こんにちは!待ちに待ったアルメニア南部旅を開始した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニア南部エリアの観光・滞在拠点となる、ゴリスの町周辺の見どころを発掘している今日この頃。
とうとう、ものすごい場所に出会ってしまいました。
それが今回紹介するフンゾレスク(Khndzoresk / Խնձորեսկ)です。

フンゾレスクとは、天然の岩が風雨によって削られて形成された奇岩地帯に人の手が加わり、洞窟住居群として長い間機能していた村。
古くは数千年前から奇岩の中で住民が生活していたそうですが、なんとつい70年ほど前まで住民が普通に暮らしていたというのですから驚きです。
フンゾレスクの洞窟住居群はとにかくスケールが大きく、見ごたえ抜群。
緑の大地に不思議な形をした奇岩がにょきにょきと生える風景は、まるでRPGゲームの世界を具現化したかのようです。


また、フンゾレスクと言えば、洞窟住居群への入口部分に架かる全長160mに及ぶフンゾレスクの吊り橋が有名。
高さ60m以上の深い谷間に架かる吊り橋は、風が少し吹くだけで右に左に揺れ動き、ものすごいスリル体験ができます。▼

おそらく日本ではほとんど知名度がないであろうフンゾレスク。
実際に言った立場から、言わせてください。
めっちゃくちゃ良かったです!とにかくアルメニアを旅するなら絶対行くべき!
しかしながら、アルメニア地方部あるあるなのですが、アクセスや周り方がなかなかトリッキーなのがフンゾレスク。
何も知らずに行くと、現地で困ってしまう可能性が高いです。
というわけで今回の記事では、アルメニア南部エリア観光のハイライトの一つとなるフンゾレスク観光に関するアレコレを完全解説するもの。
見どころからアクセス、絶対に知っておきたい注意点やアドバイスまで…とにかくフンゾレスクに行くなら絶対に知っておきたい情報たっぷりとなっています。
フンゾレスクの見どころ

フンゾレスク観光においてまず理解しておきたいのが、その独特の地形。
洞窟住居群はものすごく深い谷間を見渡す斜面にひらけており、入口に架かるフンゾレスクの吊り橋付近と洞窟住居群エリアの間には300m以上の高低差があるのです。
ここでは、フンゾレスクの敷地を大きく二つのエリアに分けて見どころを紹介していきます。
フンゾレスク観光マップ
黄色:マルシュルートカ乗降ポイント
オレンジ:駐車場(タクシー待機ポイント)
ロウワー・フンゾレスクの見どころ

フンゾレスク観光におけるメインの見学エリアとなるのが、敷地内では低い場所に位置するロウワー・フンゾレスク。
フンゾレスクのシンボルである吊り橋を中心に、かつての集落や歴史ある教会が点在しています。
タクシーチャーターでアクセスする場合、見学可能なのはこのロウワー・フンゾレスクのみとなります。
①心臓破りの階段

ロウワー・フンゾレスクの唯一の入口となるのが、心臓破りの階段。【マップ 青①】
もちろんのぶよが勝手に名付けたものですが、実際に行けばその意味がわかるはず。
とにかく急な斜面に木製の階段がどこまでもエンドレスに続いていくのですから…

下りは余裕ですが、上りはとにかくただの苦行。
タクシーを利用してフンゾレスクにアクセスした場合もこの階段を避けることはできないため、それ相応の覚悟をしておきましょう。

▲体力的にはかなりハードな心臓破りの階段ですが、途中から見られる風景は圧巻。
谷の反対側の斜面に点在する洞窟住居群と、こちら側とを結ぶ吊り橋が一望できます。
②フンゾレスクの吊り橋

フンゾレスクのシンボルとして知られるフンゾレスクの吊り橋は、ロウワー・フンゾレスクの集落への唯一の入口。【マップ 青②】
高さ60m以上の深い谷間に架かる橋は、全長160mの巨大なもの。
完成は2012年と比較的最近のことで、それ以前=フンゾレスクが村として機能していたときには橋は架かっていませんでした。
当時の村人は、この深い谷を一度川まで下って対岸に渡り、また急斜面を登ることで谷の両側を行き来していたのです。
なんというか…21世紀に生きててよかった…


