こんにちは!待ちに待ったアルメニア南部旅を開始した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
これまでアルメニア国内を隅々までまわり、美意識があふれる町や、大自然に圧倒されるスポットをいろいろと発掘してきました。
町には町の魅力が、大自然には大自然の魅力があるのですが、とうとう出会ってしまいました…
文化的で美意識がただよう町の良さも、人間の手など及ばないワイルドな自然の良さも、どちらも一度に感じられる場所に…
それが、今回紹介するアルメニア南部の小都市・ゴリス(Goris/Գորիս)です。

ゴリスは人口2万人ほどを有する、シュニク地方北部における中心的な町。
その中心街は近年行われた再開発が完了し、この地域伝統の石造りの壁に木製テラスを備えた建物がずらりと建ち並ぶ、情緒あふれる雰囲気です。
コンパクトな中心街のすぐ東側には「オールド・ゴリス」と呼ばれる奇岩地帯があり、中心街からも目と鼻の先に見えます。
オールド・ゴリスの奇岩はかつて洞窟住居として機能していたもので、100年ほど前までは人々が普通に生活していたのだとか。


ゴリスの町自体も美しく、なんとも言えない情緒が漂っていて素敵なのですが、ゴリスの魅力は中心街だけではありません。
近郊にはタテフ修道院やフンゾレスクといった、アルメニア南部エリア全体での観光ハイライトとなる見どころが点在しており、いずれもゴリスを拠点に足をのばすことができるのです。

というわけで今回の記事は、アルメニア南部旅行におけるベースとなる町・ゴリスの観光情報を徹底解説するもの。
市内の見どころや近郊の見どころはもちろん、レストランや宿情報、他都市とのアクセス情報まで…
とにかくゴリスに行くなら絶対に知っておきたい情報たっぷりでお届けします!
ゴリスをはじめとするアルメニア南部エリアは、地理的に隔絶されていることや交通の不便さから、アルメニアを訪れる旅行者の間でもスキップされてしまいがちなエリア。
たしかに、1週間などの短期旅行でこの地域まで足をのばすのは現実的ではないでしょう。
しかし、旅行者が少ない=ピュアなアルメニアらしい魅力が残っているということ。
アルメニアという国が有する美しさが存分に感じられることを保証します!
ゴリス観光マップ
赤:レストラン&グルメスポット
紫:おすすめホステル
灰色:観光案内所
黄色:各都市へのマルシュルートカ発着ポイント
ゴリス市内の見どころ

ゴリスの市内観光のメインとなるのは、300m四方の面積の中にある中心街。
独特の石壁と木製テラスを有する伝統建築がずら~~~りと並ぶゴリス中心街のストリートは、統一感にあふれてとても美しいです。
中心街の散策に加え、観光ハイライトとなるオールド・ゴリスの洞窟住居群まで足をのばすのはマスト。
ほぼすべての見どころが徒歩圏内に位置しており、さくっと気軽に観光できるのもゴリスの魅力です。
オールド・ゴリス

ゴリス観光におけるハイライトであり、多くの旅行者が思わず感動の声を上げるのが、オールド・ゴリスと呼ばれる奇岩地帯。【マップ 青①】
ゴリスの町の東側に広がる丘陵地帯に、長い時間をかけて形成された奇岩がずらりと連なるエリアです。
オールド・ゴリスはただの奇岩地帯ではなく、洞窟住居群としてかつては人が住んでいたというのだから驚き。
奇岩には明らかに人の手が加えられた跡があり、かつての人々が生活した香りがほんの少しだけ残っています。


オールド・ゴリスはゴリス中心街の目と鼻の先に位置しているので、ちょっと気が向いたときに散策がてら訪問できるのも◎
がっつりと観光したい場合は、片道1時間ほどのハイキングコースを歩いて満喫することも可能です(むしろハイキングしないと満喫できないかも!)。
ゴリス中心街

ゴリス観光&滞在の中心となるのがゴリス中心街。【マップ 青②】
ゴリスの町自体は南北に3kmほど細長く広がっていますが、その中で「中心街」とされるのは南側の300m四方ほどの小さなエリアです。
ゴリスの中心街の雰囲気は、アルメニアの他のあらゆる町と比較してもかなり独特。
丸い石が敷き詰められた壁で統一され、建物の入口部分は広めのアーチ式になっており、二階部分には木製テラスが設置された建物がずらりと並ぶのです。▼


この一風変わった造りの建物は、ゴリスとその周辺地域に遥か昔から伝わる伝統的な様式なのだそう。
単に石を積み上げて作った壁を剥き出しにするのではなく、石と石の間に漆喰を流し込むことで、丸い石が点在しているような独特のデザインの壁になるのだとか。

かつてのゴリス中心街の建物はほとんど手入れされておらず、それはそれはひどい状態だったそう。
2010年代に町を挙げての再開発プロジェクトが行われ、伝統建築をそのまま残しながら修繕することで現在の美しい街並みになりました。


ゴリスは中心街のみならず、それ以外のエリアの民家も多くがこの伝統的な様式で作られています。
気の向くままに散策して、お気に入りの建物や心奪われる風景を探しましょう。
中央広場

ゴリス中心街のど真ん中に広がる中央広場は、町の人々の憩いの場として機能する空間。【マップ 青③】
ゴリス再開発プロジェクトの目玉となった区域であり、整然と整備されている印象を与えます。


▲中央広場の敷地内やその周囲は、ゴリスの行政・文化の中心として機能している場所。
現役で稼働しているドラマ・シアターや観光案内所、銀行の窓口など、この町での生活に必要なものがぎゅっと詰まっています。

