こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル中部の小さな村・ファティマ(Fátima)は、ポルトガルのみならず世界中で有名な場所。
というのも、カトリックの聖地として公認されたファティマの聖域が村の中央に堂々と広がっているためです。
かつてこの地で起こったある奇跡により、バチカンの教皇庁にも聖地として認められたファティマ。
リスボンから日帰りで訪れることも可能な、この神聖な場所を紹介していきます。
ファティマで起こった奇跡とは?
「ファティマの奇跡」や「ファティマの聖母出現」など色々な名前で呼ばれる、この地で実際に起こったとされる現象。
その始まりは、1917年のことでした。
当時のヨーロッパは第一次世界大戦の真っ最中。
ポルトガルは参戦していなかったとはいえ、戦争の影響は人々の間に大きくのしかかっていました。
1917年の5月13日のこと。
ファティマに暮らす三人の子供たちが村はずれで遊んでいたところ、突然聖母マリアが現れ、毎月13日に同じ場所を訪れて自分に会いにくるように指示します。
聖母の言葉を守って毎月13日にこの場所を訪問していた子供たちに、聖母は予言のような言葉を伝えます。
それは、第一次世界大戦が間もなく終了することと、その後に起こる第二次世界大戦を予期したような内容でした。
子供たちがこの話を村の人々にしたところ、その噂は瞬く間に広がり、奇跡を目撃しようとする人々が毎月13日にファティマを訪れるようになります。
5ヶ月後の1917年10月13日のこと。
聖母が出現したとされる13日ということもあり、すでに地元では有名な聖地として名を馳せていたファティマには7万人もの信者が集まっていました。
そこで起こったとされるのが、「太陽の奇跡」と呼ばれる現象。
その日は雨が降り続く天気だったのが一転、急に顔を出した太陽が回転するように辺りを照らし、人々の濡れた服が一瞬で乾いたとされるものです。
集まった7万人もの人が同じ現象を目撃したため、聖母の出現の奇跡に次ぐ第二の奇跡としてポルトガルの新聞にも掲載され、ファティマの名前はヨーロッパのカトリック界で知らぬ人はいない存在となります。
その後、カトリックの総本山であるローマ教皇庁が、これら一連の出来事を奇跡と公認したため、全世界のカトリック信者の信仰を集める存在となったファティマ。
奇跡が起こったとされる場所には「ファティマの聖域」として立派な聖堂が建てられ、ポルトガルはもちろん全世界から多くの人々が巡礼に訪れる場所となっています。
ファティマの聖地の見どころ
というわけで、ファティマの聖域はカトリックにとっては聖地のような存在。
観光客である私たちも自由に入場可能ですが、一般的な観光スポットとは異なり宗教的な面が強い場所である点には注意しておきましょう。
広大な広場の中心に立つ柱の上にあるのは、黄金の聖母マリア像。
この地にかつて出現したとされる姿を現しています。
聖母マリア像の周りには水道が設置されており、多くの信者が祈りながら手を洗ったり、ペットボトルに水を汲んでいく様子が見られます。
ファティマの聖域の中心となる建物が、こちらの聖堂。
内部へは自由に入場することができます。
白を基調とした外観と同様に、内部も真っ白に統一された落ち着いた雰囲気。
多くの人は巡礼に訪れた人々で、ポルトガル語以外の言葉も多く聞こえてきます。
全世界に名を馳せるファティマの神聖さを感じる瞬間です。
聖域内には蝋燭をくべる場所があり、大小さまざまな蝋燭で常にいっぱいの状態。
お年寄りから若い人まで、みんな手に蝋燭を持ちながら祈りを捧げる姿が至る所で見られます。
蝋燭をくべる場所の隣には、近代的なホールが設置されており、かなりの頻度でミサが行われています。
西ヨーロッパの中では比較的信仰心が篤い人が多いと言われるポルトガル。
