こんにちは!アルメニア滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア人にも外国人旅行者にも人気の山岳リゾート・ディリジャン。
見どころは数多く、観光目的でものんびりリゾートステイでも大満足な滞在ができるエリアです。
とはいえディリジャン最大の魅力は、エリア一帯を占めるディリジャン国立公園の大自然。
せっかく大自然エリアにやってきたなら、自分の足で歩いてみるのがやっぱりおすすめ!
今回紹介するのは、ディリジャン国立公園に数あるコースの中でも最もポピュラーなもの。
ディリジャン~パルズ湖ハイキングコースです。
緑深い国立公園の山々に、牧歌的な草原、家族連れで賑わうパルズ湖…
コース上にたくさんの見どころがある点も、このコースが大人気である理由の一つです。
また、体力と時間が許すなら、さらに先に位置するゴシャヴァンク修道院までハイキングを続けることも可能。
すべて自分の足で歩いても、丸一日あれば十分。あとは体力との戦いになります。
今回の記事は、アクティブ派にぜひおすすめしたいディリジャン~パルズ湖~ゴシャヴァンク修道院ハイキングコースを徹底解説するもの。
日本人の間では全く知られていませんが、外国人旅行者の中にはこのコースを歩くことを目的にディリジャンを訪れる人もいるほど。
自然が好きで体力に自信がある人にはぜひとも挑戦してみてほしいです!
ハイキングコース基本情報
今回紹介するハイキングコースは、大きく分けて二つの区間に分かれています。
・区間1:ディリジャン中心街~③パルズ湖 (11km)
・区間2:③パルズ湖~⑤ゴシャヴァンク修道院 (5.2km)
別々に歩くことももちろん可能ではありますが、のぶよ的には二つの区間を一気に歩いてしまうのがおすすめ。
当記事内では、ディリジャン中心街~パルズ湖~ゴシャヴァンク修道院までの全区間に渡る5つの見どころと、それぞれの区間のコース詳細を解説しています。
【ディリジャン~パルズ湖間(11km)】
・ディリジャン中心街~①ディリジャン市内絶景展望台
・①ディリジャン市内絶景展望台~②ポクル・ディリ
・②ポクル・ディリ~③パルズ湖
【パルズ湖~ゴシャヴァンク修道院間(5.2km)】
【距離・所要時間】
ディリジャン~パルズ湖~ゴシャヴァンク修道院の全区間を歩く場合、
・合計距離:16.2km
・所要時間:5時間半~7時間
・登り/下り:▲1288m ▼1281m
と、丸一日かけてのロング・ハイキングとなります。
【難易度】
今回のハイキングコースは距離こそ長いものの、高低差は少なめなので初級~中級向けのコース。
岩場を登る区間などもなく、ひたすら山道が続くだけなので、特別な登山用の装備も必要ないでしょう。
一つ気をつけたいのが、②ポクル・ディリ~③パルズ湖の区間。
コースがいくつも分岐している&マーキングも少ないため、道がとてつもなくわかりにくいのです。
「ハイキング時のアドバイス」の項で紹介しているアプリは必ずダウンロードしておきましょう。
ハイキングコース上の5つの見どころ
今回紹介するハイキングコース上には、大きく分けて5つの見どころがあります。
スタート地点となるのはディリジャン(Dilijan / Դիլիջան)の中心街。
町のすぐ東に広がる広大な森林地帯を歩いていきましょう。
コース詳細
・所要時間:30分
・距離:870m
・高低差:▲130m
東西に細長く広がるディリジャンの町ですが、ハイキングコースの入口があるのは「オールド・ディリジャン」と呼ばれる複合施設や円形競技場を越えたあたり。
コース入口にはちゃんと標識も出ているので見過ごすことはありません ▼
最初の数十メートルは階段、その後は山道となり、森の中を歩いて行くコースです。
出発から30分もしないうちに、最初のポイントであるディリジャン市内絶景展望台に到着します。
①ディリジャン市内絶景展望台
ハイキングコース最初の見どころが、ディリジャン市内を一望する展望台。
ディリジャンの中心街から郊外まで、緑の山々に抱かれたアルメニア屈指の山岳リゾートの全景が見渡せます。
展望台でしばし休憩した後は、次のポイントであるポクル・ディリまでややアップダウン多めのコースに入ります。
コース詳細
・所要時間:50分
・距離:3.1km
・高低差:▲70m
展望台からは、いったん山道を下りディリジャンの町はずれに出て、再び山道を登っていくコース。
山々を背景にした可愛らしい家々が点在しています ▼
村はずれまでいったん下りたら、今度は家の一軒もないゆるやかな山道を登っていきます。
展望台から1時間弱で、ポクル・ディリに到着します。
②ポクル・ディリ
