こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
古き良きリスボンの風景がそこら中に残っているのが、市内東部の丘に位置するアルファマ地区(Alfama)。
リスボン中心街の他の地区が山の手だとしたら、アルファマはリスボンの下町。(とは言っても丘の上にありますが)
リスボン市民の生活感が感じられる迷路のような路地からふと上を見上げると、洗濯物がはためいているというリスボンらしい光景が見られます。
1755年に発生し、町の大部分を破壊したリスボン大震災の被害が少なかったアルファマ地区。
ポルトガルがイスラム教徒によって支配されていた時代の雰囲気も残っており、リスボンで最も歴史が感じられるエリアでもあります。
今回の記事では、見どころたっぷりのアルファマ地区の観光スポットを紹介します。
上手なまわり方のポイントや、エリア内の交通手段も解説しているので、プランニングの参考にしてください。
アルファマ地区の観光スポット
大きなエリアではないアルファマ地区ですが、丘の斜面に広がっている地形上、エリア内の移動にはやや難があります。
ポイントは、アルファマ地区を三つのエリアに分けて考えること。
観光の中心となるのは、サン・ジョルジュ城やリスボン大聖堂があるアルファマ中心部。
アルファマらしい迷路のような路地や、歴史を感じさせる観光スポットが点在しており見ごたえたっぷりですが、観光地化されているのは否めません。
東側のサンタ・アポロニア周辺は、観光地化されていないアルファマ地区の素顔が見られる貴重なエリアです。
北側のグラサ地区は、アルファマ地区よりもさらに高い場所に位置しています。
リスボンで一番の絶景が眺められる展望台があるので、時間に余裕があれば足をのばしたいエリアです。
アルファマ中心部
アルファマ観光の中心となるエリアが、リスボン大聖堂とサン・ジョルジュ城を有するアルファマ中心部。
北側のサン・ジョルジュ城が丘の頂上に、リスボン大聖堂が丘の麓にそれぞれ位置しており、かなり起伏の激しい地形です。
リスボン名物の路面電車28番と路面電車12番が坂を縫うようにエリア内を走っており、混雑していない時なら移動手段としてはかなり利用価値が高いです。
リスボン大聖堂
バイシャ地区からアルファマ地区へとゆるやかな坂道を上っていくと最初に目に入るのが、リスボン大聖堂(Sé de Lisboa)の堂々たる佇まい。
1147年に建設が開始された歴史ある大聖堂は、アルファマ地区のシンボルとして人々に愛され続けている存在です。
内部への入場は無料なので、是非見学していきましょう。
ロマネスク様式とゴシック様式が混在した造りの聖堂内部には広々とした空間が広がり、観光客とお祈りに訪れる地元の人達で常に賑わっています。
サンタ・ルシア展望台
丘の中腹に位置するアルファマ地区中心部には、いくつかの展望台が整備されていて、無料で「坂の町」リスボンの絶景を眺めることができます。
サンタ・ルシア展望台(Miradouro de Santa Luzia)もそのうちの一つ。
アルファマ地区の古い町並みが眼下に広がり、定番の写真撮影スポットとして多くの人で賑わっています。
サンタ・ルシア展望台で絶景と同様に必見なのが、周囲の壁に描かれたアズレージョ(タイル装飾)。
青と白の二色で、テージョ川から眺めるアルファマ地区の町並みを表現した素晴らしい作品です。
リスボン大地震の被害が比較的軽かったアルファマ地区では、18世紀以前の手が込んだアズレージョが多く残っているので、探しながら散策するのも面白いでしょう。
ポルタシュ・ド・ソル展望台
サンタ・ルシア展望台のすぐ東側にあるのが、「太陽の扉」という意味のポルタシュ・ド・ソル展望台(Miradouro das Portas do Sol)。
アルファマ地区の町並みをより近くに眺めることができる、おすすめの展望台です。
ポルタシュ・ド・ソル展望台脇の階段を下っていくと、リスボンの歴史が描かれたトンネルもあるので、お見逃しなく。
サン・ジョルジュ城
アルファマの丘の頂上にそびえ立つ存在感抜群のサン・ジョルジュ城(Castelo de S. Jorge)は、アルファマ地区で一番の観光スポット。
バイシャ地区やバイロ・アルト地区など市内他地区からもその全景を望むことができ、リスボンのシンボルの一つとして愛されています。
