こんにちは!待ちに待ったアルメニア南部旅を開始した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア地方部旅の最初の目的地にしたのが、南部シュニク地方のゴリスという町。
前情報いっさいなしで訪問したのですが、石造り×木製テラスで統一された建物がずらりと並ぶ中心街の美しさに、思わず感動してしまいました。▼

とにかく統一感があり、良い感じの情緒に満ちたゴリスの中心街。
しかしこの中心街はここ200年ほどの間に開発されたもので、それ以前のゴリスの中心街は、川を挟んだ対岸の丘陵地帯に位置していました。
現在のゴリス中心街からでも見られるかつての中心街は「オールド・ゴリス」と呼ばれ、ゴリス観光の要となるエリア。
このオールド・ゴリスを象徴する風景が、大地からにょきにょきと生えたかのような奇岩群です。


オールド・ゴリスの奇岩群は、どれも自然に形成されたもの。
およそ100年ほど前までは岩の中に人々が住んでいたそうで、洞窟住居群としての性格も持ち合わせていました。
そう、まさにお隣のトルコにおける観光ハイライトのであるカッパドキアそっくりなのです。
そんなわけで、「アルメニアのカッパドキア」なんて称されることもあるオールド・ゴリス。
のぶよ的にはこうした「アルメニアの○○!」はもう「はいはい、わかったわかった…」といった感じだったのですが、実際に行ってみて驚きました。
トルコのカッパドキアを訪れたことがあるのぶよにとっても、確かにちょっとカッパドキア感が感じられたためです。

オールド・ゴリスはゴリス中心街から単体で訪れることも可能ですが、せっかくなら大自然が作り出した景観を五感で感じたいもの。
オールド・ゴリス周辺には簡単なハイキングコース(しかもほぼ全て下り坂!)が敷かれており、初心者でも問題なく歩くことができるのです。

というわけで今回の記事は、オールド・ゴリスの奇岩地帯を歩くハイキングコースを解説するもの。
アルメニア南部の大自然の美しさと、「アルメニアのカッパドキア」さながらの異世界感を同時に味わえる、超おすすめのコースです!
オールド・ゴリス洞窟住居郡ハイキングの概要

オールド・ゴリスのハイキングコースは公式なものではありませんが、ゴリスを訪れる多くの旅行者の間ではとてもポピュラーなもの。
片道でも往復でも楽しむことができ、体力や時間の余裕に合わせて自由にアレンジができる点も嬉しいです。
ここでは、まず知っておきたいオールド・ゴリスのハイキングに関する基本情報をどどんと解説していきます!
オールド・ゴリスのハイキングの基本情報
オールド・ゴリスのハイキングにはいくつかのコースがありますが、今回紹介するのは上のコース。
ゴリスの町を一望する場所に建つベル・タワーを出発し、奇岩地帯を抜けてゴリス中心街がゴールとなるものです。
距離は片道3.5kmと短いですが、高低差は370mと結構なもの。
まあまあな傾斜の坂を下ることとなるので、それなりに健脚である必要はあるかもしれません。
片道?往復?

オールド・ゴリスのハイキングは、ゴリス中心部をスタート地点として往復することももちろん可能です。
しかし、同じ道を往復する(&行きはずっと上り坂)となるので、歩くのがとてつもなく好きな人以外にはおすすめしません。
コースのほぼ全てを下り坂にして楽に歩きたいなら、本記事で紹介している通りのベルタワー→ゴリス中心街方面で歩くのが断然おすすめ。
ゴリス中心街~ベルタワーまでは、フンゾレスク(Khndzoresk / Խնձորեսկ)行きのミニバスを利用することになります。▼

ゴリス~フンゾレスク間のミニバスは、ゴリス中心街の広場東側の発着。【マップ 黄色】
平日は1日6往復/土曜日は1日4往復していますが、日曜は完全に運休となる点に要注意です。

