こんにちは!アルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
「アルメニアのスイス」と呼ばれる、高原リゾート・ディリジャン(Dilijan / Դիլիջան)。
アルメニア屈指の山岳リゾートエリアであるディリジャン国立公園観光&滞在の中心となる町で、外国人旅行者はもちろん、夏場は灼熱となるエレバンを脱出してきたアルメニア人にとっても大人気です。
ディリジャンは、ソ連時代から人気の避暑地だった町。
周辺には世界遺産に指定されているゴシャヴァンク修道院やハガルツィン修道院などの歴史スポットもあり、国立公園の大自然を五感で感じられるハイキング天国としても有名です。
アルメニアの定番観光エリアの一つであるディリジャンですが、今回紹介するのは「知る人ぞ知る」といった穴場のスポット。
ジュフタ修道院とマトサヴァンク修道院の二つの修道院を歩いてまわる「中世修道院ハイキングコース」です。
ハイキングコース上の見どころである二つの修道院は、いずれも13世紀に建設された歴史あるものですが、現在は廃墟となっています。
…廃墟だからといって、あなどることなかれ。
ディリジャン国立公園の大自然の中にひっそりとたたずむかつての修道院は、まるでジブリの世界から飛び出してきたような幻想的な姿で旅行者を迎えてくれるのです。
(というか、アルメニアの修道院の廃墟はどれも異世界感たっぷりで見ごたえバッチリ!)
「あまり歩くのはなあ…」といった人でも大丈夫!
歩く時間と修道院の見学時間を含めてもたったの2時間ほどでまわることができ、アップダウンも少なめなコースなので、ハイキング初心者でも簡単に挑戦することができます。
今回の記事は、ディリジャン中世修道院ハイキングコースのアレコレを解説するもの。
ディリジャンの緑でいっぱいの風景を満喫できるのはもちろんのこと。
異世界に迷い込んだかのような修道院の雰囲気に感動間違いなしです!
ディリジャン中世修道院ハイキングコース詳細
コース詳細
・所要時間:1時間
・距離:3.5km
・高低差:▲▼ 130m
ディリジャン中世修道院ハイキングコースは、初心者でも簡単に歩けるコース。
アップダウンは比較的少なめで、スタート地点からゴール地点までぐるりと周回するコースです。
ハイキング自体の所要時間は1時間ほどですが、二つの修道院の見学時間(それぞれ30分ほど)を加えて、合計2時間ほどを見ておきましょう。(タクシーでスタート地点までアクセスする場合)
個人でマルシュルートカ + 徒歩でアクセスする場合は、ハイキング+修道院の見学時間(2時間)に加えて、マルシュルートカ終点~ハイキングスタート地点の往復3.6km/1時間ほどをプラスして合計3時間ほどかかると考えておきましょう。
ディリジャン中世修道院ハイキングコースの見どころ
ディリジャン中世修道院ハイキングコースの見どころは、山の中にひっそりとたたずむ二つの修道院。
いずれもかなり見ごたえがありますが、のぶよ的ハイライトは②マトサヴァンク修道院です。
スタート地点からぐるりと円を描くように一周して戻ってくるコースなので、当記事で紹介しているのとは反対方向に歩くことも可能です。(難易度も同じようなもんでしょう)
スタート地点~ジュフタク修道院間コース情報
・所要時間:15分
・距離:670m
・高低差:▲80m
ハイキングスタート地点からジュフタク修道院までは、「4WDならなんとか通れるかな?」といった未舗装道路を歩いていきます。(アルメニア人は自家用車で強引にアクセスしていました)
この区間に関しては、ハイキング的な醍醐味はあまりないかも。
ゆるやかな上り坂を歩くこと15分ほどで、最初の見どころであるジュフタク修道院に到着します。
①ジュフタク修道院
ハイキングコース最初の見どころが、12世紀建造のジュフタク修道院(Jukhtak monastery / Ջուխտակ վանք)。
アルメニア語で「双子」を意味する名前の通り、聖グリゴル教会と聖母教会の二つの教会が肩を並べています。
ジュフタク修道院の敷地は広くはなく、30分もあれば十分に見学できる規模です。
聖グリゴル教会
ジュフタク修道院の入口にどっしりと構えるのが聖グリゴル教会(St. Grigor church)。
緑の木々に覆わんばかりの姿は「森の中の教会」のイメージそのまま。
かつてのドーム型天井は現存しておらず、一階の聖堂部分だけが残っています。
聖グリゴル教会がいつ頃建設されたのかは定かではありませんが、次に紹介する聖母教会が完成した1201年にはすでにこの場所に建っていたと言われているそう。
