こんにちは!アルメニア滞在ももうすぐ4ヶ月!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ)
「アルメニア人の心のふるさと」と呼ばれるアララト山。
聖書に登場するノアの方舟が、大洪水の際に到達した地とされており、トルコ領となった現在でもアルメニアの人々に想われ続ける存在です。
天気が良い日であれば、首都のエレバンからでもその雄大な姿は見られます。
しかし、より美しいアララト山の絶景を望める場所がエレバンからすぐの場所にあることは、意外に知られていません。
それが、今回紹介するチャレンツのアーチ(Charent’s Arch / Չարենցի կամար)。
その名の通り、アーチ型をした石造りのモニュメント。
ここからは、ダイナミックな大地の風景と、それを抱くようにそびえるアララト山が一望できるのです。
ここが100万人都市・エレバンからたったの10km足らずの場所に位置するなんて、にわかには信じられないほど。
視界には遮るものの一つもなし。
荒涼とした大地を眺めていると、まるで本当にこの場所で大洪水が起こり、一艘の木船がアララト山を目指して進んでいる風景が浮かんでくるようです。
チャレンツのアーチ自体の見どころは絶景鑑賞くらいなので、30分もみておけば十分なほど。
周辺に点在する見どころと組み合わせて、充実のデイトリップにするのがおすすめです。
チャレンツのアーチは、エレバンからのデイトリップの定番・ガルニ神殿&ゲガルド修道院への道沿いに位置しているので、これらのスポットとセットで訪れることもできます。
また、チャレンツのアーチの近くにはジルヴェジュ森林公園という自然スポットも。
秋には「黄金の道」と呼ばれる美しい風景が見られるので、散策していくのもおすすめです。
今回の記事は、なぜか旅行者の間では知られていないチャレンツのアーチ周辺の観光情報を解説するもの。
エレバンから個人で公共交通を利用してのアクセスが簡単な点も◎
市内観光がひと段落したら、ぜひとも足をのばしてほしいです!
聖書の絶景に感動!チャレンツのアーチ
エレバン中心街から東に10km足らず。
ここが首都からすぐの場所だとは信じられないほどの、何もない荒野の中にぽつりとたたずむのがチャレンツのアーチです。
ソ連時代に完成したものですが、建造物からはソ連っぽさをあまり感じないのが不思議。
この場所の名前の由来となったのは、イェギシェ・チャレンツ(Yeghishe Charents)という20世紀初頭の詩人。
ロシア帝国支配時代の1897年にカルス(現在のトルコ)で生まれたチャレンツは、第一次世界大戦やアルメニア人大虐殺、ソ連併合などアルメニアにおける激動の時代を生き抜き、祖国アルメニアに関する作品を多く残した人物です。
チャレンツはよくこの場所を訪れ、アララト山を眺めながらインスピレーションを受けていたそう。
1937年の死没から20年を記念して、1957年にアーチ型の建造物が完成しました。
チャレンツのアーチからの眺めは、とにかく雄大でダイナミック。
「これぞアルメニア!」という荒涼とした大地の風景がどこまでも広がり、人間の手による建造物は一つも見当たりません。
大地の風景だけでも素晴らしいのですが、やっぱり一番圧倒されるのは山頂に白い雪をかぶったアララト山。
聖書の中に登場するノアの方舟が、大洪水の際に到達した地であるとされており、キリスト教国であるアルメニアにおいては大変重要な存在です。
見渡す限りの荒涼とした大地。その向こうに凛とたたずむアララト山を眺めていると、信仰に関係なくノアの方舟伝説を信じたくなるはず。
大昔、本当に洪水が起こって目の前の大地が水に呑まれ、水面から顔を出すのはアララト山の山頂だけ…
ノアの方舟がゆっくりと、真っ白な頂を目指して進む光景が浮かんできます。
ノアの方舟の木片
聖書に登場するノアの方舟は、いちおうは「伝説」の域を出ない話。
しかしアルメニアにはノアの方舟の破片が現存していて、伝説ではなく史実だと信じる人が多いのも事実です。
ノアの方舟の木片が保存されているのは、世界遺産の宗教都市・エチミアジンの宝物庫内。
実際に自分の目で見ると、木片から発せられる神聖なオーラに圧倒されるはずです。
「黄金の道」を散策!ジルヴェジュ森林公園
チャレンツのアーチの観光自体は数十分もあれば十分。
そのままエレバンに戻るのも、さらに先に位置するガルニ神殿やゲガルド修道院へと向かうのも、プランニングは自由自在です。
もしエレバンに戻るプランの場合は、チャレンツのアーチから2.8kmほど西(エレバン寄り)に位置するジルヴェジュ森林公園(Jrvezh / Ջրվեժ)に立ち寄るのが◎
チャレンツのアーチ→ジルヴェジュ森林公園の順だと、徒歩ルートが下り坂となるのでおすすめです!
