こんにちは!二回目のアルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
さてさて。とうとうこの記事を世に出す日がやってきました…
エレバンのおすすめ食堂&レストランを一挙にまとめた、アルメニアングルメ記事です!
エレバンはアルメニアの首都というだけあって、この山がちな地形の国の至るところから人や物が集まる場所。
そのため、あらゆる価格帯や好みに合う飲食店が充実しており、アルメニアの食文化を舌で感じるにはこれ以上の町はありません。

エレバンのフードシーンはかなりバラエティーに富んでいて、飲食店のスタイルや価格帯もさまざま。
格安価格でさっと食べられるファストフード店から、地元の人々に愛されるローカル食堂、「パンドック」と呼ばれる伝統的な内装がウリの庶民派レストランや、ワイングラス片手にお洒落な雰囲気を楽しみたい高級レストランまで…
旅行者であっても、予算や好みに合わせて絶品のアルメニア料理を食することができます。


このように、エレバンの飲食店の価格帯や雰囲気は店によって大きく異なってくるもの。
しかし全体的な傾向を言うなら、高級志向の洗練された雰囲気の店が多いです。
特に、エレバン中心街の飲食店にこの傾向は顕著。
下調べをせずに適当な店に入ったら想像以上の高級店で、お会計は一人5000AMD(=¥2000)以上もした…なんてことも珍しくありません。
もちろん高級なレストランも良いのですが、地元の人々が日常的にそうした店で食事をするかと問われたら、答えはNo。
見栄っ張りなエレバンの人でさえ、そんなに毎日毎日お洒落をして高級店にたむろするほど、経済状況には恵まれていません。

エレバンで安くて美味しいアルメニア料理を食べるなら、事前のリサーチは不可欠。
外観からして地元の人に愛されていることがわかるローカルBBQ店はもちろん、外観や雰囲気はお高い店っぽいのに値段は食堂価格なんて穴場の店も多く存在しているのですから。
というわけで、今回の記事はエレバン市内に点在するのぶよのおすすめ食堂やレストランを総まとめしたもの。
のぶよ自身がエレバンで発掘した店を合計で22軒、価格帯別に以下の3つに分けて紹介しています。
店のタイプこそ、場末のバーベキュー屋から、伝統料理を提供するお洒落な雰囲気の店までさまざまとなっていますが、一人でも入りやすい&価格が料理の質と見合っているお店に厳選しています。
(つまり、エレバン中心街によくあるお洒落してヒールをコツコツさせて行くような、予算10000AMD超えの有名お高級レストランみたいなものはこの記事には存在しません)
この記事が、アルメニアの豊かな食文化とエレバンのフードシーンを舌で感じるお役に立てれば、何よりも嬉しいです!
- エレバンのレストランマップ
- エレバンの激安食堂&レストラン:1000AMD以下の店
- エレバンのリーズナブルな食堂&レストラン:1000AMD~2000AMDの店
- 人情味ただよう食堂でローカルグルメ!【KER U SUS】
- エレバン中心街の大人気炭火BBQ店!【Artashi Mot】
- 民家カフェの絶品スープ料理!【Teak】
- 中心街で穴場の庶民派パンドック!【Qarvansara】
- エレバンのお手軽ファミレスチェーン!【Karas Restaurant】
- 肉以外に余計なものなど入れない漢のシャウルマ!【Gharsi Khorovats】
- 西アルメニア地域の郷土料理を良心的な価格で!【Marilda Café & Restaurant】
- エレバンで一番のハンバーガー!【Pitstop Burger】
- 個室席オンリーのローカル居酒屋!【Kamurj】
- 格安でバラエティー豊かなアルメニア料理を楽しむ!【SAS Food court】
- エレバンのカジュアルなレストラン:2000AMD以上の店
- おわりに
エレバンのレストランマップ
緑:1000AMD~2000AMDの店
赤:2000AMD以上の店
エレバンの激安食堂&レストラン:1000AMD以下の店

まずは、節約派の旅行者でも毎日通いできるような、1000AMD=¥400以下で食事ができる店から。
正直、現在のエレバンではこの価格帯でちゃんとしたものが食べられる店を探すのはハードモード。
多くの場合はファストフードとなってしまうでしょう。
しかしここは、世界で一番肉を美味しく調理することで(のぶよの中では有名な)アルメニア。
ファストフードであろうともかなりレベルが高いものが食べられるのが嬉しい点です。
個人的なアドバイスとしては、1000AMD以下のファストフードに挑戦しながらも、もうちょっとだけ予算を確保してたまには格安レストランにも挑戦するのがおすすめ。
1500AMD(=¥600)ほどあれば、十分にエレバンの格安レストランでの食事も可能であり、ファストフードだけではないアルメニアの食文化に浸れるためです。
中心街ど真ん中のラフマジョカフェ!【Lahmajos】

エレバン中心街散策中に小腹がすいたときのおすすめが、Lahmajosという小さなお店。【マップ 青①】
かつてはおばちゃんがのんびりラフマジョを焼いているだけのローカルカフェ的な雰囲気だったのですが、近年リノベーションされたようで、やや立派な店構えの店に変貌しました。


一見すると、エレバン中心街のどこにでもあるファストフード店のようなLahmajos。
シャウルマなどのファストフードもメニューにありますが、この店の存在理由は店名にもなっているアルメニア風ピザ「ラフマジョ」にこそあります。

かつては1枚300AMDだったラフマジョは、現在500AMD(=¥200)へと大幅に値上げされてしまいました。
しかし、500AMD払う価値はあります。
ハーブを効かせた新鮮な肉を手作りの生地の上にたっぷりと塗りたくり、目の前で窯に入れて焼いてくれるのですから。


注文から5分ほどで提供されるラフマジョは、見た目も香りも素晴らしいもの。
無料でついてくるレモンをキュっと搾っていただきます。

パリパリ食感の生地は、小麦の芳醇な風味が感じられる香ばしさ。牛挽き肉のジューシーさと絶妙な塩加減も素晴らしいです。
エレバン中心街ど真ん中の好立地にあり、なんと24時間営業しているのもLahmajosのすごいところ。
市内観光時の軽食にはもちろん、ナイトライフ後の腹ごしらえにもぴったりなお店です!
格安でアルメニア料理が食べられる大人気食堂!【Zatar Pizza】

味良し、値段良し、立地良し…そんな三拍子そろった完璧なお店がエレバン中心街ど真ん中にあります。その名も、Zatar Pizza。【マップ 青②】
店名だけを見ると、よくあるファストフードのピザ屋かと勘違いしてしまいますが、ピザ以外にも数多くのアルメニア料理がメニューに並びます。
何よりもすごいのが、リーズナブルなお値段。


何から何まで、エレバン中心街のレストランの半額ほどの良心的な値段です。
定番のラフマジョやザータル、ピザなど小麦粉生地の料理から、スープ類やサラダ、果てには中東由来の料理まで…この価格帯の店の中ではとにかく選択肢が豊富なのもZatar Pizzaの素晴らしい点です。


値段もメニューの豊富さも素晴らしいのですが、味だってとっても美味しいのがZatar Pizzaの素晴らしさ。
「安いのに何を食べてもはずれない」という意味では、エレバンNo.1の座に輝くかもしれません。


店名で”Pizza”と謳っている通り、いちおうは小麦粉生地を使った料理がイチオシのようですが、スープ類や一品料理だって負けていません。
のぶよ的におすすめなのが、マンティ・タナプーロフ(Մանթի թանապուրով)。
牛肉が入った極小サイズの餃子(マンティ)をオーブンでカリカリになるまで焼き、ヨーグルトベースのスープに入れたものです。▼