天井のドーム跡から差し込む自然光に照らされた教会内部は、ピリッとした独特の雰囲気に包まれていました。
聖母教会
ジュフタク修道院におけるメインの教会が、敷地の奥に建つ聖母教会(St. Astvatsarsin church)。
教会入口に刻まれた碑文によると、1201年に完成したものだそうです。
教会内部はとても小さな空間で、やや薄暗め。
シンプルな内装の中に灯るロウソクが、現役の祈りの場らしい厳かな雰囲気を演出していました。
ジュフタク修道院~マトサヴァンク修道院コース情報
・所要時間:35分
・距離:1.8km
・高低差:▲80m ▼40m
ジュフタク修道院~マトサヴァンク修道院間は、ハイキング的な醍醐味がたっぷりと味わえる区間。
車は通れないトレッキングコースを歩くこととなり、ディリジャン国立公園の緑いっぱいの風景に癒されながらの30分強の道のりです。
おおまかに言うと、「下り→川を渡る→上り」といった感じ。
コースはちゃんとマーキングされていますが、途中にいくつか分岐があってわかりにくいポイントもあったので、地図アプリ等を利用しながら歩きましょう。(とはいえ、分岐を間違えても結局は正しいコースに合流するので迷う可能性は少なめ)
川を渡った後はやや急な上り坂が300mほど続き、登りきった後はマトサヴァンク修道院まで平坦な道のりになります。
②マトサヴァンク修道院 ハイライト!
中世修道院ハイキングコースの二つ目の見どころが、1247年建造のマトサヴァンク修道院(Matosavank monastery / Մաթոսավանք)。
入口部分から修道院の建物を眺めると、まるで石の要塞のよう。
長い間手入れがされていないためか、緑に覆われるがままの外観からはものすごい異世界感を感じます。
外観からすでに圧倒されること間違いなしのマトサヴァンク修道院ですが、必見なのは内部。
内部はさほど広くはありませんが、ゲヴィト(拝廊) / 書庫 / 聖母教会 の三つの空間に分かれています。
ゲヴィト(拝廊)
入口の門を抜けた先に広がる空間が、「ゲヴィト」と呼ばれる拝廊。
アルメニアの教会の多くに併設されているゲヴィトは、聖堂内部に入ることができなかった人々(=洗礼を受けていない)でも祈りを捧げられるように設置されたものです。
ゲヴィトを取り囲む四方の壁は緑色の苔にびっしりと覆われていて、すでにジブリの世界感。
地面には墓石がいくつも並び、この場所が聖地として機能していた時代を思わせます。
書庫
ゲヴィト(拝廊)の東側に設置された小さな空間が書庫。
中世以降、多くの異民族によって侵略&支配されたアルメニアにおいては、歴史ある書物や文献をどう守るかが重要な課題でした。
そこで当時のアルメニアの人々が考え出したのが、人里離れた場所にある教会や修道院に書庫を建設して貴重な書物を保存すること。
12世紀~13世紀の間、多くの修道院に書庫が増設されたのはこのためなのです。
聖母教会
マトサヴァンク修道院の南側、ゲヴィト(拝廊)を抜けた先にあるのが聖母教会(St. Astvatsarsin church)。
緑色に変色した壁に四方を囲まれた小さな空間は、もはやこの世の風景ではないかのよう。
かつてのドーム型天井は抜け落ち、差し込む自然光が神秘的な雰囲気をさらに強めています。
ディリジャン周辺地域は、アルメニアの中でもかなり湿度が高く降水量が多いエリア。
長い時間をかけて育った苔が壁をびっしりと覆い、現在の不思議な光景をつくりだしたのでしょう。
人っ子ひとりいない教会内部は、完全なる静寂が支配する世界。
この小さな空間だけが現世から切り離されてしまったよう…そんな不思議な気分にさせられました。
マトサヴァンク修道院~スタート地点間コース情報
・所要時間:15分
・距離:930m
・高低差:▼130m
マトサヴァンク修道院からハイキングのスタート地点までは、林の中を下っていくだけの超簡単なコース。
はじめはコースがいくつか分岐していて少々わかりづらいですが、どの分岐を行っても結局未舗装道路に合流するので安心。
マトサヴァンク修道院から15分ほどで、ハイキングのスタート地点に戻ることができます。
ディリジャン中世修道院ハイキングコースへのアクセス情報
ジュフタク修道院とマトサヴァンク修道院が位置するのは、ディリジャンの中心街から北西に6kmほど離れた場所。
首都のエレバンから日帰りで訪れるよりも、ディリジャンに滞在しながら半日ほどをかけて観光するのがおすすめです。
ディリジャン~中世修道院ハイキングコース間のアクセス方法は、大きく分けて2通り。
予算や都合に合ったものを選ぶのがポイントです!