吊り橋の向こう側には、無数の穴が空いた洞窟住居群のミステリアスな光景が。
対するこちら側には一面の緑の谷間の風景が広がり、「現実世界と異世界をつなぐ橋」といった雰囲気に冒険心が湧いてきます。
完成からまだ15年足らずのフンゾレスクの吊り橋ですが、その割にはなんだかやけに古びて見えます。
橋を吊るロープもなんだかほっそりしていて心もとなく、デフォルトの状態で少し傾いているような気も…
渡りはじめてすぐに、見た目の不安は現実のものに。
フンゾレスクの吊り橋は、とにかく激しく揺れるのです。


▲こんな感じで、橋の両側はとにかく絶景。しかし、絶景よりなによりも恐怖が勝ちます。
渡っているのが自分一人のときはまだしも、他に人が渡りだすと途端に揺れが大きくなるのもまた、恐怖ポイント。
左右の手すりの位置もなんだかちょっと低めで、とにかくかなり怖いです。

どうにかこうにか吊り橋を渡り切った先は、かつて人々が暮らしていた洞窟住居群があるエリア。
④シュラン集落跡あたりまで少し登ると、吊り橋の全景を一望することができます。
③ムヒタル・スパラペット墓地

②フンゾレスクの吊り橋を渡る前に時間があるなら足をのばしておきたいのが、ムヒタル・スパラペット墓地(Mkhitar Sparapet tomb)【マップ 青③】
吊り橋の南側の横から、舗装された小道を歩くこと5分ほどでアクセス可能です。
ムヒタル・スパラペットとは、アルメニアがペルシア帝国(現在のイラン)の支配下にあった18世紀に、フンゾレスクを拠点としてペルシア支配への抵抗運動を率いた最高司令官のこと。
当時のフンゾレスクは外敵の目に触れにくい地形が注目され、洞窟住居群としての全盛期を迎えていました。


勇敢な最高司令官が眠る墓地には、半ば自然に還りそうな廃教会と、数十基の墓石が並ぶだけ。
墓地からはフンゾレスクの吊り橋や洞窟住居群を一望することができ、静寂も相まって独特の情緒が漂っています。
④シュラン集落跡

②フンゾレスクの吊り橋を渡ると、道が左右に分かれて伸びています。
この道を右に進んですぐの場所にあるのが、シュラン集落跡(Shuran)です。【マップ 青④】
その名の通りかつての集落の跡で、天然の洞窟を利用した住居が多く残っており、どことなく人間の営みの香りが残っているように感じられます。


シュラン集落はフンゾレスク洞窟住居群の中でも最も谷底に近い場所に位置しており、川までのアクセスが最も容易でした。
そのため、かつてのフンゾレスクにおける水場&水車を利用した動力小屋で栄えていたのだそうです。
シュラン集落跡内の道は半ば草に覆われており、傾斜もあるので歩き回るのは大変。
しかしいくつかの洞窟住居はかつての姿をそのままに残しており、この場所で生活していた人々の息吹が感じられます。▼


フンゾレスクの人口は、最盛期である20世紀初頭で8300人ほどを数えたそう。
当時は27軒の商店や4つの教会、学校なども設置され、全て天然の奇岩を利用して建設されたものでした。
当時のシュラン地区は庶民が集まる商業の中心として栄えていたそうで、アッパー・フンゾレスクの洞窟住居群などさらに高い場所に住む住民たちにとっては「村の中心部」という位置づけだったのかもしれません。

洞窟住居群として最盛期を謳歌したフンゾレスクでしたが、その長い歴史の終焉はあっけないものでした。
そのきっかけが、アルメニアがソ連統治下にあった1950年代にソ連政府によって行われた洞窟住居群の住民の移住政策。
現在、洞窟住居群の上部にある新フンゾレスク村が造成され、フンゾレスクの住民の移住が促進されたのです。
多くの住民が先祖代々受け継いだ洞窟住居群を捨て、インフラの整った新フンゾレスク村に移ってしまい、1958年には最後の住人が洞窟住居群を去ることに。
こうして、数千年前から人々が住む村として機能してきたフンゾレスクの洞窟住居群は無人となり、現在の姿になったのです。
⑤聖フリプシメ教会

②フンゾレスクの吊り橋を渡ったところにある道を左に進むと、立派な石造りの建造物に至ります。
これが聖フリプシメ教会(Surb. Hripsime)。【マップ 青⑤】
建造は1666年のことで、建設当時オリジナルのままの姿がそのままに残されています。


教会外壁に施された装飾は、当時の技術の高さを象徴するかのような素晴らしさ。
17世紀半ばのアルメニアはすでにペルシア帝国の支配下に入っていましたが、どことなくエキゾチックさを感じるモチーフにその影響が感じられます。

