こんにちは!アルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
首都のエレバンから南東に30kmほど。
切り立った山々が形成する渓谷沿いにあるのが「ガルニ&ゲガルド」と呼ばれる観光エリアです。
「ガルニ&ゲガルド」にはアルメニア観光の定番とも言える3つの見どころが点在しており、日帰りでまわることも可能なことから、旅行者に大人気となっています。


今回紹介するのは、「ガルニ&ゲガルト」を構成する3つの見どころの一つであるガルニ渓谷です。
ガルニ渓谷は、多くの観光客が訪れるガルニ神殿から遥か下に見える渓谷へと下った場所にある美しい自然スポット。
ただの渓谷だとあなどることなかれ…ガルニ渓谷は、「シンフォニー・オブ・ストーンズ」と呼ばれる奇岩が見られることで有名なのです。


その独特の形から「石のオルガン」と呼ばれることもあるシンフォニー・オブ・ストーンズ。
人の手は一切加えられておらず、すべて自然の力によって形成されたものです。
今にもこちら側に降り注いできそうな奇岩がそびえる渓谷の風景は、まるで地獄への入口。
異世界感たっぷりの風景がどこまでも続き、想像以上のスケールの大きさに驚かされます。

見ごたえ抜群のガルニ渓谷ですが、多くの旅行者は日帰りツアーやタクシーチャーターで数十分立ち寄って、さっさと次の場所へと移動してしまうもの…しかしそれ、正直もったいないと思います。
せっかくなら、大自然の偉大な力を感じながらの簡単ハイキングでガルニ渓谷をまわるのがおすすめ!
観光客はまずやって来ない古い教会に立ち寄ったり、ガルニ村の素朴な雰囲気をたっぷりと味わえる点も魅力的です。

というわけで今回の記事は、ガルニ渓谷のハイキングコースについて解説するもの。
ガルニ神殿観光 +2時間ほどで歩けるほどの簡単なコースですが、大自然の素晴らしさに圧倒されること間違いなしです!
ガルニ渓谷ハイキングコースの基本情報

まずは、ガルニ渓谷のハイキング情報を解説していきます。
「歩きたくないけど絶景は見たい!」という人もいるでしょう(のぶよは知ってる…日本人、歩くの大嫌い民族だということを…)。
そんな人のために、徒歩以外でのガルニ村~ガルニ渓谷へのアクセス情報も載せています!
ガルニ渓谷ハイキングマップ
ガルニ渓谷ハイキングコース基本情報
本記事で紹介しているガルニ渓谷ハイキングコースは、大きく分けて3つの区間に分かれています。
①ガルニ神殿→ガルニ渓谷「三途の川」:840m/20分/▼170m
②ガルニ渓谷「三途の川」→シンフォニー・オブ・ストーンズ:1.3km/25分/▲120m
③シンフォニー・オブ・ストーンズ→ガルニ村:2.1km/45分/▲120m
合計の距離は4.3km / 所要時間は1時間半~2時間ほど。
ガルニ村を出発してぐるりと渓谷地帯を歩き、再びガルニ村に戻ってくるという簡単なルートです。
①の区間は完全なる山道。
足場が悪い急坂を下る場面があるので、最低でもスニーカーの着用は必須です。
②の区間は未舗装道路 / ③の区間は舗装済みの道路となっていて歩きやすいです。
時間がない人向けのショートカットコース
本記事で紹介しているハイキングコース以外にも、ガルニ神殿~石のオルガン間を直線距離で結ぶショートカット徒歩コースがあります。

こちらのコースを歩けば、距離1.2km/所要20分ほど。
本記事のハイキングコースの①ガルニ神殿→ガルニ渓谷「三途の川」の区間と②ガルニ渓谷「三途の川」→シンフォニー・オブ・ストーンズをすっ飛ばすことが可能で、1km/30分ほどを短縮できます(Google Mapでは道が途切れていてナビゲーションできませんが、ちゃんと道はあるのでご安心を)。
石のオルガンの観光時間やガルニ村へ戻る時間を含めても、合計1時間~1時間半ほどみておけばぐるりと周れるのは大きなメリットかもしれません。

しかしながら、ショートカットコース上で見られるのはなんとも退屈な未舗装道路の風景のみ。
トレッキング的な醍醐味には欠けますし、ガルニ渓谷沿いのいくつかの見どころを見逃すことになってしまいます。
好みの問題&時間の問題となるのですが、時間と体力に余裕があるならショートカットではなく本記事通りのハイキングコースを歩く方が感動が大きくなるはずです!
徒歩以外でのガルニ村~ガルニ渓谷間の移動方法

