますし、ホテル代も一年で最も高い水準となります。
個人的におすすめなのが、5月末~6月半ばにかけての初夏の時期。
天候が安定しているのはもちろん、ハイシーズン前でひっそりとしたビーチタウンの素朴な雰囲気にどっぷりと浸ることができるためです。
コブレティ観光の必要日数
コブレティ観光の必要日数は、人によって大きく変わってくるはず。
町を散策してビーチでのんびりするくらいなら、バトゥミからの日帰りでも十分に満喫できるでしょう。
しかしながら、コブレティの素朴でゆったりとした雰囲気をどっぷりと味わいたいなら、数日間滞在してみるのもおすすめ。
コブレティにはローカル食堂の類も多く、宿代相場もかなり低めであるため、意外と長期滞在向きな町かもしれません。
コブレティとバトゥミ、どう違う?
ジョージアの黒海沿岸エリアで有数の大きな町であるコブレティは、すぐ南に位置するバトゥミと比べられることもしばしば。
「限られた日程で黒海沿岸の町に行きたいんだけど、バトゥミかコブレティどちらがおすすめ?」
とは、多くの人が疑問に感じるところではないでしょうか。
バトゥミとコブレティは同じような海岸沿いの町ではあるものの、雰囲気は大きく異なります。
・バトゥミ:大型ホテルやマンションがずらりな「都市感」 / ビーチ以外の見どころも豊富 / おしゃれな雰囲気のエリアが多い
→観光目的の滞在向き
・コブレティ:小規模ホテルや民家がならぶ「田舎町感」 / 見どころは少なめ / 素朴で垢抜けない雰囲気のエリアが多い
→のんびり滞在向き
といった感じ。ざっくり言うなら、
・都市派で日程に余裕がない人→バトゥミ
・ローカル派で日程に余裕がある人→コブレティ
といったところでしょうか。(本当はどちらにも行ってほしいけど)
コブレティの4エリア
コブレティの町は、1万人ほどの人口規模とは思えないほどに広大なもの。
黒海に沿って8kmほど町が広がっており、エリアによって雰囲気が大きく変わる点が特徴的です。
シーサイド
コブレティを代表するビーチエリア。「ブールヴァール」と呼ばれる海岸ストリート沿いには優雅な雰囲気の建物も多く、夏場はビーチバーやカフェが連なり賑やかな雰囲気に。
中心街
ソ連時代の建物や共同住宅が多く残る中心街は、コブレティ市民の生活の中心地。商店も多く、一度は足を運ぶことになるエリア。
バザールエリア
喧騒と埃っぽさに支配された、ローカル感たっぷりのエリア。バザール(市場)を中心に、露店やローカル食堂が点在するディープな雰囲気。
農村エリア
ジョージア地方部の趣を残した農村エリアは、田舎らしいライフスタイルが色濃く残る地。牛や鶏が歩き回り、子供たちが遊ぶ声が響く。
こんな感じで、各エリアごとに独自の雰囲気が漂っているのがコブレティの魅力。
せっかくこの町を訪れるなら、隅々まで散策したいものです。
コブレティ観光でしたい10のこと
コブレティ観光マップ
緑:廃墟ホテル&ソ連モザイク
赤:おすすめレストラン
紫:おすすめ宿
灰色:鉄道駅
黄色:バスステーション
茶色:バトゥミ行きマルシュルートカ始発ポイント
①コブレティ自然保護区(イスパニ湿原)を散策する 世界遺産
コブレティ北部の農村エリアのすぐ裏側には、コブレティ自然保護区(Kobuleti Maneged Reserve)という広大な湿地帯が広がっています。【マップ 青①】
ジョージアの中でも独特の温暖湿潤な気候であるコブレティ周辺地域は、年間を通して降水量がとても多く、長い期間をかけて溜まった雨水により湿地帯が形成されました。
もともとラムサール条約に登録されていたコブレティ自然保護区でしたが、2021年には嬉しいニュースが。
「コルキスの熱帯雨林と湿地帯」としてジョージア西部の他3地域とともに、ジョージア初のUNSECO世界自然遺産に登録されたのです。
地元の人には「イスパニ(Ispani)」と呼ばれる湿原の面積は770ヘクタール。これは東京ドーム165個分に相当します。
一般人が立ち入り可能なエリアはそのうちほんの少しだけ。
湿原の大半は、1700年前に形成された大小さまざまな沼と泥炭で占められており、野鳥や貴重な動植物の楽園となっているのです。
せっかく世界自然遺産に登録されたコブレティ自然保護区ですが、訪問客向けのインフラはまだまだ整備不足。
木製の遊歩道が400mほど完成してはいるものの、湿原全体の1%にも満たない敷地にしかアクセスができません。