▲教会内部は、白を基調にした明るい雰囲気の空間。
優雅な曲線を描くアーチが特徴的で、彫刻やフレスコ画などの装飾がいっさいないシンプルさが、逆に良い味を出しています。


フンゾレスクにはもう定住している住民は存在しませんが、聖フリプシメ教会はちゃんと手入れがされており、いちおう現役の祈りの場として機能しているよう。
なんでも、かつての洞窟住居群に住んでいた住民(現在70代~80代)やその子孫たちが、現在居住する新フンゾレスク村からときどき教会を訪れては、掃除や補修などを行っているのだそうです。
アッパー・フンゾレスクの見どころ

フンゾレスク観光における真のハイライトとなるのが、谷間を望む急斜面にひらけたアッパー・フンゾレスク。
大小さまざまな洞窟住居が無数に点在し、果てしない異世界の雰囲気にどっぷりと浸ることができます。
アッパー・フンゾレスクの見どころは、マルシュルートカでアクセスする場合のみ見学可能。
自分の足で歩いた人だけが見られる風景の数々を、存分に堪能しましょう!
⑥アッパー・フンゾレスクの洞窟住居群

起伏の激しい地形に点在する天然の奇岩を、人の手で掘って住居にしたアッパー・フンゾレスクの洞窟住居群は、フンゾレスクの敷地全体で最も多くの洞窟住居が密集しているエリア。【マップ 青⑥】
どの洞窟住居も数千年前にはすでに住人がいたそうで、先祖代々受け継いだ洞窟住居に居住するのがフンゾレスクの人々の伝統だったのだそうです。


アッパー・フンゾレスクの洞窟住居群はとにかく高低差が激しい地形に点在しており、ここで日常生活を送るのはかなり大変そう。
実際、大昔のフンゾレスクでは家柄や村での立場などによって居住エリアや住居として使用する岩の大小が定められていたそう。
地形的にロウワー・フンゾレスクよりも不便なアッパー・フンゾレスクですが、かつては身分の高い人とその家族の居住エリアだったと考えられています(どうしていつの時代も金持ちやセレブは高い所に住みたがるのだろうか…)
アッパー・フンゾレスクにはかつて手作りロープウェイのようなものが敷かれていたそう。
住民は④シュラン集落などロウワー・フンゾレスクに位置する中心街まで下りることなく、ローブウェイで物を運んでいたのだそうです。
⑦フンゾレスク絶景ポイント

洞窟住居が密集するエリアを抜けると、フンゾレスク全体を一望するフンゾレスク絶景ポイントに到達します。【マップ 青⑦】
ここからの眺めはとにかく格別。
ダイナミックな奇岩が並ぶアッパー・フンゾレスクの全景と、吊り橋を中心とするロウワー・フンゾレスクの遠景が、目の前にどーんと広がります。


このあたりは野生の鷹の住処になっているようで、巨大な奇岩の上を数羽が群れを成して自由に飛び交う様子が見られます。
周辺の異世界な風景も相まって、まるで物語の中の世界に迷い込んでしまったかのような感覚になりました。
⑧トトロ岩

ビューポイントのすぐ近くにあるのが、こちらのトトロ岩。【マップ 青⑧】
もちろんのぶよが勝手に名付けたものですが、どうです?ぽくないですか?(笑)
トトロ岩の内部ももちろん洞窟住居となっており、内部は二層構造になっています。
手作業で正確に削られた柱の曲線など、まさに宮崎作品!といった芸の細かさが感じられるでしょう(どゆこと?)。
⑨フンゾレスク城塞

アッパー・フンゾレスクの中でも最も高い場所に建つのが、フンゾレスク城塞。【マップ 青⑨】
「城塞」というよりも天然の奇岩を利用した秘密基地のような雰囲気ですが、谷間を見渡す断崖絶壁に建てられていることから、ちゃんと戦略的重要性が考えられたであろうことがわかります。


フンゾレスク城塞がいつ、誰によって建設されたかは解明されていませんが、おそらく13世紀頃であると考えられているそう。
13世紀当時のアルメニアは、モンゴル帝国の襲来をどうにか乗り越えた時期。
異民族の侵入というイレギュラーな事態を経験したのち、次の襲来に備える目的で、この見晴らしの良い場所に城塞が築かれたのでしょう。