オーブンで焼かれたマンティ(ミニ餃子)はとても香ばしく、カリカリの食感も完璧。
スープの風味づけにはミントが使われており、ヨーグルトの酸味と清涼感が見事にマッチしていました。
エレバン滞在中に一度は(むしろ毎日)訪れたいZatar Pizza。
のぶよ的には100点満点のお店なので、実際に行った人が居たら感想を聞きたいです!
これ以上ない場末な雰囲気で肉を喰らう!【バングラデシュ・マーケットのホロヴァツ屋】

エレバン中心街から西に5kmほど。地元のエレバンっ子たちの間で「バングラデシュ・マーケット」と呼ばれるカオスな市場エリアがあります。
果てしないソ連感と場末感に満ちたバングラデシュ・マーケットは市場自体も面白いのですが、敷地内にある場末感Maxのホロヴァツ屋もぜひとも挑戦したいもの。【マップ 青③】
「ホロヴァツ=肉の炭火焼き」の総称で、立派な炭火バーベキュー機で巨大な串刺し肉を焼いて提供してくれます。


この店のメニューは、豚肉のホロヴァツ800AMD(=¥320)とキャバブ500AMD(=¥200)の二つだけ。
キャバブは、牛挽き肉を棒状に固めて串刺しにして焼いたものです。
おばちゃんが一人で切り盛りしており、慣れた手つきで肉を焼き、ハーブや生玉ねぎをふりかけ、ラバシュでくるくるっと巻いて提供してくれます。

雰囲気こそ場末感しか感じられない店ですが、ごろごろの豚肉が詰まったホロヴァツはなかなかの美味しさ。
市場あるあるのやや塩加減強めの味付けも含めて、ここでしか味わえないローカルフードという感じがします。

エレバン中心街ではなかなか感じられない、ローカル感を地でゆく雰囲気の店と、市場の喧騒。
バングラデシュ・マーケットの散策途中の腹ごしらえに、ぜひとも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ハーブたっぷりのヘルシーランチに!【Jengalov Hats】

アルメニア料理は、肉を使ったものが基本。
どれもすごく美味しいのですが、毎日毎日肉料理ばかりだとさすがに飽きてしまうかもしれません。
肉料理続きで疲れたときや、ヘルシーなランチが食べたいときにおすすめのお店がJengyalov Hats(Ժենգյալով Հաց)。【マップ 青④】
エレバン中心街北部、観光名所のカスカードやオペラ座からほど近い場所にあります。

このお店にあるメニューは、ただ一つだけ。
店名と同じジェンギャロフ・ハツ(Ժենգյալով Հաց)です(そう考えると店名はなんともストレートなネーミングセンス)。
ジェンギャロフ・ハツは、ナゴルノ・カラバフ自治州(アルメニア語では「アルツァフ」)発祥の料理で、ラバシュと呼ばれる薄い小麦粉生地に十数種類のハーブを混ぜて焼き上げたもの。
肉は入っておらず、ベジタリアンメニューとしても人気になりつつあります。
ナゴルノ・カラバフの元祖ジェンギャロフ・ハツを出すお店もありますが、エレバンのジェンギャロフ・ハツは、オリジナルのものとは多少異なるよう。
ほうれん草やハーブをサッと茹でたものを、ラバシュでくるくると巻きあげたスタイルで、生地と具のハーブがセパレートされた状態となっています。 ▼

1人前900AMD(=¥360)で2つ提供され、ヘルシーながらもボリュームはバッチリ!
ジェンギャロフ・ハツで独特なのが、具のほうれん草やハーブには一切味付けがされていない点。
苦み、甘味、清涼感…など、それぞれ風味が異なるハーブをうまく調合し、その複雑な風味を楽しむ料理なんだとか。
一口食べると、口の中は未体験のハーブ天国に。
他の国ではなかなか食べる機会もないと思うので、ぜひとも挑戦してみたいものです。
ナゴルノ=カラバフ本場の味をエレバンで食す!【焼きジェンギャロフ・ハツの小屋】

上で紹介したジェンギャロフ・ハツですが、すでに触れたように、実は発祥の地とされるナゴルノ=カラバフでは小麦粉生地の中にハーブを詰めて焼いたスタイルのものが定番。
エレバン中心街ではなかなか見かけませんが、中心街から少しはずれると、この焼きジェンギャロフ・ハツを専門に売る店(というか半ば屋台)が多く見られます。
エレバン地下鉄の北側の終点であるバレカムテュン駅(Barekamutyun / Բարեկամություն)に直結した地下通路にも、ジェンギャロフ・ハツをその場で焼いて提供するお店があります。【マップ 青⑤】

このお店のジェンギャロフ・ハツは、数種類のハーブが芳醇な生地の中にたっぷりと詰まった絶品。
生地は外側さっくり&内側もっちりの絶妙の食感で、ハーブの複合的な風味とよく合っています。
店でひたすらジェンギャロフ・ハツを焼く女性は、ナゴルノ=カラバフ出身だそう。
2023年のナゴルノ=カラバフ紛争におけるアルメニアの敗北&ナゴルノ=カラバフ共和国の消滅により、現地から多くのアルメニア人住民がエレバンなどアルメニア本国へと避難してきました。
このお店もそうですが、現在エレバンの郊外でよく見かける焼きジェンギャロフ・ハツ屋の多くは、ナゴルノ=カラバフ出身者がやっているのだそうです。

ジェンギャロフ・ハツの値段は、一枚600AMD(=¥240)。
香ばしい風味ながらも超あっさりした味わいなので、ちょっと小腹が空いたときにはぴったりのおやつになります。
ラフマジョに込められたストーリー!【Lahmajun Gaitz】

エレバン中心街南東部に位置するLahmajun Gaidzは、アルメニア風ピザのラフマジョ好きには聖地のようなお店。【マップ 青⑥】
エレバン市内にはラフマジョを看板メニューに掲げる店が何軒かありますが、その中でも昔から高い人気を誇る名店です。
ソ連時代の共同住宅棟の中庭にぽつりと建つロケーション&掘っ立て小屋のような外観で看板なども出ていないため、知らないと確実に通り過ぎてしまいます。▼


店名になっている通り、このお店の名物がラフマジョ(Lahmajo / Լահմաջո)。
ラフマジョ(「ラフマジュン」とも)とは、本記事内でもいくつか紹介しているアルメニア風ピザのこと。
かつての西アルメニア地域(現在はトルコ領)でポピュラーだったものですが、現在ではアルメニア全土で食べられる「国民的軽食」といったポジションになりました。
Lahmajun Gaidzのメニューがこちら ▼


西アルメニア地域伝統のラフマジョから、中東地域全体でポピュラーなザータル(Za’atar)、地中海料理風な一品料理まで…
さまざまな食文化が融合したアルメニアという国を象徴するようなラインナップです。
数多くのメニューの中から、まずは定番のベーシックなラフマジョをば。
サイズはやや小さめではあるものの、生地から手作り&具材にもこだわっているとのことで、満足感はかなりのものです。▼

薄くのばした小麦粉生地に、各種ハーブと羊のひき肉、ほんのりとトマトソースが塗られたラフマジョ…かなりの絶品です。
生地のパリパリ感もあっさりした味付けも、すごく好みでした。
このお店のメニューはとにかくどれもラフマジョばかりなのですが、中には一風変わったものも。
ザータルという、中東地域発祥のピザのような料理にもぜひ挑戦を。▼

