こんにちは!2021年にアルメニアに5ヶ月滞在し、2024年~2025年にかけて絶賛再訪中。世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニアが誇る首都・エレバン(Yerevan / Երևան)は、整然とした中心街に見どころがギュッと詰まった町。

エレバン中心街の定番スポットをまわるだけなら、一日半あれば十分なほど。
正直に言うと、お隣ジョージアの首都・トビリシに比べると、パッとした観光地には恵まれていない町かもしれません。
しかしながら、エレバンの魅力は分かりやすい「THE・観光スポット」の多さだけでは語れないもの。
こじんまりとした中心街とその周辺には、知る人ぞ知る穴場の見どころも点在しているのです。


今回の記事は、エレバンの穴場の見どころや、この町ならではの体験をまとめたもの。
そもそもの観光情報の量に限りがあるエレバンですが、実際に行った人にしか味わえない奥深い魅力もたくさんあります。
合計で2ヶ月ほどエレバンに滞在したのぶよが、こっそり教えたい場所ばかり。
エレバン観光&滞在の際にはぜひ参考にしてほしいです!
今回の記事は「エレバン三部作」の第二弾。
①エレバン観光の定番スポット20選
②エレバン観光の穴場スポットまとめ イマココ!
③エレバン観光に役立つ現地情報・アドバイスまとめ
全部読めば、もうエレバンについては完璧!かも。
- エレバン観光の穴場スポット19選
- エレバンの穴場スポット19選マップ
- ①エレバンで一番美しいカフェ【Lumen coffee】
- ②異世界への入口【コンド・トンネル】
- ③鬼才の生き様を追体験【パラジャーノフ・ミュージアム】
- ④四季折々の渓谷美に酔う【天然プール】
- ⑤メルヘンなお菓子屋【Grand Candy】
- ⑥隠れたエレバン名物【共同住宅の通路】
- ⑦ソ連時代の残り香【子供鉄道の駅舎】
- ⑧エレバン最古のエリアでアットホームなカフェタイム【コンド地区の古民家カフェ】
- ⑨伝統家屋を利用したカルチャースポット【ミルゾヤン・ライブラリー】
- ⑩エレバンはじまりの地で悠久の歴史を感じる【エレブニ要塞】
- ⑪1年のうち2週間だけ見られる黄金の道を歩く【ジュルヴルジュ森林公園】
- ⑫エレバンのかけこみ寺【巨大餃子の店】
- ⑬黒羊朝の栄光の名残【カラ・コユンル霊廟】
- ⑭エレバン髄一のローカル体験【市内マルシュルートカ】
- ⑮情念が渦巻く地下世界へ【レヴォンの地下迷宮】
- ⑯聖書の絶景に感動【チャレンツのアーチ】
- ⑰エレバンのディープ市場エリア!【バングラデシュ・マーケット】を散策
- ⑱エレバンらしい風景をさがす【ソ連クラシックカー】
- ⑲これぞエレバン観光の真髄!【ソ連建造物めぐり】
- おわりに
エレバン観光の穴場スポット19選
エレバンの穴場スポット19選マップ
①エレバンで一番美しいカフェ【Lumen coffee】

エレバンの穴場スポットの一つ目を飾るのが、“Lumen coffee”。
「エレバンで一番美しい」とされる、レトロでアンティークでエキゾチックな内装が魅力的な、小さなカフェです。
外観だけを見ると、エレバンのどこにでもあるピンクの石造りの重厚な建物にある、ごく普通のカフェのよう。
しかし内部に入れば、「エレバンで最も美しい」と称される空間に一気に魅了されます。▼


もともと、この空間は1940年代に開業した煙草屋でした。
それが時代の流れとともに1960年代に書店に入れ替わり、さらに数年前にはLumen coffeeとして再オープンしたのだそうです。
壁や天井に施された美しい彫刻やモチーフは、細部に至るまで傑作。
年季を感じる調度品の数々も、この場所の100年近くの歴史を物言わずに語っているようです。

