こんにちは!アルメニア滞在もいつの間にかもう2ヶ月半、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
セヴァン湖の魅力に憑りつかれたかのように、このエリアを開拓している今日この頃。
ものすごくおすすめな町を見つけてしまったので、紹介したいと思います。
その名も、ガヴァル(Gavar / Գավառ)。
高台に位置するガヴァル墓地から眺める町は、三角屋根の民家がびっしりと建ち並んで可愛らしい印象。
こじんまりとした中心街にはいくつかの見どころが点在しており、のんびりと散策するにはぴったりな町です。
近郊にもいくつかの見どころが点在しているので、このエリアの観光拠点としても便利なガヴァル。
しかし、この町の魅力は観光だけにとどまりません。
実はガヴァルは、ここでしか食べられない名物グルメがいくつか存在することでも有名な町。
観光の合間に、ぜひとも挑戦してみたいものです。
今回の記事では、セヴァン湖エリアの隠れた名所・ガヴァルの観光情報を解説するもの。
ほとんど情報がない超マイナーな町ですが、はじめに言わせてください…
ガヴァル、本当に行って良かったです!
ガヴァル市内の見どころ
赤:名物グルメのレストラン
黄色:マルシュルートカ発着ポイント
他都市から/へのマルシュルートカが発着するセントラル・スクエアがガヴァルの中心。
それほど大きな町ではなく、すべての見どころが徒歩圏内に位置しています。
各スポットをゆっくりとまわる場合、2時間~3時間ほどの観光時間をみておけばOKです!
ガヴァル墓地
ガヴァルの歴史が詰まったガヴァル墓地は、中心街東側の小高い丘の上に位置しています。
中心街方面からゆるやかな坂道を10分ほど歩くと、石造りの壁が印象的な聖ステパノス教会(Saint Stepanos chapel)に到着 ▼
この教会がガヴァル墓地の西側の入口となり、その先には何百何千もの墓石が並んでいます。
「お墓を見れば、その地域の死生観が垣間見える」とよく言われますが、それはガヴァル墓地にも当てはまるかもしれません。
というのもガヴァル墓地のお墓には、故人の姿を石像にしたものや、墓石に故人の顔を描いたものが多く見られるため ▼
日本のお墓で、個人の姿を具現化して表したものはかなり珍しいのではないでしょうか。
あの世へ旅立ってもなお、故人を家族の一員として身近に感じようとするアルメニアの人々の死生観が感じられます。
個性豊かなお墓を見てまわるだけでも楽しいガヴァル墓地ですが、最大の見どころはガヴァル市内の絶景 ▼
ガヴァル墓地は高台に位置しているため、眼下に広がるガヴァルの町並みを一望することができるのです。
三角屋根の小さな民家が建ち並ぶ光景は、まるでおもちゃの町のよう。
町の向こうに広がる山々の風景も含めて、どこか異世界感ただよう風景に感動するはずです!
セントラル・スクエア
ガヴァル中心街のど真ん中にあるのが、セントラル・スクエアと呼ばれる広場。
広場の北側には町のシンボルである聖母教会(Saint Mother of God Church)が堂々と立ち、市民の憩いの場となっています。
聖母教会自体は1905年に完成した新しいもので、歴史的価値は薄め。
しかし、町のどこからでも見えるドーム屋根は間違いなくガヴァルのシンボルで、人々の信仰を集める場所となっています。
運河地区
ガヴァル中心街の南東には、幅2mほどの運河が引かれたエリアがあります。
ガヴァル中心街の建築はほとんどがソ連時代のものですが、この運河地区にはそれ以前の伝統的な様式の民家が多く残っているので、散策にはぴったり!