ディリジャンの町はずれから山道を登った先にある広場のような場所がポクル・ディリ(Pokr dili / Փոքր Դիլի)と呼ばれる場所。
実はこの一帯は「ディリジャン始まりの地」と言われているそうで、7世紀(1400年前)頃にはこの場所に小さな集落があったのだそう。
現在では当時のハチュカル(石の十字架)が並ぶ墓地だけが残っており、当時の村の面影は感じられません。
ポクル・ディリからパルズ湖方面へ1.5kmほど歩いた地点には、ディリジャンでは有名なミネラルウォーターの泉があります ▼
かなり鉄っぽい味が独特でしたが、この水は万病に効くと言われているそう。(アルメニアにはこういった「聖なる水」的なものがよくある)
コース本線からはやや外れた場所にあり、泉の先は行き止まりとなっているので遠回りとなってしまいますが、興味のある人は立ち寄ってみるのも良いかも!(泉までの往復で+1kmくらい)
コース詳細
・所要時間:2時間15分
・距離:7.5km
・高低差:▲400m ▼400m
ポクル・ディリからパルズ湖までの区間は、このハイキングコース中で最大の難所。
登りの区間が多く、途中でいくつも道が分岐していてわかりづらい箇所が多々あるためです。
本記事最後に紹介しているハイキングアプリをこまめにチェックして、間違った道を行かないように注意しながら進みましょう。
山道を登りきった地点からは、パルズ湖まで下り坂となります。
休憩を含めて全部で2時間半~3時間ほどの時間を見ておきましょう。
③パルズ湖
ハイキングコース上最大の見どころの一つであるパルズ湖(Parz Lich / Պարզ լիճ)。
ディリジャン市内から11kmほど離れた山の中腹にある湖で、アルメニア人観光客にとっては「ディリジャン観光の定番」とされている場所なんだそうです。
パルズ湖自体は、のぶよ的にはやや期待外れ。
せっかく山の中にある湖なのに水質はそれほど良くなく(しかも遊泳不可)、家族連れがボートでのんびりと遊覧する光景は、どこかの郊外にあるじゃぶじゃぶ池のようでした…
パルズ湖をハイキングのゴール地点にしてしまうと、なんとなく微妙な感じで一日を終えることになってしまいそうなので、ここはぜひともゴシャヴァンク修道院まで歩くことをおすすめします。
コース詳細
・所要時間:50分
・距離:3.1km
・高低差:▲200m
パルズ湖で休憩(&ランチ)の後は、来た道を400mほど引き返すことになります。
上の写真の分岐点まで戻ったら、ゴシャヴァンク修道院があるゴシュ村(Gosh)方面へ続く道を歩いて行きます。
この区間に関しては、一定の間隔で赤色のマーキングがされているので、それに従って歩いて行けばOK。
ゆるやかな上り坂を歩くこと30分少々で、山の頂上にある展望台へ到着です。
④展望台
今回のハイキングコースで最高地点にあたる場所に位置する展望台。
のぶよ的にはパルズ湖よりもよっぽどハイライトにあたる光景が見られる場所だと思います。
一面に広がる草原と、その奥にそびえる山々。草を食む馬の群れ…
ディリジャン国立公園の大自然の魅力がギュッと詰まった光景が、見渡す限り広がるのです。
展望台には特に名前はついておらず、標識などもありませんが、行けばすぐに「あ、ここだ!」とわかるはず。
ディリジャン国立公園の本気が感じられる、素敵な風景がいっぱいの場所でした。
コース詳細
・所要時間:40分
・距離:2.3km
・高低差:▼330m
展望台からゴールとなるゴシャヴァンク修道院までは、車の轍に沿ってずっと下っていくだけ。
一本道なので迷うこともありません。
一部急な下り坂もありますが、ゴールに近づくほどゆるやかな坂道となっていきます。
途中にはゴシュ村を一望するポイントもあるのでお見逃しなく ▼
ゴシュ村の敷地内まで下ったら、ゴシャヴァンク修道院はもうすぐそこ。
村の中心にどんと構えているのですぐにわかります。
⑤ゴシャヴァンク修道院
今回のハイキングコースの真のゴール地点となるのが、ゴシャヴァンク修道院(Goshavank monastery/ Գոշավանք)。
一見すると、まるでRPGゲームに出てくるラスボスの城のよう。
異世界感ただよう堂々とした佇まいの聖地は、UNESCOの世界遺産リストにも挙がっている場所です。
16kmもの長い道のりを歩いたあとに、ようやく目の前に姿を現すゴシャヴァンク修道院は、神々しさに満ちあふれていました。
団体ツアーやタクシーで楽々と訪れた人には感じられない感動と興奮を覚えること間違いなしですよ!(のぶよは感極まって泣きそうになった人)
パルズ湖 / ゴシャヴァンクからディリジャンへの戻り方