アルメニアは、近代(19世紀)に至るまでペルシア帝国(現在のイラン)の支配下にあった国。
そのためなのか、飾り天井の凝った装飾や、調度品に描かれたモチーフのエキゾチックさに、どこか異国情緒が感じられます。
かつてこの空間にあった書店は2022年に閉店してしまったのですが、当時使用されていた本棚はそのままカフェの調度品として機能し続けています。▼


もはや「エレバン髄一の観光スポット!」として大々的に宣伝しても良さそうなほどの、芸術的な美しさを放つLumen coffee。
しかしここは観光スポットではなくカフェなので、もちろん飲み物やカフェフードを堪能することができます。

エレバン中心街ど真ん中&凝った内装といったわけで、お値段もさぞお高めなのだそうと思いきや、意外にもリーズナブルな料金も魅力的。
コーヒーは1000AMD(=¥370)~、紅茶類は900AMD(=¥333)~と、かなり良心的な値段です。(※お会計時に10%のサービス料加算)
もちろん飲み物だけの注文でもまったく問題なし。
この低価格でこの素晴らしく芸術的な空間を心ゆくまで堪能できるのなら、ドリンク全品実質無料のようなものです(それは言い過ぎ)。


のぶよが注文したのは、アルメニア産の紅茶に数種類のハーブをミックスしたという”Armenian Blend”と名付けられた紅茶。
ティーポットにたっぷりと入った紅茶は、すっきりした味わいにミントの爽やかさが加わり、大変に美味なものでした。

「この空間自体を心ゆくまで楽しんでほしい」という思いからなのか、Lumen coffeeではPCで作業することは禁止されている点も、のぶよ的にはGoodなポイント。
いまやせっかく個性あるカフェの雰囲気を楽しもうと足をのばしても、カタカタカタカタやっている人がどこにでもいる時代で、なんとも興ざめしてしまいがち。
Lumen Coffeeに集まっていたエレバンっ子たちは、黙々と本を読んでいたり、止まらぬお喋りに興じていたり、のんびりと朝食を摂っていたり…と、この空間自体を満喫しているのが心から伝わってきました。
すでに触れた通り、現在Lumen coffeeがあるこの空間には、かつてBooks1512という書店が入っていました。
のぶよが2021年にエレバンを初訪問したときに、このBooks1512にも足を運んでいたのですが、書店時代も現在のカフェに負けないほどに素敵な雰囲気でした(まあ、内装も調度品も基本的に現在と変わっていないのだけど)。
せっかくなので、当時のBooks1512の店内のようすについて書いたものも以下のタブないに残しておきます。

一つ目の穴場スポットが、「エレバン市内で最も美しい書店」と噂される“Books 1512”。
ごく一般的な本屋にしか見えない外観からは全く想像できない、細部にまでこだわられたエキゾチックな内装は必見です ▼


1940年代に開業した本屋だそうで、壁や天井に施された美しい彫刻やモチーフは、細部に至るまで傑作。
当時のエレバンの芸術センスが凝縮されています。

まるで博物館のような内装ですが、観光スポットではなく普通の書店として営業しています。
本棚の一つにいたるまで、贅をつくしたこだわりが見られて興奮間違いなし! ▼


置かれている本はアルメニア語の古書が多いですが、ロシア語で書かれたものもチラホラ。
英語の本も数冊ありましたが、基本的には「地元の人向けのごく普通の古本屋」といった雰囲気です。


旅行者でももちろん入店自由で、許可を撮れば写真撮影もOK。
ただ、観光スポットではなくあくまでも一般の店舗であるため、お店の人や他のお客さんに迷惑がかからない程度に見学しましょう。
②異世界への入口【コンド・トンネル】

