こんにちは!アルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
「水かけ祭り」と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、タイの「ソンクラーン」ではないでしょうか。
旧正月を祝う行事で、ソンクラーン目当てにタイへ旅行する人もいるほどにポピュラーなお祭りとなっています。
いっぽうで、タイから遠く離れたアルメニアにも「水かけ祭り」が存在することはほとんど知られていません(のぶよも実際来るまで知りませんでした)。
その名も「ヴァルダヴァル(Vardavar / Վարդավառ)」。
春先に開催されるタイのソンクラーンとは異なり、アルメニアの水かけ祭りは真夏の恒例行事。
老若男女問わず、都市部でも地方部でも…
見知らぬ人々同士がとにかく水をぶっかけ合うクレイジーな一日。という点は共通しています。
今回の記事は、全アルメニアの人々が熱狂するヴァルダヴァルの一日を紹介するもの。
日本ではあまり知られていない、この国の新たな一面が見られるかもしれません!
アルメニアの水かけ祭り「ヴァルダヴァル」とは?
ヴァルダヴァル(方言によってはヴァルタヴァル/ヴァルテヴォルとも言う)とは、アルメニアの国教であるキリスト教における祭日のことで、イエス・キリストの変容を祝う日とされています。
…が、実はそれは後付け。
アルメニアはおよそ1700年前(301年)に世界ではじめてキリスト教を国教に定めた国として有名ですが、それ以前は精霊信仰やその他の宗教が根付いていました。
キリスト教伝来以前のアルメニアで信仰されていたのが、「アストギク(Astghik / Աստղիկ)」という豊穣と愛と水の女神。
もともとのヴァルダヴァルは、アストギクを讃えるための宗教的なお祭りだったと考えられています。
およそ2000年前に起源を持つヴァルダヴァルですが、現在では宗教的な面はほとんど見られません。
人々が狂ったように笑顔で水をかけまくるという、クレイジーな行事となっているのです。
アルメニアの水かけ祭り「ヴァルダヴァル」に参加してみた。
ヴァルダヴァル当日の朝、町は普段と変わらぬ静けさ…ではありません。
朝9時頃になって気温が上がってくると、この日を待ちに待った子供たちが町に続々とやってきます。
彼ら彼女らの手には、例外なく巨大な水鉄砲やバケツが。
そう。近くを通る人に容赦なく水攻撃をしてくるのです。
ヴァルダヴァルを楽しみにしているのは子供たちだけではありません。
大人たちもバケツやペットボトル、タライなど水が入る容器は全て持参で、ちびっこギャングたちに負けないほどのエネルギーで参戦します。(むしろ大人の方が楽しんでいるかも…)
午前中は比較的静かなヴァルダヴァルですが、アルメニア人が本気を出してくるのは午後1時頃から。
腹ごしらえを済ませた人々が噴水や池がある場所に一挙に集まり、とにかく誰彼構わず水をかけまくるヴァルダヴァルの本番のスタートです。
より多くの人に水をかけようと、バケツに汲んだ大量の水を広範囲にまき散らす人もいれば、狙いを定めた標的一人にピンポイント攻撃する人まで ▼
スマホを持っていようが、外国人だろうが、男も女も関係ありません。
バケツを持った人と目が合ったらもう最後。容赦なく大量の水を浴びせられます。
↑クレイジーすぎるアルメニアの水かけ祭り。実は2000年以上前に起源をもつ由緒正しいもの🇦🇲
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) July 11, 2021
キリスト教伝来以前に信仰されていたアストギクという水の女神を讃えるものなんだそう。
…とはいえ現在では宗教色はほぼなく、みんな笑顔で水をかけまくるというエクストリームな日😇 pic.twitter.com/tMm7Vw9NDL
水をかける側もかけられる側もとにかく本気です。