ディリジャン~パルズ湖~ゴシャヴァンク修道院ハイキングコースを歩く際の最大のネックが、ゴール地点からディリジャンへ戻る交通手段が存在しない点。
パルズ湖 / ゴシャヴァンク修道院のどちらをゴール地点にする場合でも、タクシーを利用するかヒッチハイクをするしか手段がありません。
パルズ湖→ディリジャン
パルズ湖からディリジャンへと戻る場合は、タクシーの利用は絶望的と考えておきましょう。
パルズ湖北端の駐車場にはタクシーの姿は稀で、Yandex等の配車アプリも対象エリア外であるためです。
とはいえ、パルズ湖からディリジャンまでは完全なる一本道。
ヒッチハイクの難易度は驚くほどに低いです(し、ほとんどが地元の家族連れやカップルの車なので安全です)。
ゴシャヴァンク修道院→ディリジャン
ゴシャヴァンク修道院があるゴシュ村(Gosh)からディリジャンへ戻る場合も、公共交通の利用は絶望的。
ディリジャンへ買い物に出る地元民向けのマルシュルートカが週二日往復しているそうですが、
・早朝:ゴシュ→ディリジャン
・夕方:ディリジャン→ゴシュ
と、旅行者的には全く使えないスケジュール。
そのため、ゴシュ村→ディリジャンへ戻る場合の交通手段もタクシー利用かヒッチハイクのいずれかとなります。
ゴシャヴァンク修道院前の駐車場にはタクシーが数台停まっているので、料金を予め確認した上で乗車しましょう。
ゴシュ村→ディリジャンの片道移動の料金相場は、2500AMD(=¥560)ほどです。
ハイキング時のアドバイス・注意点
今回紹介しているハイキングコースは、ディリジャン国立公園のど真ん中を通るもの。
相手は大自然であるため、いくつか注意しなければならない点があります。
ハイキングにおすすめの季節
今回紹介しているハイキングコースのベストシーズンは、5月~10月にかけて。
5月/6月は新緑が美しく、10月は紅葉の時期にあたるため、風景重視ならこれらの月がおすすめです。
一面の緑に覆われたディリジャンの風景は、息を飲むほどに美しいもの。
しかし、「緑が多い=降水量が多い」ということでもあります。
じっさい、5月/6月や10月は季節の変わり目にあたるため、ディリジャン周辺では雨の日がとても多いのです。
比較的天気が安定しているのが、8月~9月の夏の終わりにあたる期間。
天候重視ならこれらの月をおすすめします。
野生動物への注意
ディリジャン国立公園には多種多様な動物が生息していますが、中には注意が必要な種類も。
夏場(7月~8月)にかけて注意したいのがヘビ。
無毒の種類がほとんどですが、中には毒を持つ種類もいるのでご注意を。
長ズボン/トレッキングブーツ着用で歩くのがベストです。
また、春~秋のどの季節でもハチには注意が必要。
こちらから攻撃しない限りは襲われることは稀ですが、地面近くに巣を作っている場合もあり、一見するとわからないこともしばしばあります。
その他、一般的なハイキング時に注意が必要な熊や牧羊犬に関しては、ディリジャン国立公園内で心配する必要はないようです。
ハイキングの持ち物
今回紹介しているハイキングコース上には、飲食店や商店などは一切存在しません。
ランチや軽食など必要なものは全てディリジャン市内で購入して持参しましょう。
また、水を補給できるポイントもかなり限られていた印象なので、最低でも一人1.5ℓの水は持参することを強くおすすめします。
アルメニアのハイキングに必須のアプリ
今回紹介しているコースだけでなく、アルメニア全土のハイキングコースを徹底的にカバーしている“Hike Armenia”というアプリ(無料)は、アルメニアでハイキングをする人にはもはや必需品。
デザインも秀逸ながら、実用性も抜群なのが素晴らしいところです。
・リアルタイムでハイキングルート(&現在位置)が見られる
・高低差や所要時間など詳細な情報を掲載
・オフラインでも位置情報を取得可能(事前のダウンロードが必要)
・すでに歩いた人からのコメントを参考にできる
アルメニアでハイキングをするなら、ぜひともダウンロードしてフル活用しましょう!
【ディリジャンの宿をさがすなら!】
ディリジャン国立公園の観光拠点に便利なのが、ディリジャン中心街。家族経営のゲストハウスからリゾートホテルまで…好みや予算に合わせた宿が選べます!
おわりに
緑あふれるディリジャン国立公園の大自然を全身で感じられるハイキングコースを紹介しました。
体力やハイキング経験にあわせて、パルズ湖 / ゴシャヴァンク修道院とゴールを自分で決められるのもメリットだと思います。
アルメニアが誇る山岳リゾートでアクティブな1日を過ごしたい人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
コメント