喧騒にあふれるエレバン中心街ど真ん中と、静寂が支配するフラズダン渓谷の二つの場所を結ぶのがコンド・トンネル。
全長460mにも及ぶ歩行者専用のトンネルで、ソ連時代に完成したものです。
トンネル上部の高台には、エレバン中心街で最古の町並みが残るコンド地区(Kond)が広がっており、中心街から坂を上り下りすることなくフラズダン渓谷にアクセスできるように開発されたのが、このコンド・トンネルなのです。
トンネル内部は昼間でも薄暗く、鉄骨がむき出しになった内壁とオレンジのライトが醸し出す異世界感には「おおっ!」となるはず。


トンネル出口の先にあるフラズダン渓谷には、④天然プールや⑦子供鉄道の駅舎などの隠れた見どころが点在しているので、数時間かけての散策にもピッタリです!
③鬼才の生き様を追体験【パラジャーノフ・ミュージアム】

映画好き/アート好きなら絶対に見逃せないのが、中心街西部の高台に建つセルゲイ・パラジャーノフ・ミュージアム(Sergei Parajanov Museum)。
「セルゲイ・パラジャーノフ」とは、ソ連時代に活躍したアルメニア人映画監督のこと。
独特な撮影方法や色彩豊かな表現方法、コーカサス地域の伝統文化に焦点を当てたシナリオなどが国際的に評価された超有名人物です。


パラジャーノフ・ミュージアム内の展示は、彼の作品に関してのものというよりは、彼が情熱を捧げたアート・クラフト作品を通してその人物像と人生をたどっていくスタイルのもの。
パラジャーノフ作品ファンの人は絶対に楽しいですし、そうでない人でもアートミュージアムとして見学するのもアリ。おすすめです!
④四季折々の渓谷美に酔う【天然プール】

②コンド・トンネルの暗闇を抜けた先には、エレバン中心街とは別世界の風景が広がるフラズダン渓谷があります。
渓谷沿いで自然が感じられるスポットが、こちらの天然プール。
渓谷のフレッシュな水が引かれたプールは、夏場は灼熱となるエレバンで暮らす人々にとっての貴重なオアシスのような存在です。


一面の緑につつまれて水遊びができる夏場もおすすめですが、のぶよ的には秋の紅葉風景も捨てがたいです。
人影がほとんどない渓流を彩る木々の風景を眺めていると、ここが首都のど真ん中から徒歩10分の場所にあるとは信じられないほど。
都会の喧騒に疲れた時の癒しスポットとして、何度も訪れたくなる魅力があります。
⑤メルヘンなお菓子屋【Grand Candy】

甘いものが好きな人でも、そうでない人でも、男でも女でも…
エレバンに来たら一度は訪れてほしいのが、メルヘンを極めたお菓子屋さん “Grand Candy”。
エレバン市内に数か所の店舗があるチェーン店ですが、最強にメルヘンなのは中心街北東部・カスカードからほど近い店舗です。

パステルカラーの内装、レトロなキャンディー販売機、なぜかおもちゃの鉄道が走っている、などなど…
大人も子供も大喜びな可愛らしい空間は、ディテールにもこだわった造りで、ただ眺めているだけでも楽しいです。


このお店の看板メニューが、1個120AMD(=¥28)と驚異の低価格で食べられるポンチク(Ponchik)。
アルメニアをはじめ旧ソ連圏でポピュラーな「揚げドーナツ」のようなお菓子で、中にはカスタードクリームがたっぷり…ものすごく美味しいです。


▲Grand Candyのメニューはポンチク以外にも充実しており、アイスクリームやクレープなどスイーツ系が充実。
ケーキも数十種類用意されており、旧ソ連圏ではポピュラーな定番系ケーキからアルメニアの伝統的なスイーツ「パフラヴァ」までが揃っています。
2階にはイートインコーナーもあり、カフェ的な利用も可能。
料金もかなりリーズナブルなので、観光の合間のひと休みにもおすすめです!
⑥隠れたエレバン名物【共同住宅の通路】

「バラ色の町(ピンク・シティー)」と称されるエレバン中心街。
ソ連時代に開発が進んだこともあって、整然としたストリートにピンク色の石で統一された建物がずらりと並ぶ風景は、この町を象徴するものです。