ザータルとは、シリアやレバノンなど中東地域発祥の料理で、各種ハーブをペースト状にしたものが塗られたエスニックなピザ。
ラフマジョとは異なり肉は使用されておらず、ヘルシーさが嬉しい一品です。
Gaidzのザータルはベーシックなハーブペーストだけのものに加え、トマトやオリーブ、ヨーグルトなどをトッピングしたアレンジバージョンの種類も豊富。
芳醇なハーブの香りとサクサク生地のハーモニー…未体験の味でしたがものすごく美味しかったです。
Lahmajun Gaidzの物語
Lahmajun Gaidzのオーナーの祖父は、1915年に起こったアルメニア人大虐殺を逃れ、当時オスマン帝国領だった西アルメニア地域からエレバンへと逃れてきたそう。
荷物こそ何一つ持っては来られなかったものの、代々家庭に伝わっていたラフマジョのレシピだけは頭の中に入れて、孫である現在のオーナーに伝えたのだとか。
オーナーは祖父から受け継いだレシピをより現代的なものに改良しようと、フランスのパン屋で生地作りの修行を2年間積んで故郷であるエレバンに戻り、この小さなお店をオープンしたそうです。
伝統的なアルメニアのレシピにヨーロッパ風のエッセンスが吹き込まれたGaidzのメニューの数々。
過去の伝統や歴史を忘れることなく、さまざまな文化を吸収しようとするエレバンらしいお店だと感じます。
(たぶん)エレバン最安値の激安絶品BBQ店!【Hin Krug】

エレバン中心街の南側、エレバン中央駅の西側のショッピングモール近くにあるHin Krug(Հին Կռուգ)は、おそらくエレバンで最も安く、最も美味しい肉料理が食べられる超穴場店。【マップ 青⑦】
店というか屋台のようなたたずまいなのですが、近隣の人々やモールでの買い物帰りの人々で常に混雑しており、人気がうかがえます。
この店のメニューは、肉を炭火焼きにした料理の総称である「ホロヴァツ」のみ。
鶏肉や豚肉を串刺しにした「イキビル」や、挽き肉を棒状に固めた「キャバブ」など定番が揃っており、いずれもびっくりするほどの低価格で提供してくれます。


▲メニューはアルメニア語オンリーなので「何がなんだか…」といった感じになるでしょう。
店頭の冷蔵ケース内には串に刺さった状態の肉がずらりと並んでおり、価格も(読みにくいけど)明記されているので、店の人に指差しで注文するのがベストだと思います。

エレバン中心街に比べると3分の2ほどの激安価格ですが、この店のBBQはどれも絶対にはずれません。
肉の質がとても良いのはもちろん、味付けや焼き加減も完璧。
ここのBBQを食べてしまうと、エレバン中心街で割高な料金を払ってそれなりのBBQを食すのが馬鹿馬鹿しくなってしまうという副作用があります(笑)

飲食スペースは屋台部分の裏に設置された数席の屋外席のみで、冬場の利用はちょっと難しいのがネック。
中心街からは距離があり、わざわざ旅行者が足を踏み入れる理由もないエリアですが、エレバンの地元民に人気の絶品肉料理を味わいたい人はぜひ!(すぐ隣にショッピングモールがあるので、買い物ついでがおすすめ)
メルヘンな雰囲気で名物スイーツを味わう!【Grand Candy】

アルメニアンなスイーツに挑戦したい人が問答無用で訪れるべきお店が、Grand Candy。【マップ 青⑧】
エレバン市内に数店舗進出しているチェーンのスイーツカフェ兼お菓子屋で、エレバンっ子で知らぬ者など存在しないほどに絶大な知名度を誇ります。
Grand Candyの最大の特徴は、おとぎ話の世界に迷い込んだかのようなメルヘンな内装。▼


しかし、すべての店舗がこうした内装なわけではありません。
エレバン中心街北部のオペラ座近くの店舗が、メルヘンを極めたような雰囲気なのでおすすめです。

ド派手でカラフルな内装ばかりに気をとられてしまいますが、Grand Candyのスイーツはとにかく格安で絶品。
特に人気が高いのが、「ポンチク」と呼ばれるアルメニア風ドーナツです。▼

ポンチクとは、アルメニアをはじめ旧ソ連圏全域で定番のおやつとして愛される揚げドーナツのこと。
ふわふわ&サクサクの生地の中にはカスタードクリームやチョコレートクリームがたっぷりと入っていて、粉砂糖をこれまたたっぷりとかけて食べます。
Grand Candyにはイートインコーナーがあり、いつでも揚げたてのポンチクをその場で食べられるのが嬉しい点。
しかもこのご時世でポンチク1個130AMD(=¥52)という激安価格で提供してくれているので、もう神です。

ポンチク以外にも、Grand Candyには焼き菓子やケーキなどのスイーツの種類も豊富で格安。
メニューがアルメニア語/ロシア語しかないのが難点ですが、写真付きなのでまあなんとかなるでしょう。
メルヘンな雰囲気の店内で、名物スイーツを格安で味わえるGrand Candy。
昔から値上げせずにずっとやってくれていて、のぶよはエレバン最後の良心のような店だと思っています。
エレバンのリーズナブルな食堂&レストラン:1000AMD~2000AMDの店

続いては、1000AMD~2000AMD(=¥400~¥800)の間で食事ができる格安な飲食店をどどーんと紹介していきます。
日本で外食するよりも割安感が感じられる価格帯だと思いますが、エレバンであってもこの価格帯の店はかなり良心的という扱い。
目安として1500AMD=¥600ほどあれば、まあまあな店でちゃんとした料理が食べられると思います。
個人的には、エレバン滞在中の食事の基本はこの価格帯の店を利用するのがおすすめ。
節約したい日は1000AMD以下の激安店でファストフードを食べたり、ちょっと贅沢したい日は2000AMD以上のちょっとだけ良い店を利用したり…とメリハリをつけるのがポイントです。
人情味ただよう食堂でローカルグルメ!【KER U SUS】

エレバン中心街のすぐ南側にあるGUMマーケットは、アルメニアの食文化がぎゅっと詰まった市場。
色鮮やかなドライフルーツ売り場や新鮮な果物売り場、ラヴァシュを手作りする店などがひしめき合う食のテーマパークさながらの空間は、観光客にも人気があります。
そんなGUMマーケットの敷地の外側には軽食を提供する店やBBQ店がいくつか点在しているのですが、のぶよのおすすめがこちら。
KER U SUSというという名前の食堂です。【マップ 緑①】


KER U SUSの分類はいちおうローカル食堂になるのですが、店内は小さいながらも清潔でお洒落な雰囲気。
そこまでディープな感じもしないので、ローカル食堂初心者でも気兼ねなく利用できます(店のおばちゃんの愛想も良いし)。
KER U SUSのメニューはそれほどバラエティー豊かではないものの、アルメニアのローカルフードがひと通り揃った感じ。▼



メニューはロシア語表記とアルメニア語表記のみで英語表記がないという、アルメニアのローカル食堂あるある。
店の人はみんな親切なので、分からないことは質問すればOKです(まあ、アルメニア語かロシア語しか通じないのだけど)。
のぶよの中で「ローカル食堂=煮込み料理」という方程式があるので、ソウスという初耳な料理を注文してみました。


熱々のスープをすくってひと口食べてみるとびっくり。
そこはかとない牛の旨味とトマトの芳醇な風味が口の中いっぱいに広がり、濃厚なコクが舌先で感じられます。
ひとことで言うなれば「牛肉が持つ旨味を150%出し切ったスープ」といった感じ。
雑味や臭みなどはいっさいなく、牛肉本来の良いところを全て液体にしたといったような…とにかく、めっちゃくちゃ美味しいです。
すっかりお気に入りのお店リスト入りしたKER U SUS。
再訪時は店名にもなっている「ケルウスス」という料理に挑戦してみました。

ケルウススとは、細切りにした牛肉と各種パプリカをトマトペーストとともに炒め、フライドポテトと合わせたボリューム満点の一品。
店によっていくつかスタイルがあるようですが、ここKER U SUSのものは煮汁多めの餡かけのような質感のものです。
まるで青椒肉絲のような食感&風味に、酢豚っぽい甘味と酸味を加えたような不思議な味わいが特徴的で、そこはかとないアジアの香りが漂います。

