こんにちは! ポルトガル・リスボン在住ののぶよです。
日本でも一時期ブームになったエッグタルト。
実はポルトガル発祥だということはご存知でしょうか。
ポルトガルの首都・リスボンでは、どんな小さなカフェに行っても置いてあるほどポピュラーなスイーツであるエッグタルト。
ポルトガル語では「パステル・ドゥ・ナタ (Pastel de Nata)」(複数形:パシュテイシュ・ドゥ・ナタ(Pastéis de Nata))といいます。
ポルトガル全土のカフェやスーパーマーケットで気軽に、安く買うことができるエッグタルトですが、専門店の焼きたてに敵うものはありません。
何層ものサクサクのパイ生地の中でとろけるアツアツの甘いクリーム。
ポルトガル旅行の際は、絶対に本場の焼きたてエッグタルトを食べてみたいもの。
今回の記事では、リスボンの中でも人気を二分するエッグタルトの専門店、「パステイシュ・ドゥ・ベレン」と「マンテガリア」の二軒のエッグタルトを食べ比べてみたので、その感想をまとめました。
エッグタルトとは?知られざるその歴史
日本でもじわじわと知名度が上がってきており、根強い人気があるエッグタルト。
その歴史は古く、14世紀にまで遡るほどです。
リスボン西部のベレン地区にある世界遺産・ジェロニモス修道院で生み出されたものが原型だと言われています。
しかし修道院の中だけで伝えられていたレシピは一般の人の間に広がることはなく、時が流れていきました。
1820年にポルトガルで起こった革命の影響によって、ジェロニモス修道院で働いていた一人の調理師が解雇され、同じベレン地区にあった砂糖精製所に再就職することに。
この砂糖製造所に伝わったエッグタルトのレシピを基にして売り出したことが、後に紹介するエッグタルト専門店、パシュテイシュ・ドゥ・ベレンの前身となります。
パシュテイシュ・ドゥ・ベレンが販売したエッグタルトは、リスボン市民の間で瞬く間に評判に。
観光客の間でも知られる存在となり、徐々に知名度を上げ始めます。
そのレシピも店によって変わるようになり、
ジェロニモス修道院由来のオリジナルレシピで作られたものを「パシュテイシュ・ドゥ・ベレン 」
その他のものは「パシュテイシュ・ドゥ・ナタ」
と呼び分けられるようになって現在に至ります。
卵の黄身の風味が濃厚で、プリンのような味がするクリームと、サクサクのパイ生地が絶品のエッグタルト。
ポルトガルではかなりポピュラーなスイーツの一つです。
門外不出の秘伝レシピを守る、パステイシュ・ドゥ・ベレン
リスボンで知らない人はいないエッグタルトの老舗、パステイシュ・ドゥ・ベレンは、大航海時代の栄華が感じられるベレン地区の中心にあります。
先述の通り、すぐそばにあるジェロニモス修道院発祥のレシピを守り続ける、いわば「エッグタルト発祥の店」は1837年創業。
常に店の外まで行列が続いているので、見逃すことはないでしょう。
リスボンへ旅行に来た観光客は、ほぼ全員がこの有名なお店のエッグタルトを一度は食べることでしょう。
したがって、いつでもかなり多くの人、人、人。
観光客が多いからと言って、あなどってはいけません。
地元のリスボンっ子に一番おいしいエッグタルトの店を尋ねても、十中八九この店の名前が挙がるほど。
地元の人にも愛される名店なんです。
行列があるからといって諦めてしまうのはもったいない!