13世紀に建設されたフンゾレスク城塞の軍事的重要性が再び注目されたのは、1728年のこと。
当時の支配者・ペルシア帝国に対する反乱を率いたムヒタル・スパラペットが、この城塞に居住することで防衛拠点としたのです。
⑩廃教会

フンゾレスク城塞のすぐそばにある廃教会は、17世紀~18世紀の間に建造されたと考えられているもの。【マップ 青⑩】
城塞と同様にとても見晴らしの良い場所に建てられており、石造りの外観の重厚さと入口部分の緻密な装飾が圧巻です。


教会の後ろ側半分は、まるで地面に埋もれたかのような不思議な建て方。
屋根部分には緑の草が生い茂り、非現実的な雰囲気をよりいっそう強めています。
周囲の一面の緑の風景も含め、半ば自然に還ろうとしているような姿。
ミステリアスな雰囲気を醸し出しながら、誰もいなくなったフンゾレスクの洞窟住居群を見守っているかのようです。

廃教会から少し山道を登れば、アッパー・フンゾレスク側の入口となるポイントが。【マップ 黄色】
ここがゴリス~フンゾレスク間のマルシュルートカの終点ポイントでもあり、マルシュルートカを利用してフンゾレスクにアクセスする際の観光スタート地点でもあります。
フンゾレスク観光の注意点・アドバイス

とにかく情報が少ないフンゾレスク。
地図だけ見ると小さなエリアに見えますし、サクッと観光できそうな気もしますが、実際は結構色々と複雑です。
ここでは、フンゾレスク観光前に絶対に知っておきたい注意点や、実際に訪問したのぶよからのアドバイスをどどんと解説していきます!
フンゾレスクの入場料・営業時間

フンゾレスクへの入場および見学は完全に無料&自由。
敷地内への立ち入りも24時間365日可能です。
この規模の見どころの入場が自由というのは、さすがアルメニア!といったところ。
個人的には、入場料をとって敷地の整備などに利用すれば良いのになあ…とも感じます。
フンゾレスク観光に向かない人・避けるべき天気

もう何度も触れていますが、フンゾレスク観光においてとにかく意識しておくべきなのが地形。
フンゾレスクは深い谷間の両側の山の斜面にひらけているので、敷地内のほとんどの見どころへのアクセスは足場の悪い急斜面を上り下りすることになります。
特に傾斜がきつめなのが、アッパー・フンゾレスク。
かなりの急斜面に道なき道(しかも結構滑りやすい)が続いているので、足腰の弱い人や体力に自信がない人には無理です。
ロウワー・フンゾレスクだけなら比較的平坦ではありますが、それでも①心臓破りの階段を上り下りする必要がある点に要注意。
想像以上の高低差にず~~~っと階段が続くので、特に上りはかなりしんどいと思います。
また、②フンゾレスクの吊り橋はとにかく揺れが激しく、高所恐怖症の人にはまず無理。
風が強い日は吊り橋の揺れがさらに激しくなりリスクを伴うため、避けるのがベターです。
観光可能な時期・観光におすすめの時間帯

フンゾレスク観光が可能なのは、3月~11月までの雪がない時期に限られます。
一般的に旅行ベストシーズンとされる夏場でももちろん観光可能ですが、とにかく灼熱の日が続くので注意。
正直、7月と8月は観光どころではない暑さになります。
総合的に、4月~5月の初夏と9月~10月の秋にかけてがフンゾレスク観光のベストシーズン。
のぶよが訪れた4月の2週目はすでに一面緑の大地となっており、とても美しい風景が見られました。
フンゾレスクは安全?
地図を見れば一目瞭然ですが、フンゾレスクが位置しているのは旧ナゴルノ=カラバフ共和国との国境まで4kmほどしかない地点。
国境の先はアゼルバイジャンの統治下となっています。
2022年に勃発したナゴルノ=カラバフ紛争においてアルメニアは敗北し、それまでアルメニア系住民が居住していたナゴルノ=カラバフ地域は完全にアゼルバイジャンの統治下となりました。
散発的な戦闘は2022年以降も発生しており、アルメニア・アゼルバイジャン国境地帯では予期せぬ事態となる可能性も低くはありません。
しかしながら、2025年現在のフンゾレスクはこうした有事のリスクは低め。
国境まですぐそばであるにもかかわらず、旅行者でも問題なく立ち入りが可能です。
しかしながら、常に火種を抱えている地域であることはお忘れなく。
フンゾレスクの訪問前にはゴリスの現地の人に尋ねたり、観光案内所を訪問したりして、最新の治安情報を入手するようにしましょう。
フンゾレスクとオールド・ゴリス、どちらがおすすめ?