そしてもう一つ。料理名の「ケルウスス」とは、アルメニア語で「黙って食え」という意味なのですが、どうしてそんな名前がついているかと言うと…ケルウススはとにかく激辛だからです。
激辛の理由はスパイスの辛さではなく、大量に入った青唐辛子。
牛肉やパプリカを炒めるステップでフレッシュな青唐辛子をたっぷりと投入するそうで、これこそがケルウススの味の決め手なのだそうです。
生でかじっても激辛な青唐辛子に火が通って辛さがパワーアップ…
「言われなくても黙って食うしかない…」と思ってしまうほどの、話せなくなるレベルの辛さが口内に広がり、辛い物好きにはきっと歓喜の一品でしょう。

料理のレベルはかなり高く、料金はローカル価格で、でも店内はそこまでディープな雰囲気ではなく、店の人も愛想が良く柔らかな態度…と、アルメニアのホスピタリティーを具現化したようなKER U SUS。
GUMマーケットには多くの旅行者が訪れると思うので、市場散策がてらの腹ごしらえにぜひとも立ち寄ってみてください!
エレバン中心街の大人気炭火BBQ店!【Artashi Mot】

アルメニアは肉料理の美味しさで有名な国。
エレバン中心街にも様々なスタイルで肉料理を提供する店がありますが、地元民人気がものすごく高いのがArtashi Mot(Արտաշի Մոտ)です。【マップ 緑②】
エレバン市内に2店舗展開するお店ですが、旅行者的に利用しやすいのはカスカードすぐそばの店舗。
メスロプ・マシュトツ通りからほんの少し裏通りに入った場所にあり、入口がやや分かりにくいのが難点です。▼


Artashi Motの立ち位置は「ファストフード店とレストランの中間」といったところ。
料金は先払い&ファストフードの定番であるシャウルマやイキビル(串刺しBBQ)が看板メニュー&格安な料金とサッと食べられる雰囲気と、ファストフード店の三拍子は揃っています。
しかし、料理の味やメニューの豊富さ(BBQ以外にも色々ある)は、レストランのようです。

店内は、エレバン中心街ど真ん中ということもありややこぢんまりとした空間。
清潔感は文句なしで、一人でも気兼ねなく食事できる雰囲気が嬉しいです。


Artashi Motがエレバンっ子に大人気の理由が、格安な価格と巨大なサイズで質の高いバーベキュー。
ごろっとした大きさの豚肉や鶏肉、牛肉を丁寧に炭火で焼いて調理したものが、1000AMD~1100AMD(=¥400~¥440)と、エレバン中心街では考えられないほどのリーズナブルな価格で食べられるのです。
看板メニューである各種バーベキュー以外にも、サイドメニューやメインディッシュが充実しているのもArtashi Motの強み。
しかも、バーベキュー以外の料理もちゃんと自家製で店内調理されており、どれも味のレベルが高めなのです。
バーベキュー料理をサクッとファストフード感覚で食べていくこともできますし、アルメニア伝統の料理を数皿注文してゆっくりと食事していくことも可能。
その日の気分や予定に合わせて食事スタイルを使い分けられるのが嬉しいです。

Artashi Motが誇る肉料理は、とにかく絶品。
この店のBBQはソースなしで提供されるのですが、それはつまり肉の味に自信があるということに他なりません。
のぶよが個人的におすすめするのが、豚肉のイキビル(1100=¥440)。
ごろっとした巨大な豚肉の塊が7つも入った大ボリュームの一品で、炭火焼きならではの香ばしさと豚肉の脂のジューシーさがたまりません。

▲また、Artashi Motの隠れた名物がタブレ。
さっと茹でたレタスをブルグル(ひきわり小麦)やトマトと和えてレモンを搾った、アルメニア定番のサラダです。
この店のタブレは、アルメニアにしては珍しい激辛の味付けが特徴的。
かなりパンチの効いた味わいで、トマトの芳醇な風味が辛味によって最大限に引き出されます。
抜群のロケーション&格安&美味しいと三拍子揃っているため、いつ訪れても地元客で賑わっているArtashi Mot。
しかし回転はかなり早く、ちょっと混雑しているように見えても意外とサクッと利用できるので、エレバン中心街でガッツリ肉を喰らいたいときにはぜひ!
民家カフェの絶品スープ料理!【Teak】

エレバン地下鉄の北側の終点であるバレカムテュン駅(Barekamutyun / Բարեկամություն)の周辺は、ローカルな食堂や個人経営のカフェが軒を連ねる、隠れたグルメエリア。
駅から徒歩5分ほどの場所にあるTeakという小さなカフェも、このエリアのローカル食文化を象徴している存在です。【マップ 緑③】


Teakをひとことで表すなら「民家カフェ」。
もはやアパートの入口にしか見えない扉を抜けた先には、二階建ての民家を改装したような空間が広がっており、そこはかとないアットホームな雰囲気が感じられるのです。

Teakの一階は、白を基調にした統一感ある空間にカフェっぽいテーブルや椅子が並ぶ感じ。
螺旋階段を上がった先の二階はより民家感があり、リビングのような空間に居心地の良いソファー席がいくつか設置されています。


内装の感じも、雰囲気も、店のおばちゃんたちのアットホームな感じも含めて民家チックなTeakですが、メニューは意外にも超豊富。
前菜系からメイン系、小麦粉料理まで色々と揃っており、特にスープ料理が充実しています。




アルメニアの定番スープ料理はもちろん、レストランではまず出てこないような家庭的なスープまで揃っているのはさすがの民家カフェ。
ひよこ豆をベースにピリ辛の味付けがされたスープは、肉が入っていないとは信じられないほどに深い旨味が感じられる絶品でした。▼


また、ブロッコリーのクリームスープも絶品。
カラッと揚げられた自家製のクルトンとの相性も抜群です。▼


Teakは、紅茶やコーヒーを注文して飲み物だけで利用するのもOK。
エレバン中心街のカフェに比べるとかなり割安な価格も嬉しいです。
スイーツ類があまり充実していないのが唯一のマイナス点ではありますが、カフェ的利用もレストラン的利用もできるのが素敵。
店内は広くはないものの、居心地はとにかく抜群でアットホームな雰囲気なので、エレバンでリーズナブルなカフェを探している人はぜひ!
中心街で穴場の庶民派パンドック!【Qarvansara】

エレバン中心街において、おそらく最も穴場感が強い雰囲気の店の一つがQarvansara(Քարվանսարա)。【マップ 緑④】
Qarvansaraが位置するのは、円形に広がるエレバン中心街の南東エリア。
エレバンのど真ん中である共和国広場から徒歩7~8分ほどという立地にもかかわらず、周辺には観光スポット的な場所がないためか、旅行者にはほとんど知られていないのが特徴です。


▲そしてこのQarvansara。外観にはアルメニア文字で店名が示されているものの、なんと英語やロシア語の看板はいっさい出ていません。
メニューの写真が外に貼り出されているわけでもないため、知らなければ完全に素通りしてしまうたたずまいです。
その主張の弱さのためなのか、いつ訪れても空いているのがポイント。
裏を返せば、だいたいいつでも客が自分一人であるため、旅行者であっても一人で入りやすいということです

いや本当に、心配になるほどいつも客がいないのがこのQarvansaraという店。
店内は各卓に伝統のラグがあしらわれており、エレバンらしい剥き出しの石の壁があったりと結構内装も凝っているのですが、微妙に薄暗い店内とBGMの一つもない無音の空間はなかなかにホラーチックではあります。
メニューは、看板メニューのラフマジョ数種類をはじめ、スープ料理や煮込み料理などアルメニアの家庭料理が充実したもの。
高級レストランのような華やかな料理こそありませんが、「パンドック」と呼ばれるアルメニアならではの大衆食堂らしい品揃えと価格です。







