こんにちは!アルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
首都のエレバンから日帰りで行ける見どころを制覇しようと奔走している今日この頃。
世界遺産に指定されている美しいスポットへと行ってきました。
その名も、ズヴァルトノッツ聖堂(Zvartnots cathedral / Զուարթնոց տաճար)。
まるでギリシャやローマの古代建造物を思い起こさせるような柱の数々に美しいアーチ。
およそ1400年前に築かれた大聖堂の跡で、アララト山を一望するロケーションの良さもあり、観光客に人気の場所となっています。
今回の記事は、ズヴァルトノッツ聖堂の観光情報を解説するもの。
エレバンから個人でのアクセスも簡単。
長い歴史と絶景を堪能しに行きましょう!
ズヴァルトノッツ聖堂の歴史
ズヴァルトノッツ聖堂が完成したのは652年のこと。
当時のアルメニア一帯はササン朝ペルシア帝国(現在のイラン)の支配下にありましたが、帝国の弱体化によって南方からアラブ人による侵攻を絶えず受けていた激動の時代でした。
そんな難しい時代の中で、この場所に大聖堂を建設したのはネルセス3世(Nerses Ⅲ)。
敬虔なキリスト教徒であったネルセス3世は、ビザンツ帝国(キリスト教)とアラブ人(イスラム教)の二つの勢力が拮抗する境界であったズヴァルトノッツに、巨大な聖堂を建設することにしたのです。
当時はただの荒野だったズヴァルトノッツ。
この場所にネルセス3世が聖堂を建設したのは、防衛上の理由だけではありませんでした。
301年に、世界で初めてキリスト教を国教に定めたアルメニア。
その際に、当時のアルメニア王・トルダット3世が啓蒙者グレゴリウスによって洗礼を受け、キリスト教徒に改宗した地がズヴァルトノッツだったと言われています。
この伝説を信じたネルセス3世は、啓蒙者グレゴリウスに捧げる聖堂をズヴァルトノッツに建設することを決意したのです。
聖堂の完成後、ネルセス3世はこの場所に自身の宮殿を建設させ、住まいを移します。
彼の宮殿跡は現在でも聖堂の横に残っており、自由に見学することが可能です。
当時としては珍しい三層構造の豪華な外観と独特の建築スタイルが多くの人々の信仰を集めたズヴァルトノッツ聖堂。
しかし、その華々しい歴史は短いものでした。
完成から320年ほどが経った10世紀頃には、すでに廃墟となっていたと言われています。
どうしてズヴァルトノッツ聖堂は廃墟となってしまったのか…
大地震によって倒壊したという説や、アラブ人による攻撃に耐えきれなかったという説…様々な議論がなされていますが、真相は未だ闇の中。
現在、旅行者を出迎えてくれるのは、千年以上も廃墟としてこの地に残り続けた「元・大聖堂」の残骸と、それを見守るアララト山の雄大な姿だけです。
ズヴァルトノッツ聖堂の見どころ
聖堂跡
ズヴァルトノッツ聖堂内の最大(にして唯一)の見どころが、1600年前の聖堂の跡。
青空を背景に十数本の柱とアーチ、かつての壁の一部が残っているだけですが、不思議な統一感のある光景がとても絵になります。
ズヴァルトノッツ聖堂を訪れた旅行者は、きっとこう思うでしょう。
「なんだか、アルメニアっぽくない。ギリシャやローマの建造物みたい…」と。
それもそのはず。
ズヴァルトノッツ聖堂を象徴する十数本の柱やアーチは、アルメニアではほとんど見られない様式で造られたものなのです。
柱の上部に施された装飾を見ると、古代ギリシアでポピュラーだったイオニア様式を模したものであることがわかります。
これはおそらく、聖堂が建設された7世紀にアルメニア西部に勢力を広げつつあったビザンツ帝国の影響。
ビザンツ帝国の支配下にあった地中海沿岸(イタリア/トルコ/エジプト/シリアetc…)では比較的よく見られる建築様式ですが、内陸部のアルメニアではとても珍しいものです。
聖堂全体の構造もかなり独特で、大中小3つの円柱を重ねた「お堂」のような作りだったそう。
最上部にはドーム屋根が設置され、内部の壁は色とりどりのモザイク画でびっしりと覆われていたのだとか。
現在の遺跡のような風景も味があって素晴らしいですが、当時の聖堂はさらに圧巻だったのでしょうね。
ネルセス3世の宮殿跡
聖堂跡の南側一帯には、ズヴァルトノッツ聖堂を建設したネルセス3世が住んでいた宮殿の跡が残っています。
説明書きなどはほとんどなく、どの部屋がどんな目的で使用されていたのか分からないのが残念…
次の項で紹介するミュージアム内には、かつての宮殿の内装を再現した絵が展示されており、エキゾチックな雰囲気だったことが想像できます ▼
また、聖堂跡から見て東側には、かつてズヴァルトノッツ聖堂の2階と3階部分を構成していた壁やアーチが並べられている発掘現場があります ▼
アルメニアの宗教建造物の多くに描かれているブドウの蔓やザクロの実で装飾されたアーチの数々。
1600年前当時の美しい聖堂の姿を、少しだけ脳内で再現できるかもしれません。
ズヴァルトノッツ博物館
ネルセス3世の宮殿跡を越えた先。一見するとただの民家のような建物が、ズヴァルトノッツ博物館。
すでに紹介した石碑や、聖堂の模型などの考古学的展示の他に、ズヴァルトノッツ周辺地域の伝統的な絨毯や工芸品の展示コーナーもあります。
博物館への入館料は、聖堂自体の入場料に含まれています。
規模はかなり小さくて20分もあれば見学できてしまうほどですが、ズヴァルトノッツ聖堂の歴史やアルメニア文化を知る手がかりとなる展示が充実しています。
忘れずに立ち寄ってくださいね!
