こんにちは!セルビアに3週間滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
セルビア西部、ボスニア・ヘルツェゴビナの国境までたったの5kmほどに位置するモクラ・ゴラ村。
数十件の田舎風の家があるだけの険しい山に囲まれた小さなこの村は、セルビアを代表する観光地として名を馳せています。
映画「ライフ・イズ・ミラクル」の世界がそのままに広がる映画村・ドルヴェングラード(クステンドルフ)や、一度は廃線となった山岳鉄道を観光用に整備したシャルガン8(エイト)鉄道など、観光客が好みそうなアトラクションに恵まれたモクラ・ゴラ。
まさに「山の中のテーマパーク・ビレッジ」という言葉が似合います。
大自然の中で、一日を「THE・観光客」として過ごしてみるのも悪くありませんよ。
モクラ・ゴラの観光スポット
モクラ・ゴラと切っても切り離せない関係にあるのが、エミール・クストリツァ監督の作品・「ライフ・イズ・ミラクル」。
映画の世界に迷い込んでしまったように感じられるスポットの数々は、観光客に大人気です。
ドルヴェングラード (クステンドルフ)
2004年に公開されたセルビア映画「ライフ・イズ・ミラクル」。
(当時はセルビア=モンテネグロという連邦国家)
その映画の舞台となったのがモクラ・ゴラでした。
監督のエミール・クストリッツァは、映画の撮影のためにこの村を造成しました。
彼はモクラ・ゴラを大層気に入り、なんと撮影終了後に映画のロケ地を丸ごと買い取ってしまったのです。
ドルヴェングラード(木の町)と名付けられたこの村には、その名の通り、セルビアの伝統的建築様式を充実に再現した木造の家々が作られました。
昔の建築様式に忠実に作られた家々は、まるで昔からこの地にあったものであるよう。
歩道脇の木柵にまで、こだわって作られています。
エミール・クストリッツァはこの村の別名を「クステンドルフ」(ドイツ語で「クストリッツァの村」という意味の造語)とし、敬愛する映画監督や俳優の名前をストリート名にしたり、自分の映画のみが延々と上映される映画館を作ったりと、趣味100%の世界を作り上げたのです。
しまいには、この村の住人となって生活を始めてしまったほど。
現在でも彼はこの村に住んでおり、タイミングが合えばその姿を見かけることもあるそうですよ。
(結構な頻度で居るらしい)
エミール・クストリッツァが、ここまで「自分の村」を作るのにこだわる理由は、映画「ライフ・イズ・ミラクル」のテーマにもなっているボスニア内戦にあります。
ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のエミール・クストリッツァは、戦争を逃れてセルビアへと移住しました。
祖国も故郷も戦争によって失ってしまった彼は、自分の手で理想とする「第二の故郷」を作ることにこだわったそうです。
映画に出てくるスポットに多く出会えるモクラ・ゴラの観光が、より印象深くなること間違いありません。モクラ・ゴラ観光の前には是非鑑賞しておきましょう。
インフォメーション
ドルヴェングラード (クステンドルフ)
住所:Lotika d.o.o, 31243, Mokra Gora
営業時間:24時間
料金:250DIN(=¥260)
シャルガン8(エイト)鉄道
モクラ・ゴラ周辺の深い山の中を、8の字を描くように走る山岳鉄道であるシャルガン8(エイト)。
現在では観光用列車のみの運行となっており、山道をゴトゴトと走るレトロな鉄道の車窓からは絶景が望めます。
映画「ライフ・イズ・ミラクル」の中でも、数多く登場する線路や駅のシーンそのままのスポットが点在し、映画に出てくるそのままのレトロな鉄道は、ファンには見逃せないもの。
ドルヴェングラードと併せて、モクラ・ゴラ観光で外せないアトラクションです。
ベラ・ヴォダ
モクラ・ゴラ駅から、平坦な道を2kmほど歩いたところにあるのが、ベラ・ヴォダ(Belo Voda)と呼ばれる天然の湧き水スポットです。
セルビア語で「白い水」という意味のベラ・ヴォダ。
山に囲まれた泉のすぐそばには、小さな教会があり、神聖な雰囲気が漂っています。
先に紹介したシャルガン8(エイト)の車窓からも見えるベラ・ヴォダ。
セルビア人の間では結構有名なスポットらしく、大きなペットボトルを持参して水を汲んでいく人の姿が見られました。
大地のミネラルを多量に含んだ水は、目の病気に効果があるそうです。
泉というよりは、井戸の中の湧き水をくみ上げる形式です。
せっかくなので、水に触れてみてびっくり。
なんだかねっとりしています。そして、温泉水のような鉄っぽい匂いが。
一口飲んでみると、お世辞にも美味しいとは言えない味。
日本の温泉地にある飲用の温泉に似たような味がしました。
なんだか心も身体も浄化されたような気分になって、元来た道を戻ります。