それでも、全員が満面の笑顔で楽しむのがアルメニアのヴァルダヴァル。
そんなわけで、10分も経ったらもう全身びしょびしょ。
エレバンの夏はかなりの暑さになるので、逆に気持ちよく感じるほどです。
ヴァルダヴァルの一日は本当に何でもありなよう。
・走行中の車の窓から通行人に水鉄砲を撃ってくる人
・見知らぬ人もお構いなしに、噴水や池の中に投げ込む人
・デリバリーのバイク(走行中)に水をぶっかける人
・仕事そっちのけで通行人に水をかけるレストランの人
・アパートの高層階からホースで大量の水を撒く人
など、「いったいこの国はどうなってんの…?」と感じるほどの狂気に満ちた時間が流れます。
ヴァルダヴァルがようやく終了するのが、気温が下がってくる夕方6時頃。
みんな全身ずぶ濡れのままで町を練り歩いて、飲みに行ったりディナーをとったりするのです。
ヴァルダヴァル参加のポイント
ネット上にはほとんど情報がないヴァルダヴァル。
(というか、アルメニアに関する情報自体が限られているのが現状かも)
参加する際は、いくつか覚えておくべきポイントがあります。
ヴァルダヴァルの日程
現在、(いちおうは)アルメニア正教の祝日とされているヴァルダヴァル。
1年に1回、1日限定の特別な日ですが、日程が年ごとに変わる点に注意が必要。
アルメニア正教のイースターにあたる日から98日後の日曜日がヴァルダヴァルの日にあたります。
2021年 | 7月11日 |
2022年 | 7月24日 |
2023年 | 7月16日 |
2024年 | 7月7日 |
これはあくまでもエレバンでの開催日。
地域によっては多少前後することもあるそうなので、事前の確認はお忘れなく!
多くの人が集まるエリア
ヴァルダヴァル開催日に最も賑わうのは、町の中心街にあたるエリア。
住宅街や郊外でも、各家庭から水鉄砲で通行人を狙ってくる人も多いですが、お祭りの雰囲気を味わうならやはり中心街が◎
なかでも噴水がある広場や池がある公園などがメインとなります。
首都のエレバンで、ヴァルダヴァルの水かけがもっとも白熱するのが以下の3か所。
いずれも噴水や人工池があるため、「エンドレス・水かけ祭り」といったカオスな雰囲気が味わえます(笑)
これら以外の場所でも、気を抜いてはいけません。
上から水が降ってきたり、すれ違いざまに水をかけられたりするので「町全体がウォーター・ワールドの最前列」と考えておきましょう。(USJに行ったことがある人ならわかるはず)
ヴァルダヴァルの持ち物
ヴァルダヴァルの持ち物は超シンプル。
濡れても良い服&靴とバケツ。以上!
水をかけられてばかりでなく、自分から見知らぬ人にじゃんじゃん水をかけてしまうのが楽しむコツです。
逆に持って行かない方が良いものは、
・スマートフォン
・カメラ
・財布
・パスポート
など、濡れたら困る電子機器や紙、カード類。
スマホを持っていようがなんだろうがお構いなしに水をかけてくるので、どうしても写真が撮りたい場合は防水対策を念入りにしていくのが◎
(池に体ごと投げ込まれたりしたらどうしようもないですが)
のぶよはスーパーの袋を3重にしてスマホを持参し、周囲360°を警戒しながら写真を撮りました。
(数回、大量の水をかけられて「あ…ここまで一緒に旅してきたiPhone5、とうとう終わった…」と思ったけどしぶとく生きてた)
余談ですが、ヴァルダヴァルの翌日は携帯修理店が大盛況となるそうです(笑)
おわりに
アルメニアを夏に旅するなら絶対にチェックしたい、水かけ祭り・ヴァルダヴァルを紹介しました。
普段は素朴でおとなしいアルメニア人ですが、この日はまるでみんな別人格になったかのよう。
それほどに、クレイジーで熱狂的な一日となります。
不思議に満ちたアルメニアの文化を知るきっかけにもなると思うので、もっと多くの人に知ってほしいと思います。
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