もともとはこの地に居住していたイスラム教徒のムーア人の城でしたが、12世紀頃のレコンキスタ運動によってポルトガル王国の支配下となりました。
現在のサン・ジョルジュ城は観光客に開放されており、リスボン旧市街が一望できる絶景スポットとしても人気を集めています。
サン・ジョルジュ城の敷地の北側は、城を取り囲むようなゆるやかな下り坂となっています。
坂の途中は、さらに高い場所に位置するグラサ地区方面の絶景が望める穴場スポット。
時間が許せば立ち寄ってみるのもいいでしょう。
くちばしの家
リスボン大聖堂の南側。アルファマの丘のふもとに並ぶ美しい建物の一つには、正面の壁に無数の鳥のくちばしのような尖った装飾が施されています。
これがくちばしの家(Casa dos Bicos)と呼ばれるもの。
大航海時代真っ只中の16世紀に建てられたもので、当時流行していたイタリア・ルネッサンス様式とポルトガル独自のマヌエル様式が混ざった独特の造りとなっています。
現在では文化団体の施設となっており、入場料€3(=¥360)で内部の見学も可能です。
くちばしの家の前は開放的な広場になっており、アルファマ地区の町並みを下から眺めることができます。
サンタ・アポロニア駅周辺
観光地化が激しいアルファマ中心部の東側に位置するサンタ・アポロニア駅(Santa Apolónia)周辺エリアは、リスボン中心部にありながらかなりのローカル感が漂う穴場のエリア。
アルファマの丘の中腹~ふもとにかけて広がり、地元の人が通う食堂やカフェなどが点在しています。
曜日限定で行われる泥棒市が開催されるのもこちらのエリア。
タイミングを狙って訪れるのがおすすめです。
ファド博物館
アルファマ地区東側の、カフェやレストランが並ぶ賑やかなエリアにあるのが、ポルトガルの伝統音に関する展示を行うファド博物館(Museu do Fado)。
ファドに使われる楽器や、その歴史に関する展示はもちろんのこと。
往年のファディスタ(歌い手)たちの貴重なレコードの数々を試聴することも可能です。
ポルトガル伝統音楽であるファドは、ここアルファマ地区が発祥の地。
もともとのアルファマ地区は、かつてのポルトガル植民地からやってきた移民や、船乗りの家族などの庶民が多く生活していた場所でした。
先が見えない苦しい生活への憂鬱さや、愛する人に会えない物寂しさなどの感情を、ギターの音色にのせて歌ったのが始まりだと言われています。
そのため、ファドの曲調や歌詞には暗いものが多いのが特徴的。
これもポルトガルがサウダードゥ(郷愁)の国と言われる理由の一つなのかもしれません。
ファド博物館周辺にはファドを聴きながら食事ができるファドハウス(Casa de Fado)が点在しており、毎晩のようにライブが開催されているので、一度ディナーに出かけてみてはいかがでしょうか。
ファド博物館周辺の路地
ファド博物館周辺は、アルファマ地区らしい小さな路地や階段が連なる迷路のような町並みが広がっており、散策するのが楽しいエリアです。
観光地化されたアルファマ中心部に比べると、そこはかとないローカル感が漂っていることに気が付くでしょう。
美しいアズレージョで装飾された建物も多くあり、どこを切り取っても絵になります。
サン・ヴィセントゥ・ドゥ・フォーラ教会
アルファマ地区東側の丘の中腹に建つ巨大なサン・ヴィセントゥ・ドゥ・フォーラ教会(Igreja de São Vicente de Fora)は、その名の通りリスボンの守護聖人である聖ヴィセントゥを祀ったもの。
白亜のファサードが印象的ですが、内部のアズレージョも大変美しいです。
泥棒市
アルファマ地区の名物と言えば、毎週火曜日と土曜日に開催される蚤の市。
地元では「泥棒市(Feira da Ladra)」と呼ばれます。
お土産や衣類はもちろん、アンティークな品物や何だかわからないガラクタまで、とにかく色々なものが売られていて、ただ見てまわるだけでも面白いです。
実はこの泥棒市、知名度が上がるにつれて年々規模が拡大しているそう。
良い場所を陣取れば売り上げが上がりやすいため、場所取り合戦は前日の夜から行われることもあるんだとか。
ポルトガル土産にぴったりな雑貨や、美しいアズレージョタイルなど、掘り出し物が見つかる場合もあります。
ただし人が密集する場所でもあるので、本物の泥棒に遭わないためにも身の回りの品には十分ご注意を!