運河地区の入口近くに建つのが、聖カラペット教会(St. Karapet Church) ▼
聖カラペット教会の建造は20世紀に入ってからと、こちらも歴史的価値は薄め。
しかし教会内部は、石造りの柱と白く塗られたアーチ式天井のコントラストが素敵。
こちらも一見の価値ありです。
聖カラペット教会から200mほど南に歩くと、そこは緑いっぱいのツァグカンツ川(Tzaghkants) ▼
ツァグカンツ川沿いは、地元の人々の定番の散策コース。
ホロヴァツ(アルメニア風BBQ)を楽しむ家族連れの姿も見られ、ローカルな雰囲気が素敵です。
川沿いで見逃したくないのが、草むらの中でひっそりと湧き出すミネラルウォーター ▼
ガヴァル郊外の山で湧き出した微炭酸の鉱泉は、トゥト・ジュル(Tut Jur)と呼ばれ、住民に親しまれているもの。
かなり鉄っぽい味と天然のシュワシュワ感は好みが分かれそうな味ですが、せっかくなのでガヴァルの自然の恵みをぜひ味わってみましょう。
そして、このエリア散策の最大のハイライトが、ツァグカンツ川の清流に沿って東西500mほどの区間に引かれた運河 ▼
澄み切った運河に沿って、伝統的な建築スタイルの民家や石壁がずらり。
「ガヴァルの原風景」そのものの素朴な雰囲気がとても魅力的です。
まるでお堀のような運河に沿って伝統的な民家や石壁がずらりと続く光景は、何だか日本の城下町を思い出させます。
錦鯉でも泳いでいたら、完璧に日本かも…(笑)
ガヴァルの伝統建築は、石造りの家屋部分に木製テラスが取り付けられたもの。
お隣ジョージアの伝統建築にもよく似ていて、コーカサス地域に共通の建築文化が感じられます。
ガヴァル市場
ガヴァルのセントラル・スクエアの西側には、市民の台所的な存在であるガヴァル市場があります。
「市場」というと、野菜や果物を売るお店が並ぶ中を買い物客がひっきりなしに行き交う活気ある雰囲気をイメージしますが、ここガヴァルには当てはまりません。
そこはかとない退廃的な雰囲気がただよい、まるでソ連時代にタイムスリップしたような光景の連続なのです。
ディープ&場末的な雰囲気が大好きなのぶよにとって、ソ連感はなはだしいガヴァル市場はまるで天国のよう。
市場の人々は、こんなマイナーな町の市場をブラブラしている外国人に興味津々。
とにかく話しかけられる(なぜかビール奢ってもらった)ので、散策時は心のご準備を(笑)
中心街北エリア
ガヴァルのセントラル・スクエアの北側一帯には、19世紀に建設された歴史ある建物が残っています。
19世紀のアルメニアはロシア帝国の統治下にあり、ヨーロッパ調の重厚な石造りの建物が多く建てられたのです。
運河地区に建ち並ぶ伝統的な民家の素朴な風景や、中心街の大部分を占めるソ連時代の町並みとは対照的。
優雅でお洒落な雰囲気がただよう町並みを散策していると、東欧のどこかの町を歩いているような感覚になります。
ガヴァルで絶対食べたい!2つの名物グルメ
アルメニアの人々にとって、ガヴァル=名物グルメの町。
セヴァン湖周辺エリアではもちろん、首都のエレバンでもガヴァルの食文化はかなり有名なんだそうです。
ここでは、ガヴァル観光の際に絶対に挑戦したい2つの名物グルメ&お店を紹介します。
ガヴァル・キュフタ
ガヴァルの名物グルメの中でも最大級の知名度を誇るのが、ガヴァル・キュフタ(Gavar Kyufta / Քյուֆթա Գավառի)。
「ガヴァルに行くなら絶対にキュフタを食べろ!」という宿のオーナーの声に従ってお店を探したのですが、そもそもガヴァル中心街にはレストランや食堂はほとんどなく、見つけるのにひと苦労。
ようやくたどり着いたのが、ガヴァル市場の一角にあるこちらの食堂 ▼
ソ連感が強いガヴァル市場の一角にある小さな食堂で、内部の場末感もものすごかったです ▼
ガヴァルの名物グルメとして、アルメニアでは知らぬ者はいないキュフタ。
「キュフタ」とは、バルカン半島からトルコ、中東地域まで広い範囲で食される、ひと口大のミートボールのこと。
地域色豊かなのも特徴で、国によって「キョフテ」「チュフタ」など微妙に異なる名前で呼ばれます。
国によってはトマトソースで煮込んだりすることもありますが、キュフタの基本的な調理法はグリル。
しかしここガヴァルのキュフタは、ひと口大でも煮込みでもグリルでもありません。
テニスボールを二回りほど大きくした巨大ミートボールを、お湯で茹でて調理するのです。
牛ひき肉に玉ねぎやハーブを混ぜて練られた生地は、お湯で茹でられて独特の食感に。
まるでソーセージの皮を取り除いて身の部分だけ食べているかのような、もってりと弾力がある不思議な食感で、肉の旨味がギュッと詰まっています。
のぶよ的にはグリルされたキュフタの方が好みでしたが、これはこれでアリかも。
偶然見つけて入ったこの場末な食堂。
お隣には肉屋があり、なんと注文を受けてからひき肉を買いに行くというのんびり感でした(笑)
ガヴァル以外ではなかなか食べることができない、巨大な茹でキュフタ。
せっかくここまできたなら、ぜひ挑戦してみるのがおすすめです!