色々と興味を惹かれるメニューが並ぶ中、のぶよが選んだのはこちら。
「コンチョル」というエレバンではなかなか食べられない料理です。▼


コンチョルとは、パンに炒めた玉ねぎやニンニクをまぶして溶き卵をかけ、お湯をぶっかけて仕上げた「パンのスープ」のような謎料理。
アルメニア北部のロリ地方の郷土料理とされ、硬くなったパンを美味しく食べようとした人々の知恵が生み出したものです。
いち地域のローカルグルメ&基本的に家庭で作るものという位置づけのコンチョルを出す飲食店は、おそらくエレバンではここQarvansaraのみ。
Qarvansaraのコンチョルにはお湯ではなくチキンブイヨンが使用されており、ハーブやスパイスがふんだんに使われていて、なかなかに奥深い味わいが美味しいです。
そして、Qarvansaraの看板メニューだというラフマジョも注文してみました。
ラフマジョとは、薄い生地に挽き肉やハーブを塗って焼き上げたアルメニア風ピザのこと。
この店では「卵のせラフマジョ」という珍しいメニューがあったので、迷うことなくそれを注文します。▼

みなさん、良いですか…?
この店の卵ラフマジョは国宝です。
ラフマジョ自体の美味しさは言うまでもないのですが、卵の焼かれ具合がもう完璧of完璧。
ぷるんぷるんの白身ととろ~り溶け出す黄身が芳醇な挽き肉に絡み、パリパリの小麦粉生地がそれらを全て包み込むのです。

この卵ラフマジョを食べるためだけにでも、客一人いないがらりとした無音の店内に勇気を出して足を踏み入れる価値があります。
エレバン広しといえども、ラフマジョ+卵の組み合わせで提供している店はおそらく他にあまりないので。
とにかく客が少なすぎて心配になるQarvansaraですが、味も価格も含めて「エレバンの穴場」の称号にふさわしい店。
愛想が良く、色々と世話を焼いてくれる店のおばちゃんの温かな感じも素敵です。
エレバンのお手軽ファミレスチェーン!【Karas Restaurant】

お手軽&リーズナブルにアルメニアの伝統料理を味わいたいなら、エレバンに数店舗展開しているKaras restaurantがおすすめ。【マップ 緑⑤】
ホロヴァツ(アルメニア風BBQ)やサラダ類など豊富なメニューが特徴で、アルメニアの家庭で作られる定番料理もいくつかあります。
市内全域に数十店舗展開しており、地元のエレバンっ子にはもちろん、旅行者の間でもとてもポピュラーなKaras。
ファミレスのような分かりやすいメニューと、一人でも気兼ねなく入れる雰囲気も人気の理由でしょう。


アルメニア料理以外にも、ロシア料理やジョージア料理、ハンバーガー類などのファストフード系も充実したメニューは、どれもエレバン的にはかなりリーズナブルな価格。
食べたいものが必ず見つかる品揃えの豊富さが嬉しいです。
Karas restaurantでぜひ挑戦してほしいのが、ハリサ(Harisa)と呼ばれるアルメニア風バターおかゆ。 ▼

ハリサは、鶏肉をじっくり煮込んだスープで麦を炊き、仕上げにバターを溶かしたもの。
鶏の旨味の果てしなさとバターの芳醇さが見事にマッチした絶品です。
ハリサにはものすごく長い歴史があり、なんでも1700年前にアルメニアが世界ではじめてキリスト教を受容した際に偶然出来上がった料理だそう。
現在でもイースターなどキリスト教の祭日においては欠かせない、アルメニアの国民的料理です。
また、Karasには「ビジネスランチ」というセットメニューもあり、このあたりもファミレスっぽいかも。▼

メイン、サラダ、サイドメニュー、飲み物とそれぞれ好きなものを選ぶことができ、どんな組み合わせでも1600AMD(=¥640)とリーズナブルな価格です。(もしかしたら今ちょっと値上がりしてるかも)


ちょっとした軽食から、数人集まってのランチ&ディナーにも、様々なスタイルで利用しやすいのもKarasの素晴らしい点。
多くの店舗が24時間営業なので、いつでも利用できる点も嬉しいです!
肉以外に余計なものなど入れない漢のシャウルマ!【Gharsi Khorovats】

エレバンのど真ん中である共和国広場からほど近い場所でひっそりと営業するGharsi Khorovats(Ղարսի Խորոված)は、エレバンの主に中年男性に大人気のシャウルマ専門店。【マップ 緑⑥】
店名こそ「ホロヴァツ」(串刺しBBQ)を謳っていますが、この店のメニューは鶏肉のシャウルマか豚肉のシャウルマのみ。
半地下のような空間にひらけた店に一歩入ると、店の奥で巨大な肉の塊が二つじゅうじゅうと焼かれています。▼


鶏肉/豚肉のシャウルマはいずれも1200AMD(=¥480)と、エレバンのローカルシャウルマ店の平均価格よりもやや高め。
なのになぜこの店がエレバンのおじさん層に人気なのかと言うと、市内に星の数ほど存在する他のシャウルマ店とは一線を画した特別な味に秘密があります。


「シャウルマ」と言えば、旧ソ連圏全体でポピュラーなファストフード。
味が付けられた塊肉を薄く削ったものを「ラヴァシュ」という薄い小麦粉生地で巻いたもので、トマトやキュウリなどの野菜が入ったり、フライドポテトが入ったり、マヨネーズやソースがたっぷりと入るのが一般的です。
いっぽうのGharsi Khorovatsのシャウルマは、超絶シンプル。
細長く巻かれた生地の中に中に入るのは、とにかくぎっしりと肉!肉!肉!で、申し訳程度に生玉ねぎとハーブが散りばめられているくらいです。▼

とてつもなくシンプルなシャウルマながら、その味は格別です。
豚肉の脂と柔らかな身の部分のいずれも使われており、程良い塩加減とコクが感じられる絶妙な味付け。
肉の味を邪魔するいかなる要素も入っていないため、純粋に肉の美味しさを心ゆくまで堪能できるのです。
この「漢のシャウルマ」さながらのシンプルさと、肉を食べている感が味わえる点こそが、エレバンのおじさんたちにGharsi Khorovatsが人気の理由。
「とにかくがっつりと肉を食べて胃を満たしたい!」というときにはおすすめです!
西アルメニア地域の郷土料理を良心的な価格で!【Marilda Café & Restaurant】

ひと味違うアルメニアングルメに挑戦したい人におすすめなのが、Marilda Café & Restaurant(Մարիլտա Կաֆե/Ճաշարան)。【マップ 緑⑦】
エレバン中心街北側のお洒落なエリアの一角にある小さなカフェ&レストランです。


内装を見ると、お洒落でお高めの店なのかと思ってしまうかもしれませんが、Marildaの魅力はとにかくリーズナブルな価格。
多種多様なメニューはだいたい800AMD(¥320)~と、エレバン中心街とは思えない低価格で質の高い料理を提供しているのです。












価格よりも何よりもMarilda最大の特徴であるのが、西アルメニア地域や中東地域の料理をメインに提供している点です。
「西アルメニア地域」というのは、現在のトルコ東部にあたる広大なエリアのこと。
歴史的にアルメニア人が多く居住していたエリアでしたが、1915年のアルメニア人大虐殺によって住民の多くが国外に避難し、世界中に離散してしまいました。
現在「アルメニア」の国家がある地域と西アルメニア地域は、地理的・文化的に隔絶されていたため、食文化にも違いが大きいのがポイント。
エレバンには西アルメニア地域の郷土料理に特化した店が数軒点在していますが、このMarildaもその一つというわけです。