ガルニ村~ガルニ渓谷間は地図で見ると目と鼻の先ですが、高低差200m近い崖の上と下にそれぞれ位置しているため、かなりの上り下りとなります。
足腰に自信がない人は歩かない方が良いでしょう。
ガルニ村中心部には客待ちのタクシーがたくさんあるので、渓谷まで往復チャーターするのもOK(一台1000AMD=¥400ほど)。
もしくは、観光トレインのようなGarni Express(一人片道500AMD=¥200)を利用するのもアリです(ただ、決まったスケジュールはなくある程度人が集まったらの出発なのがネック)。
ガルニ渓谷ハイキングコースの見どころ

さてさて。ここからは「せっかく来たんだからのんびりと渓谷をハイキングしつつ、石のオルガンに圧倒されたい!」というのぶよタイプの旅行者向けのハイキングコース情報。
ぜひとも天気が良い日を狙って、アルメニアの大自然を五感で感じましょう!
①ガルニ神殿~ガルニ渓谷休憩ポイント

ほとんどの場合は、ガルニ神殿を観光後にガルニ渓谷ハイキングをスタートすることになるでしょう。
ガルニ神殿が立つ断崖絶壁からチケット売り場がある入口までの道を戻っていきます。
ガルニ神殿は朝一番に見学しないと大混雑するので、絶対にガルニ神殿見学→ガルニ渓谷ハイキングの順番がおすすめです!
神殿の敷地を出て、入口のチケットブース付近から分岐している石畳の下り坂がハイキングコースの入口です ▼


この最初の急な坂道&石畳がもしかしたら最大の難関かも。
かなりの傾斜&石畳のせいで歩きにくい区間が百メートルほど続くので、注意しながら下っていきます。
やがて石畳区間は終わり、道はいったん舗装道路に。▼

舗装道路を下っていくと、T字路の分岐点に行き当たります。
これを左に行くとショートカットコースに、右に行くとガルニ渓谷ハイキングコースの山道となります。▼

分岐点を右に曲がると、ここからは完全なる山道が始まります ▼

下り坂なので体力的にはかなり楽ですが、かなりの急こう配&石がゴロゴロしているので足元にはご注意を。
急坂の途中からは、ガルニ渓谷沿いにそびえる奇岩のパノラマビューが見られます ▼

出発してからおよそ20分ほどで急こう配の山道は終わり、美しい渓流と奇岩が見られるポイントに到着します。

おどろおどろしいほどの存在感を放つ、黒く巨大な奇岩が立ちはだかる対岸は、まるで地獄のよう。
三途の川の畔に自分一人だけが立っているような気分になります。
奇岩に見守られながら、静かに流れる水の音…
どこまでもピュアでダイナミックな自然風景に、ただただ感動するはず。


この「三途の川」付近には日陰が多く、テーブル席も設置されているので休憩ポイントにはぴったりだと思います。
②ガルニ渓谷「三途の川」~シンフォニー・オブ・ストーンズ

「三途の川」で体力を回復したら、ガルニ渓谷ハイキングのハイライトとなるシンフォニー・オブ・ストーンズへ向けて歩いて行きましょう。
はじめは未舗装道路が数百メートル続き、目的地のシンフォニー・オブ・ストーンズの手前200mほどの場所で新しく敷かれた舗装道路になります。


ゆるやかな上り坂を歩くこと20分ほど。
小さな掘っ立て小屋が見えてきます。▼

こちらはシンフォニー・オブ・ストーンズへの入場料を徴収するための小屋。
かつては完全無料で見学できたのですが、2025年現在は1人300AMD(=¥120)の入場料をとるようになりました。

入場料はなんとカード払いも可能だそう。
「ようやくアルメニアも観光業に力を入れはじめたのかあ…」と、妙に感心してしまいました。
入場料徴収小屋から100mほど先まで行くと、禍々しいほどの存在感を放つ巨大な岩山が見えてきます。
これが、ガルニ渓谷ハイキングの文句なしのハイライトである「シンフォニー・オブ・ストーンズ=石のオルガン」です。▼

シンフォニー・オブ・ストーンズ

▲こちらが、ガルニ渓谷観光のハイライトであるシンフォニー・オブ・ストーンズ。
日本語にすると「石の協奏曲」といったところでしょうか。
細長い多角柱の形をした岩が、こちら側に降り注いでいるかのようです。