地図アプリでは何本か道があるように表示されているものの、一般客が立ち入ることができる森林公園の入口は上の写真の1か所だけ。
入口脇には見張り小屋があって、入っていいのか不安になるかもしれませんが普通に入ってOKです。
ジルヴェジュ森林公園に秋に訪れることができる人は、とにかくラッキー。
「黄金の道」と呼ばれる風景を見ることができるからです ▼
公園内に整備された遊歩道の両側に、ずらりと並ぶ白樺並木。
縦に長くのびる木の枝から落ちた黄色い葉が、歩道の両側に積もって「黄金の道」をつくりだすのです。
ジルヴェジュ森林公園が位置するエレバン近郊地区では、アルメニアの他地域より若干紅葉の時期は遅め。
年にもよりますが、10月前半~中旬くらいがピークとなります。
「黄金の小道」が見られるのは、紅葉のピークの少し後に色づいた葉が落ちる10月後半~11月前半くらいでしょうか。
のぶよが訪れたのは10月後半のことでしたが、完璧すぎるくらいの「秋と冬の境目」の光景が広がっていました。
チャレンツのアーチへのアクセス情報
チャレンツのアーチは、エレバンから東に10kmほど離れた荒野にあります。
ほとんどの旅行者にとっては、エレバンから日帰りで訪れるのが定番。
エレバン~チャレンツのアーチ間のアクセス方法は、大きく分けて3通りあります。
予算やスケジュールに合ったものを選びましょう!
①タクシー
最も簡単&効率的な移動手段が、エレバンでタクシーをチャーターしてしまうこと。
エレバン~チャレンツのアーチ間の単純往復 + 観光時の待機時間30分ほどで、1台2000AMD(=¥479)ほどが料金相場です。
のぶよ的には、せっかくタクシーをチャーターするならチャレンツのアーチよりさらに西にあるガルニ&ゲガルドエリアをセットでまわるのが効率的だと思います。
これらはすべて、チャレンツのアーチと同じ幹線道路沿いにあるのでセットで訪れるのが定番!
チャレンツのアーチ/ガルニ神殿/ガルニ渓谷/ゲガルド修道院をセットでまわる場合のタクシーチャーター料金の相場は、1台15000AMD(=¥3325)~ですが、交渉次第で上下します。
②現地ツアー
1日で効率的にチャレンツのアーチやガルニ&ゲガルドエリアをまわりたいなら、現地ツアーに参加してしまうのもおすすめ。
アルメニアは小さな国土に見どころがギュッと詰まっているものの、公共交通機関がやや不便なのがネック。
移動を考えなくて良い&リーズナブルな現地ツアーは、一人旅の人にとっても便利です。
ツアーによってはチャレンツのアーチに立ち寄らないものもあるので、予約時の確認はお忘れなく!