ゴリス中心街でフンゾレスク行きのミニバスに乗り、ベルタワー付近に差し掛かったら、運転手に言って途中下車すればOK。
途中下車の場合でも、フンゾレスクまでのフル運賃である350AMDを払わなければならない場合が多いです。
ハイキングのおすすめ時期・時間帯

オールド・ゴリスのハイキングは、3月~12月の雪がない期間限定で楽しめます。
夏場なら緑いっぱいの風景に奇岩が映える光景が、秋なら物寂しい色の大地に奇岩が映え、どの時期でも美しい風景が見られるでしょう。
ハイキングの時間帯は、朝9時~午後2時くらいの間がベスト。
午後2時以降はゴリス中心街方面の眺めが完全なる逆光となってしまうためです。
ハイキングの注意点・持ち物
オールド・ゴリスのハイキングコースの難易度は高くなく、初心者が装備なしで歩いても全く問題ないレベルです。
最低限スニーカーさえあればOKですが、一部足場が悪い箇所や傾斜が急な箇所がある点に注意。
トレッキングシューズなどがあるなら、履いた方がもちろん安心です。
コースは片道1時間半ほどの短いものなので、そこまで大量の飲料水や軽食も必要ありません。
途中には商店や飲食店は一つもないので、「ビューポイントでランチしたい!」という場合はゴリスから持参することになります。
マストな地図アプリ
Google Mapは、ハイキングコースを網羅しているとは言い難いです。
のぶよがハイキングの際に使うのが、Maps.Meというアプリ。
オフラインでも地図の表示や近くのスポットの検索ができるだけではなく、ハイキングコースや自転車コースも詳細に表示されます。

また、ハイキングコースの高低差を表示する機能もあってかなり便利。GPSの制度もかなり正確です。
オールド・ゴリスハイキングコース詳細

オールド・ゴリスのハイキングに関する基本情報が分かったら、いよいよ実際に歩くとき。
本記事では最も簡単なベルタワー→ゴリス中心街方面の片道ルートを掲載していますが、ゴリス中心街から往復する場合はこの逆の順序で周ればOKです。
オールド・ゴリスのベルタワー

ハイキングのスタート地点となるのが、オールド・ゴリスのベルタワー。【マップ 青①】
ゴリスの町よりも300mほど標高の高い場所に位置しているモニュメントで、フンゾレスクなどゴリス東部の町に至る幹線道路沿いに建っています。
ベルタワーの建造は1985年のソ連時代のこと。
その後長らく放置されてひどい状態にあったそうですが、2017年のゴリス再開発プロジェクトの際にリノベーションされ、現在の美しい姿となりました。


ベルタワーにはゴリス近郊の山で産出される火山岩が使用されており、ピンクがかった温かな色合いが特徴的。
モチーフとなっているのはもちろん、オールド・ゴリスの奇岩です。
ベルタワー自体の見学は5分~10分もあれば十分ですが、ゴリス市街を一望するパノラマビューはお見逃しなく。
ベルタワーからよりも、100mほど未舗装道路を歩いた先あたりからの方が美しい眺めが見られます。▼


ベルタワーからの道のりは、ほぼ平坦な未舗装の轍を歩いていくだけ。
次の見どころである絶景ポイントまでは1000mほどです。▼

絶景ポイント

ベルタワーから約1km/15分ほど平坦な道が続いた後は、未舗装道路が下り坂になります。
道沿いに下り坂を10分ほど下っていったところにあるのが、ゴリスの町と周囲の山々を一望する絶景ポイントです。【マップ 青②】


このときは4月初めだったのですが、春の始まりを感じる緑の大地に、まだ雪を被った山々、そして咲き誇るアプリコットの白い花の彩りがとても美しく、まるで絵画のような風景が見られました。

▲絶景ポイントから再び未舗装道路を5分ほど歩いたあたりで、山道に分岐するポイント(標識ナシ)があります。
ここからは、山の緩やかな斜面をゴリスの町に向かって下っていくコースとなります。