大通りを歩いて、瀟洒で味わい深く手入れが行き届いたように表側だけを見ると「うわあ~ピンク色の美しい町ぃ~キラキラぁ~東欧()~」となる人もいるでしょう。
が、それはフェイク。
表通りから裏側にまわって、もはや同じ建物だとは信じられないような別次元の光景に迷い込むことこそ、エレバンの真髄だと思います。 ▼


▲ この「表側だけキラキラエレバンな共同住宅」がその最たる例なのですが、エレバンでは外見を最重要視する文化(=リッチさやお洒落さをみせびらかす感じ)のようなものが根付いている気がします。
「ピンク・シティー」を象徴するような石造りの表側と、ボロボロのコンクリート壁に洗濯物がはためく裏側。
これら一つの建物を取り巻く二つの対照的な世界をつなげるのが、建物一階部分に設置された通路です。

この通路の壁にはさまざまなアートが施されているのが定番。
住人の子供が描いたようなものから、プロのアーティストが描いたようなものまで…
モチーフもクオリティーもさまざまで、のぶよ的には隠れたエレバン名物だと思っています


エレバンの建物にはほぼすべて、表側と裏側をつなぐこのような通路が設置されており、ウォールアートはそのほとんどに見られます。
どれも個性が光っており、一つ一つ鑑賞しながら散策するのもおすすめ!
⑦ソ連時代の残り香【子供鉄道の駅舎】

②コンド・トンネルを抜けた先を流れるフラズダン渓谷に沿って、ソ連時代に整備された子供鉄道が現役で運行されています。
全長2kmほどのミニチュア版鉄道(遊園地にあるようなやつ)には3つの駅が設置されており、そのメインの駅舎となるのがこちらです。
かつては子供たちが校外学習で鉄道の乗り方を学ぶための場所でしたが、現在では一般にも開放されており、300AMD(=¥72)で乗車することも可能です。(夏季限定で運行)


ソ連時代からそのままの駅舎も、ミニチュアの鉄道も、キリル文字で書かれた標識も…
まるで数十年前にタイムスリップしたかのような感覚になるかもしれません。
フラズダン渓谷沿いの他の見どころと合わせてチェックしてみては?
⑧エレバン最古のエリアでアットホームなカフェタイム【コンド地区の古民家カフェ】

弊ブログでも何度か紹介している、エレバン中心街の北西の丘の上一帯を占めるコンド地区。
「エレバン最後の旧市街」とも称されるエリアで、歴史を感じるぼろぼろの民家が所狭しとひしめき合っています。
コンド地区は、エレバンが都市として機能するより何百年も前から村があったエリア。
最も古い民家はペルシア帝国統治時代の450年前のものと言うので驚きです。
そんなコンド地区では近年、住人が自宅を旅行者向けに開放して古民家カフェ(らしきもの)を営業するのがブームとなっているよう。
のぶよが数えただけでも7~8軒の民家がカフェとして営業しており、歴史ある空間の中でローカルカフェ体験が楽しめます。


「古民家カフェ」というとレトロさを活かしたお洒落な空間をイメージするかもしれませんが、コンド地区の古民家カフェはどこもガチの古い民家そのまま。
家族が普通に暮らしている場所のリビングや中庭がそのままに飲食スペースとなっており、「店を利用する」というよりも「エレバンの一般家庭にお邪魔する」といった感覚です。
古民家カフェではどこも、フードメニュー(という名の、各民家でお母さんが作る家庭料理)が用意されており、レストランでは味わえないアルメニアの家庭料理に触れられるのも◎
ローカルなエレバン感にどっぷり浸りたい人にはおすすめです!
⑨伝統家屋を利用したカルチャースポット【ミルゾヤン・ライブラリー】