それでも、遊歩道や木製の展望台から眺める湿原の風景は、「山の国・ジョージア」のイメージを大きく変えるもの。
カエルや鳥の鳴き声と風が草を揺らす音以外には何も聞こえない、山の大自然とはまた異なる自然風景にひたすら癒されます。
ビーチタウンとしてばかりスポットライトを浴びるコブレティですが、そのすぐそばに広大な湿原が広がっていることは、意外に知られていません。(みんなビーチに直行してしまうので)
遊歩道をのんびり歩いて往復しても30分ほどあれば十分に堪能できるので、コブレティ滞在中に一度は訪れてみましょう。
②コブレティ・ブールヴァールを散策
ビーチタウンとして名高いコブレティのシンボルが、コブレティ・ブールヴァール(Kobuleti Boulvard)と呼ばれる海沿いの遊歩道。【マップ 青②】
英語読みではなくフランス語読みの「ブールヴァール」と呼ぶのがコブレティ式なのだそうです。
黒海沿いに6kmほどのびる気持ちの良い遊歩道は、とにかくどこまでも開放的な雰囲気。
潮風を感じながらのんびりと散策しましょう。
コブレティ・ブールヴァールで最もお洒落感が漂うのが、南側の2kmほど。
6月末~9月頭のハイシーズンには多くのリゾート客で賑わうエリアとなりますが、それ以外の季節は閉まっている店も多く、静寂が漂います。
ブールヴァール北側の4kmほどはお店などの類は少なく、海岸沿いに松林がずらりと並ぶ素朴な雰囲気。
すぐ近くに住む地元民がのんびりと海を眺めにやって来るような場所となっています。
③水質抜群の黒海ビーチでスイミング
コブレティのどこのエリアに滞在していても、黒海までは徒歩圏内。
海がすぐそばにあるというだけで、なんだか滞在の満足度がぐんと上がるような気がします。
バトゥミ周辺のビーチは大きめの石がごろごろしていたり、水質が悪い場合が多いのですが、コブレティのビーチでは事情が異なります。
コブレティのビーチは石と砂が半々で、水質はかなり良好。
それでいてバトゥミのビーチのような混雑とは無縁なので、海好きにはたまりません!
天気の良い日であれば、北側にアブハジアのコーカサス山脈が、南側にはトルコの山々が見え、絶景を望みながらのスイミングも可能。
透き通った黒海の魅力を五感で感じるビーチデイ、おすすめです!
④廃リゾートとソ連アートを探訪
「コブレティの歴史」の項で触れた通り、コブレティにはソ連時代に建設されたものの資金難により放置されて廃墟となった大型ホテルやサナトリウムがいくつか残っています。
かつては、中心街の北側一帯にまるでゴーストタウンのように廃墟ホテルが並んでいたそうなのですが、ここ数年で取り壊しが急ピッチで進んでおり、現在残るのは片手に収まるほどです。
また、ソ連時代の建物が多く並ぶコブレティの中心街周辺には、当時のモザイクアートやレリーフなどのソ連芸術もまだまだ健在。
コブレティの歴史を物言わずに語る廃墟ホテルめぐりと、ソ連アートめぐり。
のぶよのように興味がある人にはたまらないはず!
13階建て廃墟ホテル
ビーチを目の前にたたずむ13階建て廃墟ホテルは、海をイメージしたモザイク画が入口に残る建物。【マップ 緑①】
ホテルの敷地内は手入れされないままに放置された草木が伸び放題で、ひたすら不気味な雰囲気です。
潮風を浴び続けた建物はかなり傷んでおり、内部の散策は危険。
外から眺めるくらいにしておくのが良いでしょう。
コブレティ・セントラルパークの噴水モザイク
コブレティ市民の憩いの場として機能するコブレティ・セントラルパーク。
しかしながら、多くの人はすぐ目の前の海辺を目指してしまうためか、人影はつねにまばらでひっそりとしています。
セントラルパークの一角にはソ連時代のモザイクで彩られた噴水があり、これがなかなか圧巻。【マップ 緑②】
オレンジを基調としてカラフルで小さなタイルが敷き詰められ、結構な規模です。
謎のカニのような生物や熱帯魚(黒海には生息していないと思うけど)、ヒトデなど、海をイメージさせる生物が空っぽの噴水に鎮座している光景は、なかなかにシュールでした。
外階段の廃ホテル
コブレティ北部の農村エリアの海岸沿いには、外階段を備えた廃墟ホテルが不気味に佇んでいます。【マップ 緑③】
このエリアには高い建物はこれしかなく、灰色で不気味な雰囲気は存在感抜群。
農村エリアの悪ガキたちの肝試しスポットとなっているという噂も…?
