こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
国や地域によって、人々の生活のリズムは大きく異なるもの。
日々忙しく過ごしている日本人からすると、外国では時間の流れがゆったりしているように感じるのではないでしょうか。
ドイツや北欧に代表されるように、比較的時間を守り、きっちりとした生活を送る人が多いヨーロッパ諸国ですが、南はもはや別世界です(笑)
イタリア、ギリシャなどそうそうたるメンバーが名を連ねますが、よくジョークのネタにもされるのがスペインとポルトガル。
「スパニッシュ・タイム」と言われるように、独特の時間に対する概念(簡単に言うと、「ルーズ」)が定着しているスペインもなかなかの強者ですが、もはや異なる時間軸を生きているんじゃないかと思わずにいられないポルトガルもすごいです。
ポルトガルでは当たり前の習慣や時間の概念も、日本人にとっては「???」となってしまうかも。
せっかくの楽しいポルトガル旅行、イライラしてしまうのはもったいないですよね。
というわけで、今回の記事では誰も教えてくれない「ポルトガル・リズム」について解説していきます。
日本の常識とは(ヨーロッパ一般の常識とも)大きく異なる、ポルトガル人の習慣や時間に対する概念。
国中に漂うのんびりとした雰囲気の理由が、きっと理解できるはずです。
ポルトガル・リズムを感じるエピソードと対処法5選
1.「効率」や「計画性」という概念はない
まずはっきり言います。
ポルトガルには「効率」や「計画性」という概念がありません。
実際に住むとわかるのですが、役所や銀行での手続きや公共交通手段のシステム、スーパーマーケットのレジにいたるまで、「こうした方が絶対に早いし手間もかからないのに…」という場面に1日10回は遭遇します(笑)
最も身近な例が、洗濯物の干し方。
リスボンなど都市部のアパートの物干しスペースは限られているのが普通。
ハンガーなどを利用してシャツ類は垂直に、縦長のタオルは縦に広げて干せば一度に干せるのに、ポルトガル人は絶対にハンガーを使いませんし、タオルは横に広げてスペースいっぱいに干したがるのです。
どう考えてもこの方式では干しきれない量の洗濯物を一度に洗うので、干しきれない衣類が必ず出てくるのは想像に難くないでしょう。
さて、この干しきれずに濡れたままの衣類、いったいどうするのでしょうか。
答えは、しばらく放置です(笑)
工夫してスペースを作れば、1回洗ってまとめて干せば終わらせられる量。
しかしながらポルトガルでは、
一度に大量に洗濯→スペースいっぱいに干す→干したものが乾いたら取り込んで、放置していたものを干す
これを数回繰り返してようやく洗濯完了となります。
天気が良く日差しが強いポルトガルなので、洗濯物がすぐに乾くからというのはあるでしょうが、どうして一度に干してしまわないのか、いまだに謎です。
最も身近な例を紹介しましたが、こういったことが家庭レベルでも公共レベルでも国家レベルでも日常茶飯事なのがポルトガル。
はじめこそ少々イライラしたものの、もはや慣れました(笑)
のぶよ的に、ポルトガル人の計画性の無さは大航海時代から変わっていないと思います。
そもそもの大航海時代の始まりは、
東の地中海はスペインやフランス、オスマン帝国などの大国が牛耳っているから進めない→じゃあ大西洋に出よう!