エレバンのカルチュラルな魅力に触れたい人におすすめなのが、ミルゾヤン・ライブラリー(Mirzoyan Library / Միրզոյան գրադարան)。
「ライブラリー」の名の通り、小さな図書館兼カフェ兼多目的スペースとして機能する場所で、エレバンの若者が集まる場所です。
エレバン中心街ど真ん中の共和国広場から徒歩5分ほどの好立地に位置していながらも、その存在は旅行者や外国人にはあまり知られておらず、大都会の中の隠れ家のような雰囲気が感じられます。


表通りから見ると、エレバンのどこにでもある石造りの住居といった印象ですが、可愛らしくデコレーションされた通路を通って中庭へと抜けるとその印象は一変。
エレバンに残る数少ない伝統的な家屋が姿を現すのです。

石造りの建物に設置された木製のテラスが特徴的で、開放的な中庭を取り囲むような外廊下の至る所に座り心地抜群の椅子が設置されています。
入場・利用は完全に無料&自由で、利用者登録などの手続きも必要ないため、中心街散策の休憩にさっと立ち寄れるのも嬉しい点です(そしてトイレも無料で利用できる!)。

ミルゾヤン・ライブラリーの図書館スペースは二階に設置されており、蔵書は主に写真や建築に関するアーティスティックなテーマのものがメイン。
そのため、アート専攻のアルメニア人学生が多く集まっているようです。
図書館スペースの入場も完全に自由で、外国人でも問題なく利用可能。
インテリアや照明にもこだわりが感じられ、伝統家屋の良さを活かした空間づくりに感動します。


図書館スペースには無料のWi-Fiもあり、電源も設置されているので、ちょっとした作業にも使えそう。
しかしここはあくまでも図書館であり、コワーキングスペースではないので、節度を守って利用したいものです。
二階には図書館スペース以外にも、カフェ&レストランスペースが設置されています。


こちらは伝統家屋という場に合わせて、あえて古い家具や調度品が設置されたレトロな雰囲気。
コーヒーや紅茶だけでももちろん利用可能ですし、アルメニアの伝統料理がメインのフードメニューも充実しているので、がっつり食事していくにも良さそうです(ただ価格帯はエレバン平均より若干高め
エレバン観光の休憩にも、伝統家屋とモダンな空間づくりの融合を見学するにも、レトロな雰囲気のカフェでの食事にもおすすめなミルゾヤン・ライブラリー。
エレバンに中心街にはこうしたコンセプトの空間はあまりないので、ぜひとも立ち寄ってみてほしいです!
⑩エレバンはじまりの地で悠久の歴史を感じる【エレブニ要塞】

エレバン中心街から南に3kmほど離れた場所にある小高い丘。
その頂上に立つエレブニ要塞(Erebuni Fortress)は、2800年前から続くエレバンの歴史を現在に伝える存在です。
この場所に要塞が築かれたのは、なんと紀元前782年(2800年前)。
当時のエレバン一帯はワン(Van/現在のトルコ南東部)を首都として栄えた古代ウラルトゥ王国の最北の領土でした。
この地域の国境防衛を目的に建設されたものが、このエレブニ要塞であったと言われています。


当時のエレバンは町はおろか村の一つもないただの荒れ地。
この場所にできた要塞はやがて要塞都市となり、徐々に住民が集まるようになりました。
ウラルトゥ王国によって「エレブニ」と名付けられた要塞は、お察しの通り「エレバン」の名の由来。
いわば、2800年前に造られた「エレバンの始まりの地」というわけです。

エレブニ要塞がある丘のふもとには、エレブニ歴史博物館(Erebuni History Museum)があり、チケットは要塞との共通券となっています。
博物館内部は一部を除いて写真撮影が別料金という謎システム(旧ソ連あるある)ですが、2800年前に黄金時代を迎えたウラルトゥ王国時代の展示が充実しています。


古代ウラルトゥ王国では独自のウラルトゥ文字が発明され、広く使われていました。
博物館の館内はもちろん、エレブニ城塞の敷地内にも、ウラルトゥ文字が刻まれた石碑がいくつも保存されています ▼