▲中央広場にはいくつかの銅像やオブジェが設置されているのですが、一見の価値があるのがこちらの「ゴリス・タワー」。
…どこからどう見ても、某おフランスの某おパリにある某塔のミニチュア版にしか見えないのですが、地元の人にさえも「ゴリス・タワー」ではなく「エッフェル」の愛称で親しまれています(ほんと、アルメニアの人々のフランスへの憧れは信じられないほどのものがある)。
また、中央広場の一角の緑地帯は「ヴィエナ・パーク」と呼ばれ、こちらでは何故か某音楽の都がモチーフとなっているよう。
のぶよは本物のウイーンを訪れたことがありますが、イマイチどのあたりが「ヴィエナ」なのか分からずじまいでした…▼


▲中央広場の北側は、ゴリスで一番の繁華街(とはいえ100mほどですが)であるアンカフテュアン通り(Ankakhutyan Street)に繋がっており、こちらも伝統建築がずらりと並ぶ良い雰囲気。
アンカフテュアン通りには数軒の小さな食堂やAraratという大型スーパーなどがあり、ゴリス滞在中には必ず足を運ぶことになるでしょう。
啓蒙者グレゴリウス教会

中央広場の南東端の一角に建つのが、啓蒙者グレゴリウス教会(Surb Grigor Church / Սուրբ Գրիգոր Լուսավորիչ եկեղեցի)。【マップ 青④】
完成はアルメニアがロシア帝国の支配下にあった1904年のことで、その後のソ連時代には宗教禁止政策に基づいて閉鎖され、小麦粉の貯蔵庫として使用されていたそうです。
ソ連崩壊&アルメニア独立直後の1989年12月に再び人々に開放され、祈りの場としての機能を取り戻しました。


建物自体は百年余りの歴史を感じる味わいのあるものですが、内部は比較的最近リノベーションされているよう。
ゴリス中心街においては唯一のアルメニア教会ということもあり、時間を問わずお祈りに訪れる地元の人の姿が見られます。
ナゴルノ=カラバフ紛争慰霊碑

ゴリス中心街から北におよそ2km。
町の入口となる大きなロータリーに面して建つモニュメントが、ナゴルノ=カラバフ紛争慰霊碑です。【マップ 青⑤】
十字架を備えた黒っぽい石のモニュメントをメインに整備された広場は、どこか開放感を感じさせる雰囲気。
広場にはオベリスクを思わせるピンク色の柱も建ち、こちらはナゴルノ=カラバフ紛争ではなく第二次世界大戦時に犠牲となった人々の名前が刻まれたもののようです。▼


ナゴルノ=カラバフ紛争とは、アルメニアとアゼルバイジャン間でナゴルノ=カラバフ地域の帰属を巡って勃発した数回に渡る紛争のこと。
ソ連崩壊後の1990年代に始まった紛争は、21世紀になっても再燃を繰り返し、2020年には大規模な衝突に発展しました。
そしてついに2023年、再び勃発した衝突に敗北したことでアルメニアはナゴルノ=カラバフの実行支配権を完全に失い、当地に居住していたアルメニア系住民の多くはゴリスをはじめとするアルメニア本国へ逃れてきました。

ゴリスの慰霊碑付近には、まだ真新しい墓石が並ぶ墓地が広がります。
これは2020年と2023年の紛争によって命を落とした人々のお墓。
ナゴルノ=カラバフに地理的に近いゴリスからは、多くの若い男性が義勇兵として戦場に向かい、命を落としたのです。
ヴェリシェン

ゴリス中心街から北に5kmほど。
ゴリスの町と一続きのようになっているヴェリシェン(Verishen/Վերիշեն)という村があります。
一見すると、何の変哲もないよくあるアルメニア地方部の小さな村といった雰囲気のヴェリシェンですが、なんとここシュニク地方で最も古い時代から人が居住していた場所の一つ。
その悠久の歴史を裏付けるかのように、村の中心部には4世紀建造の聖フリプシメ教会が残っています。【マップ 青⑥】▼

ヴェリシェン教会が建設された4世紀というのは、アルメニアがキリスト教を受容(301年)して世界初のキリスト教国となった直後の時代。
元々は精霊信仰の祠があったこの場所に、近郊から運んだ石を積み上げて作られたのが、このヴェリシェン教会なのです。


ヴェリシェン教会で素晴らしい点のが、1700年前オリジナルの建物がそのままに残っているという点。
アルメニアの教会や修道院の多くは、中世以降に異民族の侵入を受けて破壊された後に再建されたもの。
そのため、初期キリスト教建築の教会がそのままに残っているというのは、とても貴重なことなのです。

1700年前の教会が外観のほとんどを残して建ち続けているというだけでも驚きですが、内部も1700年前からそのまま。
曲線を描いたアーチや柱、自然光を取り入れるための十字架型の穴など、当時の技術の高さに驚かされます。
聖フリプシメ教会がひっそりとたたずむヴェリシェン村の中心部の北側に広がる丘には、かつて城塞として機能していた建造物が残っています。【マップ 青⑦】▼

この城塞の建造は10世紀頃(1100年前)だと考えられており、中世アルメニア王国の最盛期にあたります。
山々に囲まれた盆地を一望する絶好のロケーションに、外敵の侵入を見張るための防衛拠点として建設されたのでしょう。
ヴェリシェンの城塞の保存状態はあまり良くありませんが、丘の斜面を利用した家屋のような建造物が多く残っています。▼