西アルメニア料理はトルコ料理やシリア料理との共通点も多く、「どこからどこまでが○○の食文化」といった線引きがなかなか難しいもの。
Marildaではそのあたりはザックリしており、西アルメニア料理とシリア料理、レバノン料理がずらりと並ぶメニューの豊富さも魅力の一つです。


▲レバノンなどの中東地域発祥のフムスは、アルメニアでも大定番の前菜のひとつ。
ひよこ豆をペースト状にしたものにニンニクやスパイス等で味付けしたもので、Marildaのフムスはあっさりとした風味とひよこ豆の濃厚な口当たりが絶品です。
また、アルメニアの食卓によく登場するイチュリ・キュフタも絶品。
「ブルグル」と呼ばれるひきわり小麦をラグビーボール状に成型し、中に牛挽き肉を詰めてオーブンで焼いたものです。
ジューシーな挽き肉の風味と、なんとも言えないブルグル生地のふんわりもってりした食感がたまりません。
そして、本記事内でもすでにいくつか登場している、アルメニア風ピザ「ラフマジョ」にも変わり種が。▼

これは「ざくろと牛挽き肉のラフマジョ」。
その名の通り、牛挽き肉をざくろの果汁で煮詰めたものが薄い小麦粉生地にたっぷりとのせられています。
牛挽き肉のコク深さと、ざくろの甘酸っぱさが見事にマッチしており、なかなかに新体験な味。
西アルメニア地域の伝統に、中東料理のエッセンスが加わった独自の食文化が舌で感じられます。
そして、Marildaで絶対に挑戦してほしいメニューの一つが、マンティ。▼

「マンティ」とは、主に西アルメニア地域でよく食べられるミニ餃子のこと。
中央アジアやトルコにも同名の料理がありますが、中央アジアは蒸し餃子/トルコは水餃子として食されるのが基本です。
いっぽうアルメニア料理のマンティは、牛肉を小麦粉生地で包んだ極小サイズの餃子をオーブンでベイクして調理されるのが最大の特徴。
餃子系料理はユーラシア大陸の各地に存在しますが、オーブンで焼かれるのはアルメニアのマンティくらいだと思います。


マンティを食す前に絶対に知っておきたいことが、アルメニアのマンティには大きく分けて二つのタイプがある点。
・ドライ・マンティ:オーブンで焼かれた状態のマンティにヨーグルトやスパイスをかけて食べる
・スープ・マンティ:オーブンで焼かれた状態のマンティにトマトスープやチキンブイヨンをかけてスープ状にして食べる
店によってどちらのタイプのマンティを提供するかは異なるのですが、Marildaの場合はなんと二つのマンティいずれも楽しめるのが嬉しい点。
基本はドライ・マンティですが、セットで付いてくるチキンブイヨンをたっぷりとかけることでスープ・マンティへと味変することができるのです。

最初は焼きたてサクサクのマンティをそのまま→次にヨーグルトやスパイスを好みでかけて食べる→最後にチキンブイヨンでスープ風に…と、名古屋名物のひつまぶしのような食べ方ができるというわけです。
そして、このマンティのセットが1500AMD(=¥600)という破格なのも素敵。
アルメニアでは「マンティ=数人でシェアする高級料理」という扱いなので、どこのレストランでも二人分ほどの量が5000AMD(=¥2000)~で提供され、一人分だけで割安価格で提供してくれる店はとても少ないのです。
エレバン中心街とは思えぬ激安価格のメニューも、バラエティー豊かな味が楽しめる点も、しっかり手作りされた料理の味の良さも…とにかく総合的にパーフェクトに近いMarilda。
「出費を抑えながらも、ちゃんとしたものが食べたい…!」という贅沢な人には心からおすすめの、エレバン中心街のオアシスのような店です!
エレバンで一番のハンバーガー!【Pitstop Burger】

味付けあっさり目なアルメニア料理は、毎日食べていても飽きないほど。
しかしながら、たまには違ったものが食べたくなるのも人間というものです。
ファストフード類が充実しているエレバンですが、シャウルマや炭火BBQなどアルメニアンなファストフードではなく、アメリカンなハンバーガーが食べたくなることもあるのではないでしょうか。
エレバン中心街で絶品ハンバーガーを食べるなら…Pitstop Burger。【マップ 緑⑧】
中心街にはハンバーガーをウリにする店が数多く存在していますが、値段と質のバランスではこの店の右に出る店はないと思います。


Pitstop Burgerのメニューは数十種類におよび、各種ハンバーガーからサンドイッチ類にケバブなど、とにかくバラエティー豊富。
アメリカンなビーフバーガーはもちろん、チキンバーガーやスジュフ(アルメニア伝統の加工肉)を使ったバーガーまで…
その日の気分で食べたいバーガーを選べるので、飽きることはまずありません。


Pitstop Burgerのハンバーガー類にはフライドポテトがデフォルトで挟まっているのもポイント。
何も知らずにサイドメニューとしてポテトを頼みましたが、正直ハンバーガーだけでも結構なボリュームがあるので、食が細い人は単品でも◎
ハンバーガーと同様にサンドイッチ系も人気だそうで、店内は常に多くの地元民で賑わっています。
アルメニア料理に小休止をおきたいときはもちろん、中心街散策の休憩&ランチにもおすすめ。一度訪れてみてはいかがでしょうか。
個室席オンリーのローカル居酒屋!【Kamurj】

アルメニアの昔ながらの雰囲気を残した居酒屋スタイルの店を探している人におすすめなのが、エレバン中心街から南に徒歩15分ほどの場所にあるKamurj(Կամուրջ)。【マップ 緑⑨】
観光客はほとんどやって来ないエリアということもあり、外観も内部も周辺のエリア自体も果てしないローカルな雰囲気に包まれています(大好物)。

▲Kamurj利用時の最大の難関が、店の入口の分かりにくさ。
上の写真右側のガラス扉が唯一の入口となっているのですが、アルメニア文字で店名が書かれているのみ。
しかもKamurjの両隣には別の飲食店(くっそ無愛想なレストランとシャウルマ店)が隣接しているというトラップまであります。
ガラス扉の外から中を見ても、飲み物が入った冷蔵庫が置かれているだけの空間しか見えず「???」と混乱するかもしれません。
Kamurjがあるのは、ガラス扉を入ってすぐの場所にある階段を上った先の二階部分です。

二階部分に到着すると、まるでちょっとしたアパートのような空間が広がっており、キッチンで忙しそうに調理する女性たちの声が聞こえてくるはず。
誰かに声をかけて、席へと案内してもらいましょう(もちろん英語など通じないのでがんばれ)。
Kamurj最大の特徴が、飲食スペースは全て個室となっている点。
一人で訪問しても個室に通してくれ、伝統的な模様に統一されたプライベート空間で他人の目を気にせずに食事できるのが嬉しいです。
Kamurjのメニューは、BBQ料理を基本に、前菜系やメイン料理など色々と揃ったもの。
価格はエレバン平均よりも2~3割ほど安いので、数皿注文してみるのも良いでしょう。▼









店のお兄さんにおすすめを尋ねると「肉料理」とのことだったので、素直に従うことに。
羊挽き肉を棒状に固めたものを炭火でじっくりと焼いたガラン・キャバブです。▼


羊肉とはいえ、臭みはいっさいなし。
柔らかくジューシーな肉の風味が存分に感じられ、塩加減も控えめでとても美味しいです。
そして、揚げヒンカリもかなりの絶品でした。▼


