こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル南部に位置するアレンテージョ地方の果て。
グアディアナ川が作り上げた谷間の断崖絶壁の上に広がるメルトラ(Mértola)は、そのアクセスの不便さと美しい風景から「ポルトガルの秘境」の異名を持つ村です。
人口3000人ほどの真っ白な町並みが素敵なメルトラは、この地域がイスラム教徒に支配されていた時代に建設された城塞を中心として広がる、典型的なアレンテージョ地方の村といった感じ。
村全体が絶景スポットという独特なロケーションもあって、そのアクセスの不便さとは裏腹に、ポルトガル通に密かな人気を誇ります。
今回の記事では、メルトラの観光スポットや個人でのアクセス方法を解説していきます。
ポルトガルの中でもBEST3に入るほどの美しい風景を探しに行ってみましょう。
メルトラの観光スポット
メルトラ観光マップ
青:見どころ
メルトラ展望台
メルトラに到着したら、まずは町全体を眺められる絶景ポイントに行ってみるべき。
バスが到着する中心街から川を挟んだ対岸に位置するメルトラ展望台(Miradouro de Mértola)からは、城塞を中心とした断崖絶壁の村の風景を一望することができるのです。
西を向いているため、夕日の時間になるとメルトラ城塞の向こうに沈んでいく夕日が見られる場所でもあります。
動物の鳴き声くらいしか聞こえない夕暮れの風景は感動もの。
徐々に灯りがともっていく町の風景は、きっと忘れられない思い出となるはずです。
ノッサ・セニョーラ・ダ・アヌンシアサン教会
メルトラ城塞のすぐ下に位置するノッサ・セニョーラ・ダ・アヌンシアサン教会(Igreja Matriz de Nossa Senhora da Anunciação)は、昔も今もメルトラの人々の信仰の中心である場所。
存在感抜群の白亜の教会は、グアディアナ川を見下ろす抜群のロケーションに堂々と建っています。
ノッサ・セニョーラ・ダ・アヌンシアサン教会の歴史は少々独特。
実は、教会として利用される前はモスクだったもので、この地域を支配していたイスラム教徒のムーア人によって12世紀頃に建てられたものなのです。
モスクが完成して間もない1238年のこと。
アレンテージョ地方からムーア人は追い出され(レコンキスタ)、キリスト教国のポルトガル王国の領土となったメルトラのモスクは、教会へと改装されました。
イスラム建築らしさ(ミナレット、アーチ装飾など)が残る外観も独特ですが、内部はモスクだった時代の名残がいっそう感じられるものです。
メルトラ城塞
村で一番高い場所にそびえるメルトラ城塞(Castelo de Mértola)は、メルトラ観光のハイライト。
その起源は2000年前のローマ帝国時代にまで遡り、歴代の支配者によって城塞の改装・増築が繰り返されてきたものです。
現在見られる城塞は、レコンキスタ完了後の1292年に完成したものですが、城壁の一部にはイスラム教徒支配時代のものが見られます。
また、メルトラ城の敷地のすぐ脇には、ローマ時代のネクロポリス(墓地)の遺跡があり、現在でも発掘作業が続けられています。
城壁から眺めるメルトラの町並みは、美しいのひとこと。
グアディアナ川沿いの断崖絶壁に建つ家々を一望することができるのです。
グアディアナ川は、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方を経由して大西洋にそそぎます。
そのため、北アフリカにルーツを持つイスラム教徒支配時代には、メルトラは水上交易の拠点として栄光の時代を迎えたそうです。
そんな時代も今は昔、とばかりに静まり返ったメルトラの村。
ポルトガルの秘境の絶景を楽しんだら、真っ白な村の散策へと向かいましょう。
メルトラの町並み
典型的なアレンテージョ地方の村の雰囲気が漂うメルトラ。
城塞のふもとの斜面にひらけた村の家々は、どこもまぶしいほどに真っ白です。
小さな教会や、歴史を感じさせる時計台など、可愛らしい建物が点在しており、どこを切り取っても絵になります。