当時の城塞の敷地内には教会を建設するのが定番だったそう。
ヴェリシェン教会の敷地内にもかなり古い教会が残っており、ミステリアスな雰囲気を漂わせています。▼


他の建造物と同様に、教会も丘の斜面を利用して半ば地中に埋まったような不思議な造り。
ヴェリシェン村やその先のゴリスの町までを一望する絶景が見られ、中世アルメニアの浪漫がぷんぷん漂っているかのようです。
ゴリス中心街~ヴェリシェン村までは、片道5.5kmほどの道のり。
徒歩でも1時間15分ほどでアクセス可能ですが、ゴリス→ヴェリシェンと上り坂となっているので、結構体力的にしんどいです。
簡単に&楽にアクセスするなら、ゴリス~ヴェリシェン間を走るマルシュルートカの利用が最適。▼

平日/土日にかかわらず30分に1本走っているため、サッと利用できるのがポイント。
ゴリス側の発着ポイントは、中心街のスーパーマーケット”Ararat”から20mほど北の道沿いです。【マップ 黄色④】

ゴリスを出発したマルシュルートカは約20分ほどでヴェリシェン村中心部に差し掛かり、さらに奥の集落で終点となり、再びゴリスに折り返すルート。
聖フリプシメ教会や城塞があるヴェリシェン村中心部で途中乗車/下車すればOKです。
ベル・タワー

ゴリスの町を一望する山の頂上にたたずむベル・タワーは、「町で一番のビューポイント」とされる場所。【マップ 青⑧】
ゴリスの中心街はもちろん、周囲の山々までを一望する絶景が広がります。


ベル・タワーは、もちろんオールド・ゴリスの奇岩がモチーフにされたもの。
独特なたたずまいもなんだか可愛らしく、絶好のフォトスポットになっています。
ベル・タワーは単体で訪れるのも良いのですが、個人的にはオールド・ゴリス洞窟住居群のハイキングとセットで訪問するのがおすすめ。
ベル・タワーをスタートしてゴリス中心街に戻るルートで歩けば、ほぼすべて下り坂の道を1時間ほどで歩けてしまいます。
ゴリス近郊の見どころ

ゴリス市内の見どころを制覇したら、いよいよ近郊に点在する珠玉の見どころへと足をのばすとき。
ゴリス近郊には個性豊かで見ごたえ抜群の見どころが多く点在しており、ゴリスに滞在しながら日帰りで足をのばすことができます。
ゴリス周辺の見どころは、ここで紹介している以外にもまだまだたくさん。
現在、現地に居ながらひとつひとつ開拓しています。
新たな見どころを制覇しだい追加していくので、チェックしてみてください!
フンゾレスク

ゴリスに滞在する旅行者に、とにかく!声を大にして!全力で!おすすめしまくりあげたいのが、フンゾレスク。
ゴリスの町から車で30分ほどの場所にある深い谷間。
急斜面に点在する天然の奇岩を、数千年前の人々が手作業で掘って洞窟住居としたもので、つい70年ほど前まで住民が居て村として機能していた場所です。


トルコの超有名観光地・カッパドキアを思わせる奇岩地帯は、とにかく異世界感漂う絶景の宝庫。
洞窟住居群の入口となるフンゾレスクの吊り橋を渡るスリル体験も見逃せません。
フンゾレスクにはマルシュルートカ(乗り合いミニバス)でのアクセスも可能で、個人で訪れるのが比較的簡単である点も◎
とにかく信じられないほどに素晴らしいデイトリップとなることを保証します!
タテヴ修道院

ゴリス近郊のみならず、アルメニア全体の観光ハイライトとされる一流の見どころがタテヴ修道院。
およそ1100年前にひらかれた由緒正しき聖地は、中世には自治権を持ち、独自の歴史とともに発展してきた場所です。
深い山々を見渡す谷間にたたずむ姿は、まるでポストカードさながら。
ゴリスに滞在する旅行者のほぼ全てが足を運ぶ定番スポットです。
タテヴ修道院の観光情報詳細に関する記事は、現在執筆中です!
ゴリスのおすすめレストラン&食堂

ゴリス中心街にはいくつかの飲食店が点在しており、滞在中の食事に困ることはありません。
ローカルな食堂こそ数が少なく、ちゃんとしたレストランの数も限られてはいますが、せっかくならこの地域ならではのローカルな味を堪能したいもの。
ここでは、ゴリス滞在中に実際にのぶよが利用した飲食店を6軒紹介します。
①Cafe Tur Baza

ゴリスに来たなら一度は(怖いもの見たさで)訪問してみたいのが、Cafe Tur Baza。【マップ 赤①】
ゴリス中心街の東端に位置する民家の敷地内でひっそりと営業する、民家カフェ&レストランといった感じの謎の飲食店です。
Cafe Tur Bazaの最大のウリは、オールド・ゴリスの洞窟住居群を一望する抜群の眺め。
暖かい時期であれば、敷地内に設置されたテラス席(という名の手作り飲食スペース)で絶景を眺めながらの食事が楽しめるのです。▼