中心街のソ連レリーフ
最後に紹介するのが、コブレティ中心街に残るソ連レリーフ。【マップ 緑④】
コブレティ市の施設として現役で使用されているぼろぼろの建物の入口には、THE・ソ連なデザインの立派なレリーフが掲げられています。
⑤優雅な建築を探す
「コブレティの歴史」の項で解説しましたが、コブレティがビーチリゾートとして開発されはじめたのはロシア帝国支配時代のこと。
その後のソ連時代で優雅なヴィラ(別荘)などの多くは取り壊されてしまいました。
しかしながら、ソ連からの独立後にかつての瀟洒な造りを模した建物が建設され、往年の雰囲気がほんの少し香る独特のレトロな情緒を形成しています。
コブレティの中で優雅な雰囲気の建物が多く残るのが、海沿いにのびるブールヴァール沿いの一角【マップ 青③】と、町のメインストリートであるアグマシェネブリ通りの北側一帯【マップ 青④】。
優雅な建物は並んで存在しているわけではなく、一般の民家やホテルの間にぽつりぽつりと点在しているような感じ。
だからこそ、フォトジェニックな建物を発見したときの喜びは大きいです。
⑥程よい田舎感を満喫する
コブレティの町の北側一帯は、他のエリアとは大きく雰囲気が異なるのが特徴的。
このエリア伝統の外階段を備えた二階建ての民家が建ち並ぶ農村エリアです。
コブレティの農村エリアは、ビーチタウンのイメージとは大きく異なる、昔ながらの光景が至る所で見られます。
特に良い感じのジョージア地方部感が漂っているのが、バグラティオニ通り(Bagrationi)。【マップ 青⑤】
バグラティオニ通りは、コブレティを南北に連なる2本のメインストリートのうち内陸側のルスタヴェリ通り(Rustaveli)からさらに少し内陸側にのびる500mほどの道。
通り沿いには昔ながらの民家が建ち並び、自宅を旅行者向けに開放したゲストハウスも点在しています。
バグラティオニ沿いの雰囲気をひとことで表すなら「昭和」。
近所の子供たちが道で遊びまわっていたり、牛がのそのそと散歩していたり、鶏が駆け回っていたり、子供を大声で叱るおばさんの怒号が響いていたり…
と、なんだかひと昔前にタイムスリップしたかのような光景がそこら中で見られるのです。
バグラティオニ通りに代表される農村エリアは、単に散策しているだけでも癒されるはず。
しかしながら、もっとどっぷりと田舎感に浸りたいなら、バグラティオニ通り沿いに点在するゲストハウスに宿泊して田舎暮らし体験をするのもアリです!
⑦コブレティ・バザールを散策
コブレティ市民の台所のような存在であり、この町の魅力の真髄が詰まっているのが、中心街の東側に位置するバザールエリア。
その中心に君臨する巨大な市場がコブレティ・バザールです。【マップ 青⑥】
ジョージアのある程度の規模の町であればどこにでもあるバザールは、食料品や雑貨、衣類に謎の機械など、人々の生活に必要なありとあらゆるものが揃う場所。
コブレティのバザールも例外ではなく、野菜エリアや衣類エリアなどがひしめき合っています。
コブレティ市場は、場内部分と場外部分に分かれており、いずれもかなりの埃っぽさとゴチャゴチャ感。
バザール独特のこの雰囲気が好きな人は、楽しくてたまらないはずです!