③マルシュルートカ
チャレンツのアーチへは、マルシュルートカ(公共ミニバス)を利用してのアクセスも簡単。
この辺りは道が一本しかなく、ガルニ&ゲガルド修道院方面へ向かう便を利用すればOKです。
エレバンからチャレンツのアーチへは、マルシュルートカ(公共ミニバス)を利用して20分もかからずにアクセスでき、本数も40分に1本ほど。
アルメニア全体を見てもかなりアクセスしやすい部類です。
ここでは、個人でチャレンツのアーチへ行く人向けに、マルシュルートカでのアクセス情報をできる限り詳細に解説していきます。
エレバン→チャレンツのアーチ方面(往路)
【①ガイ・バスステーションへ行く】
エレバン発着のマルシュルートカでややこしいのが、行き先によってバスターミナルが異なる点。
チャレンツのアーチを経由してガルニ村方面へ向かうマルシュルートカが発着するのが、中心街の東に位置するガイ・バスステーション(Gai Bus statuon)です ▼
バスステーションとは名ばかりの、幹線道路沿いの脇道といった雰囲気ですが、数台のマルシュルートカが常に停車しているのですぐにわかります。
エレバン中心部とガイ・バスステーションはかなり離れていて、とても歩ける距離ではありません。
市内路線バスやトロリーバスを利用しましょう。
(ガイ・バスステーション近くには地下鉄が通っていません)
・中心街(メスロプ・マシュトツ通り)から:トロリーバス1番/路線バス5番・8番・26番etc
・エレバン中央駅から:路線バス22番・44番
【②ガルニ経由ゴグト行きの便に乗る】
ガイ・バスステーションに到着したら、あとはもう簡単。
チャレンツのアーチやガルニ村を経由するゴグト(Goght / Գողթ)行きの便に乗るだけです。
エレバン~ガルニ~ゴグト間の路線は、265番/266番/284番の3種類あり、どれに乗っても同じルートをとります。
出発地も目的地もルートも同一なのに、なぜ便番号が変わるのかはアルメニアンミステリー。
上の3つの番号のいずれかの便が30分から40分に1本出発しており、乗客が多くても少なくても定刻になると発車するシステムなので、満員になるまで待たされることもありません。
【③チャレンツのアーチ前で下車】
エレバン市街地を抜け、ゆるやかな坂道を走ること20分ほどで、マルシュルートカはチャレンツのアーチ目の前の駐車場を通ります。
運転手に「ここで降りたい!」と言って、途中下車すればOKです。
チャレンツのアーチ→エレバン方面(復路)
チャレンツのアーチ観光を終えてエレバンに戻る際も、往路の行程を反対にたどるだけなので簡単。
行きでマルシュルートカを降りた駐車場の反対車線で、来た時と反対方向に走って来るバスを待ちましょう。
30分~40分に1本はエレバン行きのバスが通るので、手で合図をして乗るだけ。
(合図しないと停車してくれない場合もあるので注意)
エレバン到着時は、行きの出発地のガイ・バスステーション周辺の幹線道路沿いで降ろされます。
ゴグト→ガルニ→チャレンツのアーチ→エレバン行きの最終マルシュルートカは、ゴグト村18:00発のもの。
チャレンツのアーチ前を通過するのは18:30分頃となります。
万が一のことを考えて、最終マルシュルートカではなくもう少し早い時間の便を利用するのが◎
チャレンツのアーチ→ガルニ方面
チャレンツのアーチを最初に観光して、そのままガルニ村/ゲガルド修道院方面へと向かう場合も、来た時と同じ265番/266番/284番のいずれかの便に途中乗車すればOKです。
30分~40分に1本は、いずれかのマルシュルートカがチャレンツのアーチ前の駐車場を通るので、手を挙げて合図するだけ。
注意したいのが、いずれのマルシュルートカもガルニ村経由ゴグト村行きで、ゲガルド修道院まで行く便は存在しない点 ▼
ゴグト村~ゲガルド修道院間の5.2kmは、自分の足で歩く必要があるのが最大のネックとなります。
(まあ十中八九誰かが乗せてくれると思いますが)
そのため、エレバンから日帰りで公共交通手段&徒歩でこのエリアの見どころを全てまわる場合、早朝から動かなければならない&結構タイトなスケジュールとなる点にご注意を。
のぶよ的には、ゲストハウスやレストランが点在しているガルニ村に1泊して、ゆったりしたスケジュールでまわるのがおすすめです。
おわりに
エレバン近郊の隠れた絶景スポット、チャレンツのアーチの観光情報を紹介しました。
エレバンのすぐそばにあるとは信じられないほどの絶景には感動間違いなし!
個人でも簡単&気軽に行けますし、ガルニ&ゲガルド修道院など定番スポットとの組み合わせができる点もメリットです。
世界最古のキリスト教国・アルメニアを象徴するかのような「聖書の絶景」を、ぜひとも自分の目で眺めてみてはいかがでしょうか。
コメント