他にも、ウラルトゥ王国の歴史や当時の人々の生活様式に関する展示も充実しており(いずれも写真撮影別料金)、歴史好きは必見!
ミュージアムで2800年前のエレバンについての知識をつけた後は、要塞へと続く階段を上っていきましょう。


エレブニ要塞自体は2800年前からずっとこの場所に建っていたわけではありません(そりゃそうだ)。
19世紀後半に発掘作業が初めて行われ、出土した石などを組み合わせて2800年前の要塞を再現したものです。


博物館の展示の充実さとは裏腹に、エレブニ要塞の敷地内にはほとんど説明書きがないのが残念。
どこが何に利用されていた場所だったのか、素人には見当もつかないのですが、2800年前の町の様子を想像しながら見学するのも面白いかも。
エレブニ要塞からはエレバン市街地のパノラマが一望できる点もお忘れなく ▼

「世界最古の町」とエレバンっ子が誇らしげに語るのも納得な、エレブニ要塞&ミュージアムでのタイムスリップ体験。
歴史が好きな人はもちろん、絶景目当ての人にもぜひ足をのばしてほしいです!
⑪1年のうち2週間だけ見られる黄金の道を歩く【ジュルヴルジュ森林公園】

エレバン中心街から東へ5kmほどの丘陵地帯に広がるのが、ジュルヴェジュ森林公園(Jrvezh Forest Park)。
あまり整備が行き届いていない(たぶん予算が足りない)ためか、訪れる人は少なめ。
エレバンの地元民ですら「どこそれ?」といった感じの広大な緑地です。
ジュルヴェジュ森林公園を訪れるなら、10月半ば~11月頭の紅葉の時期がおすすめ!
道の両側に植えられた白樺の木から黄色い葉が落ちて、「黄金の道」と呼ばれる風景が作り出されるからです。


ジュルヴェジュ森林公園の「黄金の道」は、1年のうち1~2週間しか見られない幻の絶景。
冷え込みがだんだんと激しくなってくる晩秋に、エレバンに滞在している人だけが見られる特権です!
⑫エレバンのかけこみ寺【巨大餃子の店】

エレバンには「フードコート」と呼ばれる、ショーケース内にずらりと並んだ出来合いの料理から指差しで好きなものを注文できるスタイルのレストランがいくつもあります。
基本的にはアルメニア料理の定番が並ぶのですが、ひと味違う料理もあるのが“Muratsani Food Court”。
なんと、餃子があるんです…!
しかも、旧ソ連圏でポピュラーな水餃子ではなく、アジア風の蒸した餃子が!


中身は牛ひき肉100%&1個がかなり大きめで日本の餃子とはやや風味が異なるものの、肉汁お化け具合は健在。
特製の玉ねぎとザクロのソースをかけて食べた日には…もうエレバンから出たくなくなります。

“Muratsani Food Court”は、のぶよが宿泊していたホステルの近くにあったため、有り余る餃子への渇望を満たしにかなりの頻度で通っていました(笑)
店員さんはいっさい英語は通じませんが、対応はとても素敵でアットホームな感じだった点も◎
(「また餃子の奴来た(笑)」と思われていたのは間違いない)
餃子以外にも、定番のアルメニア料理から独創的な料理まで充実のラインナップで、価格もリーズナブル。シェフに表彰状をあげたいくらいです。
のぶよ的にはエレバンの聖域、またはかけこみ寺のような店。
ぜひとも一度は立ち寄ってみてください!
⑬黒羊朝の栄光の名残【カラ・コユンル霊廟】

エレバン中心街から西に7kmほど離れたアルガヴァンドという村には、アルメニアらしくない塔のような建造物があります。
これは1413年に建てられたカラ・コユンル霊廟(Kara Koyunlu Tomb)。
当時アルメニアに侵攻した黒羊朝(現在のトルクメニスタン一帯)のエミール・サアド(Emir Saad)という人物が眠るお墓です。

十角柱の霊廟は、この地域で採れるトゥファ(Tufa)と呼ばれる石で造られたもの。
上部にはターコイズブルーのタイル装飾とアラビア文字が刻まれています。
細かな装飾の一つ一つに、アルメニアの建築様式との違いが見られます。