バザール内の食材はどれも量り売りが基本で、値段は記載されていない場合がほとんど。
値段は言い値が基本となるので、上手に交渉するようにしましょう。
黒海沿岸の町らしく、魚の種類が充実しているのもコブレティ市場のポイント。
黒海でとれるイワシを乾燥させた煮干しのようなものまで売られていました(買えばよかったと後悔…) ▼
他にも、レトロな食器類やジョージア伝統の「ケツィ」という素焼きの器なんかも売られていました。▼
個人的にコブレティ市場で好きだったのが、店の人がかなり気さくに話しかけてくるのに商売っ気がほとんどなかった点。
バザール特有のグイグイ来られる感じが苦手な人にとっても、自分のペースで散策できるのは嬉しいですよね。
⑧コブレティの人情に触れる
ここまでコブレティという町の良さをあらゆる角度から解説してきましたが、のぶよがここまでコブレティ沼にハマった最大の理由かもしれないのが、この町で暮らす人々の存在。
コブレティが位置するアジャラ地方の人々は「ジョージアで最も開放的で気が良い」と言われることがしばしばあり、たしかにのぶよもそれは正しいのかもしれないと感じます。
しかし。コブレティの人々の人懐っこさや気軽に話しかけてくる感じは、アジャラ地方でもずば抜けているような気がします。
いわば人口1万人がコミュニケーションお化け。
閉鎖的な気質な人が少なくない山間部やジョージア東部からこの町を訪れた旅行者は、きっと驚くはずです。
バザールを散策を話しかけられずに済ませることなど不可能。食堂ではお決まりの「どこから来たの?」から会話がはじまり飲む流れになり、なぜかスイカをもらったり、「俺らの写真を撮れ!」と言われて撮ったらさぞご満悦そうだったり…
ロシア語圏以外の外国人がまだまだ限られていることもあり、明らかにアジアの外見の人間を見ると放っておけないのかもしれません、
ジョージアは、どちらかというと初対面の際に笑顔で気さくに話しかけてくる文化とは正反対の国。
根は良い人が多いのですが、どうしても斜に構えた感じの第一印象を持つこともしばしばあるものです。
そんなジョージア人らしい気質とは相反するコブレティの人々の気質。
どうしてこの町がコミュニケーション能力お化けの巣窟となったのかは推測の域を出ません。
古くはロシア帝国時代、さらにソ連時代…と、ジョージア各地はもとより広大な国土全域から文化も宗教も人種も異なるリゾート客を受け入れてきたコブレティだからこそ、他所から来た人間にもオープンに接する文化が根付いているのかもしれません。
⑨黒海に沈む夕日と伝統の漁を眺める
世界遺産の湿原で大自然に感動し、喧騒で溢れるバザールを散策し、優雅な建築に酔い、ビーチでのんびりと過ごし…
コブレティではとにかく最高の一日が過ごせることはもう伝わっていると思いますが、その締めくくりにふさわしいのが黒海に沈む夕日。
コブレティの海岸線は西向きにひらけているため、町のどこからでも極上のサンセットを望むことができるのです。
息を呑むほどに美しい夕日に感動したのも束の間。
日没はコブレティの地元の人たちにとって絶好の漁のタイミングの合図なのです。
運が良ければ、小さな木舟で沖合いに網を張り、海岸から数人が同時に引っ張って魚をとるアジャラ地方伝統の地引き網漁が見られるかもしれません。
⑩コブレティの名物グルメを味わう
コブレティが位置するアジャラ地方は、ジョージア他地域とは異なる歴史をたどってきた地域。
そのため、一般的なジョージア料理とは異なるアジャラ料理が広く食されています。
面積こそ小さいアジャラ地方ですが、地域によってさらにご当地グルメが存在しているのも面白い点。
ここコブレティにも「コブレティ名物」とされる料理がいくつか存在しているので、訪問時はぜひチェックしておきましょう!