お店の人もかなり気さくで、どローカルな雰囲気も素敵。
そこはかとない場末感こそが、絶品キュフタの隠れたスパイスなのかもしれません。
パフラヴァ
ガヴァルの名をアルメニア全国に知らしめている名物グルメはキュフタだけではありません。
この町に来たなら絶対に食べておきたいのが、パフラヴァ(Pakhlava / Փախլավա)。
その知名度はすさまじく、「ガヴァル=パフラヴァの町」という方程式が脳内で成り立つ人も多いほどなんだとか。
ガヴァル中心街で絶品のパフラヴァを食べるなら、セントラル・スクエア北側エリアにあるExpress Cafeがおすすめ ▼
「カフェ」とは名ばかりでお持ち帰りのみ対応のこじんまりとした店ですが、わざわざここのパフラヴァを買うためにガヴァルにやってくる人もいるんだとか。
パフラヴァ(バクラヴァ)とは、バルカン半島~トルコ~イランの広い範囲で食されるスイーツのこと。
何層にも重ねたパイ生地にピスタチオなどのナッツ類を挟んでオーブンで焼き上げ、糖蜜をたっぷりと染み込ませたお菓子です。
トルコではひと口サイズのバクラヴァが定番ですが、アルメニアのパフラヴァはとにかく巨大&ずっしりと重たいのが特徴的です。
パフラヴァはアルメニア全土で食されますが、ガヴァルのパフラヴァが有名なのにはいくつかの理由があるそう。
・地元産のナッツを使用している
・近郊の山で採れた新鮮なハチミツを染み込ませる
実際に食べて見ると、サクッ&じゅわぁ~の暴力。
ナッツの割合が多いのでボリューム満点でカリカリ&サクサク感は100%。ハチミツの芳醇な風味が口いっぱいに広がります。
良質のハチミツを使用しているためか、上品な甘さだったのも◎
「さすが有名なだけはあるな…」と感心させられました。
もはやパフラヴァを食べるためにガヴァルまで足をのばす価値があるかも…?
ガヴァル周辺の見どころ
街歩き自体も楽しいガヴァルですが、町の近郊にもいくつかの見どころが点在しているのもポイント。
ガヴァルを拠点にのんびりとまわるのも良いですし、他都市からのデイトリップでも十分セットでまわることが可能です。
ここでは、ガヴァル観光とセットで訪れたい二つの見どころを紹介します!
ノラトゥス墓地
ガヴァルからぜひ足をのばしたいのが、ノラトゥス(Noratus / Նորատուս)という小さな村。
村の中心に位置するノラトゥス墓地が最大の見どころで、9世紀~17世紀にかけてのハチュカル(石の十字架)がびっしりと並ぶ光景は圧巻のひとことです。
アルメニアの葬送文化に触れることができるノラトゥスは、歴史や文化に興味がある人は必見。
ガヴァルからマルシュルートカで簡単にアクセスできるのも嬉しい点です!
ハイラヴァンク修道院
セヴァン湖のほとりにたつ絶景修道院と言えばセヴァナヴァンク修道院が有名ですが、ガヴァル近郊にも隠れた絶景修道院があります。
その名も、ハイラヴァンク修道院(Hayravank monastery / Հայրավանք)。
規模は小さいものの、湖を望むパーフェクトな立地は必見です。
ハイラヴァンク修道院単体での見学も良いですが、ハイラヴァンク周辺はセヴァン湖沿いにずっと道路がのびる絶景ルートとしても有名。
隠れたビーチや絶景ポイントも多く点在しているので、時間と体力が許すならのんびりと歩くのもおすすめです!
