こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
アゾレス諸島に浮かぶテルセイラ島観光の拠点&交通のハブとなるのが、島の南部に位置するアングラ・ド・エロイジュモ(Angra do Heroísmo)。
単に「アングラ」とだけ呼ばれることも多いこの町は、世界遺産に指定されている美しい町並みが最大の魅力です。
人口3万人ほどと町の規模自体は大きくないものの、ポルトガル本土とは大きく異なった建物や装飾がずらりと並ぶ風景は、どこかレトロでエキゾチック。
町の目の前には美しい大西洋が広がり、遥か遠くまでやってきたことを実感させられることでしょう。
今回の記事では、そんなアングラ・ド・エロイジュモの素晴らしい魅力を紹介します。
世界遺産の町を散策
大西洋を感じるビーチ&天然プール
二つの絶景ポイント
名物の島グルメ
の四つのポイント別に、「アングラ・ド・エロイジュモ観光でしたいこと」と題して解説していきます!
アングラ・ド・エロイジュモ観光マップ
黄色:バス停
赤:おすすめ食堂
アングラ・ド・エロイジュモ観光でしたいこと1:世界遺産の町歩き
アングラ・ド・エロイジュモ観光のハイライトとも言えるのが、世界遺産に指定された美しい町並みを散策すること。
大航海時代が始まって間もない1451年に、ポルトガルによる支配が始まったアングラの中心街は、歴史ある建造物や美しい建物がたくさん。
目の前に広がる大西洋の青々とした風景とのコントラストがとても素敵です。
ミゼルコールディア教会
アングラ・ド・エロイジュモを代表する建造物が、ミゼリコールディア教会(Igreja da Misericórdia)。
ブルーの外壁がとても美しく、まるで空の青さがそのまま壁の色に溶け込んだような清々しい印象を与えます。
教会の前には、マリーナ(港)方面へと降りる階段があります。
実はここはかつての税関があった場所。
その地理的特性から、アフリカやアメリカ大陸からヨーロッパへやってくる船の寄港地として栄えたアングラ・ド・エロイジュモ。
町の入口にあたるこの場所で、外国籍の船の検問や課税が行われていたのです。
教会前で見逃してはいけないのが、ヴァスコ・ダ・ガマの像。
ご存じの通り、インド航路を発見し、ポルトガルの大航海時代に大きく貢献した重要な人物であるヴァスコ・ダ・ガマ。
リスボンへと戻る航海中に船上で亡くなった実の兄、パウロ・ダ・ガマの埋葬のために、1499年にアングラ・ド・エロイジュモに立ち寄ったとされています。
マリーナ
ミゼルコールディア教会前の階段を降りた先にあるのが、広大なマリーナ。
小型クルーザーやヨットが停泊していて、のんびりとした雰囲気が漂っています。
初夏~秋にかけては、名物のホエールウォッチングツアーの発着地となる場所で、主にポルトガル本土からの観光客で賑わうそう。
マリーナからは、町の南側の海に突き出すような地形の休火山・モンテ・ブラジル(Monte Brasil)の堂々とした姿を一望することができます。
サンティーシモ・サルヴァドール・ダ・セー教会
アングラの中心街にもう一つあるランドマークのような建造物が、サンティーシモ・サルヴァドール・ダ・セー教会(Igreja do Santíssimo Salvador da Sé)。
スカイブルー一色だったミゼルコールディア教会に比べると、何となく優しい印象を与える外観です。
1570年建造のものですが、その後数回の火災や地震の被害を受け、その都度再建されてきました。
アングラのメインストリートを歩いていると、教会の尖塔が必ず目に入るほど。
小さな町なので道に迷うことはないでしょうが、街歩きの際の目印として覚えておきましょう。
海沿いのプロムナード
真っ青なミゼリコールディア教会から、モンテ・ブラジルまでの海沿いには、気持ちの良いプロムナードが整備されていて、地元の人が散歩にやってくる憩いの場所となっています。
高低差が結構あるのが特徴的で、上からでも下からでも、世界遺産の美しい町並みを眺めることができます。
アングラ中心街の町並み
目だった観光スポットこそ少ないアングラ・ド・エロイジュモですが、いくつもの路地をただ歩いているだけで、きっと時間が過ぎてしまっているはず。
というのも、アングラの中心街の町並みは、ポルトガル本土の町とは全く異なる種類のレトロな雰囲気に満ち溢れているためです。