標識などいっさいなく、道もいくつにも分岐していていてかなり分かりづらいのですが、マップアプリを頼りに歩いていきましょう(分岐は多くあるけど、いずれにせよゴリスの町に向かって下っていけば迷うことはないのでご安心を)。
ある程度下っていくと、それまでの草原のような風景が徐々に変化し、不思議な形の奇岩がにょきにょきと生えたかのような風景になっていきます。
この辺りからが、ハイキングのハイライトとなるオールド・ゴリスです。
洞窟教会

絶景ポイントから斜面を下ること1.2km/20分ほど。
天然の奇岩の中に人工の石壁が包まれているかのような、不思議な光景の場所に到着します。
これは、オールド・ゴリスの洞窟教会と呼ばれるもの。【マップ 青③】
天然の奇岩の内側をくりぬいた空間に、石を積み上げて教会を建設したものです。

▲教会の周辺は崩落が激しく、教会自体へのアクセスは不可能なのが残念。
しかし、ゴリスの中心街を一望する奇岩&教会という不思議な眺めは、一見の価値アリです。

洞窟教会の周辺には、明らかに人の手が加えられた奇岩も多く点在しています。
そのうちいくつかは、かつて洞窟住居として人が居住していたもの。
内部に入れる奇岩もいくつかあり、手作業で削られた階段や窓などに大昔の人々の息遣いが感じられます。


洞窟教会を越えた辺りからは、まさにオールド・ゴリスの本領発揮!といった風景になってきます。
不思議な形をした奇岩があちらこちらに点在し、まるで別の惑星に来てしまったかのよう…▼


洞窟教会からの道のりは、今回のハイキングコース上で最も傾斜がきつく、足場が悪めな区間。
今回は下りのコースなので体力的には楽ですが、滑らないように気をつけながら歩きましょう。

傾斜がきつい区間が400mほど続いた後は、コースは平坦に。
小さな集落を取り囲むように点在する墓地に入ります。
墓地

ゴリスの町はずれにあたる場所の集落を取り囲むような墓地は、なんとも言えないピクチャレスクな光景が見られるポイント。【マップ 青④】
集落の背景にどーんと聳える奇岩の前に、新旧様々な墓石が点在している風景が圧巻です。

墓地周辺はもうゴリスの中心街まで目と鼻の先ということもあり、ゴリス中心街の風景が間近に眺められます。
町に迫るようにそびえる奇岩と、整然と整備されたストリートが印象的な中心街、ゴリスの町の周囲の緑深い山々まで…まるでミニチュアのようです。


墓地からは、緩やかな山道をヴァララク川沿いまで下っていくだけの簡単なルート。
この区間でもかなりダイナミックな奇岩の風景が見られます。▼

この辺りまでであればゴリス中心街から15分ほどでアクセス可能ですし、上り坂もほとんどありません。
「ハイキングではなく、ゴリスからちょっと散歩がてら奇岩を見たい!」という人でも、中心街からこの辺りまでは足をのばすのがおすすめです。
ヴァララク川沿いの集落

ハイキングをスタートして1時間15分ほどで、ゴリス中心街東側を流れるヴァララク川に到着です。【マップ 青⑤】
川沿いには数軒の民家が点在する集落があるのですが、この集落の風景も美しいのでお見逃しなく。
奇岩が間近に迫った場所に建つ家や、もはや一部が奇岩と一体化した家なんかもあります。▼


ヴァララク川沿いの集落とゴリス中心街の間にはいくつかの橋が架かっているので、川を渡ればもうそこはゴリス中心街。
奇岩風景に別れを告げ、石造りの美しい街並みを見せる中心街へと戻っていきましょう。

おわりに
ゴリスに滞在する旅行者の多くが挑戦するであろう、オールド・ゴリスのハイキングコースを紹介しました。
所要時間も短く、スタート地点を本記事の通りベルタワーに設定すれば、誰でも気軽に&サクッと大自然を堪能できる点が嬉しいです。
ゴリスの町やその周辺には、他にも息を呑むような見どころが目白押し。
発掘したスポットはどんどん記事にして出していくので、どうぞお楽しみに…!
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