というシンプルすぎる理由でした。
そして偶然たどり着いたブラジルやアフリカ、アジアから大量に入ってきた銀や香辛料で潤ったポルトガル。まさに、棚からぼたもち。
莫大な富を利用して、国中に豪華絢爛な修道院やモニュメントを建設しまくりました。
その後ポルトガルがどうなったのかはご存じの通りです(笑)
ちゃんと計画して上手に交易を続けていれば、今頃世界共通語はポルトガル語だったのかも。ああ、無念。
2.食事が出てくるまで1時間は普通
ポルトガルでは急ぐことが禁物であることは、旅行で訪れた人でもすぐに感じ取ることができるでしょう。
日本人でポルトガルを訪れた人がとにかく驚くのが、レストランでの提供時間の長さ。
日本では、注文から5分もかからずに提供される場合もありますし、10分以上となると待たせすぎと感じる人すら存在するよう。
チェーン店では、客が食券を購入するや否や調理を開始して、ロボット並みの速さで提供してくれる場合さえありますよね。
一方のポルトガルのレストランでは、一つの皿が提供されるまで1時間ほどかかることが普通です。
特に地元の人がいくようなローカル食堂でその傾向は顕著。
ポルトガル料理は素材をそのまま利用したものが多く、下ごしらえ等はすでにされているのが普通なので、どうしてそんなに時間がかかるのか不思議に思う人も多いようです。
これは、一皿一皿順番に作っているため。
日本のレストランで見られるような、「グリル担当」「フライ担当」などの分業スタイルでの調理はまずありえません。
調理を一括担当するおばちゃんが、注文の入った順番に一皿一皿調理をするため、他に客がいればいるほど待ち時間が長くなるのです。
裏を返せば、冷凍食品をレンジでチンするような料理ではなく、一つ一つちゃんと作ってくれているということ。
注文が入ってからフライドポテト用のじゃがいもをカットし出したり、足りない食材を近くの八百屋に買いにいく店だって珍しくありません(笑)
ポルトガルでは、レストランで待たされるのは当たり前のこと。
だからこそ、比較的すぐに提供される作り置きの前菜をつまみながら、ワインを嗜む文化が発達したのでしょう。
ちなみに、ポルトガル人の食事時間は概して遅め。
昼の12時にランチを食べようとしても、まだ店が開いていないことさえあります。
目安としては
ランチ:13時~14時半
ディナー:20時~22時
といったところでしょうか。
日本人からすると、かなり遅い食事時間に感じられるかもしれませんね。
3.お昼はたっぷり休憩
初めてポルトガルにやってきた旅行者がびっくりするのが、午後2時~午後5時くらいにかけては町から人が消えることでしょう。
観光客が多いリスボンやポルトの中心街に関してはこの限りではないものの、地元の人が多いエリアやその他の地方都市では、午後の町はほぼ無人になります。
これは、お隣のスペインと同じシエスタ(昼休憩)の習慣のため。
商店やレストラン、スーパーマーケットに至るまで、昼休憩の時間がちゃんと設定されているのです。
ローカル食堂の多くは、遅くとも14時までには入店していないと、ランチにありつけません。
(先述の通り提供まで時間がかかるため)
この習慣を知らないと、ポルトガルで途方に暮れてしまうことになるかも。
観光客が多いリスボンやポルトの中心街なら、通し営業しているチェーンのレストランやスーパーなども見つかるのでさほど不便は感じませんが、それ以外の場所では水一つ買うにも困るくらいですから。
2時間~3時間ほどのんびりと家で過ごしたポルトガル人は、夕方には元気いっぱい。
ランシュ(Lanche)と呼ばれる軽食を食べて、日が傾きつつある町へとぶらぶらと繰り出していくのです。
4.待ち合わせ時間は守らないもの(たまに来ない)
もしポルトガルで友人を作りたいなら、時間にルーズな一面は大目に見てあげる必要があるでしょう。
ポルトガル人の時間に対する感覚のゆるさは、私たちの想像をはるかに超えています。
もちろん人によって差がありますし、ビジネスや観光客向けのサービスなど時間の正確さが求められる場面においてはその限りではありません。
(それでも日本に比べるとかなりルーズですが)
しかし、友人同士で時間を決めて待ち合わせする場合には、これだけは覚えておきましょう。
ポルトガル人の彼・彼女は、100%時間通りには来ません(笑)
ポルトガルでは、日本のように駅や広場などの待ち合わせスポットで落ち合うことは稀。
基本的に相手の家に迎えに行ったり、カフェで待ち合わせることがほとんどです。
ポルトガルのローカルカフェで1時間ほど人間観察していると、すぐにわかるでしょう。
多くの客が一人かと思いきや、実は誰かを待っていたということを。
何もせずに待ちぼうけたくないポルトガル人は、とりあえずカフェでのんびりしながら時間をつぶすのです。
しかしながら、カフェで30分くらい待っていたら来てくれる人はまだましな方。
さらにルーズなポルトガル人の考え方では、
14時に待ち合わせ→どうせ向こうは30分くらい遅れて来る→だから自分は40分くらい遅れて行く