中心街を東西に走るメインストリート沿いは、整然とした印象。
どの建物も窓の周りやベランダが明るい色に塗られているのが特徴的です。
メインストリートから路地を一本入ると、車の数はほとんどなく、静かな住宅地らしい光景が広がっています。
アングラ・ド・エロイジュモは、ポルトガルの大半の町と同様に、丘の斜面を利用して築かれた町。とはいえ、坂はそこまできつくないのでご安心を。
坂道とレトロな建物が織りなすポルトガルらしい風景は、本土から1000km以上離れた離島であろうと健在なのです。
地図なんて必要ないほどに小さな町ですが、路地ごとに雰囲気が変わるのが特徴的。
観光客の姿もほとんど見かけず、自分のペースでのんびりと散策することができて大満足でした。
アングラ・ド・エロイジュモ観光でしたいこと2:ビーチ&天然プールで海を感じる
アングラ・ド・エロイジュモの美しい町並みは、すぐ目の前に広がる大西洋とのコントラストあってのもの。
散策途中に海沿いで休憩するのも、のんびりした島旅ならではの贅沢な時間です。
ビーチ
アングラの中心街ど真ん中に位置するビーチは、かなりこぢんまりとした砂浜。
波が高い大西洋沿いということで、防波堤に囲まれているため、お世辞にも「南国ビーチリゾート」という雰囲気ではありませんが、水質はものすごく良いです。
目の前に広がる青い海とモンテ・ブラジルのダイナミックな風景を眺めながら飲むビールは格別!
美しい町と、美しい自然の風景が隣合わせにあるのが、アングラ・ド・エロイジュモの素晴らしい点だと感じました。
シルベイラ天然プール
アゾレス諸島の地元の人を真似て、大西洋を楽しみたいなら、天然プール(Piscina Natural)には絶対に挑戦しましょう。
その名の通り、天然の岩場や湾を利用して造られたもので、アゾレス諸島では「海水浴=天然プール」というのが一般的です。
というのも、火山の噴火によってできたアゾレス諸島では、黄金色の砂浜を持つビーチはとても珍しく、ほとんどの島の海岸線は火山の噴火によってできた岩場となっているため。
ゴツゴツとした岩場のままでは危険なので、そこに人の手を加えて安全に泳げるようにしたものが天然プールです。
アングラ・ド・エロイジュモ周辺にもいくつかの天然プールがありますが、おすすめは中心街西側のシルベイラ天然プール(Piscina natural da Silveira)。
比較的波が穏やかなのと、モンテ・ブラジルを眺めながらの絶景スイミングが楽しめるためです。
アングラ・ド・エロイジュモ観光でしたいこと3:絶景ポイントを制覇
アングラ・ド・エロイジュモは丘の斜面に築かれた町。
坂があると言うことは、がんばって登れば絶景が見られると言うことです。
ここでは、アングラ観光で必見の、
モンテ・ブラジルからの世界遺産の町並みの絶景
町の高台から眺める美しい湾とモンテ・ブラジルの絶景
の二つの絶景ポイントを紹介します。
モンテ・ブラジル展望台
アングラ・ド・エロイジュモの南側、海に突き出したように佇むモンテ・ブラジル(Monte Brasil)は、町のシンボル的な存在です。
巨大な休火山であるモンテ・ブラジルは、その地理的な重要性のため、古くから要塞としての役割を果たしてきた場所。
現在でも島の大部分は軍事基地となっています。
一般人も立ち入ることができ、山頂からはアングラ・ド・エロイジュモの町並みの全景を見渡すことができます。
展望台
アングラ・ド・エロイジュモの中心街の北側にある丘の頂上には、モンテ・ブラジルが作り出す湾に面した町を望むことができる展望台があります。
少々坂はきついですが、頂上では感動の絶景が待っています。
展望台には独特な形をしたモニュメントと、ポルトガルの主要な都市との距離を示した案内板があり、こちらも必見。
夕日の時間帯の美しさは格別で、だんだんと赤く染まっていく町の風景はきっと忘れられないものとなるはずです。
アングラ・ド・エロイジュモ観光でしたいこと4:島の名物グルメを味わう
テルセイラ島の中心地として発展しているアングラ・ド・エロイジュモで絶対に忘れてはならないのが、ここでしか味わえない名物グルメに挑戦すること。
アゾレス諸島では、貿易の中継地点として他国との交流が盛んだった歴史や、「常春」と称されるほどに一年中温暖な気候、大西洋のど真ん中という地理的な隔絶などから、ポルトガル本土とは異なる食文化が根付いています。