食欲がそそられる黄金色の見た目の揚げヒンカリたちは、皮のざっくざく食感と具の挽き肉の芳醇な風味がベストコンビネーションオブザイヤー。
正直、ヒンカリの本場・ジョージアで食べる「焼きヒンカリ」の百倍美味しいです(まじで)。
また、スープ料理や煮込み料理も充実しているのがKamurjの素晴らしさ。
鶏肉をじっくり煮込んだブイヨンに「コロリク」と呼ばれる肉団子を合わせた「コロリコヴァプール」は、ぜひとも食べてみてほしい一品です。▼


あっさり風味のブイヨンは、鶏の旨味が150%抽出された芳醇な味わい。
手作り感いっぱいの肉団子もじゅんわりと旨味が舌で感じられる絶品でした。
総合的に、Kamurjはあっさりした味付けが特徴的。
居酒屋として営業している店ではあるものの、塩気がきつすぎないのが嬉しいです。
他にもメニューは多岐に渡り、何度も通いたくなる魅力があるKamurj。
中心街からのアクセスがやや不便なのと、入口が絶望的に分かりづらいのがネックではありますが、わざわざ足をのばす価値アリです!
格安でバラエティー豊かなアルメニア料理を楽しむ!【SAS Food court】

エレバンのスーパーマーケットチェーンであるSASが経営するSAS Food Courtは、市内に数十の店舗を有するエレバンのフードコート界の王者。【マップ 緑⑩】
日本のフードコートとアルメニアのフードコートはやや概念が異なるのですが、「色々な種類の料理を何品も取って食べられる店」という認識でOKです。
スープやサラダ、バーベキューやグリルや…と、アルメニア料理の基本はほぼ全て揃った圧倒的なメニューの豊富さが最大のウリで、リーズナブルな価格も嬉しいです。

SAS Food Courtの料理には、出来合いのものが提供される場合と、その場で調理してくれる場合があります。
店内には巨大なBBQコーナーや窯が設置されており、肉料理や小麦粉料理の美味しさはレストランにも負けないほどです。


「SAS Food Courtに何回か通えば、アルメニアの食文化をだいぶしっかりと味わえる」と断言しても過言ではないほどに、とにかく品数が充実しているのがポイント。
値段もレストランに比べるとかなりリーズナブルに済むので、節約派旅行者でもアルメニアングルメをしっかりと楽しむことができます!
エレバンのカジュアルなレストラン:2000AMD以上の店

最後は、2000AMD(=¥800)以上の予算が必要な「ちょっと良い店」を紹介していきます。
とはいえ、お洒落して行くようなお高級&おファンシーなきらきら店ではありません。
「せっかくエレバンに来たから、ある程度ちゃんとした店でアルメニア料理を食べたい!でも一人でも入りやすい雰囲気のところが良い…」といった人向け。
正直、エレバンを訪れる日本人旅行者に最も需要があるのはこの価格帯の店かもしれません。
「ちょっと良い店」と言っても、ほとんどの店は予算2000AMD~3500AMD(=¥800~¥1400)ほど。
東京で同じような雰囲気のレストランに行ったらこんな予算では済まないでしょうし、概してお得感が感じられると思います。
伝統的な雰囲気で味わう、アルメニア地方部の郷土料理!【Yerankyuni】

「せっかくアルメニアに来たんだから、アルメニアの伝統料理をたくさん食べたい!なんなら地方部の郷土料理も…!」という人が問答無用で行くべきなのが、Yerankyuni(Եռանկյունի)。【マップ 赤①】
エレバンの一等地であり観光ハイライトであるカスカードのすぐそばにある小さなレストランで、入口がある一階部分と地下階の飲食スペースの二層構造になっています。


一階部分&地下階部分のいずれも、アルメニアの伝統的なラグや雑貨が散りばめられたトラディショナル感100%の雰囲気が魅力的。
それとなく置かれた小物のひとつひとつにもこだわりが感じられます。
「エレバン中心街ど真ん中にある伝統的な内装のレストラン=ちょっと一人では入りにくい雰囲気」と思ってしまいがちですが、Yerankyuniに関しては心配無用。
内装は凝られているものの家庭的な雰囲気もあるので、観光がてらちょっとランチorディナーをしていくにはぴったりです。


Yerankyuniの最大のウリは、アルメニアの伝統料理や家庭料理に特化したメニュー。
「この店に来れば、アルメニア料理の基本的なものはすべて食べられる」と断言しても良いほどに、メニューが充実しています。
さらに注目すべきが、アルメニア各地方の郷土料理やご当地グルメの類がとにかく豊富なこと。
エレバンにおいては、この店以外ではまずお目にかかれないようなメニューも多くあり、アルメニアの食文化に興味がある人は必訪です。
Yerankyuniで絶対に挑戦したいのが、鶏肉をざくろの果実とともに煮込んだ郷土料理「ホホップ」。
ナゴルノ=カラバフやアルメニア南部が本場の料理であるため、エレバンで提供する店は本当に珍しいのです。▼

Yerankyuniのホホップは、鶏の手羽や脚の部分など旨味が凝縮されている箇所が骨付きのまま使用されているため、鶏の旨味が煮汁にびゅわっと染み出しているのが特徴的。
そこに玉ねぎの甘味や香ばしさと、ざくろのみずみずしい甘酸っぱさが見事に融合し、まさに芸術と言うべき一品になっています。


▲他にも、アルメニアの保存食文化の結晶であるバストゥルマ(塩漬けにした牛肉を天日干しにしたもの)をふんだんに使用したオムレツも美味。
Yerankyuniのメニューには、厳しい気候の中で生きるアルメニア地方部の人が生み出した食文化の結晶たる料理が、他にも多く揃っています。
エレバン中心街ど真ん中ということもあり、本記事内の他のレストランよりはやや値が張るものの、ちょっと贅沢してでも訪問する価値は大いにあり。
エレバン滞在中に一度くらいは、トラディショナルな雰囲気で伝統の味わいに舌鼓を打ちたいものです。
エレバンっ子に大人気のアルメニア版フィッシュ&チップス!【Sig&Chips】

お洒落なカフェやワインバーが点在することで有名な、エレバン中心街北部のサリャン通り(Saryan St.)。
その一角に店を構えるSig&Chipsは、エレバンっ子の間でひそかに流行中のカフェレストランです。【マップ 赤②】
店内は、白と青に統一された素敵な空間。
さほど広くはない空間ですが、ポップで清潔感がある明るい雰囲気です。▼

店名のSig&Chipsとは、イギリス名物の「フィッシュ&チップス」をもじったもの。
白身魚のフライとフライドポテトにレモンをキュっと搾り、タルタルソースを絡めていただく、アレです。
そして「シグ」というのは、アルメニア最大の湖であるセヴァン湖でとれるマスの仲間の白身魚のことです。
…もうお分かりですね。このお店では、フィッシュ&チップスの「フィッシュ」の部分にアルメニアの国民的淡水魚であるシグを使用したアルメニアのご当地フィッシュ&チップスを提供しているのです。
そのため、Sig&Chipsの店内デザインのコンセプトは「シグ」。
壁にも、クッションにも、トイレにまでも…とにかくシグ!シグ!シグ!といった(半ば狂気さえ感じるほどの)独特さですが、それらがすべて上手にまとまっており、アルメニア人のセンスが光ります。▼


すでに触れたシグ&チップスが一番人気の看板メニューではあるものの、他にもメニューは多種多様。
何がすごいかって、スープにもサラダにも前菜にもスナックにも、とにかくすべてシグを使ったメニューばかりである点です。▼


さらにSig&Chipsのシグ愛は定番メニューだけではおさまらず、季節限定メニューでは「シグのドルマ(ぶどうの葉で巻いたもの)」や「シグのハリサ(バターおかゆ)」など、アルメニアの伝統的な料理にシグを使用した狂気のメニューまで。
とにかく、店の雰囲気からメニューに至るまで、シグへの愛とこだわり100%で営業しているのです。
色々とシグ料理を食べたい気持ちを抑えて、まずは看板メニューのシグ&チップス(2900AMD=¥1160)をば。▼