Cafe Tur Bazaのメニューはこんな感じ。
全体的にかなり安めで、ゴリスの飲食店の中では最安値レベルかもしれません。▼




なぜこの店を「怖いもの見たさで」一度は訪問すべきなのかというと、調理担当兼接客担当のおばちゃんがかなりの曲者であるため。
のぶよが宿泊していたホステルのおばちゃんが、「あそこの店、料理は美味しいけど店のおばちゃんがなかなかクセあって…」と漏らしていたくらいなので、筋金入りです(笑)
ゴリスの絶景民家カフェのおばさん癖つよポイント
— 小山のぶよ🇵🇹ジョージア旅行ガイドブック発売中 (@nobuyo5696) April 5, 2025
・席は「あそこが景色一番!ほれ!写真撮る!」とおばちゃんの独断制
・メニュー見る前に「スープ?BBQ?どれ?どうする?」とマシンガントーク
・お会計時に「チップ置くけ?どうする?」と自ら主張
・チップ(ゆうて50円とか)渡すと満面の笑みでハグ
▲とまあ、こんな感じのクセつよおばちゃんが切り盛りしているのですが、のぶよはそういうものも含めて楽しめるタイプなので問題なし(むしろこういうクセつよ民大好物)。
万人向きの接客ではありませんが、まあ名物おばちゃんだと思って一つのアトラクション(?)として楽しむのが良いかも。

おばちゃんのクセこそかなり強いものの、料理の味はクセのない美味しさなのでご安心を。
おばちゃん手作りだというカトレト(アルメニア風ハンバーグのような料理)は、ふわふわ&肉汁たっぷりの絶品でした。


食事だけでなく、絶景を眺めながらビールを味わうだけでもかなり堪能できるCafe Tur Baza。
オールド・ゴリスのハイキング後の腹ごしらえにも、ゴリスの街歩きの休憩にもおすすめです!
②Shane Foodcourt

アルメニア全国津々浦々どこに行っても必ずある、フードコート。
日本の「フードコート」とは若干概念が異なり、「BBQもサラダも小麦粉料理も煮込み料理も、アルメニア料理が揃ったビュッフェスタイルの飲食店」といった感じです。
ゴリス中心街にあるフードコートが、近年オープンしたばかりのShane Foodcourt。【マップ 赤②】
スーパーマーケットに併設される形でミニ・フードコートが営業しており、主に出来合いの小麦粉料理やサラダ、炭火焼きのBBQが食べられます。


フードコートの食事はほぼ全て出来合いのものであるため、レストランよりも若干質が劣ってしまうのは仕方のないこと。
そのあたりに目を瞑れば、格安&気軽に食事することができるのでおすすめです。

アルメニアではどこのフードコートにも立派な炭火BBQコーナーがあるのですが、ここShane Foodcourtも例外ではありません。
肉売り場には串に刺さった状態の肉がずらりと並んでおり、好きな肉をその場で炭火焼きにしてもらって食べることができます。


ゴリス中心街には他にBBQ屋を見かけなかったので、手軽にさくっと肉料理を食べるならShane Foodcourt一択。
自家製のサラダや小麦粉生地料理もバラエティー豊富なので、肉料理以外でも利用価値が高いです。
③Old Goris Restaurant

「ちょっと予算は上がっても、良い雰囲気の店でちゃんとしたものが食べたい!」という人におすすめなのが、Old Goris Restaurant。【マップ 赤③】
中心街からすぐそばの場所に位置している店で、温かでトラディショナルな雰囲気の内装と手作りの絶品料理の質に定評がある店です。


Old Goris Restaurantは、ゴリス市内では最も良いレストランに入る部類。
料金も他の店に比べるとやや高めで、エレバンのレストランに近い価格帯となっています。▼






メニューはアルメニア料理の基本的なものから、ここゴリスで定番とされる郷土料理までさまざま。
スープ系や前菜系、BBQはもちろんのこと、煮込み料理など家庭的なメニューも豊富です。
色々とあるメニューの中からのぶよがチョイスしたのは「ガルニ・ヤラフ」(Garni Yarakh/Գառնի յարախ)。
ナスに牛挽き肉やトマト、ハーブを詰めてオーブンで焼いた料理です。▼

いやあもう…激うまでした…
香ばしくローストされたナスはとろっとろで、挽き肉の味付けも絶妙。
口の中に入れると肉汁とナス汁がじゅわあ~びゅわあ~と染み出してきて、あまりの芳醇な風味に一撃ノックアウトされます。


▲つけあわせのクルクモフ・プラフ(Kikumov plav/ՔրքումովՓլավ)も、芳醇で香り高い風味が大変美味。
サフランとともに炊いたお米のことで、アルメニアの中でもイランに近い南部地域でよく食される名物です。
お店のおばちゃんはとても愛想が良く、なぜかワインをサービスで出してくれたりと至れり尽くせり。
食後には小さなノートを持ってきて、「ここにコメントを書いてほしい」とリクエストされました。▼


ノートの中には、ゴリスを訪れてこの店に足を運んだ各国旅行者のコメントがずらり。
こんなに多くの旅行者が来ていたことに驚きながらも、のぶよも一筆書かせていただきました。
価格帯はやや高めでちょっとお洒落感のある雰囲気のOld Goris Restaurantですが、一人で利用しても普通に愛想よく対応してくれるのが嬉しい点。
ゴリスでちょっと贅沢してでも美味しいものが食べたい人には、心からおすすめです!
④ジェンギャロフ・ハツの小屋

ゴリス中央広場の一角、ヴィエナ広場に面した小さな通り沿いには、何やら木でできた小屋のようなものがいくつか並んでいます。
実はこれ、ゴリスでは知らぬ人などいない有名グルメスポットであるジェンギャロフ・ハツの小屋なのです。【マップ 赤④】
「ジェンギャロフ・ハツ」(Jengyalov Hats/Ժանգյալով հաց)とは、ナゴルノ=カラバフ地域発祥とされる小麦粉とハーブのおやきのような料理のこと。
十数種類のフレッシュハーブをお湯にさっとくぐらせ、薄くのばした小麦粉生地の中に挟んでラグビーボールのような形に成形し、油を敷いた鉄板で焼き上げたものです。