アルメニアとトルクメニスタン…地理的に離れていてあまり関係がなさそうな地域に思えますが、600年前の建造物を眺めていると、古くから多くの民族が行き交ったこの地の歴史に思いを馳せずにはいられません。
⑭エレバン髄一のローカル体験【市内マルシュルートカ】

エレバンではタクシー代金も日本に比べると割安で、アプリを使ってタクシーを呼ぶことも可能。
外国人でも安心して快適に移動できるとあって、「公共交通手段は使わない」なんて旅行者も多いです。
それ、確実に損しています。
なぜなら、エレバン市内を縦横無尽に走るマルシュルートカ(乗り合いミニバス)こそが、この町のローカルな面白さがギュッと詰まった空間であるため。


エレバンにはいちおう地下鉄が走ってはいるものの、たったの一路線で旅行者にとっては不便。
市内交通が未発達なこの町で人々の足となっているのが、マルシュルートカなのです。
16人乗りのミニバンに、25人~30人ほどがギュウギュウ詰めになるのがエレバンのマルシュルートカの定番。
エンジン音はもはや限界突破している車体も多く、そのうち爆発するんじゃないか?というスリルも味わえます(笑)
・行き先表示はアルメニア語のみ
・GoogleMapで路線検索不可
・時刻表が存在しない
と、かなり難易度が高いですが、これを乗りこなせばエレバンっ子になれます(笑)

エレバンのマルシュルートカでは、乗客があいさつし合ったり、立っている人の荷物を座っている人が膝の上に置いてあげたりと、古き良き人情が色濃く感じられる点もポイント。
(のぶよ的に)アルメニア最大の魅力である人々の優しさやコミュニケーション能力お化け具合に、心温める体験ができるかもしれません。
多くのマルシュルートカやトロリーバスが停車するのは、エレバン中心街のメスロプ・マシュトツ通り(Mesrop Mashtots)の停留所。
ここから市内どこにでも移動可能です!
⑮情念が渦巻く地下世界へ【レヴォンの地下迷宮】

エレバン郊外のアリンジという小さな集落には、レヴォンの地下迷宮(Levon’s Divine Underground)と呼ばれる穴場スポットがあります。
レヴォンという男性が自宅の地下深くに掘ったもので、広さ300㎡/深さ21mにも及ぶ巨大な地下空間。
驚くべきことが、なんとすべて手作業で、23年以上かけ、たった一人で掘ったものだという点です。


薄暗い地下空間内にただよう空気は、もはや現世とは隔絶されたような静寂に満ちたもの。
ある男の情念が詰まった巨大な地下空間…エレバン中心街からわざわざ足をのばす価値があります。
⑯聖書の絶景に感動【チャレンツのアーチ】

エレバン中心街から東に8kmほど。
⑨ジュルヴェジュ森林公園の少し先の丘陵地帯にぽつりと建つのがチャレンツのアーチ(Charent’s Arch)です。
イェギシェ・チャレンツ(Yeghishe Charents)という20世紀初頭の詩人の名を冠したこの場所は、エレバン近郊で最も美しいアララト山の風景が見られることで知られています。


一面の荒野の先に堂々とたたずむアララト山は、聖書内に登場するノアの方舟が到達したと言われている場所。
遮るものひとつない荒野を眺めていると、まるで本当に大洪水が起きて草木が流されてしまったかのよう。
遠くに見えるアララト山を目指し、一艘の木舟がゆっくりと進んでいく様子が目に浮かぶようです。
⑰エレバンのディープ市場エリア!【バングラデシュ・マーケット】を散策