老若男女問わず、ミサに合わせてお祈りする様子が見られ、カトリック国であることを実感させられます。
リスボンから日帰りもOK!ファティマのまわり方
ファティマのまわり方&観光マップ
ファティマの聖域以外には何もないファティマ。観光は全て徒歩で十分です。
他都市からのバスが発着するバス停は、聖域の西200mほどの場所に位置しています。
青:ファティマの聖域
リスボンから日帰りor宿泊?ファティマと近郊のまわり方
ファティマはとても小さな村で、ファティマの聖地以外に特に見どころはありません。
ゆっくりと見学しても1時間ほどあれば十分です。
リスボンから日帰り往復しても良いのですが、せっかくなら近郊の観光スポットや他の世界遺産の修道院をまわってみるのがおすすめ。
リスボンからの日帰りで、いくつかの見どころをセットで観光するなら、
ファティマ+トマール
ファティマ+レイリア+バターリャ
のいずれかが現実的だと思います。
ファティマからオビドスやアルコバサ、ナザレなど西方面への交通はかなり不便なので、これらの町をセットで観光する場合はレイリアに1泊して翌日まわることとなるでしょう。
バターリャ修道院・ファティマ・トマールなどの観光拠点となるのが、レイリアの町。
丘の上の城塞のふもとに広がる可愛らしい町並みと、若いエネルギー溢れる雰囲気も魅力的で、ローカルレストランが点在しています。
節約派には嬉しいホステルがあるのもポイントです。
ファティマへの行き方&近郊の見どころへのアクセス
リスボン~ファティマのアクセス
リスボン~ファティマ間は、ポルトガルの長距離バス路線を独占するRede Expressos社のバスが運行しており、簡単にアクセス可能です。
ポルトガル人がお祈りに訪れる場所という土地柄、村の規模の割にかなり多くのバスが運行しています。
ポルトガル北部・中部(ポルト/コインブラ)~ファティマのアクセス
ポルトガル北部のポルトや中部のコインブラ~ファティマ間も、Rede Expressos社が多くの直行バスを運行しているのでとても便利です。
ファティマとセットでまわりたい!周辺の観光スポット
バターリャ
世界遺産の修道院を有するバターリャ(Batalha)は、ファティマとセットで観光するのにおすすめの場所。
しかしながらファティマ~バターリャ間の直行バスはないため、レイリアで乗り換えてのアクセスとなります。
バターリャ~レイリア間:Rodotejo社
レイリア~ファティマ間:Rede Expressos社
と運行会社が異なる点にご注意を。
トマール
この地域の三大修道院(いずれも世界遺産)の一つであるトマールの中世修道院があるトマール(Tomar)は、清流が流れる可愛らしい町並みが特徴的な穴場の町です。
リスボンから鉄道で訪れるのが最も便利なのですが、ファティマやレイリア方面からのアクセスも本数が少ないながらも可能。
Rodotejo社:1日2~3本のバス
Rede Expressos社:1日1本のバス
を走らせています。
個人ではまわりにくいポルトガル中部地域。点在する世界遺産の修道院や「谷間の真珠」オビドス、大西洋岸の白い町ナザレなどを日帰りでまわりたいなら、リスボン発着の現地ツアーが最も便利な方法です。
・人気の都市を1日で!オビドス、ナザレ、世界遺産バターリャ、聖地ファティマ1日観光ツアー<昼食付/日本語ガイド/リスボン発>by[みゅう]
おわりに
キリスト教徒でなくても、その神聖さを肌で体感できるファティマの聖地。
正直、ただ聖堂と広大な広場があるだけなのですが、ポルトガルに現在でも息づく信仰心を味わうことができる場所です。
ファティマ周辺は世界遺産に指定されている三つの修道院や、中世の村の雰囲気を残すオビドスなどの観光スポットが点在しているエリア。
ぜひ他の場所にもセットで訪れてみてはいかがでしょうか。
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