フンゾレスクよりも有名&多くの旅行者が訪れるのが、似たような洞窟住居群であるオールド・ゴリス。
ゴリスの町からすぐそばでアクセスしやすいこともあり、ほとんどの旅行者はフンゾレスクまで足を運ぶことなくオールド・ゴリスで簡単なハイキングを済ませるだけで去っていきます。
のぶよも正直、「まあ洞窟住居群だし、どうせ似たようなものだろう」なんて思っていたのですが、正直フンゾレスクとオールドゴリスの見ごたえには天と地の差が。
規模の大きさ、絶景、異世界感…どれをとってもフンゾレスクの圧勝です。
というわけで個人的には、日程や体力的にどちらかの洞窟住居群にしか行けない場合はフンゾレスク一択。
もちろんそれぞれ異なる良さがあるので、どちらも訪問するのが理想です。
フンゾレスク観光の持ち物・服装

フンゾレスクには商店は基本的にありません(①心臓破りの階段入口の駐車場に一軒のレストランがあるだけ)。
そのため、必要なものはすべてゴリスから持参することになるでしょう。
特に注意したいのが、飲料水。
フンゾレスク敷地内には水道や湧き水はひとつも見かけなかったので、最低1Lの水は必ず持参しましょう。
服装に関してはその季節ごとに合わせたものでOKですが、靴はできればトレッキングシューズがベター。
特にアッパー・フンゾレスクまで足をのばす場合は、傾斜がきつめで足場が悪い山道を歩くことになるため、スニーカーだと危険だと思います。
フンゾレスクの周り方&観光に必要な時間

フンゾレスク観光に必要な時間は、どのエリアを周るか(=どの交通手段でアクセスするか)によって大きく変化します。
・タクシーチャーターの場合:ロウワー・フンゾレスクのみ=1時間半~2時間
・マルシュルートカ利用の場合:アッパー・フンゾレスク&ロウワー・フンゾレスク=3時間~3時間半
各見どころの見学にかかる時間自体はそこまでなのですが、問題はタクシーチャーターでもマルシュルートカ利用でも必ず一度は通る①心臓破りの階段。
特に上りはかなり時間がかかるので、時間に余裕を持ったプランニングをしましょう。
フンゾレスクのアクセス・行き方
フンゾレスク観光においてとにかく重要なのが、アクセス方法をどうするかという点。
フンゾレスクを訪れる現地ツアーはあまりないため、基本的にはタクシーチャーターかマルシュルートカのいずれか。
いずれの場合でもアクセス拠点はゴリス一択です。
タクシーかマルシュルートカかによって、現地で歩かなければいけない距離が大きく変化するのは言わずもがな。
フンゾレスクの場合はさらに特殊で、タクシー利用かマルシュルートカ利用かによって、敷地内のどこまで見学できるか変わってくる点にも注意が必要です。
①タクシーチャーター
最も簡単なのが、ゴリスからタクシーをチャーターしてフンゾレスクまで往復すること。
ゴリスの町ではYandex等配車アプリは機能しないため、流しのタクシーを事前に料金交渉して利用することになります。
交渉次第ではあるものの、タクシー料金の相場は以下の通りです。
・ゴリス→フンゾレスク片道:1500AMD~2000AMD(=¥600~¥800)
・ゴリス~フンゾレスク往復+観光時の待機時間1時間半ほど:3000AMD(=¥1200)
タクシーチャータの場合、運転手が行ってくれるのは100%の確率で、①心臓破りの階段まで。
アッパー・フンゾレスク側には行ってくれません。
心臓破りの階段の入口付近は駐車スペースとなっており、この場所で待機していてくれます。【マップ オレンジ】▼

この場所から心臓破りの階段を下り、吊り橋を渡って、ロウワー・フンゾレスクの見どころを徒歩で周ると、戻る時間も含めて所要時間はだいたい1時間半~2時間ほど。
ロウワー・フンゾレスクからアッパー・フンゾレスク方面へはかなりの上り坂となっており、所要時間が+2時間半ほどと跳ね上がるため、タクシー往復チャーターの場合は諦めることになります。
つまり、タクシー利用の場合はロウワー・フンゾレスクしか周れないということ。
アッパー・フンゾレスクを含めてすべての見どころを訪れたい場合は、マルシュルートカを利用して個人でアクセスする必要があります。
②マルシュルートカ