ガヴァルへのアクセス情報
ガヴァルへのアクセス拠点となるのが、セヴァン湖北側に位置するセヴァン(Sevan)か首都のエレバンのいずれか。
いずれの町からも直行マルシュルートカが出ているので、簡単&格安で移動することができます。
また、ガヴァルからはノラトゥス墓地へ向かうマルシュルートカも出ているのもポイント。
この項では、発着地別のガヴァルへのアクセス情報を解説していきます。
行き先によって、ガヴァルでの発着地が微妙に異なる点に注意してください。
赤:セヴァン/エレバン方面マルシュルートカ発着地
①エレバン~ガヴァル間
エレバン~ガヴァル間のマルシュルートカは、30分~1時間に1本の頻度で運行しています。
【エレバン→ガヴァル方面】
ガヴァル行きのマルシュルートカが発着するのは、エレバンの北バスステーション(Northern Bus station) ▼
北バスステーションは中心街からはかなり離れた場所にあって、歩くのは不可能。
タクシーを利用するか、エレバン市内路線バスでアクセスするかのいずれかになります。
エレバン中心街~北バスステーション間の路線バスの例
・46番:ヴェルニサージュ(中心街南部)~北バスステーション
・259番:メスロプ・マシュトツ通り(中心街のメインストリート)~北バスステーション
交通状況によって1時間近くかかる場合もあるので、時間には余裕を持っておくのが◎
北バスステーションに到着したら、一度バスステーションの建物内に入ってチケットを購入します。
ガヴァル行きの326番マルシュルートカを探して乗り込めばOKです。
【ガヴァル→エレバン方面】
ガヴァルからエレバンへ戻る場合も、326番マルシュルートカを利用するのは同じ。
ガヴァルのセントラル・スクエア東側の一角からの出発です。
エレバン行きの最終便は16:00ガヴァル発とやや早めな点に注意しましょう。
②セヴァン~ガヴァル間
セヴァン湖エリアの観光拠点として便利なセヴァン(Sevan)からガヴァルへ移動する場合も、マルシュルートカが便利です。
セヴァン湖周辺エリアの近郊マルシュルートカ路線はやや複雑ですが、まとめると以下の通りです ▼
【セヴァン→ガヴァル】
ガヴァル行きのマルシュルートカは、セヴァン中心街のメインストリート(地図黄色)からの出発です。 ▼
赤:エレバン行きマルシュルートカ発着ポイント
黄色:ガヴァル行きマルシュルートカ発着ポイント
この区間を走る便は1日4便のみとやや不便。
2021年9月現在の時刻表は、セヴァン発8:00, 11:00, 14:00, 17:00です。
【ガヴァル→セヴァン】
ガヴァルからセヴァンに戻る際は、セントラル・スクエア東側の一角からの出発です
2021年9月現在の時刻表は、ガヴァル発8:00, 11:00, 14:00, 17:00。
セヴァン発の時刻とまったく同じです。
③ガヴァル~ノラトゥス間
ノラトゥス行きのマルシュルートカは、ガヴァルのセントラル・スクエア南側の交差点から、1時間に1本の頻度で出発しています。
ガヴァル~ノラトゥス間のマルシュルートカは、この区間を行ったり来たりするだけのシンプルなルート。
・ガヴァル発:毎正時 (9:00, 10:00, 11:00…)
・ノラトゥス発:毎時30分 (9:30, 10:30, 11:30…)
というスケジュールです。
おわりに
絶景も、素朴な風景も、名物グルメも楽しめるガヴァルの魅力を解説しました。
旅行先としてはマイナーな国であるアルメニア。その中でもトップクラスにマイナーなガヴァル。
もはやこんな所まで足をのばす日本人がいるのか謎ではありますが、いつかきっと誰かの役に立ちますように…
どこでも人の優しさや温かさに触れることができるアルメニアですが、ガヴァルの人々はいっそう人懐っこかった印象。
外国人が珍しいためか、とにかく話しかけられる率が半端なかったです。
定番の観光スポットや有名な町での滞在も良いですが、こうした何の変哲もない小さな町こそ、素顔のアルメニアにどっぷり浸かるにはピッタリだと感じました。
初めて訪れたのに、なぜか懐かしくなる…。
そんな不思議な魅力を持つ名物グルメと人情の町へ、ぜひとも足をのばしてみては?
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