黄金色にカラリと揚がったシグの身は、大きなものが三つ。
その下にはこれまたサックサクに揚がったフライドポテトがどっさり盛られ、お約束のレモンとタルタルソースもセットで付いてきます。
シグの身をひと口かじると、サックサクの衣とふわっふわのシグの身にびっくり。
塩気は控えめで、シグ自体の旨味や上品な甘味が口内にぷわーんと広がり、臭みはゼロ。揚げ具合もこれ以上ないほどに完璧でシグの身も厚くてほわっほわで…いやこれ、とてつもなく美味しいです。
もちろんレモンとの相性も抜群ですし、自家製だというタルタルソースとも完璧な相性。
ここのタルタルソースはあっさりとした味わいで重たくないので、シグの上品な風味を引き立ててくれています。
また、たっぷりと入ったフライドポテトの揚げ具合も完璧で、さっくり&ほっくほく食感。
こちらもシグの味わいに合うように塩加減が控えめで、量は多いながらもパクパク食べられます。

何よりびっくりしたのが、シグの身にいっさいの骨が入っていなかったこと。
小骨すら一本もなかったので、おそらく丁寧に下処理されて骨が取ってあるのでしょう。
さすがシグ料理をウリにするだけあり、味も、丁寧な調理も、想像以上のクオリティーに大満足。
エレバンっ子にひそかに人気なのも納得ですし、メニューにあるシグ料理を全制覇してみたい気持ちになります。
店員さんたちもみんな親切で愛想が良く、英語も問題なく通じる点も高ポイント。
エレバンで魚への渇望に悶えている日本人のみなさん、とにかく騙されたと思って訪問してみてください!
雰囲気抜群のパンドックで味わう絶品グルメ!【Vana Khurjin】

エレバン中心街の中でも、有名お高級レストランが多く点在するトゥマニャン通りの一角。
観光ハイライトの一つであるオペラ座からほど近い場所にあるVana Khurjin(Վանա Խուրջին)は、「絵に描いたようなパンドック(アルメニアならではの大衆食堂風レストラン)」といった雰囲気の名店です。【マップ 赤③】


アルメニア独自の飲食店スタイルである「パンドック」の定義がなかなか難しいのですが、英語だとTavern=タベルナ=大衆食堂と訳されます。
しかしアルメニアにおける「パンドック」の位置づけは、大衆食堂というよりも「ちゃんとしたレストラン風の居酒屋」といった感じ。
内装にアルメニア伝統のモチーフがふんだんに使われているのがパンドックの絶対条件であり、ここVana Khurjinの内装もかなり凝られたものです。


▲ エレバンらしい石造りの壁と白い壁が対になった店内には、アルメニア伝統の模様や絵画が散りばめられています。
やや年季の入った椅子の感じも、「THE・アルメニアのパンドック」といった感じ。


店内はかなり清潔に保たれており、雰囲気も抜群。
そのため、一人で利用するのはやや躊躇ってしまうかもしれません。
しかし入ってしまえばこっちのもの。
店の人の愛想も悪くないですし、メニューに関しての質問にも的確に答えてくれます。









Vana Khurjinのメニューは、バーベキュー料理から家庭的な煮込み料理、各種前菜など、アルメニア料理がほとんど揃ったもの。
中でもおすすめなのが、店名にもなっているフルジンです。▼

フルジンとは、アルメニアの国民食である「ラヴァシュ」(紙のように薄い小麦粉生地)の上に仔牛肉や羊肉、各種香味野菜をのせて小籠包のような形になるように包み、オーブンで焼き上げた料理。
いわば、「仔牛肉とハーブのラヴァシュ包み焼き」といったところです。
見た目的にはお隣ジョージアの水餃子「ヒンカリ」に似ているように思いますが、調理法も味も完全なる別物。
ジョージアのヒンカリはモンゴル帝国がルーツですが、アルメニアのフルジンはイランや中東地域の食文化がルーツだそうで、その起源からして全くの別料理です。

焼かれてパリッパリのラヴァシュ生地の上の部分をナイフで切ると、野菜やハーブで彩られた羊肉がどっさり。
中の具から染み出したエキスや脂が、ラヴァシュ生地の内側に染み込んでふにゃっとなっており、生地の外側のパリッパリの極みな食感とのコントラストが素晴らしいです。
中の具の味付けも絶妙で、柔らかな羊肉は昇天級の美味しさ。
肉の脂の旨味が口内に広がった後は、ハーブの清涼感がすっと追いかけてきます。

一般的に、アルメニアではフルジン=宴会料理という扱いで、数人前はある巨大なサイズのものが提供されるのが普通。
到底一人で食べきれる量ではなく、価格も7000AMD(=¥2800)~とかなりの贅沢品です。
いっぽうのVana Khurjinのフルジンは、一人でもぺろりと食べられる前菜サイズで1個1100AMD(=¥440)と格安な価格も魅力的。
アルメニア伝統の宴会料理をこの価格で提供してくれる店は、エレバンには他に存在しません。
また、鶏肉のざくろ煮「ホホップ」もなかなかの美味でした。▼


すでに紹介したYerankyuniのホホップはシャバシャバの茶色い煮汁が特徴の茶ホホップでしたが、ここVana Khurjinのホホップはどろりとした黒い煮汁が特徴の黒ホホップ。
鶏肉とざくろを一緒に煮込む調理法ではなく、ざくろを煮詰めて作ったシロップに鶏肉を絡めるという調理法なのです。
Vana Khurinではホホップにはライスがセットで付いてくるのも面白い点。
確かに、この甘辛い味付けは確実に米に合います。
のぶよ的にはYerankyuniの茶ホホップの方が好みでしたが、黒ホホップも挑戦してみる価値はあると思います。
そんなわけで、雰囲気も価格も料理のレベルも素晴らしいVana Khurjin。
なぜかいつ行っても空いているので心配になりますが、エレバン中心街の伝統的なパンドックで食体験をするにはぴったりのお店だと思います!
エレバン中心街で日本の味を!【Ramen-Ten】

エレバンではやっぱりアルメニア料理に挑戦したいものですが、やはり毎日毎日というのは飽きてしまうかも…
日本の味が恋しくなった人におすすめなのが、Ramen-Tenです。【マップ 赤④】
エレバン中心街に二店舗展開するお店で、店名の通り日本のラーメンが看板メニューとなっています。


▲内装の感じを見るに、おそらくRamen-Tenは日本人経営ではないでしょう。
しかしながら味は意外と良く、「頑張って日本の味を再現しようとしているな…」と感心させられたほどでした。

麺やトッピングはもう少し頑張ってほしいものの、この店のラーメンスープはとにかく絶品。
しっかりと素材の旨味が出ており、薄すぎず塩辛すぎず…といった絶妙な味わいが素晴らしかったです。
エレバンで日本の味を求めようとすると、やはり値が張るのが現状。
どうしても我慢できないときや、市内観光がてらお洒落な雰囲気の店でさくっと麺をすすりたい時には立ち寄ってみるのもアリです!
おわりに

エレバン市内に点在する、おすすめのグルメスポットやレストランを一挙紹介しました。
正直、「22軒全制覇しよう!」なんて物好きな日本人はまず存在しないでしょう(というか、そんなに長いことエレバンにみんな居ないだろうし)。
しかし、記事内で気になったお店のいくつかをピックアップして訪問するだけでも、きっと満足のいく食体験ができると思います。
どのお店にもかなりの思い入れがあり、心からおすすめしたい場所ばかり。
ぜひエレバン滞在中に実際に足を運んでもらえれば嬉しいです!
コメント