▲現在ではアルメニア全国に広まったジェンギャロフ・ハツですが、本場とされるのはゴリスからほど近いナゴルノ=カラバフのもの。
ゴリスには、2023年の紛争以降多くのカラバフ出身住民が逃れて来ました。
この場所でジェンギャロフ・ハツを焼く女性たちは全員がカラバフ出身者であり、故郷の味をそのままに再現することで生計を立てているのです。

のぶよはエレバンを含むアルメニア各地でジェンギャロフ・ハツを食べてきましたが、やはり本場の味は別格の美味しさ。
塩はいっさい使用されずハーブの風味だけが味の決め手となるので、とても繊細でヘルシーなランチとなります。
⑤日本好きおじさんのBBQ食堂

ゴリス中心街から北に3kmほど。ゴリスと他の町を結ぶ幹線道路沿いで営業する小さな食堂は、「THE・アルメニア地方部のローカル食堂」といった雰囲気が素敵。【マップ 赤⑤】
表の看板にはアルメニア文字で「ビストロ」と書かれていますが、アルメニアで「ビストロ」というと超庶民的な食堂を指します。


のぶよがどうしてこの食堂を見つけられたかと言うと、店の表で炭火で豪快に肉を焼くおじさんに話しかけられたからです。
なかなかに恰幅の良いおじさんは「日本人!素晴らしい!うちの冷蔵庫は東芝だしテレビはパナソニックだ!!!」と謎の日本推しで大興奮。
のぶよが日本人だからといってお世辞で言っているわけではないようで、本当に日本の電化製品への信頼100%という感じです。
おじさんは「テクノロジーは日本が一番だけど、カバブならうちが一番!!!」と豪語し、半ば強制的にカバブを食べていく流れに…アルメニア人、やっぱり商売うまいな…

カバブとは、アルメニア全国でポピュラーなBBQ料理。
挽き肉を棒状に固めて串に刺し、炭火でじっくりじゅんわりと焼き上げたものです。
シンプルな料理ながらも意外と奥が深いのがアルメニアのカバブ。
店によって挽き肉の鮮度や密度、味付けが大きく異なり、焼き方によって肉汁ぶしゃあ具合も大きく変わってくるのです。
その点、おじさんの言葉に偽りはありませんでした。
びっくりするほどにずっしりとしたカバブは牛挽き肉がぎゅっと詰まっており、中に閉じ込められた肉汁が口の中でぶちゃあ~と広がります。めっちゃくちゃ美味しいです。


肉汁お化け&絶妙な味付けのカバブに対する新鮮な感動をおじさんに即伝えると、「当たり前だ」と言わんばかりのどや顔。
「豚肉のイキビルも美味いぞ!」と言ってきますが、そんなにたくさん食べられないので丁重にお断りしておきました(笑)

おじさんが経営するBBQ食堂はゴリス中心街からはやや遠い場所に位置していますが、アルメニア地方部らしい人情と謎の日本アゲを味わいたいなら訪問の価値アリ。
絶品のカバブの味に感動してほしいです!
⑥Takarik

ゴリスのレストランやグルメスポットのラストを飾るのが、中心街に位置するTakarik。【マップ 赤⑥】
ゴリスでは唯一の「パンドック」と呼ばれる形式の飲食店です。
アルメニア独自のパンドックとは、伝統的な内装や調度品で飾られた大衆的な居酒屋レストランのような飲食店のこと。
Takarikもパンドックの例にもれず、伝統的な雰囲気を前面に押し出した内装となっています。


Takarikの価格帯は、すでに紹介したOld Goris Restaurantよりもやや安いかな?という感じ。
メニューは前菜やスープ系からメインの肉料理や煮込み料理までが豊富に揃っています。▼




迷った挙句にのぶよが注文したのがこちら。
「ピダ」(Pida/Պիդա)と呼ばれるボート型のピザのような料理です。▼

ピダは、お隣トルコでは「ピデ」として親しまれている料理で、ボート型に成形した小麦粉生地の上に挽き肉やチーズなどをのせて窯で焼き上げたもの。
アルメニアのピダはなぜか南部エリアでばかり食べられるのは、ミステリーです。

ここゴリスにはピダを出す店が多くあるのですが、どこで食べてもはずれないのが嬉しい点。
ジューシーな牛挽き肉にとろ~り芳醇なチーズ、トマトやパプリカなどの野菜が入ることもあります。
アルメニア南部のピダの生地は、トルコのピデ(薄くてパリッとした生地)に比べると、概して厚め。
どちらかというとジョージアのハチャプリに近い厚さ&食感で、コーカサス・西アジア地域の食文化の融合が感じられます。
ピダも美味しかったのですが、のぶよがTakarikで何よりも感動したのが、そう…ヒンカリでした。▼

「ヒンカリ」とはご存じ、お隣ジョージア発祥の茹で小籠包のような料理。
ジョージアでは基本的に牛豚合挽き肉が使用され、アルメニアでは牛挽き肉が使用されるのが一般的です。
その点、Takarikのヒンカリは唯一無二。
中の挽き肉は100%豚肉で、生姜がガッツリと効いたアジアンセレブレイションな味わいなのですから。