ゴリス~フンゾレスク間は、マルシュルートカ(乗り合いのミニバス)で移動することが可能です。
ゴリス~フンゾレスク間のミニバスは、ゴリス中心街の広場東側の発着。
マシュトツ通り(Mashtots St.)にある眼鏡店前に、発着時刻が近づくと停車しています。▼
ゴリス~フンゾレスク間のマルシュルートカは、平日は1日6往復/土曜日は1日4往復というスケジュールで旅行者にも使い勝手良し。
日曜は完全に運休となる点に要注意です。


フンゾレスクへのマルシュルートカは、洞窟住居群があるフンゾレスクとは別の「フンゾレスク」という同名の町へ向かうもの。
運転手にあらかじめ「フンゾレスクの洞窟住居群に行きたい!」と伝えておけば、以下で紹介するポイントで下ろしてくれるはずです。
【往路:ゴリス→アッパー・フンゾレスク方面】

▲ゴリスを出発したマルシュルートカは、フンゾレスクの町をぐるりと周って乗客をピックアップし、25分ほどで村はずれの終点に到着します。【マップ 黄色】
この終点こそが、アッパー・フンゾレスク側の入口。
ここから田舎道を50mほど歩いた先から、アッパー・フンゾレスク最上部にあたる山道が始まります。

あとは、本記事とは逆の順序でアッパー・フンゾレスク→ロウワー・フンゾレスクという順番で見どころを見学していけばOK。
見学終盤に②フンゾレスクの吊り橋を渡り、①心臓破りの階段を上れば、ロウワー・フンゾレスク側の入口にある駐車場(=タクシー利用の場合の待ち合わせポイント)に到着します。
【復路:ロウワー・フンゾレスク→ゴリス方面】
アッパー・フンゾレスク→ロウワー・フンゾレスクの順に見学したら、心臓破りの階段入口の駐車場から帰路につきます。【マップ オレンジ】
ゴリスへ戻るマルシュルートカはこの場所までは来ないため、3kmほど離れた幹線道路まで自分の足で歩くのみ。
道のりは緩やかな上り坂がずっと続く未舗装道路で、45分~1時間ほどかかると考えておきましょう。▼


山々に囲まれた丘陵地帯を抜けると、それまでの未舗装道路が幹線道路と交わるポイントがあります。
ここが、ゴリス方面へのマルシュルートカ途中乗車ポイントです。【マップ 黄色】▼

この場所をゴリス行きのマルシュルートカが通過するのは、フンゾレスクの出発時刻+5分~10分くらい。
心臓破りの階段入口の駐車場からこのポイントまで歩く時間(45分~1時間)を計算に入れて、帰りの交通をプランニングしておきましょう。
フンゾレスク観光の帰りにオールド・ゴリス観光
フンゾレスク~ゴリスのマルシュルートカは、ゴリスの町の東側にあるオ-ルド・ゴリス洞窟住居群ハイキングの拠点となるベルタワー前を通過します。
なので、ベルタワー付近に差し掛かったらマルシュルートカを途中下車し、そこから徒歩でオールド・ゴリスを観光しながらゴリス中心街に戻るというプランも可能です。

オールド・ゴリスのハイキングに必要な時間は、1時間~1時間半ほど。
ベルタワーからスタートすれば道のりのほぼ全てが下り坂となるので、かなり楽に歩けるのも嬉しいです。
フンゾレスク観光自体もかなり歩くので、その帰りに+1時間歩くというのもなかなか体力的にきついですが、一日で二つの見どころを制覇できるのは大きなメリット。
体力や時間と相談しながら、余裕があれば挑戦してみては?
おわりに
非現実的な光景が視界の限りに広がる、フンゾレスクの観光情報を徹底解説しました。
もはや英語で検索してもちゃんとした情報が出てこないような場所ですが、本当に本当に本当に見ごたえ抜群なので、アルメニア南部地域を旅するならぜひ足を運んでほしいです!
アクセス手段や周り方がトリッキー&恐怖の吊り橋を渡らなければならない&傾斜のきつい坂道多数…と、万人向きの観光地とは言えないフンゾレスク。
しかし、だからこそこの場所の秘境感や異世界感が守られているのかもしれません。
アルメニア南部には他にも素敵な見どころがたくさんありますが、のぶよ的にフンゾレスクは暫定No.1。
この場所の魅力を共有できていたら嬉しいです!
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