コブレティの名物料理①ヤフノ
コブレティが発祥の地だとされるアジャラ料理の代表格が、ヤフノ(Iakhno / იახნო)。
牛肉をくるみペーストとともに煮込んだシチューで、「クヴィテリ・クヴァヴィリ」(Kviteli kvavili/ ყვითელი ყვავილი)というマリーゴールドの花を乾燥させたものをスパイスとして使用しているのが味の決め手だそうです。
くるみの濃厚&クリーミーな食感とマリーゴールドのほろ苦い味わい、トロトロに溶けそうな牛肉のハーモニーは素晴らしいのひとこと。
ボリュームもたっぷりで、これ一品で十分お腹いっぱいになります。
・Adjarian House (マップ)
・予算:9GEL~15GEL(=¥450~¥750)
コブレティの名物グルメ②コブレティ風ボラノ
アジャラ地方グルメの代表格といえば、ボラノ(Borano / ბორანო)。
またの名を「ジョージアで一番ヤバい料理」と言います(というかのぶよが勝手にそう思ってる)。
琥珀色の液体の正体は、大量の溶かしチーズとバターのみという潔さ(?)。
スープのように見える液体は、なんとすべて溶かしバターというカロリーお化けなのです。やばすぎる…
バターの海の中からは、どろっどろに溶けた大量チーズがガマルチョバ。
このチーズはアジャラ地方の特産なのですが、塩気がとにかく強く、大量バターの果てしない脂っ気とともに胃をノックアウトしてきます。
これ一皿だけでもものすごいカロリーだと思うのですが、アジャラ地方の人たちは皆、ふわふわのパンをディップして食べるのですから…胃袋のつくりが人間ではないのかもしれません。
もともとは、野菜やスパイス類が手に入りにくいアジャラ地方山間部発祥のボラノですが、現在ではいくつかのバリエーションが派生しているのがポイント。
・一般的なボラノ:溶かしバター + チーズ
・ケダ風ボラノ:溶かしバター + チー:溶かしバター + チーズ +マッシュドポテト
・コブレティ風ボラノ:溶かしバター + チーズ + 卵
こんな感じで、ここコブレティでは仕上げに卵が落とされるバージョンがご当地グルメとされています。
のぶよ的には、普通のボラノですら果てしない塩辛さとカロリーで死にそうになった経験があるので、さらに卵が入ったコブレティ風に挑戦する勇気はありませんでしたが、怖いもの知らずな人はぜひ…(震え声)
・Cafe Ruslan
・Shua Kalaki
・値段:7GEL~12GEL(=¥350~¥600)
コブレティのおすすめレストラン&食堂
コブレティでの楽しみの一つが、安くて美味しいローカルレストランや食堂を巡ること。
シーサイドエリアや中心街にはリゾート客向けのレストランが軒を連ねており、どこもお値段は高めで味はそこそこと言ったところですが、コブレティのローカルグルメ文化が本領発揮するのがバザールエリア。
地元の人が日常的に通うような食堂から、「コブレティで一番のレストラン」とされる伝説の店まで、様々なタイプの飲食店が点在しているのです。
この項では、のぶよがコブレティで実際に訪れたレストラン3軒を紹介します。
いずれも三者三様の個性が光る素敵な空間。コブレティグルメの真髄を感じてください!
①コブレティ地元民の支持No.1!【Shua Kalaki】
まず紹介するのが、コブレティ民で知らぬ者はいない伝説の店”Shua Kalaki(შუა ქალაქი)”。【マップ 赤①】
ジョージア語で「町の真ん中」の意味の店名を冠していますが、中心街から少し離れた鉄道駅の裏手エリアに位置しているのはご愛嬌です。
Shua Kalakiは、コブレティの地元民の誰もが誇る存在の店。
「美味しいものが激安価格でそれなりの雰囲気の中で食べられる」とあって、おすすめのレストランを尋ねればかなりの確立でこの店の名が挙がるほどです。
Shua Kalakiは、食堂というよりもレストランといった感じの店構え。
店内はとても広々としており、屋外のテラス席にも10席以上のテーブルが設置されています。
Shua Kalaliのメニューがこちら ▼
ジョージア料理の定番系が幅広く揃ったメニューですが、まず驚くのがその価格。
・アチャルリ・ハチャプリ:6GEL(=¥300)
・ヒンカリ:1個0.8GEL(=¥400)
・オジャフリ:8GEL(=¥400)
・オーストリ:8GEL(=¥400)
・前菜系:4GEL(=¥200)~
・シュクメルリ:22GEL(=¥1100)
・生ビール:2GEL(=¥100)
このように、ほぼ全てのメニューの価格がトビリシの半額近く/バトゥミの3分の2ほどの価格帯なのです。
いまどき、ヒンカリを1個0.8GELやハチャプリを6GEL(=¥300)で提供してくれるレストランは、ジョージアにはほとんど残っていませんから。