ズヴァルトノッツ聖堂のアクセス・行き方
ズヴァルトノッツは、首都エレバンから西に10kmほどしか離れていないので、ほとんどの旅行者にとってエレバンからの日帰り観光が定番。
エレバン~ズヴァルトノッツ間のアクセス方法は、大きく分けて3通りあります。
予算や都合に合ったものを選ぶのがポイントです!
①タクシー
最も簡単&効率的な移動手段が、エレバンでタクシーをチャーターしてしまうこと。
エレバン~ズヴァルトノッツ間の単純往復 + 観光時の待機時間1時間ほどで、1台5000AMD(=¥1133)ほどが料金相場です。
のぶよ的には、せっかくタクシーをチャーターするならズヴァルトノッツの近くにある「聖なる都市」エチミアジンもセットでまわるのが効率的だと思います。
ズヴァルトノッツとエチミアジンをセットでまわる場合のタクシーチャーター料金の相場は、1台10000AMD(=¥2266)~ですが、交渉次第で上下します。
②現地ツアー
1日で効率的にズヴァルトノッツとエチミアジンをまわりたいなら、現地ツアーに参加してしまうのもおすすめ。
アルメニアは小さな国土に見どころがギュッと詰まっているものの、公共交通機関がやや不便なのがネック。
移動を考えなくて良い&リーズナブルな現地ツアーは、一人旅の人にとっても便利です。
③マルシュルートカ
ズヴァルトノッツは個人でマルシュルートカ利用でのアクセスも可能。
エチミアジン行きのマルシュルートカは100%ズヴァルトノッツを経由するので、個人でこれら二つの見どころを組み合わせてまわることも可能です。
ここでは、個人でズヴァルトノッツへアクセスする人向けに、マルシュルートカでのアクセス情報をできる限り詳細に解説していきます。
エレバン→ズヴァルトノッツ方面(往路)
【①キリキア(セントラル)・バスステーションへ行く】
エレバン発着のマルシュルートカでややこしいのが、行き先によってバスターミナルが異なる点。
ズヴァルトノッツ経由エチミアジン行きのマルシュルートカが発着するのが、エレバン中心街の西に位置するキリキア・バスステーション(Kilikia Bus statuon / 「セントラル・バスステーション」とも呼ばれる)です ▼
エレバン中心部とキリキア・バスステーションは2.5kmほど離れています。
歩けないこともないですが、市内路線バスや市内マルシュルートカを利用するのがスムーズ。
【②エチミアジン行き203番マルシュルートカに乗る】
キリキア・バスステーションに着いたら、エチミアジン行きの203番マルシュルートカを待ちます。
203番マルシュルートカは、エレバン~エチミアジン間を行ったり来たりするルートで、10分に1本はバスステーションの敷地内に停車するので便利。(幹線道路沿いのバス停ではないので注意!)