観光地化されている雰囲気は全くなく、村全体がポルトガル地方部らしい素朴でのんびりした空気に包まれています。
断崖絶壁に位置し起伏が激しいため、村の至る所からグアディアナ川の絶景を見ることができるのもポイント。
ムーア人によって築かれた城壁に囲まれた真っ白な村と、昔から変わらずに悠々と流れる川の風景。
いつまでもこうして眺めていたいと感じさせるような、不思議な魅力を持つ風景に満ち溢れた村です。
ポルトガル他都市~メルトラへのアクセス・行き方
「ポルトガルの秘境」とだけあって、メルトラへの公共交通手段でのアクセスは便利とは言えません。
拠点となるのは、この地方の中心都市であるベージャ(Beja)という町。
リスボンやエヴォラなどポルトガル他都市からは、Rede expressos社の長距離バスやRodalentejo社の路線バスでベージャに行き、ローカルバスに乗り換える必要があります。
ベージャ~メルトラ間は平日のみRodalentejo社の路線バス8757番/8768番が1日4便運行しています。
リスボン~メルトラのアクセス
リスボン~メルトラ間は、
Rede Expressos社の長距離バスでベージャへ→ベージャからRodalentejo社の8757番/8768番路線バスでメルトラへ
と必ず乗り換えが伴います。(時刻表はこちら:8757番 / 8768番)
リスボンでの発着地はセットゥ・リオシュ(Sete Rios)バスターミナル。
リスボン市内中心部から地下鉄でアクセス可能です。
絶望的に交通の便が不便なこのエリア。リスボンから日帰りで訪れるならツアー参加しか方法がありません。
モンサラシュ観光はもちろん、エヴォラ観光やワイナリー見学、6000年前のストーンサークルを訪れるものまで種類があります。
基本的にプライベートツアーとなりますが、グループごとの料金なので、大人数の場合はかなりお得になるのもメリット!
エヴォラ~メルトラのアクセス
アレンテージョ地方の各都市~メルトラ間のアクセスも、必ずベージャでの乗り換えが伴います。
ベージャへのバス路線があるのは、中心都市のエヴォラ(Évora)のみとなかなか不便。
その他の都市からのアクセスは、一度エヴォラに行き、ベージャで乗り換えてメルトラ着となるので、とても面倒です。
エヴォラ~ベージャ間は、Rede expressos社の長距離バスも走っていますが、平日ならRodalentejo社の路線バスも利用することが可能です。
ベージャ~メルトラ間は、Rodalentejo社の8757番/8768番路線バスの利用となります。
アルガルヴェ地方各都市~メルトラへのアクセス
地理的には目と鼻の先にある、ポルトガル最南端のアルガルヴェ地方ですが、バスでのアクセスは便利とは言えません。
スペインとの国境の町であるヴィラ・レアル・ドゥ・サント・アントニオ(Vila Real de Santo António)へのバスが平日のみ1日1便運行しています。
このバスは、ベージャ~メルトラ~ヴィラ・レアル・ドゥ・サント・アントニオを結ぶ、Rodalentejo社の8768番バス(時刻表はこちら)です。
おわりに
観光客の間では全く知名度がないメルトラの魅力を紹介しました。
アクセスはとにかく不便ですし、他の町や観光スポットとも距離があるため、短い日程のポルトガル旅行で訪れるのは現実的に難しいでしょう。
だからこそ「秘境」と呼ばれ、観光地化された村にはない雰囲気を保つことができているのがメルトラ最大の魅力だと思います。
ポルトガル津々浦々を旅したのぶよですが、メルトラの美しさにはかなり感動しました。
特に、夕暮れ時の暗く染まっていく村の風景は忘れられないものです。
ポルトガルリピーターの人や、人とは違う場所に行ってみたいという人には、心からおすすめしたいメルトラ。
何をするでもなく、美しい風景を眺めながらのんびりと過ごすにはぴったりな場所です。
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