回転率がかなりいいので、見た目より待ち時間は少ないのがポイントです。
内装にはポルトガル名物のアズレージョがふんだんに使われ、青と白が基調の落ち着いた雰囲気。
その中で大勢の従業員がエッグタルトを作り、箱詰めしています。
あまりに多くの人が訪れるパステイシュ・ドゥ・ベレンでのエッグタルトの購入方法は少し独特。
外まで続く行列に並んで、自分の番がやってきたら、先にレジでお金を払います。
その際にもらえるレシートを見せて、隣の引き取りカウンターで注文を引き取るという2ステップのスタイル。
しかし、あまりにも多くの人がいるため、引き取りカウンターはもはや戦場と化します。
ためらってはいけません。図々しいくらいに前に進んで、店員にレシートを渡しましょう。
そして勝ち取ったエッグタルトがこちら。
いつ行っても焼きたての状態で提供してくれるのが嬉しいこだわり。
外側の皮はサクサク、中のクリームはトロトロで、とにかく美味しいです。
スーパーやその辺のカフェで売っている作り置きのエッグタルトとはもはや別物。
中のクリームをジュースにして飲み干したくなるくらい(笑)
意外と甘味は抑えられているので、エッグタルトの一番の魅力である卵の上品な風味が強く出ている印象です。
絶品エッグタルトと共に夢のようなひと時を過ごしたら、店内の見学もお忘れなく。
いたるところにアズレージョ装飾が施された店内はとてもエレガント。
人が多すぎるのが玉にきずですが。
店内はかなり広くて迷路のよう。
お手洗いも無料で利用できますし、ゆっくり休憩しながらエッグタルトを食べられるイートインコーナーも完備しています。
パステイシュ・ドゥ・ベレンのエッグタルトに対するこだわりは相当のもの。
このエッグタルトは、修道院由来のオリジナルレシピを守り抜いていて、そのすべての工程を知っている人は、現在でもたった四人だけだそうです。
そして、その選ばれし四人は一緒に行動することを制限されているそう。
なぜなら、万が一事故や事件に巻き込まれて全員が一度に亡くなってしまった場合、誰もこのエッグタルトの作り方を知る人がおらず、秘伝のレシピを守り抜けなくなってしまうためだとか。
600年以上変わらぬ門外不出の「元祖・エッグタルト」を求めて、今日も多くの人が列をつくり、その美味しさに感動していくのです。
インフォメーション
パステイシュ・ドゥ・ベレン (Pastéis de Bélem)
住所:R. de Belém 84-92, 1300-085 Lisboa
営業時間:全日8:00~23:00
値段:エッグタルト1個1.10ユーロ
コメント:混雑を避けて店内でゆっくりとエッグタルトを食べたいなら、早朝か夜がおすすめ。
焼きたてを提供してくれるので、お土産用とは別にその場で食べてみるべき。
リスボン中心部で気軽にエッグタルトを。マンテガリア
2014年にオープンしたばかりの、リスボンのエッグタルト界期待の新星ともいえるのがマンテガリア (Mantegaria)。
リスボンの中心であるシアド地区、カモンイス広場(Praça Luís de Camões)に面した便利な立地が魅力の小さなエッグタルト専門店です。
パステイシュ・ドゥ・ベレンに比べるとかなり小規模なお店ですが、リスボンっ子の間での知名度は抜群。
「エッグタルトが食べたいけど、わざわざトラムに乗ってベレン地区に行くのもなあ…」
という人におすすめです。
厨房と対面式のカウンターがある店内は、なんだかお洒落な雰囲気。
エッグタルトの生地作りや、オーブンからアツアツのエッグタルトを出す様子を目の前で鑑賞しながら、絶品のエッグタルトをいただけます。
マンテガリアのエッグタルトがこちら。
もちろん皮はサクサク、中はクリーミーです。
パステイシュ・ドゥ・ベレンのエッグタルトとの一番の違いは、クリームの風味と食感。
甘味がやや強めで、濃いめのクリームはトロトロというよりドロリとしています。
どちらかというとデザート感が強めな印象を受けました。
ポルトガル風の濃いエスプレッソとの相性は抜群です。
マンテガリアの店内は本当に狭く、カウンターには椅子が設置されていないほど。
テイクアウトして、目の前のカモンイス広場のベンチでのんびりとエッグタルトを食べるのがおすすめです。
インフォメーション
マンテガリア (Mantegaria)
住所: Rua do Loreto 2, 1200-108 Lisboa
営業時間:全日8:00~0:00
値段:エッグタルト1個1ユーロ
コメント:行列ができていることが多いですが、テイクアウトしていく人が多いため、そこまで待ち時間は長くありません。
おわりに
パシュテイシュ・ドゥ・ベレンとマンテガリア。
甲乙つけがたい美味しさのエッグタルト専門店を二つ紹介しました。
のぶよ的には、
・甘さ控えめのクリームで卵の風味を味わうならパステイシュ・ドゥ・ベレン
・しっかりとした味のクリームと絶妙な焼き加減を味わうならマンテガリア
といったところ。
一番良いのは、二軒とも訪れて味を比べてみること。
どちらもリスボン観光の際には必ず訪れるエリアに位置しているので、散策の休憩がてらに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ポルトガルの素朴ながら豊かなスイーツ文化に感動すること間違いなしですよ。
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