途中の風景は、「テーマパーク・ビレッジ」、モクラ・ゴラとは別の顔。
どこまでも続く山々に点在する家々と、草を食む馬や羊の群れ…。
昔から変わらない、モクラ・ゴラの素朴な面を見ることができました。
モクラ・ゴラのおすすめ宿
Villa MIR
住所:Mokra Gora-centar bb, Mokra Gora 31243
料金:1800DIN(=¥1881)
部屋:トリプルルーム1人利用(バス・トイレ共用)
立地:9/10
モクラ・ゴラ駅まで徒歩5分ほど。
他の見どころへも徒歩圏内でかなり便利な立地です。
アクセス:10/10
宿の入口には”SOBE”(セルビア語で「部屋貸し」)の表示があるのでとても分かりやすいです。
おじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる家の2階部分を宿として利用しており、常に人がいるのでチェックインもスムーズです。
スタッフ:8/10
笑顔が素敵なおじいちゃんとおばあちゃん。ラキアやケーキをごちそうしてくれました。
英語は全く通じませんが、温かい人柄は伝わってきます。
清潔さ:8/10
部屋は古いものの、とてもきれいに保たれています。
バスルームも問題なく、全体的に清潔でした。
設備:6/10
キッチンはないものの、冷蔵庫はあり。
部屋には机があったのが嬉しかったです。
wi-fi:9/10
速度、接続ともに問題なし。
雰囲気:8/10
田舎の家庭にホームステイしに来たように感じる場所です。
ホテルのような一流のおもてなしはありませんが、素朴で温かくゲストを迎えてくれます。
宿の1階部分のテラスから眺めるモクラ・ゴラの山々がとても素敵でした。
総合:8.2/10
モクラ・ゴラに来たなら是非おすすめしたい宿です。
立地は抜群によく、居心地も抜群。
料金は少々高めですが、ホステルがないモクラ・ゴラでは最安値の部類です。
超厄介!モクラ・ゴラへのアクセスと注意点
モクラ・ゴラへのアクセスの拠点は、セルビア西部のウジツェ(Uzice)。
2時間に1本ほどの割合で、中型バスが運行されています。
料金は、バス代140DIN(=¥145)+バスターミナル使用料100DIN(=¥104)で、合計240DIN(=¥250)。
所要時間は1時間15分。
ウジツェ発11:00の大型バスは、モクラゴラを12:00~12:15頃に経由して、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都・サラエボへと向かいます。
Balkanviatorのサイトを見ると、行きも帰りもかなりの頻度でバスが運行されているように見えますが、実際の本数はかなり少ないです。
さらに、土日はモクラ・ゴラからウジツェへ戻るバスが激減するので要注意です。
のぶよがモクラ・ゴラを訪れたのは土曜日のこと。
「どうせバスはある」と思って、帰りのバスのことまで考えずにのんきに観光していたのですが、いつまでたってもバスがやってくる気配がありません。
地元の人に聞いても、「16:30に一本ある」とか、「今日は朝11時発がウジツェ行きの最終だ」など、人によって帰ってくる答えが違います。
セルビアの田舎では、誰一人としてバスのスケジュールを把握していないのです。
みんなどうやって生活してるの?と不思議になります。
誰もいないバス停で困り果てていると、個人の乗り合いタクシーのおじさんが停車して、「ウジツェまで500DIN(=521)」で乗せてやる」とのこと。
バス利用時の2倍の値段でしたが、本当に何もないモクラ・ゴラで来るかどうかもわからないバスを待つのも嫌だったので、乗っていくことにしました。
というわけで、ウジツェへ帰るバス時刻のチェックはお忘れなく。
とはいえ、ウジツェのバスターミナルの係員でさえ、モクラ・ゴラ→ウジツェのバスの時刻を知らなかったので、もはやチェックする術がないというのが本音です。
本当に、公共交通機関での移動が不便過ぎるセルビア。
一大観光地のモクラ・ゴラですらこれですから、他のもっと田舎な地域への旅がどれだけ面倒くさいかお分かりいただけると思います。
というわけで、交通が不便すぎるモクラ・ゴラ観光。時間が限られているなら、ベオグラード発着の現地日帰りツアーに参加してしまうのが一番。
移動手段を気にせずに観光でき、周辺の観光スポットもあわせてまわれるのでとても効率的です。。
おわりに
セルビア人の間でも大人気の一大観光地、モクラ・ゴラ。
大自然に囲まれた小さな村は、これからも多くの観光客を魅了し続けていくことでしょう。
情報が全く共有されておらず、不便でしかない交通手段だけは何とかしてほしいものですが、ここはセルビア。
山々に囲まれた大自然の静寂の中で満天の星空を眺めながら、モクラ・ゴラで一晩過ごすのもいいものですよ。
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