パンテオン
真っ白な外壁と、ドーム型の天井が印象的なパンテオン(Panteão Nacional)は、ポルトガルの有名な人々が眠る場所。
もともとは1712年に教会として造られた建物を、20世紀に改装したものです。
ポルトガルではあまり見られない様式の建物の中には、ポルトガルの国民的ファド歌手、アマリア・ロドリゲスが眠る棺もあります。
アズレージョ博物館
アルファマ観光で時間に余裕があるなら是非訪れたいのが、2kmほど東に離れた場所にあるアズレージョ博物館(Museu Nacional do Azulejo)。
ポルトガルが誇る伝統のタイルアートであるアズレージョに焦点を当て、その歴史や製造工程などを学ぶことができる場所です。
元々はイスラム教徒の美術だったものが、ポルトガルで独自に発展したのがアズレージョ。
時代順に並べられた展示によって、ポルトガル芸術の発展を視覚的に理解することができます。
グラサ地区
アルファマ地区よりもさらに高い場所に位置するグラサ地区(Graça)は、リスボン市民の間で人気の居住エリア。
交通手段は混雑が激しい路面電車28番のみと不便なものの、エリア内に点在する展望台はリスボンの町が全て望める絶景ポイント。
観光スポットこそありませんが、時間と体力に余裕があればぜひ訪れたいエリアです。
ノッサ・セニョーラ・ド・モンテ展望台
のぶよ的に、リスボンで一番の絶景が見られる場所だと思うのが、グラサ地区北側にあるノッサ・セニョーラ・ド・モンテ展望台(Miradouro da Nossa Senhora do Monte)。
リスボン市内でも最も高い場所の一つであるため、ここからはとにかく全てが眺められます。
雄大なテージョ川沿いに点在する丘に広がる町並みは、リスボンならではの風景。
アクセスは少々不便ですが、それに見合った感動が待っているはずです。
グラサ展望台
ノッサ・セニョーラ・ド・モンテ展望台から数百メートル南に位置するのがグラサ展望台(Miradouro da Graça)。
こちらも絶景では負けていません。
また、グラサ展望台からアルファマ地区方面へと下っていく坂は、とてもリスボンらしい風景。
坂道に沿ってびっしりと並ぶ民家の先には、青いテージョ川が。
色褪せた壁の色や、風にはためく洗濯物なども、リスボンという町の独特な雰囲気を演出しています。
アルファマ地区のおすすめレストラン、”O Freixo”
古い町並みが残っていることもあって、観光客に大人気のアルファマ地区。
中心部のレストランの多くは観光客向けなところが多く、ローカル感を感じられる場所は徐々に少なくなってきています。
サンタ・アポロニア駅周辺まで足をのばせば、昔ながらの価格で素朴なポルトガルの家庭料理を提供している食堂に出会うこともできるので、ローカル食堂派にはかなりおすすめ。
のぶよがリスボンで一番好きな食堂もこのエリアにあります。
その名も“O Freixo”。
観光客の姿はまず見かけないローカルな雰囲気ですが、料理は何を食べても絶品。そしてとにかく格安です。
気さくなおばちゃんと仕事のできないおじちゃんが切り盛りしている家族経営のお店で、言葉は通じなくても温かい気持ちになれる雰囲気も魅力的。
観光エリアからは少々離れているものの、心からおすすめしたい場所の一つです。
アルファマ地区のまわり方(所要時間・観光のポイント)
アルファマ地区観光マップ
黄色:路面電車28番停留所
灰色:路面電車12番停留所
青:見どころ
赤:おすすめレストラン
アルファマ地区のまわり方・観光所要時間
起伏の激しいアルファマ地区を効率良く観光するなら、事前のプランニングがとても大切です。
グラサ地区>アルファマ中心部>サンタ・アポロニア駅
の順で下っていくルートがおすすめ。
反対方向はとにかく坂がすごく、途中で歩けなくなってしまうかもしれません。
アルファマ地区観光の所要時間&おすすめの時間帯
記事内で紹介した、アルファマ地区内の3エリアの観光に必要な時間は以下の通りです。
グラサ地区:1時間
アルファマ中心部:4時間
サンタ・アポロニア駅周辺:2時間(アズレージョ美術館/泥棒市観光はそれぞれ+2時間)
サンタ・アポロニア駅周辺エリアは観光客が少なめなので、一日のうちいつ訪れてものんびりと散策が楽しめます。
名物の泥棒市へ行くなら火曜日か土曜日の午前中がおすすめ。
午後になると人手が多くなります。
午後は観光客であふれるアルファマ中心部観光は、できる限り午前中~昼に済ませるのがベスト。
朝一番のアルファマ地区の誰も居ない路地裏の雰囲気は、早起きした人だけが味わえる特権です。
グラサ地区の主な見どころである展望台は、午後は逆光になってしまうので、こちらも午前中に訪れるのがベストです。