「中の肉の種類の違いでここまで味が変わるのか…!」と感動するくらいに、豚肉ならではの芳醇な味わいにびっくり。
もはやヒンカリというよりも、台湾名物の小籠包を蒸さずに茹でたものと言った方が良いくらいに、果てしないアジアンな風味が感じられます。
他の料理も色々と美味しそうだったTakarikは、立地も良いためゴリス滞在中の外食にぴったり。
とにかくまずは、この店以外ではあまり食べられない豚肉100%生姜ヒンカリを食べてみてほしいです!
ゴリスの宿情報
ゴリスには町の規模からすると信じられないほどに多くの宿泊施設があります。
その理由が、かつて(というかつい数年前まで)はナゴルノ=カラバフへの玄関口として栄えてきた町であるため。
アルメニア本国~ナゴルノ=カラバフを移動する人々にとっての中継地点として機能していたので、今でも多くの宿泊施設が残っているというわけです(ご想像の通り、今は多くの宿で閑古鳥が鳴いている)。
格安のホステルから、ローカルなゲストハウス、個人経営の小奇麗なホテルに、どーんと構えた大規模ホテルまで…
旅行者にとって宿泊施設の選択肢が豊富というのは嬉しい点ではあります。
ここでは、のぶよが実際に宿泊したホステルを紹介します。
家族経営の小さな宿ですが、なかなか居心地が良くておすすめです!
【Lovely Goris】

・料金:3500AMD(=¥1400)
・部屋タイプ:ドミトリー(4人部屋/7人部屋同額)
・マップ:紫
・立地:10/10
ゴリス中心街から徒歩3分ほどの絶好な立地の宿。最寄りのスーパーまで徒歩5分ほど、各方面へのマルシュルートカが出るポイントまでも徒歩5分ほどと、とにかくどこへ行くにも何をするにも便利です。
中心街のメインストリートから二本離れた静かな通りに位置しているので、中心街ど真ん中なのに静かな環境なのも大きなメリットです。
・宿へのアクセス:10/10
入口ゲートは常に開いており、宿泊客用エリアの二階にオーナー家族が常にいるので、何の問題もなくアクセス&チェックインが可能です。
・スタッフ:9/10
オーナー家族はとてもウェルカムな感じで、宿全体に良い雰囲気が漂っています。
おばさんはある程度の英語が話せますし、おばさんの娘は英語がとても上手なので、言葉の問題も少な目なのが◎
とても温かく接してくれるオーナー家族ですが、そこまでガッツリ絡んでくるわけではないので、絶妙な距離感もまた心地良いと思いました。
・清潔さ:7/10

部屋、共用エリア、トイレと、まあ合格点といった感じ。
そこまでピッカピカに毎日掃除されているというわけではありませんが、まああまり気にならない人にとっては問題ないレベルです。
2ヶ所あるトイレ兼シャワーの排水溝は、いずれもやや匂いがあったのがマイナス。
また、シャワーとトイレはカーテンで仕切られているだけなので、ホステルあるあるの床びしょびしょ案件は避けられません…


ドミトリーは4人用と7人用の二部屋ありますが、4人用=女子用/7人用=男子用とされているよう。
予約サイトではその旨書かれておらず、男性でも4人用ドミの予約ができますが、問答無用で7人部屋に通されることになります(笑)
・設備:7/10


宿泊客フロアにはキッチン兼共用エリアが併設されており、調理器具も基本的なものは揃っているので、自炊派にはぴったり。
この屋内共用エリアに加えて、中庭も共用エリアとして機能しているので、好みの場所が必ず見つかるはずです。
オーナー家族は二階に住んでおり、宿泊客エリアとは別の入口があるため、宿泊客とオーナー家族の動線が交わらないような造りになっていたのが個人的にプラスなポイント。
いちいちオーナー家族に気を遣うことなく、かなり自由に調理などができます。
・wi-fi:9/10
共用キッチン、中庭、部屋のどこでもインターネットに問題なくつながります。
速度はまあ普通といったところで、ネット閲覧や動画視聴などは全く問題ありません。
・雰囲気:9/10

のぶよが宿泊した4月はまだオフシーズンということもあってか、ほぼ貸切状態でのんびり羽を伸ばすことができました。
天気の良い日であれば、ハンモックやブランコが設置された手作りの中庭で心ゆくまでリラックスできますし、天気の悪い日であっても共用エリアでのんびりできます。
夏場など多くの旅行者が来るであろう時期はややプライベートスペースの確保が難しくなるかもしれませんが、それでもこの低価格でこの設備&雰囲気なら文句はないと思います。
・総合:8.7/10
ゴリス唯一のホステルであり、市内最安値の宿泊費の宿ですが、想像以上に居心地が良かったです。
立地の良さも、ホーム感も、中庭の雰囲気も、オーナー家族の感じも、とにかくバランスが良かった印象。
すべてにおいて「THE・アルメニア地方部のホステル」といった感じが好印象でした。
1日や2日の短期滞在にはもちろん、1週間くらいのんびりと滞在するにもピッタリだと思います。
【ゴリスの宿の予約はこちらから!】
ゴリスへのアクセス・行き方
ゴリスはアルメニア南部のシュニク地方における中心的な町です。
しかしながら、そのアクセスは恐ろしいほどに不便。
鉄道も大型バス路線も存在せず、タクシーかマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)のいずれかしか選択肢がありません。
また、ゴリスには「バスステーション」という概念が存在せず、各地へのマルシュルートカの発着ポイントが便によって大きく異なる点も初心者泣かせとなります。
①タクシー
アルメニア各都市~ゴリス間の移動で最も便利なのがタクシー。
ゴリスをはじめとするアルメニア南部地域は、とにかく公共交通機関が不便なので、時間を節約したい旅行者にはぴったりです。
アルメニアの主な町~ゴリス間のタクシー料金相場は以下のとおりです。▼
・エレバン~ゴリス:15000AMD~20000AMD(=¥6000~¥8000)
・イェゲグナゾル~ゴリス:10000AMD~12000AMD(=¥4000~¥6000)
・ジェルムク~ゴリス:10000~12000AMD(=¥4000~¥6000)
・シシアン~ゴリス:5000AMD(=¥2000)
・カパン~ゴリス:6000AMD(=¥2400)
②マルシュルートカ
ゴリスには鉄道は走っていないため、公共交通機関利用の場合はマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)一択となります。
しかしながら、ゴリスと他都市を結ぶマルシュルートカ便は本数がかなり限られているため、かなり不便。
「とりあえずバスステーションに当日行けば、マルシュルートカがある」という考えは、ゴリスに関しては通用しません。
ここでは多くの旅行者が利用するであろうエレバン~ゴリス便を中心に、ゴリスへのアクセス手段となるマルシュルートカ路線を完全解説します。
エレバン~ゴリス間マルシュルートカ