運賃の300AMDは、下車時に運転手に直接払えばOKです。
【③ズヴァルトノッツ聖堂入口で下車】
出発から20分ほどで、マルシュルートカはズヴァルトノッツ聖堂の入口付近を通るので途中下車しましょう。
正規のバス停ではありませんが、運転手に「ズヴァルトノッツ聖堂に行きたい!」と言っておけば、間違いなく聖堂入口の建物付近で降ろしてくれるはず ▼
聖堂入口の建物脇のチケットブースでチケットを購入した後は、神殿まで400mほど真っすぐのびた道を歩いて行くだけです。
ズヴァルトノッツ→エレバン方面(復路)
ズヴァルトノッツ聖堂の見学を終えて、そのままエレバンに戻る場合は、聖堂入口の建物から西に100mほど歩いた場所にあるバス停で203番のマルシュルートカを待ちましょう ▼
聖堂入口の建物前は正規のバス停ではなく、途中乗車できない可能性があるため、こちらのバス停で待った方が確実だと思います。
ズヴァルトノッツ→エチミアジン方面
ズヴァルトノッツ聖堂観光後にエチミアジンへ移動する場合は、エレバン~ズヴァルトノッツ~エチミアジン間を走る203番バスに途中乗車するだけ。
10分に1本はズヴァルトノッツ聖堂付近をマルシュルートカが通るので、手を挙げて合図して停車してもらいましょう。
(この場合も、聖堂入口から西に100mほど離れた正規のバス停で待つのがベター)
アルメニアのバスあるあるなのですが、途中で乗車/下車しようともフルの運賃を支払わなければならない場合が多いです。(この区間の場合、300AMD)
ズヴァルトノッツ~エチミアジン間の移動なら100AMDだけで良いと言ってくれる運転手もいますが、これはおまけみたいなもの。
基本は、エチミアジン~エレバン間のフル運賃である300AMDを支払うと考えておきましょう。
ズヴァルトノッツ聖堂観光のアドバイス
ズヴァルトノッツ聖堂観光の基本情報
営業時間・料金
ズヴァルトノッツ聖堂の入場は無料ではなく、1300AMD(=¥294)の入場料がかかります。
(正直、かなり強気な料金設定だと思う)
また、月曜日はオープンしていない点にも要注意です。
おすすめの時間帯・曜日
ズヴァルトノッツ聖堂は、アルメニア人/外国人問わず人気の観光スポット。
エレバンからの距離も近くてアクセスも良いため、団体ツアーや個人旅行者も多く訪れます。
できるだけ人が少ない状態で観光したいなら、おすすめは平日の開場直後。
ズヴァルトノッツ聖堂が開場するのは朝10時。
のぶよは9:45分頃に聖堂入口に到着しましたが、開場前にもかかわらず入場させてくれたので、人っ子ひとりいない聖堂を楽しむことができました。
おすすめの季節
ズヴァルトノッツ聖堂と言えば、中世の教会跡の向こうにアララト山の雄大な風景が見られることで有名。
しかしながら、ズヴァルトノッツからやや距離があるアララト山は常に見られるわけではありません。
天気が良く空気が澄んだ日限定で、夏場は霞んでしまってほとんど見られないそう。
聖堂跡 × アララト山の絶景を狙うなら、比較的空気が澄んでいる春か秋の朝一番がおすすめ。
冬場はかなりの確立でアララト山が見えるそうですが、いかんせん極寒なので観光には向きません。
服装・持ち物
かつては立派な聖堂であったズヴァルトノッツですが、現在はただの廃墟。
修道院や教会を訪れる際のようなドレスコードはありません。
ただ、ズヴァルトノッツ聖堂とセットで訪れる人が多いエチミアジンの見どころの多くは現役の祈りの場。
これら2か所を同じ日にまわるなら、ドレスコードに則った服装の準備が必須です。
ズヴァルトノッツ聖堂付近には商店やレストランはほぼ存在しません。(聖堂入口にケバブ屋が1軒あるだけ)
しかし、エチミアジンに移動すれば観光に必要な施設やサービスは全て整っているので、わざわざエレバンから色々持っていく必要はないと思います。
ズヴァルトノッツ&エチミアジン観光のポイント
ほとんどの旅行者は、ズヴァルトノッツ聖堂とエチミアジンをセットでまわると思います。
ズヴァルトノッツ聖堂自体は、正直「かつての聖堂跡があるだけ」といった感じ。
敷地内のミュージアム見学を含めても、1時間もあれば十分に見学できてしまうほどの規模です。
対するエチミアジンは、世界遺産に登録された教会が数か所点在している「聖なる都市」。
主な見どころを制覇するなら、半日ほどかかると考えておきましょう。
のぶよ的には、【ズヴァルトノッツ聖堂を朝一番(10:00)に観光→エチミアジンでランチ&観光】というプランがおすすめ。
見どころが分散しているエチミアジンは午後でもあまり混雑しませんが、聖堂跡しかないズヴァルトノッツは午後は阿鼻叫喚となるためです。
おわりに
エレバンから気軽にアクセスできる世界遺産・ズヴァルトノッツ聖堂の観光情報を解説しました。
1600年前の豪華な聖堂の姿をイメージしながら、残された遺跡とアララト山の絶景を堪能できる場所です。
正直、ズヴァルトノッツ単体で観光しても時間を持て余してしまうので、ぜひともエチミアジン観光とセットで訪れましょう!
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