しかも!このお店はレストランなのにサービス料がチャージされません。
トビリシやバトゥミのある程度の店では、10%~15%のサービス料がお会計時にしれっと加算されることがほとんどですが、Shua Kalakiにはそのシステムはなし。
どこまでも明朗会計すぎて、儲かっているのか心配になるレベル…
激安な価格の素晴らしさはもちろん、Shua Kalakiの料理は何を食べてもハズれないのがすごいところ。
前菜系、スープ料理、BBQ料理、ハチャプリ系…どれもちゃんと手作りで温かみのある味わい&量も多く、「この値段でこのクオリティー!?」と驚くはずです。
個人的にShua Kalakiのおすすめが1個0.8GEL(=¥40)のヒンカリ。
つるつるでやや厚めの生地をひと口かじると、たっぷんたぷんの肉汁スープがびちゃびちゃと染み出し、ハーブとスパイスが効いたほろっほろのひき肉の旨味にノックアウトされます。
そして、Shua Kalakiでもう一つ挑戦したいのが、アジャラ風シュクメルリ。
ジョージア他地域のシュクメルリとは異なる調理法のご当地グルメで、サワークリームの海に鶏一羽分がどーんと鎮座しているインパクト抜群の一品です。
アジャラ風シュクメルリは、鶏肉とニンニクを焼いた油は使用されないため、ニンニク感も油っこさも控えめなあっさりした味わいが最大の特徴。
とはいえ一人で食べきれる量ではないので、注文時は心のご準備を…
Shua Kalakiはてきぱきと働く店員の女性たちの愛想も良く、レストランながらどこかのんびりとしたジョージア地方部感が漂っているのも高ポイント。
コブレティ民がどうしてこの店を誇らしく思うのか、実際に訪れればすぐに理解できるはずです。
②コブレティ地元民に交ざって食事!【Cafe Ruslan】
続いて紹介するのが、バザール(市場)のすぐ近くに位置するCafe Ruslan。【マップ 赤②】
その名の通りルスランおじさんが経営する小さな食堂で、手作りの看板と色褪せたオレンジ色のカーテンが目印です。
Cafe Ruslanは、市場で働く人がさっと食事を済ませるための食堂といった感じで、のぶよが訪れた際も馴染みの客らしき人が入れ替わり立ち替わり食事をしに来ていました。
Cafe Ruslanのメニューはこちら ▼
食堂の壁にどーんと掲げられた黒板には、ミミズがのたうち回ったかのようなジョージア文字がにゅろにゅろ。
おそらくジョージア語を知らない人はちんぷんかんぷんだと思うので、少し詳細に解説します。(もしかしたら日替わりでメニューが変わる可能性もあるけど)
・ロビオ6GEL(=¥300):豆のスパイス煮込み
・オーストリ8GEL(=¥400):牛肉のピリ辛トマト煮込み
・ハシュラマ8GEL(=¥400):牛肉ブイヨンとハーブのスープ
・コトレティのピュレ添え:6GEL(=¥300):ハンバーグとマッシュドポテト
・トマトとキュウリのサラダ:5GEL(¥250)
・コブレティ風ボラノ:10GEL(=¥500):例のアレ
・オジャフリ:7GEL(=¥350):豚肉とじゃがいものグリル
・ムツヴァディ:8GEL(=¥400):豚肉BBQ
などなど。ジョージアの定番食堂料理はもちろん、ここアジャラ地方の郷土料理(太字の)もいくつかあるので食べてみるのもおすすめです。
のぶよはアジャラ料理をもう嫌というほどに食してきたので、無難にロビオ(豆の煮込み)を注文しました。
やや濃い目の味つけでハーブの芳醇さが前面に出た味わいは、家庭的でとても美味しかったです。
陽気に旅行者を迎えてくれるオーナーのルスランおじさんの人柄も素敵。
コブレティのローカル民のランチタイムに潜り込んで食事したい人にはおすすめです!
③最強掘っ立て小屋食堂!【ノダリの家】
最後に紹介するのが、バザールエリアの用水路沿いにある掘っ立て小屋のような名もなき食堂。
店名をつけるという概念自体がないようで、店のおじさんに尋ねたところ「ノダリ(おじさんの名前)の家!」と自信満々かつ適当さ全開で答えられたので、のぶよはこの場所をノダリの家と呼ぶことにしました。【マップ 赤③】
とにかく、コブレティを訪れるならこの店に行ってください。
ビーチより世界遺産よりバザールより、この店で食事をすることがコブレティ観光最大のハイライトなのですから。
とにかく何を食べても美味しく、激安価格で、果てしない場末感で…
ジョージア各地でさまざまな食堂を訪れてきたのぶよが言うんだから間違いありません。ノダリの家はジョージア全国の食堂の中でもBEST3に入る素晴らしい店です。
あまりに感動して通いまくったので、ノダリの家のメニューや推しポイントは別記事にまとめています。
この店に行かずして、コブレティを語ることなどできません!
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