まるでパイプオルガンのようにも見えることから「石のオルガン」とも呼ばれるシンフォニー・オブ・ストーンズ。
これは太古の昔に、高さ50mほどの崖の上からマグマが流れ落ちる過程で冷え、八角柱型に固まって形成されたもの。
「柱状節理」と呼ばれる地形なんだそうです。

日本で見られる柱状節理は地面から上に向かって形成されるものが一般的ですが、ここガルニ渓谷で見られるものは上から下へと流れ落ちるような形が独特です。

それにしても、かなりの迫力…
遠くから見るだけでも圧倒されますが、下から見上げるとまさに魔王の城への入口さながらでした。


この柱状節理が連なる不思議な光景は、このシンフォニー・オブ・ストーンズ付近だけではなく、ガルニ渓谷全体で見られます。
この先にも、まだまだ異世界感たっぷりな風景が待っていますよ!
③シンフォニー・オブ・ストーンズ~ガルニ村

シンフォニー・オブ・ストーンズからゴールとなるガルニ村までは、ずっと舗装道路が続きます。
道路の両側には柱状節理の巨大な岩山が連なり、まだまだ現実世界には帰れなさそう…

「地獄への一本道」のような風景の中を歩くこと20分ほどで、ガルニ村中心部へと続く上り坂に合流します。
異世界のような景色の連続だったガルニ渓谷沿いから、ガルニ村の素朴な風景へ。
どこまでものどかで、時が止まっているかのようでした。


村はずれから、ガルニ神殿やマルシュルートカ停留所がある中心部へと向かう際には、いくつか点在する教会(と教会の廃墟)に立ち寄ることをお忘れなく。

▲ 圧巻なのが、マシュロット・ハイラペット教会(Mashtots Hayrapet Church)。
かつて異教の神殿があった場所に12世紀になって建てられたもので、田舎町とは思えないほどに立派な佇まい&細部に至るまで精密な装飾が特徴的です。


マシュロット・ハイラペット教会から村の中心部方面へ歩いていくと、周りを民家に囲まれた空き地の中心に「フマルザム(Khumarzham)」というかつての教会の廃墟が残っています ▼

かつては村人の信仰の中心として存在していた教会は、17世紀の地震で崩壊してしまったそう。
それ以降は再建されることなく放置されたままとなっています。


ガルニ村には、他にもいくつかの教会(や、かつての教会の跡)が点在しているので、時間に余裕がある人は散策してみるのもおすすめです!
ガルニ渓谷ハイキングのアドバイス
ガルニ渓谷ハイキングにおすすめの時期

ガルニ渓谷一帯は冬場は大量の雪に覆われてしまうため、冬場はハイキングも観光すらも不可能。
3月~12月までの雪がない期間限定の絶景となります。
夏場なら緑いっぱいの渓谷美が見られますが、とにかく気温が高くなるので歩くのはなかなか大変。
総合的に、4月半ば~5月の春 or 9月~10月の秋が、風景の美しさ的にも気温的にもハイキングにぴったりでしょう。
ガルニ渓谷ハイキングの持ち物&服装
ガルニ渓谷のハイキングは初心者でも普通に歩ける人なら問題ないレベル。
しかし山道を歩く場面があるので、サンダルではなく必ずスニーカー等で挑戦しましょう。
渓谷沿いには商店や飲食店はいっさいないため、飲料水や軽食などはガルニ村の商店で用意しておくべき。
シンフォニー・オブ・ストーンズの東側の料金所付近にはレストランや露店が出ていますが、どこも観光客プライスです。
ガルニ村へのアクセス

ガルニ渓谷ハイキングの拠点となるのが、ガルニ神殿を有するガルニ村。
エレバンから車で45分ほどの場所に位置しており、タクシーはもちろん路線バスを利用してのアクセスも簡単です。
エレバン~ガルニ村間の移動情報はガルニ神殿の観光記事内で詳細に解説しているので、そちらも参考にしてださい!
おわりに

大自然の偉大さが感じられる、ガルニ渓谷ハイキングコースの見どころを紹介しました。
ハイキング自体は2時間ほどで済んでしまうので、近郊のガルニ神殿やゲガルト修道院とセットで訪れるのがおすすめです!
ガルニ&ゲガルドの三大スポットは三者三様の魅力があり、エレバンからのデイトリップの王道とされるのも納得の見ごたえ。
ぜひともしっかりとプランニングをして、満足のゆく日帰り旅にしてください!
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