エレバン~ゴリス間を走るマルシュルートカは、1日2本のみとかなり限られています。
出発時刻はエレバン発/ゴリス発のいずれも9:00と15:00で共通。平日や土日にかかわらず同じスケジュールです。
エレバン→ゴリス方面もゴリス→エレバン方面も、最大で20人ほどしか乗れない小さなミニバスでの運行となるため、ハイシーズンだと当日バスステーションに直接行っても乗れない可能性が高いのがネック。
ハイシーズン以外でも土日の便は地元の人たちで満席となる場合も多いです。

とにかく、エレバン~ゴリス間のマルシュルートカを利用する場合は、絶対に全日までに席を予約しましょう。(予約方法や当日の流れは以下で解説していきます)
【往路:エレバン→ゴリス方面】

エレバンからゴリスに移動する場合、エレバン側の発着地はメインのキリキア・バスステーションではありません。
中心街南部の中央駅前バスステーション( 「サウス・バスステーション」とも)なので注意しましょう。▼
中央駅前バスステーションは、エレバン地下鉄のSasuntsi Davit駅に直結していて便利。
地下鉄駅を出て地下通路を西に出た先が広々とした駐車場となっており、ここが中央駅前バスステーションです。
バスステーションの敷地の一番端に小さな倉庫のような建物があるのですが、こちらがゴリス行き607番マルシュルートカの専用オフィス。
チケットを事前に購入する場合や当日の朝は、この場所に来ればOKです。▼


すでに注意した通り、エレバン~ゴリス便は前日までに席の予約をしておくのが安心。
上のオフィスに電話して席を抑えてもらうことも可能(運賃の前払い等は必要なし)ですが、ロシア語かアルメニア語しか通じません。
言葉ができない場合は、前日に直接このオフィスに出向いて、チケットを購入しておくのがベストかもしれません。
オフィスは、マルシュルートカの発車時間(9:00/15:00)の前後以外の時間帯は閉鎖されているのでご注意を。

とまあこんな感じ。他のマルシュルートカ路線に比べてややトリッキーではありますが、まあなんとかなります。
エレバン~ゴリス間は約4時間ほどの道のり。
途中のイェゲグナゾルという町のフードコート施設で20分ほどの休憩時間が必ずあり、トイレや軽食の購入も可能です。


【復路:ゴリス→エレバン方面】

ゴリスからエレバンへ向かう607番マルシュルートカを利用する場合も、前日までに席を予約しておくべきであるのは同様。
本記事で紹介した宿・Lovely Gorisのオーナー家族はエレバン行きマルシュルートカの運転手の知り合いだそうで、宿のおばさんに頼めば電話して席を押さえてくれます。
自分で予約する場合は、607番マルシュルートカの出発ポイントであるコミタス通りにあるチケットオフィスでチケットを購入しましょう(出発時間の1時間前からしかオフィスは開かないので注意)。【マップ 黄色①】▼

ゴリスにはバスステーションという概念は存在せず、各方面へのマルシュルートカが異なるポイントから発着するのが旅行者泣かせ。
ゴリス→エレバン方面の607番マルシュルートカのゴリス側の発着ポイントは、ゴリス中心街のコミタス通り(Komitas St.)の一角です。
その他地域~ゴリス間のマルシュルートカ
エレバン~ゴリス以外にも、ゴリスを拠点にいくつかの町を結ぶマルシュルートカが発着しています。
いずれも本数には限りがありますが、エレバン便とは異なり満席で乗れないことはまずないので、事前に予約する必要はありません。
ゴリスの40kmほど北西に位置するシシアンの町までは、1日1往復のマルシュルートカが走っています。
ゴリス側の発着ポイントは、中心街のマシュトツ通り沿いの眼鏡店前から。【マップ 黄色②】
フンゾレクス行きのマルシュルートカと同じ場所からの出発です。
シシアン側の発着ポイントはシシアン中心街です。
シシアンは、見どころが近郊に多く点在している町。
シシアン~近郊を結ぶ公共交通手段はいっさい存在しないため、シシアン周辺の見どころを個人で周るのはなかなか大変です(それに加えて、シシアンには安い宿がない)。
ゴリス~シシアンのタクシー料金相場は片道でも往復でも5000AMD(=¥2000)ほど。
往復+シシアン周辺の見どころに数か所立ち寄るチャーターでも7000AMD(=¥2800)ほどなので、この区間に関してはタクシーで移動してサクッと観光する方が効率的かもしれません。
アルメニア中南部のヴァヨツ・ゾール地方に位置するイェゲグナゾルやアレニは、ゴリス~エレバン間のちょうど中間地点に位置しています。
多くの見どころがある地域なので、エレバン~イェゲグナゾル&アレニ~ゴリスと移動するプランを立てる旅行者も多いことでしょう。
しかしながら、ゴリス~イェゲグナゾル/アレニを直接結ぶ便は存在しません。
そのため、エレバン~ゴリス間の607番マルシュルートカを利用して、目的の町付近で途中乗車/下車するしか方法がないのが現状です。
途中乗下車の場合でも、料金はフル区間分の3000AMDを支払わなければならない点に注意。
ゴリスからさらに南に位置するカパンの町までは、1日1往復のマルシュルートカが走っています。
ゴリス側の発着ポイントは、中心街の観光案内所の50mほど西にある駐車スペースの一角。【マップ 黄色③】
カパン側の発着ポイントはカパン中心街です。
ゴリス~カパン間のマルシュルートカはタテフ修道院があるタテフ村を経由するため、ゴリス~タテフ間のアクセスに利用することも可能。
ゴリス~タテフ間のみ利用の場合、運賃は1000AMD(=¥400)です。
カパンからさらに南に位置するメグリ方面へ移動したい場合、ゴリスからの直行マルシュルートカは存在せず、ゴリス~カパンへ移動してから、カパン~メグリ間の別のマルシュルートカを利用する必要があります。
メグリのさらに先、イラン国境方面へは公共交通手段は存在しません。
メグリ→イラン方面へ移動したい場合は、メグリから国境までタクシーorヒッチハイクしか手段がないのが現状です。
ゴリス観光の注意点・アドバイス