アルファマ地区観光のモデルルート
市内交通の項で触れますが、アルファマ地区唯一の交通手段である路面電車28番は、もはや公共交通手段として利用できないほどに観光客であふれかえるのが常。
特に夏場の午後の混雑はすさまじく、途中での乗車・下車はほぼ不可能と考えておいた方がいいでしょう。
おすすめは、路面電車28番の始発停留所がある地下鉄緑線マルティン・モニシュ駅(Martin Moniz)から、最も高い位置にあるグラサ地区まで移動、その後徒歩でアルファマ中心街方面へとアクセスするプラン。
グラサ→アルファマはほぼ下り坂なので比較的楽に歩くことができますし、始発の停留所なら路面電車に乗れないということはまずありません。
- 8:00マルティン・モニシュから路面電車28番利用
・グラサ地区で下車 - 9:00グラサ地区観光(1時間)
・二つの展望台
・見学後は徒歩でパンテオン方面へ(15分) - 10:00パンテオン、サン・ヴィセント・ドゥ・フォーラ教会観光(1時間)
・丘の上にある二つの見どころをまわる
・見学後は徒歩でアルファマ地区の展望台へ(15分) - 11:00アルファマ中心部の二つの展望台観光(1時間)
・ポルタシュ・ド・ソル展望台/サンタ・ルシア展望台
・見学後は徒歩でサン・ジョルジュ城へ(10分) - 12:00サン・ジョルジュ城観光(1時間)
・見学後は徒歩でリスボン大聖堂方面へ - 13:00リスボン大聖堂周辺観光(1時間)
・くちばしの家も見学 - 14:00ランチ(1時間)
・見学後は徒歩でファド博物館方面へ - 15:00サンタ・アポロニア駅周辺観光(1時間半)
・ファド博物館&周辺散策
・時間があればアズレージョ博物館も見学(+2時間)
というもの。
徒歩での移動が多くなりますが、ほぼ全て下り坂なので比較的楽だと思います。
ランチ後のサンタ・アポロニア駅周辺観光は別の日にまわして、バイシャ地区やシアド地区などリスボン中心街西側へ移動して観光するプランもおすすめです。
(中心街西側には夕日の名所もいくつかあるので、なおさら午後がおすすめ!)
アルファマ地区の市内交通
アルファマ地区は、リスボン中心街の中では交通がやや不便なエリア。
地下鉄は丘のふもとしか走っておらず、丘の中腹へのアクセスは路面電車一択となります。
サンタ・アポロニア駅周辺へ行くなら!地下鉄青線
サンタ・アポロニア駅周辺エリアへのアクセスに便利なのが、地下鉄青線。
地図で見ると、アルファマ中心部エリアも近いように見えますが、サンタ・アポロニア駅はアルファマの丘の最も低い場所に位置しているので、かなりの急坂を登ることとなるのでご注意を。
グラサ、アルファマの二地区をまわるなら!路面電車28番
グラサ地区、アルファマ地区を縫うように走り、西のバイシャ地区やシアド地区方面へとつながる路面電車28番。
かなり便利なルートなのですが、先述の通りかなり混雑するのがネック。
現実的なのは、始発の停留所がある地下鉄緑線マルティン・モニシュ(Martin Moniz)駅前から乗車すること。
朝の時間帯を除いて、グラサ地区やアルファマ地区内の途中乗車は難しいと考えておきましょう。
バイシャ~アルファマ地区を周回する路面電車12番
とにかく混雑する路面電車28番の代わりに利用できるのが、アルファマ地区西側~バイシャ地区をぐるぐると周回する路面電車12番。
28番に比べると知名度が高くないため、比較的混雑はましです。
ポルタシュ・ド・ソル展望台付近までは路面電車28番と同じ路線を走るものの、その先で西に曲がり、サン・ジョルジュ城裏手の坂を下っているルートをとります。
そのため、グラサ地区方面へのアクセスには利用できない点にご注意を。
おわりに
リスボン観光で誰もが訪れるアルファマ地区の見どころと上手なまわり方、エリア内の交通手段を解説しました。
とにかく坂がすごいエリアなので、なめてかかるととんでもないことになります(笑)
繰り返しますが、観光客が少なく、景色もきれいに見える午前中の観光が絶対におすすめ。
ちょっと早起きして、リスボンの古き良き雰囲気の中をゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。
リスボンは「七つの丘の町」と呼ばれるように坂道が連なる独特の地形。
ホテル選びのエリアがとても重要です。
リスボン旧市街にも、ビーチエリアにもアクセスが便利なカイス・ド・ソドレ地区。
小さなポルトガル料理レストランやファドハウスが点在するバイロ・アルト地区もすぐそばにあり、哀愁に満ちたポルトガルらしい夜を過ごすのもおすすめです!
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