アングラ・ド・エロイジュモには、アゾレス諸島の名物料理を提供するレストランや食堂が数多くあるので、滞在中に一度は挑戦してみましょう。
のぶよが利用したのは、バス停があるヴェーリャ広場(Praça Velha)に面したCafé Aliançaという小さなスナックバー。
「スナックバー」とは、カフェ兼食堂兼バーといった感じの場所で、ポルトガル全土でポピュラーな飲食店のタイプです。
この店のおすすめは、テルセイラ島の名物料理3種類を盛り合わせた欲張りランチ。
右上から
トレスモシュ・ドゥ・カビーニョ(Torresmos de cabinho):豚の脂身煮込み
モルセラ(Morcela):豚の血の黒ソーセージ
リンギーサ(Linguiça):スパイスを効かせたソーセージ
という料理で、全て豚肉のキワドイ部分が使われています(笑)
トレスモシュ・ドゥ・カビーニョ(Torresmos de cabinho)は、豚肉の脂身をじっくりと煮たもの。
ポルトガル本土では単に「トレスモシュTorresmos」と呼ばれ、豚肉の皮と脂身を細かく切って油で揚げた塩辛いスナックのことを言いますが、テルセイラ島のトレスモシュ・ドゥ・カビーニョはメイン料理として食べられる独特のもの。
日本の「豚の角煮」を脂っこくした感じの食感で、ニンニクや玉ねぎの風味が効いています。
黒い円形の料理はモルセラ(Morcela)。
アゾレス諸島名物の、豚の血を固めて作ったソーセージの一種です。
その食感は独特のサクサク&しっとりしたもので、ソーセージというよりもパンを食べているよう。
味のクセも意外になく、言われなければ豚の血で作られたものだとは思わないでしょう。
一般的なソーセージらしい見た目のリンギーサ(Linguiça)は、「ポルトガル風ソーセージ」とも呼ばれる香辛料を効かせた独特の風味が特徴。
大航海時代初期にポルトガル領となったアゾレス諸島では、早い時期からアフリカやアジアからの香辛料を積んだ船が中継地点としてやってきたため、唐辛子などを使ったリンギーサが一般的になったと言われています。
あまり内臓系が得意ではないのぶよですが、どれも癖がなく、美味しくいただけました。
アゾレスの名物料理を少しずつ味わえるこちらのメニュー。
無くなり次第終了となるそうなので、お早めにどうぞ。
アングラ・ド・エロイジュモへのアクセス・行き方
アングラ・ド・エロイジュモは、テルセイラ島の南部に位置する島内交通のハブ。
島の他地域へ向かうバスは全て、町役場があるヴェーリャ広場(Praça Velha)に面したバス停(上で紹介した食堂付近)を発着するので分かりやすいです。
プライア・ダ・ヴィトーリア~アングラ・ド・エロイジュモ間のバス移動
島の東側に位置するプライア・ダ・ヴィトーリア(Praia da Vitória)の町との間をEVT社の2番の路線バスが走っており、島内移動の基本はこの路線となります。
セーラ・ド・クメ~アングラ・ド・エロイジュモ間のバス移動
テルセイラ島最大の観光スポットであるセーラ・ド・クメ(Serra do Cume)へのアクセスは、レンタカーが便利ではあるものの、個人で路線バス+ハイキングで訪れることも可能です。
アクセス方法の詳細は別記事にまとめているので、そちらを参考にしてください。
ビシュコイトシュ~アングラ・ド・エロイジュモ間のバス移動
テルセイラ島北岸のビシュコイトシュ(Biscoitos)は、テルセイラ島で最も美しいと言われる天然プールとワイン博物館がある小さな村。
テルセイラ島名物のアルカトラが食べられるレストランもあります。
EVT社の1番/11番の路線バスが二つの町を結んでいます。
車なしで個人で観光するのはややハードルが高めなテルセイラ島。現地ツアーに参加すれば、移動手段の心配いらずで効率良い観光ができます。
アゾレス諸島名物のホエールウォッチングも絶対にはずせません!
おわりに
テルセイラ島を代表する観光スポットである、アングラ・ド・エロイジュモの魅力を解説してきました。
世界遺産に指定されてはいるものの、観光客の数はまだまだ少ない穴場感がとても気に入りました。
市内観光だけでなく、島内の他の見どころを観光する拠点としても便利なアングラ。
離島らしいのんびりとした雰囲気を味わいながら、ゆっくりと滞在してみてはいかがでしょうか。
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