という、とてもシンプルな発想がされているのです。
ややこしいのは、自分だけでなく相手も同様に考えている点。
つまり、心理戦なわけです。待ち合わせ時間にどれだけ遅れていくのがぴったりかを見極めるための(笑)
こうした心理的な攻防の結果、まれに信じられないことが起こります。
それは、もはや待ち合わせに来ないという衝撃的な行動。
日本では「ドタキャン」と呼ばれ、忌むべきことの一つでしょう。
下手したら信用を失ってしまいかねません。
しかしながら、ポルトガルでは結構な頻度で起こること。
しかもドタキャンした側も悪びれる様子もなく、「もう明日にしようか~眠いし」なんて平気で言ってくるほどです(笑)
この「待ち合わせ時間の心理戦」や「ドタキャン」を避けるためなのか、相手の家に迎えに行く/自分の家に迎えに来てもらうというのが、ポルトガルで最もポピュラーな待ち合わせのスタイルと言えるかもしれません。
5.驚異の夜遊び開始時間
食事時間が遅めで、シエスタでたっぷりと体力回復をしたポルトガル人の若者。
彼らが行きつく先のは、バーやナイトクラブなどの夜遊びスポットです。
飲んだり喋ったりして有り余る体力を発散させるのは、ポルトガルだけでなくどこの国の若者にも共通に見られるものです。
日本では、友人同士で夕食を一緒にとったり、居酒屋に行って食事と飲みを同時進行で行うスタイルがポピュラーですよね。
ポルトガルでは、夕食を外でとる文化はありません。
夜レストランに行くと、(ポルトガル人的には)かなりの出費となってしまいますし、そもそも地元民が行くような食堂は、夜は営業していないことも多いです。
というわけで、夜遊びに出かける前に自宅で各自夕食を済ませておくのが、特に若い人々の間では暗黙の了解となっています。
先述の通り、食事の時間が遅いポルトガル。
夕食はだいたい20時~22時の間にとるのが一般的です。
したがって、夜遊びに出かけるのは早くても夜10時。
リスボンで一番のナイトライフエリアと名高いバイロ・アルト地区に行ってみると、一目瞭然です。
夜18時~21時の間にレストランにいるのは、99%が外国人観光客。
観光客のディナータイムが終わる21時にもなると、もう営業終了してしまうレストランもあるほどです。(ポルトガル人は夜に外食しないため)
地元の人向けのパブやバーでは、22時前は閑古鳥が鳴いている状態。
「ハッピーアワー」と称して、ただでさえ安いビールを半額で提供している店も多いので、のぶよ的には穴場の時間帯だと思いますが。
一般的に、ヨーロッパのハッピーアワーは、ディナータイム前(~19時)で終了するもの。
驚くことなかれ。
ポルトガルでは23時や0時までハッピーアワーが設定されており、割安価格でお酒が楽しめるのが普通です。
裏を返せば、それだけ遅い時間にならないと人が来ないということです。
そんなバイロ・アルト地区が本来の賑わいを見せ始めるのは、23時を過ぎたころ。
ようやく人の数も増えてきて、深夜0時にもなるとハッピーアワーもようやく終了します。
ポルトガルに住んでいて一番びっくりしたのが、0時を過ぎた段階でようやく「今から〇〇呼ぶ?多分まだ寝てないと思う」となり、その○○は30分後には普通にやってくるという驚異の夜遊びカルチャーでした。
これ、暇を持て余しているティーンエイジャーの話ではありません。
のぶよより少々年上の30代前半~半ばの大人グループでの月曜の夜中の話です。
普段は待ち合わせ時間など守りもせずにのんびりしているのに、なぜか夜になると行動速度が上がるポルトガル人。
彼らは夜行性のアナグマか何かなのでしょうか(笑)
ちなみに、ポルトガルでナイトライフエリアが最もにぎわう曜日は、月曜日だと言われています。
土日に家族でのんびりと過ごした反動なのか、月曜の夜はみんな友達同士で集まるという習慣があるよう。
それにしても、週の初めの日から夜遊びって…なかなかすごい文化(笑)
というわけで、ポルトガルでは夜0時を回ってから「今から遊ばない?」と誘いが来ることは、至って普通のことです。
それでも次の日になると、朝普通に起きて仕事や学校に行くのがすごいところ。
だからこそ、睡眠不足を補うためのシエスタの時間が必要なのかもしれませんね。
おわりに
日本人からすると到底理解不可能なポルトガル・リズムについて、のぶよ自身の経験から解説してきました。
ポルトガルでの生活を通してある程度は慣れたとはいえ、「なんで?」と思うこともしばしば。
旅行で初めて訪れる人にとっては、その驚きも倍増することだと思います。
血の一滴までポルトガル人の彼らには、彼らなりの生活のリズムが染みついています。
「こうした方が早いのに!」「どうして時間を守らないの?」とイライラするよりも、それも含めてのんびりとしたポルトガルという国の魅力の一部と割り切るのがおすすめ。
ポルトガルへ渡航する際は、ポルトガル・リズムも含めて楽しめるようになれれば、あなたも立派なポルトガル通!…かもしれません。
コメント