①タクシー
最も簡単&効率的な移動手段が、ディリジャン中心街でタクシーをチャーターしてしまうこと。
ディリジャン中心街~ハイキングコース入口間の往復 + ハイキング中の待機時間2時間で、1台3000AMD(=¥667)ほどが料金相場です。
多くの観光客が訪れるディリジャンでは、タクシー料金の相場が季節や交渉によって大きく上下する点に要注意。
のぶよ的には、せっかくタクシーを利用するなら丸一日チャーターして、ディリジャン近郊の見どころをまとめてまわってしまうのが効率的だと思います。
②マルシュルートカ + 徒歩
のぶよのように「タクシーは使いたくない!」という人は、ディリジャンの中心街から市内マルシュルートカ(乗り合いのミニバス)を利用して、ハイキングコース入口の手前までアクセスすることも可能。
東西に細長く広がるディリジャンの町には、30分に1本の頻度で地元民用のマルシュルートカが走っています▼
ディリジャンの東の端に位置するシャフミャン地区(Shahumyan)~中心街~バスステーション~西の端のアボヴャン地区(Abovyan)を結ぶ路線で、この区間を行ったり来たりするルートです。
中世修道院ハイキングコースのスタート地点の最寄りは、アボヴャン地区のバス停。
バスを降りて1.8km/30分(片道)歩いたところがスタート地点となります。
ここからは、ディリジャン中心街からハイキングコース入口までのアクセスを詳細に解説していきます。
ディリジャン→アボヴャン (往路)
中心街から西方面へと走る市内マルシュルートカに乗れば、ものの10分ほどで終点のアボヴャン地区(Abovyan / Աբովյան)のバス停に到着します。
マルシュルートカの行き先表示はアルメニア語表記だけなので、運転手に行き先を確認することをお忘れなく!
アボヴャン→ハイキングコース入口
アボヴャン地区のバス停に到着後、マルシュルートカはこれより先には行かずにディリジャン方面へと折り返すルートをとります。
目的のハイキングコースはさらに1.8kmほど先にあるので、ここから先は徒歩となります。
ゆるやかな上り坂を歩くこと30分ほどでハイキングコースの入口に到着 ▼
右の上り坂が①ジュフタク修道院に続く道で、左の緑色の看板あたりから下る道が②マトサヴァンク修道院に続く道です。
アボヴャン→ディリジャン(復路)
ハイキングを終えてディリジャン市内に戻る際も、行きと要領は同じ。
ハイキングコース入口→アボヴャン地区のバス停間の1.8kmを歩いて、行きと同じバス停から30分に1本出ている市内マルシュルートカに乗るだけです。
2021年8月現在、アボヴャン地区→ディリジャン中心街方面の市内マルシュルートカの最終は18:00とのこと。
とはいえ、逃したらディリジャン中心街まで5kmほど歩くことになってしまうので、早めの便に乗るのがおすすめです。
おわりに
ほとんど情報がない、ディリジャン周辺の中世修道院ハイキングコースを紹介しました。
のぶよもディリジャンに来る前は全く知らなかった場所でしたが、実際に訪れてみたらものすごい感動が味わえました。
異世界感たっぷりの修道院自体もすごいですが、手軽にディリジャン国立公園の緑いっぱいの風景の中を歩けるのも魅力の一つ。
外国人観光客の姿はとんどなく、アルメニア人がお祈りに訪れるだけの静かな雰囲気も気に入りました。
ディリジャン滞在中に、ぜひとも足をのばしてみてはいかがでしょうか!
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