エレバンの中でも最もディープで最もローカルな雰囲気を味わいたいなら、問答無用で訪れてほしいのが「バングラデシュ・マーケット」と呼ばれる巨大な市場を中心とするエリア。
「バングラデシュ」というのは正式名称ではありませんが、エレバンっ子ならだれもが「ああ、あそこね」と分かるほどに知名度抜群です。
南アジアに位置するバングラデシュのエネルギッシュさや活気とは対照的に、エレバンのバングラデシュ・マーケット一帯に漂うのは果てしないソ連的な雰囲気。
この退廃的でレトロでカオスな雰囲気がここまで強く感じられるのは、エレバン広しと言えどもバングラデシュ・マーケットくらいかもしれません。


旧ソ連圏定番の何でもござれなマーケット部分はもちろん、エレバン最安値で最も新鮮な食品類が何でも手に入る点も魅力的。
ローカル市場ならではの場末の食堂もあるので、こうした雰囲気が好きな人にはたまらない場所です!
⑱エレバンらしい風景をさがす【ソ連クラシックカー】

エレバンだけではなくアルメニア全体に言えることなのですが、ソ連時代の古い車の普及率がものすごいです。
本当に動くのか不明なほどに朽ち果てたものから、ちゃんと手入れされてピカピカに輝くソ連車まで…
肌感ですが、4~5台に1台はソ連車といった割合です。


エレバンに来た旅行者の多くが「数十年前にタイムスリップしたみたい」と感じる理由の一つは、きっとこのレトロな車が現役で走っているからなのかもしれません。
エリア等はいっさい関係なく、とにかくエレバンのどこでも走っているソ連車。
町並みと見事にマッチしてとても絵になりますし、車好きの人は興奮間違いなし!
⑲これぞエレバン観光の真髄!【ソ連建造物めぐり】

エレバンの都市としての歴史はかなり浅く、およそ100年前に都市開発が始められたばかり。
そのため、今日に至るまでの100年間のうち大半を占めたソ連時代の建造物が町中に多く点在しているのが特徴的です。
中心街も郊外も、建物の8割~9割以上がソ連時代の建造という、旧ソ連圏全体を見渡しても珍しい首都であるエレバン。
この町の真髄を堪能したいのなら、圧巻のソ連建造物やソ連美術を探訪する以外に方法はありません!


エレバンに残るソ連時代の建造物は、どれもとにかく規模が大きく、大胆で、美しいデザインのもの。
ソ連ブルータリズムやソ連モダニズムが、アルメニア伝統のモチーフに見事に融合した装飾も多く見られ、「ソ連美術の都」と表現しても言い過ぎではないかもしれません。
中心街の定番スポット観光のついでにいくつかの建造物を訪問するも良し。半日~丸一日かけてソ連建造物を順番にめぐるのも良し。
エレバンのソ連建造物をまとめた記事も別に書いているので、そちらもどうぞご参考まで。▼
【エレバンの宿をさがす!】
おわりに
エレバンの穴場スポットや、この町ならではの体験を18個紹介しました。
エレバンという町の素晴らしさは、大都市なのに古き良きレトロ感やローカル感が色濃く残っている点に凝縮されていると思います。
ガッツリと観光目的で忙しく動き回るよりも、この町独特の空気感に身をひたしながらのんびりと過ごすスタイルがおすすめ。
滞在が終わるころには、「エレバン、なんかわからないけど良かったなあ…」ときっと思っているはず!
特別な目的がなくても、なぜかまた戻りたくなってしまう。
そんな底なし沼のようなこの町の魅力を余すことなく体験してもらえれば嬉しいです!
コメント
こんにちは。2023年10月にエレバンの美しい書店(上記1)を目指していきましたがカフェになっていました。内装はそのままで、本の置いてあったところにはグラスやワインが置かれていました。店員さんによると本屋は2022年に閉めてしまったそうです。残念ではありますがカフェは趣があり素敵でした、参考までに。
コメントありがとうございます!また、お返事が遅くなり大変申し訳ございません。
エレバンの書店、カフェになってしまったのですね…2021年に訪問した際、特段流行っている雰囲気の書店ではなかったので、これも時代の流れで仕方のないことなのかもしれませんが。
新しい情報、ありがとうございます!