ゴリスの観光・滞在に関しては、日本語はおろか英語でもあまり情報がありません。
初めて訪問する人にとっては、現地の状況や勝手が分からないというのは大きなハードルとなることでしょう。
基本的にアルメニア他都市と同様に滞在できるのですが、地理的条件や公共交通の不便さなどの要因から、ゴリスを旅する際にはやや特殊な事情もいくつか理解しておく必要があります。
ゴリスは安全?
地図を見ると、ゴリスはアルメニアとアゼルバイジャンの国境にほど近い場所に位置しているのがわかります。
かつてはナゴルノ=カラバフへの玄関口として栄えていたゴリスですが、2023年に勃発したナゴルノ=カラバフ紛争においてアルメニアが敗北&ナゴルノ=カラバフ地域の統治権が完全にアゼルバイジャンに移ったことを背景に、しばらく不安定な情勢が続いていました。
しかし、紛争終結から3年が経過した2025年現在は、完全に安全な観光・滞在が可能です。
ゴリスにはカラバフからの避難民も多く滞在しており、紛争の影響を感じる場面こそありますが、治安・情勢面に関しては完全に落ち着きを取り戻しています。
しかしながら、ゴリスは国境にほど近い町であり、有事の際には真っ先に標的となりうる地である点だけは心の片隅に入れておくべき。
ゴリスのみならずアルメニア南部地域の訪問前は、必ず現地の最新情報や現地ニュースを追うことを心がけましょう。
ゴリス観光におすすめの時期

ゴリスの観光自体は年間を通して可能ですが、12月~2月の厳冬期は降雪と氷点下の気候のため、観光には向きません。
逆に7月や8月はかなりの暑さとなるので、ハイキング目的の人にはちょっと暑すぎるかもしれません。
のぶよが滞在した4月前半は、町の周辺が緑に彩られてとても美しい風景が見られました。
しかし雨の日も少なからずあったので、もう少し後の時期=5月~6月あたりが天候も落ち着いていてベストシーズンなのではないかと思います。
ゴリス観光に必要な日数

ゴリスの市内観光だけであれば、観光にかかる時間は半日ほど見ておけば十分。
町のすぐそばにあるオールド・ゴリスをハイキングで周る場合でも、丸一日みておけばOKです。
ゴリス近郊の見どころも合わせた必要日数は、どこまで周るかによって大きく変わってきます。
・フンゾレスク:半日
・タテフ修道院&周辺:タクシー往復→1日 / 個人で周る→2日~5日
・シシアン周辺:タクシー往復→1日 / 個人で周る→2日~3日
つまり、タクシーをチャーターして周るなら3日/個人で公共交通利用でまわるなら5~6日ほどが必要。
そこに、アルメニア他地域から/への移動日を足せば、ゴリス旅行に必要な日数が計算できます。
滞在時のインフラ(ATM/商店etc)

ゴリスはとても小さな町ではありますが、観光・滞在に必要なインフラはすべて揃っています。
中心街だけに限っても、大きなスーパーマーケットが二軒あり、各銀行の窓口&ATMも点在。
小さな商店や薬局、衣料品店も比較的充実しているので、「ゴリスではこれが手に入らない…」といった状況には陥りにくいと思います。
おわりに
アルメニア南部観光の拠点としても便利な、ゴリスの観光情報を徹底解説しました。
地理的に微妙な場所にあり、エレバンなどアルメニア北部とのアクセスが不便であるゴリス。
このアクセスの不便さが災いして、日本人旅行者のほとんどはゴリスまで足をのばすことなくアルメニアを去ってしまいます。
しかし!ゴリス!めっちゃくちゃ素晴らしいです!
のぶよも久しぶりに「うわ…この町良すぎる…!」と感動したくらいなので(そういうわけで1週間くらい無駄に滞在してた)。
限られた日数のアルメニア旅行の場合は、なかなかゴリスまで足をのばすのが難しいですが、少し日程に余裕があるのであればぜひとも訪れてほしいところ。
近郊の見どころの充実さも含め、絶対に満足のゆく滞在となるはずです!
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